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JP2010271469A - ポリエステル樹脂の製造方法、トナー用ポリエステル樹脂、およびトナー - Google Patents

ポリエステル樹脂の製造方法、トナー用ポリエステル樹脂、およびトナー Download PDF

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JP2010271469A JP2009122035A JP2009122035A JP2010271469A JP 2010271469 A JP2010271469 A JP 2010271469A JP 2009122035 A JP2009122035 A JP 2009122035A JP 2009122035 A JP2009122035 A JP 2009122035A JP 2010271469 A JP2010271469 A JP 2010271469A
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Yoko Tamura
陽子 田村
Hideyuki Fujii
秀幸 藤井
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Abstract

【課題】植物由来の原料成分を含み、良好な定着性と、耐ホットオフセット性、保存安定性を有するトナーを提供できる環境負荷の低いポリエステル樹脂、および該ポリエステル樹脂を用いたトナーを提供する。
【解決手段】芳香族ジオールおよび植物原料由来の1,3−プロパンジオールを含む多価アルコールと、全酸成分に対して0.5〜20モル%の三価以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸とを重縮合するポリエステル樹脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はポリエステル樹脂、特に電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に好適に用いられるトナー用ポリエステル樹脂の製造方法、トナー用ポリエステル樹脂、およびトナーに関する。
電子写真印刷法および静電荷現像法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち、定着が行われる。定着方式については、現像によって得られたトナー像を加圧および加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブンまたはフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好である必要がある。また、装置は加熱体である定着部を有し、装置内での温度が上昇するため、トナーがブロッキングしないことが必要である。また、連続印刷時においても装置の汚れや印刷面へのカブリなどが見られないこと、すなわちトナーの耐久性が必要である。
さらに、ヒートローラー方式においては、省エネ化の観点から定着部の低温化が進み、トナーにはより低い温度で紙に定着する性能、つまり低温定着性が強く求められるようになってきた。加えて、装置のコンパクト化が進み、オイルを塗布しないローラーが用いられるようになってきており、トナーにはヒートローラーとの剥離性、すなわち非オフセット性への要求が高まっている。
トナー用バインダー樹脂は、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、強靭性、低温での定着性等に優れ、性能バランスの良いポリエステル樹脂が特に注目されている。
例えば、特許文献1には、トナー用ポリエステル樹脂において、非オフセット性、低温定着性を改善する手段として、1,3−プロパンジオールを必須成分として用いることが記載されている。
一方で、近年、地球温暖化抑制等の環境保護の観点から、カーボンニュートラルが特に注目され、従来の石油原料由来のプラスチックから環境負荷の少ない植物原料由来のプラスチックへの転換が積極的に図られている。
例えば日本バイオプラスチック協会では、原材料、製品に含まれるバイオマスプラスチック組成中のバイオマス由来成分の全体量に対する割合が、25重量%以上のプラスチック製品を「バイオマスプラ」として認証し、定められた認証マークの使用を認可している。
トナーについても、トナー中の植物由来成分の使用が望まれており、トナーを構成するバインダー樹脂についても植物原料由来の構成単位を含むものが望まれている。
植物由来成分を含むポリエステル樹脂として、例えば特許文献2には、植物原料由来のジカルボン酸およびジオールを重縮合するポリエステルの製造方法が記載されている。
特開2002−169331号公報 特開2007−197654号公報
しかし、特許文献1には、1,3−プロパンジオールと芳香族ジオール、1,3−プロパンジオールと三価以上のカルボン酸を併用し重縮合する記載はあるが、1,3−プロパンジオール、芳香族ジオールおよび三価以上のカルボン酸を併用した重縮合する記載はなく、芳香族ジオールおよび1,3−プロパンジオールを併用していないため、耐ホットオフセット性、特にオイルフリーの定着ローラーを用いた場合の耐ホットオフセット性が不十分であった。
さらに、植物原料由来の原料を使用する記載はなく、環境負荷低減を考慮したものではない。
また特許文献2には、植物原料由来の構成成分からなるポリエステル樹脂をトナー用途に用いる記載はなく、構成成分として1,3−プロパンジオール、芳香族ジオールおよび三価以上のカルボン酸を併用する記載もなく、トナー用途として用いても保存安定性、耐ホットオフセット性が不十分なものであった。
本発明の要旨は、芳香族ジオールおよび植物原料由来の1,3−プロパンジオールを含む多価アルコールと、全酸成分に対して0.5〜20モル%の三価以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸を重縮合するポリエステル樹脂の製造方法にある。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂を用いることによって、環境負荷が低く、かつ定着性、耐ホットオフセット性、保存安定性の良好なトナーを提供することができる。
本発明では、芳香族ジオールおよび植物原料由来の1,3−プロパンジオールを含む多価アルコールと、全酸成分に対して0.5〜20モル%の三価以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸を重縮合させる。
多価アルコールとして芳香族ジオール成分を含むことにより、トナー化した際の保存安定性が向上する。
芳香族ジオール成分としては、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられ、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
芳香族ジオールの含有量は、全酸成分100モル部に対して3モル部以上、100モル部以下が好ましい。芳香族ジオールの含有量が全酸成分100モル部に対して3モル部以上の場合に、トナーとしての保存安定性や帯電安定性が良好となる傾向にある。また、芳香族ジオールの含有量が全酸成分100モル部に対して100モル部以下の場合に反応速度を向上したり、トナーの定着性が向上する傾向にある。
さらに本発明では、多価アルコールとして植物原料由来の1,3−プロパンジオールを含むことが必要である。1,3−プロパンジオールを含むことにより耐ホットオフセット性、低温定着性が向上する。
植物原料由来の1,3−プロパンジオールは、とうもろこしデンプンなどを原料として得ることができ、例えば、Susterra(登録商標)プロパンジオール(DuPont(株))が挙げられる。
また環境負荷低減の観点から、植物原料由来の1,3−プロパンジオールの含有量は全構成成分に対して20質量%以上含まれていることが好ましい。
さらに本発明において、多価アルコールとして本発明の効果を損なわない範囲で、例えばエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオール等、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサテトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上のアルコール成分を用いることができる。これらの中では、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンが好ましい。
これらは植物由来物質、石油由来物質のいずれでも良く、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに本発明では、多価カルボン酸として全酸成分に対して0.5〜20モル%の三価以上のカルボン酸を含むことが必要である。
三価以上のカルボン酸が0.5モル%未満の場合、トナーの耐ホットオフセット性が不十分となり、20モル%をこえるとトナーの保存安定性が不十分となる。
三価以上のカルボン酸成分としては、特に制限されないが、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸またはこれらのエステルもしくは酸無水物等が挙げられる。これらの中では、トリメリット酸またはその無水物が好ましい。
さらに多価カルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル等の二価のカルボン酸、またはこれらのエステルもしくは酸無水物等の芳香族ジカルボン酸成分、フタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、またはこれらのエステルもしくは酸無水物等の脂肪族ジカルボン酸成分等が挙げられ、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらは植物由来物質、石油由来物質のいずれでも良い。
また二価カルボン酸成分として、全酸成分に対して80〜99.5モル%の芳香族ジカルボン酸成分を含むことが好ましい。芳香族ジカルボン酸成分の含有量が80モル%以上である場合に、トナーの保存安定性が良好となったり、樹脂強度が向上したりする傾向にあり、99.5モル%以下の場合にトナーとしての耐ホットオフセット性が良好となる傾向にある。芳香族ジカルボン酸の含有量の下限値は85モル%以上がより好ましく、上限値は99モル%以下がより好ましい。
本発明では上記の多価アルコールと、多価カルボン酸の重縮合を行う。
重縮合の方法は、特に制限されないが、例えば、上記の多価アルコールと多価カルボン酸を反応容器内に投入して、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮重合反応を経て重合する方法が挙げられる
ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタンテトラアルコキシド、酸化チタン、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、2硫化スズ、3酸化アンチモン、2酸化ゲルマニウム、酢酸マグネシウム等の重合触媒を用いることができる。
重合温度は、特に制限されないが、180℃〜280℃の範囲とするのが好ましい。重合温度が180℃以上の場合に、生産性が良好となる傾向にあり、280℃以下の場合に、樹脂の分解や、臭気の要因となる揮発分の副生成を抑制できる傾向にある。重合温度の下限値は200℃以上がより好ましく、220℃以上が特に好ましい。重合温度の上限値は270℃以下がより好ましい。
本発明においては、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記の成分とともに離型剤成分を添加してポリエステル樹脂を重合することもできる。離型剤成分を添加して重合することにより、トナーの定着性、ワックス分散性が向上する傾向にある。離型剤成分としては、後述するトナー配合物として使用できるワックスと同様のものが適宜使用でき、例えばカルナバワックス、ライスワックス、蜜蝋、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、各種ポリオレフィンワックスまたはその変性品、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を挙げることができる。
本発明の製造法により得られるポリエステル樹脂は、Tgが48℃〜75℃であることが好ましい。Tgが48℃以上である場合に、トナーの保存安定性が良好となる傾向にあり、また、75℃以下である場合にトナーの定着性が良好となる傾向にある。Tgの下限値は50℃以上がより好ましく、上限値は72℃以下がより好ましい。
該ポリエステル樹脂の軟化温度は、110〜160℃であることが好ましい。軟化温度が110℃以上の場合に、トナーの耐ホットオフセット性が良好となる傾向にあり、160℃以下の場合にトナーの定着性が良好となる傾向にある。
さらに、該ポリエステル樹脂の酸価は、2〜25mgKOH/gであることが好ましい。酸価が2mgKOH/g以上の場合に、樹脂の反応性が向上する傾向にあり、酸価が25mgKOH/g以下の場合にトナーの画像濃度が安定する傾向にある。ポリエステル樹脂の酸価の上限値は、20mgKOH/g以下がより好ましく、15mgKOH/g以下が特に好ましい。
次に、該ポリエステル樹脂を用いたトナーについて説明する。
本発明のトナーは、着色剤、荷電制御剤、離型剤、流動改質剤等の添加剤、磁性体等を配合して得られる。
着色剤としては、特に制限されないが、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げることができる。これらの染料や顔料はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルーなどが挙げられる。着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー中2〜10質量%であることが好ましい。
荷電制御剤としては、特に制限されないが、正帯電制御剤として4級アンモニウム塩や、塩基性もしくは電子供与性の有機物質等が挙げられ、負帯電制御剤として金属キレート類、含金属染料、酸性もしくは電子求引性の有機物質等が挙げられる。カラートナーの場合、帯電制御剤が無色ないし淡色で、トナーへの色調障害がないことが重要であり、例としてはサリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物等が挙げられる。さらに、スチレン系、アクリル酸系、メタクリル酸系、スルホン酸基を有するビニル重合体を荷電制御剤として用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.5〜5質量%であるのが好ましい。荷電制御剤の含有量が0.5質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
離型剤としては、特に制限されず、トナーの離型性、保存性、定着性、発色性等を考慮して、カルナバワックス、ライスワックス、蜜蝋、ポリプロピレン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を適宜選択して使用できる。これらは単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
離型剤の融点は特に制限されず、上記トナー性能を考慮して適宜選択して使用できる。離型剤の含有量は特に制限されないが、上記のトナー性能を左右することから、トナー中0.3〜15質量%であることが好ましい。離型剤の含有量の下限値は、より好ましくは1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、離型剤の含有量の上限値は、13質量%以下がより好ましく、12質量%以下が特に好ましい。
流動改質剤などの添加剤としては、特に制限されないが、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調節剤、滑剤などが挙げられ、これらは内添剤または外添剤として使用される。
これらの添加剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.05〜10質量%であるのが好ましい。これらの添加剤の含有量が0.05質量%以上の場合にトナーの性能改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量%以下の場合にトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
さらにバインダー樹脂として、本発明のポリエステル樹脂以外のバインダー樹脂を用いててもよく、例えば、本発明のポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、環状オレフィン樹脂、メタクリル酸系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができ、本発明の効果を損なわない範囲で、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。
磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等をはじめとする、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが、適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
磁性体の含有量は、特に制限されないが、トナーの粉砕性に大きく影響を与えるため、トナー中3〜70質量%であることが好ましい。磁性体の含有量が3質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、70質量%以下の場合にトナーの定着性や粉砕性が良好となる傾向にある。磁性体の含有量の下限値は、3質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、磁性体の含有量の上限値は、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
また、2成分現像剤として用いる場合、キャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用することができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを使用することができる。
本発明のトナーの製造方法については、特に制限されないが、前述のバインダー樹脂および配合物を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて無機粒子の外添処理等を行って製造する方法(粉砕法)、前述のバインダー樹脂および配合物を溶剤に溶解・分散させ、水系媒体中にて造粒したのち溶剤を除去し、洗浄、乾燥してトナー粒子を得て、必要に応じて無機粒子の外添処理等を行って製造する方法(ケミカル法)等が挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の実施の態様がこれに限定されるものではない。また、本実施例で示される樹脂やトナーの評価方法は以下の通りである。
(1)ポリエステル樹脂の評価方法
(ガラス転移温度(Tg))
島津製作所(株)製示差走差熱量計DSC−60を用い、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートの低温側のベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を求めた。
(軟化温度)
島津製作所(株)製フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、昇温速度3℃/分の等速昇温下で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出した温度を求めた。
(酸価)
サンプル約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコール10mlを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱し樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10ml、クロロホルム20ml、フェノールフタレイン溶液数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=B(ml)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(ml))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)=(B−C)×0.02×56.11×p÷A
(2)トナーの評価方法
(保存安定性)
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを45℃に保温された乾燥機に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
◎(非常に良好):サンプル瓶を逆さにするだけで分散する。
○(良好):サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する。
△(使用可能):サンプル瓶を逆さにし、4〜5回叩くと分散する。
×(劣る):サンプル瓶を逆さにし、5回叩いた際に分散しない。
(定着性)
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度を100mm/sに設定したローラー温度変更可能であるプリンターを用いて、テストパターンとして0.5mg/cmのトナー濃度にて縦4.5cm×横15cmのベタ画像を作成し、定着ローラーの温度を160℃に設定して定着させた。このテストパターン画像に対し、3箇所を評価点として設定して、マクベス社製画像濃度計にて画像濃度を測定して記録した。濃度測定部分を縦に谷折りとして、保護紙を乗せた上から折り曲げ部に1kgの重りを5回滑らせ、続いて同じ折り目で山折りとして、保護紙を乗せた上から折り曲げ部に1kgの重りを5回滑らせた。
試験紙を伸ばし、折り曲げ部にセロハンテープ(日東電工CSシステム社 No.29)を貼りつけて5回なぞったのちゆっくりと剥がし、マクベス社製画像濃度計にて画像濃度を測定した。3箇所で同試験を行い、試験前後の画像濃度より各々の定着率を以下の式で算出し、3箇所の平均定着率をもとに以下の基準により評価した。
定着率=試験後の画像濃度/試験前の画像濃度 ×100 (%)
◎(非常に良好):85%以上の定着率
○(良好) :80%以上85%未満の定着率
△(使用可能):75%以上80%未満の定着率
×(劣る) :75%未満の定着率または160℃でオフセット現象が発生し測定不可
(耐ホットオフセット性)
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度30mm/sに設定したローラー温度変更可能であるプリンターを用いて、テストパターンとして0.5mg/cmのトナー濃度にて縦4.5cm×横15cmのベタ画像をローラー温度5℃毎に印刷した際、定着時にホットオフセット現象により定着ローラーにトナーが移行するときの最低温度をホットオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐ホットオフセット性を判断した。
◎(非常に良好) :ホットオフセット発生温度が200℃以上
○(良好) :ホットオフセット発生温度が180℃以上200℃未満
△(使用可能):ホットオフセット発生温度が170℃以上180℃未満
×(劣る) :ホットオフセット発生温度が170℃未満
(実施例1)
表1に示す酸成分、アルコール成分、および全酸成分に対して1500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。なお、表1に記載した仕込み組成は、全酸成分100モル部に対する各成分のモル部である。
次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持した。エステル化反応が終了し反応系からの水の留出がなくなた後、反応系内の温度を下げて235℃に保ち、反応容器内を約40分かけて減圧し、真空度を133Paとし、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を行った。
反応とともに反応系の粘度が上昇し、粘度上昇とともに真空度を上昇させ、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で撹拌を停止し、反応系を常圧に戻し、窒素により加圧して反応物を取り出し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の特性値を表1に示す。
次いで、上記で得られたポリエステル樹脂を用いて、トナー化を行った。トナーの配合には、ポリエステル樹脂を93質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製HOSTAPARM PINK E、C.I.番号:Pigment Red 122)を3質量部、カルナバワックス1号(東洋アドレ社製)3質量部、負帯電性の荷電制御剤(日本カーリット社製LR−147)1質量部を使用し、ヘンシェルミキサーで5分間混合した。
次いで、得られた混合物を2軸混練機で溶融混練した。溶融混練は内温を樹脂の軟化温度に設定して行った。混練後、冷却してトナー魂を得、ジェットミル微粉砕機で10μm以下に微粉砕し、分級機にて3μm以下の微粒子をカットして粒径を整えた。得られた微粉末100質量部に対して、0.25質量部のシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合して付着させトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2〜5、比較例1〜3
酸成分、アルコール成分を表1に示すとおりに変更する以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の特性値を表1に示す。
次いで、得られたポリエステル樹脂を用いて実施例1と同様の方法でトナーを得た。得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表1に示す。
ジオールA:ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジオール
1,3−プロパンジオール:Susterra(登録商標)プロパンジオール(DuPont(株))
比較例1は、芳香族ジオールを含有していないため、トナーの保存安定性が不良であった。
比較例2は、三価以上のカルボン酸を含有していないため、トナーの耐ホットオフセット性が不良であった。
比較例3は、三価以上のカルボン酸が全酸成分に対して20モル%を超えているためトナーの保存安定性が不良であった。

Claims (4)

  1. 芳香族ジオールおよび植物原料由来の1,3−プロパンジオールを含む多価アルコールと、全酸成分に対して0.5〜20モル%の三価以上のカルボン酸を含む多価カルボン酸を重縮合するポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法で得られたトナー用ポリエステル樹脂。
  3. ガラス転移温度が48℃〜75℃である請求項2記載のトナー用ポリエステル樹脂。
  4. 請求項2または3に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含有するトナー。
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