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JP4705759B2 - 制震壁及び制震構造物 - Google Patents

制震壁及び制震構造物 Download PDF

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この発明は、構造物の地震応答や風荷重応答を制御し又は抑制する制震壁の技術分野に属し、更に言えば、壁材に低降伏点鋼で製作された波形鋼板又は合成波形鋼板を使用した制震壁、及び前記の制震壁を具備する制震構造物に関する。
地震や風によって構造物に発生する振動エネルギを吸収させて構造物の応答を制御し又は抑制する制震壁、及び制震構造物としては、従来、
a)例えば下記特許文献1に開示されたように、水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内に組み入れた壁板と周辺枠を連結する部分にエネルギ吸収機構を設けた構造形式。
b)下記特許文献2に開示されたように、塑性エネルギの吸収能力が大きい低降伏点鋼で製作した壁板を水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内に組み入れた構造形式。
c)下記特許文献3に開示されたように、水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内の上半部に上辺フレームに固定した上半壁を設け、下半部には下辺フレームに固定した下半壁壁を設け、上半壁と下半壁との境界部分に極低降伏点鋼等で製作した履歴減衰部材を組み入れた構造形式。
d)下記特許文献4及び5に開示されたように、水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内の下辺フレームに粘性流体を収容した外容器壁を固定し、上辺フレームには前記外容器壁内に位置して粘性流体の粘性抵抗を受ける抵抗壁板を固定した粘性壁形式。
などが知られ、或いはこうした構造形式の制震壁を採用した制震構造物が知られている。
特開2003−172041号公報 特開2001−317227号公報 特開平11−241525号公報 特開平11−71935号公報 特開2000−27485号公報
上述した従来の制震壁には、次のような欠点、問題点が認められる。
上記特許文献1の制震壁は、周辺架構と壁板との連結手段が特殊な構造のエネルギ吸収機構で構成されているから、高価なものである上に、メカニックな機構部分が長期の供用期間における品質保証が充分にできるか不安である。また、周辺架構と壁板との連結作業にはそれなりに熟練した専門技術を要する。
上記特許文献2の制震壁は、低降伏点鋼による壁板を柱梁架構の面内に組み込み、上下の梁と接合する構成である点を注目できるが、具体的には同公報の図3に記載されているように、矩形のフレーム内に低降伏点鋼による剪断パネルを設置するが、縦リブ、及び横リブで補強した制震パネルとして構成すると共に、上辺と下辺には上下の梁と接合するための接合プレートを設けた構成で実施される。つまり、柱梁架構の構面を全て低降伏点鋼板で構成するときは、面外力や座屈に配慮した強度及び剛性の設計の結果として、降伏耐力が大きくなり、柱梁架構への影響が大きくなって、これらの強度を大きくしなければならない(同公報の段落番号[0007])。その解決策として、低降伏点鋼板を前記制震パネルとして製作するときは、大変高価な制震壁になってしまい、普遍性に乏しいという問題点がある。
上記特許文献3の制震壁は、周辺架構の上辺フレームに上半壁を固定し、下辺フレームに下半壁を固定し、上半壁と下半壁との境界部分に極低降伏点鋼等で製作した履歴減衰部材を組み入れるという手順が要求される上に、履歴減衰部材の上縁に剪断抵抗板を取り付け、この剪断抵抗板を挟む剪断力伝達部材を上半壁の下縁に固定して設ける等々、構造の複雑さ、取り付け設置作業の面倒さがある。
上記特許文献4、5の制震壁は、粘性流体を収容した外容器壁と、前記外容器壁内に位置して粘性流体の粘性抵抗を受ける抵抗壁板を固定したいわゆる粘性壁構造であるから、先ず粘性流体の恒久的な品質保証を如何にして達成するかの問題、及び粘性流体を収容した外容器壁、及び前記外容器壁内に位置して粘性流体の粘性抵抗を受ける抵抗壁板の関係を保持しつつ、如何にして周辺架構の面内へ組み込むかの技術的な問題が大きい。
ところで、波形鋼板の力学的特性について着目すると、次の特徴が認められる。なお、本発明で言う波形鋼板とは、JIS規格では「鋼板製波板」と記載され、現業では単に折り板とか波板とも称されているもので、断面形状としては図9A〜Dに例示した台形波形状(A)、矩形波形状(B)、三角波形状(C)、円弧波形状(D)などを包含する。
(剪断力に対して)
図6に例示したように、波形鋼板は、折り板になっている一枚一枚が剪断力に対して抵抗し、その集合としての全体が剪断力に抵抗する。折り板になっているので、剪断座屈長さが短く、その剪断強度を平板と比較した場合、剪断耐力ははるかに大きい。しかも、剪断耐力及び剛性は、鋼板の材質固有の強度のほか、板厚の大きさ、折り板のピッチ及び波高の大きさにより、かなり自由に制御可能である。
(軸力及び曲げに対して)
波形鋼板は折り板になっているので、波形の筋に直角な軸力に対しては、図7に例示したようにアコーディオンのごとく自由に伸び縮みして、平板に比較すると剛性、耐力ははるかに小さい。また、波形面内の曲げに対しても、図8に例示したようにアコーディオンのごとく自由に伸び縮みし、平板に比較すると剛性、耐力ははるかに小さい。
一方、波形の筋に直角な方向の面外力(曲げ及び剪断)に対する剛性、耐力は、折り板になっているので充分に大きい。しかし、波形の筋に平行な方向の面外曲げ及び剪断に対しては、折り板になっているが故に抵抗は小さいのである。
そこで本発明の目的は、上記した力学特性を有する波形鋼板を低降伏点鋼で製作し、又は普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で壁板に使用することにより、面内の曲げ及び剪断に対する剪断耐力及び剛性が大きく、しかもその設計自由度が高く、剪断変形時の塑性エネルギ吸収能力が大きい制震壁を提供することである。
本発明の次の目的は、波形鋼板を低降伏点鋼で製作し、又は普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で壁板に使用することにより、面外の曲げ及び剪断に対する抵抗が小さく、また、周辺架構の柱が施工時荷重によって、又は鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であるが故のコンクリートのクリープ、乾燥収縮により軸方向の縮みを起こしても、壁板が軸力を負担することがなく、力学性状に悪影響を及ぼすことがなく、地震時の剪断変形に対して良好な制震機能を発揮する制震壁を提供することである。
本発明の更なる目的は、上記の如く波形鋼板を低降伏点鋼で製作し、又は普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で壁板に使用した制震壁を具備する制震構造物を提供することである。
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る制震壁は、水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内に、低降伏点鋼で製作された波形鋼板が、その波形の筋を水平方向に向けた配置で組み入れられ、前記波形鋼板の横辺だけ が周辺架構の梁と水平力の伝達が可能に接合されたことを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係る制震壁は、前記波形鋼板の縦辺とこれに相対峙する周辺架構の内面との間に剪断変形を許容する隙間を設け、又は前記隙間に剪断変形吸収部材が充填されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明に係る制震壁は、水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内に、普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板が、その波形の筋を水平方向に向けた配置で組み入れられ、周辺架構と合成波形鋼板とが水平力の伝達が可能に接合されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明に係る制震壁は、前記合成波形鋼板の縦辺とこれに相対峙する周辺架構の内面との間に剪断変形を許容する隙間を設け、又は前記隙間に剪断変形吸収部材が充填されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明に係る制震壁は、波形鋼板又は合成波形鋼板と周辺架構との接合は、周辺架構が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である場合、波形鋼板又は合成波形鋼板の周辺部にスタッドを設けてコンクリート部分の中へ埋め込み水平力の伝達が可能に接合されていることを特徴とする。
請求項6に記載した発明に係る制震壁は、波形鋼板又は合成波形鋼板と周辺架構との接合は、周辺架構が現場打ち又はプレキャスト製の鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨鉄筋コンクリート造、又は鉄骨造である場合、周辺架構から架構面内に向かって設けられたジョイント部材と波形鋼板又は合成波形鋼板の周辺部とがボルト止め又は溶接で水平力の伝達が可能に接合されていることを特徴とする。
請求項7に記載した発明に係る制震構造物は、請求項1〜6の何れか1項に記載した制震壁を具備することを特徴とする。
本発明の制震壁は、面内の曲げ及び剪断力に対する剪断耐力と剪断剛性に優れる上に、剪断耐力および剪断剛性の制御の自由度が大きい波形鋼板を低降伏点鋼で製作し、又は普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で壁板に使用した構成であるから、剪断変形時の塑性エネルギ吸収能力が大きく、しかも軽量であり、現場での取り付け施工が簡単で容易である。
本発明の制震壁は、波形鋼板を低降伏点鋼で製作し、又は普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で壁板に使用した構成であり、面外の曲げ及び剪断に対する抵抗が小さいから、この意味でも、制震壁の設計の自由度が大きいのである。
更に本発明の制震壁は、周辺架構の柱が施工時荷重によって、又は鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であるが故のコンクリートのクリープ、乾燥収縮により軸方向の縮みを起こしても、壁板は軸力を負担せず、制震壁としての力学性状に悪影響を及ぼさず、地震時の剪断変形に対して良好な制震機能を発揮するのである。
本発明の制震構造物は、上記の如く波形鋼板を低降伏点鋼で製作し、又は普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で壁板に使用した制震壁を具備するから、制震壁の設計自由度が高く、構造物の躯体重量を大幅に軽減でき、また、現場における制震壁の取り付け施工を簡単、容易に行えるのである。
水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内に、低降伏点鋼で製作された波形鋼板、又は普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で組み入れ、周辺架構と波形鋼板とを水平力の伝達が可能に接合して実施する。
図1A、Bは、請求項1記載の発明に係る制震壁の実施例を示す。
水平力で層間変形を発生する周辺架構の代表例として示した、柱1と梁2とから成る柱梁架構の架構面内に、低降伏点鋼で製作された波形鋼板3を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で組み入れ、柱梁架構1、2と波形鋼板3とを水平力の伝達が可能に接合した構成である。
上記の特許文献2でも説明したが、低降伏点鋼板を大きな壁板として使用する場合は、通常、剪断座屈を防止するために多くの補強リブを組み入れる必要があるが、本発明で採用した波形鋼板3は基本的に折り板形状であるが故に剪断座屈長さが短く、その剪断強度を平板と比較した場合、剪断耐力ははるかに大きいので基本的に補強リブを組み入れる必要はないが、仮に必要になったとしても補強リブは少なくて済む。
それでいて、水平力に対しては、上述したように、波形鋼板3の折り板になっている一枚一枚が剪断力に対して抵抗し(図6)、その集合としての全体が剪断力に抵抗し、低降伏点鋼板に特有の剪断降伏を生じて、入力した地震エネルギを吸収し、外力の制御を可能にすると共に、波形鋼板3の履歴ダンパー効果によって構造物の変形を制御可能である。その荷重−変形関係を例示すると、図2に示したように、高耐力で変形を吸収する能力に余裕があり、靱性に優れた性状を発揮する。
しかも波形鋼板3は折り板になっているので、剪断耐力及び剛性は、鋼材の材質固有の強度のほか、板厚の大きさ(通例9mm〜22mm程度)、波形のピッチ(通例500mm〜700mm程度)及び波高の大きさ(通例80mm〜150mm程度)、波形鋼板3の重ね合わせ枚数などの設計如何により、かなり自由に制御可能である。
また、波形鋼板3は折り板になっているので、波形の筋に直角な軸力、即ち鉛直力に対してはアコーディオンのごとく自由に伸び縮みし(図7)、平板に比較すると剛性、耐力ははるかに小さい。波形面内の曲げに対しても、アコーディオンのごとく自由に伸び縮みするので(図8)、平板に比較すると剛性、耐力ははるかに小さい。したがって、柱梁架構1、2の柱1が施工時荷重によって、又は鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であるが故のコンクリートのクリープ、乾燥収縮により軸方向の縮みを生じても、波形鋼板3は軸力を負担せず、制震壁としての力学性状に悪影響を受けることはないから、施工時及び供用時において附加軸力が導入されることはなく、波形鋼板3の剪断座屈強度及び靱性は高く維持され、地震時の剪断変形に対しては経年変化を生ずることなく良好な制震機能を発揮する。
一方、波形の筋に直角な方向の面外力(曲げ及び剪断)に対する剛性、耐力は、折り板になっているので充分に大きいが、波形の筋に平行な方向の面外力(曲げ及び剪断)に対しては、折り板になっているが故に抵抗は小さい。よって、上記構成の制震壁を直交する2方向に配置する場合の設計の自由度は極めて高いのである。
次に、上述した柱梁架構1、2と波形鋼板3との水平力の伝達が可能な接合は、基本的には上下の梁2と波形鋼板3の横辺との接合が行われる。波形鋼板3と左右の柱1との接合は、行うとしても補助的な接合である。
波形鋼板3と周辺架構とを接合する手段としては、周辺架構が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である場合は、既往技術として知られているので図示を省略したが、波形鋼板3の周辺部に例えばスタッド等の剪断力伝達要素を設けて鉄筋コンクリート造部分の中へ埋め込み水平力の伝達が可能に接合する構成が好適に実施される(請求項3に記載した発明)
周辺架構が現場打ち又はプレキャスト製の鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造、若しくは鉄骨造である場合は、やはり既往技術として知られているので図示することは省略したが、周辺架構から架構面内に向かって突き出るジョイント部材を設け、このジョイント部材と波形鋼板3の周辺部とをボルト止め又は溶接等の手段で水平力の伝達が可能に接合する(請求項4に記載した発明)。
上記したように、波形鋼板3と柱1との接合は、行うとしても補助的な接合でしかないと説明したが、図3に示した実施例のように、波形鋼板3の縦辺とこれに相対峙する柱1の内面との間に剪断変形を許容する隙間4を積極的に設けて、大変形時におけるコンクリート造柱のコンクリート部分が波形鋼板3によって局部破壊されことを防止する構成で実施することも好ましい。但し、前記のような構成にすると、波形鋼板3は隙間4の分だけ制震壁としての剪断剛性及び耐力は低下する。その対策として、前記隙間4の部位に発泡スチロール成形品等の剪断変形伝達部材を充填して、いわゆる柔接合構造で実施することも好ましい(請求項5に記載した発明)。
次に、図4A、Bは、請求項2記載の発明に係る制震壁の実施例を示す。
水平力で層間変形を発生する周辺架構として例示した柱梁架構1、2の架構面内に、普通鋼板で製作された波形鋼板5における波形の一部分を低降伏点鋼板6と置換して成る合成波形鋼板とし、この合成波形鋼板を、その波形の筋を水平方向に向けた配置で組み入れ、柱梁架構1、2と合成波形鋼板5、6とを水平力の伝達が可能に接合した構成である。
普通鋼板で製作された波形鋼板5における波形の一部分を低降伏点鋼板6と置換して成る合成波形鋼板の一例として図3Bに示したものは、波形の山の部分(又は逆に谷の部分。)を切除して、そこに低降伏点鋼板6を溶接等の手段で接合して置き換え一体化した構成である。この場合にも、低降伏点鋼板6は波形形状をなす波形鋼板5における波形の一部分、即ち、波形の山の部分(又は逆に谷の部分。)を形成するにすぎないので、補剛リブ又は補強リブを組み入れて剪断座屈を防止する配慮は必要ない。
この合成波形鋼板5、6による制震壁は、当然のことながら、普通鋼板で製作された波形鋼板5に特有の剛性と耐力、及び低降伏点鋼板6に特有の剪断降伏により、高耐力でしかもエネルギ吸収能力が大きく、靱性に優れた制震機能を発揮する。
なお、上記実施例3の場合にも、上記実施例1と同様に、合成波形鋼板を構成する普通鋼板で製作された波形鋼板5及びその一部をなす低降伏点鋼板6それぞれの板厚、重ね合わせ枚数、波形のピッチと波高、鋼板強度の適切な設計により剛性と耐力の大きさが適切に制御される(請求項5に記載した発明)。
また、合成波形鋼板と周辺架構の接合方法、及び剪断変形を許容する隙間の形成と、前記隙間を剪断変形吸収部材で充填すること等々は、全く同様な条件で実施される。
最後に、図5A、Bは、上述の請求項1〜6に記載した発明に係る制震壁を適用した構造物の一例を示す。
図中の符号10が上記波形鋼板3又は合成波形鋼板による制震壁を指し、同制震壁10が構造物のフレーム架構の中にいわば市松模様状の配置に組み込まれた実施例を示す。勿論、制震壁10の適用例は図示の限りではなく、コア部その他へ組み込んで実施することができる。
AとBは本発明に係る制震壁の実施例1を示した立面図と断面図である。 図1の制震壁の荷重−変形関係を示す性能図である。 本発明に係る制震壁の実施例2を示した立面図である。 AとBは本発明に係る制震壁の実施例3を示した立面図と断面図である。 AとBは本発明に係る制震壁を適用した構造物の立面図と水平断面図である 。 波形鋼板の剪断変形の状態を模式的に示した斜視図である。 波形鋼板の軸圧縮の状態を示した説明図である。 波形鋼板の曲げの状態を示した説明図である。 A〜Dは波形鋼板の異なる断面形状を示した説明図である。
1 柱
2 梁
3 波形鋼板
4 隙間
5 普通鋼で製作した波形鋼板
6 低降伏点鋼板
10 制震壁

Claims (7)

  1. 水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内に、低降伏点鋼で製作された波形鋼板が、その波形の筋を水平方向に向けた配置で組み入れられ、前記波形鋼板の横辺だけが周辺架 構の梁と水平力の伝達が可能に接合されたことを特徴とする、制震壁。
  2. 前記波形鋼板の縦辺とこれに相対峙する周辺架構の内面との間に剪断変形を許容する隙間を設け、又は前記隙間に剪断変形吸収部材が充填されていることを特徴とする、請求項1に記載した制震壁。
  3. 水平力で層間変形を発生する周辺架構の面内に、普通鋼板で製作された波形鋼板における波形の一部分を低降伏点鋼板と置換して成る合成波形鋼板が、その波形の筋を水平方向に向けた配置で組み入れられ、周辺架構と合成波形鋼板とが水平力の伝達が可能に接合されていることを特徴とする、制震壁。
  4. 前記合成波形鋼板の縦辺とこれに相対峙する周辺架構の内面との間に剪断変形を許容する隙間を設け、又は前記隙間に剪断変形吸収部材が充填されていることを特徴とする、請求項3に記載した制震壁。
  5. 波形鋼板又は合成波形鋼板と周辺架構との接合は、周辺架構が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である場合、波形鋼板又は合成波形鋼板の周辺部にスタッドを設けてコンクリート部分の中へ埋め込み水平力の伝達が可能に接合されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載した制震壁。
  6. 波形鋼板又は合成波形鋼板と周辺架構との接合は、周辺架構が現場打ち又はプレキャスト製の鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨鉄筋コンクリート造、又は鉄骨造である場合、周辺架構から架構面内に向かって設けられたジョイント部材と波形鋼板又は合成波形鋼板の周辺部とがボルト止め又は溶接で水平力の伝達が可能に接合されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載した制震壁。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載した制震壁を具備することを特徴とする、制震構造物。
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