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JP6478553B2 - トナー - Google Patents

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JP6478553B2 JP2014206904A JP2014206904A JP6478553B2 JP 6478553 B2 JP6478553 B2 JP 6478553B2 JP 2014206904 A JP2014206904 A JP 2014206904A JP 2014206904 A JP2014206904 A JP 2014206904A JP 6478553 B2 JP6478553 B2 JP 6478553B2
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Description

本発明は、電子写真及び静電印刷のような画像形成方法に用いられる静電荷像(静電潜像)を現像するためのトナーに関する。
近年、コンピューター及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。
また、複写又はプリントを多く行うようなオフィスでの使用においては、多数枚の複写又はプリントによっても画質低下のない高耐久性が求められている。一方で、スモールオフィスや家庭での使用においては、高画質な画像を得るとともに、省スペース、省エネルギー、軽量化の観点から、画像形成装置の小型化が求められている。上記要求に対応するために、環境安定性、部材汚染、低温定着性、現像耐久性及び保存安定性といったトナーの性能のさらなる向上が必要となる。
特にフルカラー画像の場合は、カラートナーを重ね合わせて画像を形成しているため、各々の色のカラートナーが同じように現像されなければ、色再現性が低下し、色ムラが生じてしまうことがある。トナーの着色剤として用いられている顔料や染料がトナー粒子の表面に析出した場合、現像に影響が出てしまい、色ムラが生じてしまうことがある。
さらに、フルカラー画像の形成においては、定着時の定着性及び混色性が重要である。要望されている省エネルギー化を達成するためには、低温定着性にふさわしい結着樹脂が選択されるが、この結着樹脂がカラートナーの現像性及び耐久性に与える影響も大きい。
さらに、温度及び湿度が異なるような様々な環境において、長期使用可能の高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。このような要望に対応するためには、温度及び湿度といった使用環境によって生じるトナーの帯電量の変化や、トナー粒子の表面性の変化といった課題を解決する必要がある。また、現像ローラー、帯電ローラー、規制ブレード及び感光ドラムのような部材の汚染といった課題を解決する必要もある。よって、様々な環境に長期保存しても安定した帯電性や部材汚染が生じない安定した現像耐久性を有するトナーの開発が求められている。
温度及び湿度によるトナーの保存安定性や帯電量の変動の原因の1つとして、トナーの離型剤や樹脂成分が、トナー粒子の内部から表面に染み出す現象(以下「ブリード(bleed)」ともいう。)が生じ、トナー粒子の表面性を変化させることが挙げられる。
このような課題を解決する方法の1つとして、トナー粒子の表面を樹脂で覆う方法がある。
特許文献1では、高温保存性及び画像出力時の常温常湿環境下や高温高湿環境下における耐久性に優れたトナーとして、無機微粒子を表面に強く固着させたトナーが開示されている。
しかしながら、無機微粒子をトナー粒子に強く固着させたとしても、無機微粒子同士の隙間から離型剤や樹脂成分が染み出すブリードの発生や耐久劣化による無機微粒子の遊離により、過酷環境における耐久性及び部材汚染に対してはさらなる改善が必要となっている。
また、特許文献2では、着色剤や極性物質がトナー粒子の表面に露出することなく、狭い帯電量分布を有し、帯電量の湿度依存性が少ないトナーを得るために、反応系にシランカップリング剤を添加することを特徴とする重合トナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、このような方法では、トナー粒子の表面へのシラン化合物の析出量やシラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であり、環境安定性及び現像耐久性に対してはさらなる改善が必要となっている。
さらに、特許文献3では、トナーの帯電量制御を行い、温度、湿度の環境に左右されず良質な出力画像を形成する方法として、表面部に連続した薄膜の形で施されたケイ素化合
物を含んでいる重合トナーを用いる方法が開示されている。
しかしながら、有機官能基の極性が大きく、トナー粒子の表面へのシラン化合物の析出量やシラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であり、架橋度が弱く、高温高湿下における帯電性の変化による画像濃度の変化や耐久劣化による部材汚染に対してはさらなる改善が必要となっている。
さらに、特許文献4では、流動性、流動化剤の遊離、低温定着性、ブロッキング性を改善するトナーとして、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層を有する重合トナーが開示されている。
しかしながら、ケイ素化合物を含む粒子塊の隙間から離型剤や樹脂成分が染み出すブリードの発生、トナー粒子の表面へのシラン化合物の析出量やシラン化合物の加水分解及び縮重合が不十分であり、高温高湿下における帯電性の変化による画像濃度の変化やトナーの融着による部材汚染に対してさらなる改善が必要となっている。
特開2006−146056号公報 特開平03−089361号公報 特開平09−179341号公報 特開2001−75304号公報
本発明の目的は、現像耐久性、保存安定性、環境安定性、耐部材汚染及び低温定着性に優れたトナーを提供することにある。
本発明は、
結着樹脂及び有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記有機ケイ素重合体が、下記式(T3)で表される構造を有し、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の 29 Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する下記式(T3)で表される構造の割合が、5.0%以上であり、
前記トナー粒子が、ポリエステル樹脂を1.0質量%以上80.0質量%未満含有し、
前記ポリエステル樹脂が、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、縮重合物
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、縮重合物、及び、
芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、縮重合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合物、
であり、
X線光電子分光分析を用いた測定において、前記トナー粒子の表層における、炭素原子
の濃度dCと酸素原子の濃度dOとケイ素原子の濃度dSiと硫黄原子の濃度dSとの合計(dC+dO+dSi+dS)に対するケイ素原子の濃度dSiが、5.0原子%以上であることを特徴とするトナーである。
また、本発明は、
結着樹脂及び有機ケイ素重合体(ただし、化学的に結合させた多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む樹脂は除く)を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記有機ケイ素重合体が、下記式(T3)で表される構造を有し、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の 29 Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する下記式(T3)で表される構造の割合が、5.0%以上であり、
前記トナー粒子が、ポリエステル樹脂を1.0質量%以上80.0質量%未満含有し、
前記ポリエステル樹脂が、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、及び、
芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、
からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合物、
であることを特徴とするトナーである。
Figure 0006478553

(式(T3)中、Rfは、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は、アリール基である。
本発明によれば、現像耐久性、保存安定性、環境安定性、耐部材汚染及び低温定着性に優れたトナーを提供することができる。
本発明のトナー粒子の29Si−NMRの測定チャート。 TEM観察で得られたトナー粒子断面の説明図。 本発明のトナーのDSC測定で得られたリバーシングヒートフロー曲線を示す図。 本発明で使用する画像形成装置の一例を示す概略構成図。
以下、本発明を詳細に説明するが、これら説明に限定されるわけではない。
本発明のトナーは、結着樹脂及び有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される構造(以下「T単位構造」ともいう。)を有し、
前記トナー粒子中に含有される有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する上記式(T3)で表される構造の割合(以下「ST3」ともいう。)が5.0%以上であり、
前記トナー粒子は、ポリエステル樹脂を1.0質量%以上80.0質量%未満含有し、
前記ポリエステル樹脂は、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合物、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合物、及び、
芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合物、からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合物であることを特徴とする。
Figure 0006478553

(式(T3)中、Rfは、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は、アリール基を表す。)
(有機ケイ素重合体とポリエステル樹脂)
トナー粒子は、上記式(T3)で表される構造を有する有機ケイ素重合体と特定のアルコール成分とカルボン酸成分から生成されるポリエステル樹脂を有することにより、環境安定性、低温定着性及び保存安定性に優れた効果を示す。
また、脂肪族化合物を構成成分として含むポリエステル樹脂は、芳香族化合物がその構成の主成分であるポリエステル樹脂に比べて抵抗が低いため、特定の環境における帯電性が低下する傾向にある。これは脂肪族同士が重なり合うことによってポリエステル分子間での電子移動が起こりやすくなるためと考えられる。また、ポリエステル樹脂の脂肪族同士の重なりがあることで、ある特定温度によってポリエステル樹脂が瞬時に溶解するため
、保存安定性と低温定着性が向上する。
本発明は、上記式(T3)で表される構造を有する有機ケイ素重合体の帯電性の改良、及び、脂肪族化合物をその構成成分として含むポリエステル樹脂の帯電性の改良、を実現するために、上記式(T3)のRfの炭素数とポリエステル樹脂を構成する脂肪族成分の炭素数とその構成比率を規定したトナーである。
上記の構成を採用することによって、環境安定性、低温定着性及び保存安定性が特に良化する。
有機ケイ素重合体に含有される上記式(T3)で表される構造中のRfで表される炭化水素基又はアリール基の疎水性により、内部の染み出しやすい樹脂や離型剤のブリードが抑えられ、保存安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。また、上記式(T3)中のRfで表される炭化水素基又はアリール基の帯電性により、環境安定性に優れたトナー得ることができる。
本発明において、上記式(T3)中のRfにおける炭化水素基は、アリール基以外の炭化水素基である。また、上記式(T3)中のRfにおける炭化水素基の炭素数が1以上3以下であることが、帯電性及びカブリ抑制のさらなる向上のために好ましい態様である。炭素数1以上3以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく例示でき、アリール基としては、フェニル基が好ましく例示できる。
より好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、上記式(T3)中のRfにおける炭化水素基はメチル基である。
本発明において、前記トナー粒子中に含有される有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する上記式(T3)で表される構造の割合(ST3)が5.0%以上である。上記式(T3)で表される構造の割合が5.0%以上であることによって、保存安定性と現像耐久性が向上する。5.0%未満だと長期保存安定性が低下する。
上記式(T3)で表される構造の割合は、10.0%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。帯電性、耐久性の観点から上記式(T3)で表される構造の割合は、100.0%以下であることが好ましく、90.0%以下であることがより好ましく、80.0%以下であることがさらに好ましい。
なお、上記T単位構造の割合は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体の製造における反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
(ポリエステル樹脂)
本発明に用いられるトナー粒子は、ポリエステル樹脂を1.0質量%以上80.0質量%未満含有する。好ましくは、ポリエステル樹脂を2.5質量%以上75.0質量%未満含有し、より好ましくは、ポリエステル樹脂を5.0質量%以上70.0質量%未満含有する。
下記に示す特定のポリエステルをトナー粒子に特定量含有させることで、低温定着性、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを提供することが可能となる。
上記ポリエステル樹脂は、炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合物、炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合物、及び、芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合物である。
上記のように、炭素数2以上16以下の脂肪族ジオール、又は、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を特定量含有する重合物であることによって、低温定着性に優れた
トナーを得ることができる。
脂肪族ジオール、又は、脂肪族ジカルボン酸の炭素数が2未満の場合には保存安定性が低下する傾向にあり、また、炭素数が16を超える場合には、低温定着性が低下する傾向にある。上記脂肪族ジオール又は脂肪族ジカルボン酸の炭素数について、好ましくは炭素数4以上12以下であり、より好ましくは炭素数6以上8以下である。
一方、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中50モル%以上含有していることによって、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。また、炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中50モル%以上含有していることによって、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールのアルコール成分中の含有量が50モル%未満の場合には保存安定性が低下する場合がある。また、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸のカルボン酸成分中の含有量が50モル%未満の場合には保存安定性が低下する場合がある。
炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中50モル%以上含有していることによって、環境安定性に優れたトナーを得ることができる。また、芳香族ジオールをアルコール成分中50モル%以上含有していることによって、環境安定性に優れたトナーを得ることができる。
芳香族ジオールのアルコール成分中の含有量が50モル%未満の場合には保存安定性が低下する場合がある。また、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸のカルボン酸成分中の含有量が50モル%未満の場合には保存安定性が低下する場合がある。
なお、上記ポリエステル樹脂を構成する各成分の詳細、及び、製造方法等については後述する。
(有機ケイ素重合体)
本発明に用いられる有機ケイ素重合体の代表的な製造例としては、ゾルゲル法と呼ばれる製造方法が挙げられる。
ゾルゲル法は、金属アルコキシドM(OR)n(M:金属、O:酸素、R:炭化水素、n:金属の酸化数)を出発原料に用いて、溶媒中で加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットの合成に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子といった種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子に含まれる有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
また、有機ケイ素重合体を含有する表層がトナーの粒子の表面に均一に設けられていることが好ましい態様の1つである。有機ケイ素重合体を含む表層がトナーの粒子の表面に均一に設けられていることによって、従来のトナーで行われているような無機微粒子の固着や付着を行わなくても、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、溶液から出発し、その溶液をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に存在させやすい。
しかしながら、有機ケイ素化合物の疎水性が大きい場合(例えば、有機ケイ素化合物が疎水性の高い官能基を有する場合)、トナー粒子の表層に有機ケイ素化合物を存在させにくくなるため、その結果、トナー粒子は有機ケイ素重合体を含有する表層を形成しにくくなる。一方で、有機ケイ素化合物の炭化水素基の炭素数が0の場合には疎水性が弱くなりすぎるため、トナーの帯電安定性が低下する傾向がある。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機ケイ素化合物の種類及び添加量などによって調整することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物を重合させて得られる有機ケイ素重合体であることが好ましい。
Figure 0006478553
は、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は、アリール基を表す。Rにおける炭化水素基は、アリール基以外の炭化水素基である。Rが炭化水素基又はアリール基であることで、得られる有機ケイ素重合体の疎水性を向上させることが可能となり、環境安定性に優れたトナーを得ることができる。Rの疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みて、Rは炭素数1以上3以下であることが好ましい。炭素数1以上3以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく例示でき、アリール基としては、フェニル基が好ましく例示できる。この場合、帯電性及びカブリ抑制が良好となる。より好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、Rはメチル基である。
〜Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基であり(以下「反応基」ともいう。)、これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点からメトキシ基やエトキシ基が好ましい。また、R〜Rの加水分解、付加重合及び縮合重合は反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下「三官能性シラン」ともいう。)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
また、本発明において、有機ケイ素重合体の含有量は、トナー粒子中に0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.75質量%以上40.0質量%以下であることがより好ましい。
上記式(Z)としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシ
ラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメトキシジクロロシラン、ビニルエトキシジクロロシラン、ビニルジメトキシクロロシラン、ビニルメトキシエトキシクロロシラン、ビニルジエトキシクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルジアセトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、ビニルアセトキシメトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジエトキシシラン、ビニルトリヒドロキシシラン、ビニルメトキシジヒドロキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のビニルシラン。
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のアリルシラン。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体において、式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の含有量は、有機ケイ素重合体中に50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上である。式(Z)を満たす有機ケイ素化合物の含有量を50モル%以上とすることによって、さらにトナーの環境安定性を向上させることができる。
また、本発明において、本発明の効果を損なわない程度に、式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物とともに、一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に3つの反応基を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。併用してもよい有機ケイ素化合物としては以下のようなものが挙げられる。
ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、ビニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結
合状態が異なることが知られている。具体的には、反応媒体が酸性である場合には、水素イオンが1つの反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、H1つで反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素を1つ攻撃するため、反応媒体中のHの含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、ケイ素原子に付いた反応基のすべてが加水分解する前に縮重合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成しやすい。
一方、反応媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一ケイ素原子に3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び縮重合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
従って、有機ケイ素重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上であることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。また、ゾルゲル反応は、反応温度90℃以上、かつ、反応時間5時間以上で行うことが好ましい。
このゾルゲル反応を上記反応温度及び反応時間で行うことによって、トナー粒子の表面のゾルやゲルの状態のシラン化合物同士が結合した合一粒子の形成を抑制することができる。
さらに、本発明の効果を損なわない程度に、上記有機ケイ素化合物とともに、有機チタン化合物や有機アルミ化合物を用いてもよい。
有機チタン化合物としては、以下のものが挙げられる。チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、チタンイソブトキサイド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンラクテート、チタンメタクリレートイソプロポキサイド、トリイソプロポキシチタネート、チタンメトキシプロポキサイド、チタンステアリルオキサイド。
有機アルミ化合物としては、以下のものが挙げられる。
アルミニウム(III)−n−ブトキサイド、アルミニウム(III)−s−ブトキサイド、アルミニウム(III)−s−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)ジ−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムフェノキサイド、アルミニウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート。
なお、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。これらを適宜に組み合わせたり、添加量を変えたりすることで、帯電量を調節することができる。
本発明のトナーは、トナー粒子の表層(表面層、最表層)のX線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical An
alysis)を用いた測定において、トナー粒子の表層における、炭素原子の濃度dCと酸素原子の濃度dOとケイ素原子の濃度dSiと硫黄原子の濃度dSの合計(dC+dO+dSi+dS)に対するケイ素原子の濃度dSi(dSi/[dC+dO+dSi+dS])が、1.0原子%以上であることが好ましく、2.5原子%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは5.0原子%以上であり、特に好ましくは15.0原子%以上である。
上記ESCAは、トナー粒子の表面からトナー粒子の中心(長軸の中点)に数nmの厚さで存在する表層の元素分析を行うものである。このトナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度(dSi/[dC+dO+dSi+dS])が1.0原子%以上であることで、表層の表面自由エネルギーを小さくすることができる。前記ケイ素原子の濃度を1.0原子%以上に調整することによって、流動性がさらに向上し、部材汚染やカブリの発生をより抑制することができる。
一方、前記トナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度(dSi/[dC+dO+dSi+dS])は、帯電性の観点より、33.3原子%以下であることが好ましく、より好ましくは28.6原子%以下である。
前記トナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度は、上記式(T3)中のRfの構造、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量によっても制御することができる。なお、本発明においてトナー粒子の表層とはトナー粒子の表面からトナー粒子の中心(長軸の中点)に向かって0.0nm以上5.0nm以下の厚さで存在する層を意味する。
本発明のトナーは、トナー粒子の表層のX線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた測定において、ケイ素原子の濃度dSi(原子%)の炭素原子の濃度dC(原子%)に対する比[dSi/dC]が0.15以上5.00以下であることが好ましい。[dSi/dC]を上記範囲とすることで、表面自由エネルギーを小さくすることができ、耐部材汚染及び現像耐久性に効果がある。耐部材汚染及び現像耐久性をより良化するために、[dSi/dC]は0.20以上4.00以下であることがより好ましく、0.30以上であることがさらに好ましい。
また、ケイ素原子の濃度dSi(原子%)の炭素原子の濃度dC(原子%)に対する比[dSi/dC]が0.15未満の場合、トナー粒子の表層の炭素量が相対的に多くなり、表面自由エネルギーが大きくなるため粒子同士の凝集や部材との親和性が強くなり部材汚染が悪化する傾向にある。一方、[dSi/dC]が5.00を超える場合は、炭素原子に起因する疎水性が少なくなりすぎ環境安定性及び現像耐久性が低下する傾向がある。
有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の[dSi/dC]は、上記式(T3)中のRfの構造、親水性基の数、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の量で制御することができる。
本発明において、トナー粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割し、前記中心からトナー粒子の表面へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)としたときに、前記分割軸上の32箇所の有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.(以下「表層の平均厚みDav.」ともいう。)が、5.0nm以上150.0nm以下であることが好ましい。これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。保存安定性の観点から、トナー粒子の表層の平均厚みDav.は7.5nm以上125.0nm以下
であることがより好ましく、さらに好ましくは10.0nm以上100.0nm以下である。トナー粒子の表層の平均厚みDav.が5.0nm未満ではトナー粒子中の樹脂成分や離型剤等によるブリードが発生しやすい。そのため、トナー粒子の表面性が変化して環境安定性、現像耐久性が悪くなる傾向がある。トナー粒子の表層の平均厚みDav.が150.0nmを超える場合では低温定着性が悪くなる傾向がある。
有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.は、上記式(T3)中のRfの構造、親水性基の数、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の量で制御することができる。
(トナー粒子の製造方法)
次に、トナー粒子の製造方法について説明する。
以下、有機ケイ素重合体をトナー粒子中及び表層に含有させる具体的態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
第一製法としては、水系媒体中で、有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物、結着樹脂を形成するための重合性単量体、及び、上記ポリエステル樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成(造粒)し、重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る態様(以下「懸濁重合法」ともいう。)が挙げられる。
第二製法としては、先にトナー粒子の母体を得た後、トナー粒子の母体を水系媒体中に投入して、水系媒体中でトナー粒子の母体に有機ケイ素重合体の表層を形成する態様が挙げられる。トナー粒子の母体は、結着樹脂及び上記ポリエステル樹脂を溶融混練し、粉砕することによって得られるものであってもよく、結着樹脂粒子及び上記ポリエステル樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させ、会合させることによって得られるものであってもよく、また、結着樹脂、有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物及び上記ポリエステル樹脂を、有機溶媒に溶解させ、製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去することによって得られるものであってもよい。
第三製法としては、結着樹脂、有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物、及び、上記ポリエステル樹脂を、有機溶媒に溶解させ、製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去してトナー粒子を得る態様が挙げられる。
第四製法としては、結着樹脂粒子、上記ポリエステル樹脂粒子、及び、ゾル又はゲル状態の有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物含有粒子を、水系媒体中で凝集させ、会合させてトナー粒子を形成(造粒)する態様が挙げられる。
第五製法としては、トナー粒子の母体の表面に、有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物(ある程度重合させていてもよい)を含有する溶媒をスプレードライ法によりトナー粒子の母体の表面に噴射し、熱風及び冷却により表面を重合又は乾燥させて、有機ケイ素重合体をトナー粒子の表層に形成する態様が挙げられる。トナー粒子の母体は、結着樹脂及び上記ポリエステル樹脂を溶融混練し、粉砕して得てもよく、結着樹脂粒子及び上記ポリエステル樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させ、会合させて得てもよく、結着樹脂、有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物及び上記ポリエステル樹脂を、有機溶媒に溶解させ、製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去して得てもよい。
これらの製造方法によって製造されたトナー粒子は、有機ケイ素重合体がトナー粒子の内部又は表面近傍で形成されるため、環境安定性(特に、過酷環境下での帯電性)が良好となる。また、過酷環境下においてもトナー内部に存在する樹脂や、必要に応じて添加される離型剤のブリードによるトナー粒子の表面状態の変化が抑制される。
本発明において、得られたトナー粒子又はトナーを、熱風を用いて表面処理してもよい。熱風を用いてトナー粒子又はトナーの表面処理を行うことによって、トナー粒子の表面
近傍の有機ケイ素重合体の縮重合を促進して、環境安定性と現像耐久性を向上させることができる。
上記熱風を用いた表面処理としては、熱風でトナー粒子又はトナーの表面を処理することができ、かつ、熱風で処理されたトナー粒子又はトナーを冷風で冷却できる方式を採用できる手段であればどのようなものであってもよい。
熱風を用いた表面処理を行う装置としては、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)が挙げられる。
上記製造方法において水系媒体とは、以下のものが挙げられる。
水;メタノール、エタノール、及び、プロパノールのようなアルコール類、並びに、これらの混合溶媒である。
本発明のトナー粒子の製造方法として、上述した製造方法の中でも、第一製法である懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法では有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面に均一に析出しやすく、トナー粒子の表層と内部との接着性に優れ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性が良好になる。以下、懸濁重合法についてさらに説明する。
上記重合性単量体組成物には、必要に応じて着色剤、離型剤、極性樹脂、及び、低分子量樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、生成した粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥させてトナー粒子を得る。なお、上記重合工程の後半に昇温してもよい。さらに、未反応の重合性単量体又は副生成物を除去するために、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。
なお、以下に記載される材料は、懸濁重合法にのみ適用されるものではなく、上記他の製法にも適用できるものである。
(低分子量樹脂)
上記低分子量樹脂として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、以下の樹脂を用いることができる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独或いは混合して使用できる。
上記低分子量樹脂においては、高温時におけるトナーの粘度の変化の改良を目的として樹脂が重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基としては、ビニル基、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基(カルボン酸基)、ヒドロキシ基が挙げられる。
なお、上記低分子量樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)は、2000以上6000以下であることが好ましい。
上記低分子量樹脂は、トナー粒子の形状や材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良を目的とするものである。単量体では水溶性のため、水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基(スルホン酸基)、グリシジル基、及び、ニトリル基のような親水性官能基含有の単量体成分をトナー粒子中に導入したいときには、これらとスチレンあるいはエチレンのようなビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体のような共重合体、ポリエステル及びポリアミドのような縮重合体、あるいは、ポリエーテル及びポリイミンのような付加重合体の形で使用することが可能である。
(ポリエステル樹脂)
本発明に用いられるポリエステル樹脂を構成するアルコール成分としては、以下の炭素数2以上16以下の脂肪族ジオール及び芳香族ジオールが挙げられる。以下に示すアルコール成分は2種以上組み合わせて使用してもよい。
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール等。
ビスフェノールA又はビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール。
ここで、融点を有するポリエステル樹脂を得るためには、α,ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、1,4-ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールがより好ましく、
1,4-ブタンジオールがさらに好ましい。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオール又は芳香族ジオールの含有量は、アルコール成分中に50モル%以上である。急激な粘度の変化により低温定着性をさらに向上させるためには、好ましくは80モル%以上100モル%以下であり、より好ましくは90モル%以上100モル%以下である。
また、本発明においては、アルコール成分として上記炭素数2以上16以下の脂肪族ジオール又は芳香族ジオール以外に多価アルコールを併用してもよい。多価アルコール成分としては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。これらのアルコール成分は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、以下の芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。以下に示すカルボン酸成分は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが挙げられる。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及び、イソプロピル基が挙げられる。テレフタル酸又はテレフタル酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステルはトナーの帯電安定性が良化するため好ましい。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸が挙げられる。また、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸は、炭素数2以上16以下の不飽和脂肪族
ジカルボン酸であってもよく、フマル酸、マレイン酸等を例示することができる。
上記炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中に50モル%以上であり、好ましくは50モル%以上70モル%以下であり、より好ましくは50モル%以上60モル%以下である。
上記炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中に50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上100モル%以下であり、より好ましくは90モル%以上100モル%以下である。
なお、上記炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が、炭素数2以上16以下の不飽和脂肪族ジカルボン酸である場合、カルボン酸成分中に、炭素数2以上16以下の不飽和脂肪族ジカルボン酸の含有量は、50.0モル%未満であることが好ましく、より好ましくは0.01モル%以上25.0モル%以下であり、さらに好ましくは0.10モル%以上10.0モル%以下である。炭素数2以上16以下の不飽和脂肪族ジカルボン酸の含有量が、カルボン酸成分中に50.0モル%未満であることで、低温定着性が良化する。
また、本発明においては、カルボン酸成分として、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸又は炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸以外に、3価以上のカルボン酸成分を使用してもよい。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−エチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物のなかでは、安価で、反応制御が容易なため、トリメリット酸及びトリメリット酸無水物が好ましい。
また、一価のカルボン酸、一価のアルコールを必要に応じて用いてもよい。具体的には、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸のような一価のカルボン酸;n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコールのような一価のアルコール。これらのカルボン酸成分及びアルコール成分は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、全カルボン酸成分と全アルコール成分の合計(100モル%)に対して全脂肪族ジカルボン酸成分と全脂肪族ジオール成分の合計が25モル%以上であることが好ましい。低温定着性が良化するため50モル%以上がより好ましい。
上記ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。具体的には、多価カルボン酸と多価アルコールとを、エステル化反応、又は、エステル交換反応させた後、低沸点の多価アルコールを減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って縮重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得る。エステル化又はエステル交換反応のときには必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムのような通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムのような公知の重合触媒を使用することができる。また、重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
(ビニル変性ポリエステル樹脂)
本発明において、上記ポリエステル樹脂がビニル系モノマーにより変性されたビニル変性ポリエステル樹脂であることも好適な態様である。
このビニル変性ポリエステル樹脂はポリエステル部位とビニル系重合体が結合した構造を有し、低温定着性はポリエステル骨格により与えられ、さらにビニル系重合体により帯電安定性及び保存安定性を向上させることができる。
前記ビニル変性ポリエステル樹脂は、芳香族ビニル単量体及びアクリル酸エステル系単量体を付加重合させたビニル系重合体とポリエステル部位とが化学的に結合したもの、又は、芳香族ビニル単量体及びメタクリル酸エステル系単量体を付加重合させたビニル系重合体とポリエステル部位とが化学的結合したものであることが好ましい。
また、ビニル変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル部位に含有されるヒドロキシ基とビニル系重合体に含有されるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとのエステル交換反応、ポリエステル部位に含有されるヒドロキシ基とビニル系重合体に含有されるカルボキシ基とのエステル反応により生成することができる。
本発明において、ビニル変性ポリエステル樹脂の前記ポリエステル部位が、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、を縮重合させて得られる重合物、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、を縮重合させて得られる重合物、及び、
芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、を縮重合させて得られる重合物、
からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合物である。
上記ビニル変性ポリエステル樹脂は、樹脂を構成する単量体としてビニル系単量体を1.0質量%以上60.0質量%以下含有していることが好ましく、より好ましくは2.5質量%以上50.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以上20.0質量%以下である。ビニル系単量体の含有量を上記範囲にすることによって、さらに帯電性と低温定着性を向上させることができる。
特に好ましいビニル変性ポリエステル樹脂としては、樹脂を構成するアルコール成分として炭素数2以上16以下の直鎖アルキルジオールを全アルコール100モル%に対し50モル%以上含有することが好ましい。また、樹脂を構成するカルボン酸成分として炭素数2以上16以下の直鎖型アリールジカルボン酸及び/又は炭素数2以上16以下の直鎖アルキルジカルボン酸を全カルボン酸100モル%中の50モル%以上含有することが好ましい。
上記ビニル変性ポリエステル樹脂を生成するために使用することができるビニル系単量体としては、スチレンと共重合可能なビニル系重合性単量体が挙げられる。このようなビニル系重合性単量体としては、後述するビニル系重合性単量体が挙げられる。
また、ビニル変性ポリエステル樹脂を生成する場合に、ビニル系重合体とポリエステル部位とを結合させる重合性基をポリエステル部位、ビニル系重合体、ポリエステルを構成する単量体、及び、ビニル系重合性単量体の少なくともいずれかに含むことが好ましい。ポリエステル部位を構成する単量体のうちビニル系重合体と反応し得るものとしては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。ビニル系重合体を構成する単量体としては、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸が挙げられる。
上記ビニル変性ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(4)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体を形成した後、これの存在下にポリエステル部位を重合させつつビニル変性ポリエステル樹脂を形成する方法である。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(2)ポリエステル部位を形成した後に、これの存在下にビニル系重合性単量体を重合
させつつビニル変性ポリエステル樹脂を製造する方法である。
(3)ビニル系重合体及びポリエステル部位を形成した後に、これらの重合体存在下にビニル系重合性単量体及び/又はポリエステル部位を構成する単量体(アルコール、カルボン酸等)を添加することによりビニル変性ポリエステル樹脂を製造する方法である。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(4)ビニル系重合体及びポリエステル部位をそれぞれ形成した後、エステル結合、アミド結合等により両者を結合させてビニル変性ポリエステル樹脂を製造する方法である。この場合も、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(4)の製造方法において、低軟化点化合物の存在下に反応を行ってもよい。上記の(1)〜(4)の製造方法の中でも、特に(2)の製造方法が、ビニル系重合体の分子量制御が容易であり好ましい。
さらに上記(2)の製造方法でポリエステル部位の末端のみにビニル基を導入し、ビニル系単量体を重合させることにより、ポリエステル部位末端にビニル系重合体が結合したブロック型を有するビニル変性ポリエステル樹脂を得ることができる。前記ビニル変性ポリエステル樹脂は、低温定着性と帯電安定性との点から特に好ましい。
本発明において、前記ビニル変性ポリエステル樹脂の含有量(ビニル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステル部位の含有量)は、トナー粒子中に1.0質量%以上80.0質量%未満であり、好ましくは2.5質量%以上75.0質量%未満であり、より好ましくは5.0質量%以上70.0質量%未満である。
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、融点を有するポリエステル樹脂であることが好ましい。また、前記ポリエステル樹脂の融点は、20.0℃以上90.0℃以下であることが好ましい。前記ポリエステル樹脂の融点は、40.0℃以上70.0℃以下であることが保存安定性と低温定着性のバランスの観点からより好ましく、さらに好ましくは50.0℃以上65.0℃以下である。
本発明において、上記ポリエステル樹脂及び上記ビニル変性ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量(Mw)は、2,000以上50,000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂及びビニル変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることによって、耐ブロッキング性及び現像耐久性と、低温定着性を両立させることができる。なお、本発明において、ポリエステル樹脂及びビニル変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリエステル樹脂及びビニル変性ポリエステル樹脂製造時の反応温度、反応時間、触媒量、架橋剤量及びモノマー種により調整することができる。
本発明において、上記ポリエステル樹脂及び上記ビニル変性ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量分布において、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]は、5.0以上100.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以上50.0以下である。[Mw/Mn]が上記範囲内であることによって、定着可能温度領域を広くすることができる。
(ポリエステル樹脂A)
上記トナー粒子は、上記ポリエステル樹脂以外の、他のポリエステル樹脂(以下「ポリエステル樹脂A」ともいう。)を含有することができる。
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、を縮重合させて得られる重合物、
炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をジカルボン酸成分中
に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、を縮重合させて得られる重合物、又は、
芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、を縮重合させて得られる重合物
であるポリエステル以外のポリエステル樹脂をポリエステル樹脂Aとする。なお、前記他のポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂A)は結着樹脂としても用いることもできる。
ポリエステル樹脂Aは、多価のアルコール成分と多価のカルボン酸成分とから公知の製法によって製造することができる。上記多価のアルコール成分及び多価のカルボン酸成分としては以下のもの又はその誘導体が挙げられる。
ポリエステル樹脂Aを構成する多価のアルコール成分としては、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で使用してもよいし、混合状態で使用してもよい。但し、これらに制限されるものではなく、他の三価以上のアルコールを架橋成分として用いることができる。
ポリエステル樹脂Aを構成する多価のカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;無水フタル酸のようなジカルボン酸無水物;及びテレフタル酸ジメチルのようなジカルボン酸のエステル化合物を挙げることができる。ポリエステル樹脂Aは下記の三価以上のカルボン酸を用いることにより、架橋させてもよい。トリメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−エチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−n−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリカルボン酸の低級アルキルエステル。但し、これらに制限されるものではなく、他の三価以上のカルボン酸あるいは三価以上のカルボン酸低級アルキルエステルを架橋成分として用いることができる。
また、一価のカルボン酸、一価のアルコールを用いてもよい。具体的には、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸のような一価のカルボン酸;n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコールのような一価のアルコール。
本発明において、ポリエステル樹脂Aのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量(Mw)は、2,000以上50,000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることによって、耐ブロッキング性及び現像耐久性と、環境安定性を成立させることができる。なお、本発明において、ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、ポリエステル樹脂Aの反応温度、反応時間、触媒量、架橋剤量及びモノマー種により調整することができる。
本発明において、ポリエステル樹脂Aのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量分布において、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]は、5.0以上100.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以上50.0以下である。[Mw/Mn]が上記範囲内であることによって、定着可能温度領域を広くすることができる。
(重合性単量体)
上記懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適
に例示できる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトン。
(重合開始剤)
上記重合性単量体の重合に際して、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系、又は、ジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5質量%以上30.0質量%以下の添加が好ましく、単独でも又は併用してもよい。
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールするために、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤の添加量としては、重合性単量体の0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
一方、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールするために、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(商品名:MANDA、日本化薬(株)製)、及び、以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
また、多官能の架橋剤としては以下のものが挙げられる。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート。架橋剤の添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
上記重合性単量体の重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の水系媒体中での分散安定剤として以下のものを使用することができる。
無機分散安定剤として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
また、有機系分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。
さらに、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
本発明において、難水溶性無機分散安定剤を用い、水系媒体を調製する場合に、これらの分散安定剤の添加量は重合性単量体100.0質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤を得るためには、水のような液媒体中で、高速撹拌下、難水溶性無機分散剤を生成させてもよい。具体的には、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
(結着樹脂)
トナー粒子を構成する結着樹脂はビニル系樹脂であることが好ましい。ビニル系樹脂は前述したビニル系重合性単量体の重合により生成される。ビニル系樹脂は、環境安定性に優れている。また、ビニル系樹脂の使用は、上記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物を重合させて得られる有機ケイ素重合体のトナー粒子の表面への析出性、表面均一性、長期保存安定性の獲得に優れているため好ましい。
これらのビニル系樹脂の中でも、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂又はスチレン−メタクリル樹脂が好ましい。これらの樹脂を用いることで、有機ケイ素重合体との接着性も良好になり、保存安定性と現像耐久性がさらに向上する。
(着色剤)
本発明において、トナー粒子は、必要に応じて着色剤を含有してもよい。前記着色剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合
アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いるこ
とができる。
また、トナーの製造方法によっては、着色剤の持つ重合阻害性や分散媒体移行性に注意を払う必要がある。必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面処理を施して表面改質を行ってもよい。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
また、染料を処理する好ましい方法として、あらかじめ染料の存在下に重合性単量体を重合させ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する方法が挙げられる。一方、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理のほか、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、オルガノシロキサン等)で処理を行ってもよい。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
(離型剤)
本発明において、トナー粒子を構成する材料の1つとして、離型剤を含有することが好ましい。前記トナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂が挙げられる。
なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
なお、離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
(荷電制御剤)
本発明において、トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又は、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩のような化合物によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及び、これらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、
ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独で或いは2種類以上組み合わせて使用することができる。これら荷電制御剤の中でも、金属含有サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
また、樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸系官能基を有する重合体が好ましい。スルホン酸系官能基を有する重合体とは、スルホ基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体である。
スルホ基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体としては、側鎖にスルホ基を有する高分子型化合物等が挙げられる。特にスルホ基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上、好ましくは5質量%以上含有し、かつ、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上90℃以下のスチレン及び/又はスチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体である高分子型化合物が好ましい。高湿下での帯電安定性が良化する。
上記のスルホ基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、下記式(X)で表されるモノマーが好ましく、具体的には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
Figure 0006478553

(式(X)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、アルコキシ基を表し、nは、1以上10以下の整数を表す。)
上記スルホ基を有する重合体は、トナー粒子において、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下含有させることにより、トナー粒子の帯電状態を一層良好なものとすることができる。
これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100.00質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。
(有機微粒子、無機微粒子)
本発明のトナーは、各種特性付与を目的として、トナー粒子に各種有機微粒子又は無機微粒子を外添し、トナーとすることができる。前記有機微粒子又は無機微粒子は、トナー粒子に添加したときの耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
有機微粒子又は無機微粒子としては、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロムのような金属酸化物、窒化ケイ素のような窒化物、炭化ケイ素のような炭化
物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムのような金属塩。
(3)滑剤:フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩。
(4)荷電制御性粒子:酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナのような金属酸化物、カーボンブラック。
有機微粒子又は無機微粒子は、トナーの流動性の改良及びトナーの帯電均一化のためにトナー粒子の表面を処理する。有機微粒子又は無機微粒子を疎水化処理することによって、トナーの帯電性の調整、高湿環境下での帯電特性の向上を達成することができるので、疎水化処理された有機微粒子又は無機微粒子を用いることが好ましい。有機微粒子又は無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独であるいは併用して用いてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時にあるいは処理した後に、シリコーンオイルより処理したものである。シリコーンオイルで処理された疎水化処理無機微粒子が高湿環境下でもトナーの帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上で好ましい。
これら有機微粒子又は無機微粒子の添加量は、トナー粒子100.00質量部に対し、0.00質量部以上10.00質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上10.00質量部以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.05質量部以上5.00質量部以下であり、特に好ましくは0.10質量部以上3.00質量部以下である。添加量の適正化により、有機微粒子又は無機微粒子のトナー粒子への埋め込みや遊離による部材汚染が良化する。これら有機微粒子又は無機微粒子は、単独で用いても、又、複数併用してもよい。
本発明において、有機微粒子又は無機微粒子のBET比表面積は、10m/g以上450m/g以下であることが好ましい。
有機微粒子又は無機微粒子の比表面積BETは、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置「ジェミニ2375 Ver.5.0」((株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m/g)を算出することができる。
有機微粒子又は無機微粒子はトナー粒子の表面に強固に固着や付着させてもよい。トナー粒子の表面に有機微粒子又は無機微粒子を強固に固着又は付着させるための外添混合機としては、ヘンシェルミキサー、メカノフュージョン、サイクロミックス、タービュライザ、フレキソミックス、ハイブリタイゼーション、メカノハイブリット、ノビルタが挙げられる。また、回転周速を早めたり、処理時間を長めにしたりすることで有機微粒子又は無機微粒子を強く固着や付着することができる。
以下、トナーの物性について説明する。
本発明のトナーにおいて、定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃における粘度は、1,000Pa・s以上40,000Pa・s以下であることが好ましい。この80℃粘度が1,000Pa・s以上40,000Pa・s以下であることで、トナーは低温定着性に優れる。80℃粘度は、より好ましくは2,000Pa・s以上20,000Pa・s以下である。なお、本発明において、上記80℃粘度は、低分子量樹脂の添加量や結着樹脂製造時の単量体種、開始剤量、反応温度及び反応時間により調整することができる。
トナーの定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃における粘度は以下の方法により求めることができる。
装置としては、フローテスターCFT−500D((株)島津製作所製)を用い、下記の条件で測定を行う。
・サンプル:約1.0gのトナーを秤量し、これを100kg/cmの荷重で1分間加圧成型器を用いて成型してサンプルを調製する。
・ダイ穴径:1.0mm
・ダイ長さ:1.0mm
・シリンダ圧力:9.807×10(Pa)
・測定モード:昇温法
・昇温速度:4.0℃/分
上記の方法により、30℃以上200℃以下の範囲におけるトナーの粘度(Pa・s)を測定し、80℃の粘度(Pa・s)を求める。当該値をトナーの定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃粘度とする。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以上7.0μm以下である。
本発明のトナーのガラス転移温度(Tg)は35℃以上100℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上80℃以下であり、さらに好ましくは45℃以上70℃以下である。ガラス転移温度が上記範囲であることによって、耐ブロッキング性、耐低温オフッセット性、オーバーヘッドプロジェクター用フィルムの透過画像の透明性をさらに向上させることができる。
本発明のトナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有量は、トナーの着色剤及び無機微粒子以外のトナー成分に対して50.0質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.0質量%以上45.0質量%未満であり、さらに好ましくは5.0質量%以上40.0質量%未満である。THF不溶分の含有量を50.0質量%未満とすることによって、低温定着性を向上させることができる。
上記トナーのTHF不溶分の含有量とは、THF溶媒に対して不溶性となった超高分子ポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)の質量割合を意味する。本発明において、トナーのTHF不溶分の含有量とは、以下のように測定された値である。
トナー1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(東洋濾紙(株)製のNo.86R(商品名))に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分を濃縮した後、40℃で数時間真空乾燥を行って、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー粒子中の着色剤のような樹脂成分以外の成分の質量を(W3g)とする。THF不溶分の含有量は、下記式から求められる。
THF不溶分の含有量(質量%)={(W1−(W3+W2))/(W1−W3)}×100
トナーのTHF不溶分の含有量は、結着樹脂の重合度、架橋度によって調整することが可能である。
本発明において、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量(Mw)(以下「トナーの重量平均分子量」ともいう。)は、5,000以上50,000以下であることが好ましい。トナーの重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることによって、耐ブロッキング性及び現像耐久性と、低温定着性及び画像の高グロスを成立させることができる。なお、本発明において、トナーの重量平均分子量(Mw)は、低分子樹脂の添加量及び重量平均分子量(Mw)やトナー粒子製造時の反応温度、反応時間、重合開始剤量、連鎖移動剤量及び架橋剤量により調整することができる。
本発明において、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量分布において、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]は、5.0以上100.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以上30.0以下である。[Mw/Mn]が上記範囲内であることによって、定着可能温度領域を広くすることができる。
(トナー粒子又はトナーの物性の測定方法)
(トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の調製法)
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のように調製した。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(商品名:No.86R、東洋濾紙(株)製)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中の濾物を40℃で数時間真空乾燥を行って得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とした。
なお、本発明において、トナーに上記有機微粒子又は無機微粒子が外添されている場合は、下記方法によって、前記有機微粒子又は無機微粒子を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学(株)製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31.0gと、コンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラーなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分で振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50m
L)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30分の条件で分離する。トナーと
水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラーなどで採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させる。乾燥品をスパチュラーで解砕してトナー粒子を得る。
(上記式(T3)で表される構造の確認方法)
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、上記式(T3)で表される構造の確認には以下の方法を用いる。
上記式(T3)中のRfで表される炭化水素基又はアリール基の有無は、13C−NMR及び29Si−NMRにより確認した。
また、上記式(T3)の詳細な構造は、H−NMR、13C−NMR及び29Si−
NMRにより確認した。使用した装置及び測定条件を以下に示す。
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCEIII 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(上記NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れた。
当該方法にて、上記式(T3)中のRfで表される炭化水素基又はアリール基の有無を確認した。シグナルが確認できたら、上記式(T3)で表される構造は“あり”とした。
13C−NMR(固体)の測定条件)
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75m秒
繰り返し時間:4秒
積算回数:2048回
LB値:50Hz
29Si−NMR(固体)の測定方法)
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
測定核周波数:99.36MHz
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
観測幅:29.76kHz
測定法:DD/MAS、CP/MAS
29Si 90°
パルス幅:4.00μ秒@−1dB
コンタクト時間:1.75m秒〜10m秒
繰り返し時間:30秒(DD/MAS)、10秒(CP/MAS)
積算回数:2048回
LB値:50Hz
(トナー粒子中に含有される有機ケイ素重合体のケイ素原子数に対する、上記式(T3)で表される構造(T単位構造、T3構造)の割合の算出方法)
トナー粒子中に含有される有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する、上記式(T3)で表される構造の割合[ST3](%)は以下のようにして求める。
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積からシランモノマーを除いた面積をSSとし、上記式(T3)で表される構造のピーク面積をS(T3)としたときに、ST3(%)は下記式で表される。
ST3(%)={S(T3)/SS}×100
トナー粒子のTHF不溶分の29Si−NMR測定後に、トナー粒子における置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて、下記一般式(X4)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が4.0であるX4構造、下記一般式(X3)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が3.0であるX3構造、下記式(X2)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が2.0であるX2構造、下記式(X1)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が1.0であるX1構造、式(T3)で表わされる構造にピーク分離して、各ピークの面積比から各成分のモル%を算出する。
Figure 0006478553


Figure 0006478553

(式(X3)中のRmはケイ素に結合している有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基)
Figure 0006478553
(式(X2)中のRg、Rhはケイ素に結合している有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基)
Figure 0006478553

(式(X1)中のRi、Rj、Rkはケイ素に結合している有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基)

カーブフィティングは日本電子(株)製のJNM−EX400用ソフトのEXcalibur for Windows(商品名) version 4.2(EX series)を用いる。メニューアイコンから「1D Pro」をクリックして測定データを読み込む。次に、メニューバーの「Command」から「Curve fitting function」を選択し、カーブフィティングを行う。その一例を図1に示す。合成ピーク(b)と測定結果(d)の差分である合成ピーク差分(a)のピークが最も小さくなるようにピーク分割を行う。
X1構造の面積、X2構造の面積、X3構造の面積、X4構造の面積を求めて以下の式によりSX1、SX2、SX3、SX4を求める。
(T3、X1、X2、X3及びX4の部分構造確認方法)
T3、X1、X2、X3及びX4の部分構造確認方法は、H−NMR、13C−NMR及び29Si−NMRにより確認できる。
NMR測定後に、トナー粒子の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにてX1構造、X2構造、X3構造、X4構造及びT3構造にピーク分離して、ピークの面積比から各成分のモル%を算出する。
本発明では化学シフト値でシランの構造を特定して、トナー粒子の29Si−NMRの測定において全ピーク面積からモノマー成分を取り除いたX1構造の面積とX2構造の面積とX3構造の面積とX4構造の面積の合計を有機ケイ素重合体の全ピーク面積(SS)とした。
SX1+SX2+SX3+SX4=1.00
SX1={X1構造の面積/SS}
SX2={X2構造の面積/SS}
SX3={X3構造の面積/SS}
SX4={X4構造の面積/SS}
ST3={T3構造の面積/SS}
X1構造、X2構造、X3構造、X4構造及びT3構造におけるケイ素の化学シフト値を以下に示す。
X1構造の一例(Ri=Rj=−OC、Rk=−CH):−47ppm
X2構造の一例(Rg=−OC、Rh=−CH):−56ppm
X3構造及びT3構造の一例(Rf=Rm=−CH):−65ppm
また、X4構造がある場合のケイ素の化学シフト値を以下に示す。
X4構造:−108ppm
(トナー粒子の表層に存在するケイ素原子の濃度(原子%))
トナー粒子の表層に存在するケイ素原子の濃度[dSi](原子%)、炭素原子の濃度[dC](原子%)、酸素原子の濃度[dO](原子%)、及び、硫黄原子の濃度[dS](原子%)は、X線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた表面組成分析を行い算出した。
本発明では、ESCAの装置及び測定条件は、下記のとおりである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件:X線源 Al Kα
X線:100μm、25W、15kV
ラスター:300μm×200μm
Pass Energy:58.70eV
Step Size:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V
Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Siは15回、Cは10回、Oは5回、Sは5回
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、ULVAC−PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子の表層に存在する、ケイ素原子の濃度[dSi]、炭素原子の濃度[dC]、酸素原子の濃度[dO]、及び、硫黄原子の濃度[dS](いずれも、原子%(atom%と同じ。))を算出した。
(透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下の割合、及び、表層の平均厚み(Dav.)の測定)
本発明において、トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間置き、エポキシ樹脂を硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(商品名:Tecnai TF20XT、FEI社製)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
本発明においては、用いる結着樹脂と有機ケイ素重合体の中の原子の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行っている。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四三酸化ルテニウム染色法及び四三酸化オスミウム染色法を用いる。本発明では真空電子染色装置(商品名:VSC4R1H、Filgen社製)を用い、薄片状にしたサンプルをチャンバーに入れ、濃度5、染色時間15分で染色処理を行った。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるものとした。
(表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である割合の測定)
上述のように、透過型電子顕微鏡(商品名:Tecnai TF20XT、FEI社製)を用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の明視野像を取得する。次に、EELS検出器(商品名:GIF Tridiem、Gatan社製)を用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表層に有機ケイ素重合体が存在することを確認する。次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均
粒径の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する(図2参照)。前記中心からトナー粒子の表層へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)、分割軸の長さをRAn、有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みをFRAnとする。
そして、32本存在する各分割軸上における表層の厚み(FRAn)が、5.0nm以下である分割軸の数の割合を求めた。これを式で表すと以下になる。
(表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である割合)={(表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である分割軸の数)/32}×100
この計算をトナー粒子10個に対して行い、得られた10個の表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である割合の平均値を求め、トナー粒子の表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である割合とした。
(透過型電子顕微鏡(TEM)写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem))
TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径Dtemを下記式に従って求める。
[TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)]={(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)}/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の断面から求めた円相当径とする。
(表層の平均厚み(Dav.)の測定)
トナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)は以下の方法で求める。
まず、1つのトナー粒子の表層の平均厚みD(n)を以下の方法で求める。D(n)=(分割軸上における表層の厚みの32箇所の合計)/32
この計算をトナー粒子10個に対して行い、得られたトナー粒子の表層の平均厚みD(n)(n=1〜10)から、トナー粒子1つあたりの平均値を下記式に従って計算し、トナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)とする。
Dav.={D(1)+D(2)+D(3)+D(4)+D(5)+D(6)+D(7)+D(8)+D(9)+D(10)}/10
(トナー(粒子)及び各種樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びメインピーク分子量(Mp)の測定)
トナー(粒子)及び各種樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びメインピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件により測定する。
(測定条件)
・カラム(昭和電工(株)製):Shodex GPC KF−801、KF−802、KF−803、KF−804、KF−805、KF−806、KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・温度:40℃
・流速:0.6mL/分
・検出器:RI
・試料濃度及び量:0.1質量%の試料を10μL
(試料調製)
測定対象(トナー(粒子)、各種樹脂)0.04gをテトラヒドロフラン20mLに分散、溶解後、24時間静置し、0.2μmフィルター(商品名:マイショリディスクH−25−2、東ソー(株)製))で濾過し、その濾液を試料として用いる。
検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、東ソー(株)製のTSKスタンダードポリスチレンF−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500を用いる。このとき、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。
GPCの分子量分布の作成において、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立ち上がり開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。
(トナー(粒子)及び各種樹脂のガラス転移温度(Tg)、融点及び熱量積分値の測定)
トナー(粒子)及び各種樹脂のガラス転移温度(Tg)、融点及び熱量積分値は、示差走査熱量計(DSC)M−DSC(商品名:Q2000、TA−インストルメンツ社製)を用いて、下記手順にて測定する。測定する試料(トナー(粒子)、各種樹脂)3mgを精秤する。これをアルミパン(アルミニウム製のパン)中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20℃以上200℃以下の間で、昇温速度1℃/分、常温常湿下で測定を行う。このときのモジュレーション振幅±0.5℃、周波数1/分で測定する。得られるリバーシングヒートフロー曲線からガラス転移温度(Tg:℃)を計算する。Tgは、吸熱前後のベースラインと吸熱による曲線の接線との交点の中心値をTg(℃)として求めたものである。
DSCによって測定される昇温時の吸熱チャートにおいて、吸熱メインピークのピークトップの温度(℃)を融点(℃)とする。
また、DSCによって測定される昇温時の吸熱チャートにおいて、吸熱メインピークのピーク面積で表されるトナー(粒子)1g当たりの熱量積分値(J/g)を測定する。トナー(粒子)のDSC測定によって得られたリバーシングフロー曲線の一例を図3に示す。
熱量積分値(J/g)は、上記の測定から得られたリバーシングフロー曲線を用いて求める。計算には解析ソフト Universal Analysis 2000 forWindows(商品名) 2000/XP Version4.3A(TAインスツルメンツ社製)を用い、Integral Peak Linearの機能を用いて、35℃と135℃での測定点を結ぶ直線と吸熱曲線とで囲まれた領域から熱量積分値(J/g)を求める。
なお、トナー(粒子)中に融点を有する化合物が2つ以上存在する場合には、融点が重なることもあるため、再沈澱法により、それぞれの化合物を分離精製して分析する。また、熱重量測定装置に質量分析装置を備え付けたTGA−GC−MASSにより分解温度や分解物のマススペクトルからその構造を特定する。さらに、H−NMR、13C−NMR、IR、MASSによって詳細な構造及び組成を特定する。
(トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定)
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールタ
ー社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解させて濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON
II(商品名)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤としてコンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
(トナー(粒子)の平均円形度の測定)
トナー(粒子)の平均円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置である「FPIA−3000型」(シスメックス(株)製)を用い、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
イオン交換水20mLに、分散剤として界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150ワットの卓上型の超音波洗浄器分散機(商品名:VS−150、(株)ヴェルヴォクリーア
製)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用する。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー(粒子)を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm以上、19.92μm以下に限定し、トナー(粒子)の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の5100A(商品名)をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間ごとに焦点調整を実施することが好ましい。
また、トナー(粒子)の円形度分布において、モード円形度が0.98以上1.00以下であると、トナー(粒子)の多くが真球に近い形状を有することを意味している。鏡像力やファンデルワールス力等に起因するトナー(粒子)の感光体への付着力の低下がより一層顕著になり、転写効率が高くなり好ましい。
ここで、モード円形度とは、0.40から1.00までの円形度を、0.40以上0.41未満、0.41以上0.42未満、…0.99以上1.00未満及び1.00のように0.01ごとに61分割し、測定した各粒子の円形度をそれぞれ各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となる分割範囲の円形度をいう。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、以下の配合における部数は、特に説明がない限り、質量部を示す。
本発明で用いる荷電制御樹脂の製造例について述べる。
(荷電制御樹脂1の製造例)
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に、溶媒としてメタノール250質量部、2−ブタノン150質量部及び2−プロパノール100質量部、単量体としてスチレン88質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.2質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸6.0質量部を添加して撹拌しながら常圧の還流下で加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。さらに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに常圧の還流下で5時間撹拌して重合を終了した。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕した。その微粒子を250メッシュの篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に前記粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加えて溶解させ、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。
さらに前述の真空乾燥後の粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加えて再溶解させ、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のn−ヘキサン中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のn−ヘキサンで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。こうして得られた荷電制御樹脂はTgが約82℃であり、メインピーク分子量(Mp)が19,500、数平均分子量(Mn)が11,500、重量平均分子量(Mw)が20,300であり、酸価は17.2mgKOH/gであった。得られた樹脂を荷電制御樹脂1とする。
(ポリエステル樹脂(1)の製造例)
・1,6−ヘキサンジオール:400.0質量部
・1,4−ブタンジカルボン酸:485.5質量部
上記単量体をオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着し、窒素雰囲気下、190℃で5時間反応を行い、200℃で5時間反応を行い、160℃、9kpaで反応を1時間行い、ポリエステル樹脂(1)を得た。重量平均分子量(Mw)は16、000、数平均分子量(Mn)は3、300であった。物性を表1又は2に示した。
(ポリエステル樹脂(2)〜(7)、(9)、(11)及び(12)の製造例)
表1又は表2に示した原材料に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂(2)〜(7)、(9)、(11)及び(12)を得た。物性を表1又は2に示した。
(ポリエステル樹脂A(1)〜(3)、(6)及び(7)の製造例)
表2に示した原材料に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂A(1)〜(3)、(6)及び(7)を得た。物性を表2に示した。
(ポリエステル樹脂(8)の製造例)
・1,3−プロパンジオール:300.0質量部
・フマル酸:448.8質量部
・ターシャリーブチルカテコール:10.0質量部
上記単量体をオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着し、窒素雰囲気下、190℃で5時間反応を行い、200℃で5時間反応を行い、160℃、9kpaで反応を1時間行い、ポリエステル樹脂(8)を得た。重量平均分子量(Mw)は24、500、数平均分子量(Mn)は3、800であった。物性を表1に示した。
(ポリエステル樹脂(10)の製造例)
・1,6−ヘキサンジオール:200.0質量部
・スチレン:140.0質量部
上記単量体をオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着し、窒素雰囲気下、170℃に加熱した。その後1,8−オクタンジカルボン酸336.0質量部、アクリル酸8.6質量部、ターシャリーブチルパーオキサイド 8.0質量部を添加した。その後190℃に昇温して190℃で5時間反応を行い、さらに200℃で5時間反応を行った。その後160℃、9kpaで反応を1時間行い、ポリエステル樹脂(10)を得た。重量平均分子量(Mw)は18、000、数平均分子量(Mn)は3、100であった。物性を表1に示した。
(ポリエステル樹脂A(4)の製造例)
(イソシアネート基含有プレポリマーの合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 730質量部
・フタル酸 295質量部
・ジブチルチタンオキサイド 3.0質量部
220℃にて攪拌して7時間反応し、さらに減圧下で5時間反応させた後、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート190質量部と2時間反応し、イソシアネート基含有ポリエステル樹脂を得た。イソシアネート基含有ポリエステル樹脂を25質量部とイソホロンジアミン1質量部を50℃で2時間反応させ、ウレア基を含有するポリエステルを主成分とするポリエステル樹脂A(4)を得た。得られたポリエステル樹脂A(4)の重量平均分子量(Mw)は24300、数平均分子量(Mn)は3080
、ピーク分子量は7500であった。物性を表2に示した。
(ポリエステル樹脂A(5)の製造例)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:100質量部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:105質量部
・テレフタル酸:82質量部
・ドデセニルコハク酸:65質量部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたフラスコに上記モノマーを投入し、1時間で195℃まで上げて、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。
これらモノマーの総質量に対してジステアリン酸スズを0.7質量%投入した。さらに生成する水を留去しながら195℃から5時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃でさらに2時間脱水縮合反応を行った。次いで、温度を190℃まで下げ、無水トリメリット酸の8質量部を徐々に投入し、190℃で1時間反応を継続した。その結果、ガラス転移温度が55.2℃、酸価が14.3mgKOH/g、水酸基価が24.1mgKOH/g、重量平均分子量が53,600、数平均分子量が6,000、軟化点108℃のポリエステル樹脂A(5)を得た。
(トナー粒子1の製造例)
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.125mol/LのNaPO水溶液1000質量部と1.0mol/Lの塩酸24.0質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.25mol/Lの塩化カルシウム水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 74.0質量部
・n−ブチルアクリレート 26.0質量部
・メチルトリエトキシシラン 5.0質量部
・銅フタロシアニン顔料 6.5質量部
(ピグメントブルー15:3)(P.B.15:3)
・ポリエステル樹脂(1) 10.0質量部
・荷電制御剤1 0.5質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・荷電制御樹脂1 0.4質量部
・離型剤 10.0質量部
(フィッシャートロップシュワックス、融点:77.1℃)
上記材料をアトライターで3時間分散させて得られた重合性単量体組成物1を60℃で20分保持した。その後、重合性単量体組成物1に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート 16.0質量部(トルエン溶液50%)を添加した重合性単量体組成物1を水系媒体中に投入し、高速撹拌装置の回転数を12,000rpmに維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内温を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら4時間反応させた。次に、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10.0質量部加えてpH 8.0にし、容器内を温度90℃に昇温して1.5時間維持した。その後、10%塩酸 4.0質量部とイオン交換水50質量部を加え、pHを5.1にした。次に、イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行った。蒸留留分は300質量部であった。その後、0.5℃/分の冷却速度で65℃の反応を2時間行って、重合体スラリー1を得た。30℃に冷却後の重合体スラリー1を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子が得られた。このトナー粒子をトナー粒子1とした。トナー粒子1の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子1のTEM観察においてケイ素マ
ッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。以下の実施例及び比較例においても、同様に有機ケイ素重合体を含有する表層はケイ素マッピングでも確認を行った。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子2の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにフェニルトリメトキシシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子2を得た。トナー粒子2の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子2のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子3の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにエチルトリメトキシシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子3を得た。トナー粒子3の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子3のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子4の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにn−プロピルトリエトキシシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子4を得た。トナー粒子4の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子4のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子5の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにn−ブチルトリエトキシシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子5を得た。トナー粒子5の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子5のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子6の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン 4.0質量部、メチルトリクロロシラン 1.0質量部に変更し、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を1.0質量部でpHを5.1に調整した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子6を得た。トナー粒子6の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子6のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子7の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリメトキシシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子7を得た。トナー粒子7の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示し
た。トナー粒子7のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子8の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルジエトキシクロロシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子8を得た。トナー粒子8の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子8のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子9の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン 30.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子9を得た。トナー粒子9の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子9のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子10の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン 2.5質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子10を得た。トナー粒子10の処方及び条件を表3に示し、物性を表8に示した。トナー粒子10のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子11の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン 1.5質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子11を得た。トナー粒子11の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子11のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子12の製造例)
トナー粒子1の製造例において、反応1 70℃ 4時間終了後に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液15.0質量部加えてpH 10.0とすること、及び、10%塩酸 4.0質量部をイオン交換水50質量部に加え、pHを5.1にしたところを10%塩酸 6.0質量部をイオン交換水50質量部に加え、pHを5.1にしたこと以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子12を得た。トナー粒子12の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子12のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子13の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン 1.0質量部、ジメチルジエトキシシラン 6.5質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子13を得た。トナー粒子1
3の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子13のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子14の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン 3.0質量部、テトラエトキシシラン 2.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子14を得た。トナー粒子14の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子14のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子15の製造例)
トナー粒子1の製造例において、ポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(2) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子15を得た。トナー粒子15の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子15のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子16製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたスチレン 74.0質量部を29.6質量部、n-ブチ
ルアクリレート 26.0質量部を10.4質量部、ポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(1) 70.0質量部に変更し、トルエン 60.0質量部を重合性単量体組成物に加えた以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子16を得た。トナー粒子16の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子16のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子17の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(1) 1.4質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子17を得た。トナー粒子17の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子17のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子18の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(3) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子18を得た。トナー粒子18の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子18のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子19の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポ
リエステル樹脂(4) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子19を得た。トナー粒子19の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子19のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子20の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(5) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子20を得た。トナー粒子20の処方及び条件を表4に示し、物性を表9に示した。トナー粒子20のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子21の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(6) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子21を得た。トナー粒子21の処方及び条件を表5に示し、物性を表10に示した。トナー粒子21のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子22の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(7) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子22を得た。トナー粒子22の処方及び条件を表5に示し、物性を表10に示した。トナー粒子22のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子23の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(8) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子23を得た。トナー粒子23の処方及び条件を表5に示し、物性を表10に示した。トナー粒子23のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子24の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(9) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子24を得た。トナー粒子24の処方及び条件を表5に示し、物性を表10に示した。トナー粒子24のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子25の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(10) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子25を得た。トナー粒子25の処方及び条件を表5に示し、物性を表
10に示した。トナー粒子25のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子26の製造例)
・ポリエステル樹脂A(3) 55.0質量部
・ポリエステル樹脂A(4) 35.0質量部
・ポリエステル樹脂(1) 10.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・荷電性制御剤1 0.5質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・荷電制御樹脂1 0.6質量部
・離型剤 10.0質量部
(フィシャートロップシュワックス 融点:77.1℃)
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、135℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行い、混練物を冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕して、さらに風力分級機を用いて分級することによって、重量平均粒径5.6μmのトナー母体26を得た。
(トナー粒子26の製造)
リービッヒ還流管を備え付けた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNaPO水溶液1000質量部と1.0mol/Lの塩酸24.0質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/Lの塩化カルシウム水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
次にトナー母体26 127.40質量部、メチルトリエトキシシラン 5.00質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、TK−ホモミキサーで5,000rpmに攪拌しながら、トナー材料を投入し5分間攪拌した。
ついでこの混合液を70℃ 4時間保持した。次に、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10.0質量部加えてpH 8.0にし、容器内を温度90℃に昇温して1.5時間維持した。その後、10%塩酸 4.0質量部とイオン交換水50質量部を加え、pHを5.1にした。その後、90℃のイオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行った。0.5℃/分の冷却速度で65℃にして2時間保持して重合体スラリー26を得た。蒸留留分は310質量部であった。重合体スラリー26を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。ろ別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子が得られた。このトナー粒子をトナー粒子26とした。
トナー粒子26の物性を表10に示した。トナー粒子26のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子27の製造例)
・ポリエステル樹脂A(3) 55.0質量部
・ポリエステル樹脂A(4) 35.0質量部
・ポリエステル樹脂(1) 10.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・荷電性制御剤1 0.5質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・荷電制御樹脂1 0.4質量部
・メチルトリエトキシシラン 5.0質量部
・離型剤(べヘン酸ベヘニル) 10.0質量部
上記材料を、トルエン400質量部に溶解させて、溶解液を得た。
リービッヒ還流管を備え付けた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.125mol/LのNaPO水溶液1000質量部と1.25mol/Lの塩酸24.0質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/Lの塩化カルシウム水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
次に上記溶解液100質量部をTK−ホモミキサーで12,000rpmに攪拌しながら、投入し5分間攪拌した。ついでこの混合液を70℃ 5時間保持した。次に、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10.0質量部加えてpH 8.0にし、容器内を温度90℃に昇温して1.5時間維持した。その後、10%塩酸 4.0質量部とイオン交換水50質量部を加え、pHを5.1にした。イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って重合体スラリー27を得た。蒸留留分は320質量部であった。重合体スラリー27を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子27が得られた。トナー粒子27の物性を表10に示した。トナー粒子27のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子28の製造例)
(樹脂粒子分散液(1)の調製)
・ポリエステル樹脂(1):100質量部
・メチルエチルケトン:50質量部
・イソプロピルアルコール:20質量部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記樹脂を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル樹脂(1)溶解液を得た。このポリエステル樹脂(1)溶解液の入った容器を65℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で5質量部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230質量部を10mL/分の速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらにエバポレータで減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂(1)の樹脂粒子分散液(1)を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、130nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
(樹脂粒子分散液(2)の調製)
・ポリエステル樹脂A(5):100質量部
・メチルエチルケトン:50質量部
・イソプロピルアルコール:20質量部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記材料を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル樹脂A(5)溶解液を得た。このポリエステル樹脂A(5)溶解液の入った容器を40℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で3.5質量部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230質量部を10mL/分の速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらに減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂A(5)の樹脂粒子分散液(2)を得た。樹脂粒子の体積平均粒径は、140nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
(樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液の調製)
樹脂粒子分散液(1) 100質量部(固形分20.0質量部)にメチルトリエトキシシラン20.0質量部を加えて撹拌しながら70℃で1時間保持した後、20℃/1hの速度で95℃に昇温し、3時間保持した。その後冷却して樹脂微粒子がゾルゲルで被覆された樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、20
0nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液は撹拌しながら10℃以下で保存し、調製後24時間以内に使用した。粒子の表面は粘性の高いゾル又はゲル状態である方が粒子同士の接着性が良好になるため好ましい。
(着色剤粒子分散液1の調製)
・銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3):45質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):5質量部
・イオン交換水:190質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対向衝突型湿式粉砕機:(株)スギノマシン製)を用い圧力250MPaで20分間分散処理を行い、着色剤粒子の体積平均粒径が110nmで、固形分量が20%の着色剤粒子分散液1を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
・オレフィンワックス(融点:84℃):60質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):2.0質量部
・イオン交換水:240質量部
以上を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで115℃に加温して分散処理を1時間行い、体積平均粒径150nm、固形分量20%の離型剤粒子分散液を得た。
(トナー粒子28の作製)
・樹脂粒子分散液(1):200質量部
・樹脂粒子分散液(2):400質量部
・樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液:100質量部
・着色剤粒子分散液1:50質量部
・離型剤粒子分散液:50質量部
フラスコ中にイオン性界面活性剤ネオゲンRKを2.4質量部加えた後、以上の材料を投入撹拌した。次いで、1mol/Lの硝酸水溶液を滴下してpH3.8にした後、これにポリ硫酸アルミニウム0.35質量部を加え、IKA製ウルトラタラックスで分散を行った。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら50℃まで加熱した。50℃で40分保持した後、ここに樹脂粒子分散液(1)のゾルゲル溶液300質量部の混合液を緩やかに追加した。
その後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して系内のpHを7.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌を継続しながら徐々に90℃まで加熱し、90℃で5時間保持した。さらに95℃で8.0時間保持した。その後、イオン性界面活性剤ネオゲンRKを2.0質量部加え、100℃で5時間反応を行った。反応終了後、減圧蒸留により85℃で320質量部の留分を回収した。その後、冷却、濾過、乾燥を行った。40℃のイオン交換水5Lに再分散し、15分間撹拌翼(300rpm)で撹拌し、濾過を行った。
この再分散と濾過の洗浄を繰り返し、電気伝導度6.0μS/cm以下となったところで、洗浄を終了し、トナー粒子28を得た。トナー粒子28の物性を表10に示した。トナー粒子28のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子29の製造例)
トナー母体26 100.0質量部をヘンシェルミキサー中で攪拌しながら、トルエン10.0質量部とエタノール5.0質量部と水5.0質量部とメチルトリエトキシシラン5.0質量部を90℃で6時間反応させた有機ケイ素重合体溶解液を3.5質量部噴霧して均一に混合した。
そして、粒子を入口温度90℃、出口温度45℃の条件で流動層乾燥機内を30分循環
させて、乾燥及び重合を行った。得られた処理トナーを同様にして、処理トナー100質量部に対し前記有機ケイ素重合体溶解液3.5質量部をヘンシェルミキサー内で噴霧して、入口温度90℃、出口温度45℃の条件で流動層乾燥機内を30分循環させた。
同様に有機ケイ素重合体溶解液の噴霧と乾燥を合計10回繰り返してトナー粒子29を得た。トナー粒子29の物性を表10に示した。トナー粒子29のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子30の製造例)
トナー粒子1の製造例において、銅フタロシアニン 6.5質量部をカーボンブラック10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子30を得た。トナー粒子30の処方及び条件を表5に示し、物性を表10に示した。トナー粒子30のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子31の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたスチレン 74.0質量部を63.0質量部に、n−ブチルアクリレート 26.0質量部を37.0質量部に変更し、メチルトリエトキシシラン 5.0質量部を4.0質量部に変更し、チタンテトラノルマルブトキシド 1.0質量部を加えた以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子31を得た。トナー粒子31の処方及び条件を表6に示し、物性を表11に示した。トナー粒子31のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子32の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いた銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3)6.5質量部をピグメントレッド122(P.R.122) 8.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子32を得た。トナー粒子32の処方及び条件を表6に示し、物性を表11に示した。トナー粒子32のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒33の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いた銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3)6.5質量部をピグメントイエロー155(P.Y.155)6.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子33を得た。トナー粒子33の処方及び条件を表6に示し、物性を表11に示した。トナー粒子33のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子34の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(11) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子34を得た。トナー粒子34の処方及び条件を表6に示し、物性を表11に示した。トナー粒子34のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(トナー粒子35の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(12) 10.0質量部に変更した以外は、トナー粒子1の製造例と同様にしてトナー粒子35を得た。トナー粒子35の処方及び条件を表6に示し、物性を表11に示した。トナー粒子35のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。
(比較トナー粒子1の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリエトキシシラン 0.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子1を得た。比較トナー粒子1の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子1のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、ケイ素原子は存在しなかった。
(比較トナー粒子2の製造例)
比較トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部を加えなかった以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子2を得た。比較トナー粒子2の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子2のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、ケイ素原子は存在しなかった。
(比較トナー粒子3の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにテトラエトキシシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子3を得た。比較トナー粒子3の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子3のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
(比較トナー粒子4の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりに3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 5.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子4を得た。比較トナー粒子4の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子4のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
(比較トナー粒子5の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1)10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂A(1)10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子5を得た。比較トナー粒子5の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子5のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
(比較トナー粒子6の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにメチルトリメトキシシラン 5.0質量部に変更し、ポリエステル樹脂(1)10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂A(2)10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子6を得た。比較トナー粒子6の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子6のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
(比較トナー粒子7の製造例)
比較トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1)10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(9)10.0質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子7を得た。比較トナー粒子7の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子7のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、ケイ素原子は存在しなかった。
(比較トナー粒子8の製造例)
比較トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1)10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂(10)10.0質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子8を得た。比較トナー粒子8の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子8のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、ケイ素原子は存在しなかった。
(比較トナー粒子9の製造例)
比較トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1)10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂A(3)10.0質量部に変更した以外は比較トナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子9を得た。比較トナー粒子9の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子9のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、ケイ素原子は存在しなかった。
(比較トナー粒子10の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたメチルトリエトキシシラン 5.0質量部の代わりにn−ブチルトリt−ブトキシシラン 2.5質量部に変更し、ポリエステル樹脂(1)10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂A(3)10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子10を得た。比較トナー粒子10の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子10のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、表層に少しケイ素原子が存在することを確認した。
(比較トナー粒子11の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂A(6) 10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子11を得た。比較トナー粒子11の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子11のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、ケイ素原子は存在した。
(比較トナー粒子12の製造例)
トナー粒子1の製造例で用いたポリエステル樹脂(1) 10.0質量部の代わりにポリエステル樹脂A(7) 10.0質量部に変更した以外はトナー粒子1の製造例と同様にして比較トナー粒子12を得た。比較トナー粒子12の処方及び条件を表7に示し、物性を表12に示した。比較トナー粒子12のTEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、ケイ素原子は存在した。
(トナー1の製造例)
トナー粒子1 100質量部に対し、BET法による比表面積が200m/gであり、ヘキサメチルジシラザン3.0質量%、100cpsのシリコーンオイル3質量%で表面を疎水化処理された疎水性シリカ0.3質量部とBET法による比表面積が50m/gの酸化アルミニウム0.1質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)(現・日本コークス工業(株))製)で混合して得られたトナーをトナー1とする。
(トナー2〜35の製造例)
トナー1の製造例においてトナー粒子1をトナー粒子2〜35に変更した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー2〜35を得た。
(比較トナー1〜12の製造例)
トナー1の製造例においてトナー粒子1を比較トナー粒子1〜12に変更した以外はトナー1の製造例と同様にして比較トナー1〜12を得た。
(トナー1の洗浄後の物性評価)
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学(株)製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製した。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31.0gと、コンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散液を作製した。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラーなどでトナーのかたまりをほぐした。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分で振とうした。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50m
L)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30分の条件で分離した。トナーと
水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラーなどで採取した。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させた。乾燥品をスパチュラーで解砕して洗浄トナー粒子1を得た。
得られた洗浄トナー粒子1を乾燥させて物性を測定したところ、洗浄トナー粒子1はトナー粒子1のトナー物性の結果とほぼ同じであった。
(トナー2〜35の洗浄後の物性評価及び比較トナー1〜12の洗浄後の物性評価)
トナー1の洗浄後の物性評価において、トナー1をトナーN(N=2〜35)及び比較トナーM(M=1〜12)に変更した以外は同様にして洗浄後の物性評価を実施したところ、洗浄トナー粒子N及び洗浄比較トナー粒子Mは、それぞれトナー粒子N及び比較トナー粒子Mのトナー物性の結果(表8〜表12)とほぼ同じになった。
(実施例1)
トナー1を用いて以下の評価を行った。評価結果を表18に示した。
(保存安定性の評価)
(保存性の評価)
10gのトナー1を100mLガラス瓶にいれ、温度50℃、湿度20%で15日間放置した後に目視で判定した。
A:変化なし
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる
C:ほぐれにくい凝集体が発生
D:流動性なし
E:明白なケーキングが発生
(長期保存性の評価)
10gのトナー1を100mLガラス瓶にいれ、温度45℃、湿度95%で3カ月間放置した後に目視で判定した。
A:変化なし
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる
C:ほぐれにくい凝集体が発生
D:流動性なし
E:明白なケーキングが発生
(環境安定性及び現像耐久性の評価)
図4に記載した構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP7700Cのトナーカートリッジにトナー1を150g装填した。そして、そのトナーカートリッジを低温低湿L/L(10℃/15%RH)、常温常湿N/N(25℃/50%RH)、高温高湿H/H(32.5℃/85%RH)の各環境下で24時間放置した。各環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP7700Cに取り付け、初期のベタ画像(トナー載り量0.40mg/cm)を出力した。その後、1.0%の印字比率の画像を15,000枚まで出力した。15,000枚の画像出力を行った後に再度ベタ画像を出力し、初期と15,000枚の画像出力後のベタ画像の濃度とカブリ、15,000枚の画像出力後の部材汚染の評価を行った。転写紙は70g/mのA4サイズを用い、A4ヨコ方向に印字した。
また、上記トナーカートリッジにトナー1を150g装填した。そして、そのトナーカートリッジを過酷環境(40℃/95%RH)で168時間放置した。その後、さらにそのトナーカートリッジを超高温高湿SHH(32.5℃/90%RH)に24時間放置した。超高温高湿環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP7700Cに取り付け、初期のベタ画像を出力した。その後、1.0%の印字比率の画像を15,000枚まで出力した。15,000枚の画像出力を行った後に再度ベタ画像を出力し、初期と15,000枚の画像出力後のベタ画像の濃度とカブリ、15,000枚の画像出力後の部材汚染の評価を行った。
(画像濃度の評価)
SPI補助フィルターを装着した、マクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)を用いて、初期のベタ画像及び15,000枚の画像出力後のベタ画像の定着画像部の画像濃度を測定した。なお、画像濃度の評価基準は下記のとおりである。転写紙は70g/mのA4サイズを用い、A4ヨコ方向に印字した。
A:1.45以上
B:1.40以上、1.45未満
C:1.30以上、1.40未満
D:1.25以上、1.30未満
E:1.20以上、1.25未満
F:1.20未満
(カブリの評価)
初期の0%の印字比率の画像及び15,000枚の画像出力後の0%の印字比率の画像において、「リフレクトメータ」((有)東京電色製)により測定した出力画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出した。また、そのカブリ濃度を下記の基準で画像カブリとして評価した。転写紙は70g/mのA4サイズを用い、A4ヨコ方向に印字した。
A:1.0%未満
B:1.0%以上、1.5%未満
C:1.5%以上、2.0%未満
D:2.0%以上、2.5%未満
E:2.5%以上、3.0%未満
F:3.0%以上
(部材汚染の評価)
部材汚染は15,000枚の画像出力後に、画像の前半部分をハーフトーン画像(トナー載り量0.25mg/cm)で形成し、後半部分をベタ画像(トナー載り量0.40mg/cm)で形成した画像を出力し、下記基準に従い評価した。転写紙は70g/m
のA4サイズを用い、A4ヨコ方向に画像出力した。
A:現像ローラー上にも、ハーフトーン部、ベタ部の画像上にも排紙方向の縦スジは見られない。
B:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが1本以上2本以下あるものの、ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジは見られない。
C:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが3本以上5本以下あるものの、ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジがほんの少し見られる。しかし、画像処理で消せるレベル。
D:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが6本以上20本以下あり、ハーフトーン部、ベタ部の画像上にも細かいスジが数本見られる。画像処理でも消せない。
E:現像ローラー上とハーフトーン部の画像上に21本以上のスジが見られ、画像処理でも消せない。
(トナーの摩擦帯電量の測定)
トナーの摩擦帯電量は、以下に示す方法によって求めた。まず、トナーと負帯電極性トナー用標準キャリア(商品名:N−01、日本画像学会製)を以下の環境下でそれぞれ所定時間放置した。
(1)低温低湿(10℃/15%RH)、常温常湿(25℃/50%RH)、及び、高温高湿(32.5℃/85%RH)で24時間放置した。
(2)過酷環境(40℃/95%RH)で168時間放置した。その後、さらに超高温高湿(32.5℃/90%RH)で24時間放置した。
上記放置後に、トナーと標準キャリアをトナーの量が5質量%となるように各環境下でターブラミキサを用いて120秒間混合し、二成分系現像剤を得た。次に、この二成分系現像剤を混合後1分以内に常温常湿(25℃/50%RH)の環境下で、底部に目開き20μmの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の質量差と、容器に接続されたコンデンサに蓄積された電位とを測定した。この際、吸引圧を4.0kPaとした。前記吸引前後の質量差、蓄電された電位及びコンデンサの容量から、下記式を用いてトナーの摩擦帯電量を算出した。
なお、測定に使用した負帯電極性トナー用標準キャリア(商品名:N−01、日本画像学会製)は250メッシュを通過したものを使用した。
Q=(A×B)/(W1−W2)
Q(mC/kg):トナーの摩擦帯電量
A(μF):コンデンサの容量
B(V):コンデンサに蓄積された電位差
W1−W2(kg):吸引前後の質量差
(低温定着性の評価(低温オフセット終了温度))
キヤノン製レーザービームプリンタLBP7700Cの定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した。この改造後のLBP7700Cを用いて、プロセススピ−ド250mm/秒で、トナー載り量が0.40mg/cmの未定着トナー画像を受像紙にオイルレスで加熱加圧し、受像紙に定着画像を形成した。
定着性は、キムワイプ(商品名:S−200、(株)クレシア製)を用い、75g/cmの荷重をかけて定着画像を10回こすり、こすり前後の濃度低下率が5%未満になる温度を低温オフセット終了温度とした。評価は、常温常湿(25℃/50%RH)で実施した。
本発明において、低温オフセット終了温度が125℃以下は好ましいレベルである。125℃より大きい場合には,省エネルギーの観点から好ましくない。
(実施例2〜35)
実施例1のトナー1をトナー2〜35に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表18、表19、表20及び表21に示した。なお、実施例11,29はそれぞれ参考例11,29とする。
(比較例1〜12)
実施例1のトナー1を比較用トナー1〜12に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表22に示した。
(実施例36)
実施例1のトナー1をトナー粒子1に変更した以外は実施例1と同様の評価を行った。その結果を表21に示した。トナー1とトナー粒子1の評価結果は遜色ない結果であった。
Figure 0006478553
Figure 0006478553
Figure 0006478553
Figure 0006478553
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Figure 0006478553
Figure 0006478553
Figure 0006478553
1 感光体、2 現像ローラー、3 トナー供給ローラー、4 トナー、5 規制ブレード、6 現像装置、7 レーザー光、8 帯電装置、9 クリーニング装置、10 クリーニング用帯電装置、11 撹拌羽根、12 駆動ローラー、13 転写ローラー、14 バイアス電源、15 テンションローラー、16 転写搬送ベルト、17 従動ローラー、18 紙、19 給紙ローラー、20 吸着ローラー、21 定着装置

Claims (13)

  1. 結着樹脂及び有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記有機ケイ素重合体が、下記式(T3)で表される構造を有し、
    前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の 29 Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する下記式(T3)で表される構造の割合が、5.0%以上であり、
    前記トナー粒子が、ポリエステル樹脂を1.0質量%以上80.0質量%未満含有し、
    前記ポリエステル樹脂が、
    炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、
    炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、及び、
    芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合物、
    であり、
    X線光電子分光分析を用いた測定において、前記トナー粒子の表層における、炭素原子の濃度dCと酸素原子の濃度dOとケイ素原子の濃度dSiと硫黄原子の濃度dSとの合計(dC+dO+dSi+dS)に対するケイ素原子の濃度dSiが、5.0原子%以上であることを特徴とするトナー。
    Figure 0006478553
    (式(T3)中、Rfは、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は、アリール基を表す。)
  2. 結着樹脂及び有機ケイ素重合体(ただし、化学的に結合させた多面体オリゴマーシルセ
    スキオキサンを含む樹脂は除く)を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記有機ケイ素重合体が、下記式(T3)で表される構造を有し、
    前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の 29 Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する下記式(T3)で表される構造の割合が、5.0%以上であり、
    前記トナー粒子が、ポリエステル樹脂を1.0質量%以上80.0質量%未満含有し、
    前記ポリエステル樹脂が、
    炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、
    炭素数2以上16以下の脂肪族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の芳香族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、及び、
    芳香族ジオールをアルコール成分中に50.0モル%以上含むアルコール成分と、炭素数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸をカルボン酸成分中に50.0モル%以上含むカルボン酸成分と、の縮重合物、
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合物、
    であることを特徴とするトナー。
    Figure 0006478553
    (式(T3)中、Rfは、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は、アリール基を表す。)
  3. X線光電子分光分析を用いた測定において、前記トナー粒子の表層における、炭素原子の濃度dCと酸素原子の濃度dOとケイ素原子の濃度dSiと硫黄原子の濃度dSとの合計(dC+dO+dSi+dS)に対するケイ素原子の濃度dSiが、1.0原子%以上である請求項2に記載のトナー。
  4. 前記Rfが、炭素数1以上3以下の炭化水素基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記Rfが、メチル基、エチル基、プロピル基、又は、フェニル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記有機ケイ素重合体中のケイ素原子数に対する前記式(T3)で表される構造の割合が、100.0%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記ポリエステル樹脂が、融点を有するポリエステル樹脂である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記ポリエステル樹脂の融点が、20.0℃以上90.0℃以下である請求項に記載のトナー。
  9. 前記カルボン酸成分中に、炭素数2以上16以下の不飽和脂肪族ジカルボン酸を50.0モル%未満含有する請求項1〜のいずれか1項に記載のトナー。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーの製造方法であって
    水系媒体中で、
    前記有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物、
    前記結着樹脂を形成するための重合性単量体、及び、
    前記ポリエステル樹脂
    を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る工程を有する製造方法。
  11. 前記有機ケイ素化合物が、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物である請求項10に記載のトナーの製造方法。
    Figure 0006478553
    (式(Z)中、Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は、アリール基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
  12. 前記Rが、炭素数1以上3以下の炭化水素基である請求項11に記載のトナーの製造方法。
  13. 前記Rが、メチル基、エチル基、プロピル基、又は、フェニル基である請求項11に記載のトナーの製造方法。
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