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JP2014002203A - 画像形成装置 - Google Patents

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健一 増子
Atsushi Aoto
淳 青戸
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】長期にわたってベルト幅方向端部の弾性層が摩耗するのを抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】基層11上に弾性層12が積層されたベルト部材31と、ベルト部材の表面またはベルト部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成手段18と、ベルト部材の幅方向両端部の表面に当接させて設けられた当接部材32とを備えた画像形成装置において、当接部材の23[℃]50[%]RH環境下におけるタイプCデュロメータ硬度が30以下の範囲内である。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
ベルト部材である中間転写ベルトを使用した画像形成装置は、カラー画像情報や多色画像情報の複数の色成分画像を順次積層転写してカラープリントを出力するカラー画像形成装置あるいは多色画像形成装置として有用である。この種の画像形成装置としては、従来、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂などの樹脂で形成した中間転写ベルトを使用した画像形成装置が多く提供されてきた。
しかし、樹脂で形成された中間転写ベルトは一般に硬度が高い。このため、例えば、像担持体としての感光体から中間転写ベルトへのトナー画像の一次転写工程、及び、中間転写ベルトから記録媒体へのトナー画像の二次転写工程において、トナー画像(特に文字の中央部)が応力集中を受けて、いわゆる文字の中抜け現象といわれる転写不良が発生し易くなる。
上述の文字の中抜け現象を改善する方法の一つとして、中間転写ベルト表面の弾性化が提案されている。つまり、中間転写ベルトの表面が弾性化されることにより、トナー画像の厚みに対応して中間転写ベルトの表面が自在に変形されるので、トナー画像に対する応力集中が低減され前記転写不良が改善される。したがって、このような転写不良を解消するために、中間転写ベルトとして基材上にゴムなどの柔軟な素材からなる弾性層を形成させたものが用いられている(特許文献1、2など)。
中間転写ベルト上においては、トナー像転写後の中間転写ベルト上に残留トナーを除去するクリーニング部材や、中間転写ベルト表面の幅方向両端部に当接してクリーニング時にトナーが飛散しないようにするシール部材が設置されている(特許文献3、4など)。ところが、中間転写ベルトの表面を形成する弾性層は耐摩耗性に劣るため、弾性層とシール部材とが摺擦し合うことにより弾性層が摩耗してしまうという問題があった。このように弾性層が摩耗すると、摩耗した弾性層の削れた弾性材料成分が感光体等に接触し白抜け画像を引き起こしてしまう。また、ベルト幅方向端部が削れることで、シール部材と中間転写ベルトとの接触状態が変動して中間転写ベルトの走行が不安定となり、画像に歪みが発生してしまう。
特許文献5では、中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の弾性層を無くした中間転写ベルトが提案されている。これにより、前述したような弾性層とシール部材とが摺擦することで弾性層の摩耗に起因した不具合が生じ得ない。しかしながら、ベルト幅方向両端部の弾性層が無くなることによって、ベルト幅方向両端部の厚みが極端に薄くなるため、中間転写ベルト全体のバランスが悪くなり、中間転写ベルトの走行が不安定になる。また、中間転写ベルト上に残留したトナーを、バイアスが印加されたクリーニング部材で除去する構成では、ベルト幅方向両端部の弾性層が存在しない部分からバイアスがリークしてしまい、クリーニング不良が発生してしまう。
特許文献6では、ベルト幅方向両端部の弾性層上に両面テープなどの接着剤を用いて前記弾性層よりも耐摩耗性を有する補強部材を貼り付けて設けた中間転写ベルトが提案されている。これにより、ベルト幅方向両端部の弾性層上に貼り付けられた補強部材に、前述したクリーニング時にトナーが飛散しないようにするシール部材を当接させることによって、弾性層の摩耗を抑制できるとされている。
しかしながら、ベルト幅方向両端部の弾性層上に接着剤を用いて補強部材を貼り付けているため、長期間使用していると接着剤の劣化などが原因で補強部材が弾性層上から剥れてしまい、露出した弾性層とシール部材とが摺擦し合って弾性層が摩耗する虞がある。
これまで、中間転写ベルトにおいて生ずる問題について説明してきたが、感光体ベルトや記録材搬送ベルトなどの画像形成装置に用いられる他のベルト部材においても同様の問題が生じ得る。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、長期にわたってベルト幅方向端部の弾性層が摩耗するのを抑制できる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基層上に弾性層が積層されたベルト部材と、前記ベルト部材の表面または該ベルト部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成手段と、前記ベルト部材の幅方向両端部の表面に当接させて設けられた当接部材とを備えた画像形成装置において、前記当接部材の23[℃]50[%]RH環境下におけるタイプCデュロメータ硬度が30以下の範囲内であることを特徴とするものである。
本発明においては、ベルト幅方向両端部の弾性層表面に当接される当接部材の23[℃]50[%]RH環境下におけるタイプCデュロメータ硬度が30以下の範囲内であることで、後述する実験で明らかにしたように、長期にわたってベルト幅方向端部の弾性層が摩耗するのを抑制できる。
以上、本発明によれば、長期にわたってベルト幅方向端部の弾性層が摩耗するのを抑制できるという優れた効果がある。
本発明における中間転写体とクリーニングユニットの配置断面模式図。 実施形態に係る中間転写ベルトを備えた画像形成装置の一例を示す要部模式図。 実施形態に係る中間転写ベルトを備えた画像形成装置の他例を示し要部模式図 本発明における中間転写ベルトの層構成例の模式図。 本発明における中間転写ベルトの表面を真上から観察した拡大模式図。 粒子を複数層含む表面層を有する中間転写ベルトの断面の模式図。 基層及び弾性層を塗工するための装置の模式図。 球形樹脂粒子(粉体粒子)を塗布・固定化するための装置の模式図。 本発明における当接部材の層構成例の模式図。
図2は、本発明に係るベルト部材の製造方法により得られるシームレスベルトを中間転写体である中間転写ベルト501として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。
中間転写ユニット500は、複数のローラに回転可能に張架された中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、二次転写ユニット600の二次転写バイアスローラ605、ベルトクリーニングブレード504、潤滑剤塗布ブラシ505などが、中間転写ベルト501の外周面に対向するように配設されている。
また、位置検知用マークが中間転写ベルト501の外周面または内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード504の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがある。この場合には、位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている一次転写バイアスローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
中間転写ベルト501は、一次転写バイアスローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、二次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及び、フィードバック電流検知ローラ512によって回転可能に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、一次転写バイアスローラ507以外の各ローラは接地されている。一次転写バイアスローラ507には、定電流制御または定電圧制御された一次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト501は、図示しない駆動モータによって図中矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、図中矢印方向に駆動される。
このベルト部材である中間転写ベルト501は、基層上に弾性層が積層された多層構造となっており、中間転写ベルト表面移動方向でベルトに継ぎ目の無いシームレスベルトが好ましく用いられる。これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルト501は、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
二次転写手段である二次転写バイアスローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。二次転写バイアスローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に記録材である転写紙Pを挟持するように配設されている。また、定電流制御される二次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが、二次転写バイアスローラ605に印加されている。
レジストローラ対610は、二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と二次転写バイアスローラ605との間に、所定のタイミングで転写紙Pを送り込む。また、二次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。クリーニングブレード608は、二次転写バイアスローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム200は、図示しない駆動モータによって矢印で示す図中反時計回り方向に回転される。そして、このように回転する感光体ドラム200上に、Bk(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のトナー像が順次形成される。
中間転写ベルト501は、ベルト駆動ローラ508によって矢印で示す図中時計回り方向に回転される。そして、このように中間転写ベルト501を回転させつつ、一次転写バイアスローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、感光体ドラム200上から中間転写ベルト501上に各色トナー像の一次転写が行われる。これにより、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト501上に各色トナー像が重ね合わせて形成される。
例えば、Bk(ブラック)のトナー像の形成は次のように行われる。
図2において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、現像装置231Bkの現像ローラ上の負帯電されたブラックトナーが接触することによりトナーが吸着し、Bk静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
このようにして感光体ドラム200上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に一次転写される。
この一次転写後の感光体ドラム200の表面に残留している未転写の残留トナーは、感光体ドラム200の次の画像形成に備えて、感光体クリーニング装置201で感光体ドラム200の表面から除去される。
そして、Bkトナー像を形成するBk画像形成工程の後に続いて、次にCトナー像を形成するC画像形成工程に進む。そして、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にC静電潜像を形成する。
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つ、C静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、現像装置231Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先の現像装置231Bkの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次の現像装置231Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。
なお、Mトナー像を形成するM画像形成工程及びYトナー像を形成するY画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk画像形成工程及びC画像形成工程と同様であるので説明は省略する。
このようにして感光体ドラム200上に順次形成されたBk、C、M、Yの各色トナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて一次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセットまたは手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ対610のニップで待機している。
画像形成装置内には、二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と二次転写バイアスローラ605とによりニップが形成された二次転写部が設けられている。そして、中間転写ベルト501上のトナー像の先端が二次転写部にさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するよう、レジストローラ対610を駆動させる。これにより、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
このようにして、転写紙Pが二次転写部を通過すると、二次転写電源802によって二次転写バイアスローラ605に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(二次転写)される。この転写紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、二次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電される。その後、ベルト搬送装置210により定着装置270に向けて転写紙Pが搬送される。そして、この転写紙Pは、定着装置270の加熱ローラ271と加圧ローラ272とのニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。
一方、中間転写ベルト501にトナー像を転写した後の感光体ドラム200の表面は、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、除電ランプ202で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を二次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニング装置503に設けられ一端側を中間転写ベルト表面に接触させたベルトクリーニングブレード504により除去される。ベルトクリーニングブレード504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
また、ベルトクリーニング装置503には中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の表面に当接させてトナーシール部材502が設けられている。このトナーシール部材502によって、ベルトクリーニングブレード504によるクリーニング時にトナーがベルトクリーニング装置503の内側から外側に出て、転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを抑制している。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、中間転写ベルト501のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、潤滑剤塗布ブラシ505及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム200への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面のベルトクリーニングブレード504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が一次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。
以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像装置のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード504を中間転写ベルト501に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
これまで、感光体ドラムを一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図3の要部模式図に一構成例を示すような、複数の感光体ドラム21をシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルト22に沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図3は、4つの異なる色であるブラック(Bk)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21Bk,21Y,21M,21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図3において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部17Bk,17M,17Y,17C、画像形成部18Bk,18M,18Y,18C、給紙部19、などを有している。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用のブラック、マゼンタ、イエロー、シアンの各色信号に変換し、画像書込部17に送信する。画像書込部17は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系である。また、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部18Bk,18M,18Y,18Cの各色毎に設けられた像坦持体である感光体ドラム21Bk,21M,21Y,21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部18Bk,18M,18Y,18Cはブラック(Bk)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cとしては、通常OPC感光体が用いられる。
各感光体ドラム21Bk,21M,21Y,21Cの周囲には、帯電装置9、画像書込部17からのレーザ光の露光部、現像装置20、一次転写バイアスローラ23、クリーニング装置8、及び、除電装置(不図示)等が配設されている。なお、各現像装置20Bk、20M、20Y、20Cには、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いた2成分磁気ブラシ現像方式を採用している。
各感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cと、各一次転写バイアスローラ23Bk、23M、23Y、23Cとの間には、中間転写体である中間転写ベルト22が介在している。この中間転写ベルト22上には、各感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21C上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙Pは、給紙部19から給紙された後、レジストローラ対16を介して転写搬送ベルト50の表面に担持される。そして、転写搬送ベルト50により転写紙Pを搬送し、転写搬送ベルト50の表面に担持された転写紙Pと中間転写ベルと22とを接触させて、二次転写バイアスローラ60により中間転写ベルト22上の各色のトナー像が転写紙Pに二次転写される。これにより、中間転写ベルト22上の各色のトナー像が転写紙P上に一括転写されカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写紙P上のカラー画像が転写紙Pに定着された後、転写紙Pがプリンタ本体外に排出される。
なお、上記二次転写時に転写されずに中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、中間転写ベルト表面に一端側が接触するベルトクリーニングブレード25を備えたベルトクリーニング装置29によって中間転写ベルト22から除去される。ベルトクリーニングブレード25よりも中間転写ベルト表面移動方向下流側には、潤滑剤塗布装置27が配設されている。この潤滑剤塗布装置27は、固形潤滑剤27bと、中間転写ベルト22及び固形潤滑剤27bに摺擦して固形潤滑剤27bを塗布する回転可能に設けられた導電性ブラシ27aとで構成されている。導電性ブラシ27aは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤27bを塗布している。固形潤滑剤27bは、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
また、中間転写ベルト表面のベルト幅方向両端部にトナーシール部材28を接触させて設置し、ベルトクリーニングブレード25によるクリーニング時にトナーがベルトクリーニング装置29の内側から外側に飛散しないようにしている。
画像形成装置においてはいくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、電気的特性を要求される重要な部材の一つとして中間転写体(中間転写ベルト)がある。以下、本発明の画像形成装置に用いられる中間転写ベルトについて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図4には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。ただし、この構成に限定されるものではない。構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層11の上に柔軟な弾性層12が積層されており、この弾性層12の最表面には球形樹脂粒子13が弾性層上に面方向に独立して配列(埋没)され、一様な凹凸形状を形成している。
<基層11>
まず、基層11について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)などのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましい。また、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
本実施形態におけるポリイミド、ポリアミドイミドとしては、東レデュポン、宇部興産、新日本理化、JSR、ユニチカ、アイ・エス・ティー、日立化成工業、東洋紡績、荒川化学等のメーカーからの一般汎用品を入手し使用することができる。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。なお、本実施形態における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本実施形態の中間転写ベルトの製造方法においては、塗工液には樹脂成分を含み、必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などを含有してもよい。
中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに含有される電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×10[Ω/□]〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10[Ω・cm]〜1×1012[Ω・cm]となる量とされる。しかしながら、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いることが好ましい。
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10[wt%]〜25[wt%]、好ましくは15[wt%]〜20[wt%]である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1[wt%]〜50[wt%]、好ましくは10[wt%]〜30[wt%]である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと効果が十分に得られず、また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルト(シームレスベルト)の機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
基層11の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30[μm]〜150[μm]が好ましく、40[μm]〜120[μm]がより好ましく、50[μm]〜80[μm]が特に好ましい。基層11の厚みが、30[μm]未満であると、亀裂によりベルトが裂けやすくなり、150[μm]を超えると、曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、基層11の厚みが前記特に好ましい範囲であると耐久性の点で、有利である。基層11に関しては、走行安定性を高めるために、膜厚ムラはなるべく無くすことが好ましい。
基層11の厚みを調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
<弾性層12>
次に、上記基層11上に積層する弾性体からなる弾性層12について説明する。弾性層12は、基層11上に積層されてなり、後述する球形樹脂粒子13を含有し、表面に凹凸形状が形成されてなる。より詳しくは、弾性層12は、弾性体が基層11上に積層され、さらに、当該弾性層12の表面における面方向に球形樹脂粒子13が配列されてなる。
弾性体を構成する材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどの材料を使用することが可能だが、本発明の効果を十分に発現するに十分な柔軟性(弾性)を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのが良い。
エラストマー材料としては、熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系、フッ素系共重合体系等が挙げられる。また、熱硬化性として、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。
また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
上記各種エラストマー、ゴムの中から、性能が得られる材料を適宜選択する。特に、転写媒体(転写材)である紙の表面性状に凹凸のあるレザック紙のような紙の表面状態に追従させるためにはできるだけ柔らかいものを選択する方が好ましい。
本実施形態においては、この材料の表面に球形樹脂粒子層を形成する上で、熱可塑性のものよりも熱硬化性のものの方が好ましい。熱硬化性のものの方が、その硬化反応に寄与する官能基の効果により球形樹脂粒子13との密着性に優れ確実に固定化することが可能である。加硫ゴムも同様に好ましい。
本実施形態においては、耐オゾン性、柔軟性、球形樹脂粒子13との接着性、難燃性付与、耐環境安定性の面からアクリルゴムが最も好ましい。以下、アクリルゴムについて説明する。
本実施形態のゴム弾性層であるアクリルゴムは現在上市されているもので良く、特に限定されるものではない。しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系がゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性が優れているので、カルボキシル基架橋系を選択することが好ましい。
カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いる架橋剤は、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。
このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。一方、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
本実施形態のアクリルゴム弾性層においては、さらに架橋促進剤を配合して上記架橋剤に組み合わせて用いてもよい。架橋促進剤も限定はないが、前記多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤であることが好ましい。このような架橋促進剤としては、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。
弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
架橋促進剤の使用量は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。 架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
アクリルゴムは、加熱することにより架橋物とすることができる。加熱温度は、好ましくは130[℃]〜220[℃]、より好ましくは140[℃]〜200[℃]であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。
加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
上記選択した材料に、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、架橋促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行う。
さらに、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤としては、すでに前述した各種材料が適用できるが、カーボンブラックや金属酸化物などは柔軟性を損なうため、使用量を抑えることが好ましく、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。また、これらの併用でも構わない。
具体的には種々の過塩素酸塩やイオン性液体をゴム100部に対して0.01部〜3部添加するのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01部以下では抵抗率を下げる効果が得られず、3部以上の添加量ではベルト表面へ導電剤がブルーム又はブリードする可能性が高くなってしまう。当弾性層の抵抗値としては、表面抵抗で1×10〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10〜1×1012[Ω・cm]となる様に調整されることが好ましい。
また、昨今の電子写真装置で求められるような高い凹凸紙転写性を得るためには、弾性層12の柔軟性は23[℃]50[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度値が35以下であることが好ましい。
マルテンス硬度、ビッカース硬度など、いわゆる微小硬度での計測は、測定部位のバルク方向の浅い領域、すなわちごく表面近傍の硬度しか測定していなのでベルト全体としての変形性能は評価できない。そのため、例えば中間転写ベルト全体としての変形性能が低い構成のものに、最表面に柔軟な材料を持ってきた場合、微小硬度値は低くなってしまう。このようなベルトは変形性能が低い、すなわち凹凸紙への追従性が悪いので、結果として昨今求められる凹凸紙への転写性能が不十分なものとなってしまう。そのため、ベルト全体の変形性能が評価できるマイクロゴム硬度を測定することが好ましい。
弾性層12の膜厚としては、200[μm]〜2[mm]程度が好ましく、400[μm]〜1000[μm]がより好ましい。膜厚が薄いと、転写媒体の表面性状への追従性や転写圧力低減効果が低く好ましくない。厚すぎると、膜の重さが重くなりたわみやすくなり走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなったりするため好ましくない。なお、前記厚みの測定方法としては、断面を走査型顕微鏡(SEM)で観察することにより測定することができる。
<球形樹脂粒子13>
次に、この弾性層12の表面に形成する球形樹脂粒子13について説明する。球形樹脂粒子13とは、平均粒子径が100[μm]以下で真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶で3%熱分解温度が200[℃]以上である樹脂粒子のことをいう。
材料としては特に問わないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでも良い。ここで言う樹脂粒子の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球状粒子の表面に硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。また、中空であったり、多孔質であったりしても良い。
これらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐磨耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。これら樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本実施形態においては、真球に近いものほど好ましい。
球形樹脂粒子13は、体積平均粒径が1.0[μm]〜5.0[μm]であり、単分散粒子であることが望ましい。ここで言う単分散粒子とは、単一粒子径の粒子という意味ではなく、粒度分布が極めてシャープなもののことを指す。具体的には、±(平均粒径×0.5)[μm]以下の分布幅のもので良い。粒径が1.0[μm]未満の場合、粒子による転写性能の効果が十分に得られない。一方、5.0[μm]より大きいと、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。さらには、粒子は絶縁性が高いものが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する。
球形樹脂粒子13としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、シリコーン樹脂粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名「トスパール120」、商品名「トスパール145」、商品名「トスパール2000B」)、アクリル樹脂粒子(積水化成品工業、商品名「テクポリマーMBX−SS」)などが挙げられる。
このような球形樹脂粒子13は、弾性層12の上に粉体をそのまま直接塗布して、ならすことにより容易に均一に整列させることができる。なお、球形樹脂粒子13を弾性層表面に塗布するタイミングは特に限定されず、ゴムの架橋前、架橋後何れでも可能である。
<ベルトの表面状態>
次に、本実施形態におけるベルト表面状態について説明する。図5では、ベルトの表面を真上から観察した拡大模式図を示す。このように、均一な粒径の球形樹脂粒子13が独立して整然と配列する形態を採る。球形樹脂粒子同士の重なり合いは殆ど観測されない。この表面を構成する各粒子の樹脂層面における断面の径も均一なほうが好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)[μm]以下の分布幅となることが好ましい。これを形成するためにできるだけ粒径の揃った粒子を用いることが好ましいが、これを用いなくてもある粒径のものが選択的に表面に形成できる方法により表面を形成して前記粒径分布幅となる構成としても良い。
弾性層12の露出部分と球形樹脂粒子13の露出部分の投影面積比については、球形樹脂粒子13の露出部分の投影面積率が60[%]以上とすることが好ましい。60[%]に満たない場合、球形樹脂粒子13で覆われずに弾性層12が露出する領域が大きくなり、トナーと弾性層12が接触し良好なトナー転写性が得られないほか、残トナークリーニング性や耐フィルミング性が著しく低下する。
本実施形態においては、球形樹脂粒子13は弾性層12中へ一部埋設された形態を取るが、その埋没率は、50[%]を超え、100[%]に満たないものが好ましく、51[%]〜90[%]であることが、より好ましい。50[%]以下では、画像形成装置での長期使用において粒子の脱離が起きやすく、耐久性に劣る。一方、100[%]では、粒子による転写性への効果が低減し好ましくない。
埋没率とは、球形樹脂粒子13の深さ方向の径の弾性層12に埋没している率のことである。なお、ここで言う埋没率は、すべての球形樹脂粒子13が50[%]を超え100[%]に満たないという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表わしたときの数値が50[%]を超え100[%]に満たなければ良い。しかし、埋没率50[%]のときは、電子顕微鏡による断面観測において、弾性層中へ完全埋没している球形樹脂粒子13が殆ど観測されない。例えば、弾性層中に完全に埋没している球形樹脂粒子13の個数%は球形樹脂粒子全体のうち5[%]以下である。
また、球形樹脂粒子13は、弾性層12の表面における面方向に配列されてなり、さらにこの粒子は、弾性層に対して、厚み方向に単一層で形成される方が好ましい。図6のように、厚み方向に複数の粒子を含むような構成では、粒子の含有される分布がむらになり粒子の有する電気抵抗値の影響により、ベルト表面の電気特性が不均一となり画像乱れを生じる。具体的には、粒子が多く存在する部分での電気抵抗値が高くなり、ここに残留電荷による表面電位が発生し、ベルト表面において表面電位のばらつきが発生し、隣接した部分での画像濃度に差が生じる等による画像乱れが顕在化する。
<中間転写ベルトの製造方法>
次に、本実施形態で用いられる中間転写ベルトを作製する方法について一例を説明する。
まず、中間転写ベルトの基材である基層11の作製方法について説明する。
ここでは、少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層11を製造する方法について説明する。
ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂製の基体である基層11は、円筒状支持体(型)表面に前記前駆体液をノズルやディスペンサーによる螺旋塗工、または広幅のダイによるダイ塗工、または塗布ロールを用いたロール塗工などにより塗工することができる。ここでは、ロール塗工について説明する。図7に示すような装置により塗工できる。符号140は塗料141である脱泡した前駆体液を貯留するための塗料パンである。符号142は塗料パン140から塗料141を連続的に汲み上げるための塗布ローラである。符号143は連続的に汲み上げられた塗料141の厚みを塗布ローラ142との隙間で調節して所定塗料厚みにするための規制ローラである。符号39は所定厚みにした塗料(塗膜)41を塗布ローラ142から転移させて付着させるための円筒状支持体(金型)である。
上記製造装置に、先ず予め十分に脱泡された前駆体液である塗料141を塗料パン140に流し込む。塗料粘度は、前記した有機極性溶媒により、0.5[Pa・s]〜10[Pa・s]に調整しておくことが望ましい。次いで、塗布ローラ142の下部に塗料141を流し込んだ塗料パン140を近づけ塗料中に浸漬し、10[mm/sec]〜100[mm/sec]のゆっくりとした周速度で塗布ローラ表面に塗料141を付着させ上方に汲み上げていく。その後、塗布ローラ142の上方に設置され、塗布ローラ142と任意の隙間を調整することができる規制ローラ143により、塗布ローラ142上の塗料厚みを調整する。規制する塗料厚みとしては、円筒状支持体39へ転写する塗料厚みの2倍量程度が好ましい。
次に塗布ローラ142に円筒状支持体39をゆっくり回転させながら、塗布ローラ142の塗料厚み以下まで近づける。塗布ローラ142上の塗料141は、塗布ローラ142と同方向(図7に示す方向では「時計回り方向」)に回転する円筒状支持体39上に、塗布ローラ142からの塗料141が転移され、円筒状支持体39上に所定膜厚の塗料141が付着される。
塗布後、円筒状支持体39を回転させつつ徐々に昇温させながら、約80[℃]〜150[℃]の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移す。そして、段階的に昇温し、最終的に250[℃]〜450[℃]程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行い、基層11を作製する。
そして、基層11を十分に冷却後、引き続き、弾性層12を基層11上に積層する。弾性層12は、ゴムを有機溶剤に溶解させたゴム塗料を用い、基層11上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層11と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法が適用できる。凹凸転写性を良くする為には弾性層12の厚みを厚くすることが必要であり、厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、及び螺旋塗工が優れている。ここでは、螺旋塗工について説明する。基層11を周方向に回転させながら、丸型、又は広幅のノズルによりゴム塗料を連続的に供給しながら、ノズルを基層11の軸方向に移動させて、基層11上に塗料を螺旋状に塗工する。基層11上に螺旋状に塗工された塗料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。
そして、十分にレベリングしたところで、図8に示すように、粉体供給装置35と押し当て部材133とを設置し、回転させながら粉体供給装置35から球形樹脂粒子13を表面に均一にまぶす。そして、表面にまぶされた球形樹脂粒子13を押し当て部材133により一定圧力にて押し当てる。この押し当て部材133により、円筒状支持体39により支持されてなる基層11と弾性層12とが塗布されてなるベルト131へ球形樹脂粒子13を埋設させつつ、余剰な球形樹脂粒子13を取り除く。本実施形態では、特に単分散の球形樹脂粒子13を用いるために、このような押し当て部材133でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を形成することが可能である。
球形樹脂粒子13の弾性層12中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかもしれないが、例えば、押し当て部材133の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。例えば、流延塗工液の粘度、樹脂分含量率、溶剤の使用量、樹脂材質等にもよるが、目安として、流延塗工液の粘度100[mPa・s]〜100000[mPa・s]において、押圧力を、10[mN/cm]〜1000[mN/cm]の範囲とすることにより、前述したような50[%]<埋没率<100[%]を比較的容易に達成することができる
均一な粒子層を形成後、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより硬化させ、球形樹脂粒子13を埋設させた弾性層12を形成する。充分に冷却後、円筒状支持体39からベルト131を脱離させ、所望のシームレスベルトとしての中間転写ベルトを得る。
前記中間転写ベルトにおける球形樹脂粒子13の埋没率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、測定することができる。
また、中間転写ベルトにおける球形樹脂粒子13の露出部分の投影面積率を測定する方法についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、中間転写ベルトの表面を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、その画像を画像処理ソフト(Image−proplus;cyber netics社)を用いて画像を2値化する。そして、弾性層12の露出部分と球形樹脂粒子13の露出部分の投影面積率を算出する方法などが挙げられる。
こうして作製された中間転写ベルトの抵抗は、カーボンブラック、イオン導電剤の量を可変することにより調整される。この際、粒子の大きさや占有面積率によって抵抗が変わりやすいので注意する。抵抗の測定は市販の計測器を使用できるが、たとえばダイアインスツルメンツ社のハイレスタを使用することにより測定することができる。
前述の方法により製造されたシームレスベルトは、いわゆる中間転写方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルトとして好適に用いられ、高画質画像形成な画像形成装置を構成することができる。
これまで、中間転写ベルトについて説明してきたが、ベルト状の像担持体である感光体ベルトや、記録材搬送ベルトのように、画像形成装置に用いられる他のベルト部材においても、上述したような中間転写ベルトに適用した構成を適宜採用することができる。これにより、これら画像形成装置に用いられる他のベルト部材においても、上述したのと同様の効果を得ることが可能となる。
<当接部材>
次に、中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の表面に当接させて用いられる当接部材について説明する。画像形成装置内において、中間転写ベルトのベルト幅方向端部の表面には、トナー飛散防止の目的で用いられるトナーシール部材や、中間転写ベルトの端部反りを抑えるための反り抑え部材など、様々な目的で当接部材が当接される。
図1は、中間転写ベルト31のベルト幅方向両端部の表面に当接させて設けられた当接部材であるトナーシール部材32を備えたクリーニングユニット34の模式図である。なお、図1に示したクリーニングユニット34は、図2や図3に示した各画像形成装置のベルトクリーニング装置503やベルトクリーニング装置29などに適宜適用可能なものである。
クリーニングユニット34の筐体には、中間転写ベルト31の表面に付着したトナーなどの付着物を除去して中間転写ベルト31の表面を清掃する清掃部材33と、清掃部材33よりもベルト幅方向外側に設けられたトナーシール部材32とが取り付けられている。なお、清掃部材33としては、クリーニングブレードやクリーニングブラシなど公知のものを適宜用いることができる。
トナーシール部材32は、中間転写ベルト31のベルト幅方向両端部の表面に当接している。これにより、清掃部材33によって中間転写ベルト31の表面の清掃を行ったときに、清掃部材33によって取り除かれた付着物が、清掃部材33と中間転写ベルト31との隙間から漏れ出るのを抑制することができる。また、本実施形態においては、クリーニングユニット34にベルト幅方向両端部に設けられたトナーシール部材32が、中間転写ベルト31の端部反りを抑えるための反り抑え部材としても機能している。
一方、前述の通り、凹凸紙への高い転写性能を得るためには、中間転写ベルトの弾性層の変形性能が高い、即ちマイクロゴム硬度が低い方が有利である。しかしながら、中間転写ベルトの弾性層の変形性能が高い、即ちマイクロゴム硬度が低いと、中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の表面に当接させたトナーシール部材32との摺擦によって、中間転写ベルトのベルト幅方向両端部が摩耗したり、削れたりしやすくなる。
そこで、本願発明者らは鋭意検討を行った結果、トナーシール部材32の23[℃]50[%]RH環境下におけるタイプCデュロメータ硬度が30以下の範囲内とすることによって、次のことを見出した。すなわち、トナーシール部材32と中間転写ベルト31とが長時間にわたって摺擦された場合においても、中間転写ベルト31のベルト幅方向両端部の摩耗が発生しない、または、大幅に低減されることを見出した。
このメカニズムについて、詳細は明らかになっていないが、硬度が低く柔らかい当接部材を用いることによって、当接部材が当接する中間転写ベルトにかかる負荷が低減されるためであると考えられる。
本実施形態におけるトナーシール部材32などの当接部材の構成については、図9に示すような、樹脂繊維がシート上に植毛されてなる植毛表層41と、スポンジなどの発泡体からなる発泡体層42が積層されてなる構成であることが好ましい。植毛表層41によって、当接する中間転写ベルトとの摺動性が得られる。また、当接部材をトナーシール部材32として用いる場合、植毛表層41によってより優れたトナーシール性が得られる。発泡体層42によって、当接される中間転写ベルトにかかる負荷を十分に低減するための柔軟性が得られる。
植毛表層41の樹脂繊維としては、公知の各種樹脂繊維材料が適宜用いられ、例えば、ナイロン、レーヨン、ポリウレタン、アクリル、ポリオレフィン。PPS、PTFE、Mアラミド、PETなどが挙げられる。また、当接する中間転写ベルトとの摺動性を向上させる等の目的で、フッ素系処理、シリコーン系処理などを施しても良い。
発泡体層42の発泡体としては、本実施形態に必要な十分な柔軟性(タイプCデュロメータ硬度が30以下)が得られるものを適宜用いる。例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フォーム、ポリ塩化ビニル(PVC)フォーム、クロロプレンゴムフォーム、ニトリルゴムフォーム、アクリルゴムフォーム、EPDMゴムフォームなどが挙げられる。
当接部材の厚みについては、発泡体層42の厚みが0.5[mm]以上、30.0[mm]以下の範囲であることが好ましく、1.0[mm]以上、10.0[mm]以下の範囲であることがより好ましい。発泡体層の厚みが小さすぎると、発泡体そのものが十分な柔軟性を備えていたとしても、発泡体が中間転写体との当接による負荷を吸収しきれず、当接部材を貼り付けた筐体の硬さの影響を受けてしまう。そのため、本実施形態において期待される効果が、十分に得られなくなる。また、発泡体層の厚みが大きすぎると、画像形成装置全体の小型化に適さない、コストアップに繋がる等の不具合がある。
当接部材硬度の測定方法については、日本工業標準JIS K 7312に記載のデュロメータ硬さ試験(タイプCデュロメータ試験)準拠した方法で測定する。特に、本実施形態における当接部材については、厚みが10[mm]以下のものが好適に用いられるため、全体の厚みが10[mm]を越えるまで当接部材を複数枚重ねた状態で硬度測定を行う。
[実験]
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
<中間転写ベルト>
各実施例及び各比較例にて用いる中間転写ベルトA〜Eを下記により作成した。
[中間転写ベルトA]
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層を製造した。
<基層用塗工液の調製>
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17[重量%]になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
<シームレスベルトの製造>
次に、外径340[mm]、長さ360[mm]の外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。
次に、基層用塗工液をパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40[mm/sec]で塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6[mm]として、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
円筒状支持体の回転速度を35[mm/sec]に制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4[mm]として塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した。その後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110[℃]まで徐々に昇温して30分加熱、さらに昇温して200[℃]で30分加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320[℃]まで昇温して60分加熱処理(焼成)し、膜厚80[μm]の基層を形成した。
<基層上への弾性層の作製>
下記に示す各構成材料を混合し、2軸混練機を用いて、十分に混練することでゴム組成物を作成した。
<弾性層構成材料>
・アクリルゴム ニポールAR12(日本ゼオン株式会社):100重量部
・ステアリン酸 ビーズステアリン酸つばき(日油株式会社):1重量部
・赤リン ノーバエクセル140F(燐化学工業株式会社):10重量部
・水酸化アルミニウム ハイジライトH42M(昭和電工株式会社):50重量部
・架橋剤 Diak.No1(ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)
(デュポン ダウ エラストマージャパン):0.6重量部
・架橋促進剤 VULCOFAC ACT55
(70[%] 1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30[%] アモルファスシリカ)(Safic alca社):1重量部
・導電剤 QAP−01(過塩素酸テトラブチルアンモニウム)
(日本カーリット株式会社):0.3重量部
次いで、このようにして得られたゴム組成物を有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分35[wt%]のゴム溶液を作製した。この作製したゴム溶液を先に作製したポリイミド基層が形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層上に、ノズルよりゴム塗料を連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては最終的な膜厚が600[μm]になるような液量の条件とした。
次いで、図7の装置を用いて、球形樹脂粒子として、シリコーン樹脂粒子(トスパール120(体積平均粒子径2.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をまんべんなく表面にまぶした。そして、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を押し当てて弾性層に固定化した。このとき、押し付け部材の押圧力は100[mN/cm]とした。
ベルト表面全面の処理を終えた後、ゴム塗料が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4[℃/分]で170[℃]まで昇温して60分加熱処理した。加熱を停止した後、常温まで徐冷した上で金型から取り外し、中間転写ベルトAを作製した。
[中間転写ベルトB]
中間転写ベルトAにおける弾性層構成材料を以下のように変更して、中間転写ベルトBを作製した。
<弾性層構成材料>
・水素化ニトリルゴム ゼットポール2020L(日本ゼオン株式会社):100重量部
・ステアリン酸 ビーズステアリン酸つばき(日油株式会社):1重量部
・硫黄 200mesh硫黄(鶴見化学工業株式会):1重量部
・酸化亜鉛 亜鉛華2種(正同化学工業):5重量部
・加硫促進剤 ノクセラーTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)
(大内新興化学工業株式会社):0.5重量部
・赤リン ノーバエクセル140F(燐化学工業株式会社):10重量部
・水酸化アルミニウム ハイジライトH42M(昭和電工株式会社):40重量部
[中間転写ベルトC]
中間転写ベルトAにおける弾性層構成材料および弾性層塗布液製造工程を以下のように替えて、中間転写ベルトCを作成した。
まず、DIC社製ウレタン樹脂(ウレハイパー)の主剤RUP−1627(ブロック型イソシアネート)100部に対して、実施例記載の水酸化アルミニウム70部及び赤リン20部を添加した。そして、粘度調整用の溶媒としてDMF(ジメチルホルムアミド)を20部加え、良く攪拌させて添加剤を分散させた。次いで、硬化剤CLH−5(アミン硬化剤)10部を添加し攪拌混合し、ウレタンゴム塗工液を作製した。
[中間転写ベルトD]
中間転写ベルトAにおいて、弾性層を形成しなかった他は同じとして、中間転写ベルトDを作成した。
<トナーシール部材(当接部材)>
各実施例及び各比較例にて用いるトナーシール部材a〜fを、下記のように作成した。
[トナーシール部材a]
発泡体として、エステル系ポリウレタンフォーム(SM−55;INOAC発泡品カンパニー)を用いて、厚み3.4[mm]の発泡体層とした。また、その発泡体層上に植毛樹脂として、フッ素系繊維(トヨフロン;東レ株式会社)を用いて植毛表層を形成し、トナーシール部材aを作成した。
[トナーシール部材b]
トナーシール部材aにおいて、植毛表層を形成しなかった他は同じとして、トナーシール部材bを作成した。
[トナーシール部材c]
トナーシール部材aにおいて、発泡体層の厚みを0.4[mm]とした他は同じとして、トナーシール部材cを作成した。
[トナーシール部材d]
トナーシール部材aにおいて、発泡体として、CRゴムフォーム(ラバペルカ(CR−250CN);三和化工株式会社)を用いて、厚み4.0[mm]の発泡体層とした他は同じとして、トナーシール部材dを作成した。
[トナーシール部材e]
トナーシール部材aにおいて、発泡体として、EPDMゴムフォーム(ラバペルカ(EP−130);三和化工株式会社)を用いて、厚み2.5[mm]の発泡体層とした他は同じとして、トナーシール部材eを作成した。
[トナーシール部材f]
トナーシール部材aにおいて、発泡体層を形成させず、厚み1.5[mm]のPET板上に植毛表層を形成させた他は同じとして、トナーシール部材fを作成した。
このように作成した中間転写ベルトA〜D、及び、トナーシール部材a〜fを、後で示す表1の組み合わせで、図3に示した画像形成装置に搭載し、実施例1〜7及び比較例1〜2とした。
各実施例及び各比較例の画像形成装置を用いて、凹凸紙(レザック260[kg]紙)の出力を行い、画像品質(シアン、マゼンタの2色ブルーベタのトナー転写性)を目視によるランク判定で行った。判定は「◎」は非常に良い、「○」は良い、「△」はやや劣るものの実用可能レベル、「×」は凹部の濃度が薄い、濃度ムラや白抜け、画像歪み等が発生し使用不可とした。その後、連続20万枚通紙を行い、同様の画像品質評価を行った。
また、連続20万枚通紙後のトナーシール性について評価を行った。判定は「◎」はトナー漏れがほとんど無く非常に良い、「△」は僅かなトナー漏れがあるものの実用可能レベル、「×」は激しいトナー漏れがあり使用不可とした。
さらに、連続20万枚通紙後の中間転写ベルト端部摩耗状態について目視によりランク判定を行った。判定は「◎」は初期とほぼ変化が無く非常に良い、「△」は僅かに摩耗があるものの実用可能レベル、「×」はベルト端部が激しく摩耗し使用不可とした。
各トナーシール部材の初期状態における23[℃]50[%]RH環境下のタイプCデュロメータ硬度を、JIS K7312に定められた方法によって測定した。測定には、デュロメータとして(株)テックロック製「JIS C型ゴム硬度計(GS−701N)」を用い、測定者による測定バラツキを防ぐため、スタンドとして(株)テックロック製「ゴム硬度計定荷重器(GS−710)」を用いた。
各トナーシール部材について、それぞれ厚みが10[mm]以上になるように重ねた上で測定を行った。具体的には、トナーシール部材a,b,dは3枚、トナーシール部材cは25枚、トナーシール部材eは4枚、それぞれ同一のトナーシール部材を重ねて総厚さが10[mm]以上となるようにして測定を行った。
各中間転写ベルトの初期状態における23[℃]50[%]RH環境下のマイクロゴム硬度を、ベルト幅方向中央部の有効画像領域内、ベルト幅方向端部から1.0[cm]の有効画像領域外の2点において評価を行った。測定には、高分子計器株式会社製「マイクロゴム硬度計MD−1」を用いた。
実験結果は、下記表1の通りであった。
Figure 2014002203
実施例1〜7については、20万枚画像出力後も優れた画像品質、トナーシール性、及び、中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の弾性層の摩耗が抑えられ、長期にわたって優れた性能を発揮した。
トナーシール部材として、発泡体層が無く、タイプEデュロメータ硬度が高く柔軟性に劣るトナーシール部材fを用いた比較例1においては、初期的には優れた画像品質が得られた。しかしながら、長期にわたって使用していくにつれ、中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の弾性層が激しく摩耗した。そのため、弾性層削れカスが感光体上に付着して、白抜けなどの異常画像が発生したり、ベルト走行性が不安定となり歪み画像発生が発生したりするなど、長期間の使用には耐えられないという結果となった。
中間転写ベルトとして、弾性層が無く、凹凸紙追従性に劣る中間転写ベルトDを用いた比較例2においては、長期間の使用においても、中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の弾性層の摩耗や、トナーシール性不良などは見られなかった。しかしながら、凹凸紙転写性が悪く、初期の状態から十分な画像品質が得られなかった。
以上、本発明の構成を採用することにより、転写材によらず高い転写率を実現でき、且つ、長期にわたって中間転写ベルトのベルト幅方向両端部の弾性層の摩耗が起きることもなく、耐久性に優れた、高画質の画像形成装置を実現することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
基層11などの基層上に弾性層12などの弾性層が積層された中間転写ベルト31などのベルト部材と、ベルト部材の表面またはベルト部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成部18などの画像形成手段と、ベルト部材の幅方向両端部の表面に当接させて設けられたトナーシール部材32などの当接部材とを備えた画像形成装置において、当接部材の23[℃]50[%]RH環境下におけるタイプCデュロメータ硬度が30以下の範囲内である。これよれば、上記実施形態について説明したように、長期にわたってベルト幅方向端部の弾性層が摩耗するのを抑制できる。
(態様B)
(態様A)において、上記ベルト部材の表面に付着した付着物を除去する清掃部材33などの清掃手段を備えており、上記当接部材は、清掃手段によってベルト部材の表面から除去されたトナーなどの付着物が、清掃手段とベルト部材との隙間から漏れるのを抑制するシール部材である。これによれば、上記実施形態について説明したように、長期にわたってトナーシール性不良が生じるのを抑制することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、上記当接部材は、ベルト部材の幅方向両端部の反りを抑える反り抑え部材である。これによれば、上記実施形態について説明したように、長期にわたってベルト幅方向両端部の反りを抑えることができる。
(態様D)
(態様A)、(態様B)または(態様C)において、上記ベルト部材の23[℃]50[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度が35以下である。これによれば、上記実施形態について説明したように、高い凹凸紙転写性を得ることができる。
(態様E)
(態様A)、(態様B)、(態様C)または(態様D)において、上記弾性層が、少なくともアクリルゴムを含んでいることで、耐オゾン性、柔軟性、球形微粒子との接着性、難燃性付与、耐環境安定性の面から好ましい。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)において、上記弾性層は、弾性体と球形樹脂粒子とを含有し、表面に凹凸形状が形成されており、前記球形樹脂粒子は、前記弾性層の表面における面方向に配列されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写効率を向上させることができる。
(態様G)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)において、上記当接部材は、少なくとも発泡体を含んでいる。これによれば、上記実施形態について説明したように、当接部材が当接するベルト部材にかかる負荷を十分に低減するための柔軟性を得ることができる。
(態様H)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)において、上記当接部材は、少なくとも樹脂繊維がシート部材上に植毛されてなる植毛表層41などの植毛表層と、発泡体からなる発泡体層42などの発泡体層とを含んでいる。これによれば、上記実施形態について説明したように、植毛表層によって、当接するベルト部材との摺動性を得ることができる。また、発泡耐層によって、当接するベルト部材にかかる負荷を十分に低減するための柔軟性を得ることができる。
(態様I)
(態様G)または(態様H)において、上記発泡体の厚みが0.5[mm]以上30.0[mm]以下の範囲内である。これによれば、上記実施形態について説明したように、当接部材を貼り付けた筐体の硬さの影響を受けたり、画像形成装置の小型化に適さない、コストアップに繋がったりするなどの不具合が生じるのを抑制できる。
(態様J)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)、(態様H)または(態様I)において、上記ベルト部材をシームレスベルトとして用いるのが好適である。
8 クリーニング装置
9 帯電装置
10 プリンタ本体
11 基層
12 弾性層
13 球形樹脂粒子
15 定着装置
16 レジストローラ対
17 画像書込部
18 画像形成部
19 給紙部
20 現像装置
21 感光体ドラム
22 中間転写ベルト
23 一次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニングブレード
27 潤滑剤塗布装置
27a 導電性ブラシ
27b 固形潤滑剤
28 トナーシール部材
29 ベルトクリーニング装置
31 中間転写ベルト
32 トナーシール部材
33 清掃部材
34 クリーニングユニット
35 粉体供給装置
39 円筒状支持体
41 植毛表層
42 発泡体層
50 転写搬送ベルト
60 二次転写バイアスローラ
131 ベルト
133 押し当て部材
140 塗料パン
141 塗料
142 塗布ローラ
143 規制ローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231 現像装置
270 定着装置
271 加熱ローラ
272 加圧ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 ベルトクリーニング装置
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 一次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 二次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバック電流検知ローラ
514 光学センサ
600 二次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 二次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ対
801 一次転写電源
802 二次転写電源
特開2009−223282号公報 特開2011−197190号公報 特開2002−196593号公報 特開2009−244331号公報 特開2009−48032号公報 特開2009−300490号公報

Claims (10)

  1. 基層上に弾性層が積層されたベルト部材と、
    前記ベルト部材の表面または該ベルト部材の表面に担持された記録材上に画像を形成する画像形成手段と、
    前記ベルト部材の幅方向両端部の表面に当接させて設けられた当接部材とを備えた画像形成装置において、
    前記当接部材の23[℃]50[%]RH環境下におけるタイプCデュロメータ硬度が30以下の範囲内であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記ベルト部材の表面に付着した付着物を除去する清掃手段を備えており、
    上記当接部材は、前記清掃手段によって前記ベルト部材の表面から除去された前記付着物が、該清掃手段と該ベルト部材との隙間から漏れるのを抑制するシール部材であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または2の画像形成装置において、
    上記当接部材は、上記ベルト部材の幅方向両端部の反りを抑える反り抑え部材であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1、2または3の画像形成装置において、
    上記ベルト部材の23[℃]50[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度が35以下であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1、2、3または4の画像形成装置において、
    上記弾性層が、少なくともアクリルゴムを含んでいることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、
    上記弾性層は、弾性体と球形樹脂粒子とを含有し、表面に凹凸形状が形成されており、
    前記球形樹脂粒子は、前記弾性層の表面における面方向に配列されていることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、
    上記当接部材は、少なくとも発泡体を含んでいることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、
    上記当接部材は、少なくとも樹脂繊維がシート部材上に植毛されてなる植毛表層と、発泡体からなる発泡体層とを含んでいることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項7または8の画像形成装置において、
    上記発泡体の厚みが0.5[mm]以上30.0[mm]以下の範囲内であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、
    上記ベルト部材はシームレスベルトであることを特徴とする画像形成装置。
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