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JP3134338B2 - ディジタル音声信号符号化方法 - Google Patents

ディジタル音声信号符号化方法

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JP3134338B2
JP3134338B2 JP03092739A JP9273991A JP3134338B2 JP 3134338 B2 JP3134338 B2 JP 3134338B2 JP 03092739 A JP03092739 A JP 03092739A JP 9273991 A JP9273991 A JP 9273991A JP 3134338 B2 JP3134338 B2 JP 3134338B2
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block
signal
circuit
bits
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力ディジタル音声信
号を周波数領域及び時間領域で分割された各ブロック毎
に直交変換して得られた信号を各ブロック単位でビット
配分して符号化するようなディジタル音声信号符号化方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ信号等をビット圧縮して符号
化する技術の一つとして、時間軸上の入力ディジタル信
号を周波数軸上の信号に変換(いわゆる直交変換)して
符号化する直交変換符号化が知られている。この直交変
換としては、例えばオーディオPCMデータを時間軸方
向の一定ワード数(サンプル数)単位で高速フーリエ変
換(FFT)処理を行うようなものがある。
【0003】この直交変換に先立って、入力信号を複数
の周波数帯域に分割し、各帯域毎にそれぞれブロック化
して直交変換すると共に、直交変換された信号を各ブロ
ック単位でビット割当するような符号化技術が考えられ
ている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】ところで、エンコーダ側でFFT等の直交
変換が施された信号は、デコーダ側でIFFT(逆高速
フーリエ変換)が施される。このとき、一般に直交変換
の際の周波数分析精度を高くとると時間軸上での精度が
劣化する。これは特に、信号の始まり部分等の過渡部、
あるいは非定常部において、時間的に先立って信号が聞
こえるようないわゆるプリエコーという現象を起こし、
聴感上聞き苦しく、符号化品質に大きな影響を与えてい
る。
【0005】すなわち、図7の時間軸上のブロックB内
においては、無信号(あるいは微小レベル)部分Uに、
例えばカスタネットやトライアングル等の打音時のよう
な急激にレベルが増大する部分Cが存在する信号が示さ
れている。このブロックBの信号に対してFFT処理を
施し、デコーダ側でIFFT処理を施すと、図8に示す
ように上記無信号部分Uにも信号、すなわち量子化ノイ
ズが現れる。
【0006】ところで、一般に音に対する人間の聴覚特
性には、マスキング効果と称されるものがある。このマ
スキング効果には、大別して、テンポラルマスキング効
果と同時刻マスキング効果とがある。同時刻マスキング
効果とは、大きな音と同時に発生した小さな音が大きな
音によってマスクされて聞こえなくなるような効果であ
る。テンポラルマスキング効果とは、大きな音の時間的
に前後の小さな音が大きな音によってマスクされて聞こ
えなくなるような効果である。図9はこのテンポラルマ
スキング効果を説明するためのものであり、大きな音C
の時間的に後方のフォワードマスキングFMは、長時間
(例えば100msec 程度)に亘って効果が及ぶのに対し
て、大きな音Cの時間的に前方のバックワードマスキン
グBMの効果は短時間(例えば5msec程度)しか効かな
い。
【0007】このため、上記FFTの変換ブロック内の
時間的に後方部分で急激に信号レベルが上昇した場合に
は、IFFT後のブロック内の前方部分に比較的大きな
ノイズが現れ、耳障りになるという欠点がある。
【0008】本発明は、このような実情に鑑みて提案さ
れたものであり、入力音声信号をいくつかの帯域に分割
し各帯域毎にそれぞれ直交変換して適応的にビット割当
して符号化する符号化方法であって、マスキングによっ
てもマスクしきれない量子化ノイズを有効に低減し得る
ようなディジタル音声信号符号化方法の提供を目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るディジタル
音声信号符号化方法は、入力ディジタル音声信号を複数
の周波数帯域に分割し、分割された各帯域毎に時間軸方
向でブロック化して直交変換し、これらの直交変換され
たそれぞれのブロック毎に符号化ビット数を割り当てて
符号化を行うディジタル音声信号符号化方法であって、
上記ブロック毎に時間軸上の信号の過渡部を検出し、こ
の検出された過渡部の上記ブロック内における位置を求
め、この過渡部のブロック内の位置に応じて上記各ブロ
ック毎の割当ビット数を変更することにより、上述の課
題を解決する。
【0010】ここで、上記過渡性(あるいは非定常性)
については、特に、直交変換ブロックの後方でレベルが
急上昇したことを検出することが望ましい。
【0011】
【作用】上記過渡性、あるいは非定常性が検出されたブ
ロックについては、上記割当ビットを増やすことによ
り、量子化ノイズを低減し、いわゆるプリエコーの発生
を防止する。
【0012】
【実施例】図1は本発明の一実施例として、直交変換と
ブロックフローティングとを組み合わせたディジタル信
号符号化装置の一部構成を示している。図1に示す実施
例の高能率符号化装置では、入力ディジタル信号を複数
の周波数帯域に分割すると共に、高い周波数帯域ほどバ
ンド幅を広く選定し、各周波数帯域毎に直交変換を行っ
て、得られた周波数軸のスペクトルデータを、後述する
人間の聴覚特性を考慮したいわゆる臨界帯域幅(クリテ
ィカルバンド)毎に適応的にビット割当して符号化して
いる。これは、帯域分割符号化(SBC)、適応変換符
号化(ATC)及び適応ビット割当て(APC−AB)
の各技術を組み合わせた高能率符号化技術である。
【0013】すなわち、図1において、入力端子10に
は例えば0〜20kHzのオーディオPCM信号が供給さ
れている。この入力信号は、例えばいわゆるQMFフィ
ルタ等の帯域分割フィルタ11により0〜10kHz帯域
と10k〜20kHz帯域とに分割され、0〜10kHz帯
域の信号は同じくいわゆるQMFフィルタ等の帯域分割
フィルタ12により0〜5kHz帯域と5k〜10kHz帯
域とに分割される。帯域分割フィルタ11からの10k
〜20kHz帯域の信号は直交変換回路の一例である高速
フーリエ変換(FFT)回路13に送られ、帯域分割フ
ィルタ12からの5k〜10kHz帯域の信号はFFT回
路14に送られ、帯域分割フィルタ12からの0〜5k
Hz帯域の信号はFFT回路15に送られることにより、
それぞれFFT処理される。
【0014】ここで、各FFT回路13、14、15に
供給する各帯域毎のブロックについての標準的な入力信
号に対する具体例を図2に示す。この図2の具体例にお
いては、高域側ほど周波数帯域を広げると共に時間分解
能を高め(ブロック長を短くし)ている。すなわち、低
域側の0〜5kHz帯域の信号に対しては1ブロックBL
L を例えば1024サンプルとし、また中域の5k〜1
0kHz帯域の信号に対しては、上記低域側の長さTBL
ブロックBLL のそれぞれ半分の長さTBL/2のブロッ
クBLM1、BLM2でブロック化し、高域側の10k〜2
0kHz帯域の信号に対しては、上記低域側のブロックB
L のそれぞれ1/4の長さTBL/4のブロックB
H1、BLH2、BLH3及びBLH4でブロック化してい
る。なお、入力信号として0〜22kHzの帯域を考慮す
る場合には、低域が0〜5.5kHz、中域が5.5k〜
11kHz、高域が11k〜22kHzとなる。
【0015】再び図1において、各帯域分割フィルタ1
1、12から各FFT回路13、14、15に供給され
る各周波数帯域の時間軸上の信号は、過渡部検出回路1
7に送られている。この過渡部検出回路17において、
上記図2に示す各周波数帯域の各ブロック毎に、信号の
過渡部あるいは非定常部の検出が行われる。
【0016】各FFT回路13、14、15にてFFT
処理されて得られた周波数軸上のスペクトルデータある
いはFFT係数データは、いわゆる臨界帯域(クリティ
カルバンド)毎にまとめられて適応ビット割当符号化回
路18に送られている。このクリティカルバンドとは、
人間の聴覚特性を考慮して分割された周波数帯域であ
り、ある純音の周波数近傍の同じ強さの狭帯域バンドノ
イズによって当該純音がマスクされるときのそのノイズ
の持つ帯域のことである。このクリティカルバンドは、
高域ほど帯域幅が広くなっており、上記0〜20kHzの
全周波数帯域は例えば25のクリティカルバンドに分割
されている。
【0017】許容雑音算出回路20は、上記クリティカ
ルバンド毎に分割されたスペクトルデータに基づき、い
わゆるマスキング効果等を考慮した各クリティカルバン
ド毎の許容ノイズ量を求め、この許容ノイズ量と各クリ
ティカルバンド毎のエネルギあるいはピーク値等に基づ
いて、各クリティカルバンド毎に割当ビット数を求め
る。適応ビット割当符号化回路18により各クリティカ
ルバンド毎に割り当てられたビット数に応じて各スペク
トルデータ(あるいはFFT係数データ)を再量子化す
るようにしている。このようにして符号化されたデータ
は、出力端子19を介して取り出される。
【0018】ここで、上記許容雑音算出回路20には、
上記過渡部検出回路17からの検出出力が供給されてお
り、この過渡部検出出力に応じて、上記図2に示すブロ
ック毎に許容雑音が補正されることによって、適応ビッ
ト割当符号化回路18での各割当ビット数の増減変更が
行われるようになっている。この過渡部(非定常部)検
出動作及び割当ビット数の変更動作の一具体例について
以下に説明する。
【0019】上記図2の各ブロック毎の時間軸上の信号
データに関する過渡状態は、例えば各ブロックを4分割
し、各分割領域のエネルギ差や比率等に応じて検出する
ようにすればよい。すなわち、例えば1ブロック内のワ
ード数(サンプル数)としてx0 からx63までの64ワ
ード(64サンプル)が存在するとき、これを時間軸方
向で4分割して、x0 〜x15、x16〜x31、x32
47、x48〜x63とする。次に、これらの各分割領域の
サンプルについての2乗和を求め、それぞれP1
2 、P3 、P4 とする。例えばP1 はx0 2 +・・・
+x15 2 である。次に、以下のような条件式を満足する
か否かを順次判別して、過渡状態のモードを決定する。
すなわち例えば、 (P2 +P3 +P4 )/P1 <k1 のときモード0 (P2 +P3 +P4 )/P1 ≧k1 かつ (P3 +P4 )/P2
<k2 のときモード1 (P3 +P4 )/P2 ≧k2 かつP4 / P3 <k3 のとき
モード2 P4 / P3 ≧k3 のときモード3 ここで、k1 は例えば9、k2 は例えば6、k3 は例え
ば3、とすればよい。
【0020】これらの各モード0〜モード3の内、モー
ド0は略々定常状態であり、モードの番号が増える程、
信号レベルの立ち上がり部分がブロック内の後方に移る
ことになり、量子化ノイズによるプリエコーの影響が大
きくなる。すなわち、ブロック内の後方位置に信号の立
ち上がりがあると、前述したテンポラルマスキング効果
も期待できず、量子化ノイズが聴感上で耳障りとなるわ
けである。このことを考慮して、番号が大きいモードの
ブロック程、割当ビット数を増やすような変更あるいは
補正を施すのが好ましい。
【0021】先ず第1に、周波数軸上のマスキング効果
を考慮した1次ビット割当を行った後の余ったビットに
関して、上記モード1〜3のブロックには優先的にビッ
トを再配分することが挙げられる。この再配分には、モ
ード3、2、1の順に優先順位をつける。
【0022】第2に、上記モード3のような特に問題の
あるブロックについては、1次ビット割当の段階で割当
ビット数を多くとるようにするのも好ましい。すなわち
マスキングを用いた1次ビット割当の代わりに、聴感上
の最大S/Nがとれるような1次ビット割当を優先的に
行う。
【0023】第3に、上述のような1次ビット割当を行
った結果、ビット数が足りない場合には、上記モード0
のブロックの割当ビットを削るようにし、以下必要に応
じてモード1、2、3の順でビットを削るようにする。
【0024】第4に、モード1〜3のブロックに余りビ
ットを再配分する際には、S/Nが良くなるように、エ
ネルギの高いバンドにビットを割り当てるのが好まし
い。
【0025】以上説明したように、上記図2の各ブロッ
ク毎に信号の過渡状態を検出し、検出された過渡状態の
上記各モードに応じて割当ビット数を変更、補正あるい
は再配分することによって、上記プリエコーの影響が生
じ易いブロックのビット数を増加させてS/Nを改善す
る。
【0026】次に、図3は上記許容雑音算出回路20の
一具体例の概略構成を示すブロック回路図である。この
図3において、入力端子21には、上記各FFT回路1
3、14、15からの周波数軸上のスペクトルデータが
供給されている。このデータとしては、FFT演算をし
て得られるFFT係数データの実数成分と虚数成分とに
基づいて算出された振幅値と位相値との内の振幅値を用
いるようにしている。これは、一般に人間の聴覚は周波
数軸上の振幅(レベル、強度)には敏感であるが位相に
ついてはかなり鈍感であることを考慮したものである。
【0027】この周波数軸上の入力データは、帯域毎の
エネルギ算出回路22に送られて、上記クリティカルバ
ンド(臨界帯域)毎のエネルギが、例えば当該バンド内
での各振幅値の総和を計算すること等により求められ
る。この各バンド毎のエネルギの代わりに、振幅値のピ
ーク値、平均値等が用いられることもある。このエネル
ギ算出回路22からの出力として、例えば各バンドの総
和値のスペクトルは、一般にバークスペクトルと称され
ている。図4はこのような各クリティカルバンド毎のバ
ークスペクトルSBを示している。ただし、この図4で
は、図示を簡略化するため、上記クリティカルバンドの
バンド数を12バンド(B1 〜B12)で表現している。
【0028】ここで、上記バークスペクトルSBのいわ
ゆるマスキングに於ける影響を考慮するために、該バー
クスペクトルSBに所定の重み付け関数を掛けて加算す
るような畳込み(コンボリューション)処理を施す。こ
のため、上記帯域毎のエネルギ算出回路22の出力すな
わち該バークスペクトルSBの各値は、畳込みフィルタ
回路23に送られる。該畳込みフィルタ回路23は、例
えば、入力データを順次遅延させる複数の遅延素子と、
これら遅延素子からの出力にフィルタ係数(重み付け関
数)を乗算する複数の乗算器(例えば各バンドに対応す
る25個の乗算器)と、各乗算器出力の総和をとる総和
加算器とから構成されるものである。この畳込み処理に
より、図4中点線で示す部分の総和がとられる。なお、
上記マスキングとは、人間の聴覚上の特性により、ある
信号によって他の信号がマスクされて聞こえなくなる現
象をいうものであり、このマスキング効果には、時間軸
上のオーディオ信号による時間軸マスキング効果と、周
波数軸上の信号による同時刻マスキング効果とがある。
これらのマスキング効果により、マスキングされる部分
にノイズがあったとしても、このノイズは聞こえないこ
とになる。このため、実際のオーディオ信号では、この
マスキングされる範囲内のノイズは許容可能なノイズと
される。
【0029】ここで、上記畳込みフィルタ回路23の各
乗算器の乗算係数(フィルタ係数)の一具体例を示す
と、任意のバンドに対応する乗算器Mの係数を1とする
とき、乗算器M−1で係数0.15を、乗算器M−2で
係数0.0019を、乗算器M−3で係数0.0000
086を、乗算器M+1で係数0.4を、乗算器M+2
で係数0.06を、乗算器M+3で係数0.007を各
遅延素子の出力に乗算することにより、上記バークスペ
クトルSBの畳込み処理が行われる。ただし、Mは1〜
25の任意の整数である。
【0030】次に、上記畳込みフィルタ回路23の出力
は引算器24に送られる。該引算器24は、上記畳込ん
だ領域での後述する許容可能なノイズレベルに対応する
レベルαを求めるものである。なお、当該許容可能なノ
イズレベル(許容ノイズレベル)に対応するレベルα
は、後述するように、逆コンボリューション処理を行う
ことによって、クリティカルバンドの各バンド毎の許容
ノイズレベルとなるようなレベルである。ここで、上記
引算器24には、上記レベルαを求めるための許容関数
(マスキングレベルを表現する関数)が供給される。こ
の許容関数を増減させることで上記レベルαの制御を行
っている。当該許容関数は、次に説明するような(n−
ai)関数発生回路25から供給されているものであ
る。
【0031】すなわち、許容ノイズレベルに対応するレ
ベルαは、クリティカルバンドのバンドの低域から順に
与えられる番号をiとすると、次の(1)式で求めるこ
とができる。 α=S−(n−ai) ・・・(1) この(1)式において、n,aは定数でa>0、Sは畳
込み処理されたバークスペクトルの強度であり、(1)
式中(n-ai)が許容関数となる。本実施例ではn=38,
a=1としており、この時の音質劣化はなく、良好な符
号化が行えた。
【0032】このようにして、上記レベルαが求めら
れ、このデータは、割算器26に伝送される。当該割算
器26では、上記畳込みされた領域での上記レベルαを
逆コンボリューションするためのものである。したがっ
て、この逆コンボリューション処理を行うことにより、
上記レベルαからマスキングスペクトルが得られるよう
になる。すなわち、このマスキングスペクトルが許容ノ
イズスペクトルとなる。なお、上記逆コンボリューショ
ン処理は、複雑な演算を必要とするが、本実施例では簡
略化した割算器26を用いて逆コンボリューションを行
っている。
【0033】次に、上記マスキングスペクトルは、合成
回路27を介して減算器28に伝送される。ここで、当
該減算器28には、上記帯域毎のエネルギ検出回路22
からの出力、すなわち前述したバークスペクトルSB
が、遅延回路29を介して供給されている。したがっ
て、この減算器28で上記マスキングスペクトルとバー
クスペクトルSBとの減算演算が行われることで、図5
に示すように、上記バークスペクトルSBは、該マスキ
ングスペクトルMSのレベルで示すレベル以下がマスキ
ングされることになる。
【0034】当該減算器28からの出力は、許容雑音補
正回路30を介し、出力端子31を介して取り出され、
例えば割当てビット数情報が予め記憶されたROM等
(図示せず)に送られる。このROM等は、上記減算回
路28から許容雑音補正回路30を介して得られた出力
(上記各バンドのエネルギと上記ノイズレベル設定手段
の出力との差分のレベル)に応じ、各バンド毎の割当ビ
ット数情報を出力する。この割当ビット数情報が上記適
応ビット割当符号化回路18に送られることで、FFT
回路13、14、15からの周波数軸上の各スペクトル
データがそれぞれのバンド毎に割り当てられたビット数
で量子化されるわけである。
【0035】すなわち要約すれば、適応ビット割当符号
化回路18では、上記クリティカルバンドの各バンドの
エネルギと上記ノイズレベル設定手段の出力との差分の
レベルに応じて割当てられたビット数で上記各バンド毎
のスペクトルデータを量子化することになる。なお、遅
延回路29は上記合成回路27以前の各回路での遅延量
を考慮してエネルギ検出回路22からのバークスペクト
ルSBを遅延させるために設けられている。
【0036】ところで、上述した合成回路27での合成
の際には、最小可聴カーブ発生回路32から供給される
図6に示すような人間の聴覚特性であるいわゆる最小可
聴カーブRCを示すデータと、上記マスキングスペクト
ルMSとを合成することができる。この最小可聴カーブ
において、雑音絶対レベルがこの最小可聴カーブ以下な
らば該雑音は聞こえないことになる。この最小可聴カー
ブは、コーディングが同じであっても例えば再生時の再
生ボリュームの違いで異なるものとなが、現実的なディ
ジタルシステムでは、例えば16ビットダイナミックレ
ンジへの音楽のはいり方にはさほど違いがないので、例
えば4kHz付近の最も耳に聞こえやすい周波数帯域の量
子化雑音が聞こえないとすれば、他の周波数帯域ではこ
の最小可聴カーブのレベル以下の量子化雑音は聞こえな
いと考えられる。したがって、このように例えばシステ
ムの持つワードレングスの4kHz付近の雑音が聞こえな
い使い方をすると仮定し、この最小可聴カーブRCとマ
スキングスペクトルMSとを共に合成することで許容ノ
イズレベルを得るようにすると、この場合の許容ノイズ
レベルは、図6中の斜線で示す部分までとすることがで
きるようになる。なお、本実施例では、上記最小可聴カ
ーブの4kHzのレベルを、例えば20ビット相当の最低
レベルに合わせている。また、この図6は、信号スペク
トルSSも同時に示している。
【0037】また、上記許容雑音補正回路30では、補
正情報出力回路33から送られてくる情報に基づいて、
上記減算器28からの出力における許容雑音レベルを補
正している。この補正情報出力回路33は、上記過渡部
検出回路17からの上記図2の各ブロック単位で検出さ
れた過渡状態の上記各モード等に応じて、補正情報を出
力するものであり、上述したようなモードに応じたブロ
ック単位でのビット割当が補正されるように、上記減算
器28からの出力における許容雑音レベルが補正される
わけである。
【0038】すなわち、上記符号化回路18での量子化
の際の出力情報量(データ量)の検出出力と、最終符号
化データのビットレート目標値との間の誤差の情報に基
づいて、上記許容ノイズレベルを補正する。これは、全
てのビット割当単位ブロックに対して予め一時的な適応
ビット割当を行って得られた総ビット数が、最終的な符
号化出力データのビットレートによって定まる一定のビ
ット数(目標値)に対して誤差を持つことがあり、その
誤差分を0とするように再度ビット割当をするものであ
る。すなわち、目標値よりも総割当ビット数が少ないと
きには、差のビット数を各単位ブロックに割り振って付
加するようにし、目標値よりも総割当ビット数が多いと
きには、差のビット数を各単位ブロックに割り振って削
るようにするわけである。
【0039】このようなことを行うため、上記総割当ビ
ット数の上記目標値からの誤差を検出し、この誤差デー
タに応じて補正情報出力回路33が各割当ビット数を補
正するための補正データを出力する。ここで、上記誤差
データがビット数不足を示す場合は、上記単位ブロック
当たり多くのビット数が使われることで上記データ量が
上記目標値よりも多くなっている場合を考えることがで
きる。また、上記誤差データが、ビット数余りを示すデ
ータとなる場合は、上記単位ブロック当たり少ないビッ
ト数で済み、上記データ量が上記目標値よりも少なくな
っている場合を考えることができる。したがって、上記
補正情報出力回路33からは、この誤差データに応じ
て、上記減算器28からの出力における許容ノイズレベ
ルを、例えば上記過渡状態のモード情報に基づいて補正
させるための上記補正値のデータが出力されるようにな
る。上述のような補正値が、上記許容雑音補正回路30
に伝送されることで、上記減算器28からの許容ノイズ
レベルが補正される。
【0040】なお、補正情報出力回路33は、いわゆる
等ラウドネスカーブに基づいた補正情報を出力するよう
にもなっており、上記過渡状態の各モード及びこの等ラ
ウドネスカーブを考慮した補正情報により、上記減算器
28からの出力における許容雑音レベルを補正するよう
にしている。ここで、等ラウドネスカーブとは、人間の
聴覚特性に関する特性曲線であり、例えば1kHzの純音
と同じ大きさに聞こえる各周波数での音の音圧を求めて
曲線で結んだもので、ラウドネスの等感度曲線とも呼ば
れる。またこの等ラウドネス曲線は、図6に示した最小
可聴カーブRCと略同じ曲線を描くものである。この等
ラウドネス曲線においては、例えば4kHz付近では1k
Hzのところより音圧が8〜10dB下がっても1kHzと
同じ大きさに聞こえ、逆に、50kHz付近では1kHzで
の音圧よりも約15dB高くないと同じ大きさに聞こえ
ない。このため、上記最小可聴カーブのレベルを越えた
雑音(許容ノイズレベル)は、該等ラウドネス曲線に応
じたカーブで与えられる周波数特性を持つようにするの
が良いことがわかる。このようなことから、上記等ラウ
ドネス曲線を考慮して上記許容ノイズレベルを補正する
ことは、人間の聴覚特性に適合していることがわかる。
【0041】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
るものではなく、例えば、オーディオPCM信号のみな
らず、ディジタル音声(スピーチ)信号やディジタルビ
デオ信号等の信号処理装置にも適用可能である。また、
上述した最小可聴カーブの合成処理を行わない構成とし
てもよい。この場合には、最小可聴カーブ発生回路3
2、合成回路27が不要となり、上記引算器24からの
出力は、割算器26で逆コンボリューションされた後、
直ちに減算器28に伝送されることになる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るディジタル音声信号符号化
方法によれば、入力ディジタル音声信号を時間軸と周波
数軸との2次元的にそれぞれのブロック毎に符号化ビッ
ト数を割り当てて符号化を行う際に、上記ブロック毎に
時間軸上の信号の過渡部を検出し、この検出された過渡
部の上記ブロック内における位置を求め、この過渡部の
ブロック内の位置に応じて上記各ブロック毎の割当ビッ
ト数を変更することにより、量子化ノイズを低減し、い
わゆるプリエコーの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のディジタル信号符号化装置
の概略構成を示すブロック回路図である。
【図2】該実施例装置における分割帯域及び各帯域での
時間軸方向のブロック化の具体例を示す図である。
【図3】図1の装置の許容雑音算出回路20の具体例を
示すブロック回路図である。
【図4】バークスペクトルを示す図である。
【図5】マスキングスペクトルを示す図である。
【図6】最小可聴カーブ、マスキングスペクトルを合成
した図である。
【図7】直交変換の1ブロック内に過渡部が存在する信
号の一例を示す図である。
【図8】図7の信号をFFTし、IFFTした後の信号
を示す図である。
【図9】テンポラルマスキングを説明するための図であ
る。
【符号の説明】
11、12・・・・・・・・帯域分割フィルタ 13、14、15・・・・・・・・直交変換回路 17・・・・・・・・過渡部検出回路 18・・・・・・・・適応ビット割当符号化回路 20・・・・・・・・許容雑音算出回路 22・・・・・・・・帯域毎のエネルギ検出回路 23・・・・・・・・畳込みフィルタ回路 27・・・・・・・・合成回路 28・・・・・・・・減算器 30・・・・・・・・許容雑音補正回路 32・・・・・・・・最小可聴カーブ発生回路 33・・・・・・・・補正情報出力回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ディジタル音声信号を複数の周波数
    帯域に分割し、分割された各帯域毎に時間軸方向でブロ
    ック化して直交変換し、これらの直交変換されたそれぞ
    れのブロック毎に符号化ビット数を割り当てて符号化を
    行うディジタル音声信号符号化方法であって、 上記ブロック毎に時間軸上の信号の過渡部を検出し、 この検出された過渡部の上記ブロック内における位置を
    求め、 この過渡部のブロック内の位置に応じて上記各ブロック
    毎の割当ビット数を変更することを特徴とするディジタ
    ル音声信号符号化方法。
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