JP5911211B2 - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明のインクを構成する各成分やインクの物性について詳細に説明する。
(顔料)
顔料の種類としては、例えば、有機顔料や、カーボンブラックなどの無機顔料が挙げられ、インクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。本発明においては、顔料としてカーボンブラックを用いたブラックのインクとすることが特に好ましい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
ビスホスホン酸型自己分散顔料ではない、先に述べた特許文献2及び3において検討されているようなカルボン酸基などのイオン性基が結合している従来の自己分散顔料の場合は、官能基導入量をより高めることにより、画像濃度の向上が図られていた。これは、官能基による立体障害の影響と、インク中の水溶性有機溶剤との親和性がある、顔料粒子の表面における官能基が結合していない部分の面積を小さくすることで、顔料に対して水溶性有機溶剤を溶媒和させにくくすることができるためである。
本発明のインクは、カチオンとアニオンとが結合して構成される塩を含有することを一つの特徴とする。そして、前記カチオンは、K+及びNH4 +の少なくとも一方である。さらに、前記アニオンは、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、HCOO-、(COO-)2、COOH(COO-)、CH3COO-、C2H4(COO-)2、C6H5COO-、C6H4(COO-)2、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -からなる群から選ばれる少なくとも1種である。つまり、インクに添加する塩は、カリウム又はアンモニウムの塩であることを要する。インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は全てが解離した状態のいずれの形態であってもよい。このような塩を使用することで、インクの蒸発安定性と記録された画像における画像濃度とを高いレベルで両立することができる。
本発明のインク中に存在するカチオンは、顔料の官能基のカウンターイオンと、塩を構成するカチオンと、に由来するK+及びNH4 +である。勿論、本発明の効果が得られる範囲で、これら以外のカチオンが含有されていてもよい。本発明においては、インク中のカチオン濃度が0.04mol/L以上であることが必要である。なお、本発明者らの検討によれば、0.04mol/L未満であると画像濃度が得られないことが分かった。また、インク中のカチオン濃度の上限は、上述の蒸発時の顔料の粒子径やインクの粘度にも関係し、0.09mol/L以下であることが好ましい。その上限が0.09mol/Lを超えると、インクの蒸発安定性が十分に得られない場合があるので好ましくない。
本発明のインクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。インク中の常温で固体の水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、必要に応じて、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、キレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明のインクは、25℃において、寿命時間50m秒における動的表面張力が40mN/m以上であることが好ましく、さらには45mN/m以上であることが好ましい。このような特性を満足することにより、記録媒体の表面上に顔料を特に効率よく存在させることができ、より高い画像濃度を得ることができる。本発明においては、インクの動的表面張力の測定には最大泡圧法を採用した。この方法では、測定対象の液体中に浸したプローブ(細管)の先端部分から押し出された気泡を放出するのに必要な最大圧力を測定して、表面張力を求める。また、本発明において、「寿命時間」とは、最大泡圧法測定においてプローブの先端部分から気泡が形成される際の、気泡が離れた後に新しい表面が形成されてから最大泡圧時(気泡の曲率半径とプローブ先端部分の半径が等しくなったとき)までの時間を意味する。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、インク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、負圧によりインクを含浸した状態で保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室、及び、負圧発生部材により含浸されない状態でインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられる。又は、上記のようなインク収容室を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸した状態で保持する構成や、負圧発生部材を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸されない状態で収容する構成のインク収容部としてもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
(顔料の官能基導入量)
先ず、顔料の官能基導入量を測定する方法を説明する。測定対象である顔料の含有量が0.03%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製した。また、5℃で、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液について超遠心分離を行い、ビスホスホン酸型自己分散顔料が除去された上澄みの液体を採取し、これを純水で80倍程度に希釈してB液を調製した。上記のようにして得た測定用試料のA液及びB液について、ICP発光分光分析装置(SPS5100;SIIナノテクノロジー製)を用いてリンの定量を行った。そして、得られたA液及びB液におけるリン量の差分からホスホン酸基の量を求め、1つの官能基に含まれるホスホン酸基の数で割ることで、顔料への官能基導入量を算出した。
20g(固形分)のカーボンブラック、9mmolの((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸一ナトリウム塩(処理剤)、20mmolの硝酸、及び200mLの純水を混合した。この際、カーボンブラックには、ブラックパールズ880(商品名、キャボット製)を用い、混合は、シルヴァーソン混合機を用いて、室温で6,000rpmにて混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた20mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10に調整した。30分後、20mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行い、その後、顔料の含有量が10.0%となるようにして、分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4−CONH−CH−(PO(OH)(ONa))(PO(OH)2)基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の比較例で使用する顔料分散液Aを得た。官能基の導入量は0.33mmol/gであった。
上記で得られた顔料分散液Aに対して、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4−CONH−CH−(PO(OH)(OK))(PO(OH)2)基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の実施例に使用できる顔料分散液Bを得た。官能基の導入量は0.33mmol/gであった。
上記で得られた顔料分散液Aに対して、イオン交換法によりナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4−CONH−CH−(PO(OH)(ONH4))(PO(OH)2)基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の実施例に使用できる顔料分散液Cを得た。官能基の導入量は0.33mmol/gであった。
先の顔料分散液Aの調製において、用いた処理剤の量を、9mmolから7mmolに変えた以外は、顔料分散液Aと同様の手順で分散液を調製した。さらに、イオン交換法によりナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4−CONH−CH−(PO(OH)(ONH4))(PO(OH)2)基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の実施例に使用できる顔料分散液Dを得た。官能基の導入量は0.28mmol/gであった。
先の顔料分散液Aの調製において、用いた処理剤の量を9mmolから11mmolに変えた以外は、顔料分散液Aと同様の手順で分散液を調製した。さらに、イオン交換法によりナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4−CONH−CH−(PO(OH)(ONH4))(PO(OH)2)基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の実施例に使用できる顔料分散液Eを得た。官能基の導入量は0.38mmol/gであった。
先の顔料分散液Aの調製において、用いた処理剤の量を、9mmolから14mmolに変えた以外は、顔料分散液Aと同様の手順で分散液を調製した。さらに、イオン交換法によりナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4−CONH−CH−(PO(OH)(ONH4))(PO(OH)2)基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の参考例に使用できる顔料分散液Fを得た。官能基の導入量は0.46mmol/gであった。
アレンドロン酸ナトリウムを用いて、(4−(4−アミノベンゼンスルホニルアミノ)−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸ナトリウムを合成した。この際、アレンドロン酸ナトリウムには、(4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩(Zentiva製)を用いた。500mLのビーカーを用いて、34g(104mmol)のアレンドロン酸塩を150mLの純水中に加え、濃水酸化ナトリウム水溶液を用いて液体のpHを11に調整して溶解させた。これに、100mLのテトラヒドロフラン中に溶解させた25g(110mmol)のニトロフェニルスルホニルクロライドを滴下した。この際、水酸化ナトリウム水溶液をさらに加えて、液体のpHを10〜11に保った。滴下が終わった後、この液体を室温でさらに2時間撹拌した。その後、真空中でテトラヒドロフランを蒸発させ、そして、この液体のpHを4になるように調整し、固体を析出させた。4℃にて一晩冷却した後、この固体をろ過して、純水で洗浄、乾燥させることで、(4−(4−アミノベンゼンスルホニルアミノ)−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸ナトリウムを得た。
先の顔料分散液Aの調製において、用いた処理剤の量と種類を、7mmolの4−アミノベンジルホスホン酸(シグマアルドリッチ製)に変えた以外は、顔料分散液Aと同様の手順で分散液を調製した。さらに、イオン交換法によりナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%となるようにして、分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4−CH2−(PO(ONH4)2)基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の比較例で使用する顔料分散液Hを得た。官能基の導入量は0.33mmol/gであった。
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.5gの4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸(処理剤、東京化成工業製)を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに1.8gの亜硝酸カリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、6g(固形分)のカーボンブラックであるブラックパールズ880(商品名、キャボット製)を撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーについてスペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行った後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、イオン交換法によりカリウムイオンをアンモニウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%となるように純水を加えて分散させ分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H3−(COONH4)2基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の比較例で使用する顔料分散液Iを得た。官能基の導入量は、イオン交換法を行う前の分散液中のカリウムイオン濃度を、ICP発光分光分析装置(SPS5100;SIIナノテクノロジー製)を用いて測定し、得られたカリウムイオン濃度から換算して求めた。官能基の導入量は0.40mmol/gであった。
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズが2.5μmであるポリプロピレンフィルター(ポール製)にて加圧ろ過を行って、各インクを調製した。なお、表1中の「NIKKOL BL−9EX」は、日光ケミカルズ製のポリオキシエチレンラウリルエーテルであり、グリフィン法により求められるHLB値が13.6、エチレンオキサイド基の付加モル数が9の界面活性剤である。また、アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であり、エチレンオキサイド基の付加モル数が10の界面活性剤である。
(インクのカチオン濃度)
上記で得られたインク中の顔料(固形分)の含有量が吸光度換算で0.03%となるように純水を用いて希釈した液体について、ICP発光分光分析装置(SPS5100;SIIナノテクノロジー製)を用いて、インク中のカチオン濃度を測定した。NH4 +濃度はICP発光分光分析装置では測定できないため、上記と同様の液体について、アンモニウム電極を接続したイオン/pH計(サーモ・エレクトロン製)を用いて測定した。結果を表3に示した。
上記で得られた各インクについて、最大泡圧法を利用したBubble Pressure Tensiometer BP2 MK2(商品名、Kruss製)を用いて、25℃における動的表面張力を測定した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示した。
A:寿命時間50m秒における動的表面張力が40mN/m以上であった。
B:寿命時間50m秒における動的表面張力が40mN/m未満であった。
画像濃度の向上に有効な程度に塩がインクに含有されているか否かは、蒸発前のインクにおける顔料の粒子径と、インクの40%を蒸発させて得られた液体における顔料の粒子径とを比べることでおおよそ把握することができる。先ず、上記で得られた各インクについて顔料の粒子径を測定した。また、各インクをそれぞれ開放系の容器に入れ、温度60℃の条件でインクを蒸発させ、初期の質量の60%になるまで各インクを濃縮、つまり、40%を蒸発させ、液体を得た。得られた各液体について顔料の粒子径を測定した。なお、顔料の粒子径は、濃厚系粒度分布測定装置FPAR−1000(商品名、大塚電子製)を用いて測定した体積平均粒子径である。そして、蒸発前後の顔料の粒子径の変化率(蒸発後の顔料の粒子径/蒸発前の顔料の粒子径)の値を求め、インク中の塩含有量の判定を行った。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示した。本発明においては、下記の評価基準でAである場合を画像濃度の向上に有効な程度に塩が含有されているもの、そうでない場合をBとした。
A:顔料の粒子径の変化率が1.2倍以上であった。
B:顔料の粒子径の変化率が1.2倍未満であった。
(画像濃度)
上記で得られた各インクを充填したインクカートリッジを、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置PIXUS MP480(商品名、キヤノン製)にセットした。なお、上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiであり、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が25ng±10%であるインク滴を1滴付与する条件を記録デューティが100%であると定義する。そして、次の3種の記録媒体(普通紙)に、記録デューティが100%であるベタ画像(2cm×2cm/1ライン)を記録した。記録媒体には、下記のものをそれぞれ用いた。すなわち、Canon Extra Multifunctional Paper、Office Planner(以上、キヤノン製)、Xerox 4024 Premium Multipurpose White Paper(ゼロックス製)を用いた。記録の1日後に、反射濃度計Macbeth RD−918(商品名、マクベス製)を用いて、3種の記録媒体におけるベタ画像の画像濃度を測定し、その平均値により画像濃度の評価を行った。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。本発明においては、下記の評価基準でAA及びAを許容できるレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
AA:平均値が1.45以上であった。
A:平均値が1.35以上1.45未満であった。
B:平均値が1.25以上1.35未満であった。
C:平均値が1.25未満であった。
上記で得られた各インクをそれぞれ開放系の容器に入れ、温度30℃、相対湿度10%の条件でインクを蒸発させ、初期の質量の85%になるまで各インクを濃縮、つまり、インクの質量の15%を蒸発させ、液体を得た。得られた各液体について、E型粘度計(RE−80L;TOKI製)を用いて、25℃における粘度を測定し、蒸発安定性の評価を行った。なお、上述の通り、蒸発率15%という数値は、物流時や使用時などの状況を考慮した場合に起こり得るインクの蒸発量に対しても十分に高い値であり、実際に想定される条件よりもより厳しいものである。したがって、このように厳しい条件において評価した蒸発安定性が十分であれば、インクが十分な蒸発安定性を有すると言える。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示した。本発明においては、下記の評価基準でA及びBを許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。
A:インクを15%蒸発させた液体の粘度が3.0mPa・s未満であった。
B:インクを15%蒸発させた液体の粘度が3.0mPa・s以上3.5mPa・s未満であった。
C:インクを15%蒸発させた液体の粘度が3.5mPa・s以上であった。
Claims (12)
- 自己分散顔料、及び、塩を含有するインクジェット用のインクであって、
前記自己分散顔料は、水素結合性を有する基及び2つのホスホン酸基を少なくとも含む官能基が粒子表面に結合している顔料であるとともに、前記自己分散顔料に結合している官能基の導入量が、0.38mmol/g以下であり、かつ、該2つのホスホン酸基のカウンターイオンがK+及びNH4 +の少なくとも一方を含み、
前記官能基が、−C 6 H 4 −CONH−CH(PO 3 〔M 1 〕 2 ) 2 、又は、−C 6 H 4 −SO 2 −NH−C 4 H 6 (OH)(PO 3 〔M 1 〕 2 ) 2 (M 1 はそれぞれ独立に、水素原子、カリウム、又はアンモニウムである)で表される構造を有し、
前記塩は、K+及びNH4 +の少なくとも一方のカチオンと、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2-、ClO3-、ClO4-、NO2-、NO3-、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、HCOO-、(COO-)2、COOH(COO-)、CH3COO-、C2H4(COO-)2、C6H5COO-、C6H4(COO-)2、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンとが結合して構成され、
インク中のカチオン濃度が0.04mol/L以上であり、
インクの15質量%を蒸発させて得られた液体の25℃における粘度が3.5mPa・s未満であることを特徴とするインク。 - 前記自己分散顔料に結合している官能基の導入量が、0.10mmol/g以上である請求項1に記載のインク。
- 前記塩を構成するアニオンが、C2H4(COO-)2、C6H4(COO-)2、及びSO4 2-からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のインク。
- インク中のカチオン濃度が、0.09mol/L以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
- インク中の前記自己分散顔料の含有量が、0.1質量%以上15.0質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
- インク中のK+及びNH4 +の濃度の合計が、インク中のアルカリ金属イオンとアンモニウムイオンの濃度の合計に対して、モル換算で73%以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
- さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインク。
- 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの、グリフィン法により求められるHLB値が13以上20以下であるとともに、アルキル基の炭素原子数が12以上20以下である請求項7に記載のインク。
- インク中の前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量が、0.05質量%以上1.0質量%以下である請求項7又は8に記載のインク。
- 最大泡圧法により25℃において測定される、前記インクの寿命時間50m秒における動的表面張力が、40mN/m以上である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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