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JP5305756B2 - 波形鋼板を用いた制振壁 - Google Patents

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Description

本発明は、地震や風等による建造物の揺れを低減するための制振壁に関し、特に、波形鋼板と粘弾性体ダンパを備えた制振壁に関する。
従来から、大地震時及び小地震時や風荷重による建造物の広域振幅の振動を低減することを目的とした制振システムの開発が進められている。このような制振システムの一例として、建造物の架構の面内に配置された鋼材系履歴型ダンパと、この鋼材系履歴型ダンパに対して直列状に接続された粘弾性体ダンパとを備えた制振架構が提案されている(例えば特許文献1参照)。この制振架構は、小地震や風荷重による小振幅の振動に対して、粘弾性体ダンパの減衰特性により、振動エネルギーを吸収することができる。また、大地震による大振幅の振動に対して、粘弾性体ダンパに備えられたストッパ等により、粘弾性体ダンパの変形を抑制すると共に、鋼材系履歴型ダンパの弾塑性履歴特性により、振動エネルギーを吸収することができる。
特開平10−280727号公報
弾塑性履歴特性を持つ部材としては、鋼材系履歴ダンパ以外にも波形鋼板がある。したがって、波形鋼板と、この波形鋼板に直列状に接続された粘弾性体ダンパとを備えた制振壁が考えられる。この制振壁によれば、小地震や風荷重による小振幅の振動に対して、前述の制振架構と同様に、粘弾性体ダンパの減衰特性により、振動エネルギーを吸収することができる。また、大地震による大振幅の振動に対して、波形鋼板の弾塑性履歴特性により、振動エネルギーを吸収することができる。
しかしながら、波形鋼板を用いた制振壁には、機能面について問題が生じる可能性があった。すなわち、粘弾性体ダンパの振動エネルギーの吸収性能が十分発揮されない可能性があった。
具体的には、高層建造物といったアスペクト比が大きい建造物は、地震や風等による振動を受けると、曲げ変形が卓越する傾向にある。また、鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート構造物は、梁やスラブなどに積載荷重や自重が持続して加えられると、時間の経過と共に撓みが増大する。すなわち、クリープ現象が発生する。さらに、波形鋼板は、波形方向(鉛直方向)に対して低剛性で変形できる特性を有することから、地震や風等による振動を受けると、水平変形及び鉛直変形を伴うロッキング変形が生じる。一方、水平一方向にしかクリアランスを持たない粘弾性体ダンパは、水平方向のみ粘弾性体の変形を許容するものであるため、これら水平変形や鉛直変形を伴うロッキング変形が生じると、当該粘弾性体ダンパに備えられたストッパ等が周辺部材等と干渉することで、粘弾性体の変形が阻害されるケースがあった。そのため、この制振壁は、小振幅の振動エネルギーを吸収できない可能性があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大地震時及び小地震時や風荷重による建造物の広域振幅の振動を低減し、且つ、建造物の曲げ変形、クリープ変形、又はロッキング変形に対しても、粘弾性体ダンパの振動エネルギーの吸収性能を発揮できる、波形鋼板を用いた制振壁を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の波形鋼板を用いた制振壁は、折り筋が水平になるように設置面に立設された波形鋼板と、当該波形鋼板の鉛直方向の端部に直列に接続された小振幅用減衰手段と、を備えた波形鋼板を用いた制振壁であって、前記小振幅用減衰手段の水平変形を所定の第1許容量まで許容する第1空間部と、前記小振幅用減衰手段の鉛直変形を所定の第2許容量まで許容する第2空間部と、前記小振幅用減衰手段の水平変形が前記第1許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第1許容量を越えて水平変形することを抑制する水平変形抑制手段と、前記小振幅用減衰手段の鉛直変形が前記第2許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第2許容量を越えて鉛直変形することを抑制する鉛直変形抑制手段を備え前記小振幅用減衰手段は、粘弾性体と鋼板を交互に積層して構成された粘弾性体ダンパであり、前記粘弾性体ダンパを、前記鋼板と前記粘弾性体の積層方向が前記折り筋に対して直交する水平方向となるように配置し、前記粘弾性体ダンパの前記鋼板には、貫通孔を形成し、前記貫通孔には、前記水平変形抑制手段及び前記鉛直変形抑制手段を構成する貫通体を貫通させ、前記貫通孔の水平方向の周縁と前記貫通体の水平方向の周縁との相互間に前記第1空間部を設けると共に、前記貫通孔の鉛直方向の周縁と前記貫通体の鉛直方向の周縁との相互間に前記第2空間部を設け、前記波形鋼板又は前記粘弾性体ダンパを前記積層方向に沿って貫通する貫通部材として、前記水平変形抑制手段及び前記鉛直変形抑制手段を構成する前記貫通体のみを設けたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の波形鋼板を用いた制振壁は、折り筋が水平になるように設置面に立設された波形鋼板と、当該波形鋼板の鉛直方向の端部に直列に接続された小振幅用減衰手段と、を備えた波形鋼板を用いた制振壁であって、前記小振幅用減衰手段の水平変形を所定の第1許容量まで許容する第1空間部と、前記小振幅用減衰手段の鉛直変形を所定の第2許容量まで許容する第2空間部と、前記小振幅用減衰手段の水平変形が前記第1許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第1許容量を越えて水平変形することを抑制する水平変形抑制手段と、前記小振幅用減衰手段の鉛直変形が前記第2許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第2許容量を越えて鉛直変形することを抑制する鉛直変形抑制手段を備え、前記小振幅用減衰手段は、粘弾性体と鋼板を交互に積層して構成された粘弾性体ダンパであり、前記粘弾性体ダンパを、前記鋼板と前記粘弾性体の積層方向が鉛直方向となるように配置し、前記粘弾性体ダンパの前記鋼板には、貫通孔を形成し、前記貫通孔には、前記水平変形抑制手段を構成する貫通体を貫通させ、前記貫通体における前記鋼板の外部に突出した部分に、当該貫通孔の内径よりも太径状に形成されたものであって、前記鉛直変形抑制手段を構成する抑制部を設け、前記貫通孔の水平方向の周縁と前記貫通体の水平方向の周縁との相互間に前記第1空間部を設けると共に、前記鋼板の鉛直方向の端面と前記抑制部との相互間に前記第2空間部を設けたことを特徴とする。
また、請求項3に記載の波形鋼板を用いた制振壁は、折り筋が水平になるように設置面に立設された波形鋼板と、当該波形鋼板の鉛直方向の端部に直列に接続された小振幅用減衰手段と、を備えた波形鋼板を用いた制振壁であって、前記小振幅用減衰手段の水平変形を所定の第1許容量まで許容する第1空間部と、前記小振幅用減衰手段の鉛直変形を所定の第2許容量まで許容する第2空間部と、前記小振幅用減衰手段の水平変形が前記第1許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第1許容量を越えて水平変形することを抑制する水平変形抑制手段と、前記小振幅用減衰手段の鉛直変形が前記第2許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第2許容量を越えて鉛直変形することを抑制する鉛直変形抑制手段を備え、前記小振幅用減衰手段は、粘弾性体と鋼板を交互に積層して構成された粘弾性体ダンパであり、前記粘弾性体ダンパは、前記波形鋼板と建造物の架構の水平部材との相互間に配置されたものであって、前記粘弾性体ダンパを、前記鋼板と前記粘弾性体の積層方向が鉛直方向となるように配置し、前記粘弾性体ダンパの前記鋼板と前記波形鋼板又は前記架構の水平部材とを接続体にて接続し、前記接続体の側方において、前記鋼板と前記波形鋼板又は前記架構の水平部材の相互間に、前記水平変形抑制手段及び前記鉛直変形抑制手段を構成するものであって、前記波形鋼板又は前記架構の水平部材と接続され、前記接続体に向かって延出される板材を配置し、前記接続体と前記板材との相互間に前記第1空間部を設けると共に、前記鋼板の鉛直方向の端面と前記板材との相互間に前記第2空間部を設けたことを特徴とする。
請求項1に係る波形鋼板を用いた制振壁によれば、風荷重や小地震による小振幅の振動エネルギーを小振幅用減衰手段の減衰特性により吸収できると共に、大地震による大振幅の振動エネルギーを波形鋼板の弾塑性履歴特性により吸収できる。すなわち、全体として広域振幅の振動を制振できる。また、小振幅用減衰手段の鉛直変形を許容する第2空間部を設けたので、建造物の曲げ変形やクリープ変形が生じても、小振幅用減衰手段の変形が阻害されることなく、小振幅用減衰手段の振動エネルギーの吸収性能を発揮することができる。
また、粘弾性体ダンパを設けたことで、粘弾性体の数mm以下の微小変形(微小振幅の変形)に対して振動エネルギーを効率的に吸収することができる。例えば、微小変形として、1mm以下でも振動エネルギーを吸収できる粘弾性体も適用可能である。
また、粘弾性体ダンパを、鋼板と粘弾性体の積層方向が波形鋼板の折り筋に対して直交する水平方向となるように配置したことで、水平方向又は鉛直方向における鋼板間の相対変位に対して、粘弾性体がせん断変形して追随できるため、粘弾性体の剥離を防止することができる。
請求項2に係る波形鋼板を用いた制振壁によれば、風荷重や小地震による小振幅の振動エネルギーを小振幅用減衰手段の減衰特性により吸収できると共に、大地震による大振幅の振動エネルギーを波形鋼板の弾塑性履歴特性により吸収できる。すなわち、全体として広域振幅の振動を制振できる。また、小振幅用減衰手段の鉛直変形を許容する第2空間部を設けたので、建造物の曲げ変形やクリープ変形が生じても、小振幅用減衰手段の変形が阻害されることなく、小振幅用減衰手段の振動エネルギーの吸収性能を発揮することができる。
また、粘弾性体ダンパを設けたことで、粘弾性体の数mm以下の微小変形(微小振幅の変形)に対して振動エネルギーを効率的に吸収することができる。例えば、微小変形として、1mm以下でも振動エネルギーを吸収できる粘弾性体も適用可能である。
また、貫通体に抑制部を設けたことで、粘弾性体ダンパの鉛直変形が所定量以上になると、抑制部と鋼板の鉛直方向の端面が当接し、粘弾性体の剥離を抑制することができる。また、粘弾性体ダンパに貫通体を貫通した簡易な構造なので、設置が容易に行える。また、特別な部材等を備える必要がなく、設置コストも抑えることができる。
請求項3に係る波形鋼板を用いた制振壁によれば、風荷重や小地震による小振幅の振動エネルギーを小振幅用減衰手段の減衰特性により吸収できると共に、大地震による大振幅の振動エネルギーを波形鋼板の弾塑性履歴特性により吸収できる。すなわち、全体として広域振幅の振動を制振できる。また、小振幅用減衰手段の鉛直変形を許容する第2空間部を設けたので、建造物の曲げ変形やクリープ変形が生じても、小振幅用減衰手段の変形が阻害されることなく、小振幅用減衰手段の振動エネルギーの吸収性能を発揮することができる。
また、粘弾性体ダンパを設けたことで、粘弾性体の数mm以下の微小変形(微小振幅の変形)に対して振動エネルギーを効率的に吸収することができる。例えば、微小変形として、1mm以下でも振動エネルギーを吸収できる粘弾性体も適用可能である。
また、板材を設けたことで、粘弾性体ダンパの鉛直変形が所定量以上になると、板材が鋼板に当接するため、粘弾性体の剥離を抑制することができる。また、板材を施工する際に、板材の形状や設置場所を調整することで、波形鋼板と粘弾性体ダンパとの施工誤差を吸収することができる。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る波形鋼板を用いた制振壁の各実施の形態を詳細に説明し、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔実施の形態1〕
まず実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、貫通体を粘弾性体ダンパに貫通させた形態である。
(構成)
図1(a)は実施の形態1に係る波形鋼板を用いた制振壁の構成を示す正面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A矢視断面図である。この波形鋼板10を用いた制振壁1は、波形鋼板10、及び粘弾性体ダンパ20を備えて構成されている。
(構成−波形鋼板)
波形鋼板10は、地震等の外力に対して抵抗することで耐震効果を発揮させる構造材である。つまり、架構の上下に波形鋼板10が固定されている場合において、地震等によって当該架構の上下間に相対変位が生じ、当該波形鋼板10にせん断力が作用したときに、この波形鋼板10がせん断変形する。これによって、地震等の外力に波形鋼板10が抵抗し、耐震効果を発揮させることができる。さらに、実施の形態1では、外力に対して波形鋼板10が降伏するように設定することにより、当該波形鋼板10の弾塑性履歴特性によって建造物の振動エネルギーを吸収させて、制振効果を発揮させるようにしている。具体的には、この波形鋼板10は、平板状の原板をプレス機によって曲げ加工することで構成されたもので、図1(a)に示すように、相互に略平行な複数の折り筋を備えており、各折り筋が略水平になるような向きで設置面Gに配置されている。この波形鋼板10を構成する材質は、例えば、普通鋼材に比べて小さな応力で降伏する低降伏点鋼が該当する。
波形鋼板10の具体的な設置方法は任意であるが、例えば、波形鋼板10の下には水平配置された平板(図示省略)が溶接されると共に、波形鋼板10の左右には鉛直配置された平板(図示省略)が溶接され、これら各平板には直交状に複数のスタッドボルト(図示省略)が溶接されている。なお、「水平」又は「鉛直」は、厳密に水平又は鉛直であることのみならず、施工誤差や製作誤差等により、若干傾斜を有することを含める概念とする。そして、これら複数のスタッドボルトを内包するようにコンクリート枠を枠組し、この枠体にコンクリートを打設することにより、波形鋼板10の周囲にコンクリート柱2を設けると同時に、このコンクリート柱2にスタッドボルトを埋設することで、このスタッドボルトを介して波形鋼板10をコンクリート柱2に緊結している。
この他に、この波形鋼板10の上端部には、当該波形鋼板10と粘弾性体ダンパ20とを連結する略板状の連結部材11が設けられている。連結部材11は、粘弾性体ダンパ20の水平荷重又は鉛直荷重を波形鋼板10に伝達するためのものであり、波形鋼板10に対して溶接等により接続されている。
(構成−粘弾性体ダンパ)
図2(a)は図1(a)の要部拡大図である(ただし一部を破断して示す。以下、図3〜図29も同じ)。図2(b)は図2(a)のB−B矢視断面図である。図3(a)は、図2(a)の要部拡大図であり、図3(b)は、図2(b)の要部拡大図である。粘弾性体ダンパ20は、減衰特性によって建造物の振動エネルギーを吸収するものであり、特許請求の範囲における小振幅用減衰手段に対応する。粘弾性体ダンパ20は、抵抗プレート21、22及び粘弾性体23を備えて構成されている。抵抗プレート21、22は、略板状の鋼板であり、1枚の抵抗プレート21と2枚の抵抗プレート22とが所定の間隔をもって積層状に配置されている。粘弾性体23は、略板状体であり、抵抗プレート21、22に対して加硫接着等により固着され、水平方向又は鉛直方向における抵抗プレート21、22の相対変位に対してせん断変形して追随する。この粘弾性体23を構成する材質は任意であり、例えば、ゴム系、アクリル系、アスファルト系、又はシリコン系等の高分子系材料が該当する。
このように構成された粘弾性体ダンパ20は、抵抗プレート21、22、及び粘弾性体23の積層方向が、折り筋に対して直交する水平方向となるように、波形鋼板10とコンクリート梁3の相互間に配置されている。具体的には、抵抗プレート21は、連結部材24を介して、連結部材11に対してボルト等により接続されており、抵抗プレート22は、連結部材25を介して、コンクリート梁3に対してボルト等により接続されている。また、抵抗プレート21とコンクリート梁3との間、及び抵抗プレート22と連結部材11との間には、粘弾性体23の鉛直方向の変形を許容するためのクリアランス26が設けられている。このクリアランス26の大きさは任意であるが、例えば、粘弾性体23の許容せん断ひずみから計算される長さ以上であることが好ましい。
(構成−ピン)
この粘弾性体ダンパ20には、抵抗プレート21をその積層方向に沿って貫通する第1貫通孔31と、抵抗プレート22及び粘弾性体23を積層方向に沿って貫通し、且つ、第1貫通孔31の中心位置と略対応する中心位置を有する第2貫通孔32と、第1貫通孔31及び第2貫通孔32に貫通されるピン33と、このピン33が第1貫通孔31及び第2貫通孔32から脱落することを防止する脱落防止ナット34が設けられている。
ピン33は、粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形を抑制するためのものであり、特許請求の範囲における貫通体に対応する。具体的には、このピン33は、略丸棒状の鋼材から形成されており、当該ピン33の外径が第1貫通孔31の孔径とほぼ同等の大きさであり、当該ピン33の周縁が第1貫通孔31の周縁と当接する位置に配置されている。このピン33は、脱落防止ナット34が位置する当該ピン33の曲面部に対して、ネジ切り加工が施されている。なお、ピン33の脱落防止をより高めるために、ピン33の両端部には、当該ピン33を貫通する脱落防止ピン38が設けられている。
第2貫通孔32は、ピン33の外径より大きな径の長孔状に形成されており、この第2貫通孔32とピン33の相互間には、第1空間部35と第2空間部36が設けられている。
第1空間部35は、粘弾性体23の水平変形から波形鋼板10の水平変形の移行を許容するための空間部であり、第2貫通孔32の長径方向の周縁とピン33の周縁との相互間に配置されている。この第1空間部35の大きさは任意であるが、例えば、粘弾性体23の許容せん断ひずみから計算される長さによって決定される。
第2空間部36は、建造物の曲げ変形やクリープ変形による粘弾性体23の鉛直変形を許容するための空間部であり、第2貫通孔32の短径方向の周縁とピン33の周縁との相互間に配置されている。この第2空間部36の大きさは任意であるが、例えば、粘弾性体23の許容せん断ひずみ及び建造物の曲げ変形又はクリープ変形の鉛直変形量によって決定される。
このように構成された波形鋼板10を用いた制振壁1は、基本的に以下のように機能する。以下では、水平変形状態と鉛直変形状態についてそれぞれ例示する。ここで、小地震時の鉛直変形状態は、建造物の曲げ変形又はクリープ変形を含める概念とする。
図4は、図2(a)に示す制振壁1の小地震時の水平変形状態を示した変形図である。図4に示すように、小地震や風等による小振幅の揺れに対しては、第2貫通孔32の長径方向の周縁とピン33の周縁との相互間に第1空間部35が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第1空間部35の範囲内でせん断変形することで、振動エネルギーを吸収する。
図5は、図2(a)に示す制振壁1の小地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。図5に示すように、小地震による小振幅の鉛直方向の揺れに対しては、第2貫通孔32の短径方向の周縁とピン33の周縁との相互間に第2空間部36が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第2空間部36の範囲内で鉛直変形することで、これらの変形に追随する。
図6は、図2(a)に示す制振壁1の大地震時の水平変形状態を示した変形図である。図6に示すように、大地震による大振幅の水平方向の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が、第1空間部35の大きさを超えようとすると、ピン33の周縁が第2貫通孔32の長径方向の周縁と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が抑制され、波形鋼板10が水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。
図7は、図2(a)に示す制振壁1の大地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。図7に示すように、大地震による大振幅の鉛直方向の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が、第2空間部36の大きさを超えようとすると、ピン33の周縁が第2貫通孔32の短径方向の周縁と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
なお、図6、7に示すように、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23は、ピン33の周端が第2貫通孔32の周端に当接することで、過大に水平変形又は鉛直変形が生じなくなる。したがって、粘弾性体23が抵抗プレート21、22から剥離することを抑制できる。
次に、この制振壁1がロッキング変形した場合には、以下のように機能する。
小地震時の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が、第1空間部35及び第2空間部36の範囲内で水平変形及び鉛直変形をすることで、振動エネルギーを吸収する。
大地震時の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が卓越する場合、第1空間部35の大きさを超えようとすると、ピン33の周縁が第2貫通孔32の長径方向の周縁と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が抑制され、波形鋼板10が水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。また、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が卓越する場合、第2空間部36の大きさを超えようとすると、ピン33の周縁が第2貫通孔32の短径方向の周縁と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
この他にも、粘弾性体ダンパ20は、小振幅の揺れに対して振動エネルギーを吸収し、大振幅の揺れに対して粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形を抑制できる限りにおいて、任意の構造にて構成可能である。図8(a)は変形例に係る制振壁1の一例を示す正面図であり、図8(b)は図8(a)のC−C矢視断面図である。この変形例では、抵抗プレート21は、連結部材24を介して、コンクリート梁3に対してボルト等により接続され、抵抗プレート22は、連結部材25を介して、連結部材11に対してボルト等により接続されている。
また、図9(a)は変形例に係る制振壁1の一例を示す正面図であり、図9(b)は図9(a)のD−D矢視断面図である。この変形例では、抵抗プレート22の側面に、略板状のリブ37が設けられており、当該リブ37が抵抗プレート22及び連結部材25に対して溶接等により固着されている。
この構造によれば、抵抗プレート22の側面に固着されたリブ37によって、抵抗プレート22の座屈強度が向上することができる。すなわち、大振幅の揺れにより波形鋼板10に伝達する水平反力又は鉛直反力が過大となって、ピン33と当接する第2貫通孔32の周端近傍に高い応力が発生しても、抵抗プレート22の面外方向への変形を効果的に抑制できる。リブ37の枚数、配置、形態は適宜設計すればよく、複数のピン33の間に配置してもよい。
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、波形鋼板10と粘弾性体ダンパ20を直列に接続することで、小振幅の揺れに対して粘弾性体ダンパ20が作用し、大振幅の揺れに対して波形鋼板10が作用することから、広域な建造物の揺れを低減できる。また、第2貫通孔32の鉛直方向の周縁とピン33の周縁との相互間に第2空間部36を設けたことで、建造物の曲げ変形又はクリープ変形による鉛直変形が生じても、粘弾性体ダンパ20の鉛直変形が許容されるため、粘弾性体ダンパ20の振動エネルギーの吸収性能を発揮できる。
また、粘弾性体ダンパ20を、抵抗プレート21、22、及び粘弾性体23の積層方向が折り筋に対して直交する水平方向となるように配置したことで、水平方向又は鉛直方向における抵抗プレート21、22の相対変位に対して、粘弾性体23がせん断変形して追随できるため、粘弾性体23の剥離を防止することができる。
また、第2貫通孔32に貫通するピン33を設けたことで、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形が第1空間部35又は第2空間部36の大きさを超えようとすると、当該第2貫通孔32の周縁とピン33の周縁とが当接して、当該粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形が抑制されるため、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の損傷や破壊を防止できる。さらに、ピン33を介して抵抗プレート22から抵抗プレート21へ力が伝達される、すなわちピン33を介して上部コンクリート梁3から波形鋼板10へ力が伝達されることで、軽量で水平変形性能に富んだ耐震要素としての機能に加えて、制振要素としての機能を発揮することができる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、実施の形態1で備えていたピンに代えて、貫通ボルトを設けた形態である。実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する(実施の形態3においても同じ)。
(粘弾性体ダンパの構成)
図10(a)は、図1(a)に対応する部分であって、実施の形態2に係る波形鋼板10を用いた制振壁1の構成を示す正面図であり、図10(b)は、図10(a)のE−E矢視断面図である。粘弾性体ダンパ20は、抵抗プレート21、22、及び粘弾性体23を備えて構成されている。抵抗プレート21、22は、所定の間隔をもって配置されており、当該抵抗プレート21、22の相互間には、略板状の粘弾性体23が配置され、抵抗プレート21、22に対して加硫接着により固着されている。
このように構成された粘弾性体ダンパ20は、抵抗プレート21、22、及び粘弾性体23の積層方向が鉛直方向となるように、波形鋼板10とコンクリート梁3の相互間に配置されている。具体的には、抵抗プレート21が、コンクリート梁3に対してボルト等により接続され、抵抗プレート22が、連結部材11に対してボルト等により接続されている。
(貫通ボルトの構成)
図11(a)は図10(a)における領域Aの拡大図であり、図11(b)は図11(a)のF−F矢視断面図である。この粘弾性体ダンパ20には、抵抗プレート21及び粘弾性体23をその積層方向に沿って貫通する第1貫通孔41と、連結部材11及び抵抗プレート22をその積層方向に沿って貫通し、且つ、第1貫通孔41の中心位置と略対応する中心位置を有する第2貫通孔42と、第1貫通孔41及び第2貫通孔42に貫通される貫通ボルト43が設けられている。
貫通ボルト43は、粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形を抑制するためのものであり、特許請求の範囲における貫通体に対応する。この貫通ボルト43は、所定の間隔でネジ切りされた略棒状の鋼材から形成されており、当該貫通ボルト43の外径が第1貫通孔41の孔径とほぼ同等の大きさを有し、当該貫通ボルト43の一方の端部がコンクリート梁3に設けられた図示しないネジ孔等により固定されている。
貫通ボルト43のもう一方の端部には、略円環状の鋼材から形成されているナット44が設けられている。ナット44は、粘弾性体23の鉛直変形を抑制するものであり、特許請求の範囲における抑制部に対応する。
第2貫通孔42は、当該貫通ボルト43とほぼ同等の大きさの短径と、当該貫通ボルト43の外径より大きな長径とを有する略長孔状のものである。この第2貫通孔42は、当該第2貫通孔42の長径方向が、波形鋼板10の折り筋と略平行になるように配置されている。
この第2貫通孔42の長径方向の周縁と貫通ボルト43の周縁との相互間には、第1空間部45が形成されている。また、連結部材11の鉛直方向の端面と、ナット44の側面との相互間には、第2空間部46が形成されている。
(貫通ボルトの機能)
このように構成された波形鋼板10を用いた制振壁1は、基本的に以下のように機能する。
図12は図10(a)に示す制振壁1の小地震時の水平変形状態を示した変形図である。図12に示すように、小地震や風等による小振幅の揺れに対しては、第2貫通孔42の長径方向の周縁と貫通ボルト43の周縁との相互間に第1空間部45が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第1空間部45の範囲内で水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。
図13は図10(a)に示す制振壁1の小地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。図13に示すように、小地震による小振幅の鉛直方向の揺れに対しては、連結部材11の鉛直方向の端面と、ナット44の側面との相互間に第2空間部46が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第2空間部46の範囲内で鉛直変形することで、これらの変形に追随する。
図14は図10(a)に示す制振壁1の小地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。図14に示すように、小地震による小振幅の曲げを伴う揺れに対しては、連結部材11の鉛直方向の端面と、ナット44の側面との相互間に第2空間部46が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第2空間部46の範囲内で曲げ変形することで、これらの変形に追随する。
図15は図10(a)に示す制振壁1の大地震時の水平変形状態を示した変形図である。図15に示すように、大地震による大振幅の水平方向の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が、第1空間部45の大きさを超えようとすると、貫通ボルト43が第2貫通孔42の長径方向の周縁と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が抑制され、波形鋼板10が水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。
図16は図10(a)に示す制振壁1の大地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。図16に示すように、大地震による大振幅の鉛直方向の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が、第2空間部46の大きさを超えようとすると、ナット44の側面が連結部材11の鉛直方向の端面と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
図17は、図10(a)に示す制振壁1の大地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。図17に示すように、大地震による大振幅の曲げを伴う揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が、第2空間部46の大きさを超えようとするとナット44の側面が連結部材11の鉛直方向の端面と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
なお、図15〜17に示すように、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23は、貫通ボルト43が第2貫通孔42の周縁と当接し、又はナット44の側面が連結部材11の鉛直方向の端面と当接することで、過大な水平変形又は鉛直変形が生じなくなる。したがって、粘弾性体23が抵抗プレート21、22から剥離することを抑制できる。
次に、この制振壁1がロッキング変形した場合には、以下のように機能する。
小地震時の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が、第1空間部45及び第2空間部46の範囲内で水平変形及び鉛直変形をすることで、振動エネルギーを吸収する。
大地震時の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が卓越する場合、第1空間部45の大きさを超えようとすると、貫通ボルト43が第2貫通孔42の長径方向の周縁と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が抑制され、波形鋼板10が水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。また、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が卓越する場合、第2空間部46の大きさを超えようとすると、ナット44の側面が連結部材11の鉛直方向の端面と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
この他にも、粘弾性体ダンパ20は、小振幅の揺れに対して振動エネルギーを吸収し、大振幅の揺れに対して、大振幅の揺れに対して粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形を抑制できる限りにおいて、任意の構造にて構成可能である。図18(a)は変形例に係る制振壁1の一例を示す正面図であり、図18(b)は図18(a)のG−G矢視断面図である。図19は図18(a)における領域Bの拡大図である。この変形例では、折り筋方向に延出した抵抗プレート21、22の両端部には、補助材47a〜47cが設けられている。
補助材47a〜47cは、粘弾性体23の鉛直変形を抑制するもので、粘弾性体23と同等の厚さを有する略円柱状の鋼材である。補助材47a、47bは、抵抗プレート21を狭持し、補助材47b、47cは、連結部材11及び抵抗プレート22を狭持するように配置されている。
図19に示すように、この補助材47a〜47cには、抵抗プレート21、22、又は連結部材11との間に取り付けられた滑り材47dと、当該補助材47a〜47cを貫通する第1心棒孔47eと、抵抗プレート21、22、及び連結部材11を貫通する第2心棒孔47fと、第1心棒孔47e及び第2心棒孔47fを貫通する心棒47gと、この心棒47gを固定するための固定ピン47hとが設けられている。
滑り材47dは、抵抗プレート21、22、又は連結部材11を特定の圧力下で相互に摺動可能にするもので、例えばPTFE材等のフッ素樹脂材から略板状に形成されている。
第1心棒孔47eは、心棒47gとほぼ同等の孔径を有し、第2心棒孔47fは、粘弾性体23の水平変形を阻害しない程度の大きさの孔径を有する。
心棒47gは、補助材47a〜47cを連結するもので、略円筒状の鋼材から形成されている。この心棒47gは、ジャッキ等により当該心棒47gに張力が導入されることにより、抵抗プレート21、22、及び連結部材11を強固に狭持することができる。心棒47gの種類は任意であるが、例えばPC鋼線等が該当する。
この構造によれば、第2心棒孔47fと心棒47gとの隙間及び補助材47a〜47cに滑り材47dを設けたことで、粘弾性体23の水平変形を許容することができる。また、補助材47a、47bは、抵抗プレート21を狭持し、補助材47b、47cは、連結部材11及び抵抗プレート22を狭持するように配置したことで、粘弾性体23の鉛直変形を拘束することができる。
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と略同様の効果に加えて、貫通ボルト43の端部にナット44を備えたことで、粘弾性体23の鉛直変形が第2空間部46の大きさを超えようとすると、ナット44と連結部材11の端面が当接して、当該粘弾性体23の鉛直変形が抑制されるため、抵抗プレート21、22からの粘弾性体23の剥離を抑制することができる。
また、粘弾性体ダンパ20に貫通ボルト43を貫通する簡易な構造であることから、設置が容易に行え、特別な部材等を備える必要がなく、設置コストも抑えることができる。さらに、貫通ボルト43を介して上部コンクリート梁3から波形鋼板10へ力が伝達されることで、軽量で水平変形性能に富んだ耐震要素、制振要素としての機能を発揮することができる。
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、実施の形態1で備えていたピンに代えて、ストッパを設けた形態である。
(粘弾性体ダンパの構成)
図20(a)は図1(a)に対応する部分であって、実施の形態3に係る波形鋼板10を用いた制振壁1の構成を示す正面図であり、図20(b)は図20(a)のH−H矢視断面図である。また、図21は図20(a)のI−I矢視断面図であり、図22は図20(a)における領域Cの拡大図である。粘弾性体ダンパ20は、抵抗プレート21、22、及び粘弾性体23を備えて構成されている。具体的には、抵抗プレート21、22は、略板状の鋼材であり、所定の間隔をもって配置されている。この抵抗プレート21、22の相互間には、略板状の粘弾性体23が配置されており、抵抗プレート21、22に対して加硫接着により固着されている。
また、抵抗プレート21の下面には、略板状の接続板51が設けられている。接続板51は、粘弾性体ダンパ20に作用する水平荷重又は鉛直荷重を波形鋼板10に伝達させるものであり、特許請求の範囲における接続体に対応する。具体的には、接続板51は、鋼材から形成されており、抵抗プレート21の下面に立設され、抵抗プレート21に対して溶接等により接続されている。
このように構成された粘弾性体ダンパ20は、抵抗プレート21、22、及び粘弾性体23の積層方向が鉛直方向となるように、波形鋼板10とコンクリート梁3の相互間に配置されている。具体的には、接続板51は、当該接続板51の板面が波形鋼板10の折り筋に対して略平行になるように配置され、連結部材52を介して連結部材11に対してボルト等により接続されている。また、抵抗プレート22は、コンクリート梁3に対してボルト等により接続されている。
(ストッパの構成)
粘弾性体ダンパ20には、当該粘弾性体ダンパ20の周囲全体を取り囲む位置に、ストッパ61が配置されている。ストッパ61は、特許請求の範囲における板材に対応するもので、側壁62、一対のリップ63、64を備えて構成されている。
側壁62は、リップ63、64を支持するものであり、略板状の鋼材で形成されている。この側壁62は、粘弾性体23が固着されている抵抗プレート22の側面において、抵抗プレート21よりも外側の位置に、又は抵抗プレート22の端部に立設されており、抵抗プレート22に対して溶接等により接続されている。
一対のリップ63、64は、粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形を抑制するものであり、略板状の鋼材で形成されている。この一対のリップ63、64は、側壁62の端部から接続板51に向かって延出され、側壁62に対して溶接等又は一体により接続されている。また、一対のリップ63は、波形鋼板10の折り筋に対して略平行になるように配置され、一対のリップ64は、波形鋼板10の折り筋に対して略直交するように配置されている。
リップ63及び接続板51の相互間には、第1空間部65が形成されており、リップ63、64及び抵抗プレート21の相互間には、第2空間部66が形成されている。また、リップ64及び抵抗プレート21の相互間には、略板状の粘弾性体67が配置されており、リップ64及び抵抗プレート21に対して加硫接着により固着されている。この粘弾性体67は、抵抗プレート21、22に水平方向又は鉛直方向の相対変形が生じた場合、当該粘弾性体67のせん断変形によって、振動エネルギーを吸収することができる。
(ストッパの機能)
このように構成された波形鋼板10を用いた制振壁1は、基本的に以下のように機能する。
図23は、図20(a)に示す制振壁1の小地震時の水平変形状態を示した変形図である。図23に示すように、小地震や風等による小振幅の揺れに対しては、リップ63及び接続板51の相互間に第1空間部65が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第1空間部65の範囲内で水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。
図24は、図20(a)に示す制振壁1の小地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。図24に示すように、小地震による小振幅の鉛直方向の揺れに対しては、リップ63及び抵抗プレート21の相互間に第2空間部66が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第2空間部66の範囲内で鉛直変形することで、これらの変形に追随する。
図25は、図20(a)に示す制振壁1の小地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。図25に示すように、小地震による小振幅の曲げを伴う揺れに対しては、リップ63及び抵抗プレート21の相互間に第2空間部66が配置されていることから、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が第2空間部66の範囲内で曲げ変形することで、これらの変形に追随する。
図26は、図20(a)に示す制振壁1の大地震時の水平変形状態を示した変形図である。図26に示すように、大地震による大振幅の水平方向の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が、第1空間部65の大きさを超えようとすると、リップ63が接続板51と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が抑制され、波形鋼板10が水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。
図27は、図20(a)に示す制振壁1の大地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。図27に示すように、大地震による大振幅の鉛直方向の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が、第2空間部66の大きさを超えようとすると、粘弾性体67が圧縮方向に抵抗し、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
図28は、図20(a)に示す制振壁1の大地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。図28に示すように、大地震による大振幅の曲げを伴う揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が、第2空間部66の大きさを超えようとすると、粘弾性体67が圧縮方向に抵抗し、又はリップ63が抵抗プレート21と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
なお、図26に示すように、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23は、リップ63が接続板51と当接することで、過大な水平変形が生じなくなる。また、図27、28に示すように、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23は、粘弾性体67が鉛直方向に抵抗し、又はリップ63が抵抗プレート21と当接することで、過大な鉛直変形が生じなくなる。以上のことから、粘弾性体23が抵抗プレート21、22から剥離することを抑制できる。
次に、この制振壁1がロッキング変形した場合には、以下のように機能する。
小地震時の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23が、第1空間部65及び第2空間部66の範囲内で水平変形及び鉛直変形をすることで、振動エネルギーを吸収する。
大地震時の揺れに対しては、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が卓越する場合、第1空間部65の大きさを超えようとすると、リップ63が接続板51と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の水平変形が抑制され、波形鋼板10が水平変形することで、振動エネルギーを吸収する。また、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が卓越する場合、第2空間部66の大きさを超えようとすると、リップ63が抵抗プレート21と当接することで、この粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が抑制され、波形鋼板10が鉛直変形する。
この他にも、粘弾性体ダンパ20は、小振幅の揺れに対して振動エネルギーを吸収し、大振幅の揺れに対して、大振幅の揺れに対して粘弾性体23の水平変形又は鉛直変形を抑制できる限りにおいて、任意の構造にて構成可能である。図29(a)は変形例に係る制振壁1の一例を示す正面図であり、図29(b)は図29(a)のJ−J矢視断面図である。この変形例では、接続板51が連結部材52を介してコンクリート梁3と接続され、側壁62及び一対のリップ63、64を備えた抵抗プレート22が連結部材11と接続されている。
図30(a)は変形例に係る制振壁1の一例を示す正面図であり、図30(b)は図30(a)のK−K矢視断面図である。この変形例では、ストッパ61に代えて、粘弾性体ダンパ20の周囲を部分的に取り囲む位置に、一対のストッパ68、69が配置されている。図31(a)は図30(a)における領域Dの拡大図であり、図31(b)は図31(a)の斜視図である。この一対のストッパ68、69は、抵抗プレート21、22、及び粘弾性体23の一部を取り囲む位置に配置されている。
また、ストッパ68の側壁68aの端部にはリップ68bが備えられ、ストッパ69の側壁69aの端部にはリップ69bが備えられている。さらに、側壁68a、69aには、当該側壁68a、69aの耐力を向上させるためのリブ68c、69cが設けられている。
リップ68bは、側壁68aの端部から接続板51に向かって延出され、側壁68aに対して溶接等又は一体により接続されている。このリップ68b及び接続板51の相互間には、第1空間部68dが形成され、リップ68b及び抵抗プレート21の相互間には、第2空間部68eが形成されている。
リップ69bは、側壁の端部69aから、接続板51と直交する位置に配置された接続板53に向かって延出され、側壁69aに対して溶接等により接続されている。接続板53は、略板状の鋼材であり、粘弾性体23が固着されている抵抗プレート21側面の反対側の側面に立設されており、抵抗プレート21及び連結部材52に対して溶接等により接続されている。このリップ69bは、あらかじめ接続板53と当接させておくことで、当該リップ69bの延出方向における粘弾性体23の変形を拘束することができる。
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、実施の形態1と略同様の効果に加えて、ストッパ61にリップ64を備えたことで、粘弾性体ダンパ20の粘弾性体23の鉛直変形が第2空間部66の大きさを超えようとすると、リップ64と抵抗プレート21が当接し、この粘弾性体23の鉛直変形が抑制されるため、抵抗プレート21、22の相互間に配置された粘弾性体23の剥離を抑制することができる。
また、ストッパ61の施工時に、波形鋼板10、粘弾性体ダンパ20等の施工誤差が生じていても、ストッパ61の形状や設置場所を調整することで、その施工誤差を吸収できる。
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
(対象構造物について)
この発明に係る波形鋼板を用いた制振壁1は、鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート構造物のみならず、鋼構造物にも適用することができる。
(小振幅用減衰手段について)
小振幅用減衰手段は、粘弾性体ダンパ20に限られず、鋼材系履歴型ダンパ、粘性ダンパ、あるいは摩擦ダンパとしてもよい。具体的には、鋼材系履歴型ダンパとして、材料強度が高ひずみ速度感受性を有した超塑性金属材料(例えば亜鉛−アルミ合金など)は、小振幅用減衰手段として適している。また、減衰手段としての粘性ダンパは、シリンダ内にオイル等の粘性材料を封入したオイルダンパなどが適している。特に、変位増幅機構を備えた粘性ダンパは、小振幅用減衰手段として適している。
この発明に係る波形鋼板を用いた制振壁は、地震等による建造物の揺れを低減するための制振壁に適用でき、特に建造物の曲げ変形、クリープ変形、又はロッキング変形に対して、粘弾性体ダンパの振動エネルギーの吸収性能を発揮できることに有用である。
図1(a)は実施の形態1に係る波形鋼板を用いた制振壁の構成を示す正面図である。図1(b)は図1(a)のA−A矢視断面図である。 図2(a)は図1(a)の要部拡大図である。図2(b)は図2(a)のB−B矢視断面図である。 図3(a)は図2(a)の要部拡大図である。図3(b)は図2(b)の要部拡大図である。 図2(a)に示す制振壁の小地震時の水平変形状態を示した変形図である。 図2(a)に示す制振壁の小地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。 図2(a)に示す制振壁の大地震時の水平変形状態を示した変形図である。 図2(a)に示す制振壁の大地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。 図8(a)は変形例に係る制振壁の一例を示す正面図である。図8(b)は図8(a)のC−C矢視断面図である。 図9(a)は変形例に係る制振壁の一例を示す正面図である。図9(b)は図9(a)のD−D矢視断面図である。 図10(a)は実施の形態2に係る波形鋼板を用いた制振壁の構成を示す正面図である。図10(b)は図10(a)のE−E矢視断面図である。 図11(a)は図10(a)における領域Aの拡大図である。図11(b)は図11(a)のF−F矢視断面図である。 図10(a)に示す制振壁の小地震時の水平変形状態を示した変形図である。 図10(a)に示す制振壁の小地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。 図10(a)に示す制振壁の小地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。 図10(a)に示す制振壁の大地震時の水平変形状態を示した変形図である。 図10(a)に示す制振壁の大地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。 図10(a)に示す制振壁の大地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。 図18(a)は、変形例に係る制振壁の一例を示す正面図である。図18(b)は、図18(a)のG−G矢視断面図である。 図18(a)における領域Bの拡大図である。 図20(a)は実施の形態3に係る波形鋼板を用いた制振壁の構成を示す正面図である。図20(b)は図20(a)のH−H矢視断面図である。 図20(a)のI−I矢視断面図である。 図20(a)における領域Cの拡大図である。 図20(a)に示す制振壁の小地震時の水平変形状態を示した変形図である。 図20(a)に示す制振壁の小地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。 図20(a)に示す制振壁の小地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。 図20(a)に示す制振壁の大地震時の水平変形状態を示した変形図である。 図20(a)に示す制振壁の大地震時の鉛直変形状態を示した変形図である。 図20(a)に示す制振壁の大地震時の曲げ変形状態を示した変形図である。 図29(a)は変形例に係る制振壁の一例を示す正面図である。図29(b)は図29(a)のJ−J矢視断面図である。 図30(a)は変形例に係る制振壁の一例を示す正面図である。図30(b)は図30(a)のK−K矢視断面図である。 図31(a)は図30(a)における領域Dの拡大図である。図31(b)は図31(a)の斜視図である。
符号の説明
1 制振壁
2 コンクリート柱
3 コンクリート梁
10 波形鋼板
11、24、25、52 連結部材
20 粘弾性体ダンパ
21、22 抵抗プレート
23、67 粘弾性体
26 クリアランス
31、41 第1貫通孔
32、42 第2貫通孔
33 ピン
34 脱落防止ナット
35、45、65、68d 第1空間部
36、46、66、68e 第2空間部
37、68c、69c リブ
38 脱落防止ピン
43 貫通ボルト
44 ナット
47a〜47c 補助材
47d 滑り材
47e 第1心棒孔
47f 第2心棒孔
47g 心棒
47h 固定ピン
51、53 接続板
61、68、69 ストッパ
62、68a、69a 側壁
63、64、68b、69b リップ

Claims (3)

  1. 折り筋が水平になるように設置面に立設された波形鋼板と、当該波形鋼板の鉛直方向の端部に直列に接続された小振幅用減衰手段と、を備えた波形鋼板を用いた制振壁であって、
    前記小振幅用減衰手段の水平変形を所定の第1許容量まで許容する第1空間部と、
    前記小振幅用減衰手段の鉛直変形を所定の第2許容量まで許容する第2空間部と、
    前記小振幅用減衰手段の水平変形が前記第1許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第1許容量を越えて水平変形することを抑制する水平変形抑制手段と、
    前記小振幅用減衰手段の鉛直変形が前記第2許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第2許容量を越えて鉛直変形することを抑制する鉛直変形抑制手段を備え
    前記小振幅用減衰手段は、粘弾性体と鋼板を交互に積層して構成された粘弾性体ダンパであり、
    前記粘弾性体ダンパを、前記鋼板と前記粘弾性体の積層方向が前記折り筋に対して直交する水平方向となるように配置し、
    前記粘弾性体ダンパの前記鋼板には、貫通孔を形成し、
    前記貫通孔には、前記水平変形抑制手段及び前記鉛直変形抑制手段を構成する貫通体を貫通させ、
    前記貫通孔の水平方向の周縁と前記貫通体の水平方向の周縁との相互間に前記第1空間部を設けると共に、前記貫通孔の鉛直方向の周縁と前記貫通体の鉛直方向の周縁との相互間に前記第2空間部を設け、
    前記波形鋼板又は前記粘弾性体ダンパを前記積層方向に沿って貫通する貫通部材として、前記水平変形抑制手段及び前記鉛直変形抑制手段を構成する前記貫通体のみを設けたこと、
    特徴とする波形鋼板を用いた制振壁。
  2. 折り筋が水平になるように設置面に立設された波形鋼板と、当該波形鋼板の鉛直方向の端部に直列に接続された小振幅用減衰手段と、を備えた波形鋼板を用いた制振壁であって、
    前記小振幅用減衰手段の水平変形を所定の第1許容量まで許容する第1空間部と、
    前記小振幅用減衰手段の鉛直変形を所定の第2許容量まで許容する第2空間部と、
    前記小振幅用減衰手段の水平変形が前記第1許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第1許容量を越えて水平変形することを抑制する水平変形抑制手段と、
    前記小振幅用減衰手段の鉛直変形が前記第2許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第2許容量を越えて鉛直変形することを抑制する鉛直変形抑制手段を備え、
    前記小振幅用減衰手段は、粘弾性体と鋼板を交互に積層して構成された粘弾性体ダンパであり、
    前記粘弾性体ダンパを、前記鋼板と前記粘弾性体の積層方向が鉛直方向となるように配置し、
    前記粘弾性体ダンパの前記鋼板には、貫通孔を形成し、
    前記貫通孔には、前記水平変形抑制手段を構成する貫通体を貫通させ、
    前記貫通体における前記鋼板の外部に突出した部分に、当該貫通孔の内径よりも太径状に形成されたものであって、前記鉛直変形抑制手段を構成する抑制部を設け、
    前記貫通孔の水平方向の周縁と前記貫通体の水平方向の周縁との相互間に前記第1空間部を設けると共に、前記鋼板の鉛直方向の端面と前記抑制部との相互間に前記第2空間部を設けたこと、
    を特徴とする波形鋼板を用いた制振壁。
  3. 折り筋が水平になるように設置面に立設された波形鋼板と、当該波形鋼板の鉛直方向の端部に直列に接続された小振幅用減衰手段と、を備えた波形鋼板を用いた制振壁であって、
    前記小振幅用減衰手段の水平変形を所定の第1許容量まで許容する第1空間部と、
    前記小振幅用減衰手段の鉛直変形を所定の第2許容量まで許容する第2空間部と、
    前記小振幅用減衰手段の水平変形が前記第1許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第1許容量を越えて水平変形することを抑制する水平変形抑制手段と、
    前記小振幅用減衰手段の鉛直変形が前記第2許容量に達した場合に、当該小振幅用減衰手段が当該第2許容量を越えて鉛直変形することを抑制する鉛直変形抑制手段を備え、
    前記小振幅用減衰手段は、粘弾性体と鋼板を交互に積層して構成された粘弾性体ダンパであり、
    前記粘弾性体ダンパは、前記波形鋼板と建造物の架構の水平部材との相互間に配置されたものであって、
    前記粘弾性体ダンパを、前記鋼板と前記粘弾性体の積層方向が鉛直方向となるように配置し、
    前記粘弾性体ダンパの前記鋼板と前記波形鋼板又は前記架構の水平部材とを接続体にて接続し、
    前記接続体の側方において、前記鋼板と前記波形鋼板又は前記架構の水平部材の相互間に、前記水平変形抑制手段及び前記鉛直変形抑制手段を構成するものであって、前記波形鋼板又は前記架構の水平部材と接続され、前記接続体に向かって延出される板材を配置し、
    前記接続体と前記板材との相互間に前記第1空間部を設けると共に、前記鋼板の鉛直方向の端面と前記板材との相互間に前記第2空間部を設けたこと、
    を特徴とする波形鋼板を用いた制振壁。
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