JP3186412B2 - 情報符号化方法、情報復号化方法、及び情報伝送方法 - Google Patents
情報符号化方法、情報復号化方法、及び情報伝送方法Info
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Description
によって入力ディジタルデータの符号化を行い伝送、復
号化して再生信号を得る、ディジタルデータなどの情報
符号化方法、情報復号化方法、及び情報伝送方法に関す
るものである。
号の高能率符号化の手法には種々あるが、例えば、時間
軸の信号を所定時間単位でブロック化してこのブロック
毎の時間軸の信号を周波数軸上の信号に変換(スペクト
ル変換)して複数の周波数帯域に分割し、各帯域毎に符
号化するブロック化周波数帯域分割方式であるいわゆる
変換符号化や、時間軸上のオーディオ信号等をブロック
化しないで、複数の周波数帯域に分割して符号化する非
ブロック化周波数帯域分割方式であるいわゆる帯域分割
符号化(サブ・バンド・コーディング:SBC)等を挙
げることができる。また、上述の帯域分割符号化と変換
符号化とを組み合わせた高能率符号化の手法も考えられ
ており、この場合には、例えば、上記帯域分割符号化で
帯域分割を行った後、該各帯域毎の信号を周波数軸上の
信号にスペクトル変換し、このスペクトル変換された各
帯域毎に符号化が施される。
用いられる帯域分割用フィルタとしては、例えばQMF
などのフィルタがあり、このQMFのフィルタは、文献
「ディジタル・コーディング・オブ・スピーチ・イン・
サブバンズ」("Digital coding of speech in subband
s" R.E.Crochiere, Bell Syst.Tech. J., Vol.55,No.81
976) に述べられている。このQMFのフィルタは、帯
域を等バンド幅に2分割するものであり、当該フィルタ
においては上記分割した帯域を後に合成する際にいわゆ
るエリアシングが発生しないことが特徴となっている。
ア・フィルターズ −新しい帯域分割符号化技術」("Pol
yphase Quadrature filters -A new subband coding te
chnique", Joseph H. Rothweiler ICASSP 83, BOSTON)
には、等帯域幅のフィルタ分割手法が述べられている。
このポリフェイズ・クァドラチュア・フィルタにおいて
は、信号を等バンド幅の複数の帯域に分割する際に一度
に分割できることが特徴となっている。
例えば、入力オーディオ信号を所定単位時間(フレー
ム)でブロック化し、当該ブロック毎に離散フーリエ変
換(DFT)、離散コサイン変換(DCT)、モディフ
ァイド離散コサイン変換(MDCT)等を行うことで時
間軸を周波数軸に変換するようなスペクトル変換があ
る。なお、上記MDCTについては、文献「時間領域エ
リアシング・キャンセルを基礎とするフィルタ・バンク
設計を用いたサブバンド/変換符号化」("Subband/Tran
sform Coding Using Filter Bank Designs Based on Ti
me Domain AliasingCancellation," J.P.Princen A.B.B
radley, Univ. of Surrey Royal MelbourneInst. of Te
ch. ICASSP 1987)に述べられている。
って帯域毎に分割された信号を量子化することにより、
量子化雑音が発生する帯域を制御することができ、いわ
ゆるマスキング効果などの性質を利用して聴覚的により
高能率な符号化を行うことができる。また、ここで量子
化を行う前に、各帯域毎に、例えばその帯域における信
号成分の絶対値の最大値で正規化を行うようにすれば、
さらに高能率な符号化を行うことができる。
分を量子化する場合の周波数分割幅としては、例えば人
間の聴覚特性を考慮した帯域幅を用いることが多い。す
なわち、一般に高域ほど帯域幅が広くなるような臨界帯
域(クリティカルバンド)と呼ばれている帯域幅で、オ
ーディオ信号を複数(例えば25バント)の帯域に分割
することがある。また、この時の各帯域毎のデータを符
号化する際には、各帯域毎に所定のビット配分或いは、
各帯域毎に適応的なビット割当て(ビットアロケーショ
ン)による符号化が行われる。例えば、上記MDCT処
理されて得られた係数データを上記ビットアロケーショ
ンによって符号化する際には、上記各ブロック毎のMD
CT処理により得られる各帯域毎のMDCT係数データ
に対して、適応的な割当てビット数で符号化が行われる
ことになる。ビット割当手法としては、次の2手法が知
られている。
化」("Adaptive Transform Coding of Speech Signal
s", IEEE Transactions of Accoustics, Speech, and S
ignal Processing, vol.ASSP-25, No.4, August 1977
)では、各帯域毎の信号の大きさをもとに、ビット割
当を行っている。この方式では、量子化雑音スペクトル
が平坦となり、雑音エネルギー最小となるが、聴感覚的
にはマスキング効果が利用されていないために実際の雑
音感は最適ではない。
ディジタル・エンコーディング・オブ・パーセプチュア
ル・リクワイアメンツ・オブ・ジ・オーディトリィ・シ
ステム」("The critical band coder --digital encod
ing of the perceptual requirements of the auditory
system", M.A.Kransner MIT, ICASSP 1980)では、聴
覚マスキングを利用することで、各帯域毎に必要な信号
対雑音比を得て固定的なビット割当を行う手法が述べら
れている。しかしこの手法では、サイン波入力で特性を
測定する場合でも、ビット割当が固定的であるために特
性値がそれほど良い値とならない。
当に使用できる全ビットが、各小ブロック毎にあらかじ
め定められた固定ビット割当パターン分と、各ブロック
の信号の大きさに依存したビット配分を行う分に分割使
用され、その分割比を入力信号に関係する信号に依存さ
せ、前記信号のスペクトルが滑らかなほど前記固定ビッ
ト割当パターン分への分割比率を大きくする高能率符号
化装置が提案されている。
に、特定のスペクトルにエネルギーが集中する場合には
そのスペクトルを含むブロックに多くのビットを割り当
てる事により、全体の信号対雑音特性を著しく改善する
ことができる。一般に、急峻なスペクトル成分をもつ信
号に対して人間の聴覚は極めて敏感であるため、このよ
うな方法を用いる事により、信号対雑音特性を改善する
ことは、単に測定上の数値を向上させるばかりでなく、
聴感上、音質を改善するのに有効である。
くのやり方が提案されており、さらに聴覚に関するモデ
ルが精緻化され、符号化装置の能力があがれば聴覚的に
みてより高能率な符号化が可能になる。
る方法として上述のDFTやDCTを使用した場合に
は、M個のサンプルからなる時間ブロックで変換を行う
とM個の独立な実数データが得られる。時間ブロック間
の接続歪みを軽減するために、通常、両隣のブロックと
それぞれM1 個のサンプルずつオーバーラップさせるの
で、平均して、DFTやDCTでは(M−M1 )個のサ
ンプルに対してM個の実数データを量子化して符号化す
ることになる。
して上述のMDCTを使用した場合には、両隣の時間と
N個ずつオーバーラップさせた2M個のサンプルから、
独立なM個の実数データが得られるので平均して、MD
CTではM個のサンプルに対してM個の実数データを量
子化して符号化することになる。復号化装置において
は、このようにしてMDCTを用いて得られた符号から
各ブロックにおいて逆変換を施して得られた波形要素を
互いに干渉させながら加え合わせることにより、波形信
号を再構成することができる。
ることによって、スペクトルの周波数分解能が高まり特
定のスペクトル成分にエネルギーが集中する。したがっ
て、両隣のブロックと半分ずつオーバーラップさせて長
いブロック長で変換を行い、しかも得られたスペクトル
信号の個数が、元の時間サンプルの個数に対して増加し
ないMDCTを使用することにより、DFTやDCTを
使用した場合よりも効率の良い符号化を行うことが可能
となる。また、隣接するブロック同士に十分長いオーバ
ーラップを持たせることによって、波形信号のブロック
間歪みを軽減することもできる。
分解し、その周波数成分を量子化して符号化する方法を
用いると、その周波数成分を復号化して合成して得られ
た波形信号にも量子化雑音が発生するが、もし、元々の
信号成分が急激に変化する場合には、波形信号上の量子
化雑音は必ずしも元の信号波形が大きくない部分でも大
きくなってしまい、この量子化雑音が同時マスキングに
よって隠蔽されないため聴感上の障害になる。音が急激
に大きくなるアタック部でこのようにして発生する量子
化雑音はプリエコーと呼ばれる。
波数成分に分解した場合には、時間分解能が悪くなり、
長い期間にわたってプリエコーが発生してしまう。
使用した場合のプリエコーの発生の動作原理について、
図7を参照しながら説明する。
ドウ関数を用いて、入力波形信号SWに順スペクトル変
換を施したスペクトル信号に量子化雑音QNが加わった
場合に、この量子化雑音が加わったスペクトル信号に逆
スペクトル変換を施して再び時間軸上の波形信号に戻す
と、その量子化雑音は変換ブロック全体に拡がってしま
う。ここで、入力信号波形が(B)のように変換ブロッ
クの途中で急激に大きくなった場合には、元の信号波形
が小さい区間においては、量子化雑音QNが信号波形S
Wに対して大きくなってしまうため、同時マスキングが
効かず、プリエコーとして聴感上の障害になる。
れば上記の量子化雑音の発生期間も短くなるが、そうす
ると周波数分解能が悪くなり、準定常的な部分における
符号化効率が悪くなってしまう。このような問題を解決
する手段として、信号波形が急激に変化する部分におい
てのみ周波数分解能を犠牲にして変換長を短くする、と
いう方法が提案されている。
の障害を軽減するために考案された従来技術の一例につ
いて説明するための図である。一般に、準定常的な信号
波形に対しては、変換ブロック長を長くした方が特定の
スペクトル係数に対してエネルギーが集中するので符号
化効率は高くなるが、音の大きさが急激に変化する部分
では変換ブロック長が長いと上述のプリエコーが問題に
なる。
分、例えば図8の(B)に示すような入力信号波形SW
の振幅が急激に大きくなるところでは、図8の(A)に
示すように、変換ブロック長を短くするような短変換窓
関数あるいは短変換ウィンドウ関数を掛けるようにし、
これによって上記プリエコーの発生期間を十分短くすれ
ば、元の信号によるいわゆる逆向マスキングが効き、聴
感上の障害が無くなる。図8の方法ではこのことを利用
して信号波形の各部分の性質に応じて変換ブロック長を
選択的に切り替えている。
周波数分解能が確保されると共に、アタック部における
プリエコーも発生期間が十分に短くなりいわゆる逆向マ
スキングにより隠蔽されるため、効率の良い符号化が可
能となる。
法では、異なる長さの変換に対応した変換手段を符号化
装置、符号化装置に設ける必要がある。さらにこの方法
では、変換によって得られるスペクトル成分の数は変換
長の長さに比例するため、各スペクトル成分が対応する
周波数帯域も変換長によって異なり、複数のスペクトル
を、例えば臨界帯域幅毎にまとめて符号化しようとした
場合に、各臨界帯域に含まれるスペクトルの数も異なっ
てしまい、符号化、復号化の処理が煩雑になってしま
う。このように、変換長を可変にするやり方では、符号
化装置、復号化装置とも複雑なものになってしまう、と
いう欠点がある。
まで上記プリエコーの問題を解決するための方法とし
て、特開平3−132228号公報には、入力された波
形信号に対して適応ゲイン制御を行った後、DFTやD
CTを用いてスペクトル信号に変換して符号化を行う方
法が述べられている。ここでゲイン制御とは、パワーレ
ベルの小さいところではそのゲインを大きく(振幅を増
幅)することである。
トル信号への変換を行う前に、アタック部ではゲインを
急激に下げたゲイン制御を行い、アタック部以外では減
衰に応じてそのゲインを再び上げて行くようゲイン制御
を行っており、復号化装置は、逆スペクトル変換して得
られた信号波形に対してゲイン制御を補正する逆ゲイン
制御を施した信号を出力する。このようにすると、マス
キング・レベルが低くなる小振幅の信号部分における量
子化雑音が抑圧される。また、変換長を常に一定にする
ことができるため、符号化装置、復号化装置の構成を簡
単にすることができる。
時にもゲイン制御を行う必要がある。一般にゲイン制御
を行うことは元の信号波形を歪ませることになるので、
スペクトルに変換した場合にエネルギーの分布が分散さ
れ、効率的な符号化を行うことが困難になる。特に信号
の減衰時には、前の音が後に発生した音をマスクする順
向マスキングが有効に作用するため、量子化雑音の発生
を時間的に制御するよりも雑音レベルそのものを下げる
ことが重要である。また、常にゲイン制御の処理を行う
ことは、演算処理量の面から見ても好ましくない。
コーを防止する他の方法として、例えば特開昭61−2
01526号公報や特開昭63−7023号公報に示す
ような技術が知られている。これらの公報には、符号化
装置において、入力信号波形を時間ブロック毎に切り出
してウィンドウを掛けた後、アタック部を検出し、アタ
ック部直前の小振幅の波形を増幅してからDFTやDC
Tを用いてスペクトル信号に変換して符号化し、復号化
装置においては、復元されたスペクトル信号に逆DFT
(Inverse DFT:IDFT)や逆DCT(Inverse D
CT:IDCT)等の逆変換を施してから符号化装置で
アタック部直前の信号を増幅したことを補正する処理を
施すことにより、プリエコーを防止する方法が提案され
ている。この場合も、変換長を常に一定にでき、符号化
装置、復号化装置の構成を簡単にすることができる。
26号公報や特開昭63−7023号公報において示さ
れているウィンドウ化処理技術を用いた符号化復号化に
ついての動作原理を説明したものであり、図10及び図
11は、この技術を用いた符号化装置及び復号化装置の
処理の流れを示したものである。
の(A)に示すような信号波形が入力されており、ウィ
ンドウ回路401においては、時間的に順次連続しかつ
相互に重畳する時間窓を設定し時間波形信号を切り出す
ように、図9の(B)に示すウィンドウ関数(上記特開
昭61−201526号公報で言う特性カーブ)が掛け
合わされる。アタック部検出回路402は、入力信号の
振幅が急激に大きくなる箇所(アタック部)を検出す
る。ゲイン制御回路403においては、もしアタック部
が検出された場合には微小振幅部分を増幅するように処
理を行い、またアタック部が検出されなかった場合には
増幅処理を行わない。ゲイン制御回路403からの出力
は、順スペクトル変換回路404に送られてDFT、D
CT等によりスペクトル信号に変換される。こうして得
られたスペクトル信号は、正規化・量子化回路405に
て正規化および量子化された後、符号化回路406によ
って符号化され、出力端子407より符号列として取り
出される。
は、入力端子410に供給された符号列信号に対して、
復号化回路411にて上記符号化回路406での符号化
の逆の復号化が施され、逆正規化・逆量子化回路412
に送られる。逆正規化・逆量子化回路412からの出力
は、逆スペクトル変換回路413でIDFTやIDCT
等により時間領域への逆変換が行われた後に、ゲイン制
御補正回路414に送られて、上記符号化装置で施され
たゲイン制御処理を補正する処理が施される。ゲイン制
御補正回路414からの出力は、隣接ブロック合成回路
415に送られて隣接ブロックとの合成がなされ、出力
端子416を介して取り出される。
数が施された後、変形された波形信号に対してアタック
部の検出処理が行われるので、ブロックの両端において
は大振幅の部分も緩和されてしまい、例えば図9に示す
ように、ブロックBL1においては、アタック部が検出
されず、次のブロックBL2においてのみアタック部が
検出されることが生じ得るが、スペクトル変換として上
記DFTやDCTを用いた場合には、順スペクトル変換
を施して得られたスペクトルに対して逆スペクトル変換
を施せば元の時系列ブロックが完全に復元されるため、
復号化装置においてブロック毎にゲイン制御の補正処理
を施せば問題は生じない。
資料の中で具体的なゲイン制御量として示されているも
のは、その値が比較的小さく、例えば、上述の特開昭6
1−201526号、特開昭63−7023号公報に記
載のものでは、アタック部検出のための連続するサブブ
ロック間で20dB以上の差が有った時にゲイン制御を
行うものとしている。その具体例で示されているものに
おいて、ゲイン制御量が5すなわちアタック部直前の振
幅を5倍にしたものであるプリエコーは量子化雑音であ
るため、圧縮率が上がるにつれてより大きな聴感上の障
害となるが、圧縮率が高くなって例えば、44.1kH
z,16ビットでサンプリングされた20kHzのオー
ディオ信号を符号化して1チャネルあたり64キロビッ
ト/秒以下にしようとした場合に、ゲイン制御量が数倍
程度では、例えばカスタネット等の非常にアタックの強
い音楽信号に対してプリエコーによる音質劣化を回避す
ることはできなかった。
たものであり、アタック部の振幅変化の度合に応じたゲ
イン制御を可能とし、より効率的でより音質の高い符号
化、復号化、及び伝送が行え、構成も簡単で、圧縮率が
高い場合であっても効果的にプリエコー防止が行えるよ
うな情報符号化方法、情報復号化方法、及び情報伝送方
法の提供を目的とするものである。
情に鑑みてなされたものであり、本発明の情報符号化方
法は、入力信号を周波数成分に分解する周波数成分分解
処理と、周波数成分分解処理への入力波形信号のゲイン
制御処理と、周波数成分分解処理の出力情報及びゲイン
制御の制御情報の符号化処理とを行う情報符号化装置に
おいて、ゲイン制御処理は、波形信号が所定の基準値以
上に急激に大きくなる部分で所定のゲイン制御処理を行
い、波形信号の減衰時に順向マスキングが有効となる部
分ではゲイン制御処理を行わないことを特徴とするもの
である。
成分信号及びゲイン制御補正情報の復号化処理と、波形
信号を合成する波形信号合成処理と、波形信号合成処理
の出力波形信号のゲイン制御補正処理とを行う情報復号
化方法において、ゲイン制御補正処理は、波形信号が所
定の基準値以上に急激に大きくなる部分で所定のゲイン
制御補正処理を行い、波形信号の減衰時に順向マスキン
グが有効となる部分ではゲイン制御補正処理を行わない
ことを特徴とするものである。
成分信号情報及びゲイン制御補正情報が伝送され、ゲイ
ン制御補正情報は、波形信号が所定の基準値以上に急激
に大きくなる部分でのゲイン制御補正処理のゲイン制御
補正量の情報を含み、波形信号の減衰時に順向マスキン
グが有効となる部分でのゲイン制御補正処理のゲイン制
御補正量を含まないことを特徴とするものである。
分分解処理は、時間軸上の信号を周波数軸上の信号に変
換するスペクトル変換処理を含む。また、入力信号は音
響信号である。
に急激に大きくなる部分で所定のゲイン制御処理を行
い、波形信号の減衰時に順向マスキングが有効となる部
分ではゲイン制御処理を行わないことにより、圧縮率の
高い場合にも効果的にプリエコーを防止し、より効率的
でより音質の高い符号化、復号化、伝送を可能としてい
る。
面を参照にしながら説明する。
る符号化装置の実施例のブロック回路図を示したもので
ある。この図1において、入力端子100を介して符号
化装置に入力されたオーディオ信号は、帯域分割回路1
01によって帯域分割される。この帯域分割回路101
における帯域分割手段としては、前述したQMF等のフ
ィルタによる分割手段を用いても、また、MDCT等の
スペクトル変換によって得られたスペクトルを帯域毎に
グループ化するという手段を用いてもよい。また、一
旦、フィルタによって幾つかの帯域に分割されたものに
対してスペクトル変換を行ない、これによって得られた
スペクトルを帯域毎にグループ化するという手段を用い
てもよい。さらに、この帯域分割による各帯域の幅は均
一であっても、例えば臨界帯域幅に合わせるように不均
一にとっても良い。なお、図1の例では四つの帯域に分
割されているが、もちろんこの数はさらに多くしても、
或いは少なくしてもよい。
された信号は、ある時間ブロック毎に各帯域に対応する
正規化回路111,112,113,114によって正
規化が施され、ここでそれぞれ正規化係数と被正規化信
号に分解される。それぞれの被正規化信号は、それぞれ
量子化精度決定回路141の出力である量子化精度情報
に基づいて量子化回路121,122,123、124
によって量子化され、ここで被正規化・量子化信号へと
変換される。なお、図1においては、上記量子化精度決
定回路141からの各量子化回路121,122,12
3,124への量子化精度情報のうち、上記量子化回路
122へ送られる量子化精度情報は端子152を介し、
上記量子化回路123へ送られる量子化精度情報は端子
153を介し、上記量子化回路124へ送られる量子化
精度情報は端子154を介してそれぞれ対応する回路に
送られる。
124からの各被正規化・量子化信号と、上記正規化回
路111,112,113,114からの各正規化係数
と、上記量子化精度決定回路141からの各量子化精度
情報とは、マルチプレクサ131によって、順次符号列
とされ、この符号列が端子103から出力される。この
符号列は、その後、ディスク状やテープ状あるいは半導
体などの記録媒体に記録され、または伝送系から送信さ
れる。
精度決定回路141は上記帯域分割回路101によって
帯域分割された各信号に基づいて上記量子化精度を計算
しているが、帯域分割前の端子100を介した信号から
計算することも可能であり、また、各正規化回路11
1,112,113,114からの正規化係数に基づい
て計算することも可能である。さらに、当該量子化精度
決定回路141での計算は、マスキング効果等の聴覚現
象に基づいて行なうことができるものであり、上記各量
子化精度情報は上述したようにマルチプレクサ131を
介して出力されて後に復号化装置に送られるものであ
る。このため、復号化装置で使われる聴覚モデルは任意
に設定することができることになる。
用される図1の符号化装置に対応する復号化装置の実施
例のブロック回路図を示したものである。この図2にお
いて、本実施例の復号化装置の端子201に入力された
符号情報(前記符号列)は、デマルチプレクサ202に
送られ、ここで各帯域毎の量子化精度情報と、正規化係
数と、被正規化・量子化信号とに分離復元される。各帯
域毎の量子化精度情報、正規化係数、被正規化・量子化
信号は、それぞれ各帯域に対応する信号成分構成回路2
11,212,213,214に送られ、ここで各帯域
毎に信号成分が構成される。これら各信号成分構成回路
211,212,213,214からの信号成分は、帯
域合成回路221によって合成されてオーディオ信号と
なされて端子251から出力される。
場合のウィンドウ化処理時のゲイン制御動作について説
明するための図である。
ている方法では、特にゲイン制御量の最大値が20dB
程度に設定されていると、例えば、カスタネットの音の
ように、全帯域或いは高域において、数m秒の短い期間
に波形信号が40dB以上変化するような場合には、例
えば、44.1kHz,16ビットでサンプリングされ
た20kHzのオーディオ信号を符号化して1チャネル
あたり64キロビット/秒以下にしようとしても、ゲイ
ン制御によってはプリエコーを十分に抑えることはでき
ない。
タック部における振幅変化の度合いに応じてゲイン制御
量を変化させ、その振幅変化が大きい場合には、40d
B以上のゲイン制御を行うことによって、この問題を解
決している。すなわち、本発明の方法では、図3に示す
ように信号波形SW1に対しては、ゲイン制御量が比較
的小さいゲイン制御関数G1を適用してゲイン制御、ゲ
イン制御補正の処理を行い、信号波形SW2に対して
は、ゲイン制御量が比較的大きいゲイン制御関数G2を
適用してゲイン制御、ゲイン制御補正の処理を行う。た
だし、ここで、信号波形SW2においては、このアタッ
ク部で40dB程度の振幅変化が生じており、ゲイン制
御関数G2のゲイン制御量であるR2の値は図3のスケ
ールからは読み取れないが、40dB程度である。
とは周波数領域でのエネルギの拡散による符号化効率の
低下を招き、音質劣化を生じさせることになるが、ゲイ
ン制御量の上限を70dB以内に押さえることにより、
44.1kHz、16ビットでサンプリングされた20
kHzのオーディオ信号を符号化して1チャネルあたり
128キロビット/秒以下にする場合に、このような周
波数領域でのエネルギの拡散による符号化効率の低下に
よる音質劣化とプリエコーによる音質劣化の双方を、効
果的に抑制することができる。
場合のそれぞれの量子化雑音の発生の仕方を示したもの
である。この図3の(C)に示されているように、信号
波形SW1の量子化雑音のアタック部以前の量子化雑音
は、ゲイン制御補正処理による雑音抑圧作用が比較的小
さいため、信号波形SW2の量子化雑音のアタック部以
前の量子化雑音に比較して大きいが、全体を通しての量
子化雑音のエネルギは小さくなっている。これに対し
て、信号波形SW2に対する全体を通しての量子化雑音
のエネルギは比較的大きいが、アタック部以前の量子化
雑音は十分に低く押さえられている。プリエコーは聴感
上の大きな障害となるため、このように全体の雑音エネ
ルギを低下させることに優先させて抑圧させることが望
ましい。
号の符号化に適用する場合に、アタック部を検出してゲ
イン制御関数を生成させる処理の流れの例を示したもの
である。例えば、この処理を、前記図10の符号化装置
のアタック部検出回路402に相当する処理に組み込む
ことによって、本発明の符号化方法を実現することがで
きる。
ロックをN個のサブブロックに分割し、I番サブブロッ
クにおける最大振幅値P[I] を、I番サブブロックまで
の連続するK個のサブブロックにおける最大振幅値Q
[I] と比較し、それが所定の比率以上になっている場合
にはアタック部が検出されたものとしている。また、最
終的に滑らかな過渡部をもつゲイン制御関数を構成し
て、スペクトルに変換した場合のエネルギーの拡散を防
いでいる。
いては、1ブロックをN分割したサブブロックの内のI
番サブブロックまでの連続するK個のサブブロック、す
なわちI−K+1番サブブロックからI番サブブロック
までの最大振幅値Q[I] を求め、ステップS2では、I
番サブブロックにおける最大振幅値P[I] を求めてい
る。次のステップS3では、I=0とし、ステップS4
において、上記ゲイン制御量としてのRを、I番までの
K個のサブブロックの最大振幅Q[I] の、その直後のサ
ブブロックの最大振幅P[I+1] に対する比率で求めてい
る。次のステップS5のTは所定の閾値であり、上記R
がTより大きい場合に、アタック部が検出されたものと
して、ステップS9に進んでいる。NOのときにはステ
ップS6に進み、Iをインクリメントして、ステップS
7でIがブロック終端のサブブロック番号Nに達したか
否かを判別し、I=NとなるまでステップS4以降を繰
り返している。ステップS7でYESと判別されたとき
には、ステップS8でL=0、すなわちアタック無しと
し、R=1として、ステップS10に進む。上記ステッ
プS5でYES、すなわちアタックが見つかったときに
は、ステップS9に進んで、L=Iとし、Rには上記ス
テップS4で求められたRの値の整数値を代入する。す
なわち、このブロックにおけるアタック部以前の長さは
サブブロックL個分であると解釈され、この時のRの値
がゲイン制御量を表す。ステップS9の処理を終えて、
ステップS10に進む。
のサブブロックのゲイン制御関数をRとし、残りを1に
すると共に、最終的に滑らかな過渡部を持つように補間
処理を行った後、処理を終了している。すなわち、この
ステップS10において、LとRの値に基づいてゲイン
制御関数g(n) が構成されるが、アタック部直前のサブ
ブロックでは関数値が滑らかに補間する。これは周波数
領域に変換した場合にエネルギー分布の拡散を防ぎ、効
率の良い符号化を可能にするためである。
信号のレベルに応じて変化させることにより、圧縮率の
高い場合にも効果的にプリエコーを防止することができ
るという利点がある。
部の直前でのみ増幅されるようになされているが、これ
は既に説明したように、特に順向マスキングの効果を利
用したものである。ただしもちろん、減衰時に小振幅部
分で増幅がされるようにゲイン制御をすることも可能で
あり、例えばスペクトル変換のブロック長が極端に長
く、順向マスキング効果が十分期待できないような場合
には、減衰時に小振幅部分で増幅するようにしても良
い。また、検出するアタック部の数は、一つのブロック
に対して必ずしも一つである必要は無い。
変化するものを使用すると、スペクトルに変換した場合
に、そのエネルギーが拡散してしまい、符号化の効率が
落ちる。そのため制御関数は、アタック部においてもあ
る程度滑らかに変化するような形状を持つことが望まし
い。ただし、その区間は十分に短くなければプリエコー
が聞こえてしまうので、人間の聴覚を考慮して、ゲイン
制御関数は1msec程度の過渡区間を持ち、その区間内で
例えばサイン波形状のように滑らかな変化をさせること
が望ましい。次ブロックの先頭にアタックが生じる場合
に備えて、アタック部の検出範囲を次ブロックの先頭の
サブブロックまで広げておくことによって、ゲイン制御
関数に滑らかな過渡部を持たせながら、上述の逆変換時
に隣接するブロック間で波形要素を干渉させることがで
きるための条件を充足させることが可能である。
ディジタル信号に変換したものを処理する装置に適用す
ることも可能であるし、また、一旦ファイルになってい
る波形信号をコンピュータ等で処理する場合に適用する
こともできる。また、このようにして得られた符号を記
録媒体に記録することも伝送することももちろん可能で
ある。また本発明は、つねに一定のビットレートで符号
化を行う場合にも、割り当てられるビット数がブロック
毎に異なるように時間的に変化するビットレートで符号
化を行う場合にも適用することが可能である。
てディジタル化された波形信号を直接スペクトル変換を
使ってスペクトル信号に変換する場合について述べた
が、もちろん、一旦帯域分割フィルタを使用して分割さ
れた帯域毎にスペクトル変換を使ってスペクトル信号に
変換する場合についても本発明の方法を適用することが
できる。
た情報を記録媒体に記録するときの記録フォーマットあ
るいは伝送するときの伝送フォーマットの例について示
したものである。
符号は、各ブロックの符号は、アタック部検出フラグと
スペクトル信号符号、及びアタック部検出フラグの内容
によっては、それらに加えて、アタック部位置情報とゲ
イン制御情報から成るゲイン制御補正関数生成情報とに
より構成されている。アタック位置情報としては、例え
ば、図4のLの値を記録すればよく、ゲイン制御量情報
としては、例えば図4のRの値を記録すればよい。実際
の音楽信号においてプリエコーが問題となるアタック部
の存在するブロックの割合は低いので、このようにアタ
ック位置情報とゲイン制御量情報は実際にアタック部の
存在するブロックだけに記録しておくと効率が良い。た
だし勿論、全てのブロックにおいてゲイン制御補正関数
生成情報を記録するようにしてもよく、この場合、実際
にアタック部の存在しないブロックにおいては、例え
ば、L=0、R=1として記録しておけばよい。
報から復号化手段がゲイン制御補正関数h(n) を生成す
る処理例を示したものである。
1の復号化装置のゲイン制御補正回路414に相当する
処理に組み込み、生成されたゲイン制御補正関数h(n)
を逆スペクトル変換回路413によって構成された波形
信号要素に乗じることによって、本発明による復号化方
法を実現することができる。もちろん、アタック部が検
出されていないブロックにおいては、実際にh(n) を乗
じる処理を省略するようにしても良い。
で上記アタック検出フラグを検出し、フラグが0のと
き、すなわちアタックが検出されていないときには、ス
テップS22に進んで、ゲイン制御補正関数h(n) を1
にし、終了する。フラグが1のとき、すなわちアタック
が検出されているときには、ステップS23に進み、こ
のブロックの先頭からサブブロックL個分のゲイン制御
関数g(n) をRとし、上記補間処理を行って最終的なゲ
イン制御関数g(n) を求める。次のステップS24で
は、このゲイン制御関数g(n) の逆数1/g(n) を計算
してゲイン制御補正関数h(n) を求めている。
開平3−132228号公報に記載されている方法等に
適用することも勿論可能である。
って周波数成分に分解する場合だけでなく、例えば、一
旦、帯域分割フィルタによって帯域分割された波形信号
をスペクトル変換によって周波数成分分解する場合に
も、もちろん本発明の方法を適用することができる。さ
らに、フィルタによって波形信号を周波数成分に分解す
る場合にも適用することができる。本発明でいう周波数
成分とはこれらの処理によって得られるものをすべて含
むものであるが、プリエコーが特に大きな問題となるス
ペクトル変換を含む処理で得られる周波数成分に関連し
て適用される場合に、本発明の方法は特にその効果が大
きい。
ジタル信号に変換したものを処理する装置に適用するこ
とも可能であるし、また、一旦ファイルになっている波
形信号をコンピュータ等で処理する場合に適用すること
もできる。また、このようにして得られた符号を記録媒
体に記録することも伝送することももちろん可能であ
る。また本発明の方法は、つねに一定のビットレートで
符号化を行う場合にも、割り当てられるビット数がブロ
ック毎に異なるように時間的に変化するビットレートで
符号化を行う場合にも適用することが可能である。
子化雑音を目立たなくさせる場合に関して説明を行なっ
たが、本発明の方法は他の種類の信号の量子化雑音の発
生を目立たせなくする上でも有効であり、例えば画像信
号にも適用することが可能である。しかし、音響信号に
おけるアタック部分でのプリエコーは聴感上の大きな障
害となるため、本発明を音響信号に適用することは非常
に有効である。また、本発明の方法はもちろん多チャネ
ルの音響信号に対して適用可能である。
明に係る情報符号化方法においては、入力信号を周波数
成分に分解する周波数成分分解処理と、周波数成分分解
処理への入力波形信号のゲイン制御処理と、周波数成分
分解処理の出力情報及び上記ゲイン制御の制御情報の符
号化処理とを行う情報符号化装置において、ゲイン制御
処理は、波形信号が所定の基準値以上に急激に大きくな
る部分で所定のゲイン制御処理を行い、波形信号の減衰
時に順向マスキングが有効となる部分ではゲイン制御処
理を行わないことにより、圧縮率の高い場合にも効果的
にプリエコーを防止し、より効率的でより音質の高い符
号化を可能としている。
も、周波数成分信号及びゲイン制御補正情報の復号化処
理と、波形信号を合成する波形信号合成処理と、波形信
号合成処理の出力波形信号のゲイン制御補正処理とを行
う情報復号化方法において、ゲイン制御補正処理は、波
形信号が所定の基準値以上に急激に大きくなる部分で所
定のゲイン制御補正処理を行い、波形信号の減衰時に順
向マスキングが有効となる部分ではゲイン制御補正処理
を行わないことにより効率的な処理が行え、品質の高い
信号を再生することができる。
信号に適用することにより、効率的な処理と共に、プリ
エコーの発生を防止することができる。
化された信号を伝送することで、効率のよい伝送が可能
である。
構成を示すブロック回路図である。
構成を示すブロック回路図である。
ゲイン制御の動作を説明するための図である。
御関数生成の処理手順の一例を概略的に示すフローチャ
ートである。
の記録状態を示す図である。
の例を概略的に示すフローチャートである。
を説明するための図である。
動作原理を説明するための図である。
号化の動作原理を説明するための図である。
置の概略構成を示すブロック図である。
置の概略構成を示すブロック図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 入力信号を周波数成分に分解する周波数
成分分解処理と、上記周波数成分分解処理への入力波形
信号のゲイン制御処理と、上記周波数成分分解処理の出
力情報及び上記ゲイン制御の制御情報の符号化処理とを
行う情報符号化装置において、 上記ゲイン制御処理は、 波形信号が所定の基準値以上に急激に大きくなる部分で
所定のゲイン制御処理を行い、波形信号の減衰時に順向
マスキングが有効となる部分ではゲイン制御処理を行わ
ないことを特徴とする情報符号化方法。 - 【請求項2】 上記ゲイン制御処理のゲイン制御量は、
複数種類の大きさから選択的に決定することを特徴とす
る請求項1記載の情報符号化方法。 - 【請求項3】 周波数成分信号及びゲイン制御補正情報
の復号化処理と、波形信号を合成する波形信号合成処理
と、上記波形信号合成処理の出力波形信号のゲイン制御
補正処理とを行う情報復号化方法において、 上記ゲイン制御補正処理は、 波形信号が所定の基準値以上に急激に大きくなる部分で
所定のゲイン制御補正処理を行い、波形信号の減衰時に
順向マスキングが有効となる部分ではゲイン制御補正処
理を行わないことを特徴とする情報復号化方法。 - 【請求項4】 上記ゲイン制御補正処理のゲイン制御補
正量に対応するゲイン制御量は、複数種類の大きさから
選択的に決定することを特徴とする請求項3記載の情報
復号化方法。 - 【請求項5】 周波数成分信号情報及びゲイン制御補正
情報が伝送され、 上記ゲイン制御補正情報は、波形信号が所定の基準値以
上に急激に大きくなる部分でのゲイン制御補正処理のゲ
イン制御補正量の情報を含み、波形信号の減衰時に順向
マスキングが有効となる部分でのゲイン制御補正処理の
ゲイン制御補正量を含まないことを特徴とする情報伝送
方法。 - 【請求項6】 上記ゲイン制御補正処理のゲイン制御補
正量に対応するゲイン制御量は、複数種類の大きさから
選択的に決定することを特徴とする請求項5記載の情報
伝送方法。
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