JP2018200487A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
また、複写又はプリントを多く行うようなオフィスでの使用においては、多数枚の複写又はプリントによっても画質低下のない高耐久性が求められている。一方で、スモールオフィスや家庭での使用においては、高画質な画像を得るとともに、省スペース、省エネルギー、軽量化の観点から、画像形成装置の小型化が求められている。上記要求に対応するために、環境安定性、部材汚染、低温定着性、現像耐久性及び保存安定性といったトナーの性能のさらなる向上が必要となる。
特にフルカラー画像の場合は、カラートナーを重ね合わせ画像を形成しているが、各々の色のカラートナーが同じように現像されなければ、色再現性が低下し、色ムラが生じてしまう。トナーの着色剤として用いられている顔料や染料がトナー粒子の表面に析出した場合、現像性に影響が出てしまい、色ムラが生じてしまうことがある。
さらに、フルカラー画像の形成においては、定着時の定着性及び混色性が重要である。例えば、要望されている高速化を達成するためには、低温定着性にふさわしい結着樹脂が選択されるが、この結着樹脂がカラートナーの現像性及び耐久性に与える影響も大きい。
さらに、温度及び湿度が異なるような様々な環境において、長期使用可能の高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。このような要望に対応するためには、温度及び湿度の使用環境の違いによって生じるトナーの帯電量の変化やトナーの表面性の変化といった課題を解決する必要がある。また、現像ローラー、帯電ローラー、規制ブレード及び感光ドラムのような部材への汚染といった課題を解決する必要がある。よって、様々な環境に長期保存しても安定した帯電性や部材汚染が生じない安定した現像耐久性を有するトナーの開発が求められている。
温度及び湿度によるトナーの保存安定性や帯電量の変動の原因の1つとしてトナーの離型剤や樹脂成分が、トナー粒子の内部から表面に染み出す現象(以下「ブリード(bleed)」ともいう。)が生じ、トナーの表面性を変化させることが挙げられる。
このような課題を解決する手段の1つとしてトナー粒子の表面を樹脂で覆う方法がある。
しかしながら、無機微粒子をトナー粒子に強く固着させたとしても、無機微粒子同士の隙間から離型剤や樹脂成分によるブリードの発生や耐久劣化による無機微粒子の遊離により、過酷環境における耐久性及び部材汚染に対してはさらなる改善が必要となっている。
また、特許文献2では、着色剤や極性物質がトナー粒子の表面に露出することなく、狭い帯電量分布を有し、帯電量の湿度依存性が少ないトナーを得るために、反応系にシランカップリング剤を添加することを特徴とする重合トナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、このような方法では、トナー粒子の表面へのシラン化合物の析出量やシラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であり、環境安定性及び現像耐久性に対してはさらなる改善が必要となっている。
さらに、特許文献3では、トナーの帯電量制御を行い、温度、湿度の環境に左右されず良質な出力画像を形成する方法として、表面部に連続した薄膜の形で施されたケイ素化合
物を含んでいる重合トナーを用いる方法が開示されている。
しかしながら、有機官能基の極性が大きく、トナー粒子の表面へのシラン化合物の析出量やシラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であり、架橋度が弱く、高温高湿下における帯電性の変化による画像濃度変化や耐久劣化による部材汚染に対してはさらなる改善が必要となっている。
さらに、特許文献4では、流動性、流動化剤の遊離、低温定着性、ブロッキング性を改善するトナーとして、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層を有する重合トナーが開示されている。
しかしながら、ケイ素化合物を含む粒状塊の隙間から離型剤や樹脂成分が染み出すブリードの発生、トナー粒子の表面へのシラン化合物の析出量やシラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であることによって発生する高温高湿下における帯電性の変化による画像濃度変化、トナー融着による部材汚染の発生や保存安定性に対してさらなる改善が必要となっている。
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、下記式(T3)で表される部分構造のピーク面積の割合[ST3]が、ST3≧0.40の関係を満たすことを特徴とするトナーに関する。
本発明のトナーは、有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、前記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される部分構造を有し、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、下記式(T3)で表される部分構造のピーク面積の割合[ST3]が、ST3≧0.40の関係を満たすことを特徴とする。
トナー粒子のTHF不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、上記式(T3)で表される部分構造(以下、T3構造とも称する。)のピーク面積の割合[ST3]が、ST3≧0.40の関係を満たすことで、トナー粒子の表面の表面自由エネルギーを低くすることができるため、環境安定性及び耐部材汚染に優れた効果がある。
また、有機ケイ素重合体のT3構造による耐久性と、上記式(T3)中のRの疎水性及び帯電性により、表層よりも内部に存在する、染み出しやすい低分子量(Mw1000以下)樹脂、及び低Tg(40℃以下)樹脂、並びに、場合によっては離型剤のブリードが抑えられる。その結果、トナーの撹拌性が良化し、保存安定性、並びに、印字率が30%以上の高印字率画像出力耐久時の環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。
ST3は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
くは、ST3/SX2≧2.00の関係を満たすことである。
ST3/SX2の値は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明において、上記Rは炭素数が1以上3以下のアルキル基であることが、帯電性及びカブリ防止のさらなる向上のためにより好ましい態様である。帯電性が良好であると、転写性が良く転写残トナーが少ないためドラム、帯電部材及び転写部材の汚染が良化する。
炭素数が1以上3以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましく例示できる。さらに好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、Rはメチル基である。
ゾルゲル法は、金属アルコキシドM(OR)n(M:金属、O:酸素、R:炭化水素、n:金属の酸化数)を出発原料に用いて、溶媒中で加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在する有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
この有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に均一に設けることによって、従来のトナーのように、無機微粒子の固着や付着を行わなくても、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、溶液から出発し、その溶液をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。
しかしながら、有機ケイ素化合物の疎水性が大きい場合(例えば有機ケイ素化合物の炭化水素基の炭素数が6を超える炭化水素基である場合)、トナー粒子の表面上に、トナー粒子の重量平均粒径(μm)の1/10以下である凝集体を形成しやすい傾向がある。一方、有機ケイ素化合物の炭化水素基の炭素数が0の場合には疎水性が弱くなるため、トナーの帯電安定性が悪化する。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
前記有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物を重合させて得られる有機ケイ素重合体であることが好ましい。
炭素数が1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましく例示できる。また、R1としてフェニル基も好ましく例示できる。この場合、帯電性及びカブリ防止が良好となる。さらに好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、R1はメチル基である。
R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮合重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R2、R3及びR4の加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のR1を除く一分子中に3つの反応基(R2、R3及びR4)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
また、本発明において、有機ケイ素重合体の含有量は、トナー粒子中に0.50質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、0.75質量%以上40.00質量%以下であることがより好ましい。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシ
シラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
また、本発明において、本発明の効果を損なわない程度に、式(T3)で表わされるT単位構造を有する有機ケイ素化合物とともに、一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。併用してもよい有機ケイ素化合物としては以下のようなものが挙げられる。
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のアリルシラン。
t−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、t−ブチルジメチルエトキシシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブチルジフェニルエトキシシラン、クロロ(デシル)ジメチルシラン、メトキシ(デシル)ジメチルシラン、エトキシ(デシル)ジメチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン
、クロロトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、トリフェニルクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、クロロメチル(ジクロロ)メチルシラン、クロロメチル(ジメトキシ)メチルシラン、クロロメチル(ジエトキシ)メチルシラン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジブチルジクロロシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジクロロデシルメチルシラン、ジメトキシデシルメチルシラン、ジエトキシデシルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジクロロ(メチル)−n−オクチルシラン、ジメトキシ(メチル)−n−オクチルシラン、ジエトキシ(メチル)−n−オクチルシラン。
一方、反応媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一ケイ素原子に3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び縮重合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
従って、有機ケイ素重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上であることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。また、ゾルゲル反応は、反応温度90℃以上、かつ、反応時間5時間以上で行うことが好ましい。
このゾルゲル反応を上記反応温度及び反応時間で行うことによって、トナー粒子の表面のゾルやゲルの状態のシラン化合物同士が結合した合一粒子の形成を抑制することができる。
有機チタン化合物としては、以下のものが挙げられる。
チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、チタンイソブトキサイド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンラクテート、チタンメタクリレートイソプロポキサイド、トリイソプロポキシチタネート、チタンメトキシプロポキサイド、チタンステアリルオキサイド。
有機アルミ化合物としては、以下のものが挙げられる。
アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)ジ−s−ブトキサイドエチル
アセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムフェノキサイド、アルミニウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート。
なお、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。これらを適宜に組み合わせたり、添加量を変えたりすることで、帯電量を調節することができる。
上記ESCAは、トナー粒子の表面からトナー粒子の中心(長軸の中点)に数nmの厚さで存在する表層の元素分析を行うものである。このトナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度(dSi/[dSi+dO+dC])が2.5原子%以上あることで、表層の表面自由エネルギーを小さくすることができる。前記ケイ素原子の濃度を2.5原子%以上に調整することによって、流動性がさらに向上し、部材汚染やカブリの発生をより抑制することができる。
一方、前記トナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度(dSi/[dSi+dO+dC])は、帯電性の観点より、33.3原子%以下であることが好ましい。より好ましくは28.6原子%以下である。
前記トナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度は、上記式(T3)中のRの構造、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量によっても制御することができる。なお、本発明においてトナー粒子の表層とは、トナー粒子の表面からトナー粒子中心(長軸の中点)に向かって0.0nm以上10.0nm以下の厚さで存在する層を意味する。
また、ケイ素原子の濃度dSi(原子%)の炭素原子の濃度dC(原子%)に対する比[dSi/dC]が0.15未満の場合、トナー粒子の表層の炭素量が相対的に多くなり、表面自由エネルギーが大きくなるため粒子同士の凝集や部材との親和性が強くなり部材汚染が悪化する傾向にある。一方、[dSi/dC]が5.00を超える場合は、炭素原子に起因する疎水性が少なくなりすぎ環境安定性が悪くなる傾向がある。なお、[dSi/dC]は、上記式(T3)中のRの構造、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割し、前記中心からトナー粒子の表面へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)としたときに、前記分割軸上の32箇所のトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.が5.0nm以上150.0nm以下であることが好ましい。本発明において、有機ケイ素重合体を含有する表層とトナー粒子表層以外の部分(いわゆる芯部分)は、隙間なく接していることが好ましい。換言すれば特開2001−75304号報に開示されているような粒状塊の被覆層でないことが好ましい。これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。
保存安定性の観点から、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.は7.5nm以上125.0nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10.0nm以上100.0nm以下である。トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.が5.0nm未満ではトナー粒子中の樹脂成分や離型剤等によるブリードが発生しやすい。そのため、トナー粒子の表面性が変化して環境安定性、現像耐久性が悪くなる傾向がある。トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.が150.0nmを超える場合では低温定着性が悪くなる傾向がある。
前記トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.は、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、上記式(T3)中の炭化水素基の炭素数、親水性基の数、有機ケイ素重合体形成時の付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量で制御することもできる。
有機ケイ素重合体を含有する表層の厚み5.0nm以下の割合が上記範囲内である場合、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生を低減することができるため、環境安定性、保存安定性や現像耐久性が良化する。また、有機ケイ素重合体を含有する表層の厚み5.0nm以下の割合が20.0%以下であることで、様々な環境においてもカブリや画像濃度安定性に優れたトナーを得ることができる。
前記有機ケイ素重合体を含有する表層の厚み5.0nm以下の割合は、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、上記式(T3)中の炭化水素基の炭素数、親水性基の数、有機ケイ素重合体形成時の付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量で制御することもできる。
以下、有機ケイ素重合体をトナー粒子の表層に含有させる具体的態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
第一製法としては、有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物、及び、結着樹脂を形成するための重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る態様(以下、懸濁重合法とも称する)が挙げられる。
第二製法としては、先にトナー粒子母体を得た後、トナー粒子母体を水系媒体中に投入して、水系媒体中でトナー粒子母体に有機ケイ素重合体の表層を形成する態様が挙げられる。トナー粒子母体は、結着樹脂を溶融混練し、粉砕することによって得られるものであってもよく、結着樹脂粒子を水系媒体中で凝集し、会合することによって得られたものであってもよく、また、結着樹脂を有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去することによって得られたものであって良い。
第三製法としては、結着樹脂、及び有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物を、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去してトナー粒子を得る態様が挙げられる。
第四製法としては、結着樹脂粒子、及びゾル又はゲル状態の有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物含有粒子を、水系媒体中で凝集し、会合してトナー粒子を形成する態様が挙げられる。
第五製法としては、トナー粒子母体の表面に、有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物を含有する溶媒をスプレードライ法によりトナー粒子母体表面に噴射し、熱風及び冷却により表面を重合又は乾燥させて、有機ケイ素重合体をトナー粒子の表層に形成する態様が挙げられる。トナー粒子母体は、結着樹脂を溶融混練し、粉砕して得てもよく、結着樹脂粒子を、水系媒体中で凝集し、会合して得てもよく、結着樹脂を有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去して得てもよい。
これらの製造方法によって製造されたトナー粒子は、有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面近傍で形成されるため、環境安定性(特に、過酷環境下での帯電性)が良好となる。また、過酷環境下においてもトナー内部に存在する樹脂や、必要に応じて添加される離型剤のブリードによるトナー粒子の表面状態の変化が抑制される。
上記熱風を用いた表面処理としては、熱風でトナー粒子又はトナーの表面を処理することができ、かつ、熱風で処理されたトナー粒子又はトナーを冷風で冷却できる方式を採用できる手段であればどのようなものであってもよい。
熱風を用いた表面処理を行う装置としては、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)が挙げられる。
上記製造方法において水系媒体とは、以下のものが挙げられる。
水;メタノール、エタノール、及びプロパノールのようなアルコール類、並びに、これらの混合溶媒である。
上記重合性単量体組成物には、必要に応じて着色剤、離型剤、極性樹脂、及び低分子量樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、生成した粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥させてトナー粒子を得る。なお、上記重合工程の後半に昇温してもよい。さらに、未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。
上記懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5質量%以上30.0質量%以下の添加が好ましく、単独でも又は併用してもよい。
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤の添加量としては、重合性単量体の0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレ
ートをメタクリレートに変えたもの。
また、多官能の架橋剤としては以下のものが挙げられる。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート。架橋剤の添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
無機分散安定剤として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
また、有機系分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。
さらに、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤を得るためには、水のような液媒体中で、高速撹拌下、難水溶性無機分散剤を生成させてもよい。具体的には、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
一方、ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。
カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これら結着樹脂は単独或いは混合して使用できる。
本発明のトナーにおいては、高温時におけるトナーの粘度変化の改良を目的として樹脂が重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基としては、ビニル基、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシ基が挙げられる。
当該ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。
カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、前記ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。
本発明において、極性樹脂の重量平均分子量は、4,000以上100,000未満であることが好ましい。また、極性樹脂の含有量は、トナー粒子に含有される結着樹脂成分を基準として、3.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3.0質量%以上50.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以上30.0質量%以下である。
なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物
を含む。
なお、離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.
I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
また、トナーの製造方法によっては、着色剤の持つ重合阻害性や分散媒体移行性に注意を払うことが好ましい。必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面処理を施して表面改質を行ってもよい。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
また、染料を処理する好ましい方法として、あらかじめ染料の存在下に重合性単量体を重合させ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する方法が挙げられる。一方、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、オルガノシロキサン等)で処理を行ってもよい。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩のような化合物によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
スルホ基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体としては、側鎖にスルホ基を有する高分子型化合物等が挙げられる。特にスルホ基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上、好ましくは5質量%以上含有し、かつガラス転移温度(Tg)が40℃以上90℃以下のスチレン及び/又はスチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体である高分子型化合物が好ましい。高湿下での帯電安定性が良化する。
上記のスルホ基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、下記式(X)で表せるものが好ましく、具体的には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
(式(X)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、アルコキシ基を表し、nは、1以上10以下の整数を表す。)
これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100.00質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。
有機微粒子又は無機微粒子としては、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロムのような金属酸化物、窒化ケイ素のような窒化物、炭化ケイ素のような炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムのような金属塩。
(3)滑剤:フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩。
(4)荷電制御性粒子:酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナのような金属酸化物、カーボンブラック。
疎水化処理された有機微粒子又は無機微粒子を用いることが好ましい。有機微粒子又は無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独であるいは併用して用いられてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時にあるいは処理した後に、シリコーンオイルより処理したものである。シリコーンオイルで処理された疎水化処理無機微粒子が高湿環境下でもトナーの帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上で好ましい。
これら有機微粒子又は無機微粒子の添加量は、トナー粒子100.00質量部に対し、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.02質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.03質量部以上1.00質量部以下である。添加量の適正化により、有機微粒子又は無機微粒子のトナー粒子への埋め込みや遊離による部材汚染が良化する。これら有機微粒子又は無機微粒子は、単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
有機微粒子又は無機微粒子の比表面積BETは、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出することができる。
有機微粒子又は無機微粒子はトナー粒子の表面に強固に固着や付着させてもよい。トナー粒子の表面に有機微粒子又は無機微粒子を強固に固着又は付着させるための外添混合機としては、ヘンシェルミキサー、メカノフュージョン、サイクロミックス、タービュライザ、フレキソミックス、ハイブリタイゼーション、メカノハイブリット、ノビルタが挙げられる。また、回転周速を早めたり、処理時間を長めにしたりすることで有機微粒子又は無機微粒子を強く固着や付着することができる。
本発明のトナーにおいて、定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃における粘度は、1,000Pa・s以上40,000Pa・s以下であることが好ましい。この80℃粘度が1,000Pa・s以上40,000Pa・s以下であることで、トナーは低温定着性に優れる。80℃粘度は、より好ましくは2,000Pa・s以上20,000Pa・s以下である。なお、本発明において、上記80℃粘度は、低分子量樹脂の添加量や結着樹脂製造時の単量体種、開始剤量、反応温度及び反応時間により調整することができる。
トナーの定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃における粘度の値は以下の方法により求めることができる。
装置としては、フローテスターCFT−500D((株)島津製作所製)を用い、下記の条件で測定を行う。
・サンプル:約1.0gのトナーを秤量し、これを100kg/cm2の荷重で1分間加圧成型器を用いて成型してサンプルとする。
・ダイ穴径:1.0mm
・ダイ長さ:1.0mm
・シリンダ圧力:9.807×105(Pa)
・測定モード:昇温法
・昇温速度:4.0℃/分
上記の方法により、30℃以上200℃以下におけるトナーの粘度(Pa・s)を測定し、80℃の粘度(Pa・s)を求める。当該値をトナーの定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃粘度とする。
上記トナーのTHF不溶分の含有量とは、THF溶媒に対して不溶性となった超高分子ポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)の質量割合を意味する。本発明において、トナーのTHF不溶分の含有量とは、以下のように測定された値である。
トナー1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分を濃縮した後、40℃で数時間真空乾燥を行い、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の着色剤のような樹脂成分以外の成分の質量を(W3g)とする。THF不溶分の含有量は、下記式から求められる。
THF不溶分の含有量(質量%)={(W1−(W3+W2))/(W1−W3)}×100
トナーのTHF不溶分の含有量は、結着樹脂の重合度、架橋度によって調整することが可能である。
本発明において、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量分布において、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]は、5.0以上100.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以上30.0以下である。[Mw/Mn]が上記範囲内であることによって、定着可能温度領域を広くすることができる。
(トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の調製法)
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のように調製した。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソック
スレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中の濾物を40℃で数時間真空乾燥を行って得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とした。
なお、本発明において、上記有機微粒子又は無機微粒子でトナー粒子の表面が処理されている場合は、下記方法によって、前記有機微粒子又は無機微粒子を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学(株)製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31.0gと、コンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分で振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30分の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させる。乾燥品をスパチュラで解砕してトナー粒子を得る。
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(T3)で表される部分構造の確認には以下の方法を用いる。
式(T3)のRで表されるアルキル基又はフェニル基の有無は、13C−NMRにより確認した。また、式(T3)の詳細な構造は1H−NMR、13C−NMR及び29Si−NMRにより確認した。使用した装置及び測定条件を以下に示す。
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れた。
当該方法にて、式(T3)のRで表されるアルキル基又はフェニル基の有無を確認した。シグナルが確認できたら、式(T3)の構造は“あり”とした。
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
測定核周波数:99.36MHz
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
観測幅:29.76kHz
測定法:DD/MAS、CP/MAS
29Si 90° パルス幅:4.00μs@−1dB
コンタクト時間:1.75ms〜10ms
繰り返し時間:30s(DD/MAS)、10s(CP/MAS)
積算回数:2048回
LB値:50Hz
(T3構造、X1構造、X2構造、X3構造、X4構造の確認及び定量方法)
T3、X1、X2、X3及びX4の部分構造は、1H−NMR、13C−NMR及び29Si−NMRにより確認できる。
トナー粒子のTHF不溶分の29Si−NMR測定後に、トナー粒子における置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて、下記一般式(X4)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が4.0であるX4構造、下記一般式(X3)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が3.0であるX3構造、下記式(X2)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が2.0であるX2構造、下記式(X1)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が1.0であるX1構造、式(T3)で表わされるT単位構造にピーク分離して、各ピークの面積比から各成分のモル%を算出する。
X1構造の面積、X2構造の面積、X3構造の面積、X4構造の面積を求めて以下の式によりSX1、SX2、SX3、SX4を求める。
SX1+SX2+SX3+SX4=1.00
SX1={X1構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX2={X2構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX3={X3構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX4={X4構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
ST3={T3構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
X1構造の一例(Ri=Rj=−OC2H5、Rk=−CH3):−47ppm
X2構造の一例(Rg=−OC2H5、Rh=−CH3):−56ppm
X3構造の一例(Rf=−CH3):−65ppm
また、X4構造がある場合のケイ素の化学シフト値を以下に示す。
X4構造:−108ppm
本発明において、トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
本発明においては、用いる樹脂と有機ケイ素化合物の中の原子の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行っている。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四三酸化ルテニウム染色法及び四三酸化オスミウム染色法を用いる。トナー粒子中の各種元素の存在状態は、透過型電子顕微鏡を用いて
各種元素のマッピングによって確認できる。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるものとした。
上述のように、透過型電子顕微鏡(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)を用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の明視野像を取得する。次にEELS検出器(商品名:GIF Tridiem、Gatan社製)を用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表層に有機ケイ素重合体が存在することを確認する。次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する(図1参照)。次に、前記中心からトナー粒子の表層へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)、分割軸の長さをRAn、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みをFRAnとする。
そして、前記分割軸上の32箇所のトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.を求める。さらに、32本存在する各分割軸上におけるトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下である分割軸の数の割合を求める。
本発明では、平均化するため、トナー粒子10個の測定を行い、トナー粒子1個あたりの平均値を計算した。
TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)を下記式に従って求める。
(TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem))=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)とする。
トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.は以下の方法で求めた。
まず、1つのトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みD(n)を以下の方法で求めた。
D(n)=(軸上の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みの32箇所の合計)/32
この計算をトナー粒子10個に対して行った。得られたトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みD(n)(nは1から10の整数)から、トナー粒子1つあたりの平均値を下記式に従って計算し、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.を求めた。
Dav.={D(1)+D(2)+D(3)+D(4)+D(5)+D(6)+D(7)+D(8)+D(9)+D(10)}/10
有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合は、以下の方法で求めた。
まず、1つのトナー粒子に対して、以下の式に基づいて有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合を求めた。
(有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合)=((有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下の数)/32)×100
この計算をトナー粒子10個に対して行った。得られた有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合から平均値を求め、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合とした。
トナー粒子の表層に存在するケイ素原子の濃度[dSi](原子%)、炭素原子の濃度[dC](原子%)、及び、酸素原子の濃度[dO](原子%)は、X線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical
Analysis)を用いた表面組成分析を行い算出した。本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件:X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 5回
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、ULVAC−PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子の表層に存在する、ケイ素原子の濃度[dSi]、炭素原子の濃度[dC]、及び、酸素原子の濃度[dO](いずれも、原子%(atomic%と同じ。))を算出した。
トナー(粒子)及び各種樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びメインピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件により測定する。
(測定条件)
・カラム(昭和電工(株)製):Shodex GPC KF−801、KF−802、KF−803、KF−804、KF−805、KF−806、KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・温度:40℃
・流速:0.6mL/分
・検出器:RI
・試料濃度及び量:0.1質量%の試料を10μL
測定対象(トナー(粒子)、各種樹脂)0.04gをテトラヒドロフラン20mLに分散、溶解後、24時間静置し、0.2μmフィルター(商品名:マイショリディスクH−25−2、東ソー(株)製)で濾過し、その濾液を試料として用いる。
検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチ
レンF−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500を用いる、このとき、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。
GPCの分子量分布の作成において、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立ち上がる開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。
トナー(粒子)及び各種樹脂のガラス転移温度(Tg)及び熱量積分値は、示差走査熱量計(DSC)M−DSC(商品名:Q2000、TA−インストルメンツ社製)を用いて、下記手順にて測定する。測定する試料(トナー(粒子)、各種樹脂)3mgを精秤する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20℃以上200℃以下の間で、昇温速度1℃/分、常温常湿下で測定を行う。このときのモジュレーション振幅±0.5℃、周波数1/分で測定する。得られるリバーシングヒートフロー曲線からガラス転移温度(Tg:℃)を計算する。Tgは、吸熱前後のベースラインと吸熱による曲線の接線との交点の中心値をTg(℃)として求めたものである。DSCによって測定される昇温時の吸熱チャートにおいて、吸熱メインピークのピーク面積で表されるトナー(粒子)1g当たりの熱量積分値(J/g)を測定する。トナーのDSC測定によって得られたリバーシングフロー曲線の一例を図3に示す。
熱量積分値(J/g)は、上記の測定から得られたリバーシングフロー曲線を用いて求める。計算には解析ソフト Universal Analysis 2000 forWindows(商品名) 2000/XP Version4.3A(TAインスツルメンツ社製)を用い、Integral Peak Linearの機能を用いて、35℃と135℃での測定点を結ぶ直線と吸熱曲線とで囲まれた領域から熱量積分値(J/g)を求める。
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤としてコンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
トナー(粒子)の平均円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置である「FPIA−3000型」(シスメックス(株)製)を用い、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
イオン交換水20mLに、分散剤として界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150ワットの卓上型の超音波洗浄器分散機(商品名:VS−150、(株)ヴェルヴォクリーア製)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用する。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー(粒子)を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm以上19.92μm以下に限定し、トナー(粒子)の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の5100A(商品名)をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
また、トナー(粒子)の円形度分布において、モード円形度が0.98以上1.00以下であると、トナー(粒子)の多くが真球に近い形状を有することを意味している。鏡像力やファンデルワールス力等に起因するトナー(粒子)の感光体への付着力の低下がより一層顕著になり、転写効率が高くなり好ましい。
ここで、モード円形度とは、0.40から1.00までの円形度を、0.40以上0.41未満、0.41以上0.42未満、…0.99以上1.00未満及び1.00のように0.01ごとに61分割し、測定した各粒子の円形度をそれぞれ各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となる分割範囲の円形度をいう。
(荷電制御樹脂1の製造例)
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に、溶媒としてメタノール250質量部、2−ブタノン150質量部及び2−プロパノール100質量部、単量体としてスチレン88質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.0質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸6.0質量部を添加して撹拌しながら常圧の還流下で加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。さらに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに常圧の還流下で5時間撹拌して重合を終了した。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕した。その微粒子を250メッシュの篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に前記粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加え溶解し、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。
さらに前述の真空乾燥後の粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加え再溶解し、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のn−ヘキサン中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のn−ヘキサンで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。こうして得られた荷電制御樹脂はTgが約82℃であり、メインピーク分子量(Mp)が19,600、数平均分子量(Mn)が11,700、重量平均分子量(Mw)が20,600であり、酸価は17.4mgKOH/gであった。得られた樹脂を荷電制御樹脂1とする。
・テレフタル酸:11.1mol・ビスフェノールA−プロピレンオキシド2モル付加物:11.0mol(PO−BPA)
上記単量体をエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着し、窒素雰囲気下、減圧しながら、常法に従って210℃でTgが66℃になるまで反応を行い、ポリエステル樹脂(1)を得た。重量平均分子量(Mw)は7,100、数平均分子量(Mn)は3,030であった。
(イソシアネート基含有プレポリマーの合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 730質量部
・フタル酸 295質量部
・ジブチルチンオキサイド 3.0質量部
220℃にて攪拌して7時間反応し、さらに減圧下で5時間反応させた後、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート190質量部と2時間反応し、イソシアネート基含有ポリエステル樹脂を得た。イソシアネート基含有ポリエステル樹脂を25質量部とイソホロンジアミン1質量部を50℃で2時間反応させ、ウレア基を含有す
るポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂(2)を得た。得られたポリエステル樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)は23300、数平均分子量(Mn)は3010、ピーク分子量は7300であった。
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNa3PO4水溶液1000質量部と1.0mol/LのHCl水溶液24.0質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/LのCaCl2水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 30.0質量部
・メチルトリエトキシシラン 10.0質量部
・銅フタロシアニン顔料 6.5質量部
(ピグメントブルー15:3)(P.B.15:3)
・ポリエステル樹脂(1) 4.0質量部
・荷電制御剤1 0.5質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・荷電制御樹脂1 0.4質量部
・離型剤 10.0質量部
(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃)
上記材料をアトライターで3時間分散させて得られた重合性単量体組成物1を60℃で20分保持した。その後、重合性単量体組成物1に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート16.0質量部(トルエン溶液50%)を添加した重合性単量体組成物1を水系媒体中に投入し、高速撹拌装置の回転数を12,000rpmに維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内温を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら5時間反応させた。このとき水系媒体のpHは5.1であった。次に、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10.0質量部加えてpH8.0にし、容器内を温度90℃に昇温して7.5時間維持した。その後、10%塩酸4.0質量部とイオン交換水50質量部を加え、pHを5.1にした。次に、イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って、重合体スラリー1を得た。蒸留留分は300質量部であった。30℃に冷却後の重合体スラリー1を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子が得られた。このトナー粒子をトナー粒子1とした。トナー粒子1の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子1のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。以下の実施例及び比較例においても、同様に有機ケイ素重合体を含有する表層はケイ素マッピングでも確認を行った。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにフェニルトリメトキシシラン10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子2を得た。トナー粒子2の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子2のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにエチルトリメトキシシラン10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子3を得た。トナー粒子3の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子3のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにn−プロピルトリエトキシシラン10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子4を得た。トナー粒子4の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子4のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにn−ブチルトリエトキシシラン10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子5を得た。トナー粒子5の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子5のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン7.0質量部、ビニルトリクロロシラン3.0質量部に変更した。重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート16.0質量部(トルエン溶液50%)を添加した重合性単量体組成物1を水系媒体中に投入した直後に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を2.0質量部加えて、高速撹拌装置の回転数を12,000rpmに維持しつつ10分間造粒し、pHを5.1に調整した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子6を得た。トナー粒子6の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子6のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリメトキシシラン10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子7を得た。トナー粒子7の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子7のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリイソプロポキシシラン10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子8を得た。トナー粒子8の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子8のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルジエトキシクロロシラン7.5質量部に変更し、1.0N−NaOH水溶液を1.5質量部でpHを5.1に調整した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子9を得た。トナー粒子9の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子9のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン30.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子10を得た。トナー粒子10の処方及び条件を表1に示し、物性を表5に示した。トナー粒子10のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン5.4質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子11を得た。トナー粒子11の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子11のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン4.5質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子12を得た。トナー粒子12の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子12のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン4.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子13を得た。トナー粒子13の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子13のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン3.5質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子14を得た。トナー粒子14の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子14のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例において、水系分散媒体の調製で1.0mol/LのHCl水溶液24.0質量部添加したところの24.0質量部を30.0質量部添加に変更することで水系媒体のpHを4.1に変更し、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10.0質量部加えてpH8.0したところの10.0質量部を0.0質量部、10%塩酸4.0質量部をイオン交換水50質量部に加え、pHを5.1にしたところの10%塩酸4.0質量部を0.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子15を得た。トナー粒子15の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子15のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例において、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 10.0質量部加えてpH8.0にしたところの1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 10.0質量部を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 20.0質量部に、pH8.0をpH10.2に変更し、反応2終了後に塩酸を加えてpHを5.1に調整した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子16を得た。トナー粒子16の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子16のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例において、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 10.0質量部加えてpH8.0にしたところの1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 10.0質量部を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 15.0質量部に、pH8.0をpH9.0に変更し、反応2終了後に塩酸を加えてpHを5.1に調整した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子17を得た。トナー粒子17の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子17のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン5.0質量部、エチルトリエトキシシラン5.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子18を得た。トナー粒子18の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子18のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン7.5質量部、テトラエトキシシラン2.5質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子19を得た。トナー粒子19の処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子19のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン5.0質量部、メチルトリメトキシシラン5.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子20を得た。トナー粒子20の
処方及び条件を表2に示し、物性を表6に示した。トナー粒子20のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例において、温度90℃に昇温して7.5時間維持した、ところを温度95℃に昇温して10時間維持した、に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子21を得た。トナー粒子21の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子21のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例において、温度90℃に昇温して7.5時間維持した、ところを温度100℃に昇温して10時間維持した、に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子22を得た。トナー粒子22の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子22のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー母体23の製造)
・ポリエステル樹脂(1) 60.0質量部
・ポリエステル樹脂(2) 40.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・荷電性制御剤1 0.5質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・荷電制御樹脂1 0.6質量部
・離型剤 10.0質量部
(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃)
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練押出機によって135℃で溶融混練を行い、混練物を冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕して、さらに風力分級機を用いて分級することによって、重量平均粒径5.6μmのトナー母体23を得た。
(トナー粒子23の製造)
リービッヒ還流管を備え付けた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNa3PO4水溶液1000質量部と1.0mol/LのHCl水溶液24.0質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/LのCaCl2水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
次に、トナー母体23 100.0質量部、メチルトリエトキシシラン10.0質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、TK−ホモミキサーで5,000rpmに攪拌しながら、トナー材料を投入し5分間攪拌した。
ついで、この混合液を70℃で5時間保持した。pHは5.1であった。次に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 10.0質量部を加えてpHを8.0にしてから、90℃まで昇温して7.5時間保持した。その後、10%塩酸4.0質量部とイオン交換水50質量部を加えてpHを5.1にした。イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って重合体スラリー23を得た。蒸留留分は320質量部であった。重合体スラリー23
を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子が得られた。このトナー粒子をトナー粒子23とした。トナー粒子23の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子23のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
・ポリエステル樹脂(1) 60.0質量部
・ポリエステル樹脂(2) 40.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・荷電性制御剤1 0.5質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・荷電制御樹脂1 0.4質量部
・メチルトリエトキシシラン 10.0質量部
・離型剤 10.0質量部
(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃)
上記材料を、トルエン400質量部に溶解して、溶解液を得た。
リービッヒ還流管を備え付けた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNa3PO4水溶液1000質量部と1.0mol/LのHCl水溶液24.0質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/LのCaCl2水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
次に上記溶解液100質量部をTK−ホモミキサーで12,000rpmに攪拌しながら、投入し5分間攪拌した。ついでこの混合液を70℃ 5時間保持した。pHは5.1であった。1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液 10.0質量部を加え、pHを8.0にした。つぎに、90℃まで昇温して7.5時間保持した。その後、10%塩酸 4.0質量部とイオン交換水50質量部を加え、pHを5.1にした。イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って重合体スラリー24を得た。蒸留留分は320質量部であった。重合体スラリー24を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子が得られた。このトナー粒子をトナー粒子24とした。トナー粒子24の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子24のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:9モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:95モル部
・テレフタル酸:50モル部
・フマル酸:30モル部
・ドデセニルコハク酸:25モル部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたフラスコに上記のモノマーを仕込み、1時間で195℃まで上げて、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。これらモノマーの総質量に対してジステアリン酸スズを1.0質量%投入した。さらに生成する水を留去しながら195℃から5時間かけて250℃まで温度を上げ、250℃でさらに2時間脱水縮合反応を行った。その結果、ガラス転移温度が60.2℃、酸価が13.8mgKOH/g、水酸基価が28.2mgKOH/g、重量平均分子量が14,2
00、数平均分子量が4,100、軟化点111℃の非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:48モル部
(両末端換算2モル付加物)
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:48モル部
(両末端換算2モル付加物)
・テレフタル酸:65モル部
・ドデセニルコハク酸:30モル部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたフラスコに上記のモノマーを投入し、1時間で195℃まで上げて、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。これらモノマーの総質量に対してジステアリン酸スズを0.7質量%投入した。さらに生成する水を留去しながら195℃から5時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃でさらに2時間脱水縮合反応を行った。次いで、温度を190℃まで下げ、無水トリメリット酸の5モル部を徐々に投入し、190℃で1時間反応を継続した。その結果、ガラス転移温度が55.2℃、酸価が14.3mgKOH/g、水酸基価が24.1mgKOH/g、重量平均分子量が53,600、数平均分子量が6,000、軟化点108℃の非晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。
・非晶性ポリエステル樹脂(1):100質量部
・メチルエチルケトン:50質量部
・イソプロピルアルコール:20質量部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記樹脂を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させて非晶性ポリエステル樹脂(1)溶解液を得た。この非晶性ポリエステル溶解液の入った容器を65℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で5質量部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230質量部を10mL/分の速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらにエバポレータで減圧して脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル樹脂(1)の樹脂粒子分散液(1)を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、135nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
・非晶性ポリエステル樹脂(2):100質量部
・メチルエチルケトン:50質量部
・イソプロピルアルコール:20質量部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記材料を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させて非晶性ポリエステル樹脂(2)溶解液を得た。この非晶性ポリエステル樹脂(2)溶解液の入った容器を40℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で3.5質量部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230質量部を10mL/分の速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらに減圧して脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル樹脂(2)の樹脂粒子分散液(2)を得た。樹脂粒子の体積平均粒径は、155nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
樹脂粒子分散液(1)100質量部(固形分20.0質量部)にメチルトリエトキシシラン20.0質量部を加えて撹拌しながら70℃で1時間保持した後、昇温速度20℃/1hで昇温し、95℃で3時間保持をした。その後冷却して樹脂微粒子がゾルゲルで被覆
された樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、210nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液は撹拌しながら10℃以下で保存し、調製後48時間以内に使用した。粒子の表面は粘性の高いゾル又はゲル状態である方が粒子同士の接着性が良好になるため好ましい。
・銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3):45質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):5質量部
・イオン交換水:190質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対向衝突型湿式粉砕機:(株)スギノマシン製)を用い圧力250MPaで20分間分散処理を行い、着色剤粒子の体積平均粒径が120nmで、固形分量が20%の着色剤粒子分散液1を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
・オレフィンワックス(融点:84℃):60質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):2.0質量部
・イオン交換水:240質量部
以上を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで115℃に加温して分散処理を1時間行い、体積平均粒径160nm、固形分量20%の離型剤粒子分散液を得た。
・樹脂粒子分散液(1):100質量部
・樹脂粒子分散液(2):300質量部
・樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液:300質量部
・着色剤粒子分散液1:50質量部
・離型剤粒子分散液:50質量部
フラスコ中にイオン性界面活性剤ネオゲンRKを2.2質量部加えた後、以上の材料を撹拌した。次いで、1mol/Lの硝酸水溶液を滴下してpH3.7にした後、これにポリ硫酸アルミニウム0.35質量部を加え、IKA製ウルトラタラックスで分散を行った。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら50℃まで加熱した。50℃で40分保持した後、ここに樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液300質量部の混合液を緩やかに追加した。その後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して系内のpHを7.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌を継続しながら徐々に90℃まで加熱し、90℃で5時間保持した。さらに95℃で7.5時間保持した。その後、イオン性界面活性剤ネオゲンRKを2.0質量部加え、100℃で5時間反応を行った。反応終了後、減圧蒸留により85℃で320質量部の留分を回収した。その後、冷却、濾過、乾燥を行った。40℃のイオン交換水5Lに再分散し、15分間撹拌翼(300rpm)で撹拌し、濾過を行った。
この再分散と濾過の洗浄を繰り返し、電気伝導度6.0μS/cm以下となったところで、洗浄を終了し、トナー粒子25を得た。トナー粒子25の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子25のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー母体23 100.0質量部をヘンシェルミキサー中で攪拌しながら、トルエン10.0質量部とエタノール5.0質量部と水5.0質量部とメチルトリエトキシシラン10.0質量部を90℃で5時間反応させた有機ケイ素重合体溶解液を3.5質量部噴霧
して均一に混合した。
そして、粒子を入口温度90℃、出口温度45℃の条件で流動層乾燥機内を30分循環させて、乾燥及び重合を行った。得られた処理トナーを同様にして、処理トナー100質量部に対し前記有機ケイ素重合体溶解液3.5質量部をヘンシェルミキサー内で噴霧して、入口温度90℃、出口温度45℃の条件で流動層乾燥機内を30分循環させた。
同様に有機ケイ素重合体溶解液の噴霧と乾燥を合計10回繰り返してトナー粒子26を得た。トナー粒子26のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例において、銅フタロシアニン6.5質量部をカーボンブラック10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子27を得た。トナー粒子27の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子27のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたスチレン70.0質量部を60.0質量部に、n−ブチルアクリレート30.0質量部を40.0質量部に変更し、チタンテトラノルマルプロポキシド1.0質量部を加えた以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子28を得た。トナー粒子28の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子28のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いた銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3)6.5質量部をピグメントレッド122(P.R.122)8.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子29を得た。トナー粒子29の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子29のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いた銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3)6.5質量部をピグメントイエロー155(P.Y.155)6.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子30を得た。トナー粒子30の処方及び条件を表3に示し、物性を表7に示した。トナー粒子30のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン10.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン1.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子1を得た。比較トナー粒子1の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子1のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン1.0質量部の代わりに
テトラエトキシシラン10.0質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子2を得た。比較トナー粒子2の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子2のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一ではないがケイ素原子が存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン1.0質量部の代わりに3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン10.0質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子3を得た。比較トナー粒子3の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子3のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン1.0質量部の代わりに3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン10.0質量部に変更し、容器内を温度90℃に昇温して7.5時間維持したところの温度90℃を70℃に変更し、内温を100℃に昇温したところの内温を70℃に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子4を得た。比較トナー粒子4の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子4のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン1.0質量部の代わりに3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン10.0質量部に変更し、容器内を70℃に昇温したところの内温を80℃に変更し、容器内を温度90℃に昇温して7.5時間維持したところの温度を80℃に変更し、内温を100℃に昇温したところの内温を80℃に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子5を得た。比較トナー粒子5の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子5のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン1.0質量部の代わりに3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン3.1質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子6を得た。比較トナー粒子6の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子6のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン1.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン2.0質量部に変更し、容器内を温度90℃に昇温したところの内温を70℃に変更し、容器内を温度100℃に昇温したところの内温を70℃に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子7を得た。比較トナー粒子7の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子7のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層にケイ素原子が少し存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン1.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン2.0質量部に変更し、容器内を温度70℃に昇温したところの内温を55℃に変更し、容器内を温度90℃に昇温したところの内温を70℃に変更し
、容器内を温度100℃に昇温したところの温度を70℃に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子8を得た。比較トナー粒子8の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子8のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層にケイ素原子が少し存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 1.0質量部の代わりにアミノプロピルトリメトキシシラン11.0質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子9を得た。比較トナー粒子9の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子9のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
比較トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 1.0質量部を0.0質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子10を得た。比較トナー粒子10の処方及び条件を表4に示し、物性を表8に示した。比較トナー粒子10のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったが、表層にケイ素原子は存在しなかった。
高速攪拌装置TK−ホモミキサーを備えた四つ口フラスコ中に、イオン交換水900質量部とポリビニルアルコール95質量部を添加し、回転数1300rpmにて攪拌しながら、55℃に加熱して水系分散媒とした。
(モノマー分散液の組成)
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 30.0質量部
・カーボンブラック 10.0質量部
・離型剤(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃) 10.0質量部
上記材料をアトライターで3時間分散させた後、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート14.0質量部を添加してモノマー分散液を調製した。
次に、得られたモノマー分散液を、上記の四つ口フラスコ内の分散媒中に投入し、上記の回転数を維持しつつ10分間の造粒を行った。続いて、50rpmの攪拌下において、55℃で1時間、次に、65℃で4時間、さらに、80℃で5時間の重合を行った。上記の重合の終了後、スラリーを冷却し、精製水で洗浄を繰り返すことにより分散剤を除去した。さらに、洗浄、乾燥を行うことにより、母体となるブラックトナー粒子を得た。重量平均粒子径は5.7μmであった。
酢酸イソアミル2質量部とケイ素化合物としてテトラエトキシシラン4.0質量部、メチルトリエトキシシラン0.5質量部を混合した溶液に0.3質量部%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液を3質量部投入し、超音波ホモジナイザーを用いて撹拌することにより、酢酸イソアミル、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシランのシラン混合溶液Aを調整した。
0.3質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30質量部に母体のブラックトナー粒子1.0質量部を加えてブラックトナー粒子分散液Aを調整した。次にブラックトナー粒子分散液Aに、上記シラン混合溶液Aを投入し、次いで30質量%NH4OH水溶液5質量部を投入して室温(25℃)で15時間撹拌し反応を行った。得られた反応物をエタノールで洗浄後、精製水で洗浄し、粒子を濾別し、乾燥させることにより、比較トナー粒子11を得た。得られたトナー粒子の重量平均粒子径は5.6μmであった。比較トナー粒子11のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
トナー粒子1 100質量部に対し、BET法による比表面積が200m2/gであり、ヘキサメチルジシラザン3.0質量%、100cpsのシリコーンオイル3質量%で表面を疎水化処理された疎水性シリカ0.3質量部とBET法による比表面積が50m2/gの酸化アルミニウム0.1質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)(現・日本コークス工業(株))製)で混合して得られたトナーをトナー1とする。
トナー1の製造例においてトナー粒子1をトナー粒子2〜30に変更した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー2〜30を得た。
トナー1の製造例においてトナー粒子1を比較トナー粒子1〜11に変更した以外はトナー1の製造例と同様にして比較トナー1〜11を得た。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学(株)製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製した。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31.0gと、コンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散液を作製した。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐした。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分で振とうした。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30分の条件で分離した。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取した。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させた。乾燥品をスパチュラで解砕して洗浄トナー粒子1を得た。
得られた洗浄トナー粒子1を乾燥させて物性を測定したところ、洗浄トナー粒子1はトナー粒子1のトナー物性の結果とほぼ同じであった。
トナー1の洗浄後の物性評価において、トナー1をトナーN(N=2〜30)及び比較トナーM(M=1〜11)に変更した以外は同様にして洗浄後の物性評価を実施したところ、洗浄トナー粒子N及び洗浄比較トナー粒子Mは、それぞれトナー粒子N及び比較トナー粒子Mのトナー物性の結果(表5〜表8)とほぼ同じになった。
トナー1を用いて以下の評価を行った。評価結果を表13に示した。
(環境安定性及び現像耐久性の評価)
図4のような構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cのトナーカートリッジに、トナー1 220gを装填した。
そして、そのトナーカートリッジを低温低湿L/L(温度10℃/湿度15%RH)、常温常湿N/N(25℃/50%RH)、高温高湿H/H(32.5℃/85%RH)の各環境下で24時間放置した。各環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP9600Cに取り付け、35.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で1,000枚までプリントアウトして、初期と1,000枚出力時のベタ画像濃度(トナー載り量0.40mg/cm2)とカブリ、1,000枚出力時の部材汚染(フィルミング、現像スジ、ドラム融着)の評価を行った。
また、図4のような構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタL
BP9600Cのトナーカートリッジに、トナー1 220gを装填し、そのトナーカートリッジを過酷環境(40℃/90%RH)で168時間放置した。その後、超高温高湿SHH(35.0℃/85%RH)に24時間放置してから、35.0%の印字比率の画像を1,000枚までプリントアウトして、初期の上記ベタ画像濃度(トナー載り量0.40mg/cm2)とカブリ、1,000枚出力時の部材汚染(フィルミング、現像スジ、ドラム融着)の評価を行った。
トナー粒子及びトナーの摩擦帯電量は、以下に示す方法によって求めた。
まず、トナー粒子又はトナーと負帯電極性トナー用標準キャリア(商品名:N−01、日本画像学会製)を以下の環境下でそれぞれ所定時間放置した。
低温低湿(10℃/15%RH)では24時間、常温常湿(25℃/50%RH)では24時間、高温高湿(32.5℃/85%RH)では24時間、過酷環境(40℃/90%RH)では168時間後に超高温高湿(35.0℃/85%RH)24時間放置した。上記放置後に、トナー粒子又はトナーと標準キャリアを、トナー粒子又はトナーの質量が5質量%となるように各環境下でターブラミキサを用いて120秒間混合し、二成分現像剤を得た。
次に、この混合後の二成分現像剤を混合後1分以内に常温常湿(25℃/50%RH)の環境下で、底部に目開き20μmの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の質量差と、容器に接続されたコンデンサに蓄積された電位とを測定した。この際、吸引圧を4.0kPaとした。前記吸引前後の質量差、蓄電された電位、及びコンデンサの容量から、下記式を用いてトナー粒子又はトナーの摩擦帯電量を算出した。
なお、測定に使用した負帯電極性トナー用標準キャリア(商品名:N−01、日本画像学会製)は250メッシュを通過したものを使用した。
Q=(A×B)/(W1−W2)
Q(mC/kg):トナー粒子又はトナーの摩擦帯電量
A(μF):コンデンサの容量
B(V):コンデンサに蓄積された電位差
W1−W2(kg):吸引前後の質量差
画像濃度については、SPI補助フィルターを装着した、マクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)を用いて、上記低温低湿(L/L)(10℃/15%RH)、常温常湿(N/N)(25℃/50%RH)、高温高湿(H/H)(32.5℃/85%RH)及び過酷環境(40℃/90%RH)では168時間後に超高温高湿(35.0℃/85%RH)24時間放置後の環境下で出力した、初期と1,000枚耐久出力後のベタ画像の定着画像部の画像濃度を測定した。
なお、画像濃度の評価基準は下記のとおりである。転写紙は70g/m2のA4サイズを用い、A4横方向に印字した。
A:1.45以上
B:1.40以上1.45未満
C:1.30以上1.40未満
D:1.25以上1.30未満
E:1.20以上1.25未満
F:1.20未満
初期の0%の印字比率の画像及び1,000枚耐久出力後の0%の印字比率の画像において、「リフレクトメータ」((有)東京電色製)により測定した出力画像の白地部分の
白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出した。また、そのカブリ濃度を下記の基準で画像カブリとして評価した。転写紙は70g/m2のA4サイズを用い、A4横方向に印字した。
A:1.0%未満
B:1.0%以上1.5%未満
C:1.5%以上2.0%未満
D:2.0%以上2.5%未満
E:2.5%以上3.0%未満
F:3.0%以上
部材汚染は1,000枚耐久出力後に、前半部分をハーフトーン画像(トナー載り量0.25mg/cm2)で出力し、後半部分をベタ画像(トナー載り量0.40mg/cm2)であるミックス画像を出力して、下記基準に従い評価した。なお、転写紙は70g/m2のA4サイズを用い、A4横方向に印字した。
A:現像ローラー上にも、ハーフトーン部、ベタ部の画像上にも排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチは見られない。
B:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが1本以上2本以下又は感光ドラム上に1個以上3個以下の融着物があるものの、ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチは見られない。
C:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが3本以上5本以下又は感光ドラム上に3個以上5個以下の融着物あるものの、ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチがほんの少し見られる。しかし、画像処理で消せるレベル。
D:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが6本以上20本以下又は感光ドラム上に6個以上20個以下の融着物があり、ハーフトーン部、ベタ部の画像上にも細かいスジが数本や濃度の異なるポチが見られる。画像処理でも消せない。
E:現像ローラー上とハーフトーン部の画像上に21本以上のスジや濃度の異なるポチが見られ、画像処理でも消せない。
キヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cの定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した。この改造後のLBP9600Cを用いて、プロセススピ−ド230mm/secで、トナー載り量が0.40mg/cm2の未定着トナー画像を受像紙にオイルレスで加熱加圧し、受像紙に定着画像を形成した。
定着性は、キムワイプ(商品名:S−200、(株)クレシア)用い、75g/cm2の荷重をかけて定着画像を10回こすり、こすり前後の濃度低下率が5%未満になる温度を低温オフセット終了温度とした。評価は、常温常湿(25℃/50%RH)で実施した。
(保存性の評価)
10gのトナー1を100mLガラス瓶にいれ、温度50℃、湿度20%で15日間放置した後に目視で判定した。
A:変化なし
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる
C:ほぐれにくい凝集体が発生
D:流動性なし
E:明白なケーキングが発生
(長期保存性の評価)
10gのトナー1を100mLガラス瓶にいれ、温度45℃、湿度95%で3カ月間放
置した後に目視で判定した。
A:変化なし
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる
C:ほぐれにくい凝集体が発生
D:流動性なし
E:明白なケーキングが発生
実施例1のトナー1をトナー2〜30に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表13、表14及び表15に示した。
実施例1のトナー1を比較トナー1〜11に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表16に示した。
実施例1のトナー1をトナー粒子1に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表15に示した。トナー1とトナー粒子1の評価結果は遜色ない結果であった。
図4のような構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cのトナーカートリッジを用い、トナー1(シアン) 240gを装填した。同様にトナー27(ブラック)、トナー29(マゼンタ)、トナー30(イエロー)をそれぞれLBP9600Cのトナーカートリッジに240gずつ充填した。前記4色のカートリッジセットをそれぞれ低温低湿L/L(10℃/15%RH)、常温常湿N/N(25℃/50%RH)、高温高湿H/H(32.5℃/85%RH)の各環境下で24時間放置した。各環境下で24時間放置後にシアン、ブラック、マゼンタ、イエローのカートリッジをLBP9600Cにセットして、35.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で1,000枚までプリントアウトして、初期と1,000枚出力時のベタ画像濃度とカブリ、1,000枚出力時の部材汚染(フィルミング、現像スジ、感光ドラムへのトナーの融着)の評価を行った。その結果、実用上問題のなく、良好な結果が得られた。
また、図4のような構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cのトナーカートリッジを用い、トナー1(シアン)240gを装填した。同様にトナー27(ブラック)、トナー29(マゼンタ)、トナー30(イエロー)をそれぞれLBP9600Cのトナーカートリッジに240gずつ充填した。前記4色のカートリッジセットを過酷環境(40℃/90%RH)で168時間放置した。その後、超高温高湿SHH(35.0℃/85%RH)に24時間放置してから、シアン、ブラック、マゼンタ、イエローのカートリッジをLBP9600Cにセットして、35.0%の印字比率の画像を1,000枚までプリントアウトして、初期の上記ベタ画像濃度とカブリ、1,000枚出力時の部材汚染(フィルミング、現像スジ、感光ドラムへのトナーの融着)の評価を行った。その結果、実用上問題のなく、良好な結果が得られた。
前記トナー粒子の表面には有機ケイ素重合体が存在し、
前記有機ケイ素重合体において、Siには−Rで表される基及びOのみが結合しており、前記−Rは独立して炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を表し、
前記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される部分構造を有し、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、下記式(T3)で表される部分構造のピーク面積の割合[ST3]が、ST3≧0.40の関係を満たすことを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、トナー粒子を有するトナーであって、
前記トナー粒子の表面には、有機ケイ素重合体が存在し、
前記有機ケイ素重合体中の1つのケイ素原子の4つの結合手のうちの1つには、他のケイ素原子と共有される酸素原子が結合し、残りの3つの結合手には、各々独立に、他のケイ素原子と共有される酸素原子、有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びアルコキシ基からなる群より選択されるいずれかが結合し、
前記有機基は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、
前記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される部分構造を有し、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の 29 Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、下記式(T3)で表される部分構造のピーク面積の割合[ST3]が、ST3≧0.40の関係を満たすことを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、トナー粒子を有するトナーであって、
前記トナー粒子の表面には有機ケイ素重合体(ただし、化学的に結合させた多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む樹脂は除く)が存在し、
前記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される部分構造を有し、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の 29 Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、下記式(T3)で表される部分構造のピーク面積の割合[ST3]が、ST3≧0.40の関係を満たすことを特徴とするトナーに関する。
Claims (8)
- 前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、ケイ素に結合するO1/2の数が2.0である構造のピーク面積の割合[SX2]と前記ST3が、ST3/SX2≧1.00の関係を満たす請求項1に記載のトナー。
- 前記式(Z)中のR1が、メチル基、エチル基、プロピル基、又は、フェニル基である請求項3に記載のトナー。
- 前記R1が、炭素数1以上3以下のアルキル基である請求項3に記載のトナー。
- 前記アルキル基が、メチル基、エチル基、又は、プロピル基である請求項5に記載のトナー。
- 前記式(Z)中のR2、R3及びR4は、それぞれ独立して、アルコキシ基である請求項3〜6のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記トナー粒子が、水系媒体中で、
前記有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物、及び、
重合性単量体
を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記重合性単量体を重合させることによって製造されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。
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