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JP4842755B2 - 超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁 - Google Patents

超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁 Download PDF

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JP4842755B2
JP4842755B2 JP2006273069A JP2006273069A JP4842755B2 JP 4842755 B2 JP4842755 B2 JP 4842755B2 JP 2006273069 A JP2006273069 A JP 2006273069A JP 2006273069 A JP2006273069 A JP 2006273069A JP 4842755 B2 JP4842755 B2 JP 4842755B2
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Description

この発明は、超高強度鋼で製作された波形鋼板を建物の上下の梁又はスラブ或いは左右の柱と一体的に接合した耐震壁の技術分野に属する。
現在、本出願人は、主に普通鋼や低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板を上下の梁又はスラブ或いは左右の柱へ一体的に溶接接合又はボルト接合した耐震壁の技術を開発し、既に別途出願している(例えば特許文献1〜8を参照)。
この波形鋼板の力学的特性について着目すると、次の特徴が認められる。なお、本発明でいう波形鋼板とは、JIS規格では「鋼鉄性波板」と記載され、現業では単に折り板とか波板とも称されているもので、断面形状としては図7A〜Dに例示した台形波形状(図7A)、矩形波形状(図7B)、三角形形状(図7C)、円弧波形状(図7D)等を指している。
図6に例示したように、波形鋼板は、折り板になっているので一枚一枚が剪断力に対して抵抗し、その集合として全体が剪断力として抵抗する。また、剪断座屈長さが短く、その剪断強度を平板と比較した場合、剪断耐力ははるかに大きい。しかも、剪断耐力及び剛性は、鋼板の材質固有の強度のほか、板厚の大きさ、折り板のピッチ及び波高の大きさにより、かなり自由に制御可能である。
鉛直軸力に対しては、図8Aに例示したように、アコーディオンのごとく自由に延び縮みするので、平板と比較すると剛性、耐力ははるかに小さい。また、波形面内の曲げに対しても、図8Bに例示したようにアコーディオンのごとく自由に伸び縮みし、平板に比較すると剛性、耐力ははるかに小さい。一方、波形の筋に直角な方向の面外力(曲げ及び剪断)に対する剛性、耐力は、折り板になっているので十分に大きい。しかし、波形の筋に平行な方向の面外曲げ及び剪断に対しては、折り板になっているが故に抵抗は小さいのである。
つまり、下記特許文献1〜8に記載された波形鋼板による耐震壁は、架構の水平力による曲げ及び剪断に対しては波形鋼板が効果的に対抗し、剪断耐力および剛性は必要十分に大きくなる。それでいて、架構の剛性及び面外方向の曲げ力に対する抵抗は小さい力学特性を発揮する。よって地震力に対する強度(耐力)が大きく、しかも高耐力での変形性能(靱性)に優れた可変剛性機能を期待できる。
特開2005−264713号公報 特開2005−232760号公報 特開2006−37581号公報 特開2006−37585号公報 特開2006−37586号公報 特開2006−37628号公報 特開2006−37659号公報 特開2006−45776号公報
上記特許文献1〜8に開示された耐震壁は、波形鋼板の力学的特性を活用した有用な耐震壁であるが、波形鋼板の鋼材として、普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材よりも降伏強度の高い超高強度鋼を用れば、板厚の薄い耐震壁を構築でき、同耐震壁の軽量化を図ることができるので、地震入力を小さくできるし、柱や基礎への負担を軽減できる。また、超高強度鋼で製作された波形鋼板は、普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板よりも弾性域が長いので、大地震時において塑性化しにくく地震後の残留変形が非常に小さくすることもできる。
しかし、超高強度鋼で製作された波形鋼板は、降伏強度が熱によってコントロールされるので、上記特許文献1〜8に開示された耐震壁のように、上下の梁又はスラブ或いは左右の柱と溶接を伴う接合では、降伏強度が低下する問題がある。
本発明の目的は、超高強度鋼で製作された波形鋼板を建物の上下の梁又はスラブ或いは左右の柱と一体的に接合することを可能に構成した降伏強度の高い耐震壁を提供することである。
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁は、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20が、その折り筋を水平方向に向けて上下の梁又はスラブ5、5へ一体的に接合された耐震壁1aであって、
前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の左右両端部に、該波形鋼板20を内外両面から挟み込む形鋼3、3がボルト接合されて形鋼フランジ部4、4が形成され、該形鋼フランジ部4の上下端部が上下の梁又はスラブ5、5へ接合されており、
前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の上下端部が、上下の梁又はスラブ5、5とボルト接合されていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係る超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁は、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20が、その折り筋を水平方向に向けて上下の梁又はスラブ5、5へ一体的に接合された耐震壁1bであって、
前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20に、普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21が凹凸を同じ向きに重ね合わされてボルト接合されており、
前記重ね合わせた波形鋼板22の左右両端部に、該波形鋼板22を内外両面から挟み込む形鋼3、3がボルト接合されて形鋼フランジ部4、4が形成され、該形鋼フランジ部4の上下端部が上下の梁又はスラブ5、5へ接合されており、
前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の上下端部が、上下の梁又はスラブ4、4とボルト接合されていること、又は普通鋼や低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21が上下の梁又はスラブと溶接接合又はボルト接合されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明に係る超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁は、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20が、その折り筋を水平方向に向けて左右の柱へ一体的に接合された耐震壁1cであって、
前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の左右両端部に、該波形鋼板20を内外両面から挟み込む形鋼3、3がボルト接合されて形鋼フランジ部4、4が形成されており、
前記形鋼フランジ部4に接合された連結部材9、9が左右の柱10、10へ接合されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明に係る超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁は、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20が、その折り筋を水平方向に向けて左右の柱へ一体的に接合された耐震壁であって、
前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20に、普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21が凹凸を同じ向きに重ね合わせてボルト接合されており、
前記重ね合わせた波形鋼板22の左右両端部に、該波形鋼板22を内外両面から挟み込む形鋼3、3がボルト接合されて形鋼フランジ部4、4が形成されており、
前記形鋼フランジ部4に接合された連結部材9、9が左右の柱10、10へ接合されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁において、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20の中間部、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板20に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を重ね合わせた波形鋼板22の中間部に、前記波形鋼板20を内外両面から挟み込む補強鋼板又は補強形鋼11がボルト接合されていることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁において、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20と形鋼3との隙間、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板20に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を重ね合わせた波形鋼板22と形鋼3との隙間、或いは超高強度鋼で製作された波形鋼板20と補強鋼板又は補強形鋼11との隙間へモルタル又は樹脂6が充填されていることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項1〜6のいずれか一に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁において、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20と形鋼3との隙間、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板20に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を重ね合わせた波形鋼板22と形鋼3との隙間、或いは超高強度鋼で製作された波形鋼板20と補強鋼板又は補強形鋼11との隙間へ補剛材7が設置されていることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、請求項1又は2に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁において、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20を内外両面から挟み込む形鋼3、3で形成された形鋼フランジ部4、4、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板20に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を内外両面から挟み込む形鋼3、3で形成された形鋼フランジ部4、4に、前記内外の形鋼3、3を結ぶ補剛鋼板8が接合されていることを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、請求項3又は4に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁において、
超高強度鋼で製作された波形鋼板20の上下端部、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板20に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を重ね合わせた波形鋼板22の上下端部には、水平方向に沿って前記の波形鋼板20(又は22)を内外両面から挟み込む山形鋼11がボルト接合されていることを特徴とする。
本発明の超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁1は、超高強度鋼で製作された波形鋼板20に形鋼3、3で形成した形鋼フランジ部4を介して上下の梁又はスラブ5、5或いは左右の柱10、10へボルト接合した構成なので、降伏強度の高い耐震壁1を構築できる。従って、普通鋼や低降伏点鋼等の鋼材で成形した波形鋼板に比べて板厚を薄くできる。斯くして、本発明の耐震壁1は、部材の軽量化を図ることができ、地震入力を小さくできるし、柱や基礎への負担を軽減できる。また、大地震時においても波形鋼板20は塑性変形しにくく、地震後の残留変形を非常に小さくすることができる。
超高強度鋼で製作された波形鋼板20を上下の梁又はスラブへ接合する場合は、超高強度鋼で製作された波形鋼板20の左右両端部に、該波形鋼板20を内外両面から挟み込む形鋼3、3をボルト接合して形鋼フランジ部4を形成し、形鋼フランジ部4の上下端部を上下の梁又はスラブ5、5へ接合する。そして、前記波形鋼板20の上下端部を、上下の梁又はスラブ5、5とボルト接合する。
超高強度鋼で製作された波形鋼板20を左右の柱へ接合する場合は、超高強度鋼で製作された波形鋼板20の左右両端部に、該波形鋼板20を内外両面から挟み込む形鋼3、3をボルト接合して形鋼フランジ部4を形成し、形鋼フランジ部4に接合した連結部材を左右の柱10、10へ接合する。
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1(A)、(B)は、超高強度鋼で製作された波形鋼板20を、その折り筋を水平方向に向けて上下の梁5、5(以下、スラブの場合も含む。)へ一体的に接合した耐震壁1aをそれぞれ示している。具体的には、前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の左右両端部に、該波形鋼板20を内外両面から挟み込む山形鋼3、3が、鉛直方向に沿って複数のボルト3a…で接合されて形鋼フランジ部4が形成されている。前記形鋼フランジ部4の上下端部が、同形鋼フランジ部4にボルト接合15されたアングル材12を介して上下の梁5、5のフランジ部5aへボルト接合15されている。そして、前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の上下端部は、上下の梁5、5のウェブ5bに沿って設けられたリブ14へ水平方向に沿って複数のボルト14aで接合されている(図1Bを参照)。
なお、前記形鋼フランジ部4の上下の端部は、アングル材12を介して、上下の梁5、5のフランジ部5aへ溶接接合しても良いし、上下の梁5、5へ直接溶接接合しても良い。また、形鋼フランジ部4を構成する山形鋼3に代えて、例えば、I形鋼、溝形鋼、T形鋼、H形鋼等で実施することもできる。
超高強度鋼で製作された波形鋼板20の降伏強度は、約600〜700N/mmであり、普通鋼や低降伏点鋼等の鋼材で製作された波形鋼板(降伏強度が約200〜300N/mm)の降伏強度に比べて非常に高い。つまり、超高強度鋼から成る波形鋼板は、その板厚を普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板の1/2又は1/3程度としても十分な力学的特性を発揮する。本実施例の超高強度鋼から成る波形鋼板20を用いた耐震壁1aは、波形鋼板20の板厚を薄くできる分だけ耐震壁の軽量化を図ることができる。よって、地震入力を小さくでき、柱や基礎への負担を軽減できる。また、大地震時においても波形鋼板20は塑性変形しにくく、地震後の残留変形を非常に小さくすることができる。
図2(A)〜(C)は、上記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の降伏強度を更に高める手段をそれぞれ示している。
先ず、図2(A)に示す実施例は、波形鋼板20と形鋼3、3との隙間へ、モルタル又は樹脂6を充填して接合強度を高めた構成である(請求項6記載の発明)。
次に、図2(B)に示す実施例は、波形鋼板20と形鋼3、3との隙間へ、横断面が略コ字形状の補剛材7を、波形鋼板20の凹凸と向かい合わせに設置した構成である。前記補剛材7は、形鋼3、3と共に波形鋼板20とボルト接合されている(請求項7記載の発明)。
次に、図2(C)に示す実施例は、超高強度鋼で製作された波形鋼板20を内外両面から挟み込む形鋼3、3で形成された形鋼フランジ部4、4に、前記内外の形鋼3、3を結ぶ補剛鋼板8が、交差状に配置されてボルト接合された構成である(請求項8記載の発明)。
なお、前記図2(A)〜(C)に示す波形鋼板20の補剛手段をそれぞれ組み合わせて、一層降伏強度を高めた構成で実施してもよい。例えば、波形鋼板20と形鋼3、3との隙間へ、モルタル又は樹脂6を充填すると共に補剛材7を設置した構成で実施することができる。或いは、波形鋼板20と形鋼3との隙間へ、モルタル又は樹脂6を充填し、又は補剛材7を設置すると共に、前記形鋼フランジ部4、4に、前記内外の形鋼3、3を交差状に結ぶ補剛鋼板8をボルト接合した構成で実施することができる。
図3は、例えば超高強力鋼から成る波形鋼板20が水平方向に長くて、剪断座屈を起こすおそれがある場合に、前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の中間部に、該波形鋼板20の内外両面を挟み込む補強鋼板11を、鉛直方向に沿って複数のボルト16で一体的に接合して補剛した実施形態を示している。なお、図示は省略したが、前記補強鋼板11は、例えば溝形鋼や山形鋼であっても同様に実施することができる。
因みに、図3に示した実施例では、波形鋼板20の中間部に1枚の補強鋼板を設けた構成であるが、前記波形鋼板20の横幅によっては、複数枚の補強鋼板11を水平方向に一定の間隔をあけて並べ、前記波形鋼板20と一体的にボルト接合した構成で実施することもできる(請求項5記載の発明)。
なお、超高強度鋼で製作された波形鋼板20と前記補強鋼板11の隙間へ、モルタルを充填したり(例えば上記図2Aを参照)、或いは補剛材を設けることにより(例えば図2Bを参照)、更に波形鋼板20の降伏強度を高めることができる。
図4に示す耐震壁1bは、超高強度鋼で製作された波形鋼板20の内外両側面に、普通鋼又は低降伏点鋼或いは高張力鋼等の鋼材から成る波形鋼板21が、凹凸を同じ向きに重ね合わされ、鉛直方向に沿って複数のボルト3a…で一体的に接合されていることを特徴としている。実施例2の耐震壁1bは、降伏時の変形角を変化させることができ、エネルギー吸収能力をコントロールできる点で優れている。
上記耐震壁1bの構成は、超高強度鋼で製作された波形鋼板20に普通鋼又は低降伏点鋼或いは高張力鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を重ね合わせること以外は、上記実施例1で説明した耐震壁1aと略同じ構成である。即ち、前記重ね合わせた波形鋼板22の左右両端部に、該波形鋼板22の内外両面を挟み込む形鋼3、3が複数のボルト3a…で一体的に接合されて形鋼フランジ部4が形成されている。前記形鋼フランジ部4の上下の端部が、同形鋼フランジ部4にボルト接合15されたアングル材12を介して上下の梁5、5(以下、スラブの場合も含む。)のフランジ部5aへ、一体的にボルト接合15されている。そして、前記重ね合わせた波形鋼板20の上下の端部が、上下の梁5、5のウェブ5bに沿って設けられたリブ14へ水平方向に沿って複数のボルトで接合されている。但し、本実施例の耐震壁1bの場合では、前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20に重ね合わせた普通鋼又は低降伏点鋼或いは高張力鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を上下の梁5、5と溶接接合又はボルト接合した構成で実施することもできる(請求項2記載の発明)。
なお、上記実施例1の段落番号[0021]〜[0023]に記載した波形鋼板の降伏強度を更に高める手段は、実施例2の耐震壁1bにも同様に実施することができる。
図5(A)〜(C)に示す耐震壁1cは、超高強度鋼で製作された波形鋼板20が、その折り筋を水平方向に向けて左右の柱10、10へ一体的にボルト接合されている。具体的には、超高強度鋼で製作された波形鋼板20の左右両端部に、該波形鋼板20の内外両面を挟み込む形鋼3、3が複数のボルト3a…で接合されて形鋼フランジ部4、4が形成されている。前記形鋼フランジ部4、4に鉛直方向に沿って複数のボルト9a…で接合された連結部材9、9が、左右の柱10、10のウェブ10aに沿って設けられたリブ17へ一体的に複数のボルト18…で接合されている(請求項3記載の発明)。
前記超高強度鋼で製作された波形鋼板20の上下の端部には、剪断座屈強度を高めるため及び剪断応力の伝達を高めるために、水平方向に沿って前記波形鋼板20を内外両面から挟み込む山形鋼13が水平方向に向かって複数のボルト13a…で接合されている。但し、前記山形鋼13の代わりに、例えばI形鋼、溝形鋼、T形鋼、H形鋼等を用いても同様に実施することができる(請求項9記載の発明)。
なお、上記実施例1の段落番号[0021]〜[0023]に記載した波形鋼板の降伏強度を更に高める手段を実施例3の耐震壁1cにも同様に実施することができる。但し、段落番号[0021]に記載した図2(C)に示す手段は除く。
また、図示は省略したが、本実施例3の超高強度鋼で製作された波形鋼板20を用いた耐震壁1cは、柱と柱の間に立てる間柱として構成で実施することもできる。
上記実施例3に記載した構成の耐震壁1cは、例えば上記実施例2に記載した耐震壁1bのように、超高強度鋼で製作された波形鋼板20の側面に、普通鋼又は低降伏点鋼或いは高張力鋼等の鋼材から成る波形鋼板21を、凹凸を同じ向きに重ね合せて、一体的にボルト接合した波形鋼板22を用いた構成で実施することもできる。つまり、図示は省略したが、本実施例4の耐震壁は、重ね合わせた波形鋼板22の左右両端部に、該波形鋼板22を内外両面から挟み込む形鋼3、3がボルト接合されて形鋼フランジ部4、4が形成されている。前記形鋼フランジ部4、4に鉛直方向に沿って複数のボルト9a…で接合された連結部材9、9が、左右の柱10、10のウェブ10aに沿って設けられたリブ17へ一体的に複数のボルト18…で接合されている(請求項4記載の発明)。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、勿論、図示した実施例の限りではない。本発明の要旨及び技術的思想を逸脱しないかぎり、当業者の変形、応用にしたがい様々な実施例が成立することを、敢えてここに、言及する次第です。
(A)は請求項1に記載した耐震壁を示す正面図である。(B)は(A)の側面図である。 (A)〜(C)は波形鋼板の降伏強度を高める手段を示す説明図である。 (A)は水平方向に長い波形鋼板の降伏強度を高めた耐震壁の正面図である。(B)は(A)のI−I線矢視断面図である。 請求項2に記載した耐震壁を示す側面図である。 (A)は請求項3に記載した耐震壁を示す正面図である。(B)は(A)のII−II線矢視断面図である。(C)は(A)のIII−III線矢視断面図である。 波形鋼板 の折り筋と直角な方向のせん断変形の状態を模式的に示す側面図である。 (A)は波形鋼板の軸圧縮の状態を示す図である。(B)は波形鋼板の曲げ状態を示す説明図である。 (A)〜(D)は波形鋼板の異なる断面形状を示す説明図である。
符号の説明
1a〜1c 耐震壁
20 超高強度鋼で製作された波形鋼板
3 形鋼
4 形鋼フランジ部
5 梁(又はスラブ)
6 モルタル(又は充填材)
7 補剛材
8 補剛鋼板
9 連結部材
10 柱

Claims (9)

  1. 超高強度鋼で製作された波形鋼板が、その折り筋を水平方向に向けて上下の梁又はスラブへ一体的に接合された耐震壁であって、
    前記超高強度鋼で製作された波形鋼板の左右両端部に、該波形鋼板を内外両面から挟み込む形鋼がボルト接合されて形鋼フランジ部が形成され、該形鋼フランジ部の上下端部が上下の梁又はスラブへ接合されており、
    前記超高強度鋼で製作された波形鋼板の上下端部が、上下の梁又はスラブとボルト接合されていることを特徴とする、超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  2. 超高強度鋼で製作された波形鋼板が、その折り筋を水平方向に向けて上下の梁又はスラブへ一体的に接合された耐震壁であって、
    前記超高強度鋼で製作された波形鋼板に、普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板が凹凸を同じ向きに重ね合わされてボルト接合されており、
    前記重ね合わせた波形鋼板の左右両端部に、該波形鋼板を内外両面から挟み込む形鋼がボルト接合されて形鋼フランジ部が形成され、該形鋼フランジ部の上下端部が上下の梁又はスラブへ接合されており、
    前記超高強度鋼で製作された波形鋼板の上下端部が、上下の梁又はスラブとボルト接合されていること、又は普通鋼や低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板が上下の梁又はスラブと溶接接合又はボルト接合されていることを特徴とする、超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  3. 超高強度鋼で製作された波形鋼板が、その折り筋を水平方向に向けて左右の柱へ一体的に接合された耐震壁であって、
    前記超高強度鋼で製作された波形鋼板の左右両端部に、該波形鋼板を内外両面から挟み込む形鋼がボルト接合されて形鋼フランジ部が形成されており、
    前記形鋼フランジ部に接合された連結部材が左右の柱へ接合されていることを特徴とする、超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  4. 超高強度鋼で製作された波形鋼板が、その折り筋を水平方向に向けて左右の柱へ一体的に接合された耐震壁であって、
    前記超高強度鋼で製作された波形鋼板に、普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板が凹凸を同じ向きに重ね合わされてボルト接合されており、
    前記重ね合わせた波形鋼板の左右両端部に、該波形鋼板を内外両面から挟み込む形鋼ががボルト接合されて形鋼フランジ部が形成されており、
    前記形鋼フランジ部に接合された連結部材が、左右の柱へ接合されていることを特徴とする、超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  5. 超高強度鋼で製作された波形鋼板の中間部、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板を重ね合わせた波形鋼板の中間部に、前記波形鋼板を内外両面から挟み込む補強鋼板又は補強形鋼がボルト接合されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  6. 超高強度鋼で製作された波形鋼板と形鋼との隙間、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板を重ね合わせた波形鋼板と形鋼との隙間、或いは超高強度鋼で製作された波形鋼板と補強鋼板又は補強形鋼との隙間へモルタル又は樹脂が充填されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  7. 超高強度鋼で製作された波形鋼板と形鋼との隙間、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板を重ね合わせた波形鋼板と形鋼との隙間、或いは超高強度鋼で製作された波形鋼板と補強鋼板又は補強形鋼との隙間へ補剛材が設置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  8. 超高強度鋼で製作された波形鋼板を内外両面から挟み込む形鋼で形成された形鋼フランジ部、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板を内外両面から挟み込む形鋼で形成された形鋼フランジ部に、前記内外の形鋼を結ぶ補剛鋼板が接合されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
  9. 超高強度鋼で製作された波形鋼板の上下端部、又は超高強度鋼で製作された波形鋼板に普通鋼又は低降伏点鋼等の鋼材から成る波形鋼板を重ね合わせた波形鋼板の上下端部には、水平方向に沿って前記の波形鋼板を内外両面から挟み込む形鋼がボルト接合されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載した超高強度鋼で製作された波形鋼板を用いた耐震壁。
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