JP6286881B2 - 中間転写ベルト、及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、以下に記載するとおりの中間転写ベルト、及びそれを用いた画像形成装置に係わる。
(1)「像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する手段と、中間転写体上の一次転写された画像を転写材に二次転写する手段を有している電子写真装置用の中間転写ベルトにおいて、該中間転写ベルトは少なくとも内側から基層と表層を有し、該表層は球形樹脂微粒子による凹凸形状を備え、凹凸形状を備える該表層がフッ素系シランカップリング剤によって表面処理されたものであることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。」
(2)「前記球形樹脂微粒子があらかじめフッ素系シランカップリング剤によって処理されたものを用いて凹凸形状を形成した前記(1)に記載の中間転写ベルト。」
(3)「前記中間転写ベルトの表層が弾性層であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の中間転写ベルト。」
(4)「前記中間転写ベルトの球形粒径が1μm〜5μmの範囲内であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の中間転写ベルト。」
(5)「前記中間転写ベルトにおいて、前記弾性層に存在する球形樹脂微粒子の投影面積率が、ベルト表面に対して60%以上であることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の中間転写ベルト。」
(6)「潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、前記中間転写ベルトが前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。」
(7)「画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなる前記(6)に記載の画像形成装置。」
図1には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層11の上に柔軟な表層12が積層されており、さらにその表層12には球形樹脂微粒子13を配列することによって凹凸形状を構成している。
まず、基層11について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
次に基層11に積層する表層12について説明する。
構成する材料として汎用の樹脂やゴムなどの材料を使用することが可能である。
樹脂としては、スチレン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂が挙げられる。またこれらの共重合体、もしくは混合物も含む。本発明の効果を十分に発現するために、球形樹脂微粒子を保持することの出来る樹脂を用いることが好ましく、フッ素系シランカップリング剤で処理した球形樹脂微粒子との親和性を高めるためにも、また低μ化を達成するためにも樹脂層にはフッ素樹脂を選択することが望ましい。
表層12は弾性体を用いた弾性層としても良い。弾性体を用いることで表面性状の異なる用紙への追従性が向上し、用紙の凹凸状の濃淡むらや色調のむらを防ぐことができる。弾性層を用いることによって、リサイクルペーパーやエンボス紙や和紙やクラフト紙のような表面性の粗いものに転写することが可能となる。
構成する材料としては、構成する材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどの材料を使用することが可能だが、本発明の効果を十分に発現するに十分な柔軟性(弾性)を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのが良い。
エラストマー材料としては、熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系、フッ素系共重合体系等が挙げられる。また、熱硬化性として、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。
また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
上記各種エラストマー、ゴムの中から、性能が得られる材料を適宜選択するが、本発明においては、耐オゾン性、柔軟性、難燃性付与、耐環境安定性の面からアクリルゴムが最も好ましい。以下、アクリルゴムについて説明する。
上記架橋剤の配合量は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。 架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。 一方、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
次に、上記表層12上の凹凸形状を形成する球形樹脂微粒子13について説明する。前記球形樹脂微粒子とは、平均粒子径が100μm以下で真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶で3%熱分解温度が200℃以上である微粒子のことをいう。
粒径が1.0μm以下の場合、粒子による転写性能の効果が十分に得られず、一方、5.0μm以上では、表面粗さが大きくなり粒子の脱落が起こる。また粒子間の隙間が大きくなるため、現在主流となっている粒径4〜10μmのトナーが隙間に入り込んでうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。さらには、粒子は絶縁性が高いものが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。なお、粒子を表層表面に塗布するタイミングは特に限定されず、ゴムの場合であれば加硫前、加硫後何れでも可能である。
次に、本発明におけるベルト表面状態について説明する。
図2では、ベルトの表面を真上から観察した拡大模式図を示す。このように、均一な粒径の球形樹脂微粒子が独立して整然と配列する形態を採る。球形樹脂微粒子同士の重なり合いは殆ど観測されない。この表面を構成する各粒子の樹脂層面における断面の径も均一なほうが好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅となることが好ましい。
これを形成するためにできるだけ粒径の揃った粒子を用いることが好ましいが、これを用いなくてもある粒径のものが選択的に表面に形成できる方法により表面を形成して前記粒径分布幅となる構成としても良い。
また上限に関しては露出部を低減する意味で投影面積率は100%に近いほど好ましい。
埋没率とは、粒子の深さ方向の径の樹脂層に埋没している率のことであるが、ここで言う、埋没率は、すべての粒子が50%を超え100%に満たないという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表わしたときの数値が50%を超え100%に満たなければ良い。しかし、埋没率50%のときは、電子顕微鏡による断面観測において、弾性層中へ完全埋没している粒子が殆ど観測されない(弾性層中に完全に埋没している粒子の個数%は粒子全体のうち5%以下)。
凹凸形状をしたベルト表面の表面エネルギーを下げるために、フッ素系樹脂やシリコーン樹脂に代表される低表面エネルギー樹脂を表面に塗布する方法も挙げられるが、その場合樹脂と直接結合を形成しない為、長時間ベルトを使用した場合に塗布剤が剥離する。
そこで本発明では凹凸形状をしたベルト表面に直接フッ素系シランカップリング剤を反応させることによって、ベルトの低摩擦係数化と、耐久性向上を実現した。
次に、本発明において前記親水性有機化合物として好適に用いられるフッ素系シランカップリング剤について説明する。フッ素系シラン化合物とは、下記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物で、フッ素含有有機官能基(X)と、加水分解性基(SiOR)を有している。
上記一般式(1)においてORは加水分解性基から構成される。限定されるものではないが、加水分解性基の一例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基などのエーテル基やアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、ベンジロキシカルボニル基などのエステル基、ハロゲン原子(塩素等)などが挙げられる。
上記一般式(1)においてXはフッ素を含む官能基を一部有する有機化合物を示す。限定されるものではないが、フッ素を含む官能基の一例として例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのフッ素系アルキル基やフッ素系アルケニルハライド基、フッ素系アリールハライド基が挙げられる。前期フッ素含有官能基は有機化合物中どの位置に任意の数だけ結合していてもいいが、少なくとも1個以上結合している必要がある。
トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
上記に記載したフッ素系シランカップリング剤は特開平7−224242で記載されているような方法で合成してもいいし、市販品を使用してもいい。
一例として商品名「Dow Corning 2634 Coating」(東レ・ダウコーティング株式会社製)や「オプツールAES−2」(ダイキン工業株式会社製)、「KBM−7103」(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
また表面処理済みの球形樹脂微粒子と表面未処理の球形樹脂微粒子を混合してもよい。なお、赤外分光法(ATR・FT−IR)によって表面処理剤の有無が確認できる。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。十分に冷却後、引き続き、表層12を積層する。
表層12は、樹脂を有機溶剤に溶解させた樹脂塗料を用い、基層上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層と同様の方法を取る。液供給装置にて基層表面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、積層ベルトを得る。
弾性層12は、ゴムを有機溶剤に溶解させたゴム塗料を用い、基層上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法が適用できるが、凹凸転写性を良くする為には弾性層の厚みを厚くすることが必要であり、厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、及び螺旋塗工が優れており、前述したように弾性層の厚みを巾方向で変えやすいと言った点から螺旋塗工が優れている。そのためここでは、螺旋塗工について説明する。まず基層を周方向に回転させながら、丸型、又は広幅のノズルによりゴム塗料を連続的に供給しながら、ノズルを基層の軸方向に移動させて、基層上に塗料を螺旋状に塗工する。基層上に螺旋状に塗工された塗料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。その後、さらに所定の加硫温度で加硫(架橋)させて形成される。巾方向への膜厚を変化させるには、ノズルの吐出量、ノズル金型間の距離を変化させるか、もしくは金型の回転速度を変えることにより作製することができる。
表層表面への表面処理方法として球形樹脂微粒子を塗布した場合に関して述べる。積層ベルトは、その後引き続いて球形樹脂微粒子を表層12上へ塗布することで球形樹脂微粒子1凹凸形状を形成させて所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。球状粒子層の形成方法としては、図3に示すように、粉体供給装置105と押し当て部材103を設置し、回転させながら粉体供給装置105から球形樹脂微粒子を表面に均一にまぶし、表面にまぶされた球形樹脂微粒子を押し当て部材103により加熱しながら一定圧力にて押し当てる。この押し当て部材103により、樹脂層へ粒子を埋設させつつ、余剰な粒子を取り除く。本発明では、特に単分散の球形樹脂微粒子を用いるために、このような押し当て部材でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を形成することが可能である。埋没率の調整は、ここでの押し当て部材の押し当て時間の長さにより調整する。
粒子の表層中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかも知れないが、例えば、押し当て部材(103)の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。例えば、流延塗工液の粘度、固形分、溶剤の使用量、粒子材質等にも依るが、目安として、流延塗工液の粘度100〜100000mPa・sにおいて、押圧力を、1mN/cm〜1000mN/cmの範囲とすることにより、前記50%〜100%の埋没率を比較的容易に達成することができる。
球形樹脂微粒子を均一に表面に並べたのち、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ粒子を埋設させたベルトを形成する。
凹凸形状を形成したベルト表面への表面処理方法に関して述べる。コーティング方法としては、やスプレーコーティング法やディッピング法、スピンコート法のほか、基層や表層を形成したときと同様、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法等が適用できる。溶液粘度が比較的低という理由やその簡便性から、スプレーコーティング法が優れている。ベルト上に塗工されたコーティング料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。この乾燥過程でも、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。
充分に冷却後、金型から基層ごと脱離させ、シームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。
球形樹脂微粒子13への表面処理方法に関して述べる。球形樹脂微粒子13を分散させた有機溶媒の中に、表面処理剤を加え一定時間加熱撹拌させたのちに、微粒子のみ濾過する。未反応物を取り除くために、有機溶媒で洗浄し、加熱乾燥を行う。
改質した球形樹脂微粒子を上記の方法にて同様に積層ベルトの表面にまぶし、粉体供給装置105と押し当て部材103を用いて樹脂層へ均一に埋没させていく。球形樹脂微粒子を均一に表面に並べたのち、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ粒子を埋設させたベルトを形成する。
前記中間転写ベルトにおける球形樹脂微粒子の埋没率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、測定することができる。
本発明の画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
この場合、前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなるものが好ましい。
図4に示すベルト部材を含む中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、2次転写ユニット600の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブラシ504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
このベルト部材である中間転写ベルト501は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
図4において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と2次転写バイアスローラ605によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
図5は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK、21Y、21M、21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層を作製した。
「基層用塗工液の調製」
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
次に、外径500mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。
続いて、基層用塗工液Aをパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
その後、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4mmとして塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分加熱、 さらに昇温して200℃で30分加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、膜厚30μmのポリイミド基層ベルトを得た。
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面に有機溶剤(MEK:メチルエチルケトン)に濃度40[wt%]になるように溶解されたフッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)を円筒状支持体を回転させながら表層に螺旋状に塗工した。塗布量としては中央部の最終的な膜厚が60μmになるようにした。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。
乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、図3の装置を用いて、球形樹脂微粒子として、シリコーン球形樹脂微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をまんべんなく表面にまぶした。ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて樹脂層に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理した。
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面にフッ素系有機溶剤ハイロドフルオロエーテル(Novec HFE−7200:住友スリーエム株式会社)に溶かしたフッ素系シランカップリング剤(Dow Corning 2634 Coating:東レダウコーティング株式会社製)を、円筒状支持体を回転させながら表層にスプレー塗工した。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で50℃まで昇温して60分加熱した。十分冷却後室温で12時間乾燥させたのちに、金型から取り外し中間転写ベルトAを得た。このとき、シリコーン微粒子の投影面積率は75%であった。
実施例1の「凹凸形状の作製・コーティング材料の塗布」を以下とする他は同とし、中間転写ベルトBを得た。このときの粒子の投影面積率は73%であった。
フッ素系シランカップリング剤(Dow Corning 2634 Coating:東レダウコーティング株式会社製)を溶解させたフッ素系有機溶剤ハイロドフルオロエーテル(Novec HFE−7200:住友スリーエム株式会社)の中に球形樹脂微粒子としてシリコーン微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を撹拌し分散させたのちに、粒子のみ濾過し50℃まで昇温して60分間加熱処理した。その後メタノールで洗浄後6時間自然乾燥を行った。
乾燥機から取り出して冷却したベルトの表面に、図3の装置を用いて、改質したシリコーン微粒子をまんべんなく表面にまぶした。ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて樹脂層に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理して中間転写ベルトBを得た。
施例2における「表層の作製」を以下とする他は同じとし中間転写ベルトCを得た。このとき粒子の投影面積率は80%であった。
下記に示す各成分を同記載に示す割合で配合し混練することでゴム組成物を作成した。
ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズステアリン酸つばき)・・・・・1重量部
赤リン(燐化学工業株式会社製 ノーバエクセル140F)・・・・・・・10重量部
水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 ハイジライトH42M)・・・40重量部 架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製 Diak.No1(ヘキサ
メチレンジアミンカーバメイト)・・・・・・・・・・・・・・・・・0.6重量部 架橋促進剤(Safic alcan社製 VULCOFAC ACT55(70%1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)
ウンデセン-7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ))・・・・0.6重量部 導電剤(日本カーリット株式会社製 QAP-01(過塩素酸テトラブチル
アンモニウム))・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3重量部
実施例3のベルトの処理において、球形樹脂微粒子にシリコーン微粒子(X−52−854(体積平均粒子系0.8μm品);信越化学)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトDを得た。この時粒子の投影面積率は85%であった。
実施例3のベルトの処理において、球形樹脂微粒子にシリコーン微粒子(トスパール2000B(体積平均粒子系6.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトEを得た。このとき、粒子の投影面積率は70%であった。
実施例5の球形樹脂微粒子として用いたシリコーン微粒子の投影面積率を51%になるように変更した他は実施例3と同様にして、中間転写ベルトFを得た。
実施例1のベルト表面の処理において、フッ素系シランカップリングで改質していないこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトGを得た。このとき、粒子の投影面積率は73%であった。
実施例3の球形樹脂微粒子表面において、フッ素系シランカップリングで改質していないこと以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトHを得た。このとき粒子の投影面積率は71%であった。
実施例3の球形樹脂微粒子表面において、フッ素系シランカップリングではなく、脂肪族系のシランカップリング剤であるヘキシルトリメトキシシラン(KBM3063:信越シリコーン製) で改質した以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトIを得た。このとき粒子の投影面積率は78%であった。
実施例3の球形樹脂微粒子表面において、フッ素系シランカップリングではなく、フッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)で事前コーティングした以外は実施例3と同様にして、中間転写ベルトJを得た。このとき粒子の投影面積率は81%であった。
実施例3の「球形樹脂微粒子表面の改質」 「ポリイミド基層ベルトへの弾性層の作製」 「凹凸形状の作製」の代わりに以下の作業を実施する他は、実施例3と同様にし中間転写ベルトIを得た。
下記に示す各成分を同記載に示す割合で配合し混練することでゴム組成物を作成した。
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社/NipolAR12)・・・・・・・・・100重量部 シリコーン微粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製
トスパール120)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10重量部 ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズステアリン酸つばき ・・・・・・1重量部 赤リン(燐化学工業株式会社製 ノーバエクセル140F)・・・・・・・10重量部 水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 ハイジライトH42M)・・・40重量部 架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製 Diak.No1
(ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)・・・・・・・・・・・・・0.6重量部 架橋促進剤(Safic alcan社製 VULCOFAC ACT55(70%1,8-ジアザビシクロ(5,4,0) ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ))・・・0.6重量部 導電剤(日本カーリット株式会社製 QAP-01(過塩素酸テトラ
ブチルアンモニウム))・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3重量部
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面にフッ素系有機溶剤ハイロドフルオロエーテル(Novec HFE−7200:住友スリーエム株式会社)に溶かしたフッ素系シランカップリング剤(Dow Corning 2634 Coating:東レダウコーティング株式会社製)を、円筒状支持体を回転させながら表層にスプレー塗工した。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で50℃まで昇温して60分加熱した。十分冷却後室温で12時間乾燥させたのちに、金型から取り外し中間転写ベルトKを得た。このとき粒子の投影面積率は8%であった。
転写紙として、凹凸紙(連量175kg紙レザック紙)を用い、これに、青色のベタ画像を出力する操作を実施し、紙に転写する前の中間転写ベルト上の画像トナー量と紙に転写した後に中間転写ベルト上に残ったトナー量を計測し、転写率を算出した。
テストチャートを連続25万枚連続画像出力する前の初期と、転写した後で、上記数1の方法に従い、転写率を測定した。判定は◎が転写率95-100%、○が転写率95-90%、×が転写率90%以下とした。
テストチャートを連続25万枚連続画像出力した後、普通紙(TYPE 6200)の画像品質(ブラックのトナーによる全面ハーフトーン)を目視によって判定した。判定は◎が画質にムラなし、○がムラが見られるが使用可能レベル、×は使用不可とした。
結果を表1に示す。
11 基層
12 表層
13 球形樹脂微粒子
14 フッ素系シランカップリング剤
(図3の符号)
101 金型ドラム
102 基層と表層を塗布したベルト
103 押し当て部材
104 球形樹脂微粒子
105 粉体塗布装置
(図4の符号)
P 転写紙
L レーザー光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 シール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブラシ
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図5の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
Claims (6)
- 像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する手段と、前記中間転写体上の一次転写された画像を転写材に二次転写する手段と、を有している電子写真用の中間転写ベルトにおいて、
該中間転写ベルトは少なくとも内側から基層と表層を有し、
該表層が、弾性層であり、
該表層は球形樹脂微粒子による凹凸形状を備え、凹凸形状を備える該表層がフッ素系シランカップリング剤によって表面処理されたものであり、
該表層に存在する該球形樹脂微粒子の投影面積率が51%以上であることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。 - 前記球形樹脂微粒子があらかじめフッ素系シランカップリング剤によって処理されたものを用いて凹凸形状を形成した請求項1に記載の電子写真用中間転写ベルト。
- 前記球形樹脂微粒子の体積平均粒径が1.0μm〜5.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の電子写真用中間転写ベルト。
- 前記電子写真用中間転写ベルトにおいて、前記弾性層に存在する前記球形樹脂微粒子の投影面積率が、前記電子写真用中間転写ベルト表面に対して60%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用中間転写ベルト。
- 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された前記潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持された前記トナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、前記中間転写ベルトが請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
- 画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなる請求項5に記載の画像形成装置。
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