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JP4004177B2 - 光走査型タッチパネル - Google Patents

光走査型タッチパネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示画面上での指示物の位置を光学的に検出する光走査型タッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
主としてパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムの普及に伴って、コンピュータシステムにより情報が表示される表示装置の表示画面上を人の指または特定の指示物により指示することにより、新たな情報を入力したり、コンピュータシステムに対して種々の指示を与えたりする装置が利用されている。
【0003】
パーソナルコンピュータ等の表示装置の表示画面に表示された情報に対してタッチ方式にて入力操作を行う場合には、その表示画面上での接触位置(指示位置)を高精度に検出する必要がある。このような座標面となる表示画面上の指示位置を検出する方法の一例として、光学的な位置検出方法が、特開昭62−5428号公報等に提案されている。この方法は、表示画面の両側枠に光再帰性反射体を配置し、角度走査したレーザ光線のこの光再帰性反射体からの戻り光を検知し、指またはペンによって光線が遮断されるタイミングから指またはペンの存在角度を求め、求めた角度から三角測量の原理にて位置座標を検出する。この方法では、部品点数が少なくて検出精度を維持でき、指,任意のペン等の位置も検出できる。
【0004】
このような走査光により位置検出を行う光走査型タッチパネルは、一般的に表示画面の外側に設けられた再帰性反射体と、レーザ光等の光を出射する発光素子、出射された光を角度走査するポリゴンミラー等の光走査部、及び、その走査光の再帰性反射体による反射光を受光する受光素子を含む複数の光学ユニットとを備えており、各光学ユニットにおいて、発光素子からの光を光走査部にて走査させ、その走査光の再帰性反射体での反射光を再び光走査部で反射させ、その反射光を受光素子に受光させる構成を有している。その走査光の経路に指,任意のペン等の指示物が存在する場合には、再帰性反射体での反射光が受光素子に受光されない。そこで、各光学ユニットにおける光走査部の走査角度及び受光素子での受光結果に基づいて、それらの指示物の位置を検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような光走査型タッチパネルにあっては、例えば塵埃がポリゴンミラー等の光走査部に付着した場合、その反射率が劣化してS/N比が低下し、指示物の正確な位置を検出できなくなる。また、ポリゴンミラーに限らず、光学ユニット内の他の光学部材についても、その特性が劣化しないように、外部の塵埃を付着させないようにする必要がある。しかしながら、従来の光走査型タッチパネルでは、この塵埃付着を防止することが考慮されていない。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、防塵構造を光学ユニットに備えることにより、塵埃が光学ユニット内の光学部材に付着することを防止でき、光学部材の特性の劣化を抑えて、指示物の正確な位置検出を行える光走査型タッチパネルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光走査型タッチパネルは、所定領域の外側に設けた光再帰性反射体と、前記所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査部及び該光走査部による走査光の前記光再帰性反射体での反射光を受光する受光部を有する複数の光学ユニットとを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記受光部の受光出力に基づいて検出する光走査型タッチパネルにおいて、前記光学ユニットは、その走査光の領域に光学的開口面を有する防塵構造を備え、前記光学的開口面の法線方向が、前記反射光の光量が最小となる走査光の方向に実質的に等しいことを特徴とする。
【0008】
本発明の光走査型タッチパネルでは、光学ユニットに防塵構造が設けられており、外部の塵埃が光学ユニット内に入って内部の光学部材に付着することがない。よって、塵埃付着に伴う光学部材の特性劣化が抑えられ、指示物の位置検出の安定した動作が行われ、指示物の正確な位置を検出できる。しかも請求項1の光走査型タッチパネルでは、光量が最小となる再帰性反射体からの反射光が、光学的開口面に略垂直に入射される。よって、光量が最小となる反射光を効率良く受光でき、検出精度の向上を図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【0016】
図1において参照符号10は、パーソナルコンピュータ等の電子機器におけるCRTまたはフラットディスプレイパネル(PDP,LCD,EL等),投射型映像表示装置等の矩形状の表示画面であり、本実施の形態ではPDP(プラズマディスプレイ)の表示画面として構成されている。
【0017】
例えば指,ペン等である指示物Sによりタッチするための目標区域として規定された平面の範囲であるこの長方形の表示画面10の一つの短辺(本実施の形態では右側の辺)の両隅の外側には、発光素子,受光素子,ポリゴンミラー,各種のレンズ等を含む光学系を内部に有する光学ユニット1a,1bがそれぞれ設けられている。各光学ユニット1a,1bには、外部からの塵埃の侵入を防いで内部の光学系への塵埃付着を防止する防塵構造が設けられている。この防塵構造については、後に詳述する。また、表示画面10の右側の辺を除く3辺、つまり、上下両側の辺及び左側の辺の外側には再帰性反射体としての再帰性反射シート7が設けられている。
【0018】
図2は、光学ユニット1a,1bにおける光学系の構成及び光路を示す斜視図である。両光学ユニット1a,1bは同じ光学系を有している。光学ユニット1a,1bは、赤外線レーザ光を出射するレーザダイオード(LD)からなる発光素子11と、発光素子11からのレーザ光を平行光にするためのコリメーションレンズ12と、再帰性反射シート7からの反射光を受光するフォトダイオード(PD)からなる受光素子13と、受光素子13への入射光を制限するためのスリット14aを有するスリット板14と、発光素子11からのレーザ光を角度走査するための例えば4角柱状のポリゴンミラー15と、アパーチャ16aによりコリメーションレンズ12からポリゴンミラー15への投射光を制限すると共に、ポリゴンミラー15を介した再帰性反射シート7からの反射光を受光素子13側へ反射するアパーチャミラー16と、アパーチャミラー16での反射光を集束させるための集光レンズ17と、ポリゴンミラー15を回転させるモータ18と、これらの各光学部材を取付け固定するための光学ユニット本体19とを備える。
【0019】
図3、図4は、各光学ユニット1a,1bにおける防塵構造を示す断面図、側面図である。光学ユニット1a,1b内に、上述した光学系を覆うように防塵カバー20が設けられている。この防塵カバー20は、光学系を覆う内面に無反射処理を施したスチール製である。防塵カバー20の内面での反射光がノイズ光となることを防止するために、この無反射処理は施されている。
【0020】
ポリゴンミラー15からの走査光の出射領域には、この防塵カバー20が設けられておらず、その出射領域は光学的開口面21となっている。この光学的開口面21は、光を透過させる材質であれば良く、例えば透明ガラスで構成されている。
【0021】
本発明の光走査型タッチパネルでは、このような防塵構造により完全に密閉構造となっており、外部からの塵埃の侵入を防止している。よって、この防塵構造にて、光学ユニット1a,1b内の光学部材への塵埃の付着を防いでおり、例えば、ポリゴンミラー15,アパーチャミラー16の塵埃の付着に伴う反射率の劣化が起こらず、S/N比の低下を防止できる。
【0022】
次に、この防塵構造(防塵カバー20)の取付けについて、図5,図6を参照して説明する。光学ユニット本体19には、ガイド用溝22が形成されており(図5(a),図6)、このガイド用溝22に防塵カバー20が挿入されるようになっている(図5(b),図6)。防塵カバー20の先端部20aには引っ掛けツメ構造が設けられており、ガイド用溝22に対する防塵カバー20の着脱処理を容易にしている。ネジが不要であり、光軸調整等のメンテナンス性に優れている。
【0023】
このように本発明の防塵構造では、防塵カバー20と光学ユニット本体19とが位置決め機構(ガイド用溝22)でガイドされ、しかも、防塵カバー20及び光学ユニット本体19が嵌合されている。よって、外部からの塵埃の侵入を強固に防止している。また、この防塵構造は光学ユニット1a,1bに完全に内蔵されており、防塵構造を導入しても光学ユニット1a,1bの大型化を引き起こさない。
【0024】
発光素子11から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ12にて平行光にされ、アパーチャミラー16のアパーチャ16aを通過した後、ポリゴンミラー15の回転によって光学的開口面21を介して表示画面10と実質的に平行である面内を角度走査されて再帰性反射シート7に投射される。そして、再帰性反射シート7からの反射光が、ポリゴンミラー15及びアパーチャミラー16にて反射された後、集光レンズ17で集束されてスリット板14のスリット14aを通って、受光素子13に入射される。但し、走査光の経路に指示物Sが存在する場合には投射光が遮断されるため、反射光が受光素子13に入射されることはない。
【0025】
各光学ユニット1a,1bには、各発光素子11を駆動する発光素子駆動回路2a,2bと、各受光素子13の受光量を電気信号に変換する受光信号検出回路3a,3bと、各ポリゴンミラー15の動作を制御して各光学ユニット1a,1bにおける光走査開始を同期させる走査同期制御回路4とが接続されている。また、参照符号5は指示物Sの位置,大きさを算出すると共に、装置全体の動作を制御するMPUであり、6はMPU5での算出結果等を表示する表示装置である。
【0026】
MPU5は、発光素子駆動回路2a,2bに駆動制御信号を送り、その駆動制御信号に応じて発光素子駆動回路2a,2bが駆動されて、各発光素子11の発光動作が制御される。受光信号検出回路3a,3bは、各受光素子13での受光信号をMPU5へ送る。MPU5は、各受光素子13からの受光信号に基づいて、指示物Sの位置,大きさを算出し、その算出結果を表示装置6に表示する。なお、表示装置6は表示画面10を兼用することも可能である。
【0027】
このような本発明の光走査型タッチパネルにおいては、図1に示されているように、例えば光学ユニット1bに関して説明すると、光学ユニット1bからの投射光は、受光素子13に入射する位置から図1上で反時計方向回りに走査され、再帰性反射シート7の先端部分で反射される位置(Ps)に至って実質的な走査開始位置になる。そして、指示物Sの一端に至る位置(P1)までは再帰性反射シート7により反射されるが、指示物Sの他端に至る位置(P2)までの間は指示物Sによって遮断され、その後の走査終了位置(Pe)に至るまでは再帰性反射シート7により反射される。
【0028】
次に、光学的開口面21の設置例について説明する。図7は、走査光と入射角との関係を示す模式図である。図7で実線で示すように、光学ユニット1aの設置位置と対角関係になる位置(再帰性反射シート7への入射角が最大の60度となる位置)を走査する場合に、再帰性反射シート7からの反射光が最も小さくなる。この反射光が最も小さくなる走査光の方向に、その法線方向が一致または略一致するように、光学的開口面21を設けている。よって、反射光が最も小さくなる場合に、光学的開口面21の透過率が最も良くなり、S/N比の低下を防ぐことができる。
【0029】
外乱可視光の入射を抑制するために、光学的開口面21として可視光カットフィルタを用いた場合について説明する。図8は、可視光カットフィルタにおける入射角と透過率との関係を示すグラフである。図8から、入射角0度近傍で透過率が最大になることが分かる。よって、この可視光カットフィルタからなる光学的開口面21に反射光が入射角略0度で入射した場合に透過率が最大になるので、この方向に反射光が最小となる位置(再帰性反射シート7への入射角が最大となる位置)を一致させると、S/N比が良くなる。この場合には、光学的開口面21の法線方向を走査角60度とする。また、図8より±45度の入射角の範囲で所定以上の透過率が得られるので、光学的開口面21の法線方向を45度または略45度に設定することにより、全走査範囲内(走査角度0〜90度)で所定値以上の透過率を確保することができる。
【0030】
ところで、上述したように、光学的開口面21の透過率の観点から考えると、光学的開口面21の法線方向をポリゴンミラー15からの走査光の光軸方向に一致させることが最適であるが、このように設定すると、ポリゴンミラー15からの走査光の一部がこの光学的開口面21で正反射してポリゴンミラー15に戻ってきてノイズとなる可能性がある。例えば、光電変換効率0.5A/W,電流電圧変換定数1×106 (V/A)倍の電気回路を使用した場合、受光素子13での受光可能最低信号レベルを0.2Vとしたとき、それは0.4μW(=0.2÷(1×106 ×0.5))の光量に相当する。発光素子11での発光パワーを100μWとした場合、これは0.4%の反射光量に相当する。よって、光学的開口面21における正反射の反射率が0.4%であっても、受光信号に大きな影響を及ぼすことが分かる。
【0031】
そこで、本発明では、図9に示すようにして、光学的開口面21での正反射成分の影響をなくすようにする。光学的開口面21の法線が、走査光の光軸に対して上方向または下方向に倒れるようにして、光学的開口面21での正反射光を受光素子13で受光しないようにしている。図9に示す例では、走査光の光軸(実線A)から、光学的開口面21の法線方向(破線B)が上方向に角度ε/2だけ倒れるように光学的開口面21を設定している。このようにしておくと、ポリゴンミラー15からの走査光の光学的開口面21による正反射光は、入射光軸(実線A)から上方向に角度εだけ離れた方向(実線C)に進み、ポリゴンミラー15を介して受光素子13に受光されない。なお、この角度ε/2を開口面倒れ角という。
【0032】
次に、この開口面倒れ角の設定について考察する。光学的開口面21からの正反射光が受光素子13に入射されないためには、図10に示すように、アパーチャミラー16から受光レンズ17までの距離をD、アパーチャミラー16からポリゴンミラー15までの距離をL、ポリゴンミラー15から光学的開口面21までの距離をdL、受光レンズ17の半径をBとした場合、以下の条件(1)を満たすようにすれば良い。このような条件(1)を満たすように開口面倒れ角を設定することにより、上述したような正反射の影響をなくすことが可能である。
tan-1(B/(D+L+dL))<ε …(1)
【0033】
この開口面倒れ角の設定の具体例について説明する。図11に示すように、再帰性反射シート7の幅を15mmとした場合、そこから1500mm離れた受光レンズ17が設けられている位置での視野角±θは以下のようになる。
±θ=±tan-1(7.5/1500)
=±0.286(度)
【0034】
従って、光学的開口面21の開口面倒れ角(ε/2)を0.3度に設定すると、その値は、前記視野角±θの1/2(=±0.143)よりも大きくなり、正反射の影響を防止できる。また、光学的開口面21におけるこの程度の大きさの倒れでは、ε/2が0に近いので、その透過率はほとんど減衰せず、透過率について問題とならない。
【0035】
以下、本発明の他の実施の形態について説明する。700nm以上の波長域の光を選択的に透過する特性を持つ樹脂製の可視光カットフィルタにて、防塵カバー20を構成する。このようにした場合には、防塵機能に加えて、蛍光灯,白熱灯等からの外乱光を遮断する機能も果たせる。
【0036】
樹脂製の可視光カットフィルタ材料に赤外線反射膜を塗布して作製され、発光素子11からのレーザ光と同じ波長域の光のみを選択的に透過する樹脂製のバンドパスフィルタにて、防塵カバー20を構成する。このようにした場合には、防塵機能に加えて、蛍光灯,白熱灯等からの外乱光を遮断する機能も果たせる。
【0037】
光学的開口面21に反射防止膜を設ける。このようにした場合には、光学的開口面21での反射が抑制され、正反射の影響をなくすことができる。
【0038】
図12は、光学ユニット1a,1bの断面図であり、防塵構造(防塵カバー20)は、ポリゴンミラー15を覆う部分が曲面部となっており、その曲面部の形状は、ポリゴンミラー15の外接円(図12に破線で示す)と同心円状になっている。よって、ポリゴンミラー15の回転によって生じる気流を滑らかにできる。この結果、気流音の発生を低減できるので、騒音対策となる。
【0039】
アパーチャミラー16からの拡散光が防塵カバー20の内面で反射してノイズ光となり、そのノイズ光がポリゴンミラー15まで到達して、正確な検出処理を行えない可能性がある。よって、以下のような構成にして、ノイズ光の影響をなくす。
【0040】
図13は、このようなノイズ光対策を施した光学ユニットの一例の構成図である。アパーチャミラー16からポリゴンミラー15へ向かう光路に平行に沿わせた態様で、防塵カバー20の内面に無反射シート23が設けられている。よって、ノイズ光となるアパーチャミラー16からの拡散光は、この無反射シート23で吸収または散乱されて、ポリゴンミラー15まで到達しない。この結果、検出精度の向上を図れる。
【0041】
図14は、このようなノイズ光対策を施した光学ユニットの他の例の構成図である。ポリゴンミラー15の外接円の近傍まで防塵カバー20が突出しており、その突出部20bの表面(アパーチャミラー16側の面)及び裏面(ポリゴンミラー15側の面)に無反射シート23が設けられている。よって、ノイズ光となるアパーチャミラー16からの拡散光は、この表面側の無反射シート23で吸収または散乱されて、ポリゴンミラー15まで到達しない。また、この無反射シート23の縁を通ってポリゴンミラー15に到達するノイズ光が存在した場合でも、その反射光は、この裏面側の無反射シート23で吸収または散乱されて、受光素子13まで到達しない。この結果、検出精度の向上を図れる。
【0042】
最後に、本発明の光走査型タッチパネルによる指示物Sの位置,大きさの算出動作について説明する。図15は、光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。但し、図15では光学ユニット1a,1b、再帰性反射シート7,表示画面10以外の構成部材は図示を省略している。また、指示物Sとして指を用いた場合を示している。
【0043】
MPU5はポリゴン制御回路4を制御することにより、光学ユニット1a,1b内の各ポリゴンミラー15を回転させて、各発光素子11からのレーザ光を角度走査する。この結果、再帰性反射シート7からの反射光が各受光素子13に入射する。このようにして各受光素子13に入射した光の受光量は受光信号検出回路3a,3bの出力である受光信号として得られる。
【0044】
なお、図15において、θ00,φ00は走査基準線から各受光素子までの角度を、θ0,φ0は走査基準線から再帰性反射シート7の端部までの角度を、θ1,φ1は走査基準線から指示物Sの基準線側端部までの角度を、θ2,φ2は走査基準線から指示物Sの基準線と逆側端部までの角度をそれぞれ示している。
【0045】
表示画面10上の走査光の光路に指示物Sが存在する場合には、光学ユニット1a,1bから投射された光の指示物Sからの反射光は各受光素子13に入射されない。従って、図15に示されているような状態では,走査角度が0°からθ0までの間では光学ユニット1a内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がθ0からθ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がθ1からθ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。同様に、走査角度が0°からφ0までの間では光学ユニット1b内の受光素子13には反射光は入射されず、走査角度がφ0からφ1までの間ではその受光素子13に反射光が入射され、走査角度がφ1からφ2までの間ではその受光素子13に反射光が入射されない。
【0046】
次に、このようにして求めた遮断範囲から、指示物S(本例では指)の中心位置(指示位置)の座標を求める処理について説明する。まず、三角測量に基づく角度から直交座標への変換を説明する。図16に示すように、光学ユニット1aの位置を原点O、表示画面10の右辺,上辺をX軸,Y軸に設定し、基準線の長さ(光学ユニット1a,1b間の距離)をLとする。また、光学ユニット1bの位置をBとする。表示画面10上の指示物Sが指示した中心点P(Px,Py)が、光学ユニット1a,1bからX軸に対してθ,φの角度でそれぞれ位置している場合、点PのX座標Px,Y座標Pyの値は、三角測量の原理により、それぞれ以下の(2),(3)式のように求めることができる。
Px(θ,φ)=(tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L …(2)
Py(θ,φ)=(tanθ・tanφ)÷(tanθ+tanφ)×L…(3)
【0047】
ところで、指示物S(指)には大きさがあるので、検出した受光信号の立ち上がり/立ち下がりのタイミングでの検出角度を採用した場合、図17に示すように、指示物S(指)のエッジ部の4点(図17のP1〜P4)を検出することになる。これらの4点は何れも指示した中心点(図17のPc)とは異なっている。そこで、以下のようにして 中心点Pcの座標(Pcx,Pcy)を求める。Pcx,Pcyは、それぞれ以下の(4),(5)式のように表せる。
Pcx(θ,φ)=Pcx(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(4)
Pcy(θ,φ)=Pcy(θ1+dθ/2,φ1+dφ/2)…(5)
【0048】
そこで、(4),(5)式で表されるθ1+dθ/2,φ1+dφ/2を上記(2),(3)式のθ,φとして代入することにより、指示された中心点Pcの座標を求めることができる。
【0049】
なお、上述した例では、最初に角度の平均値を求め、その角度の平均値を三角測量の変換式(2),(3)に代入して、指示位置である中心点Pcの座標を求めるようにしたが、最初に三角測量の変換式(2),(3)に従って走査角度から4点P1〜P4の直交座標を求め、求めた4点の座標値の平均を算出して、中心点Pcの座標を求めるようにすることも可能である。また、視差、及び、指示位置の見易さを考慮して、指示位置である中心点Pcの座標を決定することも可能である。
【0050】
ところで、各ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合には、時間を計時することにより走査角度の情報を得ることができる。図18は、受光信号検出回路3aからの受光信号と、光学ユニット1a内のポリゴンミラー15の走査角度θ及び走査時間Tとの関係を示すタイミングチャートである。ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合、その走査角速度をωとすると、走査角度θ及び走査時間Tには、下記(6)式に示すような比例関係が成り立つ。
θ=ω×T …(6)
【0051】
よって、受光信号の立ち下がり,立ち上がり時の角度θ1,θ2は、それぞれの走査時間t1,t2と下記(7),(8)式の関係が成り立つ。
θ1=ω×t1 …(7)
θ2=ω×t2 …(8)
【0052】
従って、ポリゴンミラー15の走査角速度が一定である場合には、時間情報を用いて、指示物S(指)の遮断範囲及び座標位置を計測することが可能である。
【0053】
また、本発明の光走査型タッチパネルでは、計測した遮断範囲から指示物S(指)の大きさ(断面長)を求めることも可能である。図19は、この断面長計測の原理を示す模式図である。図19において、D1,D2はそれぞれ光学ユニット1a,1bから見た指示物Sの断面長である。まず、光学ユニット1a,1bの位置O(0,0),B(L,0)から指示物Sの中心点Pc(Pcx,Pcy)までの距離OPc(r1),BPc(r2)が、下記(9),(10)式の如く求められる。
OPc=r1=(Pcx2 +Pcy2 1/2 …(9)
BPc=r2={(L−Pcx)2 +Pcy2 1/2 …(10)
【0054】
断面長は距離と遮断角度の正弦値との積で近似できるので、各断面長D1,D2は、下記(11),(12)式に従って計測可能である。
D1=r1・2sindθ/2
=(Pcx2 +Pcy2 1/2 ・2sindθ/2 …(11)
D2=r2・2sindφ/2
={(L−Pcx)2 +Pcy2 1/2 ・2sindφ/2…(12)
【0055】
なお、θ,φ≒0である場合には、sindθ≒dθ≒tandθ,sindφ≒dφ≒tandφと近似できるので、(11),(12)式においてsindθ,sindφの代わりに、dθまたはtandθ,dφまたはtandφとしても良い。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、光学ユニットに防塵構造が設けられているので、外部の塵埃が光学ユニット内に入って内部の光学部材に付着することがなく、塵埃付着に伴う光学部材の特性の劣化を防止でき、指示物の位置を正確に検出できる。
【0057】
また、光量が最小となる再帰性反射体からの反射光が、光学的開口面に略垂直に入射されるようにしたので、光量が最小となる反射光を効率良く受光でき、検出精度の向上を図れる。
【0058】
また、光学的開口面の法線を、走査光の光軸に対して傾斜させたので、光学ユニットから出射された走査光が光学的開口面で正反射されて光学ユニットに入射されることを防止でき、検出精度の向上を図れる。
【0059】
また、走査光の光軸に対する光学的開口面の法線の傾斜角を受光部の視野角の半分より大きくなるようにしたので、受光部に視野角制限を行った場合にも、その視野角制限に支障を及ぼさない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光走査型タッチパネルの基本構成を示す模式図である。
【図2】光学ユニットにおける光学系の構成及び光路を示す斜視図である。
【図3】光学ユニットにおける防塵構造を示す断面図である。
【図4】光学ユニットにおける防塵構造を示す側面図である。
【図5】防塵構造の取付け工程を示す断面図である。
【図6】防塵構造の取付け状態を示す断面図である。
【図7】表示画面に対する走査光と入射角との関係を示す模式図である。
【図8】可視光カットフィルタにおける入射角と透過率との関係を示すグラフである。
【図9】ポリゴンミラーと光学的開口面との位置関係を示す図である。
【図10】光学距離の関係を示す図である。
【図11】視野角の大きさを示す図である。
【図12】光学ユニットにおける防塵構造の曲面部を示す断面図である。
【図13】ノイズ光対策を施した光学ユニットの一例の構成図である。
【図14】ノイズ光対策を施した光学ユニットの他の例の構成図である。
【図15】光走査型タッチパネルの実施状態を示す模式図である。
【図16】座標検出のための三角測量の原理を示す模式図である。
【図17】指示物及び遮断範囲を示す模式図である。
【図18】受光信号と走査角度と走査時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図19】断面長計測の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
1a,1b 光学ユニット
5 MPU
7 再帰性反射シート
10 表示画面(座標面)
11 発光素子
13 受光素子
15 ポリゴンミラー
16 アパーチャミラー
19 光学ユニット本体
20 防塵カバー
21 光学的開口面
22 ガイド用溝
23 無反射シート
S 指示物

Claims (1)

  1. 所定領域の外側に設けた光再帰性反射体と、前記所定領域と実質的に平行である面内で光を角度走査する光走査部及び該光走査部による走査光の前記光再帰性反射体での反射光を受光する受光部を有する複数の光学ユニットとを備え、前記所定領域に指示物で形成される走査光の遮断位置を走査角度に対応した前記受光部の受光出力に基づいて検出する光走査型タッチパネルにおいて、前記光学ユニットは、その走査光の領域に光学的開口面を有する防塵構造を備え、前記光学的開口面の法線方向が、前記反射光の光量が最小となる走査光の方向に実質的に等しいことを特徴とする光走査型タッチパネル。
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