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JP4175715B2 - 光走査型タッチパネル - Google Patents

光走査型タッチパネル Download PDF

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JP4175715B2
JP4175715B2 JP03880199A JP3880199A JP4175715B2 JP 4175715 B2 JP4175715 B2 JP 4175715B2 JP 03880199 A JP03880199 A JP 03880199A JP 3880199 A JP3880199 A JP 3880199A JP 4175715 B2 JP4175715 B2 JP 4175715B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示画面上での指示物の位置を光学的に検出する光走査型タッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
主としてパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムの普及に伴って、コンピュータシステムにより情報が表示される表示装置の表示画面上を人の指または特定の指示物により指示することにより、新たな情報を入力したり、コンピュータシステムに対して種々の指示を与えたりする装置が利用されている。
【0003】
パーソナルコンピュータ等の表示装置の表示画面に表示された情報に対してタッチ方式にて入力操作を行う場合には、その表示画面上での接触位置(指示位置)を高精度に検出する必要がある。このような座標面となる表示画面上の指示位置を検出する方法の一例として、光学的な位置検出方法が、特開昭62−5428号公報などに提案されている。この方法は、表示画面の両側枠に光再帰性反射体を配置し、角度走査したレーザ光線のこの光再帰性反射体からの戻り光を検知し、指またはペン等によって光線が遮断されるタイミングから指またはペン等の存在角度を求め、求めた角度から三角測量の原理にて位置座標を検出する。この方法では、部品点数が少なくて検出精度を維持でき、指,任意のペン等の位置も検出できる。
【0004】
このような走査光により位置検出を行う光走査型タッチパネルは、一般的に表示画面の外側に設けられた再帰性反射体と、レーザ光などの光を出射する発光素子と、出射された光を角度走査するポリゴンミラーなどの光走査手段と、その走査光の再帰性反射体による反射光を偏向する偏向素子と、偏向された反射光を受光する受光素子とを備えており、発光素子からの光を光走査手段にて走査させ、その走査光の再帰性反射体での反射光を再び光走査手段で反射させ、その反射光を偏向素子を介して受光素子に受光させる構成を有している。その走査光の経路に指,任意のペンなどの指示物が存在する場合には、再帰性反射体での反射光が受光素子に受光されない。そこで、光走査手段の走査角度及び受光素子での受光結果に基づいて、それらの指示物の位置を検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光走査型タッチパネルでは、光走査手段での走査光が偏向素子の幅を走査して受光素子に直接入射される光を、1回の光走査の基準信号としている。また、再帰性反射体の一縁に走査光が到達してその反射光が受光素子で受光されて走査開始信号が得られる。
【0006】
光走査を行う場合、このような基準信号と走査開始信号とは走査時間的に極めて近接しており、基準信号が走査開始信号に影響を及ぼすので、両信号の判別が難しいという課題があった。そこで、従来では、例えば、走査光の光走査手段への入射角を実装上、走査光のビームサイズの3倍以上に相当する角度分だけ離すことにより、その影響を緩和している。このような手法では、実装上の設計自由度を制限することになり、小型な構成の実現を妨げる要因になっている。また、基準信号と走査開始信号とを分離するために特定のスライスレベルを設定する必要があり、回路構成が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成にて、基準信号と走査開始信号とを容易に判別できる光走査型タッチパネルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光走査型タッチパネルは、光を出射する光出射手段と、所定領域と実質的に平行である面内で前記光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段による走査光を受光する受光手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記受光手段の受光出力に基づいて検出する光走査型タッチパネルにおいて、前記光出射手段と前記光走査手段との間であって、前記光出射手段から出射される前記光の経路を妨げない領域に、走査光とはならないノイズ光としての拡散光を遮断するために、前記光照射手段から前記光走査手段へ向かう平行光の経路に長手方向を沿わせて配置される偏平四角柱状の遮光手段を備え、該遮光手段の光路側の部位に無反射処理を施していることを特徴とする。
【0009】
基準信号と走査開始信号との判別が困難である理由は、光走査型タッチパネルの種々の部材における反射光,回折光などがノイズ光として光走査手段に照射されて反射し、その反射光が正規の走査光に加わった形で受光素子に受光されて、基準信号は裾野が広がったような形状になり、これに続く走査開始信号との境界が不明瞭になる点にあると考えられる。よって、本発明では、このようなノイズ光が光走査手段に到達しないように、光出射手段から光走査手段への正規の照射光の経路に関与しない領域に遮光手段を設ける。この遮光手段によって、ノイズ光は遮断されて光走査手段に到達せず、正規の走査光のみが受光手段に入射され、基準信号の立ち下がりが尖鋭となって、走査開始信号との境界が明瞭となり、基準信号と走査開始信号との判別を容易に行える。
【0011】
また、遮光手段の光走査手段側の面に無反射処理を施している。よって、光走査手段にこのようなノイズ光が到達して反射した場合においても、遮光手段の光走査手段側の面に無反射処理が施されているので、その反射光が受光手段に入射されることがなく、正規の走査光のみが受光手段に入射され、基準信号の立ち下がりが尖鋭となって、走査開始信号との境界が明瞭となり、基準信号と走査開始信号との判別を容易に行える。
【0012】
本発明に係る光走査型タッチパネルは、所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段による走査光を受光する受光手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記受光手段の受光出力に基づいて検出する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段と前記受光手段との間であって、前記光走査手段による走査光の経路を妨げない領域に、走査光とはならないノイズ光としての拡散光を遮断するために、前記光走査手段から前記受光手段へ向かう平行光の経路に沿わせて配置される偏平四角柱状の遮光手段を備え、該遮光手段の光路側の部位に無反射処理を施していることを特徴とする。
【0013】
受光手段でのノイズ光の影響を除去するように、受光手段の走査光入射側であって、走査光の経路に関与しない領域に遮光手段を設ける。この遮光手段によって、ノイズ光が受光手段まで到達せず、正規の走査光のみが受光手段に入射され、基準信号の立ち下がりが尖鋭となって、走査開始信号との境界が明瞭となり、基準信号と走査開始信号との判別を容易に行える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【0017】
図1において参照符号10は、パーソナルコンピュータ等の電子機器におけるCRTまたはフラットディスプレイパネル(PDP,LCD,EL等),投射型映像表示装置等の矩形状の表示画面であり、本実施の形態ではPDP(プラズマディスプレイ)の表示画面として構成されている。
【0018】
例えば指,ペン等である指示物Sによりタッチするための目標区域として規定された平面の範囲であるこの長方形の表示画面10の一つの短辺(本実施の形態では右側の辺)の両隅の外側には、発光素子,受光素子,ポリゴンミラー,各種のレンズ等を含む光学系を内部に有する光学ユニット1a,1bがそれぞれ設けられている。また、表示画面10の右側の辺を除く3辺、つまり、上下両側の辺及び左側の辺の外側には再帰性反射体としての再帰性反射シート7が設けられている。
【0019】
(第1実施の形態)
図2は、第1実施の形態における光学ユニット1a,1bの構成及び光路を示す図である。両光学ユニット1a,1bは同じ内部構成をなしている。光学ユニット1a(1b)は、赤外線レーザ光を出射するレーザダイオード(LD)からなる発光素子11と、発光素子11からのレーザ光を平行光にするためのコリメーションレンズ12と、再帰性反射シート7からの反射光を受光するフォトダイオード(PD)からなる受光素子13と、発光素子11からのレーザ光を角度走査するための例えば4角柱状のポリゴンミラー14と、アパーチャ15aによりコリメーションレンズ12からポリゴンミラー14への投射光を制限すると共に、ポリゴンミラー14を介した再帰性反射シート7からの反射光を受光素子13側へ反射するアパーチャミラー15と、アパーチャミラー15での反射光を受光素子13に集束させるための集光レンズ16と、ポリゴンミラー14を回転させるモータ17と、アパーチャミラー15,ポリゴンミラー14間の光路に対して走査領域とは反対側に設けられており、ノイズ光がポリゴンミラー14に照射されることを防止する遮光部材18と、これらの光学部材を取付け固定するための光学ユニット本体19とを備える。なお、集光レンズ16は、光学ユニット本体18の中空部に嵌挿された円筒状のレンズホルダ20内に固定されている。
【0020】
発光素子11から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ12にて平行光にされ、アパーチャミラー15のアパーチャ15aを通過した後、ポリゴンミラー14の回転によって表示画面10と実質的に平行である面内を角度走査されて再帰性反射シート7に投射される。そして、再帰性反射シート7からの反射光が、ポリゴンミラー14及びアパーチャミラー15にて反射された後、集光レンズ17で集束されて受光素子13に入射される。但し、走査光の経路に指示物Sが存在する場合には走査光が遮断されるため、反射光が受光素子13に入射されることはない。
【0021】
各光学ユニット1a,1bには、各発光素子11を駆動する発光素子駆動回路2a,2bと、各受光素子13の受光量を電気信号に変換する受光信号検出回路3a,3bと、各ポリゴンミラー14の動作を制御するポリゴン制御回路4とが接続されている。また、参照符号5は指示物Sの位置,大きさを算出すると共に、装置全体の動作を制御するMPUであり、6はMPU5での算出結果などを表示する表示装置である。
【0022】
MPU5は、発光素子駆動回路2a,2bに駆動制御信号を送り、その駆動制御信号に応じて発光素子駆動回路2a,2bが駆動されて、各発光素子11の発光動作が制御される。受光信号検出回路3a,3bは、各受光素子13での反射光の受光信号をMPU5へ送る。MPU5は、各受光素子13からの受光信号に基づいて、指示物Sの位置,大きさを算出し、その算出結果を表示装置6に表示する。なお、表示装置6は表示画面10を兼用することも可能である。
【0023】
このような本発明の光走査型タッチパネルにおいては、図1に示されているように、例えば光学ユニット1bに関して説明すると、光学ユニット1bからの投射光は、走査光がアパーチャミラー15で反射されて受光素子13に直接入射する位置から図1上で反時計方向回りに走査され、再帰性反射シート7の先端部分で反射される位置(Ps)に至って走査開始位置になる。そして、指示物Sの一端に至る位置(P1)までは再帰性反射シート7により反射されるが、指示物Sの他端に至る位置(P2)までの間は指示物Sによって遮断され、その後の走査終了位置(Pe)に至るまでは再帰性反射シート7により反射される。
【0024】
このような光走査において、発光素子11からの投射光が、再帰性反射シート7に到らずにポリゴンミラー14にてアパーチャミラー15を走査して直接受光素子13に入射された検出光信号を基準信号とする。また、再帰性反射シート7の先端部分(図1のPs)へ走査光が到達して反射された検出光信号が走査開始信号となり、その後、再帰性反射シート7からの反射光が受光素子13に入射されて再帰性反射信号が得られる。なお、この基準信号を検出した時点から走査角度を計測するようにしている。
【0025】
次に、第1実施の形態の特徴部分である遮光部材18の作用について説明する。図3は、このような遮光部材が存在しない従来例を示す図であり、図3(a)は従来例の構成及び光路の模式図、図3(b)は従来例におけるポリゴンミラー14への照射光のビーム形状を示す図、図3(c)は従来例における基準信号及び再帰性反射信号を示す図である。なお、図3(a)にあって、図2と同一部分には同一番号を付している。
【0026】
遮光部材が存在しない従来例では、図3(a)の破線,図3(b)のAに示すように、走査光とはならないノイズ光としての拡散光がポリゴンミラー14へ照射され、その反射光が受光素子13に入射される。その結果、図3(c)に示す基準信号Bの辺縁が尖鋭でなく、これに続く再帰性反射信号Cとの境界が不明瞭となって、正確に基準信号Bと再帰性反射信号Cとの判別を行えない。
【0027】
一方、図4は、遮光部材18が存在する第1実施の形態を示す図であり、図4(a)は第1実施の形態の構成及び光路の模式図、図4(b)は第1実施の形態におけるポリゴンミラー14への照射光のビーム形状を示す図、図4(c)は第1実施の形態における基準信号及び再帰性反射信号を示す図である。遮光部材18は、図4(a)に示すように、アパーチャ15aからポリゴンミラー14へ向かう平行光の経路にその長手方向を沿わせた偏平四角柱状の支持材18aと、その支持材18aの光路側の表面に貼付された無反射テープ18bとから構成されており、その光路に対して走査領域と反対側であって、その光路を妨げないような領域に設置されている。
【0028】
第1実施の形態では、このような遮光部材18が存在するので、ノイズ光となる拡散光は、この遮光部材18の表面で吸収または散乱されて、ポリゴンミラー14に照射されない。よって、図4(b)に示すように、ポリゴンミラー14への照射光のビーム形状では走査領域と反対側のこの拡散光の成分(図3(b)のような成分A)がなくなり、その結果、図4(c)に示す基準信号Bの辺縁が尖鋭となり、これに続く再帰性反射信号Cとの境界が明瞭であって、基準信号Bと再帰性反射信号Cとを正確に判別できる。
【0029】
このように第1実施の形態では、遮光部材18を設けて、アパーチャミラー15などの光学部材における内部反射光,アパーチャ15aでの回折光などの拡散光となるノイズ光が、走査光学系に入射しないようにしたので、基準信号と再帰性反射信号(走査開始信号)とを容易かつ正確に判別できる。
【0030】
(第2実施の形態)
図5は、第2実施の形態における光学ユニット1a,1bの構成及び光路を示す図である。図5において、図2と同一部分には同一番号を付してそれらの説明は省略する。
【0031】
この第2実施の形態では、ポリゴンミラー14の外接円の近傍に、その長手方向をポリゴンミラー14の軸心方向に合わせて、遮光部材18を光学ユニット本体19に立設させている。なお、他の構成、光走査の動作、基準信号の検出などは第1実施の形態と同様である。
【0032】
第2実施の形態における遮光部材18の特徴について詳述する。図6は、第2実施の形態の一例の構成及び光路の模式図、図7は、第2実施の形態の他の例の構成及び光路の模式図である。
【0033】
図6に示す構成例では、偏平四角柱状の支持材18aのアパーチャ15a側の表面に無反射テープ18bを貼付した構成をなす遮光部材18が、ポリゴンミラー14の外接円の近傍であって、アパーチャ15aからの平行光の経路に対して走査領域と反対側であり、その光路を妨げないような領域に設けられている。この例では、このような遮光部材18が存在するので、図6の破線で示すノイズ光となる拡散光は、この遮光部材18の表面で吸収または散乱されて、ポリゴンミラー14に照射されない。
【0034】
図7に示す構成例では、偏平四角柱状の支持材18aのアパーチャ15a側の表面及びポリゴンミラー14側の表面に無反射テープ18b及び18cを貼付した構成をなす遮光部材18が、ポリゴンミラー14の外接円の近傍であって、アパーチャ15aからの平行光の経路に対して走査領域と反対側であり、その光路を妨げないような領域に設けられている。この例では、このような遮光部材18が存在するので、図7の破線で示すノイズ光となる拡散光は、この遮光部材18の表面で吸収または散乱されて、ポリゴンミラー14に照射されない。また、図7の一点鎖線で示すように、遮光部材18の縁を通ってポリゴンミラー14に到達するノイズ光となる拡散光が存在する場合でも、その反射光はこの遮光部材18の裏面で吸収または散乱されて受光素子まで到達しない。
【0035】
よって、このような構成の遮光部材18を設けた第2実施の形態でも、第1実施の形態と同様に、ノイズ光となる拡散光が走査光学系に入射しないようにしたので、得られる基準信号の辺縁が尖鋭となり、これに続く再帰性反射信号との境界が明瞭であって、基準信号と再帰性反射信号(走査開始信号)とを容易かつ正確に判別できる。また、この第2実施の形態では、ポリゴンミラー14の近傍にのみ遮光部材18を設けるので、第1実施の形態と比べて、遮光部材18の面積が少なくて済む。
【0036】
(第3実施の形態)
図8は、第3実施の形態における光学ユニット1a,1bの構成及び光路を示す図である。図8において、図2と同一部分には同一番号を付してそれらの説明は省略する。
【0037】
この第3実施の形態では、集光レンズ16を固定するレンズホルダ20のアパーチャミラー15側に、ポリゴンミラー14の走査開口幅のアパーチャを有する遮光部材18を設けている。なお、他の構成、光走査の動作、基準信号の検出などは第1実施の形態と同様である。
【0038】
第3実施の形態における遮光部材18の特徴について詳述する。図9は、このような遮光部材18が存在しない従来例の構成及び光路の模式図、図10は遮光部材18が存在する第3実施の形態の構成及び光路の模式図である。なお、図9にあって、図8と同一部分には同一番号を付している。
【0039】
遮光部材が存在しない従来例では、図9の実線矢符に示すように、ポリゴンミラー14からの走査光が斜め方向からアパーチャミラー15に照射されると、その反射光がレンズホルダ20の内面で散乱反射し、その散乱反射光がノイズ光として受光素子13に入射される。この結果、図11(a)に示すように、得られる基準信号の幅が広くなる。なお、図11(a)でハッチングを付した部分は、この散乱反射光によるノイズ成分を表す。よって、従来例では、幅が広い基準信号が得られるので、これに続く再帰性反射信号(走査開始信号)との境界が不明瞭となって、両信号の判別が難しい。
【0040】
これに対して、レンズホルダ20に遮光部材18を設けた第3実施の形態では、図10の実線矢符に示すように、ポリゴンミラー14からの走査光が斜め方向にアパーチャミラー15へ照射された場合でも、その反射光は遮光部材18によって遮断されて受光素子13に入射されない。この結果、図11(b)に示すように、走査光のみからなる正確な基準信号を得ることができる。よって、第3実施の形態では、幅が狭い基準信号が得られるので、これに続く再帰性反射信号(走査開始信号)との境界は明瞭となって、両信号の判別を容易かつ正確に行える。
【0041】
(第4実施の形態)
基準信号の幅を狭くすることによって、基準信号と再帰性反射信号(走査開始信号)との判別を容易に行えるようにした第4実施の形態について説明する。
【0042】
図12は、光学ユニット1a(1b)の光学部材の配置設計と光走査の状態とを示す模式図である。図において、δは走査開始角度(アパーチャ15aからの平行光の光軸と図1におけるPsに相当する走査光の光路とのなす角度)、L1はアパーチャミラー15からポリゴンミラー14までの距離、wはアパーチャミラー15における走査光の光路から検出領域側(走査領域側)の端までの幅をそれぞれ示す。よって、更に、走査光のビーム幅をd、アパーチャミラー15から受光素子13までの距離をL2とした場合、以下の条件(1)を満たす場合には、走査光の再帰性反射シート7での反射光が光学ユニット1a(1b)に遮断されることなく受光素子13で受光することが可能である。そして、この条件(1)を満たすように各光学部材の位置が設計されている。
d/2+w>(L1+L2)tanδ …(1)
【0043】
アパーチャミラー15,ポリゴンミラー14間の距離(L1)の設計に自由度が少なくてL1の長さをあまり大きくできない場合には、条件(1)を満たしながらアパーチャミラー15,受光素子13間の距離(L2)を長く設定することにより、基準信号の幅を縮小できる。図13は、ポリゴンミラー14及びアパーチャミラー15を固定してL1を一定(30mm)にし、受光素子13の位置を変動させてL2を変化させた場合のこれらの各光学部材の位置関係を示す模式図である。受光素子13の位置は3ヶ所(▲1▼:L2=5mm,▲2▼:L2=10mm,▲3▼:L2=15mm)設定している。
【0044】
図14は、図13のように光学部材を配置した場合の光学的な展開図である。図14において、反射面はポリゴンミラー14の位置に相当し、偏向面はアパーチャミラー15の位置に相当する。また、図15に、それぞれの位置に受光素子13を配置した場合における基準信号とそれに続く再帰性反射信号とを示す。
【0045】
図15から、L2を長くすることにより、つまり、受光素子13をアパーチャミラー15から遠く離して配置することにより、基準信号の幅を縮小できることが分かる。従って、受光素子13,アパーチャミラー15間の距離(L2)を長くする場合には、基準信号の幅が短くなり、基準信号と再帰性反射信号(走査開始信号)との判別を容易に行える。
【0046】
また、このL2を長くすることは、条件(1)の関係から、走査開始角δを大きくした場合と同様の効果があることが分かる。
【0047】
例えば、アパーチャミラー15,ポリゴンミラー14間の距離(L1)が10mmであって、走査開始角δを20°確保する場合には、アパーチャミラー15,受光素子13間の距離(L2)を25mm程度にすれば良い。
【0048】
次に、本発明の光走査型タッチパネルによる指示物Sの位置,大きさの算出動作について説明する。図16は、光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。但し、図16では光学ユニット1a,1b、再帰性反射シート7,表示画面10以外の構成部材は図示を省略している。また、指示物Sとして指を用いた場合を示している。
【0049】
MPU5はポリゴン制御回路4を制御することにより、光学ユニット1a,1b内の各ポリゴンミラー14を回転させて、各発光素子11からのレーザ光を角度走査する。この結果、再帰性反射シート7からの反射光が各受光素子13に入射する。このようにして各受光素子13に入射した光の受光量は受光信号検出回路3a,3bの出力である受光信号として得られる。
【0050】
なお、図16において、θ00,φ00は両光学ユニット1a,1bを結ぶ基準線から各受光素子までの角度を、θ0,φ0は両光学ユニット1a,1bを結ぶ基準線から再帰性反射シート7の端部までの角度を、θ1,φ1は基準線から指示物Sの基準線側端部までの角度を、θ2,φ2は基準線から指示物Sの基準線と逆側端部までの角度をそれぞれ示している。ここで、この(θ00+θ0)または(φ00+φ0)が前述した走査開始角度δに相当する。
【0051】
表示画面10上の走査光の光路に指示物Sが存在する場合には、光学ユニット1a,1bから投射された光の指示物Sからの反射光は各受光素子13に入射されない。従って、図16に示されているような状態では,走査角度が0°からθ0までの間では光学ユニット1a内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がθ0からθ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がθ1からθ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。同様に、走査角度が0°からφ0までの間では光学ユニット1b内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がφ0からφ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がφ1からφ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。
【0052】
次に、このようにして求めた遮断範囲から、指示物S(本例では指)の中心位置(指示位置)の座標を求める処理について説明する。まず、三角測量に基づく角度から直交座標への変換を説明する。図17に示すように、光学ユニット1aの位置を原点O、表示画面10の右辺,上辺をX軸,Y軸に設定し、基準線の長さ(光学ユニット1a,1b間の距離)をLとする。また、光学ユニット1bの位置をBとする。表示画面10上の指示物Sが指示した中心点P(Px,Py)が、光学ユニット1a,1bからX軸に対してθ,φの角度でそれぞれ位置している場合、点PのX座標Px,Y座標Pyの値は、三角測量の原理により、それぞれ以下の(2),(3)式のように求めることができる。
Px(θ,φ)=(tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L …(2)
Py(θ,φ)=(tanθ・tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L …(3)
【0053】
ところで、指示物S(指)には大きさがあるので、検出した受光信号の立ち上がり/立ち下がりのタイミングでの検出角度を採用した場合、図18に示すように、指示物S(指)のエッジ部の4点(図18のP1〜P4)を検出することになる。これらの4点は何れも指示した中心点(図18のPc)とは異なっている。そこで、以下のようにして 中心点Pcの座標(Pcx,Pcy)を求める。Pcx,Pcyは、それぞれ以下の(4),(5)式のように表せる。
Pcx(θ,φ)=Pcx(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(4)
Pcy(θ,φ)=Pcy(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(5)
【0054】
そこで、(4),(5)式で表されるθ1+dθ/2,φ1+dφ/2を上記(2),(3)式のθ,φとして代入することにより、指示された中心点Pcの座標を求めることができる。
【0055】
なお、上述した例では、最初に角度の平均値を求め、その角度の平均値を三角測量の変換式(2),(3)に代入して、指示位置である中心点Pcの座標を求めるようにしたが、最初に三角測量の変換式(2),(3)に従って走査角度から4点P1〜P4の直交座標を求め、求めた4点の座標値の平均を算出して、中心点Pcの座標を求めるようにすることも可能である。また、視差、及び、指示位置の見易さを考慮して、指示位置である中心点Pcの座標を決定することも可能である。
【0056】
ところで、各ポリゴンミラー14の走査角速度が一定である場合には、時間を計時することにより走査角度の情報を得ることができる。図19は、受光信号検出回路3aからの受光信号と、光学ユニット1a内のポリゴンミラー14の走査角度θ及び走査時間Tとの関係を示すタイミングチャートである。ポリゴンミラー14の走査角速度が一定である場合、その走査角速度をωとすると、走査角度θ及び走査時間Tには、下記(6)式に示すような比例関係が成り立つ。
θ=ω×T …(6)
【0057】
よって、受光信号の立ち下がり,立ち上がり時の角度θ1,θ2は、それぞれの走査時間t1,t2と下記(7),(8)式の関係が成り立つ。
θ1=ω×t1 …(7)
θ2=ω×t2 …(8)
【0058】
従って、ポリゴンミラー14の走査角速度が一定である場合には、時間情報を用いて、指示物S(指)の遮断範囲及び座標位置を計測することが可能である。
【0059】
また、本発明の光走査型タッチパネルでは、計測した遮断範囲から指示物S(指)の大きさ(断面長)を求めることも可能である。図20は、この断面長計測の原理を示す模式図である。図20において、D1,D2はそれぞれ光学ユニット1a,1bから見た指示物Sの断面長である。まず、光学ユニット1a,1bの位置O(0,0),B(L,0)から指示物Sの中心点Pc(Pcx,Pcy)までの距離OPc(r1),BPc(r2)が、下記(9),(10)式の如く求められる。
OPc=r1=(Pcx2 +Pcy2 1/2 …(9)
BPc=r2={(L−Pcx)2 +Pcy2 1/2 …(10)
【0060】
断面長は距離と遮断角度の正弦値との積で近似できるので、各断面長D1,D2は、下記(11),(12)式に従って計測可能である。
D1=r1・2sindθ/2
=(Pcx2 +Pcy2 1/2 ・2sindθ/2 …(11)
D2=r2・2sindφ/2
={(L−Pcx)2 +Pcy2 1/2 ・2sindφ/2…(12)
【0061】
なお、θ,φ≒0である場合には、sindθ≒dθ≒tandθ,sindφ≒dφ≒tandφと近似できるので、(11),(12)式においてsindθ,sindφの代わりに、dθまたはtandθ,dφまたはtandφとしても良い。
【0062】
【発明の効果】
以上のように本発明では、ノイズ光が光走査手段に到達しないように、そのノイズ光を遮断する遮光手段を設けるようにしたので、光走査手段での走査光のみが受光手段に入射されて、正確な基準信号が得られ、基準信号と走査開始信号との判別を容易に行うことが可能となる。
【0063】
また、遮光手段の光走査手段側の面に無反射処理を施すようにしたので、ノイズ光が光走査手段に到達した場合にあっても、その反射光は受光手段に入射されず、光走査手段での走査光のみが受光手段に入射されて、正確な基準信号が得られ、基準信号と走査開始信号との判別を容易に行うことが可能となる。
【0064】
受光手段の走査光入射側に、光走査手段の走査開口幅に相当するアパーチャを有する遮光手段を設けるようにしたので、ノイズ光が受光手段まで到達せず、光走査手段での走査光のみが受光手段に入射されて、正確な基準信号が得られ、基準信号と走査開始信号との判別を容易に行うことが可能となる。
【0065】
前述した条件(1)を満たすように光学部材を配置するようにしたので、所定領域内に光を走査させてその走査光の反射光が受光可能となる。また、この条件(1)を満たしながら偏向手段から受光手段までの距離(L2)を長く設定するようにしたので、基準信号の幅を縮小でき、基準信号と走査開始信号との判別を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【図2】第1実施の形態における光学ユニットの構成及び光路を示す図である。
【図3】遮光部材が存在しない従来例における構成及び光路、ポリゴンミラーへの照射光のビーム形状、並びに、基準信号及び再帰性反射信号を示す図である。
【図4】遮光部材が存在する第1実施の形態における構成及び光路、ポリゴンミラーへの照射光のビーム形状、並びに、基準信号及び再帰性反射信号を示す図である。
【図5】第2実施の形態における光学ユニットの構成及び光路を示す図である。
【図6】第2実施の形態の一例における構成及び光路を示す図である。
【図7】第2実施の形態の他の例における構成及び光路を示す図である。
【図8】第3実施の形態における光学ユニットの構成及び光路を示す図である。
【図9】遮光部材が存在しない従来例における構成及び光路を示す図である。
【図10】遮光部材が存在する第3実施の形態における構成及び光路を示す図である。
【図11】図9,図10の従来例,第3実施の形態における基準信号を示す図である。
【図12】光学ユニットの光学部材の配置設計と光走査の状態とを示す図である。
【図13】第4実施の形態における光学部材の位置関係を示す図である。
【図14】第4実施の形態における光学的な展開図である。
【図15】第4実施の形態における基準信号と再帰性反射信号とを示す図である。
【図16】光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。
【図17】座標検出のための三角測量の原理を示す模式図である。
【図18】指示物及び遮断範囲を示す模式図である。
【図19】受光信号と走査角度と走査時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図20】断面長計測の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
1a,1b 光学ユニット
5 MPU
7 再帰性反射シート
10 表示画面(座標面)
11 発光素子
13 受光素子
14 ポリゴンミラー
15 アパーチャミラー
16 集光レンズ
18 遮光部材
18a 支持材
18b,18c 無反射テープ
20 レンズホルダ
S 指示物

Claims (2)

  1. 光を出射する光出射手段と、所定領域と実質的に平行である面内で前記光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段による走査光を受光する受光手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記受光手段の受光出力に基づいて検出する光走査型タッチパネルにおいて、前記光出射手段と前記光走査手段との間であって、前記光出射手段から出射される前記光の経路を妨げない領域に、走査光とはならないノイズ光としての拡散光を遮断するために、前記光照射手段から前記光走査手段へ向かう平行光の経路に長手方向を沿わせて配置される偏平四角柱状の遮光手段を備え、該遮光手段の光路側の部位に無反射処理を施していることを特徴とする光走査型タッチパネル。
  2. 所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査手段と、該光走査手段による走査光を受光する受光手段とを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記受光手段の受光出力に基づいて検出する光走査型タッチパネルにおいて、前記光走査手段と前記受光手段との間であって、前記光走査手段による走査光の経路を妨げない領域に、走査光とはならないノイズ光としての拡散光を遮断するために、前記光走査手段から前記受光手段へ向かう平行光の経路に沿わせて配置される偏平四角柱状の遮光手段を備え、該遮光手段の光路側の部位に無反射処理を施していることを特徴とする光走査型タッチパネル。
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