JP4175273B2 - 積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び表示装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、導電率の高い(比抵抗の高い)物質を使用して複数の発光ユニットを仕切った場合、面方向(基板に平行な方向)への導電性によって発光エリアが思い通りに規定することが困難な場合があった。また、この文献に記載された方法は生産性に劣るものであった。
したがって、電荷発生層を構成する有機材料を無駄にせず、簡便にかつ微細にパターニングして成膜する手段の開発が要求されていた。
"有機ELのすべて"城戸淳二著、日本実業出版社(2003年2月20日)
(1)対向する透明陽極電極と陰極電極の間に、少なくとも一層の発光層を含み、かつ、少なくとも一層からなる電荷発生層によって仕切られた発光ユニットを複数個有する積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、開口部を有するバンク層を形成するバンク部形成工程と、前記開口部内に前記発光層を形成する発光層形成工程と、電荷発生層形成材料を含む組成物を吐出し前記電荷発生層の少なくとも一つを形成する電荷発生層形成工程とを有し、前記電荷発生層形成工程では、前記発光層及び前記バンク部上の所定位置に前記組成物を吐出し、前記電荷発生層が形成された後に、さらに、前記バンク部形成工程と前記発光層形成工程を行うことを特徴とする積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(2)1.0×102Ω・cm以上の比抵抗を有する電気絶縁層である電荷発生層を形成することを特徴とする(1)の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(4)異なる2種類の物質の積層体又は混合層からなり、該2種類の物質間で酸化還元反応によるラジカルカチオンとラジカルアニオンからなる電荷移動錯体が形成してなる電荷発生層を形成することを特徴とする(1)〜(3)いずれかの積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(6)前記(a)成分として、一般式(I)
(7)前記(b)成分の無機物質として、金属酸化物を用いることを特徴とする(5)または(6)の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(9)前記(b)成分の有機物質として、少なくとも1個のフッ素を置換基として有し、電子受容性を有する有機化合物を用いることを特徴とする(5)〜(8)いずれかの積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(11)前記発光ユニットを吐出により形成することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(12)前記発光ユニットが正孔注入/輸送層と前記発光層とからなり、前記正孔注入/輸送層および/または前記発光層を吐出により形成することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明の表示装置は、高い生産効率で得られる高品質の積層型有機EL素子を備えるので、低価格で耐久性に優れ、低電力、かつ画像表示に優れる表示装置である。
1)積層型有機EL素子の製造方法
本発明の積層型有機EL素子の製造方法は、対向する透明陽極電極と陰極電極の間に、少なくとも一層の発光層を含み、かつ、少なくとも一層からなる電荷発生層によって仕切られた発光ユニットを複数個有する積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記電荷発生層の少なくとも一つを吐出装置を用いて形成することを特徴とする。
図2に示す2層積層型有機EL素子は、図4に示すように、バンク部形成工程(S2)、表面処理工程(S3)、正孔注入/輸送層(I)形成工程(S4)、発光層(I)形成工程(S5)、電荷発生層形成工程(S6)、正孔注入/輸送層(II)形成工程(S7)、発光層(II)形成工程(S8)、陰極電極形成工程(S9)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
まず、バンク部形成工程(S2)に供する基板10Aを用意する。
基板10Aの構造断面図を図5に示す。図5中、11は透明基板、12は回路素子部である。回路素子部12と基板11との間には、シリコン酸化膜からなる下地保護膜16が形成され、この下地保護膜16上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜17が形成されている。この半導体膜17の左右の領域には、ソース領域及びドレイン領域が高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域となっている。なお、図5においては、ソース領域、ドレイン領域及びチャネル領域の区別を省略している(以下にて同じである)。
このように、回路素子部12には、各陽極電極23に接続された駆動用の薄膜トランジスタ25がそれぞれ形成されている。
次に、図5に示した基板10Aを、バンク部形成工程(S2)に供する。この工程では、まず、第2層間絶縁膜21b上に無機物バンク層28aを形成する。この無機物バンク層28aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層28aの一部は陽極電極23の周縁部と重なるように形成される。
次の表面処理工程(S3)では、親液化処理及び撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層28aの第1積層部及び陽極電極23の電極面である。これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、陽極電極23であるITOの洗浄等も兼ねている。また、親液化処理は、有機物バンク層28bの壁面部及び有機物バンク層28bの上面部にも施される。例えば、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥水性に処理)される。
この表示装置基体10Bは、図3に示した(又はこれと同様の)液滴吐出装置のセットテーブル128に載置され、以下の正孔注入/輸送層(I)形成工程(S4)、発光層(I)形成工程(S5)及び電荷発生層形成工程(S6)が行われる。
正孔注入/輸送層形成工程(S4)では、図3に示す液滴吐出ヘッド122から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部29内に吐出する。その後、乾燥処理及び熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、陽極電極(電極面23a)23上に正孔注入/輸送層27aを形成する。
以上のようにして、図7に示す基板10Cを得る。
次に、発光層形成工程(S5)について説明する。
発光層は、図3に示すものと同様の吐出装置を用いて、発光層形成に用いる第2組成物を吐出して形成することができる。
ポリフェニレンビニレン前駆体、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H−(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン−10−カルボン酸と、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサンとの混合物などの緑色発光材料;
アルミニウムキノリノール錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウムと、2,3,6,7−テトラヒドロ−9−メチル−11−オキソ−1H,5H,11H−(1)ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジンとの混合物などの青色発光材料;等が挙げられる。
次に、電荷発生層(I)形成工程(S6)に移行する。
電荷発生層は、図11に示す液滴吐出ヘッド122bから、電荷発生層形成材料を含む組成物を発光層27b及びバンク部28上の所定位置に吐出し、その後、乾燥処理及び熱処理を行うことで形成することができる。
なお、これらのアリールアミン化合物はガラス転移点が90℃以上であるものが、素子の耐熱性の観点から望ましい。
本発明においては、その他、従来有機EL素子の作製に使用されている公知のものを適宜用いることができる。
次に、上記で得た基板10Eを用いて、前記バンク部の形成と同様にしてバンク部(II)31を形成し、前記正孔注入/輸送層(I)の形成と同様にして、電荷発生層30上に正孔注入/輸送層(II)32aを形成し(S7)、前記発光層(I)と同様にして、正孔注入/輸送層(II)32a上に発光層(II)32bを形成する(S8)。
以上のようにして、図12に示す基板10Fを得る。
最後に、陰極電極(対向電極)形成工程(S9)に移行する。
陰極電極形成工程(S9)では、発光層(II)32b及びバンク部(II)31の全面に陰極電極33(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極電極33は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とを積層して形成している。
これらの中でも、特に、配線電極として一般に広く使用されているアルミニウムが蒸着の容易さ、光反射率の高さ、化学的安定性等の観点から好ましい。
このようにすることにより、陰極、陽極の両電極を透明として(有機膜も電荷発生層も同様に透明であるから)透明な発光素子を作ることも出来るし、上述の一般的な有機EL素子の場合とは逆に、陽極を金属として陰極を透明電極とすることで、基板側にではなく成膜面側から光をとりだす構造とすることもできる。
以上のようにして、陰極電極33を形成して、図13に示す基板10Gを得る。
なお本実施形態では、陽極側から成膜を開始しているが、陰極側から成膜を開始することもできる。
本発明の表示装置は、本発明の製造方法により得られた積層型有機EL素子を備えることを特徴とする。
本発明の表示装置において、有機EL素子の配置位置、大きさなどは特に制限されず、、任意の位置に、所望の大きさのものを配置させることができる。
また、本発明の積層型有機EL素子は、電子ペーパとしても好適である。
Claims (13)
- 対向する透明陽極電極と陰極電極の間に、少なくとも一層の発光層を含み、かつ、少なくとも一層からなる電荷発生層によって仕切られた発光ユニットを複数個有する積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
開口部を有するバンク層を形成するバンク部形成工程と、
前記開口部内に前記発光層を形成する発光層形成工程と、
電荷発生層形成材料を含む組成物を吐出し前記電荷発生層の少なくとも一つを形成する電荷発生層形成工程と
を有し、
前記電荷発生層形成工程では、前記発光層及び前記バンク部上の所定位置に前記組成物を吐出し、前記電荷発生層が形成された後に、さらに、前記バンク部形成工程と前記発光層形成工程を行うことを特徴とする積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 1.0×102Ω・cm以上の比抵抗を有する電気絶縁層である電荷発生層を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 可視光の透過率が50%以上の層である電荷発生層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 異なる2種類の物質の積層体又は混合層からなり、該2種類の物質間で酸化還元反応によるラジカルカチオンとラジカルアニオンからなる電荷移動錯体が形成してなる電荷発生層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- (a)イオン化ポテンシャルが5.7eVより小さく、電子供与性を有する有機化合物と、(b)前記(a)の有機化合物と酸化還元反応による電荷移動錯体を形成しうる無機物質及び/若しくは有機物質とからなる積層体又は混合層からなり、前記(a)成分と(b)成分との間で酸化還元反応による電荷移動錯体が形成してなる電荷発生層を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記(b)成分の無機物質として、金属酸化物を用いることを特徴とする請求項5または6に記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記(b)成分の無機物質として、金属ハロゲン化物を用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記(b)成分の有機物質として、少なくとも1個のフッ素を置換基として有し、電子受容性を有する有機化合物を用いることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記(b)成分の有機物質として、少なくとも1個のシアノ基を置換基として有し、電子受容性を有する有機化合物を用いることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記発光ユニットを吐出により形成することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記発光ユニットが正孔注入/輸送層と前記発光層とからなり、前記正孔注入/輸送層および/または前記発光層を吐出により形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層型有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により得られる積層型有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする表示装置。
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