JP4671363B2 - トナー用バインダー樹脂組成物、その製造方法、およびトナー - Google Patents
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さらに、ヒートローラー方式においては、省エネ化の観点から定着部の低温化が進み、トナーにはより低い温度で紙に定着する性能、つまり低温定着性が強く求められるようになってきた。加えて、装置のコンパクト化が進み、離型剤を塗布しないローラーが用いられるようになってきており、トナーにはヒートローラーとの剥離性、すなわち非オフセット性への要求が高まっている。
例えば、ワックスリッチな部分は粉砕されやすいため、トナーが微粉化するという問題があった。また、所望の粒径のトナー製品を得るために、通常、微粉をカットするが、ワックスリッチな微粉がカットされてしまうため、トナー製品中のワックス量が設計値よりも低減し、ワックスの剥離効果を十分に得られないという問題があった。さらには、連続印刷時にカートリッジ内のトナーがストレスを受けてさらに破砕されて微粉化し、画像の安定性や耐久性等の性能にも弊害を及ぼしていた。そのため、従来からポリエステル樹脂とワックスとの相溶性についてはさまざまな検討がなされてきた(例えば、特許文献1から3参照)。
しかしながら、特許文献1および2に記載されているトナーのワックス分散性は、従来より改良されているものの未だ不十分であった。また、ワックスの種類を限定しているため、トナーの離型性、保存性、定着性、発色性等を考慮して各種ワックスを適宜選択して使用することができないといった問題があった。
特許文献3には、末端に特定の官能基を有する長鎖アルキル基で変性されたポリエステル樹脂を用いることにより、低温定着性、耐オフセット性、環境安定性等の優れたトナーを提供する技術が開示されている。
特許文献3において例示されている、直鎖状の長鎖アルキル基の末端が変性された改質剤を5質量%以上用いて変性したポリエステル樹脂を用いて得たトナーに関する技術においては、次のような課題が残っていた。
直鎖状の改質剤は融解熱が大きいため、溶融状態の不完全な残存改質剤により定着性が不十分となったり、定着時に離型剤として十分に作用せず耐ホットオフセット性が不十分となる。
さらには、期待した効果を得るために多量の改質剤にて変性させており、ポリエステル樹脂の酸価が高く設計されていることから画像安定性が不良となったり、樹脂中に多量に残る未反応の改質剤によりトナーの発色、透明性が低下したりトナーの耐ブロッキング性が不十分となる。
さらに本発明は、酸化ポリオレフィンの存在下で、酸成分およびアルコール成分を重合するトナー用バインダー樹脂組成物の製造方法に関するものである。
さらに本発明は、このトナー用バインダー樹脂組成物を含有するトナーに関するものである。
酸化ポリオレフィンがポリエステル樹脂の構成成分として取り込まれない場合には、トナー中に酸化ポリオレフィンが含有されていても、この作用は不十分である。
また本発明では、トナー用バインダー樹脂組成物中に酸化ポリオレフィンを含むことによりに、酸化ポリオレフィン由来の構成単位を含むポリエステル樹脂との相乗効果により、ワックス分散性がさらに良好となる。
さらに、本発明のトナー用バインダー樹脂組成物は、酸化ポリオレフィンとして分岐を有するポリエチレンを酸化処理した酸化ポリエチレン由来の構成を含むポリエステル樹脂と、分岐を有するポリエチレンを酸化処理した酸化ポリエチレンを含有する場合に、得られるトナーの定着特性が良好となるためより好ましい。
酸化処理をする前のポリオレフィンとしては、特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等、オレフィン骨格を主成分とした重合体等が挙げられる。このうち酸化処理をする前のポリオレフィンとしては、熱安定性等の観点から、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のエチレン骨格を主成分としたポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
(1)クラリアント社製 リコワックス PEDシリーズ
(2)三洋化成工業社製 サンワックス Eシリーズ
本発明のトナー用バインダー樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、酸化ポリオレフィンの存在下で、ポリエステル樹脂の原料成分である酸成分およびアルコール成分を重合する方法が挙げられる。この製造方法によって、酸化ポリオレフィン由来の構成単位を含むポリエステル樹脂を含有するトナー用バインダー樹脂を製造することができる。
重合方法は、特に制限されず、上述の成分を反応容器内に投入して、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合する方法等が挙げられる。
脂肪族ジオール成分としては、特に制限されないが、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ、また、脂肪族ジオール成分と芳香族ジオール成分を組み合わせて使用することもできる。
なかでも、酸化ポリオレフィンとして分岐を有するポリエチレンを酸化処理した酸化ポリエチレンを用いた場合、反応せずに分散している酸化ポリオレフィンが分岐を有するポリエチレンを酸化処理した酸化ポリエチレンとなり、得られるトナーの定着特性が良好となるためより好ましい。
酸化ポリオレフィン由来の構成単位の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂全量中0.2〜10質量%が好ましい。
なお、本発明において、「酸化ポリオレフィン由来の成分の含有量」というときは、酸化ポリオレフィン由来の構成単位の含有量と反応せずに分散している酸化ポリオレフィンの含有量の合計量(すなわち、反応してポリエステル樹脂に構成単位として取り込まれる成分と反応せずにそのまま残る成分の合計量)をいうものである。
また、トナー用バインダー樹脂組成物の軟化温度は、特に制限されないが、90〜200℃であるのが好ましい。軟化温度が90℃以上の場合に、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあり、200℃以下の場合にトナーの定着性が良好となる傾向にある。軟化温度の下限値は、100℃以上がより好ましく、上限値は180℃以下がより好ましい。
トナー用バインダー樹脂組成物の酸価は、特に制限されないが、20mgKOH/g以下が好ましい。酸価が20mgKOH/g以下の場合にトナーの画像濃度が安定する傾向にある。ポリエステル樹脂(P)の酸価の上限値は、15mgKOH/g以下がより好ましく、12mgKOH/g以下が特に好ましい。
着色剤としては、特に制限されないが、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げることができる。これらの染料や顔料はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルーなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー中2〜10質量%であることが好ましい。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.5〜5質量%であるのが好ましい。荷電制御剤の含有量が0.5質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
離型剤の融点は特に制限されず、上記トナー性能を考慮して適宜選択して使用できる。離型剤の含有量は特に制限されないが、上記のトナー性能を左右することから、トナー中0.3〜15質量%であることが好ましい。離型剤の含有量の下限値は、より好ましくは1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、離型剤の含有量の上限値は、13質量%以下がより好ましく、12質量%以下が特に好ましい。
本発明のトナー用バインダー樹脂組成物は、酸化ポリオレフィン由来の構成単位を含むポリエステル樹脂(P1)を含有しているため、各種離型剤との相溶性に優れるものである。そのため、上述のいかなる離型剤をトナー製造時に配合しても、分散性は良好であり、離型剤に期待する効果を十分に付与することができる。
これらの添加剤の含有量は、特に制限されないが、トナー中0.05〜10質量%であるのが好ましい。これらの添加剤の含有量が0.05質量%以上の場合にトナーの性能改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量%以下の場合にトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等をはじめとする、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが、適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
磁性体の含有量は、特に制限されないが、トナーの粉砕性に大きく影響を与えるため、トナー中3〜70質量%であることが好ましい。磁性体の含有量が3質量%以上の場合にトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、70質量%以下の場合にトナーの定着性や粉砕性が良好となる傾向にある。磁性体の含有量の下限値は、3質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、磁性体の含有量の上限値は、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
1)ガラス転移温度(Tg)
島津製作所(株)製示差走差熱量計DSC−60を用い、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートの低温側のベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を求めた。
2)軟化温度
島津製作所(株)製フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、昇温速度3℃/分の等速昇温下で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出した温度を求めた。
サンプル約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコール10mlを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱し樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10ml、クロロホルム20ml、フェノールフタレイン溶液数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=B(ml)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(ml))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)=(B−C)×0.02×56.11×p÷A
4)反応せずにバインダー樹脂組成物中に分散している酸化ポリオレフィンの含有量(質量%)
1)と同様の装置を用い、同条件で測定を行い、酸化ポリオレフィン自身の吸熱量(J/g)、バインダー樹脂組成物中に分散している酸化ポリオレフィンの吸熱量(J/g)をDSCチャートにおける吸熱ピークのベースラインからの面積より求め、以下の式よりバインダー樹脂組成物中に分散している酸化ポリオレフィンの含有量を求めた。
バインダー樹脂組成物中に分散している酸化ポリオレフィンの含有量(質量%)
={バインダー樹脂組成物中に分散している酸化ポリオレフィンの吸熱量(J/g)}
/{酸化ポリオレフィン自身の吸熱量(J/g)} ×100(質量%)
1)耐ホットオフセット性
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度30mm/sに設定したローラー温度変更可能であるプリンターを用いて、テストパターンとして0.5mg/cm2のトナー濃度にて4.5cm×15cmのベタ画像をローラー温度5℃毎に印刷した際、定着時にホットオフセット現象により定着ローラーにトナーが移行するときの最低温度をホットオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐ホットオフセット性を判断した。
◎(非常に良好) :ホットオフセット発生温度が200℃を超える
○(良好) :ホットオフセット発生温度が180℃を超えて200℃以下
×(劣る) :ホットオフセット発生温度が180℃以下
耐ホットオフセット性評価と同じ装置を用い、ローラー速度100mm/sに設定し、同様に画像を印刷した際、定着時にコールドオフセット現象により定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をコールドオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐コールドオフセット性を判断した。
◎(非常に良好) :コールドオフセット発生温度が135℃未満
○(良好) :コールドオフセット発生温度が135℃以上145℃未満
×(劣る) :コールドオフセット発生温度が145℃以上
耐ホットオフセット性評価と同じ装置を用い、ローラー速度100mm/sで、定着ローラーの温度を140℃に設定して定着させた上述のテストパターン画像を、JIS512の砂消しゴムにて9回擦り、試験前後の画像濃度をマクベス社製画像濃度計にて測定し、定着率を以下の式で算出し、以下の基準により評価した。
定着率=試験後の画像濃度/試験前の画像濃度 ×100 (%)
◎(非常に良好):80%以上の定着率
○(良好) :75%以上80%未満の定着率
△(使用可能) :70%以上75%未満の定着率
×(劣る) :70%未満の定着率または145℃でコールドオフセット現象が発生し測定不可
定着率は、70%以上を合格とする。
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを50℃に保温された乾燥機に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
◎(非常に良好):サンプル瓶を逆さにするだけで分散する。
○(良好):サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する。
×(劣る):サンプル瓶を逆さにし、4回以上叩くと分散する。
非オフセット性の評価方法と同一条件で印刷を1万枚行った場合において、トナーの帯電量を基準として画像安定性を評価した。
◎(非常に良好):初期の帯電量と最終の帯電量に変化がない。
○(良好) :帯電量は若干変化があるが、画像濃度に影響が少ない。
△(使用可能) :帯電量(画像濃度)に変化があるが、添加剤により改良可能である。
×(劣る) :画像濃度が大きく変化する。
画像安定性と同様の方法にて印刷を一万枚行った後、ブレード融着、印字面のカブリを基準として耐久性を評価した。
◎(非常に良好):ブレード融着やカブリは認められない。
○(良好) :ブレード融着やカブリはごくわずかに見られる程度。
△(使用可能):ブレード融着やカブリは若干認められるが、添加剤などにより改良可能。
×(劣る) :ブレード融着やカブリが大いに見られる。
表1に示す仕込み組成の酸成分、アルコール成分、および全酸成分に対して1500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持した。反応系から水が留出してエステル化反応が開始し、水の留出がなくなり反応を終了した。次いで、反応系内の温度を下げて235℃に保ち、反応容器内を約40分かけて減圧し、真空度を133Paとし、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を行った。反応とともに反応系の粘度が上昇し、粘度上昇とともに真空度を上昇させ、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で撹拌を停止し、反応系を常圧に戻し、窒素により加圧して反応物を取り出し、ポリエステル樹脂Aを得た。得られたポリエステル樹脂Aの特性値を表2に示す。
表1に示す仕込み組成の酸成分、アルコール成分、酸化ポリエチレンと、全酸成分(ただし、酸化ポリオレフィンは除く。)に対して1500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。なお、酸化ポリエチレンは、バインダー樹脂組成物中における酸化ポリエチレン由来の成分の含有量(反応してポリエステル樹脂に構成単位として取り込まれる成分と反応せずにそのまま残る成分の合計量)が、バインダー樹脂組成物中に3質量%となるように仕込んだ。
次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持した。反応系から水が留出してエステル化反応が開始し、水の留出がなくなり反応を終了した。次いで、反応系内の温度を下げて235℃に保ち、反応容器内を約40分かけて減圧し、真空度を133Paとし、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を行った。反応とともに反応系の粘度が上昇し、粘度上昇とともに真空度を上昇させ、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で撹拌を停止し、反応系を常圧に戻し、窒素により加圧して反応物を取り出し、バインダー樹脂組成物1を得た。
得られたバインダー樹脂組成物1の物性値を表1に示す。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表1に示す。
酸成分、アルコール成分、および酸化ポリオレフィンを表1に示すとおりに変更する以外は、実施例1と同様の方法でバインダー樹脂組成物2〜7を得た。得られたバインダー樹脂組成物の特性値を表1に示す。
次いで、バインダー樹脂組成物1(93質量部)に代えて、表1のように変更すること以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表1に示す。
酸成分、アルコール成分、および酸化ポリオレフィンを表1および2に示すとおりに変更する以外は、実施例1と同様の方法でバインダー樹脂組成物8および9を得た。得られたバインダー樹脂組成物の特性値を表1に示す。
次いで、バインダー樹脂組成物1(93質量部)に代えて、バインダー樹脂組成物8または9およびポリエステル樹脂Aを表1および2に記載の割合で用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表1および2に示す。
バインダー樹脂組成物1に代えて、バインダー樹脂組成物2およびポリエステル樹脂Aを表2に記載の割合で用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表2に示す。
バインダー樹脂組成物1に代えてバインダー樹脂組成物6を用い、トナー化時使用ワックスをサンワックス171−Pに代えて、表2に示すとおり、ポリワックス500(ポリエチレンワックス 東洋ペトロライト社製)、ビスコール660−P(ポリプロピレンワックス 三洋化成工業社製)および、カルナバワックスを用いる以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表2に示す。
バインダー樹脂組成物1に代えて、ポリエステル樹脂Aを用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表2に示す。
バインダー樹脂組成物1に代えてポリエステル樹脂Aを使用し、トナー化時使用ワックスをサンワックス171−Pに代えてリコワックスPED822(クラリアント社製 酸化ポリエチレンワックス)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表2に示す。
なお、トナー化時に使用した酸化ポリエチレンワックスがポリエステル樹脂の構成成分となっているか否かについては以下の方法で確認した。
比較例2で得たトナーをTHFに溶解し、振とうしたのち、12000rpmにて30分間遠心分離した。続いて、THF可溶分を取り出して濃縮し、クロロホルム−n−ヘキサンにて再沈精製し、60℃にて8時間真空乾燥してトナー中のポリエステル樹脂分のみを分離した。得られた樹脂分に対してIRにて分析を行い、ポリエステル樹脂の構成成分としてポリエチレン骨格が検出されないことを確認した。
酸化ポリオレフィンを表1に示すポリエチレン(リコワックスPE820)に変更すること以外は実施例1と同様の方法でバインダー樹脂組成物Bを得た。得られたバインダー樹脂組成物Bの特性値を表2に示す。
次いで、バインダー樹脂組成物1に代えてバインダー樹脂組成物Bを用いること以外は実施例1と同様の方法でトナーを得た。
得られたトナーについて前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。評価結果を表2に示す。
(1)ポリエステル樹脂の少なくとも一部が、酸化ポリオレフィン由来の構成単位を含むポリエステル樹脂(P1)であるポリエステル樹脂を含有するバインダー樹脂組成物を用いた実施例1〜13は、いずれのトナー性能も優れていた。
(2)高圧重合法により製造された分岐を有するポリエチレンを酸化処理した酸化ポリエチレン由来の構成単位を含むポリエステル樹脂(P1)を含むポリエステル樹脂を含有するバインダー樹脂組成物を用いた実施例1,2,5〜13は、定着性が特に優れていた。
(4)酸化ポリエチレンをトナー化時に使用しているものの、ポリエステル樹脂の構成単位として有していない比較例2は、ワックスの分散性が不十分であるため、耐久性が劣っており、定着性、画像安定性は使用可能レベルにとどまっていた。
(5)酸化処理を施していないポリエチレンワックスを重合時に添加したバインダー樹脂組成物Bを用いた比較例3は、ワックスの分散性が不良であるため、耐ホットオフセット性、耐久性が劣っており、定着性、画像安定性は使用可能レベルにとどまっていた。
ジオールA:ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.3モル付加物
ジオールB:ビスフェノールAエチレンオキサイド2.0モル付加物
リコワックスPED522:低圧重合法によって製造されたポリエチレンを酸化処理した酸化ポリエチレン(クラリアント社製)
リコワックスPED136:高密度ポリエチレンを酸化処理した酸化ポリエチレン(クラリアント社製)
リコワックスPE820:高圧重合法により製造された分岐を有するポリエチレン(クラリアント社製)
Claims (4)
- 酸化ポリオレフィン由来の構成単位を含むポリエステル樹脂と酸化ポリオレフィンとを含有するトナー用バインダー樹脂組成物。
- 酸化ポリオレフィンが酸化ポリエチレンである請求項1記載のトナー用バインダー樹脂組成物。
- カルボキシル基または水酸基と反応しうる官能基を有する酸化ポリオレフィンの存在下で、酸成分およびアルコール成分を重合するトナー用バインダー樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載のトナー用バインダー樹脂組成物を含有するトナー。
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