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JP7137120B2 - 粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤、ならびに画像表示装置 - Google Patents

粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤、ならびに画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤、ならびに画像表示装置に関し、さらに詳しくは、高温環境下においても高い帯電防止性能と耐久性を両立できる粘着剤を形成する粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤、ならびに画像表示装置に関するものである。
従来、偏光性が付与されたポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の両面が保護フィルムで被覆された偏光板を、2枚のガラス板の間に配向した液晶成分を挟持させた液晶セルの表面に積層する、液晶表示装置が製造されている。この液晶セルの表面への偏光板の積層は、偏光板表面に設けた粘着剤層を上記液晶セル面に当接し、押し付けることにより行われるのが通常である。
かかる偏光板(保護フィルム)と液晶セル(ガラス)との貼り合わせに用いられる粘着剤には、例えば、高温環境下において基板から浮いたり剥がれたりしないという耐久性が求められている。
また、液晶セルは電圧を制御して駆動しているため、静電気により表示ムラや故障といった問題が発生する。静電気は、粘着フィルムを貼り合わせる際や剥離する際に発生したりするため、静電気対策として、粘着剤に帯電防止性能を持たせることが求められる。
例えば、粘着剤に帯電防止性能を付与する目的でイオン性化合物を配合することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、タッチパネル搭載型のディスプレイにおいても誤作動を防止する目的で、粘着剤層にイオン性化合物を使用することが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特に、車載用ディスプレイにおいては、ハンドル操作等で静電気が発生しやすいため、粘着剤層にはより一層高い帯電防止性能が求められている。
特開2009-79205号公報 特開2017-67942号公報
しかしながら、上記特許文献1および2の開示技術では、粘着剤の帯電防止性能をより一層高めるには、粘着剤層にイオン性化合物を多く含有させる必要があり、イオン性化合物を多く含有させた粘着剤は、高温もしくは高湿環境下での耐久性が低下する傾向がある。このため、耐久性の点でまだまだ満足のいくものではなく、粘着フィルムに浮きや剥がれが発生してしまうという問題がある。
そこで、本発明ではこのような背景下において、例えば、液晶セル等の画像表示部材に使用されるガラスや導電層等の金属を被着体とした際に、高温環境下においても高い帯電防止性能と耐久性を両立できる粘着剤を形成する粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤、ならびに画像表示装置を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねる過程で、アクリル系樹脂(A)とイオン性化合物(B)を含有する粘着剤組成物において、耐久性を向上させるために、ブリードしにくいアクリル系樹脂と相溶性の高いイオン性化合物を使用すると、イオン性化合物が表面に偏析しづらくなり帯電防止性能が低下してしまい、逆に、帯電防止性能を高めようとするとイオン性化合物がブリードしやすくなり耐久性が低下してしまうという問題に行き当たった。そこで、この問題を解決するために、イオン性化合物についてさらに研究を重ねた結果、ピリジニウム系イオン性化合物の中でも、特に、ピリジニウム系カチオンとビスオキサラトボレートアニオンからなる塩であるイオン性化合物を用いると、このものは、アクリル系樹脂との相溶性がよくブリードしにくく、しかも優れた帯電防止性能を有するため、高い帯電防止性能と高い耐久性を両立できる粘着剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、アクリル系樹脂(A)およびイオン性化合物(B)を含有する粘着剤組成物であって、イオン性化合物(B)が、ピリジニウム系カチオンとビスオキサラトボレートアニオンからなる塩である粘着剤組成物に関するものである。
さらには、本発明は、上記粘着剤組成物を用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤および画像表示装置に関するものである。
本発明の粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤は、高温環境下においても高い帯電防止性能と高い耐久性を両立できるものである。そして、本発明の粘着剤組成物は、種々の用途、とりわけ偏光板用に好適な粘着剤を得ることができる。
また、本発明の粘着剤組成物において、イオン性化合物(B)の融点が30~200℃であると、より耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
さらに、本発明の粘着剤組成物において、イオン性化合物(B)のピリジニウム系カチオンが、N-アルキルピリジニウムカチオンであると、よりアクリル系樹脂との相溶性に優れたものとなり、イオン性化合物(B)がブリードしにくく、より耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
そして、本発明の粘着剤組成物において、イオン性化合物(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、3~30重量部であると、帯電防止性能と耐久性のバランスにより一層優れた粘着剤を得ることができる。
また、本発明の粘着剤組成物において、アクリル系樹脂(A)が、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(a1)および極性基含有モノマー(a2)を含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂であると、さらに耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
さらに、本発明の粘着剤組成物において、極性基含有モノマー(a2)が水酸基含有モノマーおよびカルボキシ基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種であると、さらに一層耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
そして、本発明の粘着剤組成物において、架橋剤(C)を含有すると、架橋構造を形成させることができ、より耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
また、本発明の粘着剤組成物において、シランカップリング剤(D)を含有すると、より一層耐久性に優れる粘着剤を得ることができる。
さらに、本発明の粘着剤は、本発明の粘着剤組成物を用いたものであるため、優れた帯電防止性能と耐久性を兼ね備えており、特に、液晶セル等を用いた画像表示装置の製造における、偏光板(保護フィルム)と液晶セル(ガラス)や金属面(導電層)等の画像表示部材との貼り合わせに用いる粘着剤として使用した際に、良好な帯電防止性能と高い耐久性を有し、偏光板用や導電層用の粘着剤として非常に有用なものである。
したがって、上記粘着剤によって偏光板と液晶セル等の画像表示部材とを貼り合わせてなる、本発明の画像表示装置は、静電気による表示ムラや剥離等を生じることがなく、優れた品質のものとなる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートを意味する。さらに、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂を意味する。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)およびイオン性化合物(B)を含有するものである。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(a1)を主成分とし、必要に応じて極性基含有モノマー(a2)やその他の共重合性モノマーを含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂をあげることができる。
なお、「主成分とする」とは、重合成分全体に対して通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上含有することを意味する。
上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(a1)としては、例えば、アルキル基の炭素数が通常1~24、好ましくは1~18、特に好ましくは1~12、さらに好ましくは1~8のモノマー、好ましくは脂肪族系の(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、汎用性、粘着物性の点でメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、特にn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(a1)の含有割合は、重合成分全体に対して、40重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは50~99重量%、さらに好ましくは60~97重量%である。上記範囲であれば粘着物性のバランスに優れる傾向にある。
また、上記極性基含有モノマー(a2)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、窒素含有モノマーが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明においては、上記アクリル系樹脂(A)が、共重合成分として極性基含有モノマーを用いたものであることが、アクリル系樹脂(A)の架橋点となり、凝集力を向上し、基材や被着体との密着性を上昇させる点、耐湿熱白化性(湿熱白化:恒温恒湿環境下に曝した後に粘着剤が白化する現象)の点で好ましく、特には耐湿熱白化性の点から水酸基含有モノマーを用いることが好ましい。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性(メタ)アクリレートモノマー、その他、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤、特には後述の窒素含有架橋剤との反応性に優れる点、および耐湿熱白化性が向上する点で、1級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、さらに好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。すなわち、モノマー調製時に、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、純度が高いものが得られるからである。
また、モノマー調製品において、酸の不純分が少なく基材の加水分解を抑制する点では、4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
なお、上記水酸基含有モノマーを調製して用いる場合、あるいは市販品を用い場合、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5重量%以下のものを用いることも好ましく、特には0.2重量%以下、さらには0.1重量%以下のものを使用することが好ましい。
また、上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のダイマー酸等が挙げられ、中でも耐湿熱白化性の点、重合時の安定性の点で(メタ)アクリル酸が好ましい。
さらに、上記窒素含有モノマーとしては、アミノ基含有モノマーやアミド基含有モノマー等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート等の1級アミノ基含有(メタ)アクリレート系モノマー;t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有(メタ)アクリレート系モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド;メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド系モノマー;ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル(メタ)アクリルアミド系モノマー;等が挙げられる。
その他の窒素含有モノマーとしては、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール等の環状構造を有する窒素含有モノマーが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記窒素含有モノマーの中でも、基材や被着体の加水分解を抑制できる点でジアルキルアクリルアミドが好ましく、重合性やアミド基濃度が高くより加水分解を抑制できる点でジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドが好ましい。
これらの極性基含有モノマー(a2)は、アクリル系樹脂(A)を構成する重合成分に対して50重量%以下の範囲で含有させることが好ましい。
そして、上記極性基含有モノマー(a2)の中でも、特に水酸基含有モノマーを用いる場合、その含有量は、重合成分全体に対して0.1~50重量%であることが好ましく、特に好ましくは1~30重量%であり、さらに好ましくは5~25重量%である。かかる含有割合が少なすぎると、耐湿熱白化性が低下する傾向があり、多すぎると粘着剤とした際の保存安定性が低下したり、リワーク性(リワーク性:粘着シートを被着体から剥離する際に糊残りなく、また被着体を傷めないこと)が低下したりする傾向にある。
また、上記極性基含有モノマー(a2)の中でも、特にカルボキシ基含有モノマーを用いる場合、その含有量は、重合成分全体に対して10重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以下である。かかる含有割合が多すぎると、基材の加水分解を促進したり、リワーク性が低下したりする傾向にある。
さらに、上記極性基含有モノマー(a2)の中でも、特に窒素含有モノマーを用いる場合、その含有量は、重合成分全体に対して10重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは8重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。かかる含有割合が多すぎると、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が高くなり、リワーク性が低下したりジッピング(ジッピング:剥離力が断続的に変化してスムーズに剥離できないこと)が起こりやすくなったりする傾向がある。
そして、本発明のアクリル系樹脂(A)に用いることのできる、その他の共重合性モノマーとしては、例えば、脂環構造含有モノマー、芳香族モノマー、アルコキシ基含有モノマー等が挙げられる。ただし、これらの共重合性モノマーを用いる場合、その含有量は、重合成分全体に対して5重量%以下であることが好ましい。すなわち、かかる含有割合が多すぎると、リワーク性が低下する傾向がある。
上記脂環構造含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記芳香族モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート等の芳香環を一つ有する(メタ)アクリレート;フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香環を二つ有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記アルコキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
なお、本発明において、アクリル系樹脂(A)の複屈折を正側に調整する場合には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)エチルアクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族モノマーを用いることが効果的である。
上記アクリル系樹脂(A)の重合方法としては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法を用いることができる。例えば、有機溶媒中に、適宜選択してなる重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、所定の重合条件にて重合する方法等があり、中でも、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、安定にアクリル系樹脂が得られる点で、溶液ラジカル重合が特に好ましい。
上記重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でもしくは2種以上併用することができる。そして、これらの有機溶媒の使用量は、通常、重合成分100重量部に対して20~1000重量部である。
これらの有機溶媒の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全上の点から、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく、特に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンである。
また、かかるラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、通常のラジカル重合開始剤である2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。そして、これらの重合開始剤の使用量は、通常、重合成分100重量部に対して0.001~5重量部である。
このようにして、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。
上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、20万~250万であることが好ましく、特に好ましくは40万~200万、さらに好ましくは60万~180万であり、殊に好ましくは100万~160万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると加水分解を受けた基材中の成分の移行が速くなり、結晶が析出しやすくなる傾向があり、大きすぎると溶液粘度が高くなりすぎて塗工する際に溶剤が大量に必要となり乾燥時のエネルギーが大きくなる傾向がある。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下であることが好ましく、特に好ましくは10以下、さらに好ましくは7以下である。かかる分散度が高すぎると、凝集力が低下して耐久性が低下したりリワーク性が低下したりする傾向がある。なお、分散度の下限は通常1である。
なお、上記のアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列で接続して用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、-100~25℃であることが好ましく、特に好ましくは-60~0℃、さらに好ましくは-55~-10℃である。かかるガラス転移温度が高すぎると、タックが低下して貼り合わせし難くなったり、離型フィルムや被着体からリワークする際にジッピングが発生したりする傾向がある。そして、ガラス転移温度が低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
なお、上記ガラス転移温度は、下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 0007137120000001
すなわち、アクリル系樹脂を構成するそれぞれのモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度および重量分率をFoxの式に当てはめて算出した値である。
なお、アクリル系樹脂を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K7121-1987や、JIS K 6240に準拠した方法で測定することができる。
アクリル系樹脂(A)は、溶媒等により粘度調整され、アクリル系樹脂(A)溶液として、本発明の粘着剤組成物に用いられる。かかるアクリル系樹脂(A)溶液の粘度は、取り扱いやすさの点から500~20,000mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは1,000~18,000mPa・s、さらに好ましくは2,000~15,000mPa・sである。
かかる粘度が高すぎると、流動性が低下して取り扱いにくくなる傾向にあり、低すぎると、粘着剤組成物を塗工することが困難となる傾向がある。
なお、上記アクリル系樹脂(A)溶液の粘度は、25℃でB型粘度計を用いた回転粘度計法により測定されるものである。
このようにして、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。
<イオン性化合物(B)>
本発明において、上記アクリル系樹脂(A)とともに用いられるイオン性化合物(B)は、カチオンとアニオンからなる化合物であり、本発明においては、イオン性化合物(B)として、ピリジニウム系カチオンとビスオキサラトボレートアニオンからなる塩が用いられる。
なお、上記「ピリジニウム系カチオン」とは、ピリジニウムカチオンそのものの他、ピリジニウムカチオンのピリジニウム骨格に置換基が導入される等して得られるピリジニウム誘導体を含む趣旨である。
ピリジニウム系カチオンとしては、例えば、1-エチルピリジニウムカチオン、1-プロピルピリジニウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-へキシルピリジニウムカチオン、1-エチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-へキシル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-オクチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-オクチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3,4-ジメチルピリジニウムカチオン、1,1-ジメチルピロリジニウムカチオン等のアルキルピリジニウムカチオンが挙げられる。
上記アルキルピリジニウムカチオンの各アルキル基の長さは、通常炭素数1~20であり、好ましくは1~8である。上記範囲であれば、相溶性と帯電防止性能のバランスに優れる傾向にある。これらの中でも特に好ましくは、1-オクチル-3-メチルピリジニウムカチオンである。
さらに、本発明に用いられるイオン性化合物(B)の融点は、25℃以上であることが好ましく、特に好ましくは30~200℃、さらに好ましくは40℃~150℃である。かかる融点が低すぎると、得られる粘着剤が可塑化して耐久性が低下する傾向にある。
なお、イオン性化合物(B)の融点は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定される。
上記イオン性化合物(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、3~30重量部であることが好ましく、特に好ましくは3~10重量部、さらに好ましくは3.5~8重量部である。かかる含有量が少なすぎると、帯電防止性能が低下する傾向にあり、多すぎると、粘着剤としたときに基材が加水分解を受けやすくなる傾向にある。
<任意成分:架橋剤(C)>
本発明の粘着剤組成物には、上記アクリル系樹脂(A)およびイオン性化合物(B)とともに、架橋剤(C)を含有することが好ましい。
架橋剤(C)は、基材との密着性を向上させたり、粘着剤の耐久性を向上させたりする点で好ましい。
かかる架橋剤(C)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、キレート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも基材との接着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
上記架橋剤(C)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート系架橋剤、1,3-キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート系架橋剤、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート等のジフェニルメタン系架橋剤、1,5-ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート系架橋剤等の芳香族系イソシアネート系架橋剤;イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート系架橋剤;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート系架橋剤;および上記イソシアネート系化合物のアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。
これらイソシアネート系架橋剤の中でも、トリレンジイソシアネート系架橋剤がポットライフと耐久性の点で好ましく、キシリレンジイソシアネート系架橋剤またはイソシアヌレート骨格含有イソシアネート系架橋剤がエージング時間短縮の点で好ましく、芳香環非含有イソシアネート系架橋剤が耐黄変性の点で好ましい。これらのなかで具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、およびヌレート体が、耐久性、ポットライフ、架橋速度のバランスに優れている点で好ましく、特に好ましくはトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体である。
また、上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
また、上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソホロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
上記カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、多官能カルボジイミド化合物やポリマー型カルボジイミド化合物等が挙げられる。
このような架橋剤(C)を用いる場合、その含有量は、耐久性等の点から、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01~20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.05~10重量部である。かかる含有量が少なすぎると、耐久性が低下しやすかったり、リワーク時に糊残りが発生したりする傾向がある。また、多すぎると応力緩和性が低下して液晶セル等の被着体が反りやすくなり画像表示装置に表示ムラがおこりやすくなる傾向がある。
<任意成分:シランカップリング剤(D)>
また、本発明の粘着剤組成物には、高温高湿環境下での耐久性を向上させる点で、さらにシランカップリング剤(D)を配合することが好ましい。
かかるシランカップリング剤(D)は、構造中に反応性官能基と、ケイ素原子と結合したアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物である。
上記反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基含、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基が挙げられ、これらの中でも、耐久性とリワーク性のバランスの点からメルカプト基、エポキシ基が好ましい。
上記ケイ素原子と結合したアルコキシ基としては、耐久性と保存安定性の点から炭素数1~8のアルコキシ基を含有することが好ましく、特に好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
シランカップリング剤(D)の、上記ケイ素原子と結合したアルコキシ基の含有量は、シランカップリング剤(D)全体に対し1~80重量%であることが好ましく、特に好ましくは5~60重量%、さらに好ましくは7.5~30重量%である。かかるケイ素原子と結合したアルコキシ基の含有量が少なすぎると、被着体との密着性が低下し、耐久性が低下する傾向があり、多すぎるとリワーク性が低下する傾向がある。
また、シランカップリング剤(D)の反応性官能基当量は、50~1000g/molであることが好ましく、特に好ましくは200~800g/mol、さらに好ましくは300~600g/molである。かかる反応性官能基当量が小さすぎるとリワーク性が低下する傾向があり、大きすぎると湿熱条件下での耐久性が低下する傾向がある。
なお、シランカップリング剤(D)は、反応性官能基およびケイ素原子と結合したアルコキシ基以外の有機置換基、例えば、アルキル基、フェニル基等の置換基を有していてもよい。
シランカップリング剤(D)の重量平均分子量は、2,000以上であることが好ましく、特に好ましくは2,500~25,000、さらに好ましくは5,000~20,000である。かかる重量平均分子量が小さすぎると、長期リワーク性が低下する傾向があり、大きすぎると相溶性が低下してブリードアウトしやすく、耐久性が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、下記の方法により測定したものである。
装置:ゲル浸透クロマトグラフィー
検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー社製 RI-8020型、感度32)
カラム:東ソー社製 TSKguardcolumn HHR-H(1本)(φ6mm× 4cm)、TSKgelGMHHR-N(2本)(φ7.8mm×30cm)
充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム温度:23℃流速:1.0mL/min
本発明で用いられるシランカップリング剤(D)としては、例えば、
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のエポキシ基含有シランカップリング剤や、上記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したシラン化合物であるオリゴマー型エポキシ基含有シランカップリング剤や、上記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型エポキシ基含有シランカップリング剤;
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤や、上記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したシラン化合物であるオリゴマー型メルカプト基含有シランカップリング剤や、上記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型メルカプト基含有シランカップリング剤;
3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;
等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐久性とリワーク性のバランスに優れる点から、エポキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤が好ましく用いられ、エポキシ基含有シランカップリング剤とメルカプト基含有シランカップリング剤を併用することも、湿熱耐久性の向上と粘着力が上がり過ぎない点で好ましい。
また、シランカップリング剤(D)は、モノマー型のシランカップリング剤でも、一部が加水分解し重縮合したオリゴマー型シランカップリング剤でもよいが、耐久性やリワーク性に優れる点や、粘着剤の塗工後の乾燥時に揮発しにくい点で、オリゴマー型シランカップリング剤を用いることが好ましい。
本発明で用いることのできるシランカップリング剤(D)として、具体的には、下記の市販品のものが挙げられる。
例えば、信越化学工業社製、「X-41-1059A」(重量平均分子量:2,270、含有官能基:エポキシ基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基:メトキシ基およびエトキシ基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基量:42重量%、官能基当量:350g/mol)、「X-41-1805」(重量平均分子量:3,450、含有官能基:メルカプト基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基:メトキシ基およびエトキシ基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基量:50重量%、官能基当量:800g/mol)、「X-24-9579A」(重量平均分子量:2,370、含有官能基:メルカプト基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基:メトキシ基、官能基当量:510g/mol)、「X-24-9589」(重量平均分子量:4,700、含有官能基:エポキシ基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基:エトキシ基、官能基当量:680g/mol)、「X-24-9590」(重量平均分子量:13,700、含有官能基:エポキシ基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基:メトキシ基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基量:9.5重量%、官能基当量:592g/mol)、「X-41-1818」(重量平均分子量:2,350、含有官能基:メルカプト基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基:エトキシ基、含有ケイ素原子結合アルコキシ基量:60重量%、官能基当量:850g/mol)等が挙げられる。これらの中でも耐久性の点から「X-41-1059A」、「X-24-9579A」、「X-24-9590」が好ましい。
上記シランカップリング剤(D)を用いる場合、その含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.001~2重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.005~1重量部、さらに好ましくは0.01~0.5重量部、殊に好ましくは0.015~0.3重量部である。かかる含有量が少なすぎるとリワーク性が低下する傾向があり、多すぎるとシランカップリング剤がブリードして耐久性が低下する傾向がある。
<その他の任意成分>
さらに、本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として、樹脂成分、アクリルモノマー、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、架橋促進剤、ラジカル発生剤、過酸化物、ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、顔料、安定化剤、充填剤等の各種添加剤、金属および樹脂粒子等を配合することができる。また、上記の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
上記その他の任意成分を用いる場合、その含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向がある。
このようにして、アクリル系樹脂(A)およびイオン性化合物(B)、必要に応じて、架橋剤(C)、シランカップリング剤(D)、さらにその他の任意成分を混合することにより、本発明の粘着剤組成物を得ることができる。
なお、これらの成分の混合方法については、特に限定されるものではなく、各成分を一括で混合する方法や、任意の成分を混合した後、残りの成分を一括または順次混合する方法等、種々の方法を採用することができる。
本発明の粘着剤組成物は、硬化(架橋)させることにより粘着剤とすることができ、さらに、かかる粘着剤からなる粘着剤層を光学部材(光学積層体)上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材面とは逆の面に、さらに離型シートを設けることが好ましい。
上記粘着剤層付き光学部材の製造方法としては、
[1]光学部材上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、離型シートを貼合し、常温(「非加温下」という趣旨である、以下同じ)または加温状態の少なくとも一方でのエージングによる処理を行う方法、
[2]離型シート上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、光学部材を貼合し、常温または加温状態の少なくとも一方でのエージングによる処理を行う方法、
等が挙げられる。
これらの中でも、[2]の方法で、常温状態でエージングする方法が、光学部材を傷めない点、光学部材との接着性に優れる点で好ましい。
なお、上記において、光学部材としては、偏光板である場合に特に有効であるが、光学部材以外の被着体に粘着剤層を形成する場合にも上記方法を用いることができる。
かかるエージング処理は、粘着剤の化学架橋の反応時間として、粘着物性のバランスをとるために行うものであり、エージングの条件としては、温度は20~70℃、時間は通常1~30日間であり、具体的には、例えば23℃で1~20日間、23℃で3~10日間、40℃で1~7日間等の条件で行えばよい。
上記粘着剤組成物の塗布に際しては、この粘着剤組成物を溶媒に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、固形分濃度として、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは10~30重量%である。
上記溶媒としては、粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されることはなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶媒を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、上記粘着剤組成物の塗布に関しては、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行われる。
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と偏光度低下抑制の点から30~97重量%であることが好ましく、特に好ましくは35~95重量%、さらに好ましくは50~90重量%である。ゲル分率が低すぎると高温環境下で発泡が生じる傾向にあり、高すぎると浮きや剥がれが生じやすくなる傾向にある。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、光学部材、とりわけ偏光板等の基材に粘着剤層が形成されてなる粘着フィルムから粘着剤をピッキングにより採取し、粘着剤を200メッシュのSUS製金網で包み、23℃に調整した酢酸エチル中に24時間浸漬することにより、酢酸エチル浸漬前の粘着剤層の重量に対する、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。
上記方法により製造される粘着剤層は、指で触れたときにほどよいタック感があった方が、実際に被着体に貼る際の濡れ性が良好となり、作業性が向上する傾向がみられ好ましい。
また、本発明において、粘着剤層の厚みは、耐久性の点から5~100μmが好ましく、特には10~50μmが好ましく、さらには10~30μmが好ましい。
かかる粘着剤層の厚みが薄すぎると、偏光板用粘着剤として、充分な応力緩和性を有せず、耐久性が低下する傾向にあり、厚すぎると水分の浸入が多くなり湿熱耐久性が低下する傾向がある。
本発明の粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層の電気特性としては、表面抵抗値が低いことが静電気対策として好ましく、特に好ましくは5.0×1010Ω/cm2未満、さらに好ましくは3.0×109Ω/cm2未満、殊に好ましくは1.0×109Ω/cm2未満である。また、下限値は、通常1.0×107Ω/cm2、好ましくは5.0×107Ω/cm2である。かかる表面抵抗値が高すぎると、粘着剤が帯電しやすく液晶セルによる表示等の画像表示用途として使用した際に静電気による表示ムラが発生しやすくなる傾向にある。また、低すぎると、タッチパネル用途に使用した際に誤作動が生じやすくなる傾向にある。
本発明において、粘着剤層付き光学部材、とりわけ粘着剤層付き偏光板は、直接あるいは離型シートを有するものは離型シートを剥がした後、粘着剤層面をガラス基板等に貼合して、例えば液晶表示板等の画像表示装置に供されるものである。
本発明の粘着剤組成物は、高温環境下においても高い帯電防止性能と耐久性を両立できる粘着剤を得ることができるものであり、光学部材用粘着剤、特には偏光板とガラス基板等を貼り合わせる偏光板用粘着剤として有用である。
偏光板を構成する保護フィルムとしては、トリアセチルセルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、シクロオレフィン系フィルム等が挙げられ、本発明はいずれの保護フィルムを用いた偏光板に対しても好適に用いられるが、特には、シクロオレフィン系フィルムを積層してなる偏光板が、本発明の効果が得られやすい点で好ましい。
また、上記粘着剤を用いることにより、偏光板と液晶セル等とを貼り合わせて液晶表示装置等の画像表示装置を作製することができる。得られる画像表示装置は、精度よく作製でき、耐久性に優れたものとなる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
<アクリル系樹脂(A)>
まず、下記のようにしてアクリル系樹脂(A)を調製した。なお、アクリル系樹脂(A)の粘度、重量平均分子量、分散度に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、n-ブチルアクリレート(a1)91.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a2)8部、アクリル酸(a2)0.7部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を、この混合物の沸点まで上昇させて反応を開始させた。ついでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下しながら還流下、3.25時間反応させた後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A)溶液(固形分27.9%、粘度8,060mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(A):重量平均分子量112万、分散度4.17)を得た。
<イオン性化合物(B)>
イオン性化合物(B)として、以下のものを用いた。
(B-1):1-オクチル-3-メチルピリジニウムオキサラトボレート
(B'-1):トリブチルメチルアンモニウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
(B'-2):リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
(B'-3):テトラアルキルアンモニウムN,N-ビス(フルオロスルホニル)イミド
(B'-4):1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
(B'-5):ジノニルジメチルアンモニウムチオシアネート
(B'-6):1-オクチル-3-メチルピリジニウムノナフルオロブタン-1スルホネート
<架橋剤(C)>
架橋剤(C)として、以下のものを用いた。
(C):トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー社製、コロネートL55E)
<シランカップリング剤(D)>
シランカップリング剤(D)として、以下のものを用いた。
なお、シランカップリング剤(D)の重量平均分子量に関しては、前述の方法にしたがって測定した。また、アルコキシ基含有量、反応性官能基、エポキシ当量またはメルカプト当量、含有アルコキシ基については、断りのない限りカタログ値を採用した。
(D):「X-24-9590」と「X-41-1059A」の1:1(重量比)混合物
・「X-24-9590」:信越化学工業社製、含有反応性官能基:エポキシ基、官能基当量:592g/mol、含有アルコキシ基:メトキシ基、アルコキシ基含有量:9.5%、重量平均分子量:13,700、分散度:3.44
・「X-41-1059A」:信越化学工業社製、含有反応性官能基:エポキシ基、反応性官能基当量:350g/mol、含有アルコキシ基:メトキシ基およびエトキシ基、アルコキシ基含有量:42%、重量平均分子量:2,270、分散度:1.86
<実施例1、比較例1~6>
上記の成分を、下記の表1にしたがって配合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を15%に調整することにより、粘着剤組成物を得た。
Figure 0007137120000002
得られた粘着剤組成物を用い、評価のためのサンプルを作製して、その性能を評価した。以下に、評価項目別にその詳細を説明する。そして、評価結果を、後記の表2に示す。
<耐久性>
[サンプル]
得られた粘着剤組成物を厚み38μmの離型シート(東レ社製、セラピールWZ)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥したのち、トリアセチルセルロース(TAC)系フィルムを両面に積層した偏光板の一方のTAC系フィルム表面に、離型シートと反対側の粘着剤層面を貼り合わせ、23℃×50%RHの環境下で7日間エージングし、粘着剤層付き偏光板[I]を得た[層構成:離型シート/粘着剤層/TAC系フィルム1/偏光板/TAC系フィルム2]。
なお、上記のTAC系フィルムはトリアセチルセルロース系フィルムであり、TAC系フィルム1の厚みは40μm、TAC系フィルム2の厚みは40μmである。
上記粘着剤層付き偏光板[I]を165mm×95mmにカットし、その離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG、厚み1.1mm)に押しつけ、2kgローラーにて2往復して貼り合わせた。そして、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行うことにより、耐久性試験用のサンプルとした。
[評価方法]
得られたサンプルを、105℃×250時間の条件で暴露した後、偏光板の品質が損なわれていないかどうかについて、下記の評価基準で評価した。
[評価基準]
○・・・偏光板の辺部に浮きが見られない
△・・・偏光板の辺部に浮きが見られる
×・・・偏光板の全面に発泡もしくは大部分に浮きが見られる
<帯電防止性能>
[サンプル]
耐久性評価に用いたと同様の粘着剤層付き偏光板[I]を、帯電防止性能評価用のサンプルとした。
[評価方法]
まず、上記サンプルを、23℃×50%RHの雰囲気下で24時間静置した後、粘着剤層の離型シートを外し表面抵抗率測定装置(三菱化学アナリテック社製、Hiresta-UP MCP-HT450)を用いて粘着剤層の表面抵抗率(Ω/cm2)を測定した。そして、下記の評価基準で評価した。
[評価基準]
◎・・・1.0×109Ω/cm2未満
〇・・・1.0×109Ω/cm2以上3.0×109Ω/cm2未満
△・・・3.0×109Ω/cm2以上5.0×109Ω/cm2未満
×・・・5.0×109Ω/cm2以上
<リワーク性>
[サンプル]
耐久性評価に用いたと同様の粘着剤層付き偏光板[I]を25mm幅にカットし、その離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG、厚み1.1mm)に押しつけ、2kgローラーにて2往復して貼り合わせた。そして、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行うことにより、耐久性試験用のサンプルとした。
[評価方法]
まず、上記サンプルを、23℃×50%RHの雰囲気下で20日間静置した後、引き剥がし角度180°、300mm/分の剥離速度で引き剥がしたときの粘着力を測定した。そして、下記の評価基準で評価した。
[評価基準]
〇・・・15N/25mm未満かつ糊残りなし
×・・・15N/25mm以上または糊残り有り
<ゲル分率>
[サンプル]
耐久性評価に用いたと同様の粘着剤層付き偏光板[I]を、ゲル分率を求めるためのサンプルとした。
[評価方法]
まず、上記サンプルの離型シートを剥離し、粘着剤層面から粘着剤をピッキングしてSUS製の200メッシュ金網で包んだ後、23℃に調整した酢酸エチルに24時間浸漬した。そして、酢酸エチル浸漬前の粘着剤層の重量に対する、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率(%)とした。
Figure 0007137120000003
上記の結果より、イオン性化合物(B)としてピリジニウム系カチオンとビスオキサラトボレートアニオンからなる塩を用いた実施例1品は、高温環境下で高い耐久性と帯電防止性能を兼ね備えたものであることがわかる。
一方、イオン性化合物(B)として、ピリジニウム系カチオンとビスオキサラトボレートアニオンとの組み合わせから外れたものを用いた比較例1~6品は、高い耐久性と帯電防止性能を兼ね備えたものがなく、少なくとも一方の性能が低いことがわかる。
そして、本発明の実施例品である粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層付き偏光板が、高い耐久性と帯電防止性能を兼ね備えていることから、上記粘着剤層を介して偏光板と液晶セル等の画像表示用部材とを貼り合わせてなる画像表示装置は、優れた品質のものとなると思われる。
本発明の粘着剤組成物は、偏光板(保護フィルム)と液晶セルのガラス面や導電層の金属面等との貼り合わせに用いる粘着剤として使用した際に、高温環境下においても、優れた耐久性を示し、かつ帯電防止性能にも優れていることから、各種のディスプレイやそれを構成する画像表示用部材を貼り合せるための粘着剤、特に、偏光板と液晶セル等のガラス基板や導電層を備えた基板等とを貼り合わせるための偏光板用粘着剤として有用である。

Claims (11)

  1. アクリル系樹脂(A)およびイオン性化合物(B)を含有する粘着剤組成物を用いてなる粘着剤であって、
    アクリル系樹脂(A)が、極性基含有モノマー(a2)を1~25重量%含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂であり、
    イオン性化合物(B)が、ピリジニウム系カチオンとビスオキサラトボレートアニオンからなる塩であり、
    前記粘着剤の表面抵抗値が1.0×107Ω/cm2以上、5.0×1010Ω/cm2未満であり、ゲル分率が30~90重量%であることを特徴とする粘着剤
  2. イオン性化合物(B)の融点が30~200℃であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤
  3. イオン性化合物(B)のピリジニウム系カチオンが、N-アルキルピリジニウムカチオンであることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤
  4. イオン性化合物(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、3~30重量部であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤
  5. アクリル系樹脂(A)が、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(a1)および極性基含有モノマー(a2)を含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤
  6. 極性基含有モノマー(a2)が水酸基含有モノマーおよびカルボキシ基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の粘着剤
  7. 粘着剤組成物が、さらに、架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤
  8. 粘着剤組成物が、さらに、シランカップリング剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の粘着剤
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の粘着剤が、架橋剤(C)により架橋されてなることを特徴とする粘着剤
  10. 請求項9記載の粘着剤を用いてなることを特徴とする偏光板用粘着剤
  11. 請求項9記載の粘着剤で、偏光板と画像表示部材とを貼り合わせてなることを特徴とする画像表示装置。
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