JP6954156B2 - 中間転写体、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Description
そこで、特許文献1には、中間転写体の表面に樹脂層を設け、該樹脂層の表面にさらに独立した球形樹脂粒子を埋め込む技術が開示されている。球形樹脂粒子としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等が用いられる。この特許文献1に開示された技術によれば、トナー離形性、耐久性に優れた電子写真装置が得られるものの、記録媒体への転写性には改善の余地があった。
1)像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、
基層と、該基層上に、球状粒子を有し該球状粒子により凹凸形状を有する弾性層とを備え、
前記球状粒子がポリロタキサン系高分子化合物であることを特徴とする中間転写体。
本発明の中間転写体は、像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、基層と、該基層上に、球状粒子を有し該球状粒子により凹凸形状を有する弾性層とを備え、前記球状粒子がポリロタキサン系高分子化合物であることを特徴とし、更に必要に応じてその他の部材を有する。
本発明の中間転写体は、シームレスベルトであることができ、これは中間転写ベルト方式の電子写真装置における中間転写ベルトとして好適に装備されるものである。以下、本発明の中間転写体として、中間転写ベルトを例に取り説明するが、本発明は下記形態に制限されるものではない。
前記基層は、樹脂と、電気抵抗調整剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有することができる。
前記樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFE等のフッ素系樹脂;ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、機械強度(高弾性)、及び耐熱性の点から、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好ましい。
前記電気抵抗調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属酸化物、カーボンブラック、イオン導電剤、導電性ポリマーなどが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素などが挙げられる。また、分散性をよくするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものなどが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラックなどが挙げられる。
前記イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウムなどが挙げられる。
前記導電性ポリマーとしては、例えば、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンなどが挙げられる。
前記電気抵抗調整剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記含有量が、前記好ましい範囲の下限値以上であると、電気抵抗を調整する効果が得られ、前記好ましい範囲の上限値以下であると、中間転写ベルトの良好な機械強度が得られる。
前記その他の成分としては、例えば、分散助剤、補強剤、潤滑剤、熱伝導剤、酸化防止剤などが挙げられる。
前記基層の平均厚みが、30μm以上150μm以下であると、中間転写ベルトの耐久性の点で有利である。
なお、前記基層に関しては、走行安定性を高めるために、厚みムラはなるべく無くすことが好ましい。
前記弾性層は、球状粒子を有し該球状粒子により凹凸形状を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、弾性材料を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記弾性層表面の凹凸形状は、例えば、弾性層表面をオリンパス株式会社製 LEXT OLS4100で観察することにより、確認することができる。
前記弾性材料としては、十分な球状(弾性)を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、エラストマー、ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、エラストマー、ゴムが好ましい。
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエーテル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアクリル系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、シリコーン変性ポリカーボネート系熱可塑性エラストマー、フッ素系共重合体などが挙げられる。
前記熱硬化性エラストマーとしては、例えば、ポリウレタン系熱硬化性エラストマー、シリコーン変性エポキシ系熱硬化性エラストマー、シリコーン変性アクリル系熱硬化性エラストマーなどが挙げられる。
これらの中でも、耐オゾン性、球状粒子との接着性、難燃性付与、及び耐環境安定性の点から、アクリルゴムが特に好ましい。以下、本発明の好適な例として、弾性層がアクリルゴムを含む場合について説明するが、本発明は下記例に制限されない。
前記アミン化合物としては、脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。
前記脂肪族多価アミン架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
前記芳香族多価アミン架橋剤としては、例えば、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
前記架橋剤の含有量は、アクリルゴム100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
前記架橋剤の含有量が、0.05質量部以上20質量部以下であると、架橋が適正に行われ、架橋物の形状維持、弾性等の物性が良好である。
前記架橋促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤であることが好ましく、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、多価第三級アミン化合物、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
前記グアニジン化合物としては、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。
前記イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
前記第四級オニウム塩としては、例えば、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ−n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
前記多価第三級アミン化合物としては、例えば、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。
前記第三級ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。
前記弱酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、炭酸塩等の無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩等の有機弱酸塩などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電気抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
加熱温度は、130℃以上220℃以下が好ましく、140℃以上200℃以下がより好ましい。架橋時間は30秒間以上5時間以下が好ましい。
加熱方法としては、例えば、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。前記後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、1時間以上48時間以下で行うことが好ましい。前記後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択することができる。
前記マイクロゴム硬度は、市販のマイクロゴム硬度計を使用することができ、例えば、高分子計器株式会社の「マイクロゴム硬度計MD−1」などを用いて測定することができる。
前記弾性層の厚みとは、前記球状粒子を除いた、前記弾性層の弾性材料の厚みを指し、例えば、球状粒子が存在していない領域の弾性材料の厚みとすることができる。
前記平均厚みは、任意に10点の厚みを測定した際の平均値である。なお、前記厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、装置名:VE−7800)で断面を観察することにより測定することができる。
本発明では、前記球状粒子として、ポリロタキサン系高分子化合物を使用する。ポリロタキサン系高分子化合物は、少なくとも環状分子と、該環状分子を包接する直鎖状分子と、該直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有するものであることができ、さらに詳しくは、少なくとも環状分子と、該環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、該直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基と、を有するポリロタキサンの架橋体であることが好ましい。
本発明において球状粒子としては前記のようにポリロタキサン系高分子化合物を使用するとともに、必要に応じてアクリル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子などを併用することもできる。
上記球状粒子は、復元率が70%以上であることが好ましい。
復元率が70%以上であることにより、転写性がさらに向上する。さらに好ましい復元率は、73%以上95%以下である。
復元率(%)=[粒子径の変位量(μm)/粒子径(μm)]×100・・・数式1
−復元率の測定条件−
・試験温度:23℃で50%RH
・上部加圧圧子:直径50μmのダイヤモンド平面圧子
・下部加圧板:SKS平板
・測定モード:除荷試験
・負荷速度:0.98mN/秒間
・最大荷重:9.8mN
更に、前記球状粒子は、単分散粒子であることが好ましい。前記単分散粒子とは、粒子分布が極めてシャープであることを指し、具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅のもののことである。
市販品の粒子分布がブロードである場合は、汎用の粒子分球装置を用いて分球し、粒子分布をシャープに揃えると良い。
これらの中でも、前記弾性層の厚み方向に単一層で形成される形態が、前記弾性層の上に球状粒子をそのまま直接塗布して、ならすことにより容易に均一に整列させることができ、安定した高品質画像を維持することができる点で、好ましい。
前記埋没率とは、弾性層の厚み方向に球状粒子の粒径のどのくらいの割合が埋没しているか、を示す率のことであるが、ここで言う、埋没率は、すべての球状粒子が50%を超え100%に満たないという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表したときの数値が50%を超え100%に満たなければよい。しかし、埋没率50%のときは、電子顕微鏡による断面観測において、弾性層中へ完全埋没している粒子が殆ど観測されない。本発明において、弾性層中に完全に埋没している球状粒子は、球状粒子全体に対し、5個数%以下であることが好ましい。
埋没率は、弾性層表面の任意の箇所を走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、装置名:VE−7800)用いて断面SEM(5,000倍)で観察することにより、弾性層の厚み方向に球状粒子10個の粒径のどのくらいの割合が埋没しているかを求め、その平均値を算出することにより測定できる。
前記真球状とは、以下のように定義される。
図1から図3は、本発明に用いられる球状粒子の形状を模式的に示す図である。
図1から図3において、球状粒子3を長軸r1、短軸r2、厚みr3(ただし、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、前記長軸と前記短軸との比(r2/r1)が0.9〜1.0の範囲であり、前記厚みと前記短軸との比(r3/r2)が0.9〜1.0の範囲である球状粒子を真球状の粒子とする。
前記長軸と短軸との比、及び厚みと短軸との比(r3/r2)が0.9以上であることにより、球状粒子を弾性層の表面に整列して並べることが容易となり、トナーの転写率が向上する。
前記長軸r1、短軸r2、及び厚みr3は、例えば、球状粒子を平滑な測定面上に均一に分散付着させ、球状粒子100個について、カラーレーザー顕微鏡「VK−8500」(キーエンス社製)により任意の倍率(例えば、1,000倍)に拡大して、100個の球状粒子の長軸r1(μm)、短軸r2(μm)、厚みr3(μm)を測定し、それらの算術平均値から求めることができる。
なお、図4に示すように球状粒子3同士の重なり合いを制限できるような手法を用いることができれば、球状粒子3の粒径は、前記分布幅を満たす必要はない。
弾性層2の表面の面積に対し、球状粒子3はその60%以上の面積を占有することが好ましい。このような占有面積率を満たすことにより、弾性層2のアクリルゴムの露出部面積を低下させ、トナーとアクリルゴムとの接触機会を減少でき、良好な転写性が得られる。前記占有面積率は、80%以上であるのがさらに好ましい。
本発明の中間転写ベルトを作製する方法についての一例を説明する。まず、基層の作製方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、塗工液をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、80℃以上150℃以下の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃以上450℃以下の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。充分に冷却後、引き続き、弾性層を積層する。
ここで、前記粒子層の形成方法としては、図5に示すように、粉体供給装置35と押し当て部材33を設置し、金型ドラム31に、基層と弾性層を塗布したベルト32を取り付け、金型ドラム31を回転させながら粉体供給装置35から球状粒子34を弾性層の表面に均一にまぶし、表面にまぶされた球状粒子34を押し当て部材33により一定圧力にて押し当てる。
押し当て部材33により、弾性層へ粒子を埋設させつつ、余剰な粒子を取り除く。本発明では、特に単分散の粒子を用いることにより、このような押し当て部材でのならし工程のみの簡単な工程で、弾性層の厚み方向に(好ましくは平面方向にも)単一の状態で独立して球状34を埋め込むことができ、これにより弾性層の表面に凹凸形状を形成できる。埋没率の調整は、ここでの押し当て部材33の押し当て時間の長さにより調整する。
前記粒子の弾性層中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能である。例えば、押し当て部材33の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。例えば、流延塗工液の粘度、固形分、溶剤の使用量、粒子の材質等にもよるが、目安として、流延塗工液の粘度100mPa・s以上100,000mPa・s以下において、押圧力を、1mN/cm以上1,000mN/cm以下の範囲とすることにより、前記50%を超え、100%に満たない埋没率を比較的容易に達成することができる。
球状粒子を弾性層の表面上に均一に並べた後、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより硬化させ球状粒子を埋設させた弾性層を形成する。充分に冷却後、金型ドラムから基層ごと脱離させ、所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得ることができる。
前記抵抗の測定は、市販の計測器を使用できるが、例えば、ダイアインスツルメンツ社製のハイレスタを使用することにより測定することができる。
本発明の画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、前記像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、前記現像手段により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写体と、前記中間転写体上に担持された前記トナー像を記録媒体に二次転写する転写手段と、を有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有する。
前記中間転写体が、本発明の前記中間転写ベルトである。
この場合、前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなるものが好ましい。
前記中間転写体が、本発明の前記中間転写ベルトである。
図7に示すベルト部材を含む中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、二次転写ユニット600の二次転写電荷付与手段である二次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
このベルト部材である中間転写ベルト501は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層又は多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
図7において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。前記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザー光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
そして、二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と二次転写バイアスローラ605によりニップが形成された二次転写部に、前記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
図8は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21Bk、21Y、21M、及び21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
球状粒子の復元率は、フィッシャー・インスツルメンツ社製FISCHERSCOPE HM−2000を用い、球状粒子に9.8mNの荷重を掛けた後、荷重を0.98mNまで減少させた時の変位(粒子径の変位)量を測定し、測定された粒子径の変位量と、荷重をかける前の球状粒子の粒子径から、下記数式1により、復元率(%)を求めた。なお、中間転写ベルト表面の球状粒子は、ラッピングフィルムでベルト表面をこすって採取した。
復元率(%)=[粒子径の変位量(μm)/粒子径(μm)]×100・・・数式1
−復元率の測定条件−
・試験温度:23℃で50%RH
・上部加圧圧子:直径50μmのダイヤモンド平面圧子
・下部加圧板:SKS平板
・測定モード:除荷試験
・負荷速度:0.98mN/秒間
・最大荷重:9.8mN
走査型電子顕微鏡(装置名:VE−7800、SEM、株式会社キーエンス製)を用いて、球状粒子を倍率5,000倍で観察することにより測定した。視野内の任意の球状粒子10個の大きさを測定し、平均した値を平均粒径とした。
球状粒子を平滑な測定面上に均一に分散付着させ、球状粒子100個について、カラーレーザー顕微鏡(装置名:VK−8500、株式会社キーエンス製)を用いて、任意の倍率(例えば、1,000倍)に拡大して、図1〜図3に示すように、100個の球状粒子の長軸r1(μm)、短軸r2(μm)、厚みr3(μm)を測定し、それらの算術平均値を求め、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.9以上1.0以下で、厚みと短軸との比(r3/r2)が0.9以上1.0以下の範囲であるものを真球状の粒子とした。
<中間転写ベルトの作製>
−基層用塗工液の調製−
まず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(商品名:U−ワニスA、宇部興産株式会社製)に、予め、ビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(商品名:SpecialBlack4、エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有量がポリアミック酸の固形分に対して17質量%になるように調合し、よく攪拌混合して、基層用塗工液を調製した。
次に、外径500mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、該型をロールコート塗工装置に取り付けた。
次いで、前記基層用塗工液をパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで基層用塗工液を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の基層用塗工液の厚みを制御した。
その後、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、前記塗布ローラとのギャップを0.4mmとして前記塗布ローラ上の基層用塗工液を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分間加熱、更に昇温して200℃で30分間加熱し、回転を停止した。
その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分間加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、平均厚み60μmのポリイミド基層ベルトを作製した。
下記に示す各成分及び含有量で配合し、混練することにより、ゴム組成物を調製した。
・アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製、NipolAR12):100質量部
・ステアリン酸(日油株式会社製、ビーズステアリン酸つばき):1質量部
・赤リン(燐化学工業株式会社製、ノーバエクセル140F):10質量部
・水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、ハイジライトH42M):40質量部
・架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン社製、Diak.No.1、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト):0.6質量部
・架橋促進剤(Safic alcan社製、VULCOFAC ACT55(70質量%の1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30質量%のアモルファスシリカ)):0.6質量部
・導電剤(日本カーリット株式会社製、QAP−01、過塩素酸テトラブチルアンモニウム):0.3質量部
前記ゴム溶液を先に作製したポリイミド基層ベルトが形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層ベルト上に、ノズルよりゴム溶液を連続的に吐出しながら円筒状支持体の軸方向に移動させ螺旋状に塗布した。塗布量としては最終的な弾性層の平均厚みが400μmになるようなゴム溶液量の条件とした。その後、ゴム溶液が塗布された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入し、昇温速度4℃/分間で90℃まで昇温して30分間加熱した。
次に、上記基層−弾性層積層体を熱風循環乾燥機から取り出して冷却した後、図5に示すように、球状粒子であるロタキサン架橋体粒子34(商品名:セルムスーパーポリマーSH2400B−2001、分級後平均粒径5μm(4〜6μm)、アドバンストソフトマテリアルズ社製)を弾性層の表面に満遍なくまぶし、ポリウレタンゴムブレード(東洋ゴム株式会社製、T7050)からなる押し当て部材33を、押圧力100mN/cmで押し当てて弾性層表面に固定化した。
次いで、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分間で170℃まで昇温して60分間加熱処理し、中間転写ベルトAを作製した。
得られた中間転写ベルトAにおける球状粒子の復元率は78%であった。
実施例1において、球状粒子の分級後平均粒径を1.5μm(1〜2μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトBを作製した。
得られた中間転写ベルトBにおける球状粒子の復元率は73%であった。
実施例1において、球状粒子の分級後平均粒径を20μm(18〜22μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトCを作製した。
得られた中間転写ベルトCにおける球状粒子の復元率は85%であった。
実施例1において、弾性層の赤リン量を30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトDを作製した。
得られた中間転写ベルトDにおける表面粒子の復元率は77%であった。
実施例2において、弾性層の赤リン量を30質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、中間転写ベルトEを作製した。
得られた中間転写ベルトEにおける表面粒子の復元率は71%であった。
実施例1において、球状粒子をシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール2000B、平均粒径6μm、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトLを作製した。
得られた中間転写ベルトFにおける表面粒子の復元率は5%であった。
実施例1において、球状粒子をメラミン樹脂粒子(商品名:オプトビーズ6500M、平均粒径6.5μm、日産化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトMを作製した。
得られた中間転写ベルトGにおける表面粒子の復元率は8%であった。
実施例1において、球状粒子を有機溶剤(2−ヘプタノン、関東化学社製)に溶解させたうえでスプレー塗工してから有機溶剤を揮発させ、厚さ5μmのポリロタキサン架橋体からなる被膜とした以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトHを得た。なお、中間転写ベルトHの弾性層は、凹凸形状を持たない。
作製した各実施例及び比較例の中間転写ベルトA〜Hを、図8に示すような画像形成装置(RICOH、MP C6502、株式会社リコー製)に搭載し、各画像形成装置を用いて、レザック紙(レザック66、連量215kg、竹尾社製)をA4サイズ縦出力、23℃55%RH環境下、ブラックハーフトーン画像の10万枚通紙を行った。
続いて、前記レザック紙のA3サイズ紙でブラックハーフトーン画像を10枚出力し、10枚全てで縦スジ画像発生の有無および転写性の確認をし、下記基準で評価した。
[評価基準]
◎:縦スジ画像が10枚全てで未発生(転写性・耐久性が極めて良好)
○:1枚以上2枚以下でうっすらと縦スジが見える箇所が有る(転写性・耐久性良好)
△:3枚以上5枚以下でうっすらと縦スジが見える
×:6枚以上で縦スジがはっきり見えており、使用不可とした
A4サイズ紙のエッジ部接触箇所(エッジ傷発生部)に該当する部分の中間転写ベルト表面をオリンパス株式会社製 LEXT OLS4100で観察を行い、粒子の脱落の有無を確認した。
弾性層表面をオリンパス株式会社製 LEXT OLS4100で観察することにより、凹凸形状の有無を確認した。
弾性層のマイクロゴム硬度は、高分子計器株式会社の「マイクロゴム硬度計MD−1」を用いて測定した。
弾性層表面の任意の箇所を走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、装置名:VE−7800)用いて断面SEM(5,000倍)で観察することにより、弾性層の厚み方向に球状粒子の粒径のどのくらいの割合が埋没しているか、球状粒子10個の埋没率(%)の平均値を求めた。
弾性層表面をオリンパス株式会社製 LEXT OLS4100で観察することにより、球状粒子による弾性層表面を占有している面積の割合である占有面積率を求めた。
1 基層
2 弾性層
3 球状粒子
(図5の符号)
31 金型ドラム
32 基層と弾性層を塗布したベルト
33 押し当て部材
34 球状粒子
35 粉体供給装置
(図7の符号)
P 転写紙
L レーザー光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサー
205 画像濃度センサー
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図8の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
Claims (10)
- 像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、
基層と、該基層上に、球状粒子を有し該球状粒子により凹凸形状を有する弾性層とを備え、
前記球状粒子がポリロタキサン系高分子化合物であることを特徴とする中間転写体。 - 前記ポリロタキサン系高分子化合物が、少なくとも環状分子と、該環状分子を包接する直鎖状分子と、該直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有することを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 前記球状粒子は、復元率が70%以上である球状粒子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写体。
- 前記球状粒子が真球状粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記球状粒子の平均粒径が1.0μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記弾性層がアクリルゴムを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記中間転写体が、シームレスベルトであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の中間転写体。
- 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、
前記像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、
前記現像手段により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写体と、
前記中間転写体上に担持された前記トナー像を記録媒体に二次転写する転写手段と、を有し、
前記中間転写体が、請求項1〜7のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
- 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像工程と、
前記現像工程において現像された前記トナー像を中間転写体上に転写する一次転写工程と、
前記中間転写体上に担持された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写工程と、を含み、
前記中間転写体が、請求項1〜7のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成方法。
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