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JP5822086B2 - トナー用結晶性ポリエステル樹脂およびトナー - Google Patents

トナー用結晶性ポリエステル樹脂およびトナー Download PDF

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JP5822086B2 JP2011101149A JP2011101149A JP5822086B2 JP 5822086 B2 JP5822086 B2 JP 5822086B2 JP 2011101149 A JP2011101149 A JP 2011101149A JP 2011101149 A JP2011101149 A JP 2011101149A JP 5822086 B2 JP5822086 B2 JP 5822086B2
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Description

本発明はトナー用結晶性ポリエステル樹脂およびトナーに関する。
近年のプリンターの高速化、小型化等の要求に対し、トナーの保存性(貯蔵安定性)を維持しつつ、より低温で定着可能なトナー用バインダー樹脂が望まれている。
例えば特許文献1には、溶融流動性を向上させ低温定着性を改良した結晶性ポリエステル樹脂が記載されている。
また特許文献2には、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂を併用して低温定着性を改良したトナー用バインダー樹脂が記載されている。
特開平4―239021 特開2005−300867
しかしながら、特許文献1記載の結晶性ポリエステル樹脂は、ポリオールとして炭素数が18と大きなものを用いているため、低温定着時のトナーの定着強度が不十分となる。
また、特許文献2記載の結晶性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が室温以下でありトナーの保存性が不十分となり、ポリオールの含有量も多いため定着強度も不十分となる。
本発明は、低温定着時のトナーの定着強度と保存性を同時に満足するトナー用結晶性ポリエステル樹脂、およびトナーを提供することを目的としている。
本発明の要旨は、ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対して、炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位を15〜38モル部含み、軟化温度(T4)が85〜120℃、ガラス転移温度(Tg)が45℃以上のトナー用結晶性ポリエステル樹脂にある。
本発明のトナー用結晶性ポリエステル樹脂を用いることによって、低温定着時のトナーの定着強度と保存性に優れたトナーが得られる。さらに樹脂強度に優れているので、定着後のトナーの耐久性にも優れている。
ポリエステル樹脂は、一般にポリカルボン酸とポリオールとを重縮合して得られる。
本発明のトナー用結晶性ポリエステル樹脂は、ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対して、炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位を15〜38モル部含むことが必要である。炭素数3以上のポリオール由来の構成単位を含むことでトナーの定着強度が向上し、炭素数が10以下ポリオール由来の構成単位を含むこと保存性が向上する。
炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位が、ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対して15モル部未満ではトナーの定着強度が低下する。また、38モル部を超えると非結晶樹脂となり樹脂強度が低下する。
炭素数3〜10のポリオールの例として、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、D−イソソルビド、L−イソソルビド、イソマンニド、1,2‐シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール等の2価のポリオールや、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、マンニトールなどの2価以上のポリオールが挙げられる。
中でもネオペンチルグリコール、D−イソソルビド、L−イソソルビド、1,4−シクロへキサンジメタノール、1、3−プロパンジオール、1、2−プロパンジオールは、反応性が高く、ポリマー骨格内に組み込まれやすい。さらに、トナーの定着強度の点から、ネオペンチルグリコール由来の構成単位を15〜35モル部含むことがより好ましい。
また本発明では、炭素数3未満、10以上のポリオール由来の構成単位を含んでいても良い。
炭素数3未満のポリオールとしては、エチレングリコールが挙げられ、その含有量は、トナーの定着強度の観点で、ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対し95モル部以下が好ましい。
炭素数10以上のポリオールとしては、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンスピログリコール、シクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリペンタエリスリトール、トレハロース、シクロデキストリン化合物、リグニン、リグノフェノール等が挙げられ、その含有量は、保存性を損なわない点で、ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対し20モル部以下が好ましい。
また、ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のポリカルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
これらの中ではトナーの保存性が良好になるテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。さらにポリカルボン酸由来の構成単中に、テレフタル酸由来の構成単位を80モル部以上含有することがより好ましい。テレフタル酸由来の構成単位の含有量が80モル部以上の場合、樹脂の強度が向上し、低温定着時のトナーの定着強度が向上する。
なお、ポリエステル樹脂中のポリオール由来の構成単位および、ポリカルボン酸由来の構成単位の含有量は、核磁気共鳴装置を用いて各構成単位由来の帰属ピークの積分比から決定する。各構成単位由来の帰属ピークは、G.A.Russell et al、 Macromolecues、14、(6)、1764−1770に記載の値を用いた。
さらに本発明の結晶性ポリエステル樹脂は、軟化温度(T4)が85〜120℃であることが必要である。
軟化温度(T4)が85℃未満では、樹脂強度が低くなり、120℃を超えると定着強度が低くなる。樹脂強度の点から90℃以上が好ましく、定着強度の点から110℃以下が好ましい。
また本発明の結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は45℃以上であることが必要である。
前記ポリエステル樹脂のTgが45℃未満の場合、トナーの保存性が不良となる。
なお、本発明の結晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて、JIS K7121に準拠した測定において、ガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)(吸熱ピーク)との間に結晶化ピークを有するポリエステル樹脂を意味する。本発明では結晶部分が樹脂中に存在することで、樹脂強度が発現する。
また本発明の結晶性ポリエステル樹脂は、DSCを用いて測定した融点における融解熱量が、10.0〜40.0J/gの範囲が好ましい。融解熱量が10.0J/g以下であると樹脂強度が低下すやすく、40.0J/g以上であればトナーの定着強度が低位となる傾向にある。
次に本発明の結晶性ポリエステル樹脂の製造方法に関する一例を示す。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂は、前記ポリカルボン酸と前記炭素数3〜10のポリオールを含む単量体混合物を公知の方法で重縮合反応することで得られる。
ポリエステル樹脂中の炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位をポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対して、15〜38モル部とするためには、ポリカルボン酸100モル部に対する炭素数3〜10のポリオールの仕込みのモル部で調整できる。
重合触媒としては、チタンテトラアルコキシド、酸化チタン、ジブチル錫オキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、酢酸マグネシウム等を用いることができる。
重合温度は、特に制限されないが、180℃〜280℃の範囲が好ましい。重合温度が180℃以上の場合に、生産性が良好となる傾向にあり、280℃以下の場合に、樹脂の分解や、臭気の要因となる揮発分の副生成を抑制できる傾向にある。重合温度の下限値は200℃以上がより好ましく、220℃以上が特に好ましい。重合温度の上限値は270℃以下がより好ましい。
なお、重合終点は以下の方法で決定した。重縮合反応中に数回サンプリングを行い、軟化温度(T4)とガラス転移温度(Tg)を測定し、T4が85〜120℃、Tgが45℃以上を確認し、重合終点とした。
さらに本発明においては、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記の成分とともに離型剤成分を添加してポリエステル樹脂を重合することもできる。離型剤成分を添加して重合することにより、トナーの定着性、ワックス分散性が向上する傾向にある。
離型剤成分としては、後述するトナー配合物として使用できるワックスと同様のものが使用でき、カルナバワックス、ライスワックス、蜜蝋、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、各種ポリオレフィンワックスまたはその変性品、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂の重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ヒンダードフェノール化合物などが挙げられる。
次に、本発明の結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーについて説明する。 本発明のトナーは、前記結晶性ポリエステル樹脂に必要に応じて、着色剤、荷電制御剤、離型剤、流動改質剤、磁性体等を配合してトナーが得られる。
着色剤としては、特に制限されないが、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げることができる。これらの染料や顔料はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルーなどが挙げられる。着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー中2〜10質量%であることが好ましい。
荷電制御剤としては、特に制限されないが、正帯電制御剤として4級アンモニウム塩や、塩基性もしくは電子供与性の有機物質等が挙げられ、負帯電制御剤として金属キレート類、含金属染料、酸性もしくは電子求引性の有機物質等が挙げられる。カラートナーの場合、帯電制御剤が無色ないし淡色で、トナーへの色調障害がないことが重要であり、例としてはサリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物等が挙げられる。さらに、スチレン系、アクリル酸系、メタクリル酸系、スルホン酸基を有するビニル重合体を荷電制御剤として用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.5〜5質量%であるのが好ましい。荷電制御剤の含有量が0.5質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
離型剤としては、特に制限されず、トナーの離型性、保存性、定着性、発色性等を考慮して、カルナバワックス、ライスワックス、蜜蝋、ポリプロピレン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を適宜選択して使用できる。これらは単独であるいは二種以上を併用して使用することができる。
離型剤の融点は特に制限されず、上記トナー性能を考慮して適宜選択して使用できる。離型剤の含有量は特に制限されないが、上記のトナー性能を左右することから、トナー中0.3〜15質量%であることが好ましい。離型剤の含有量の下限値は、より好ましくは1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、離型剤の含有量の上限値は、13質量%以下がより好ましく、12質量%以下が特に好ましい。
流動改質剤などの添加剤としては、特に制限されないが、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂等の抵抗調節剤、滑剤が挙げられ、これらは内添剤または外添剤として使用される。
これらの添加剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.05〜10質量%であるのが好ましい。これらの添加剤の含有量が0.05質量%以上の場合にトナーの性能改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量%以下の場合にトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
また本発明のトナーは、前記結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂を含むことが樹脂の透明性が確保できる点で好ましい。非結晶性ポリエステルの含有量は、トナー中50質量%以下であるのが好ましい。この含有量が50質量%以下の場合にトナー用樹脂としての透明性が充分に得られる傾向にあり、カラートナー向けにも使用できる樹脂となる傾向にある。
非結晶性ポリエステル樹脂は、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて、JIS K7121に準拠した測定において、ガラス転移温度以上の温度領域にて融点(吸熱ピーク)と結晶化ピーク(発熱ピーク)がないポリエステル樹脂を意味する。例えば、ポリカルボン酸成分100部に対して炭素数3〜10のポリオールを38モル部以上含み、さらにポリオール種を3種以上併用して結晶化を抑制した樹脂を用いることが出来る。
さらにバインダー樹脂として、ポリエステル樹脂以外のバインダー樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で用いてもよく、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、環状オレフィン樹脂、メタクリル酸系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができ、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。
磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが、適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
磁性体の含有量は、特に制限されないが、トナーの粉砕性に大きく影響を与えるため、トナー中3〜70質量%であることが好ましい。磁性体の含有量が3質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、70質量%以下の場合にトナーの定着性や粉砕性が良好となる傾向にある。磁性体の含有量の下限値は、3質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、磁性体の含有量の上限値は、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
また、2成分現像剤として用いる場合、キャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等を使用することができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを使用することができる。
本発明のトナーの製造方法については、特に制限されないが、前述のバインダー樹脂および配合物を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて無機粒子の外添処理等を行って製造する方法(粉砕法)、前述のバインダー樹脂および配合物を溶剤に溶解・分散させ、水系媒体中にて造粒したのち溶剤を除去し、洗浄、乾燥してトナー粒子を得て、必要に応じて無機粒子の外添処理等を行って製造する方法(ケミカル法)等が挙げられる。
本発明のトナーの粒子径は、特に制限されないが、3〜15μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜10μmの範囲が好ましい。これは3μm以上の場合に生産性が良好となる傾向にあり、また塵肺の問題も生じない傾向にある。また、この粒子径が15μm以下の場合に高画質を得ることができる傾向にある。
以下に本発明の実施例を示す。また、本実施例で示される樹脂やトナーの評価方法は以下の通りである。
<軟化温度(T4)>
フローテスター(島津製作所社製CFT−500D)を用いて、1mmφ×1
mmのノズル、荷重294N、昇温速度6℃/minの等速昇温下で、樹脂サンプル1.0g中の4mmが流出したときの温度を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差走差熱量計(島津製作所製DSC−60)を用いて、昇温速度5℃/minにおけるチャートのベースラインと吸熱カーブの接線との交点から測定した。測定試料は、結晶樹脂融点以上の280℃で1分融解後、ドライアイスを用いて急冷却処理したサンプルを用いて行った。
<融点(Tm)、融解熱量>
示差走査熱量計(島津製作所製DSC−60)を用いて、昇温速度10℃/分で試料10mgを加熱し、JIS K7121に準拠して測定し、該規格(9.1「融解温度の求め方」)に記載されている融解ピーク値を求めてこれを結晶融点Tmとし、また、DS C チャートの結晶融点Tmにおける吸熱ピーク面積より融解熱量(J/g)を求めた。
<ポリエステル樹脂の構成単位の組成分析>
超伝導核磁気共鳴装置を用いて分析を行った。
装置:日本電子製 Excalibur 270 超伝導FT−NMR
マグネット:JNM−GSX270型 超伝導マグネット
スペクトロメーター:JNM−EX270型
観測周波数:1H 270MHz、13C 67MHz
溶媒:重水素化クロロホルム/重水素化トリフルオロ酢酸=5/3(体積比)の混合溶液
温度:35℃
積算回数:1H:16回、13C:1024回
1 H−NMR、13−NMRを測定し、各構成単位由来の帰属ピークの積分比からポリカルボン酸酸、ポリオールの割合を求めた。
1 H−NMRの帰属ピーク範囲
テレフタル酸構造由来:8.1ppm
エチレングリコール構造由来:4.0〜5.0ppm
1,3−プロパンジオール構造由来:2.0ppm〜5.0ppm
ネオペンチルグリコール構造由来:1.0ppm〜5.0ppm
イソソルバイド構造由来:3.6ppm〜6.0ppm
1,4−シクロへキサンジメタノール構造由来:1.0〜5.0ppm
1,12−ドデカンジオール構造由来:1.0〜5.0ppm
13C−NMRの帰属ピーク範囲
テレフタル酸構造由来:125〜175ppm
フマル酸構造由来:125〜175ppm
エチレングリコール構造由来:60〜70ppm
1,3−プロパンジオール構造由来:25.0ppm〜70.0ppm
ネオペンチルグリコール構造由来:20.0ppm〜75.0ppm
イソソルバイド構造由来:60.0ppm〜90.0ppm
1,4−シクロへキサンジメタノール構造由来:20.0〜75.0ppm
1,12−ドデカンジオール構造由来:20.0〜75.0ppm
<トナーの定着強度(トナー低温定着後の強度)>
複写機「PAGEPREST N4−612II」(カシオ電子工業社製)を、定着温度が変更可能なタイプへ改造した装置を用い、未定着画像を画出しテストを行った。ここで用いた定着ローラーは、シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーであり、ニップ幅3mm、線速30mm/sに設定したものである。
熱ローラー設定温度を5℃ずつ下げながら、A4普通紙(大昭和製紙製:BM64T)の上部に印刷した画像がローラーに付着し、紙の下余白部分を汚すかどうかを目視にて確認し、汚れの生じない130℃定着での定着画像紙を得た。この130℃における定着画像について擦り試験を行い、トナー定着前後のトナー樹脂残存率より定着強度を評価した。
トナー樹脂残存率は、上記定着温度幅評価に使用した印刷用紙を用い、印刷部分を折り曲げて加重5kg/cm2をかけた後、セロハンテープ(日東電工包装システム社製、品番:N.29)を貼って剥がし、この操作の前後における印刷部分の光量をマクベス光量計RD917にて測定し、その測定値からトナーの定着強度を算出した。
トナー樹脂残存率(%)=(セロハンテープ剥離試験後の光量)/(試験前の光量)×100(%)
(極めて良好):擦り試験後の樹脂残存率80%以上
(良好):擦り試験後の樹脂残存率70%以上80%未満
(使用可能):擦り試験後の樹脂残存率60%以上70%未満
(劣る):擦り試験後の樹脂残存率60%未満
<トナーの保存性>
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを45℃に保温された乾燥機に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して保存性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
(極めて良好) :サンプル瓶を逆さにするだけで分散する
(良好):サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する
(劣る):サンプル瓶を逆さにし、4〜5回以上叩くと分散する
<樹脂強度>
テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製、RTC−1250A)を用いて曲げ最大応力の測定を行った。測定試料は、手動式成型機ハンディトライ((株)新興セルビック製)を用いて、縦80mm、横10mm、厚み2mm、テーパー2度の金型より得られた成型樹脂片を用いた。JIS K7116に記載の方法に準拠し、テンシロンを用いて、100mm/minの試験速度で、試験片の最大破断荷重を求めた。
(極めて良好):曲げ試験における最大破断荷重が10N以上
(良好):曲げ試験における最大破断荷重が6N以上〜10N未満
(劣る):曲げ試験における最大破断荷重が6N未満
(実施例1)
表1に示す仕込み組成のポリカルボン酸、ポリオール、およびポリカルボン酸に対して1000ppmのテトラ−n−ブトキシチタンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで昇温を開始し、反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を行った。次いで、反応系内の温度を220℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からポリアルコールを留出させながら縮合反応を実施した。
サンプリングを行い、表1に示すガラス転移温度(Tg)と軟化温度(T4)にて重合を終了させた。反応物を取り出しベルトクーラーにてTg以下に急冷却して、結晶性ポリエステル樹脂を得た。結晶性ポリエステル樹脂の特性値を表1に示す。
得られた結晶性ポリエステル樹脂93質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライド社製)3質量部、および負帯電性の荷電制御剤(日本カーリット社製LR−147)1質量部を予備混合し、2軸押出機を用いて200℃で溶融混練して、粗粉砕後、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、平均粒径5μmの粉末を得た。得られた粉末に対して、0.2質量%となるようにシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合し付着させ、トナーを得た。トナーの評価結果を表1に示す。
(実施例2〜6、比較例1〜6)
ポリオール成分、重合終了時のガラス転移温度(Tg)と軟化温度(T4)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて結晶性ポリエステル樹脂及びトナーを得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の特性値、トナーの評価結果を表1に示す。
比較例1では、炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位が15モル部未満のため、トナーの定着強度が不十分であった。
比較例2では、炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位が38モル部を超えるため、トナーの定着強度、樹脂強度が不十分であった。
比較例3では、ガラス転移温度(Tg)が45℃未満であるため、トナーの保存性が不十分であった。
比較例4では、軟化温度が120℃を超えるため、トナーの定着強度が不十分であった。
比較例5では、軟化温度が85℃未満であるため、樹脂強度が不十分であった。
比較例6では、炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位を含んでいないため、トナーの定着強度、トナーの保存性、樹脂強度が不十分であった。

Claims (5)

  1. ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対して、炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位を15〜38モル部含み、軟化温度(T4)が85〜120℃、ガラス転移温度(Tg)が45℃以上であり、前記ポリカルボン酸が、テレフタル酸及びイソフタル酸から選択される少なくとも一種であり、前記ポリオールが、ネオペンチルグリコール、D−イソソルビド、L−イソソルビド、1,4−シクロへキサンジメタノール、1、3−プロパンジオール及び1、2−プロパンジオールから選択される少なくとも一種であり、炭素数3未満のポリオールを、ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対して、95モル部以下含む、結晶性ポリエステル樹脂からなるトナー材料。
  2. 炭素数3〜10のポリオール由来の構成単位として、ネオペンチルグリコール由来の構成単位を15〜35モル部含む請求項1記載の結晶性ポリエステル樹脂からなるトナー材料。
  3. 前記炭素数3未満のポリオールを、ポリカルボン酸由来の構成単位100モル部に対して、95モル部以下69モル部以上含む、請求項1または2に記載の結晶性ポリエステル樹脂からなるトナー材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の結晶性ポリエステル樹脂からなるトナー材料を含むトナー。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の結晶性ポリエステル樹脂からなるトナー材料と、非結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー。
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