JP7119972B2 - 粘着剤組成物及びそれを用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤、ならびに画像表示装置 - Google Patents
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Description
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)を主成分とし、好ましくは極性基含有モノマー(a2)、必要に応じて、その他の共重合性モノマー(a3)を含有する共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂をあげることができる。
なお、「主成分とする」とは、共重合成分全体に対して通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上含有することを意味する。
本発明における極性基含有モノマー(a2)とは、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマーを有する共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを指すものであり、本発明においては、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマーから選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
上記アミノ基含有モノマーの中でも、架橋促進効果が高い点、樹脂の保存安定性が高い点で3級アミノ基含有モノマーが好ましい。
これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
かかる分散度が高すぎるとリワーク性が低下したり、耐久性が低下したりする傾向がある。なお、かかる分散度の下限は通常1である。
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
なお、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K7121-1987や、JIS K 6240に準拠した方法で測定することができる。
ヘイズ(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
本発明で用いられるアルカリ金属塩(B)としては、アルカリ金属カチオンとアニオンの塩である。アルカリ金属カチオンとしては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンである。かかるアルカリ金属カチオンの中でも、耐湿熱白化性に特に優れる点でリチウムカチオンが好ましい。
通常、シランカップリング剤とは、構造中に反応性官能基とアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物である。
本発明では、構造中に反応性官能基とアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有し、アルコキシ基含有量が15重量%以下であるオリゴマー型シランカップリング剤(C)を含有するものである。
例えば、ポリエーテル変性シランのポリエーテル部の末端やポリエーテル構造はアルコキシ基として含まれない。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピドキシ基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8のアルコキシ基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1~2のアルコキシ基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基である。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ
検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー社製 RI-8020型、感度32)
カラム:TSKgel guardcolumn HHR-H(1本)(東ソー社製 φ6mm×4cm)、TSKgel GMHHR-N(2本)(東ソー社製 φ7.8mm×30cm)
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム温度:23℃
流速:1.0mL/分
これらの中から、オリゴマー型シランカップリング剤の、それぞれの条件を満足するように適宜選択して用いればよい。また、上記オリゴマー型シランカップリング剤(C1)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特に好ましくは、「X-24-9590」である。
架橋剤(D)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられるが、これらの中でも基材との接着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材面とは逆の面に、更に離型シートを設けることが好ましい。
なお、上記において、光学部材としては、偏光板である場合に特に有効である。
粘着剤層付き偏光板について、幅25mm幅に裁断し、離型フィルムを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、「イーグルXG」)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合する。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分)を行った後、23℃×50%RHで24時間放置後に、引き剥がし角度180°、剥離速度300mm/分で剥離試験を行う。また長期リワーク性に関しては、オートクレーブ処理後23℃×50%RHで所定の期間放置した後に引き剥がし角度180°、剥離速度300mm/分で剥離試験を行う。
なお、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
アクリル系樹脂(A)として以下のものを用意した(表1参照)。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、n-ブチルアクリレート(a1)71.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a2)8部、アクリル酸(a2)0.7部、ベンジルアクリレート(a3)20部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下し、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A-1)溶液(固形分21.3%、粘度5,440Pa・s/25℃、アクリル系樹脂(A-1);重量平均分子量127万、ガラス転移温度-42℃、分散度4.3)を得た。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、n-ブチルアクリレート(a1)69.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a2)10部、アクリル酸(a2)0.7部、ベンジルアクリレート(a3)20部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下し、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A-2)溶液(固形分21.5%、粘度6,840Pa・s/25℃、アクリル系樹脂(A-2);ガラス転移温度-41℃、重量平均分子量127万、分散度4.3)を得た。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、n-ブチルアクリレート(a1)91.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a2)8部、アクリル酸(a2)0.7部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いで2,2-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル(ADVN)を0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下し、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A-3)溶液(固形分21.7%、粘度6,000Pa・s/25℃、アクリル系樹脂(A-3);ガラス転移温度-53℃、重量平均分子量139万、分散度3.5)を得た。
・n-ブチルアクリレート(三菱化学社製 Tg-56℃)
・2-ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学社製 Tg-15℃)
・アクリル酸(三菱化学社製 Tg106℃)
・ベンジルアクリレート(大阪有機化学社製 ビスコート#160 Tg6℃)
また、上記Tgは各モノマーのホモポリマーのTgである。
アルカリ金属塩として以下のものを用意した。
(B-1)N,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(森田化学社製)
アルカリ金属塩以外のイオン性化合物として以下のものを用意した。
(B’-1)トリブチルメチルアンモニウム-N,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
オリゴマー型シランカップリング剤及びモノマー型カップリング剤として以下のものを用意した。なお、オリゴマー型シランカップリング剤の重量平均分子量に関しては、前述の方法にしたがって測定した。また、アルコキシ基含有量、反応性官能基、エポキシ当量またはメルカプト当量、含有アルコキシ基については、断りのない限りカタログ値を採用した。
試料約50mgをバイアル瓶に秤量し、d-クロロホルム1mLを加えて溶解させ5%(w/v)クロロホルム溶液を調製した。これをNMR測定用サンプルチューブへ入れ、以下の条件にて、1HNMR測定を行った。
測定装置 :Bruker社製Ascend TM 400
プローブ :cryoプローブ
パルスプログラム:シングルパルス
測定温度 :23℃(296K)
積算回数 :16回
パルス遅延時間 :10sec
架橋剤(D)として以下のものを用意した。
(D-1):トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー社製、「コロネートL55E」)
上記の成分を下記表2の通りに配合し、酢酸エチルにて固形分濃度を12.5%に調整し、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を厚み38μmの離型シート(三井化学東セロ社製「ルミラーSP-0138BU」)に乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥したのち、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを両面に積層した偏光板の一方のTACフィルム表面に、離型シートと反対側の粘着剤層面を貼り合わせ、23℃×50%RHの環境下で7日間エージングし、粘着剤層付き偏光板[I]を得た(層構成;離型シート/粘着剤層/TACフィルム1/偏光子/TACフィルム2)。(TACフィルム1:厚み40μm、TACフィルム2:60μm)
コロナ処理を施したシクロオレフィン系フィルム/偏光子/TAC系フィルムのCOP面と粘着剤層面を貼り合わせた以外は同様にして粘着剤層付偏光板[II]を得た。
なお、上記のTACフィルムはトリアセチルセルロースフィルム(厚み60μm)、COPフィルムはシクロオレフィンフィルム(厚み50μm)である。
粘着剤層付偏光板[I]及び粘着剤層付偏光板[II]を用いて以下の評価を行った。
上記で得られた粘着剤層付き偏光板[I]を25mm幅にカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に押しつけ、2kgローラーにて貼り合わせ、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行った後、23℃×50%RHの環境下で1日、20日静置し、その後、引き剥がし角度180°、300mm/分の剥離速度で引き剥がした時の粘着力を測定し、下記基準にて評価した。
◎・・・10N/25mm未満かつ糊残りなし
〇・・・10N/25mm以上30N/25mm未満かつ糊残りなし
△・・・30N/25mm以上糊残りなし
×・・・糊残り有
(評価基準)・20日後
◎・・・25N/25mm未満かつ糊残りなし
〇・・・25N/25mm以上30N/25mm未満かつ糊残りなし
△・・・30N/25mm以上糊残りなし
×・・・糊残り有
得られた粘着剤層付き偏光板[I]及び[II]を20cm×15cmにカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせたのち、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、初期耐久性試験用のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、(1)耐熱性(80℃×500時間)の条件で暴露した後の偏光板について以下の評価を行った。
(評価基準)
○・・・偏光板の全面に発砲もしくは端部に浮きが見られない
×・・・偏光板の全面に発泡もしくは端部に浮きが見られる
得られた粘着剤層付き偏光板[II]を3.5cm×3.5cmにカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせたのち、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、耐湿熱白化性試験用のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、初期のヘイズを測定した。その後、60℃×90%RHの環境下に250時間暴露した後、取出し室温に放置した。そして、取り出し直後のヘイズを測定し、耐湿熱白化性を評価した。なお、ヘイズ値は1.1mm無アルカリガラスの値をブランクとして差し引いた値である。
(評価基準)・取り出し直後のヘイズ
〇・・・1%未満
×・・・1%以上
得られた粘着剤層付偏光板〔I〕の離型シートを剥離し、粘着剤層面から粘着剤をピッキングしSUS製の200メッシュ金網で包んだ後、23℃に調整した酢酸エチルに24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率(%)とした。
<表面抵抗値>
上記粘着剤層付偏光板〔I〕を23℃×50%RHの雰囲気下で24時間静置した後、粘着剤層の離型シートを外し表面抵抗率測定装置(三菱化学アナリテック社製、装置名「Hiresta-UP MCP-HT450」)を用い粘着剤層の表面抵抗率(Ω/cm2)を測定した。
一方で、アルカリ金属塩を使用していない比較例1~3ではリワーク性には優れるものの耐湿熱白化性に劣ることがわかる。またアルカリ金属塩を使用しているが、アルコキシ基量が15重量%以下のシランカップリング剤を使用していない比較例4及び5は耐湿熱白化性は優れるもののリワーク性に劣るものであった。
またアルカリ金属塩の吸湿性が高いため、アルコキシ基量が多いシランカップリング剤を使用すると、シランカップリング剤の加水分解反応によりリワーク性が低下してしまうところ、アルコキシ基量が少ないシランカップリング剤を使用することでアルカリ金属塩を使用しても過度な反応が起こらずリワーク性を維持できるものと推察される。
Claims (9)
- アクリル系樹脂(A)、アルカリ金属塩(B)、及び、構造中に反応性官能基とアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有し、アルコキシ基含有量が15重量%以下であるオリゴマー型シランカップリング剤(C)を含有し、
アルカリ金属塩(B)が、アルカリ金属カチオンとアニオンの塩であり、
アルカリ金属カチオンが、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、又はカリウムカチオンであり、
オリゴマー型シランカップリング剤(C)の反応性官能基当量が100g/mol~1000g/molであることを特徴とする粘着剤組成物。 - 上記オリゴマー型シランカップリング剤(C)の重量平均分子量が、2,000以上であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
- 上記アクリル系樹脂(A)が、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマーから選ばれる少なくとも1つの極性基含有モノマー(a2)を0.1~20重量%を含有する共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
- 上記アルカリ金属塩(B)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部であることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の粘着剤組成物。
- 上記オリゴマー型シランカップリング剤(C)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.001~2重量部であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の粘着剤組成物。
- 更に、架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~5いずれか記載の粘着剤組成物。
- 請求項1~6いずれか記載の粘着剤組成物が、架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
- 請求項7記載の粘着剤を用いてなることを特徴とする偏光板用粘着剤。
- 請求項7記載の粘着剤で、偏光板と液晶セルを貼り合わせてなることを特徴とする画像表示装置。
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