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JP3089692B2 - ディジタルデータの高能率符号化方法 - Google Patents

ディジタルデータの高能率符号化方法

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JP3089692B2
JP3089692B2 JP03091186A JP9118691A JP3089692B2 JP 3089692 B2 JP3089692 B2 JP 3089692B2 JP 03091186 A JP03091186 A JP 03091186A JP 9118691 A JP9118691 A JP 9118691A JP 3089692 B2 JP3089692 B2 JP 3089692B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力ディジタルデータ
の符号化を行うディジタルデータの高能率符号化方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーディオ, 音声等の信号の高能率符号
化においては、オーディオ,音声等の入力信号を時間軸
又は周波数軸で複数のチャンネルに分割すると共に、各
チャンネル毎のビット数を適応的に割当てるビットアロ
ケーシヨン(ビット割当て)による符号化技術がある。
例えば、オーディオ信号等の上記ビット割当てによる符
号化技術には、時間軸上のオーディオ信号等を複数の周
波数帯域に分割して符号化する帯域分割符号化(サブ・
バンド・コーディング:SBC)や、時間軸の信号を周
波数軸上の信号に変換(直交変換)して複数の周波数帯
域に分割し各帯域毎で適応的に符号化するいわゆる適応
変換符号化(ATC)、或いは、上記SBCといわゆる
適応予測符号化(APC)とを組み合わせ、時間軸の信
号を帯域分割して各帯域信号をベースバンド(低域)に
変換した後複数次の線形予測分析を行って予測符号化す
るいわゆる適応ビット割当て(APC−AB)等の符号
化技術がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記各種高能率符号化
の内の例えば上記適応変換符号化においては、時間軸上
のオーディオ信号等を、所定の時間ブロック毎に例えば
高速フーリエ変換(FFT)等の直交変換によって時間
軸に直交する軸(周波数軸)に変換し、その後複数の帯
域に分割して、これら分割された各帯域のFFT係数デ
ータを適応的なビット割り当てによって符号化してい
る。また、当該FFT係数データは、複素スペクトルの
実数部,虚数部で表現され、それぞれ同じビット数で符
号化されるようになっている。
【0004】しかし、上記高能率符号化においては、更
に圧縮効率を高めると共に、信号劣化も少なくすること
が望まれている。
【0005】そこで、本発明は、上述のような実情に鑑
みて提案されたものであり、より高いビット圧縮が可能
で信号劣化も少ないディジタルデータの高能率符号化方
法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のディジタルデー
タの高能率符号化方法は、上述の目的を達成するために
提案されたものであり、入力ディジタルデータを周波数
分析して振幅情報と位相情報とに変換し、上記振幅情報
と位相情報を符号化し、上記符号化の際には、上記周波
数分析出力のうちの所定帯域について、上記位相情報に
対して割り当てるビット数を、上記振幅情報に対して割
り当てるビット数よりも減らして符号化を行うと共に、
上記位相情報のビット数と振幅情報のビット数に関連付
けを与えてビット割り当て情報を少なくするようにした
ものである。ここで、上記振幅情報よりも位相情報のビ
ット数を減らす上記所定帯域は、例えば人間の聴覚特性
を考慮して高域とすることが好ましい。また、この所定
帯域を得る際の帯域の分割手法としては、人間の聴覚特
性を考慮したいわゆる臨界帯域(クリティカルバンド)
での分割とすることが望ましい。更に、上記各帯域毎
に、上記振幅情報に対する位相情報の低減されるビット
数を予め定めておけば、振幅情報と位相情報の符号化デ
ータと共に送る割当ビット数の情報をこれら振幅情報或
いは位相情報の割当ビット数の何れか一方の情報のみと
することができ、他方の割当ビット数情報を伝送しなく
て済むようになる。すなわち、一方の割当ビット数情報
から他方の割当ビット数情報を求めることができるた
め、当該他方の割当ビット数情報の分のビット数低減が
可能となる。また更に、この割当ビット数決定の際に
は、各帯域毎の上記振幅情報のエネルギからいわゆるマ
スキング量を求め、このマスキング量に基づく許容ノイ
ズレベルを用いて各帯域の割当ビット数を決定すること
も可能である。
【0007】
【作用】本発明によれば、人間の聴覚特性においては、
位相情報のための割当ビット数情報を振幅情報のための
割当ビット数情報より減らしても聴感上の悪影響は少な
く、この位相情報のための割当ビット数情報をへらすこ
とでビット圧縮率を高めることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について図面
を参照しながら説明する。本実施例のディジタルデータ
の高能率符号化装置は、図1に示すように、入力ディジ
タルデータを周波数分析して、振幅情報Amと位相情報
Phとに変換する周波数分析回路40と、上記振幅情報
Amを符号化する振幅情報符号化回路60及び位相情報
Phを符号化する位相情報符号化回路70とを有し、こ
れら符号化回路60,70での符号化の際には、上記周
波数分析回路40の出力のうちの所定帯域について、上
記位相情報Phに対して割り当てるビット数を、上記振
幅情報Amに対して割り当てるビット数よりも減らして
符号化を行うようにしたものである。
【0009】すなわち、この図1において、入力端子1
には例えばディジタルオーディオデータが供給されてお
り、このディジタルオーディオデータが上記周波数分析
回路40に送られる。この周波数分析回路40では後述
する高速フーリエ変換(FFT)等により、上記オーデ
ィオデータが振幅情報Amと位相情報Phとに変換され
る。この周波数分析回路40からの振幅情報Amは振幅
情報符号化回路60に送られ、上記位相情報Phは振幅
情報符号化回路60に送られ、これら符号化回路60,
70で符号化される。また、上記振幅情報Amは割当ビ
ット数計算回路50にも送られる。当該割当ビット数計
算回路50では、上記振幅情報Amに基づいて、後述す
るように振幅情報Amの符号化用の割当ビット数情報と
位相情報Phの符号化用の割当ビット数情報とが求めら
れ、これらが対応する符号化回路60,70に送られ
る。
【0010】ここで、上記割当ビット数計算回路50で
は、後述するように、上記振幅情報Amを人間の聴覚特
性を考慮したいわゆる臨界帯域(クリティカルバンド)
で分割し、これら各帯域毎の上記振幅情報Amのエネル
ギからいわゆるマスキング量を求め、このマスキング量
に基づく許容ノイズレベルを用いて各帯域毎の振幅情報
Amの符号化用及び位相情報Phの符号化用の割当ビッ
ト数を決定するようにしている。更に、この帯域毎の割
当ビット数決定の際には、人間の聴覚特性を考慮して上
記位相情報Phの割当ビット数を上記振幅情報Amの割
当ビット数よりも少なくするようにしている。すなわ
ち、人間の聴覚は、周波数領域の振幅(パワー)に対し
ては敏感であるが、位相についてはかなり鈍感であるた
め、本実施例では、上記位相情報Phの割当ビット数を
減らすようにしている。このように、位相情報Phの割
当ビット数を減らすことで、上記位相情報符号化回路7
0から出力される位相情報の符号化データのビット数が
低減されることになる。また、位相情報Phの割当ビッ
ト数を減らしても、人間の聴覚には音質劣化としては感
じられない。なお、上記割当ビット数決定等の処理等の
詳細は、後述する図2で説明する。
【0011】上記振幅情報符号化回路60からの振幅情
報Amが符号化されたデータは出力端子61を介して出
力され、上記位相情報符号化回路70からの位相情報P
hが符号化されたデータは出力端子71を介して出力さ
れる。また、上記割当ビット数計算回路50から出力さ
れる割当ビット数情報は、出力端子51を介して出力さ
れる。この割当ビット数情報を用いて、後述する図6の
復号化装置における振幅情報Amの符号化データと位相
情報Phの符号化データの復号化処理が行われる。
【0012】更に、上記割当ビット数計算回路50から
復号化装置に送られる割当ビット数情報は、位相情報P
hの割当ビット数情報と振幅情報Amの割当ビット数情
報とをそのまま送るようにすることも可能であるが、本
実施例では、この割当ビット数情報のビット数をも圧縮
して送るようにしている。すなわち、本実施例の割当ビ
ット数計算回路50においては、上記各帯域毎に、上記
振幅情報Amに対する位相情報Phの低減されるビット
数を予め定めている。例えば、上記所定帯域の高域(例
えば10kHz以上)の位相情報Phに対する割当ビッ
ト数を、上記振幅情報Amでの割当ビット数よりも例え
ば1ビット少なくするというように、予め位相情報Ph
と振幅情報Amそれぞれに対する割当ビット数を決めて
おく。このようにすれば、上記振幅情報Amと位相情報
Phの符号化データと共に送る上記割当ビット数の情報
を、これら振幅情報Am或いは位相情報Phの割当ビッ
ト数情報の何れか一方の情報のみとすることができ、他
方の割当ビット数情報を伝送しなくて済むようになる。
すなわち、後の復号化装置において上記予め定められた
ビット低減の条件を知らせておけば、該復号化装置は、
この一方の割当ビット数情報のみから他方の割当ビット
数情報を求めることができる。このため、当該他方の割
当ビット数情報の分のビット数の伝送が不要になり、割
当ビット数情報のためのビット数の低減が可能となる。
なお、この割当ビット数情報として伝送される情報を上
記位相情報Phのための割当ビット数情報とすれば、上
記振幅情報Amのための割当ビット数情報を伝送する場
合よりも、伝送ビット数を下げることができることにな
る。
【0013】この図1の各回路を、図2に示す本実施例
装置のより詳細なブロック回路図を用いて説明する。
【0014】すなわちこの図2において、入力端子1に
供給された時間軸上のディジタルオーディオデータが、
高速フーリエ変換回路11と振幅位相情報発生回路12
とからなる上記周波数分析回路40の当該高速フーリエ
変換回路11に伝送される。この高速フーリエ変換回路
11では、上記時間軸上のオーディオデータが単位時間
毎(単位ブロック)に周波数軸上のデータに変換され、
実数成分値Reと虚数成分値ImとからなるFFT係数
データが得られる。これらFFT係数データは振幅位相
情報発生回路12に伝送され、当該振幅位相情報発生回
路12では上記実数成分値Reと虚数成分値Imとから
振幅情報Amと位相情報Phとが得られて、これら振幅
情報Amと位相情報Phの情報が出力されるようにな
る。
【0015】このようにして得られた振幅情報Amと位
相情報Phの内の上記振幅情報Amは、上記割当ビット
数計算回路50に送られ、該振幅情報Amを用いて上記
振幅情報符号化回路60及び位相情報符号化回路70に
おける適応的な割当ビット数情報を求めるようにする。
すなわち、一般に人間の聴覚は周波数領域の振幅(パワ
ー)には敏感であるが、位相についてはかなり鈍感であ
るため、本実施例では上記振幅情報Amのみを用いて上
記割当ビット数情報を得るようにしている。
【0016】この割当ビット数計算回路50に送られた
上記振幅情報Amは、先ず帯域分割回路13に伝送され
る。該帯域分割回路13では、上記振幅情報Amで表現
された入力ディジタルデータをいわゆる臨界帯域幅(ク
リティカルバンド)に分割している。この臨界帯域幅と
は、人間の聴覚特性(周波数分析能力)を考慮したもの
であり、例えば0〜22kHzを25帯域に分け、高い
周波数帯域ほど帯域幅を広く選定しているものである。
すなわち人間の聴覚は、一種のバンドパスフィルタのよ
うな特性を有していて、この各フィルタによって分けら
れたバンドを臨界帯域と呼んでいる。
【0017】上記帯域分割回路13で臨界帯域に分割さ
れた各帯域毎の上記振幅情報Amは、各々上記総和検出
回路14に伝送される。この総和検出回路14では、各
帯域毎のエネルギ(各帯域でのスペクトル強度)が、各
帯域内のそれぞれの振幅情報Amの総和(振幅情報Am
のピーク又は平均或いはエネルギ総和)をとることによ
り求められる。該総和検出回路14の出力すなわち各帯
域の総和のスペクトルは、一般にバークスペクトルと呼
ばれ、この各帯域のバークスペクトルSBは例えば図3
に示すようになる。ただし、図3では図示を簡略化する
ため、上記クリティカルバンドのバンド数を12の帯域
(B1 〜B12)で表現している。
【0018】ここで、上記バークスペクトルSBのいわ
ゆるマスキングに於ける影響を考慮するため、該バーク
スペクトルSBに所定の重みづけの関数を畳込む(コン
ボリューション)。このため、上記総和検出回路14の
出力すなわち該バークスペクトルSBの各値は、フィル
タ回路15に送られる。該フィルタ回路15は、例え
ば、入力データを順次遅延させる複数の遅延素子と、こ
れら遅延素子からの出力にフィルタ係数(重みづけの関
数)を乗算する複数の乗算器(例えば各帯域に対応する
25個の乗算器)と、各乗算器出力の総和をとる総和加
算器とから構成されるものである。このフィルタ回路1
5の各乗算器において、例えば、任意の帯域に対応する
乗算器Mでフィルタ係数1を、乗算器M−1でフィルタ
係数0.15を、乗算器M−2でフィルタ係数0.00
19を、乗算器M−3でフィルタ係数0.000008
6を、乗算器M+1でフィルタ係数0.4を、乗算器M
+2でフィルタ係数0.06を、乗算器M+3でフィル
タ係数0.007を各遅延素子の出力に乗算することに
より、上記バークスペクトルSBの畳込み処理が行われ
る。ただし、Mは1〜25の任意の整数である。この畳
込み処理により、図3中点線で示す部分の総和がとられ
る。なお、上記マスキングとは、人間の聴覚上の特性に
より、ある信号によって他の信号がマスクされて聞こえ
なくなる現象をいうものであり、このマスキング効果に
は、時間軸上のオーディオ信号に対するマスキング効果
と周波数軸上の信号に対するマスキング効果とがある。
すなわち、該マスキング効果により、マスキングされる
部分にノイズがあったとしても、このノイズは聞こえな
いことになる。このため、実際のオーディオ信号では、
このマスキングされる部分内のノイズは許容可能なノイ
ズとされる。
【0019】その後、上記フィルタ回路15の出力は引
算器16に送られる。該引算器16は、上記畳込んだ領
域での後述する許容可能なノイズレベルに対応するレベ
ルαを求めるものである。なお、当該許容可能なノイズ
レベル(許容ノイズレベル)に対応するレベルαは、後
述するように、逆コンボリューション処理を行うことに
よって、臨界帯域の各帯域毎の許容ノイズレベルとなる
ようなレベルである。ここで、上記引算器16には、上
記レベルαを求めるための許容関数(マスキングレベル
を表現する関数)が供給される。この許容関数を増減さ
せることで上記レベルαの制御を行っている。当該許容
関数は、後述する関数発生回路29から供給されている
ものである。
【0020】すなわち、許容ノイズレベルに対応するレ
ベルαは、臨界帯域幅の帯域の低域から順に与えられる
番号をiとすると、次の式で求めることができる。 α=S−(n−ai) この式において、n,aは定数でa>0、Sは畳込み処
理されたバークスペクトルの強度であり、該式中(n−
ai)が許容関数となる。本実施例ではn=38,a=
1としており、この時の音質劣化はなく、良好な符号化
が行えた。
【0021】このようにして、上記レベルαが求めら
れ、このデータは、割算器17に伝送される。当該割算
器17では、上記畳込みされた領域での上記レベルαを
逆コンボリューションするためのものである。したがっ
て、この逆コンボリューション処理を行うことにより、
上記レベルαからマスキングスペクトルが得られるよう
になる。すなわち、このマスキングスペクトルが許容ノ
イズスペクトルとなる。なお、上記逆コンボリューショ
ン処理は、複雑な演算を必要とするが、本実施例では簡
略化した割算器17を用いて逆コンボリューションを行
っている。
【0022】次に、上記マスキングスペクトルは、合成
回路18を介して減算器19に伝送される。ここで、当
該減算器19には、上記総和検出回路14の出力すなわ
ち前述した総和検出回路14からのバークスペクトルS
Bが、遅延回路21を介して供給されている。したがっ
て、この減算器19で上記マスキングスペクトルとバー
クスペクトルSBとの減算演算が行われることで、図4
に示すように、上記バークスペクトルSBは、該マスキ
ングスペクトルMSのレベルで示すレベル以下がマスキ
ングされることになる。
【0023】当該減算器19の出力は、上記許容ノイズ
レベル補正回路20を介してROM30に送られる。該
ROM30には、上記振幅情報Am及び位相情報Phの
符号化に用いる複数の割当ビット数情報が格納されてお
り、上記減算回路19の出力(上記各帯域のエネルギと
上記ノイズレベル設定手段の出力との差分のレベル)に
応じた割当ビット数情報を出力するようになっている。
また、この時の割当ビット数は、上述したように、振幅
情報Amよりも位相情報Phが少なくされている。この
ROM30の出力が上記振幅情報符号化回路60及び位
相情報符号化回路70に供給されている。上記振幅情報
符号化回路60では、このROM30からの割当ビット
数で、遅延回路23を介して供給されている振幅情報A
mの符号化を行い、上記位相情報符号化回路70では遅
延回路24を介して供給されている位相情報Phの符号
化を行う。すなわち、換言すれば、これら符号化回路6
0,70では、上記臨界帯域幅の各帯域のエネルギと上
記許容ノイズレベルとの差分のレベルに応じて割当られ
たビット数で、かつ振幅情報Amよりも位相情報Phが
少ないビット数で上記各帯域の成分を符号化することに
なる。なお、遅延回路21は上記合成回路18以前の各
回路での遅延量を考慮して上記総和検出回路14からの
バークスペクトルSBを遅延させ、上記遅延回路23又
は24は上記ROM30以前の各回路での遅延量を考慮
して上記振幅情報Am又は位相情報Phを遅延させるた
めに設けられている。
【0024】また、上述した合成回路18での合成の際
には、最小可聴カーブ発生回路22から供給される図5
に示すような人間の聴覚特性であるいわゆる最小可聴カ
ーブRCを示すデータと、上記マスキングスペクトルM
Sとを合成することができる。この最小可聴カーブにお
いて、雑音絶対レベルがこの最小可聴カーブ以下ならば
該雑音は聞こえないことになる。更に、該最小可聴カー
ブは、コーディングが同じであっても例えば再生時の再
生ボリュームの違いで異なるものとなる。ただし、現実
的なディジタルシステムでは、例えば16ビットダイナ
ミックレンジへの音楽のはいり方にはさほど違いがない
ので、例えば4kHz付近の最も耳に聞こえやすい周波
数帯域の量子化雑音が聞こえないとすれば、他の周波数
帯域ではこの最小可聴カーブのレベル以下の量子化雑音
は聞こえないと考えられる。したがって、このように例
えばシステムの持つワードレングスの4kHz付近の雑
音が聞こえない使い方をすると仮定し、この最小可聴カ
ーブRCとマスキングスペクトルMSとを共に合成する
ことで許容ノイズレベルを得るようにすると、この場合
の許容ノイズレベルは、図中斜線で示す部分までとする
ことができるようになる。なお、本実施例では、上記最
小可聴カーブの4kHzのレベルを、例えば20ビット
相当の最低レベルに合わせている。また、この図5は、
信号スペクトルSSも同時に示している。
【0025】ここで、上記許容ノイズレベル補正回路2
0では、補正値決定回路28から送られてくるいわゆる
等ラウドネス曲線の情報に基づいて、上記減算器19か
らの許容ノイズレベルを補正している。すなわち、上記
補正値決定回路28からは、上記減算器19からの許容
ノイズレベルを、いわゆる等ラウドネス曲線の情報デー
タに基づいて補正させるための補正値データが出力さ
れ、この補正値データが上記許容ノイズレベル補正回路
20に伝送されることで、上記減算器19からの許容ノ
イズレベルの等ラウドネス曲線を考慮した補正がなされ
るようになる。なお、上記等ラウドネス曲線とは、人間
の聴覚特性に関するものであり、例えば1kHzの純音
と同じ大きさに聞こえる各周波数での音の音圧を求めて
曲線で結んだもので、ラウドネスの等感度曲線とも呼ば
れる。また、該等ラウドネス曲線は、図5に示した最小
可聴カーブRCと略同じ曲線を描くものである。該等ラ
ウドネス曲線においては、例えば4kHz付近では1k
Hzのところより音圧が8〜10dB下がっても1kH
zと同じ大きさに聞こえ、逆に50kHz付近では1k
Hzでの音圧よりも約15dB高くないと同じ大きさに
聞こえない。このため、上記最小可聴カーブのレベルを
越えた雑音(許容ノイズレベル)は、該等ラウドネス曲
線に応じたカーブで与えられる周波数特性を持つように
するのが良いことがわかる。このようなことから、上記
等ラウドネス曲線を考慮して上記許容ノイズレベルを補
正することは、人間の聴覚特性に適合していることがわ
かる。
【0026】なお、本実施例においては、上述した最小
可聴カーブの合成処理を行わない構成とすることもでき
る。すなわち、この場合には、最小可聴カーブ発生回路
22,合成回路18が不要となり、上記引算器16から
の出力は、割算器17で逆コンボリューションされた
後、すぐに減算器19に伝送されることになる。
【0027】上述したように、本実施例装置において
は、入力ディジタルデータを周波数分析して振幅情報A
mと位相情報Phとに変換し、上記振幅情報Amと位相
情報Phの符号化の際に、上記周波数分析回路40の出
力のうちの高域について、上記位相情報Phに対して割
り当てるビット数を、上記振幅情報Amに対して割り当
てるビット数よりも減らして符号化を行うようにしてい
るため、符号化データの圧縮が可能となる。また、上記
位相情報Phの割当ビット数情報を減らす帯域を、人間
の聴覚特性を考慮した臨界帯域の高域としているため、
聴感上の音質劣化が少なくても済む。更に、例えば、上
記各帯域毎に、上記振幅情報Amに対する位相情報Ph
のビット数の低減されるビット数を予め定めておけば、
振幅情報Amと位相情報Phの符号化データと共に送る
割当ビット数の情報をこれら振幅情報Amと位相情報P
hの何れか一方のみの割当ビット数情報とすることがで
き、他方の割当ビット数情報を伝送しなくて済むように
なり、割当ビット数情報を伝送するためのビット数を更
に低減することが可能となる。また更に、各帯域毎の上
記振幅情報Amのエネルギから求めたいわゆるマスキン
グ量に基づいた許容ノイズレベルを用いて各帯域の割当
ビット数を決定するようにもしているため、このことか
らも聴感上の劣化が少ないビット圧縮が可能となってい
る。
【0028】図6に、図1の符号化装置に対応する復号
化装置の概略構成のブロック回路図を示す。この復号化
装置においては、入力端子161を介した振幅情報Am
の符号化データ及び入力端子171を介した位相情報P
hの符号化データを、入力端子151を介した上記割当
ビット数情報に基づいて復号化処理するようになってい
る。上記入力端子161を介した振幅情報Amの符号化
データは、図1の振幅情報符号化回路60における符号
化処理に対応する復号化処理を行う振幅情報復号化回路
160に送られる。上記入力端子171を介した位相情
報Phの符号化データは、図1の位相情報符号化回路7
0における符号化処理に対応する復号化処理を行う位相
情報復号化回路170に送られる。また、上記入力端子
151を介した割当ビット数情報は、割当ビット数情報
復号化回路150で復号化された後、上記復号化回路1
60,170に送られる。したがって、これら復号化回
路160,170では、当該割当ビット数情報が復号化
された情報に基づいて復号化処理が行われる。これら復
号化回路160,170でそれぞれ復号化された振幅情
報Am及び位相情報Phは、上記周波数分析回路40で
の周波数分析処理とは逆の処理(例えば逆高速フーリエ
変換(IFFT)等)を行う逆変換回路140に送ら
れ、当該回路140からのオーディオデータが出力端子
101を介して出力される。
【0029】
【発明の効果】本発明のディジタルデータの高能率符号
化方法においては、入力ディジタルデータを周波数分析
して振幅情報と位相情報とに変換し、この振幅情報と位
相情報を符号化する際に、所定帯域について位相情報に
対して割り当てるビット数を、振幅情報に対して割り当
てるビット数よりも減らして符号化を行うと共に、位相
情報のビット数と振幅情報のビット数に関連付けを与え
てビット割り当て情報を少なくするようにしたことによ
り、ビット圧縮率を高めることができ、伝送ビットレー
トを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のディジタルデータの高能率
符号化装置の概略構成を示すブロック回路図である。
【図2】本実施例のディジタルデータの高能率符号化装
置のより詳細な構成を示すブロック回路図である。
【図3】バークスペクトルを示す図である。
【図4】マスキングスペクトルを示す図である。
【図5】最小可聴カーブ,マスキングスペクトルを合成
した図である。
【図6】本実施例符号化装置に対応する復号化装置の概
略構成を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
40・・・・周波数分析回路 50・・・・割当ビット数計算回路 60・・・・振幅情報符号化回路 70・・・・位相情報符号化回路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−205200(JP,A) 特表 平2−501507(JP,A) 「聴覚と音声」、社団法人電子通信学 会編、昭和51年8月、(株)コロナ社発 行、第10版、pp72〜73、”2.4.5 位相と音色の問題”、p419、”聴覚 の情報受け入れ能力の推定" (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03M 7/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ディジタルデータを周波数分析し
    て、振幅情報と位相情報とに変換し、 上記振幅情報と位相情報を符号化し、 上記符号化の際には、上記周波数分析出力のうちの所定
    帯域について、上記位相情報に対して割り当てるビット
    数を、上記振幅情報に対して割り当てるビット数よりも
    減らして符号化を行うと共に、上記位相情報のビット数
    と振幅情報のビット数に関連付けを与えてビット割り当
    て情報を少なくすることを特徴とするディジタルデータ
    の高能率符号化方法。
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「聴覚と音声」、社団法人電子通信学会編、昭和51年8月、(株)コロナ社発行、第10版、pp72〜73、"2.4.5 位相と音色の問題"、p419、"聴覚の情報受け入れ能力の推定"

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