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JP6286881B2 - 中間転写ベルト、及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

中間転写ベルト、及びそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、コピー・プリンター等の画像形成装置に装備されるシームレスベルト、及びそれを用いた画像形成装置、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写ベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。
従来から、電子写真装置においては様々な用途でシームレスベルトが部材として用いられている。特に近年のフルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。特に、位置精度に対しては、連続使用によるベルト自体の伸び等の変形による変動を抑えることが求められる。また、中間転写ベルトは、装置の広い領域に渡ってレイアウトされ、転写のために高電圧が印加されることから難燃性であることが求められている。このような要求に対応するため、中間転写ベルト材料として主に、高弾性率で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが用いられている。
2次転写性能やクリーニング性能を向上させるために、トナーと中間転写体の間の付着力を低下させることが有効である。そこでポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂で構成された基層の表面を球形樹脂微粒子を用いて凹凸形状をベルト上に形成することで、摩擦係数が低下しトナー固着を防ぐことが出来る。これにより2次転写性やクリーニング性が向上した。
しかし球形微粒子上にトナーのフィルミング、及びクリーニングブレード等の当接部材との摺擦による球形樹脂微粒子の脱落が発生した。 (特許文献1の特開2011−150059号公報)
特許文献2では、基層、弾性層、3次元架橋性樹脂層、無機化合物層の上に更に低摩擦性の保護層を積層させることで、無機化合物層の耐久性向上及びクリーニング性が向上するとし、特にフッ素系シラン化合物を保護層として用いることが望ましいとしている。ただ、この提案では表面に凹凸形状を形成していないため、トナーのクリーニング不良や2次転写性の低下が発生し、昨今の電子写真に要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
特許文献3では、弾性を有する樹脂と無機充填剤とを含む弾性体組成物において、露出した無機充填剤の一部表面に撥水性被膜形成分子によって撥水性被膜を形成させることによって撥水性が向上するとしている。また撥水性被膜形成分子はフッ素化炭素基を含むことが望ましいとしている。しかしこの提案では無機添加剤を弾性体成型物と混合しベルト成型している。そのため本件の発明である「ベルト表面に粒子を意図的に埋設することで得られる表面凹凸形状」を形成できない、露出する粒子の投影面積率を上手く制御できない等の問題が生じる。そのため、トナーのクリーニング不良や2次転写性の低下が発生し、昨今の電子写真に要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
特許文献4及び5では、疎水化処理微粒子と親和性のある材料で層を形成することが提案されている。これらでは、大きさの非常に小さな粒径の粒子を好ましく用いている。しかしながら、粒子層が厚かったり、粒子の凝集による不均一性部分が存在したりし、転写性能にもばらつきが発生し、昨今の電子写真装置の要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
特許文献6及び7では、比較的大きめの粒子を用い、樹脂にある程度埋設させることで耐久性も実現する構成が提案されている。しかしながら、この提案でも粒子の存在に不均一性が生じ、やはり昨今の電子写真装置の要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
また、特許文献4〜7において、シリカが好ましく用いられているが、シリカ粒子は凝集力が強いため前述したとおり、均一な粒子層を形成できない。さらに、シリカのような無機粒子は、像形成を担う潜像担持体として好適に用いられる有機感光体との転写部での接触によって有機感光体の表面を傷つけ、摩耗させやすく、耐久性を低下させるという不具合を生じさせる。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、二次転写性が優れた中間転写ベルト、及び該中間転写ベルトを用いた、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写し、中間転写体上の一次転写された画像を転写材に二次転写する各手段を有する電子写真装置用の中間転写ベルトとして、該中間転写ベルトの少なくとも内側から基層、表層からなり、該表層は球形樹脂微粒子を配列し凹凸形状が形成され、さらに該表層をフッ素系シランカップリング剤によって表面処理した中間転写ベルトを設けることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下に記載するとおりの中間転写ベルト、及びそれを用いた画像形成装置に係わる。
(1)「像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する手段と、中間転写体上の一次転写された画像を転写材に二次転写する手段を有している電子写真装置用の中間転写ベルトにおいて、該中間転写ベルトは少なくとも内側から基層と表層を有し、該表層は球形樹脂微粒子による凹凸形状を備え、凹凸形状を備える該表層がフッ素系シランカップリング剤によって表面処理されたものであることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。」
(2)「前記球形樹脂微粒子があらかじめフッ素系シランカップリング剤によって処理されたものを用いて凹凸形状を形成した前記(1)に記載の中間転写ベルト。」
(3)「前記中間転写ベルトの表層が弾性層であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の中間転写ベルト。」
(4)「前記中間転写ベルトの球形粒径が1μm〜5μmの範囲内であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の中間転写ベルト。」
(5)「前記中間転写ベルトにおいて、前記弾性層に存在する球形樹脂微粒子の投影面積率が、ベルト表面に対して60%以上であることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の中間転写ベルト。」
(6)「潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、前記中間転写ベルトが前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。」
(7)「画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなる前記(6)に記載の画像形成装置。」
以下の詳細かつ具体的な説明からより明らかなように、本発明によれば、転写媒体の種類・表面形状によらず、高い転写性能を実現できる高画質、電子写真装置に搭載できる中間転写ベルト、該中間転写ベルトを搭載した画像形成装置を提供することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示した図である。 ベルトの表面を真上から観察した拡大模式図を示した図である。 本発明に係る球状粒子層の形成方法を示した図である。 本発明に係る製造方法により得られるシームレスベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。 要部模式図に一構成例を示すような、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置を説明するための要部模式図である。
電子写真装置においてはいくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、電気的特性を要求される重要な部材の一つとして中間転写体(中間転写ベルト)がある。以下、本発明の中間転写ベルトについて説明する。
本発明のシームレスベルトは、中間転写ベルト方式の電子写真装置〔いわゆる、像担持体(例えば、感光体ドラム)上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する方式の装置〕における中間転写ベルトとして好適に装備されるものである。
図1には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層11の上に柔軟な表層12が積層されており、さらにその表層12には球形樹脂微粒子13を配列することによって凹凸形状を構成している。
<基層>
まず、基層11について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
前記中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに使用する場合、抵抗値として、好ましくは表面抵抗で1×10^8〜1×10^13Ω/□、体積抵抗で1×10^8〜1×10^11Ω・cmになるようなカーボンブラック量を含有させるが、機械強度の面から、膜が脆く割れやすくならない程度の添加量で達成できるものを選択する。つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
前記基層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm〜150μmが好ましく、40μm〜120μmがより好ましく、50μm〜80μmが特に好ましい。前記基材層の厚みが、30μm未満であると、亀裂によりベルトが裂けやすくなり、150μmを超えると、曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、前記基層の厚みが前記特に好ましい範囲であると耐久性の点で、有利である。基層に関しては、走行安定性を高めるために、膜厚ムラはなるべく無くすことが好ましい。
前記基層の厚みを調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定して厚み調節する方法等が挙げられる。
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25wt%、好ましくは15〜20wt%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50wt%、好ましくは10〜30wt%である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと抵抗値の均一性が得られにくくなり、任意の電位に対する抵抗値の変動が大きくなる。また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルトの機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
本発明におけるポリイミド、ポリアミドイミドとしては、東レデュポン、宇部興産、新日本理化、JSR、ユニチカ、アイ・エス・ティー、日立化成工業、東洋紡績、荒川化学等のメーカーからの一般汎用品を入手し使用することができる。
<表層>
次に基層11に積層する表層12について説明する。
構成する材料として汎用の樹脂やゴムなどの材料を使用することが可能である。
<樹脂層>
樹脂としては、スチレン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂が挙げられる。またこれらの共重合体、もしくは混合物も含む。本発明の効果を十分に発現するために、球形樹脂微粒子を保持することの出来る樹脂を用いることが好ましく、フッ素系シランカップリング剤で処理した球形樹脂微粒子との親和性を高めるためにも、また低μ化を達成するためにも樹脂層にはフッ素樹脂を選択することが望ましい。
本発明の表層であるフッ素重樹脂は現在上市されているもので良く、特に限定されるものではない。フッ素樹脂は市販品として、ルミフロン(旭硝子)やネオフロン(ダイキン工業)等がある。
表層の形成方法としては、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法やスプレー塗工等が適用できる。基層上に塗工された表層は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。この乾燥過程では基層の製造方法と同様、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。充分に冷却後、金型から基層ごと脱離させ、シームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。
前記表層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜150μmが好ましく、10μm〜100μmがより好ましく、10μm〜50μmが特に好ましい。前記表層材層の厚みが、5μm未満であると、樹脂微粒子を十分に埋没することができず、また十分な機械的強度も得られない。150μmを超えると、曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、前記表層の厚みが特に好ましい範囲であると耐久性の点で、有利である。表層に関しては、走行安定性やトナー転写性を高めるために、膜厚ムラはなるべく無くすことが好ましい。
前記表層の厚みを調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
<弾性層>
表層12は弾性体を用いた弾性層としても良い。弾性体を用いることで表面性状の異なる用紙への追従性が向上し、用紙の凹凸状の濃淡むらや色調のむらを防ぐことができる。弾性層を用いることによって、リサイクルペーパーやエンボス紙や和紙やクラフト紙のような表面性の粗いものに転写することが可能となる。
構成する材料としては、構成する材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどの材料を使用することが可能だが、本発明の効果を十分に発現するに十分な柔軟性(弾性)を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのが良い。
エラストマー材料としては、熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系、フッ素系共重合体系等が挙げられる。また、熱硬化性として、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。
また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
上記各種エラストマー、ゴムの中から、性能が得られる材料を適宜選択するが、本発明においては、耐オゾン性、柔軟性、難燃性付与、耐環境安定性の面からアクリルゴムが最も好ましい。以下、アクリルゴムについて説明する。
本発明のゴム弾性層であるアクリルゴムは現在上市されているもので良く、特に限定されるものではない。しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系がゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性が優れているので、カルボキシル基架橋系を選択することが好ましい。
カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いる架橋剤は、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。 このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。 芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。 架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。 一方、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
本発明のアクリルゴム弾性層においては、さらに架橋促進剤を配合して上記架橋剤に組み合わせて用いてもよい。架橋促進剤も限定はないが、前記多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤であることが好ましい。このような架橋促進剤としては、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。 多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。 第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。 弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
架橋促進剤の使用量は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。 架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
アクリルゴムは、加熱することにより架橋物とすることができる。 加熱温度は、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。 加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
また、ゴム弾性層の柔軟性は25℃50%RH下でのマイクロゴム硬度値が40以下であることが好ましい。マイクロゴム硬度は市販のマイクロゴム硬度計を使用することが出来るが、例えば高分子計器株式会社の「マイクロゴム硬度計MD−1」を使用することにより求めることができる。
一方で弾性層の膜厚は400μm〜1000μmが好ましく、より好ましくは500μm〜700μmである。400μm以下では表面凹凸がある紙種に対する画像品質は不充分になってしまう。また1000μm以上では膜の重さが重くなったり、たわみやすくなったり、反りが大きくなって走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなったりするため好ましくない。
また、ベルト巾方向の長さは、昨今の電子写真の高速化、高画質化、高耐久化の面から300mm以上とするのが好ましい。
上記選択した材料に、電気特性を調整するための抵抗調整剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行う。
中間転写ベルトに必要な抵抗率制御はアクリルゴム単体では抵抗率が高いために導電剤の添加が必要となる。抵抗率の制御としてはカーボンやイオン導電剤の添加が可能であるが、本発明ではゴム硬度が重要となるので少量添加で効果がありゴム硬度に影響を与えないイオン導電剤の使用が好ましい。具体的には種々の過塩素酸塩やイオン性液体をゴム100部に対して0.01部〜3部添加するのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01部以下では抵抗率を下げる効果が得られず、3部以上の添加量ではベルト表面へ導電剤がブルーム又はブリードする可能性が高くなってしまう。当弾性層の抵抗値としては、表面抵抗で1×10^8〜1×10^13Ω/□、体積抵抗で1×10^7〜1×10^12Ω・cmとなるように調整されることが好ましい。
<球形樹脂微粒子>
次に、上記表層12上の凹凸形状を形成する球形樹脂微粒子13について説明する。前記球形樹脂微粒子とは、平均粒子径が100μm以下で真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶で3%熱分解温度が200℃以上である微粒子のことをいう。
球形樹脂微粒子の材料としては特に問わないが、材料構成中にヒドロキシル基を有しており後述するシランカップリング剤と強固に反応ができるような粒子が好まれる。アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでも良い。ただし、本発明の効果を十分に発現するために、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐磨耗性を付与できる機能の高いものとしてシリコーン球形微粒子が最も好ましい。
また、ここで言う球形樹脂微粒子の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球形微粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。また中空であったり、多孔質であったりしても良い。
球形樹脂微粒子は重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本発明においては、真球に近いものほど好ましい。また、その粒径は、体積平均粒径が、1.0μm〜5.0μmであり、単分散粒子であることが望ましい。ここで言う単分散粒子とは、単一粒子径の粒子という意味ではなく、粒度分布が極めてシャープなもののことを指す。具体的には、体積平均粒径±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅のもので良い。
粒径が1.0μm以下の場合、粒子による転写性能の効果が十分に得られず、一方、5.0μm以上では、表面粗さが大きくなり粒子の脱落が起こる。また粒子間の隙間が大きくなるため、現在主流となっている粒径4〜10μmのトナーが隙間に入り込んでうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。さらには、粒子は絶縁性が高いものが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。なお、粒子を表層表面に塗布するタイミングは特に限定されず、ゴムの場合であれば加硫前、加硫後何れでも可能である。
前記球形樹脂微粒子としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、シリコーン粒子として商品名「トスパールシリーズ」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)や商品名「KMPシリーズ」(信越シリコーン社)などが挙げられる。
<ベルトの表面状態>
次に、本発明におけるベルト表面状態について説明する。
図2では、ベルトの表面を真上から観察した拡大模式図を示す。このように、均一な粒径の球形樹脂微粒子が独立して整然と配列する形態を採る。球形樹脂微粒子同士の重なり合いは殆ど観測されない。この表面を構成する各粒子の樹脂層面における断面の径も均一なほうが好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅となることが好ましい。
これを形成するためにできるだけ粒径の揃った粒子を用いることが好ましいが、これを用いなくてもある粒径のものが選択的に表面に形成できる方法により表面を形成して前記粒径分布幅となる構成としても良い。
球形樹脂微粒子13の投影面積率としては、60%以上とすることが好ましい。60%以下では表層12の露出部が多くトナーがゴムと接触し良好な転写性が得られない。
また上限に関しては露出部を低減する意味で投影面積率は100%に近いほど好ましい。
本発明においては、上記球形樹脂微粒子は表層12へ一部埋設された形態を取るが、その埋没率は、50%を超え、100%に満たないものが好ましく、51%〜90%であることが、より好ましい。50%以下では、画像形成装置での長期使用において粒子の脱離が起きやすく、耐久性に劣る。一方、100%では、粒子による転写性への効果が低減し好ましくない。
埋没率とは、粒子の深さ方向の径の樹脂層に埋没している率のことであるが、ここで言う、埋没率は、すべての粒子が50%を超え100%に満たないという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表わしたときの数値が50%を超え100%に満たなければ良い。しかし、埋没率50%のときは、電子顕微鏡による断面観測において、弾性層中へ完全埋没している粒子が殆ど観測されない(弾性層中に完全に埋没している粒子の個数%は粒子全体のうち5%以下)。
<フッ素系シランカップリング剤>
凹凸形状をしたベルト表面の表面エネルギーを下げるために、フッ素系樹脂やシリコーン樹脂に代表される低表面エネルギー樹脂を表面に塗布する方法も挙げられるが、その場合樹脂と直接結合を形成しない為、長時間ベルトを使用した場合に塗布剤が剥離する。
そこで本発明では凹凸形状をしたベルト表面に直接フッ素系シランカップリング剤を反応させることによって、ベルトの低摩擦係数化と、耐久性向上を実現した。
球形樹脂微粒子13をベルト表面に露出させ凹凸形状を形成した後に、フッ素系シランカップリング剤を直接塗布し球形樹脂微粒子面を改質する。フッ素系シランカップリング剤をそのまま、もしくは溶剤に溶解させスプレーコーティング法やディッピング法、スピンコート法によって塗布し、加熱乾燥を行う。
もしくは、あらかじめ球形樹脂微粒子13の全表面をフッ素系シランカップリング剤で処理した後に、ベルト表面に改質済み球形樹脂粒子を埋没させ凹凸形状を形成してもいい。フッ素系シランカップリング剤をそのまま、もしくは溶剤に溶解させ球形樹脂微粒子と混合、ろ過、加熱乾燥させる。最後に溶剤で粒子を洗浄し余分なフッ素系シランカップリング剤を除くことができるため好ましい。
<フッ素系シランカップリング剤について>
次に、本発明において前記親水性有機化合物として好適に用いられるフッ素系シランカップリング剤について説明する。フッ素系シラン化合物とは、下記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物で、フッ素含有有機官能基(X)と、加水分解性基(SiOR)を有している。
Figure 0006286881

上記一般式(1)においてORは加水分解性基から構成される。限定されるものではないが、加水分解性基の一例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基などのエーテル基やアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、ベンジロキシカルボニル基などのエステル基、ハロゲン原子(塩素等)などが挙げられる。
上記一般式(1)においてXはフッ素を含む官能基を一部有する有機化合物を示す。限定されるものではないが、フッ素を含む官能基の一例として例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのフッ素系アルキル基やフッ素系アルケニルハライド基、フッ素系アリールハライド基が挙げられる。前期フッ素含有官能基は有機化合物中どの位置に任意の数だけ結合していてもいいが、少なくとも1個以上結合している必要がある。
上記一般式(1)で表わされるフッ素系ケイ素化合物として、一般に知られているフッ素系シランカップリング剤(以降、「カップリング剤」と呼称することがある。)が使用可能であるが、このようなカップリング剤の具体例を以下に示す。
トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
上記に記載したフッ素系シランカップリング剤は特開平7−224242で記載されているような方法で合成してもいいし、市販品を使用してもいい。
一例として商品名「Dow Corning 2634 Coating」(東レ・ダウコーティング株式会社製)や「オプツールAES−2」(ダイキン工業株式会社製)、「KBM−7103」(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
表面処理剤はフッ素系シランカップリング剤であれば、1種類を単独で用いても良いし、複数の種類を混合して使用しても良い。
また表面処理済みの球形樹脂微粒子と表面未処理の球形樹脂微粒子を混合してもよい。なお、赤外分光法(ATR・FT−IR)によって表面処理剤の有無が確認できる。
次に、上記本発明の構成のベルトを作製する方法についての一例を説明する。まず、基層11の作製方法について説明する。
本発明の少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層を製造する方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。十分に冷却後、引き続き、表層12を積層する。
<表層を樹脂層とした場合の作製法>
表層12は、樹脂を有機溶剤に溶解させた樹脂塗料を用い、基層上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層と同様の方法を取る。液供給装置にて基層表面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、積層ベルトを得る。
<表層を弾性層とした場合の作製法>
弾性層12は、ゴムを有機溶剤に溶解させたゴム塗料を用い、基層上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法が適用できるが、凹凸転写性を良くする為には弾性層の厚みを厚くすることが必要であり、厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、及び螺旋塗工が優れており、前述したように弾性層の厚みを巾方向で変えやすいと言った点から螺旋塗工が優れている。そのためここでは、螺旋塗工について説明する。まず基層を周方向に回転させながら、丸型、又は広幅のノズルによりゴム塗料を連続的に供給しながら、ノズルを基層の軸方向に移動させて、基層上に塗料を螺旋状に塗工する。基層上に螺旋状に塗工された塗料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。その後、さらに所定の加硫温度で加硫(架橋)させて形成される。巾方向への膜厚を変化させるには、ノズルの吐出量、ノズル金型間の距離を変化させるか、もしくは金型の回転速度を変えることにより作製することができる。
<球形樹脂微粒子を用いたベルト表面作製方法>
表層表面への表面処理方法として球形樹脂微粒子を塗布した場合に関して述べる。積層ベルトは、その後引き続いて球形樹脂微粒子を表層12上へ塗布することで球形樹脂微粒子1凹凸形状を形成させて所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。球状粒子層の形成方法としては、図3に示すように、粉体供給装置105と押し当て部材103を設置し、回転させながら粉体供給装置105から球形樹脂微粒子を表面に均一にまぶし、表面にまぶされた球形樹脂微粒子を押し当て部材103により加熱しながら一定圧力にて押し当てる。この押し当て部材103により、樹脂層へ粒子を埋設させつつ、余剰な粒子を取り除く。本発明では、特に単分散の球形樹脂微粒子を用いるために、このような押し当て部材でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を形成することが可能である。埋没率の調整は、ここでの押し当て部材の押し当て時間の長さにより調整する。
粒子の表層中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかも知れないが、例えば、押し当て部材(103)の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。例えば、流延塗工液の粘度、固形分、溶剤の使用量、粒子材質等にも依るが、目安として、流延塗工液の粘度100〜100000mPa・sにおいて、押圧力を、1mN/cm〜1000mN/cmの範囲とすることにより、前記50%〜100%の埋没率を比較的容易に達成することができる。
球形樹脂微粒子を均一に表面に並べたのち、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ粒子を埋設させたベルトを形成する。
<ベルト表面へのコーティング方法>
凹凸形状を形成したベルト表面への表面処理方法に関して述べる。コーティング方法としては、やスプレーコーティング法やディッピング法、スピンコート法のほか、基層や表層を形成したときと同様、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法等が適用できる。溶液粘度が比較的低という理由やその簡便性から、スプレーコーティング法が優れている。ベルト上に塗工されたコーティング料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。この乾燥過程でも、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。
充分に冷却後、金型から基層ごと脱離させ、シームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。
<あらかじめ球形樹脂微粒子表面を改質した場合のベルト表面作製方法>
球形樹脂微粒子13への表面処理方法に関して述べる。球形樹脂微粒子13を分散させた有機溶媒の中に、表面処理剤を加え一定時間加熱撹拌させたのちに、微粒子のみ濾過する。未反応物を取り除くために、有機溶媒で洗浄し、加熱乾燥を行う。
改質した球形樹脂微粒子を上記の方法にて同様に積層ベルトの表面にまぶし、粉体供給装置105と押し当て部材103を用いて樹脂層へ均一に埋没させていく。球形樹脂微粒子を均一に表面に並べたのち、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ粒子を埋設させたベルトを形成する。
<中間転写ベルトにおける球形樹脂微粒子の埋没率を測定する方法>
前記中間転写ベルトにおける球形樹脂微粒子の埋没率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、測定することができる。
また、中間転写ベルトにおける粒子の露出部分の投影面積率を測定する方法についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、中間転写ベルトの表面を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、その画像を画像処理ソフト(Image−proplus;cyber netics社)を用いて画像を2値化し、弾性体の露出部分と粒子の露出部分の投影面積率を算出する方法などが挙げられる。
さらに、前記中間転写ベルトにおける粒子種別の投影面積率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)に付属のエネルギー分散型X線分析装置(EDX)により球形粒子の種類を元素分析によって判別し、観察範囲における狙いの粒子種の投影面積率を算出することができる。なお、測定精度を高めるため、観察範囲には最低100個以上の粒子が存在していることが望ましい。
こうして作製された中間転写ベルトの抵抗は、カーボンブラック、イオン導電剤の量を可変することにより調整される。この際、粒子の大きさや投影面積率によって抵抗が変わりやすいので注意する。抵抗の測定は市販の計測器を使用できるが、たとえばダイアインスツルメンツ社のハイレスタを使用することにより測定することができる。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
この場合、前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなるものが好ましい。
本発明における電子写真装置(以降、「画像形成装置」と呼称する。)に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
図4は、本発明に係る製造方法により得られるシームレスベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。なお潤滑剤塗布ブラシ505を含む潤滑塗布機構は必要に応じて配設してもしなくても良いが、本件では設置した場合に関して述べる。
図4に示すベルト部材を含む中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、2次転写ユニット600の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブラシ504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
また、位置検知用マークが中間転写ベルト501の外周面または内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブラシ504の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている1次転写バイアスローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
この中間転写ベルト501は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、2次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及びフィードバック電流検知ローラ512に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ507以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ507には、定電流または定電圧制御された1次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト501は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。
このベルト部材である中間転写ベルト501は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
2次転写手段である2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
レジストローラ610は、2次転写バイアスローラ605と2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙Pを送り込む。また、2次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。該クリーニングブレード608は、2次転写バイアスローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム200は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、該感光体ドラム200上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト501はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト501の回転に伴って、1次転写バイアスローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト501上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。
図4において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
このようにして感光体ドラム200上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム200の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム200の再使用に備えて、感光体クリーニング装置201で清掃される。この感光体ドラム200側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にC静電潜像を形成する。
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、C現像機231Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機231Kの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次のM現像機231Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明は省略する。
このようにして感光体ドラム200上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ610のニップで待機している。
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と2次転写バイアスローラ605によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
このようにして、転写紙Pが2次転写部を通過すると、2次転写電源802によって2次転写バイアスローラ605に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(2次転写)される。この転写紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置210により定着装置270に向けて送られる。そして、この転写紙Pは、定着装置270の定着ローラ271、272のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置270は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム200の表面は、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブラシ504によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブラシ504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。該ベルトクリーニングブラシ504は、必要に応じて電圧をかけても良い。
このベルトクリーニングブラシ504の上記中間転写ベルト501の移動方向上流側には、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離するシール部材502が設けられている。このシール部材502は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブラシ504から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このシール部材502は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブラシ504とともに、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離される。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。該潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、該潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト501のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ505及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム200への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブラシ504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブラシ504を中間転写ベルト501に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図5の要部模式図に一構成例を示すような、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図5は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK、21Y、21M、21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図5において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部12、画像形成部13、給紙部14、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部12に送信する。画像書込部12は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部13の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)21BK、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部13は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体21BK、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体21BK、21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置、上記書込部12からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20BK、20M、20Y、20C、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23C、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置20BK、20M、20Y、20Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト22は、各感光体21BK、21M、21Y、21Cと、各1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23Cとの間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙Pは、給紙部14から給紙された後、レジストローラ16を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト50に担持される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触するところで、上記中間転写ベルト22上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ60により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材25によって中間転写ベルト22から除去される。このベルトクリーニング部材25の下流側には、潤滑剤塗布装置27が配設されている。この潤滑剤塗布装置27は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。なおベルト中央部の膜厚は巾方向中心部±50mmの平均膜厚の平均膜厚を求めることによって、算出した。膜厚は接触式の膜厚計で計測した。また投影面積率はベルトの表面を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、その画像を画像処理ソフト(Image−proplus;cyber netics社)を用いて画像を2値化し、ベルト表面上における球形樹脂微粒子の投影面積率を算出した。また、以下においては、実施例1、2を参考例1、2と読み替えるものとする。
[実施例1]
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層を作製した。
「基層用塗工液の調製」
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
「ポリイミド基層ベルトの作製」
次に、外径500mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。
続いて、基層用塗工液Aをパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
その後、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4mmとして塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分加熱、 さらに昇温して200℃で30分加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、膜厚30μmのポリイミド基層ベルトを得た。
「表層の作製」
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面に有機溶剤(MEK:メチルエチルケトン)に濃度40[wt%]になるように溶解されたフッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)を円筒状支持体を回転させながら表層に螺旋状に塗工した。塗布量としては中央部の最終的な膜厚が60μmになるようにした。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。
「凹凸形状の作製」
乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、図3の装置を用いて、球形樹脂微粒子として、シリコーン球形樹脂微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をまんべんなく表面にまぶした。ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて樹脂層に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理した。
「コーティング材料の塗布」
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面にフッ素系有機溶剤ハイロドフルオロエーテル(Novec HFE−7200:住友スリーエム株式会社)に溶かしたフッ素系シランカップリング剤(Dow Corning 2634 Coating:東レダウコーティング株式会社製)を、円筒状支持体を回転させながら表層にスプレー塗工した。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で50℃まで昇温して60分加熱した。十分冷却後室温で12時間乾燥させたのちに、金型から取り外し中間転写ベルトAを得た。このとき、シリコーン微粒子の投影面積率は75%であった。
[実施例2]
実施例1の「凹凸形状の作製・コーティング材料の塗布」を以下とする他は同とし、中間転写ベルトBを得た。このときの粒子の投影面積率は73%であった。
「球形樹脂微粒子表面の改質」
フッ素系シランカップリング剤(Dow Corning 2634 Coating:東レダウコーティング株式会社製)を溶解させたフッ素系有機溶剤ハイロドフルオロエーテル(Novec HFE−7200:住友スリーエム株式会社)の中に球形樹脂微粒子としてシリコーン微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を撹拌し分散させたのちに、粒子のみ濾過し50℃まで昇温して60分間加熱処理した。その後メタノールで洗浄後6時間自然乾燥を行った。
「凹凸形状の作製」
乾燥機から取り出して冷却したベルトの表面に、図3の装置を用いて、改質したシリコーン微粒子をまんべんなく表面にまぶした。ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて樹脂層に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理して中間転写ベルトBを得た。
[実施例3]
施例2における「表層の作製」を以下とする他は同じとし中間転写ベルトCを得た。このとき粒子の投影面積率は80%であった。
「ポリイミド基層ベルトへの弾性層の作製」
下記に示す各成分を同記載に示す割合で配合し混練することでゴム組成物を作成した。
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社/NipolAR12) ・・・・・・・・100重量部
ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズステアリン酸つばき)・・・・・1重量部
赤リン(燐化学工業株式会社製 ノーバエクセル140F)・・・・・・・10重量部
水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 ハイジライトH42M)・・・40重量部 架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製 Diak.No1(ヘキサ
メチレンジアミンカーバメイト)・・・・・・・・・・・・・・・・・0.6重量部 架橋促進剤(Safic alcan社製 VULCOFAC ACT55(70%1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)
ウンデセン-7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ))・・・・0.6重量部 導電剤(日本カーリット株式会社製 QAP-01(過塩素酸テトラブチル
アンモニウム))・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3重量部
次に、このようにして得られたゴム組成物を有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分35wt%のゴム溶液を作製した。ポリイミド基層を有する円筒状支持体を回転させ、ノズルよりゴム塗料を連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては中央部の最終的な膜厚が550μmになるようにした。その後、ゴム塗料が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して120分加熱した。
[実施例4]
実施例3のベルトの処理において、球形樹脂微粒子にシリコーン微粒子(X−52−854(体積平均粒子系0.8μm品);信越化学)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトDを得た。この時粒子の投影面積率は85%であった。
[実施例5]
実施例3のベルトの処理において、球形樹脂微粒子にシリコーン微粒子(トスパール2000B(体積平均粒子系6.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトEを得た。このとき、粒子の投影面積率は70%であった。
[実施例6]
実施例5の球形樹脂微粒子として用いたシリコーン微粒子の投影面積率を51%になるように変更した他は実施例3と同様にして、中間転写ベルトFを得た。
[比較例1]
実施例1のベルト表面の処理において、フッ素系シランカップリングで改質していないこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトGを得た。このとき、粒子の投影面積率は73%であった。
[比較例2]
実施例3の球形樹脂微粒子表面において、フッ素系シランカップリングで改質していないこと以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトHを得た。このとき粒子の投影面積率は71%であった。
[比較例3]
実施例3の球形樹脂微粒子表面において、フッ素系シランカップリングではなく、脂肪族系のシランカップリング剤であるヘキシルトリメトキシシラン(KBM3063:信越シリコーン製) で改質した以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトIを得た。このとき粒子の投影面積率は78%であった。
[比較例4]
実施例3の球形樹脂微粒子表面において、フッ素系シランカップリングではなく、フッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)で事前コーティングした以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトJを得た。このとき粒子の投影面積率は81%であった。
[比較例5]
実施例3の「球形樹脂微粒子表面の改質」 「ポリイミド基層ベルトへの弾性層の作製」 「凹凸形状の作製」の代わりに以下の作業を実施する他は、実施例3と同様にし中間転写ベルトIを得た。
「球形樹脂微粒子を練り込んだ弾性層の作製」
下記に示す各成分を同記載に示す割合で配合し混練することでゴム組成物を作成した。
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社/NipolAR12)・・・・・・・・・100重量部 シリコーン微粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製
トスパール120)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10重量部 ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズステアリン酸つばき ・・・・・・1重量部 赤リン(燐化学工業株式会社製 ノーバエクセル140F)・・・・・・・10重量部 水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 ハイジライトH42M)・・・40重量部 架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製 Diak.No1
(ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)・・・・・・・・・・・・・0.6重量部 架橋促進剤(Safic alcan社製 VULCOFAC ACT55(70%1,8-ジアザビシクロ(5,4,0) ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ))・・・0.6重量部 導電剤(日本カーリット株式会社製 QAP-01(過塩素酸テトラ
ブチルアンモニウム))・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3重量部
次に、このようにして得られたゴム組成物を有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分35wt%のゴム溶液を作製した。ポリイミド基層を有する円筒状支持体を回転させ、ノズルよりゴム塗料を連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては中央部の最終的な膜厚が550μmになるようにした。その後、ゴム塗料が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して120分加熱した。
「コーティング材料の塗布」
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面にフッ素系有機溶剤ハイロドフルオロエーテル(Novec HFE−7200:住友スリーエム株式会社)に溶かしたフッ素系シランカップリング剤(Dow Corning 2634 Coating:東レダウコーティング株式会社製)を、円筒状支持体を回転させながら表層にスプレー塗工した。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で50℃まで昇温して60分加熱した。十分冷却後室温で12時間乾燥させたのちに、金型から取り外し中間転写ベルトKを得た。このとき粒子の投影面積率は8%であった。
上記各実施例、比較例の中間転写ベルトA〜Kを、図5の画像形成装置に搭載し以下のように評価を行った。なお、図5では潤滑剤塗布装置27が配設され固形潤滑剤を塗布する機構となっているが、本報告における実施例では潤滑塗布装置を使用せず試験を行った。
<転写率の測定>
転写紙として、凹凸紙(連量175kg紙レザック紙)を用い、これに、青色のベタ画像を出力する操作を実施し、紙に転写する前の中間転写ベルト上の画像トナー量と紙に転写した後に中間転写ベルト上に残ったトナー量を計測し、転写率を算出した。
Figure 0006286881
<25万枚連続画像出力時点における転写率の測定>
テストチャートを連続25万枚連続画像出力する前の初期と、転写した後で、上記数1の方法に従い、転写率を測定した。判定は◎が転写率95-100%、○が転写率95-90%、×が転写率90%以下とした。
<25万枚連続画像出力時点における画像評価>
テストチャートを連続25万枚連続画像出力した後、普通紙(TYPE 6200)の画像品質(ブラックのトナーによる全面ハーフトーン)を目視によって判定した。判定は◎が画質にムラなし、○がムラが見られるが使用可能レベル、×は使用不可とした。
結果を表1に示す。
Figure 0006286881

以上の結果より、本発明によれば、ベルトの低μ化、高耐久化によって、高い転写性能を発現できる高画質な電子写真装置に搭載する中間転写ベルトを提供することができる。
(図1〜図2の符号)
11 基層
12 表層
13 球形樹脂微粒子
14 フッ素系シランカップリング剤

(図3の符号)
101 金型ドラム
102 基層と表層を塗布したベルト
103 押し当て部材
104 球形樹脂微粒子
105 粉体塗布装置

(図4の符号)
P 転写紙
L レーザー光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 シール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブラシ
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源

(図5の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
特開2011−150059号公報 特開2011−257586号公報 特開2010−229180号公報 特開2002−162767号公報 特開2004−354716号公報 特開2007−328165号公報 特開2009−75154号公報

Claims (6)

  1. 像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する手段と、前記中間転写体上の一次転写された画像を転写材に二次転写する手段と、を有している電子写真用の中間転写ベルトにおいて、
    該中間転写ベルトは少なくとも内側から基層と表層を有し、
    該表層が、弾性層であり、
    該表層は球形樹脂微粒子による凹凸形状を備え、凹凸形状を備える該表層がフッ素系シランカップリング剤によって表面処理されたものであり、
    該表層に存在する該球形樹脂微粒子の投影面積率が51%以上であることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。
  2. 前記球形樹脂微粒子があらかじめフッ素系シランカップリング剤によって処理されたものを用いて凹凸形状を形成した請求項1に記載の電子写真用中間転写ベルト。
  3. 前記球形樹脂微粒子の体積平均粒径が1.0μm〜5.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の電子写真用中間転写ベルト。
  4. 前記電子写真用中間転写ベルトにおいて、前記弾性層に存在する前記球形樹脂微粒子の投影面積率が、前記電子写真用中間転写ベルト表面に対して60%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用中間転写ベルト。
  5. 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された前記潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持された前記トナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、前記中間転写ベルトが請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
  6. 画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなる請求項5に記載の画像形成装置。
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