JP5578416B2 - 中間転写ベルト及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
特に近年のフルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
この課題を解決するために比較的柔軟性のある層を基層上に積層した様々な中間転写ベルトが提案されている。
しかしながら、比較的柔軟性のある層を表面層とした場合、転写圧力が低減されたり、用紙凹凸への追従性が向上する反面、表面の離型性が劣るためにトナーがうまく離型できず転写効率が低下し、前者の効果を生かせないという問題が発生する。また、耐摩耗性・耐擦傷性にも劣るとう問題もある。
一方、表面に微粒子を付着されることにより転写性を向上させる提案がなされている。
特許文献1の特開平9−230717号公報では、3μm以下の直径のビーズで被覆することが提案されている。
しかしながら、この公報記載の形成法では昨今の電子写真装置の要求される耐久性においては、粒子の脱離が発生してしまい充分ではない。
特許文献2の特開2002−162767号公報及び特許文献3の特開2004−354716号公報では、疎水化処理微粒子と親和性のある材料で層を形成することが提案されている。これらでは、大きさの非常に小さな粒径の粒子を好ましく用いている。
しかしながら、粒子層が厚かったり、粒子の凝集による不均一性部分が存在し、転写性能にもばらつきが発生し、昨今の電子写真装置の要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
特許文献4の特開2007−328165号公報及び特許文献5の特開2009−75154号公報では、比較的大きめの粒子を用い、樹脂にある程度埋設させることで耐久性も実現する構成が提案されている。しかしながら、これら提案でも粒子の存在に不均一性が生じ、やはり昨今の電子写真装置の要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
また、特許文献1〜5すべてにおいて、シリカが好ましく用いられているが、シリカ粒子は凝集力が強いため前述したとおり、均一な粒子層を形成できない。さらに、シリカのような無機粒子は、像形成を担う潜像担持体として好適に用いられる有機感光体との転写部での接触によって有機感光体の表面を傷つけ、摩耗させやすく、耐久性を低下させるという不具合を生じさせる。
なお、以降「電子写真装置」を「画像形成装置」と呼称することがある。
すなわち、以下の(1)〜(10)に記載する発明によって上記課題が解決される。
(1)「中間転写ベルトを用いる電子写真装置において、該中間転写ベルトの最表面が、独立した球形樹脂粒子が面方向に配列して一様な凸形状の領域と、該球形樹脂粒子の凸形状の領域の間の潤滑剤層の凹状領域とからなり、前記最表面が、加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有してなる樹脂層の上に形成されており、前記球形樹脂粒子は、前記加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有してなる樹脂層の加熱硬化前に、該樹脂層の深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で埋め込み、その後加熱硬化して樹脂層に固定化されていることを特徴とする中間転写ベルト」、
(2)「前記球形樹脂粒子は、平均粒子径が、0.5μm〜5.0μmである単分散粒子であることを特徴とする前記第(1)項に記載の中間転写ベルト」、
(3)「前記潤滑剤層を含む粒子層域中に一様に存在する粒子の凸部が、深さ方向に単一の層であることを特徴とする前記第(1)項に記載の中間転写ベルト」、
(4)「該潤滑剤が長鎖脂肪酸金属塩であることを特徴とする前記第(1)項に記載の中間転写ベルト」、
(5)「該長鎖脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする前記第(4)項に記載の中間転写ベルト」、
(6)「該球形樹脂粒子がシリコーン樹脂微粒子であることを特徴とする前記第(1)項に記載の中間転写ベルト」、
(7)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の中間転写ベルトを搭載することを特徴とする電子写真装置」、
(8)「中間転写ベルトを有する電子写真装置において、該中間転写ベルト表面に有する潤滑剤と同種の潤滑剤を中間転写ベルトに塗布する機構を有することを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真装置」、
(9)「該中間転写ベルトの製造方法において、少なくとも、該球形樹脂粒子を中間転写ベルトの加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有してなる樹脂層上に均一に乾式塗布する工程、ならし工程により配列及び埋没させることにより均一な粒子層を形成する工程、次いで、潤滑剤を乾式塗布する工程、潤滑剤を均一化する工程を有することにより、独立した球形樹脂粒子が面方向に配列して一様な凸形状の領域と、該球形樹脂粒子の凸形状の領域の間の潤滑剤層の凹状領域とからなり、前記球形樹脂粒子が前記樹脂層の深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で埋め込まれている最表面を形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法」、
(10)「加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有する樹脂層を形成する工程、該樹脂層を加熱硬化する前に、該樹脂層上に球形樹脂粒子を均一に乾式塗布する工程、該球形樹脂粒子をならして配列ならびに所定の埋没率に埋没させる工程、該樹脂層を加熱硬化する工程、次いで、潤滑剤を乾式塗布する工程、潤滑剤を均一化する工程を有することにより、独立した球形樹脂粒子が面方向に配列して一様な凸形状の領域と、該球形樹脂粒子の凸形状の領域の間の潤滑剤層の凹状領域とからなる最表層を形成するとこを特徴とする中間転写ベルトの製造方法」。
以下、本発明の中間転写ベルトについて説明する。
図1には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。
ただし、この構成に限定されるものではない。
構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層(11)の上に柔軟な樹脂層(12)が積層されており、この樹脂層(12)の最表面には、潤滑剤を含む球形樹脂粒子による層(13)が形成されている。
この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性をよくするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
構成する材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどの材料を使用することが可能だが、本発明の効果を充分に発現するに充分な柔軟性(弾性)を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのがよい。
エラストマー材料としては、熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系、フッ素系共重合体系等が挙げられる。また、熱硬化性として、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。
また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
上記各種エラストマー、ゴムの中から、性能が得られる材料を適宜選択する。
特に、転写材である紙の表面性状に凹凸のあるレザック紙のような紙の表面状態に追従させるためにはできるだけ柔らかいものを選択する方が好ましい。
本発明においては、この材料の表面に球形樹脂粒子層を形成する上で、熱可塑性のものよりも熱硬化性のものの方が好ましい。熱硬化性のものの方が、その硬化反応に寄与する官能基の効果により樹脂粒子との密着性に優れ確実に固定化することが可能である。
加硫ゴムも同様に好ましい。
当樹脂層の抵抗値としては、表面抵抗で1×108〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×106〜1×1012Ω・cmとなるように調整されることが好ましい。
樹脂層の膜厚としては、200μm〜2mm程度が好ましい。膜厚が薄いと、転写媒体の表面性状への追従性や転写圧力低減効果が低く好ましくない。厚すぎると、膜の重さが重くなりたわみやすくなり走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなるため好ましくない。
材料としては特に問わないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでもよい。
また、ここでいう樹脂粒子の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球状粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。
また、中空であったり、多孔質であってもよい。
これらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐磨耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。
これら樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本発明においては、真球に近いものほど好ましい。
また、その粒径は、体積平均粒径が、0.5μm〜5.0μmであり、分布がシャープな単分散であることが望ましい。粒径が0.5μm以下の場合、粒子による転写性能の効果が充分に得られず、一方、5.0μm以上では、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となる不具合が生じる。
さらには、粒子は絶縁性であることが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。
このような単分散の球形樹脂粒子は、樹脂層の上に粉体をそのまま直接塗布して、ならすことにより容易に均一に整列させることができる。
この粒子間が広がると、この粒子間の樹脂層にトナーが接触するようになり転写性能が低下する原因となる。
本発明においては、樹脂層上にこの粒子を配列させた間隙域に潤滑剤層を存在させる。
潤滑剤としては、オイル、ワックス、粉体等いずれの形態でもよいが、トナーの離型性を考慮したものを選択することが好ましく、長鎖脂肪酸金属塩が好ましい。特に、ステアリン酸亜鉛が好適である。当潤滑剤は、粒子を樹脂層に固定化した後に塗布する。
球形樹脂粒子と潤滑剤を同時に塗布すると、球形樹脂粒子の配列が不均一になったり、固定化を阻害するため好ましくない。
ステアリン酸亜鉛のような長鎖脂肪族金属塩の塗布にあたっては、湿式塗布することも可能であるが、本発明では、あらかじめできるだけ微細化された粉体ものを使用して、粉体のまま直接塗布するか、固形状に成形したものをこすり付けることにより塗布ことが好ましい。特に、微粉体状で塗布することによって球形樹脂微粒子の粒子間の隙間をもれなく埋めることができ好ましい。粉体状で塗布した後は、ならすことによって余剰のものを取り除くが、この際に、所定の圧力と必要に応じて加温することによりステアリン酸亜鉛を薄膜に製膜化し、強固に固定化することができる。
本発明のベルトは、上述のように、中間転写ベルトの最表面が、独立した球形樹脂粒子が面方向に配列して一様な凸形状の領域と、該球形樹脂粒子の凸形状の領域の間の潤滑剤層の凹状領域とからなるものであるが、粒子凸状部と凹状域の好ましい面積比としては、粒子の投影断面積として、60〜90%が好ましい。この投影断面積は、表面を電子顕微鏡である倍率で撮影し、その撮影画像から粒子像の部分とそれ以外の部分の面積比率を画像処理ソフトを用いて算出することによって求める。
このときの画像倍率は、粒子の大きさ等によって適宜決めるが、視野中に含まれる粒子の数が、100〜300個程度含まれるときの倍率とする。
本発明においては、上記球形樹脂粒子は樹脂へ埋設された形態を取ることが好ましく、その埋没率は、50%を超え100%に満たないことが好ましい。50%以下では、電子写真装置での長期使用において粒子の脱離が起きやすく、耐久性に劣る。一方、100%では、粒子による転写性への効果が低減し好ましくない。
粒子の樹脂層中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかも知れないが、例えば、押し当て部材(43)の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。例えば、押圧力を、1mN/cm〜1000mN/cmの範囲とすることにより、前記50%<埋没率<100%を比較的容易に達成することができる。
埋没率は、本ベルトの断面を電子線顕微鏡にて断面観察することにより計測する。
さらにこの粒子層は、樹脂層に対して、厚み方向に単一層で形成される方が好ましい。
図6のように、厚み方向に複数の粒子を含むような構成では、粒子の含有される分布がむらになり、粒子の有する電気抵抗値の影響により、ベルト表面の電気特性が不均一となり画像乱れを生じる。具体的には、粒子が多く存在する部分での電気抵抗値が高くなり、ここに残留電荷による表面電位が発生し、ベルト表面において表面電位のばらつきが発生し、隣接した部分での画像濃度に差が生じる等による画像乱れが顕在化する。
まず、基層の作製方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、充分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行なう。
充分に冷却後、引き続き、樹脂層を積層する。
本樹脂層は、射出成形、押し出し成形などにより基層上に形成することも可能であるが、ここでは、熱硬化型の液状のエラストマー材料を用い、基層上に塗布形成する方法について説明する。少なくとも液状の熱硬化型エラストマー材料を含む塗布液を、基層同様、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、ノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。
その後、回転速度を所定速度まで上げ、所望の時所定速度に達したら一定速度に維持し、間回転を継続する。そして、充分にレベリングしたところで、図3に示すように、粉体塗布装置(35)と押し当て部材(33)を設置し、回転させながら粉体塗布装置(35)から球状粒子を表面に均一にまぶし、表面にまぶされた球状粒子を押し当て部材(33)により一定圧力にて押し当てる。この押し当て部材(33)により、樹脂層へ粒子を埋設させつつ、余剰な粒子を取り除く。本発明では、特に単分散の球形粒子を用いるために、このような押し当て部材でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を形成することが可能である。
均一な粒子層を形成後、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ樹脂層を形成する。
次いで、潤滑剤の塗布を行なう。あらかじめ微細化された潤滑剤粉体を上記同様に図3の装置を用いて塗布工程、ならし工程を経て保持させる。潤滑剤のならし工程では、球形樹脂粒子のならし工程よりもやや強めに加圧しながらならすことにより強固に固定化させる。
その後、金型から基層ごと脱離させ、所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。
本発明における電子写真装置(以降、「画像形成装置」と呼称する。)に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
図4は、本発明に係る製造方法により得られるシームレスベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。
図4に示すベルト部材を含む中間転写ユニット(500)は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などにより構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
このベルト部材である中間転写ベルト(501)は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム(200)上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
図4において、帯電チャージャ(203)は、コロナ放電によって感光体ドラム(200)の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行なう。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム(200)の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器(231K)の現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(200)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
そして、2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)と2次転写バイアスローラ(605)によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト(501)上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙(P)の先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ(610)が駆動されて、転写紙ガイド板(601)に沿って転写紙(P)が搬送され、転写紙(P)とトナー像とのレジスト合わせが行なわれる。
ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ(505)及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
図5は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK)、(21Y)、(21M)、(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
このベルトクリーニング部材(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(27)が配設されている。この潤滑剤塗布装置(27)は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
上記、図4及び図5の装置における潤滑剤塗布装置において、中間転写ベルトで使用している同種の潤滑剤を用いることによって、長期使用において摩耗などにより除去されうる潤滑剤成分を補充することにより、永続的に使用することが可能となる。
<基層用塗工液の調製>
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
次に、外径320mm、長さ360mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記基層用塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。
<樹脂層用塗布液の調整>
[樹脂層用塗布液の調製]
まず、下記に示す各構成材料を混合し、2軸混練機を用いて、充分に混練し、マスターバッチを作製した。
<中間層用カーボンマスターバッチA構成材料>
・エポキシ−シリコーン共重合体
ALBIFLEX348(シリコーン60wt% Nanoresins社製)
20重量部
・カーボンブラック VULCAN XC72(キャボット社製) 100重量部
上記カーボンマスターバッチAを用いて、下記の構成材料を混合し塗布液を得た。
<樹脂層用塗布液構成材料>
・上記カーボンマスターバッチA 8重量部
・エポキシ−シリコーン共重合体
ALBIFLEX348(シリコーン60wt%Nanoresins社製)
40重量部
・メチルテトラヒドロ無水フタル酸
HN−2000(日立化成工業社製) 8重量部
先に作製したポリイミド基層上に、上記樹脂層用塗布液を同様に外面に均一にディスペンサーを用いて流延して塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が300μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、図4の方法を用いて、球状樹脂粒子として、アクリル樹脂球形粒子(テクポリマーMBX−SSシリーズ(体積平均粒径1μm品);積水化成品工業社製)をまんべんなく表面にまぶし、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を押圧力100mN/cmで押し当てて樹脂層に固定化した。
ベルト表面全面の処理を終えた後、そのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で120℃まで昇温して30分加熱した。引き続き、昇温速度4℃/分で250℃まで昇温して120分加熱処理した。加熱を停止した後、常温まで徐冷した。
次いで、同じく図4の方法を用い、ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF−200;日油社製)粉体を、まんべんなく表面にまぶし、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を押し当てて固定化した。
金型から取り外し、中間転写ベルトAを得た。
実施例1において、粒子及び潤滑剤を形成しない他は同じとし、中間転写ベルトIを作製した。
実施例1において、潤滑剤を形成しない他は同じとし、中間転写ベルトJを作製した。
実施例1において、球形樹脂粒子を形成しない他は同じとし、中間転写ベルトKを作製した。
なお、潤滑剤塗布装置(27)には、ステアリン酸亜鉛粉体を使用した。
転写紙として、表面に凹凸模様を施してある紙(連量175kg紙レザック紙)を用い、これに、青色のベタ画像を出力する操作を実施し、紙に転写する前の中間転写ベルト上の画像トナー量と紙に転写した後に中間転写ベルト上に残ったトナー量を計測し、転写率を算出した。
11 基層
12 樹脂層
13 粒子
14 潤滑剤層
(図2の符号)
21 樹脂層
22 粒子
23 潤滑剤層
(図3の符号)
31 金型ドラム
32 基層と樹脂層を塗布したベルト
33 押し当て部材
34 粒子
35 粉体塗布装置
(図4の符号)
P 転写紙
L レーザ光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図5の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 除電手段
(図6の符号)
61 樹脂層
62 粒子
Claims (10)
- 中間転写ベルトを用いる電子写真装置において、該中間転写ベルトの最表面が、独立した球形樹脂粒子が面方向に配列して一様な凸形状の領域と、該球形樹脂粒子の凸形状の領域の間の潤滑剤層の凹状領域とからなり、前記最表面が、加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有してなる樹脂層の上に形成されており、前記球形樹脂粒子は、前記加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有してなる樹脂層の加熱硬化前に、該樹脂層の深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で埋め込み、その後加熱硬化して樹脂層に固定化されていることを特徴とする中間転写ベルト。
- 前記球形樹脂粒子は、平均粒子径が、0.5μm〜5.0μmである単分散粒子であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 前記潤滑剤層を含む粒子層域中に一様に存在する粒子の凸部が、深さ方向に単一の層であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 該潤滑剤が長鎖脂肪酸金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 該長鎖脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項4に記載の中間転写ベルト。
- 該球形樹脂粒子がシリコーン樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の中間転写ベルトを搭載することを特徴とする電子写真装置。
- 中間転写ベルトを有する電子写真装置において、該中間転写ベルト表面に有する潤滑剤と同種の潤滑剤を中間転写ベルトに塗布する機構を有することを特徴とする請求項7に記載の電子写真装置。
- 該中間転写ベルトの製造方法において、少なくとも、該球形樹脂粒子を中間転写ベルトの加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有してなる樹脂層上に均一に乾式塗布する工程、ならし工程により配列及び埋没させることにより均一な粒子層を形成する工程、次いで、潤滑剤を乾式塗布する工程、潤滑剤を均一化する工程を有することにより、独立した球形樹脂粒子が面方向に配列して一様な凸形状の領域と、該球形樹脂粒子の凸形状の領域の間の潤滑剤層の凹状領域とからなり、前記球形樹脂粒子が前記樹脂層の深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で埋め込まれている最表面を形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
- 加熱硬化性のエラストマー又はゴム材料を含有する樹脂層を形成する工程、該樹脂層を加熱硬化する前に、該樹脂層上に球形樹脂粒子を均一に乾式塗布する工程、該球形樹脂粒子をならして配列ならびに所定の埋没率に埋没させる工程、該樹脂層を加熱硬化する工程、次いで、潤滑剤を乾式塗布する工程、潤滑剤を均一化する工程を有することにより、独立した球形樹脂粒子が面方向に配列して一様な凸形状の領域と、該球形樹脂粒子の凸形状の領域の間の潤滑剤層の凹状領域とからなる最表層を形成するとこを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
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