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JP2015028137A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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JP2015028137A JP2014106611A JP2014106611A JP2015028137A JP 2015028137 A JP2015028137 A JP 2015028137A JP 2014106611 A JP2014106611 A JP 2014106611A JP 2014106611 A JP2014106611 A JP 2014106611A JP 2015028137 A JP2015028137 A JP 2015028137A
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文章 藤岡
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Mikifumi Ogasawara
幹史 小笠原
恵吾 合田
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恵吾 合田
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荘一 永井
亜希子 安田
Akiko Yasuda
亜希子 安田
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Abstract

【課題】光学濃度及び均一性などの画像品位と、耐擦過性などの画像性能とが優れた画像を得ることができ、保存安定性にも優れたインクを提供する。【解決手段】第1の顔料及び第2の顔料を含有するインクジェット用のインクである。第1の顔料及び第2の顔料は、いずれも、2つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散型のカーボンブラックであり、第1の顔料の平均粒径が、第2の顔料の平均粒径よりも小さく、第1の顔料の官能基導入量が、第2の顔料の官能基導入量よりも高いことを特徴とするインク。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法に用いるインクには、近年、記録される画像の光学濃度をより一層向上させることが求められている。画像を記録する記録媒体の中でも普通紙にはインクの浸透性が異なる様々な種類のものが存在し、その違いは画像特性に影響を及ぼす。特に、インクの浸透性が高い記録媒体は、記録される画像の光学濃度が低下しやすい傾向にある。
上記要求に対し、カルシウムとの反応性の高い官能基が顔料粒子の表面に結合した自己分散顔料を含有するインクによって、画像の光学濃度を向上させることに関する提案がある(特許文献1参照)。特許文献1には、ホスホン酸基を有する自己分散顔料が記載されている。この自己分散顔料を含有するインクを保存した場合、自己分散顔料の官能基の構造によっては、ホスホン酸基が脱離し、インクの保存安定性が低下する場合がある。このような課題に対して、ホスホン酸基の脱離を抑制し得る構造を有する自己分散顔料を用いることに関する提案がある(特許文献2参照)。
また、粒度分布におけるピーク形状が互いに異なる2種類の顔料を含有するインクによって、記録される画像の光学濃度、均一性、耐擦過性などを向上させることに関する提案がある(特許文献3参照)。
特表2009−515007号公報 特表2011−515535号公報 特開2007−217695号公報
本発明者らの検討によれば、上記したような従来技術を用いても、記録される画像の光学濃度や均一性などの画像品位、耐擦過性などの画像性能、及びインクの保存安定性を高いレベルで満足できないことがわかった。先ず、特許文献1に記載された自己分散顔料により画像の光学濃度はある程度向上するが、ホスホン酸基が脱離し、インクの保存安定性は不十分であった。また、特許文献2に記載された自己分散顔料によれば、ホスホン酸基の脱離はある程度抑制されるものの、顔料の平均粒径や官能基導入量によっては、ホスホン酸基の脱離により、依然としてインクの保存安定性が不十分となる場合があることもわかった。一方、特許文献3に記載されたインクによれば、記録される画像の光学濃度、均一性、及び耐擦過性はある程度向上するものの、依然として光学濃度は1.3程度と不十分であった。また、耐擦過性もインクに添加した樹脂の性能に依存するものでしかないことがわかった。つまり、いずれの従来技術においても、その当時の一般的なレベルからやや改良されたに過ぎず、近年要求されるレベルを満足していなかった。
したがって、本発明の目的は、光学濃度及び均一性などの画像品位と、耐擦過性などの画像性能とが優れた画像を得ることができ、保存安定性にも優れたインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクは、第1の顔料及び第2の顔料を含有するインクジェット用のインクであって、前記第1の顔料及び前記第2の顔料は、いずれも、2つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散型のカーボンブラックであり、前記第1の顔料の平均粒径が、前記第2の顔料の平均粒径よりも小さく、前記第1の顔料の官能基導入量が、前記第2の顔料の官能基導入量よりも高いことを特徴とする。
本発明によれば、光学濃度及び均一性などの画像品位と、耐擦過性などの画像性能とが優れた画像を得ることができ、保存安定性にも優れたインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法が提供される。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、以下の記載で、インクジェット用のインクのことを、単に「インク」と省略して記載することがある。また、2つのホスホン酸基のことを「ビスホスホン酸基」、2つのホスホン酸基を有する顔料を「ビスホスホン酸型自己分散顔料」と記載することがある。本発明において、各種の物性値は、特に断りのない限り、25℃における値である。
本発明者らは、先ず、特許文献1及び2に記載されたビスホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合しているカーボンブラック(以下、「ビスホスホン酸型のカーボンブラック」ともいう)を含有するインクを用いて、各種検討した。その結果、光学濃度に優れる画像が得られるとともに、カーボンブラックの平均粒径を大きくするほど、光学濃度が向上する傾向にあることがわかった。また、官能基導入量を低くするほど、さらに光学濃度が向上することがわかった。しかし、平均粒径を大きくするほど、インクの保存安定性が低下する傾向にあり、また、官能基導入量を低くするほど、同様に保存安定性が低下する傾向にあることがわかった。この理由は、上述したように、その構造中にビスホスホン酸基を有する特定の官能基の場合、保存中に、ビスホスホン酸基が脱離し、カーボンブラックの分散状態が不安定化しやすくなるためであると考えられる。実際に、平均粒径が大きい、又は官能基導入量が低いカーボンブラックは、そもそも分散状態が不安定となりやすく、インクの保存安定性が低下する傾向にある。
一方で、従来の、その構造中にカルボン酸基を有する官能基が粒子表面に結合した自己分散顔料では、官能基導入量が高くなるほど、保存安定性が向上するのはもちろんのこと、併用する水溶性有機溶剤などによっては、光学濃度が向上する傾向にあった。つまり、従来の自己分散顔料においては、併用する水溶性有機溶剤などを見極めることで、比較的容易に、記録される画像の光学濃度及びインクの保存安定性の両立が達成可能であった。
そこで、本発明者らは、カルボン酸基を有する官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料における従来の知見をふまえて、ビスホスホン酸型のカーボンブラックにおいても、光学濃度及び保存安定性の両立が可能となる水溶性有機溶剤について検討した。しかし、従来と同様な手法を用いても、光学濃度及び保存安定性の両立を図るのは難しいという結果が得られた。この理由は、ビスホスホン酸基を有する官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料は、カルボン酸基を有する官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料に対して有効な水溶性有機溶剤とは相互作用しにくいためであると推測している。
次に、本発明者らは、再度、ビスホスホン酸型のカーボンブラックの平均粒径及び官能基導入量に着目し、平均粒径及び官能基導入量の異なる2種の自己分散顔料を含有するインクについてさらに検討した。具体的には、相対的に、平均粒径が大きく、官能基導入量が低い自己分散型のカーボンブラックと、相対的に、平均粒径が小さく、官能基導入量が高い自己分散型のカーボンブラックとを併用するインクについて検討した。その結果、上記構成とすることで、ホスホン酸基を含む官能基の構造によらずに、記録される画像の光学濃度及び均一性と、インクの保存安定性とが高いレベルで両立可能であることがわかった。また、記録される画像の耐擦過性も高まることもわかった。
一方、平均粒径は同じであるが、官能基導入量の異なる自己分散型のカーボンブラックを2種類含有するインクの場合について検討した。その結果、官能基導入量の低い自己分散型のカーボンブラックよりも、官能基導入量の高い自己分散型のカーボンブラックの方が、粒子表面に結合した官能基からのビスホスホン酸基の脱離量の割合が多くなることがわかった。そして、脱離したビスホスホン酸基によって、官能基導入量の低い自己分散型のカーボンブラックの粒子表面に結合した官能基からのビスホスホン酸基の脱離がある程度抑制されることがわかった。しかし、記録される画像の光学濃度を向上させるために、平均粒径を大きくした場合、脱離抑制効果が発現しにくくなる傾向にあり、インクの保存安定性が大幅に向上しにくくなる。一方、インクの保存安定性を向上させるために、平均粒径を小さくした場合、保存安定性は向上するが、官能基導入量の高い自己分散顔料も含有されるため、光学濃度が大幅に向上しにくくなる。また、記録される画像の耐擦過性も向上しにくくなる。
また、官能基導入量は同じであるが、平均粒径の異なる自己分散型のカーボンブラックを2種類含有するインクの場合について検討した。その結果、2種類の自己分散型のカーボンブラックに結合したそれぞれの官能基からのビスホスホン酸基の脱離量は同等となり、脱離抑制効果は低くなることがわかった。その上で、上記と同様に、記録される画像の光学濃度を向上させるために、官能基導入量が低いものを併用した場合、インクの保存安定性がさらに低下する傾向にある。一方、保存安定性を向上させるために、官能基導入量が高いものを併用した場合、やはり光学濃度が大幅に向上しにくくなる。また、記録される画像の耐擦過性も向上しにくくなる。
さらに、相対的に、平均粒径が小さく、官能基導入量が低い自己分散型のカーボンブラックと、相対的に、平均粒径が大きく、官能基導入量が高い自己分散型のカーボンブラックとを2種類含有するインクの場合について検討した。その結果、相対的に、平均粒径が大きく、官能基導入量が高い自己分散型のカーボンブラックの粒子表面に結合した官能基からのビスホスホン酸基の脱離量の割合が多くなることがわかった。そして、脱離したビスホスホン酸基によって、官能基導入量の低い自己分散型のカーボンブラックの粒子表面に結合した官能基からのビスホスホン酸基の脱離がある程度抑制されることがわかった。しかし、記録される画像の光学濃度が向上しにくく、耐擦過性も向上しにくくなることがわかった。
これに対して、本発明では、相対的に、平均粒径が小さく、官能基導入量が高い第1の顔料と、相対的に、平均粒径が大きく、官能基導入量が低い第2の顔料と、を併用した。その結果、第1の顔料により、第2の顔料の粒子表面に結合した官能基からのビスホスホン酸基の脱離抑制効果によるインクの高い保存安定性が得られることがわかった。また、第2の顔料により記録される画像の高い光学濃度及び均一性を発現し、画像品位と、インクの保存安定性との両立が可能になることがわかった。すなわち、相対的に、平均粒径が小さく、官能基導入量が高い第1の顔料と、相対的に、平均粒径が大きく、官能基導入量が低い第2の顔料とを併用することが、本発明の最大の特徴である。また、上記構成とすることで、記録される画像の耐擦過性を向上させることが可能であることもわかった。これは、それぞれの顔料の記録媒体における凝集速度が大幅に異なるためであると考えられる。すなわち、記録媒体において第2の顔料が先に凝集し、次に凝集した第2の顔料どうしの隙間を第1の顔料が密に充填され凝集する。これにより、画像を構成する顔料層が密となり、記録される画像の耐擦過性を向上させると推測している。また、第2の顔料により顔料層と記録媒体との空隙が埋まりやすくなることも、耐擦過性を向上させる理由であると推測している。
<インク>
以下、本発明のインクを構成する各成分やインクの物性について詳細に説明する。
(顔料)
本発明のインクは、第1の顔料及び第2の顔料を含有する。そして、第1の顔料及び第2の顔料は、いずれも、2つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している、自己分散型のカーボンブラックである。このような自己分散型のカーボンブラックを用いることにより、顔料をインク中に分散するための樹脂や界面活性剤などの分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。なお、インクの調色などのために、さらに別の顔料や染料などを併用することもできる。
インク中の第1の顔料及び第2の顔料の含有量(質量%)はそれぞれ、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。また、インク中の第1の顔料及び第2の顔料の合計含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。また、第1の顔料の含有量(質量%)が、第2の顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.45倍以下であることが好ましい。なお、この場合の第1の顔料及び第2の顔料の含有量は、それぞれ、インク全質量を基準とした値である。上記質量比率の範囲内である場合、画像品位及び画像性能、並びにインクの保存安定性を特に高いレベルで満足することができる。また、第1の顔料の含有量(質量%)が、第2の顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.15倍以下であることがさらに好ましい。この質量比率の範囲内である場合、インクの保存安定性を高いレベルで満足しながら、さらに、画像品位及び画像性能を特に優れたレベルにまで向上することができる。
第1の顔料及び第2の顔料はそれぞれ、2つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合していることを要する。例えば、1つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合した、「モノホスホン酸型自己分散顔料」を含有するインクを用いる場合を想定する。このようなインクを用いれば、カルボン酸基を含む官能基が粒子表面に結合した自己分散顔料を含有するインクを用いた場合に比して、記録される画像の光学濃度をある程度向上させることが可能である。しかし、光学濃度の向上の程度は不十分である。また、3つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合した、「トリスホスホン酸型自己分散顔料」を含有するインクを用いる場合は、インクの保存安定性が不十分である。これに対して、2つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合した「ビスホスホン酸型自己分散顔料」を含有するインクを用いることで、記録媒体の種類によらずに光学濃度の高い画像を記録することができる。また、このような「ビスホスホン酸型自己分散顔料」を含有するインクは、保存安定性が相対的に優れている。
官能基に含まれる2つのホスホン酸基は、具体的には、それぞれ一般式:−PO(O〔M1〕)2により表される。ここで、一般式中のM1は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種である。なお、ホスホン酸基は、その一部が解離した状態であってもよく、全部が解離した状態であってもよい。すなわち、ホスホン酸基は、−PO32(酸型)、−PO3-1 +(一塩基塩)、及び−PO3 2-(M1 +2(二塩基塩)のいずれかの形態をとりうる。M1 +で表されるカウンターイオンは、インク中におけるホスホン酸基の解離状態がより良好な状態で保たれるという観点において、Na+、K+、及びNH4 +の少なくとも1種であることが好ましい。
また、ホスホン酸基は、官能基の末端に存在することが好ましい。すなわち、カーボンブラックの粒子表面とホスホン酸基との間には、他の原子団が存在することが好ましい。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホン酸基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。さらには、他の原子団が、アルキレン基及びアリーレン基の少なくとも一方と、水素結合性を有する基(アミド基、スルホン酸基、イミノ基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基)とを含むことが好ましい。特に、官能基に−C64−CONH−(ベンズアミド構造)が含まれることが好ましい。
他の原子団を介して顔料粒子の表面にホスホン酸基が結合している場合において、官能基に−CQ(PO3〔M122の構造が含まれることがさらに好ましい。ここで、式中のQは、R、OR、SR、又はNR2(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アラルキル基、又はアリール基)である。Rが炭素原子を含む基である場合においては、炭素原子の数は1乃至18であることが好ましい。炭素原子を含む基の具体例としては、メチル基、エチル基などのアルキル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;ベンジル基などのアラルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基などを挙げることができる。また、式中のM1は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種である。なかでも、式中のQが水素原子である、−CH(PO3〔M122の構造が官能基に含まれることが特に好ましい。本発明においては、官能基の構造が、−C64−CONH−CH−(PO3〔M122であることが特に好ましい。
〔平均粒径〕
第1の顔料及び第2の顔料の平均粒径は、いずれも50nm以上200nm以下であることが好ましい。平均粒径が50nm未満であると、画像品位及び画像性能がやや低下する場合があり、200nm超であると、インクの保存安定性がやや低下する場合がある。また、本発明の効果をより高いレベルで得ることができるため、第1の顔料の平均粒径は好ましくは90nm以下、さらに好ましくは85nm以下であり、第2の顔料の平均粒径は好ましくは110nm以上、さらに好ましくは120nm以上である。
なお、本発明における平均粒径とは、インク中に分散された状態の自己分散型のカーボンブラックについての、体積基準の平均粒径(D50)をいい、粒度分布の累積50%粒径(メジアン径)を意味する。後述する実施例では、動的光散乱法を利用した測定装置である粒度分析計(商品名「ナノトラックUPA150EX」、日機装製)を用いて平均粒径を測定した。
〔官能基導入量〕
ビスホスホン酸型自己分散顔料は、記録媒体に填料などとして含まれているカルシウムと非常に強く反応する。このため、カーボンブラックの粒子表面に結合している官能基の導入量は、記録媒体において素早く顔料を凝集させ、画像の光学濃度を高いレベルで得るためにも、より低いことが好ましい。しかし、本発明のインクは、平均粒径の異なる2種類のカーボンブラックを含有し、それぞれの官能基導入量を異ならせることに大きな特徴がある。すなわち、相対的に平均粒径の大きい第2の顔料は、官能基導入量を相対的に低くする。一方、相対的に平均粒径の小さい第1の顔料は、官能基導入量を相対的に高くする。
第1の顔料の官能基導入量は好ましくは0.23mmol/g以上、さらに好ましくは0.30mmol/g以上である。第2の顔料の官能基導入量は好ましくは0.18mmol/g以下、さらに好ましくは0.15mmol/g以下である。上記官能基導入量の範囲内とすることにより、画像品位及び画像性能、並びにインクの保存安定性をより高めることができる。なお、官能基導入量の単位は、カーボンブラック固形分1g当たりの官能基のミリモル数である。
カーボンブラックの粒子表面に結合している官能基の導入量は、以下に示すようにリンを定量することで測定することができる。詳しくは、先ず、顔料(固形分)の含有量が0.03質量%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製する。また、5℃、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液を超遠心分離し、顔料が除去された上澄みの液体を採取して、これを純水で80倍程度に希釈してB液を調製する。調製したA液及びB液について、ICP発光分光分析装置などにより、それぞれにリンを定量し、これらA液及びB液について測定値から求められるリン量の差分から、ホスホン酸基の量を算出することができる。そして、官能基導入量は、ホスホン酸基の量/n(nは1つの官能基に含まれるホスホン酸基の数を示し、モノなら1、ビスなら2、トリスなら3となる)により算出することができる。ここで、官能基に含まれるホスホン酸基の数は、NMRなどの分析方法により官能基の構造を解析することで知ることができる。なお、上記では顔料分散液を用いて官能基導入量を測定する方法について述べたが、インクを用いても同様に測定することができる。勿論、官能基導入量の測定方法は上記のものに限られるものではない。
〔DBP吸油量〕
第1の顔料及び第2の顔料のDBP吸油量(単位:mL/顔料100g)は、いずれも50mL/100g以上200mL/100g以下であることが好ましい。さらには、本発明の効果をより効率よく得ることができるため、DBP吸油量の関係を以下のようにすることが好ましい。すなわち、第1の顔料の吸油量よりも第2の顔料のDBP吸油量を大きくすることが好ましい。さらには、第1の顔料のDBP吸油量を110mL/100g未満とするとともに、第2の顔料のDBP吸油量を110mL/100g以上とすることが好ましい。これに加えて、第1の顔料と第2の顔料のDBP吸油量の差を10mL/100g以上とすることが特に好ましい。顔料のDBP吸油量は、JIS K6221やASTM D 2414に準拠した方法により測定することができる。これらの方法は、100gの顔料に撹拌下でフタル酸ジブチルを滴下し、トルクが最大となった時点でのフタル酸ジブチルの添加量を測定する方法である。
〔BET比表面積〕
BET法による顔料の比表面積は、100m2/g以上600m2/g以下であることが好ましい。BET法による比表面積は、JIS K6217やASTM D 6556などに準拠した方法により測定することができる。これらの方法は、脱気した顔料を液体窒素に浸漬し、平衡に至った際の顔料の粒子表面に吸着している窒素量を測定する方法である。
(検証方法)
あるインクが本発明で規定する要件を満たすものであるかは、例えば、以下のような方法により検証することができる。
〔インク中に平均粒径の異なる2種の顔料が存在するか否かの検証方法〕
インク中に平均粒径の異なる2種の顔料が存在するか否かの検証は、インクについて、カラム式粒度分布測定装置(例えば、商品名「CHDF−2000」、Matec Applied Sciences製など)を用い、粒度分布の測定を行う。カラム式粒度分布測定装置は詳細な粒度分布が測定可能である。したがって、インクに顔料が1種のみしか存在しなければ、実質的な極大値は1点しか検出されず、2種の顔料が存在すれば、極大値は2点検出される。
〔2種の顔料が存在するインクからの官能基導入量の検証方法〕
上記のようにして、インク中に2種の顔料が存在することが確認できた場合、以下の手順によって、インクから2種の顔料のそれぞれについての官能基導入量を検証することができる。先ず、上述のICP発光分光分析装置などを用いたリンの定量により、インク中に存在する顔料の全体としての官能基導入量を算出する。また、上述の粒度分析計などを用いて、インク中に存在する顔料の全体としての平均粒径を測定する。これとは別に、インクの超遠心分離処理(10,000rpmで1時間)を行い、上部と下部のそれぞれ20%(体積基準)の液体を採取する。採取した上部の液体と下部の液体について、上記と同様の方法で顔料の平均粒径及び官能基導入量を求める。なお、官能基導入量を算出する際には、平均粒径の影響を適宜考慮する。そして、上部の液体における平均粒径及び官能基導入量が、先に求めたインク中に存在する顔料の全体としての平均粒径及び官能基導入量よりも高ければ、相対的に平均粒径の小さい顔料における官能基導入量が高いことになる。逆に、下部の液体における平均粒径及び官能基導入量が、先に求めたインク中に存在する顔料の全体としての平均粒径及び官能基導入量よりも低ければ、相対的に平均粒径の大きい顔料における官能基導入量が低いことになる。
(水性媒体)
本発明のインクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種以上をインクに含有させることができる。
(1価のカチオンとアニオンとが結合して構成される塩)
本発明のインクには、1価のカチオンと、アニオンとが結合して構成される塩を含有させてもよい。塩を使用することで、画像の光学濃度をさらに向上させることができる。塩の分子量によっても異なるが、インク中の塩の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。塩の含有量が0.01質量%未満であると、画像の光学濃度の向上効果が得られない場合があり、塩の含有量が10.00質量%超であると、インクの保存安定性がやや低下する場合がある。
1価のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンなどが挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのイオンが挙げられる。また、有機アンモニウムイオンとしては、アンモニウムイオンの少なくとも1つの水素原子を有機基としたものが挙げられる。また、アニオンとしては、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、HCOO-、(COO-2、COOH(COO-)、CH3COO-、C24(COO-2、C65COO-、C64(COO-2、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -などが挙げられる。インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は全てが解離した状態のいずれの形態であってもよい。
1価のカチオンとアニオンとが結合して構成される塩としては、以下のものが挙げられる。例えば、(M2)Cl、(M2)Br、(M2)I、(M2)ClO、(M2)ClO2、(M2)ClO3、(M2)ClO4、(M2)NO2、(M2)NO3、(M22SO4、(M22CO3、(M2)HCO3、HCOO(M2)、(COOM22、COOH(COOM2)、CH3COOM2、C24(COOM22、C65COOM2、C64(COOM22、(M23PO4、(M22HPO4、(M2)H2PO4が挙げられる。なお、M2は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種である。
塩は、C64(COONa)2、C64(COOK)2、C64(COONH42、及び(NH42SO4からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、C64(COOK)2、C64(COONH42、及び(NH42SO4からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。インク中の常温で固体の水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上20.00質量%以下であることが好ましく、3.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。また、必要に応じて、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、キレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明においては、例えば、アセチレングリコール系、フッ素系、シリコーン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系などの界面活性剤をインクに含有させることが好ましい。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。
(インクの物性)
本発明においては、インクの25℃における粘度が、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの25℃における静的表面張力が、28mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。また、インクの25℃におけるpHが、5以上9以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、インク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、負圧によりインクを含浸した状態で保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室、及び、負圧発生部材により含浸されない状態でインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられる。又は、上記のようなインク収容室を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸した状態で保持する構成や、負圧発生部材を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸されない状態で収容する構成のインク収容部としてもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
上述のメカニズムを考慮すると、カルシウムを含有する記録媒体に画像を記録するために上記で説明した本発明のインクを用いることがより好ましい。このような記録媒体としては、光沢紙や普通紙が挙げられるが、中でも普通紙を用いることが特に好ましい。勿論、本発明のインクジェット記録方法において使用することができる記録媒体はこれらに限られるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載で、「部」及び「%」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料の官能基導入量)
先ず、顔料の官能基導入量を測定する方法を説明する。測定対象である顔料の含有量が0.03%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製した。また、5℃、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液を超遠心分離し、ビスホスホン酸型自己分散顔料が除去された上澄みの液体を採取して、これを純水で80倍程度に希釈してB液を調製した。上記のようにして調製した測定用試料のA液及びB液について、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いてリンを定量した。そして、調製したA液及びB液におけるリン量の差分からホスホン酸基の量を求め、1つの官能基に含まれるホスホン酸基の数で割ることで、顔料への官能基導入量を算出した。
(顔料の平均粒径)
顔料の平均粒径は、動的光散乱法を利用した測定装置である粒度分析計(商品名「ナノトラックUPA150EX」、日機装製)を用いて、体積基準の粒度分布の累積50%粒径(D50)を測定し、この値を平均粒径とした。
(顔料分散液1)
20g(固形分)のカーボンブラック、4.3mmolの((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸一ナトリウム塩(処理剤)、20mmolの硝酸、及び200mLの純水を混合した。この際、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製、DBP吸油量105mL/100g、比表面積220m2/g)を用い、シルヴァーソン混合機を用いて、室温で回転数4,000rpmにて混合して、混合物を得た。30分後、得られた混合物に少量の水に溶解させた20mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加し、混合した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10に調整した。30分後、20mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションし、その後、顔料の含有量が10.0%となるようにして、分散液を得た。このようにして、顔料粒子表面に、−C64−CONH−CH−(PO(OH)(ONa))(PO(OH)2)基が結合している自己分散型のカーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液1を得た。官能基導入量は0.21mmol/gであり、平均粒径は95nmであった。
(顔料分散液2)
処理剤の量を3.5mmolに変えた。また、ブラックパールズ880を商品名「ブラックパールズ700」(キャボット製、DBP吸油量118mL/100g、比表面積246m2/g)に変えた。さらに、混合の際の回転数を6,000rpmに変えた。これらのこと以外は、顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子表面に、−C64−CONH−CH−(PO(OH)(ONa))(PO(OH)2)基が結合している自己分散型のカーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液2を得た。官能基導入量は0.19mmol/gであり、平均粒径は110nmであった。
(顔料分散液3〜10)
処理剤の量、カーボンブラックの種類、混合の際の回転数を表1に示すように変えた以外は、顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子表面に、−C64−CONH−CH−(PO(OH)(ONa))(PO(OH)2)基が結合している自己分散型のカーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液3〜10を得た。官能基導入量と平均粒径を表1に示す。
Figure 2015028137
(顔料分散液11)
処理剤を2.0mmolの(4−(4−アミノベンゼンスルホニルアミノ)−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸ナトリウムに変えた。また、ブラックパールズ880を商品名「ブラックパールズ700」(キャボット製、DBP吸油量118mL/100g、比表面積246m2/g)に変えた。さらに、混合の際の回転数を6,000rpmに変えた。これらのこと以外は、顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子表面に、−C64−SO2−NH−C47(OH)(PO(OH)(ONa))(PO(OH)2)基が結合している自己分散型のカーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液11を得た。官能基導入量は0.15mmol/gであり、平均粒径は122nmであった。
(顔料分散液12)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした塩酸溶液に、5℃に冷却した状態で1.1gの4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸(処理剤、東京化成工業製)を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに1.8gの亜硝酸カリウムを溶かした亜硝酸カリウム溶液を加えた。さらに15分間撹拌後、6g(固形分)のカーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌し、スラリーを得た。得られたスラリーについてスペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、顔料の含有量が10.0%となるように純水を加えて分散させ分散液を得た。このようにして、粒子表面に、−C64−(COOK)2基が結合している自己分散型のカーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液12を得た。官能基導入量は0.30mmol/gであり、平均粒径は85nmであった。なお、官能基導入量は、顔料分散液中のカリウムイオン濃度を、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いて測定し、得られたカリウムイオン濃度から換算して求めた値である。
(顔料分散液13)
処理剤の量を0.56gに、ブラックパールズ880を商品名「ブラックパールズ700」(キャボット製)に変えた以外は、顔料分散液12と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、粒子表面に、−C64−(COOK)2基が結合している自己分散型のカーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液13を得た。官能基導入量は0.15mmol/gであり、平均粒径は120nmであった。
<インクの調製>
表2−1及び2−2の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズが2.5μmであるポリプロピレンフィルター(ポール製)を用いて加圧ろ過して、各インクを調製した。なお、表2−1及び2−2中のアセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であり、エチレンオキサイド基の付加モル数が10の界面活性剤である。表2−1及び2−2の下段には、インク中の第1の顔料の含有量A(%)、第2の顔料の含有量B(%)、A/Bの質量比率(倍)の値を示した。
Figure 2015028137
Figure 2015028137
<評価>
上記で調製したインクを用いて以下に示す評価をした。本発明においては、画像品位、画像性能、及び保存安定性の評価基準では、AAA、AA及びAを許容できるレベル、B及びCを許容できないレベルとした。結果を表3に示す。
(画像品位)
上記で調製した各インクを充填したインクカートリッジを、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS MP480」、キヤノン製)にセットした。上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiであり、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が25ng±10%であるインク滴を1滴付与する条件を記録デューティが100%であると定義する。そして、2種の記録媒体に、記録デューティが100%であるベタ画像(2cm×2cm/1ライン)を記録し、記録物を得た。記録媒体には、下記のものをそれぞれ用いた。すなわち、(1)商品名「GF−500」(キヤノン製)、(2)商品名「HP Bright White」(ヒューレット・パッカード製)を用いた。ベタ画像の記録から1日後に、反射濃度計(商品名「Macbeth RD−918」、マクベス製)を用いて、得られた2種の記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した。また、ベタ画像の均一性を目視で観察した。ベタ画像の光学濃度及び均一性から、以下の基準にしたがって画像品位を評価した。
AAA:2種の記録物におけるベタ画像の光学濃度がいずれも1.55以上であり、かつ、2種の記録物におけるベタ画像の均一性がいずれも良好であった。
AA:2種の記録物におけるベタ画像の光学濃度がいずれも1.55以上であり、かつ、(2)を用いた記録物におけるベタ画像の均一性は良好であったが、(1)を用いた記録物におけるベタ画像の均一性はやや劣っていた。
A:2種の記録物におけるベタ画像の光学濃度がいずれも1.55以上であり、かつ、2種の記録物におけるベタ画像の均一性がいずれもやや劣っていた。
B:2種の記録物におけるベタ画像の光学濃度がいずれも1.55以上であり、かつ、記録物におけるベタ画像の均一性が劣っている箇所が目立った。
C:2種の記録物におけるベタ画像の光学濃度がいずれも1.55未満であった。
(画像性能)
記録媒体として、写真用紙(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]」、キヤノン製)を用いた以外は、上記の画像品位の評価と同様の条件でベタ画像を記録し、記録物を得た。ベタ画像の記録から10分後に、得られた記録物の上に、シルボン紙及び面圧40g/cm2の分銅を置き、記録物とシルボン紙を擦り合わせた。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、ベタ画像の耐擦過性を目視で観察した。ベタ画像の耐擦過性から、以下の基準にしたがって画像性能を評価した。
AA:記録物にベタ画像が多く残っていた。
A:記録物にベタ画像が半分程度残っていた。
B:記録物にベタ画像が少し残っていた。
C:記録物にベタ画像がほとんど残っていなかった。
(画像の総合評価)
画像品位及び画像性能の評価結果から、画像としての総合的な性能を5点〜0点として相対的に評価した。点数が高いほど、画像品位及び画像性能がバランスよく両立されるとともに、高いレベルであることを意味する。
(保存安定性)
上記で調製された各インクをそれぞれ密閉容器に入れ、温度80℃の恒温槽中に2週間保存した。その後、インクを目視で観察した。以下の基準にしたがってインクの保存安定性を評価した。
AA:析出物などの発生もなく、インクの保存前後で変化がなかった。
A:析出物などの発生が少しあったが、インクの保存前後で明らかな変化はなかった。
B:析出物などの発生がかなりあり、インクの保存前後で変化があった。
C:析出物などの発生が顕著にあり、インクの保存前後で明らかな変化があった。
Figure 2015028137
なお、実施例4及び7の保存安定性を比較すると、実施例7のほうが相対的に良好であった。

Claims (6)

  1. 第1の顔料及び第2の顔料を含有するインクジェット用のインクであって、
    前記第1の顔料及び前記第2の顔料は、いずれも、2つのホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散型のカーボンブラックであり、
    前記第1の顔料の平均粒径が、前記第2の顔料の平均粒径よりも小さく、
    前記第1の顔料の官能基導入量が、前記第2の顔料の官能基導入量よりも高いことを特徴とするインク。
  2. 前記第1の顔料の官能基導入量が0.23mmol/g以上であり、前記第2の顔料の官能基導入量が0.18mmol/g以下である請求項1に記載のインク。
  3. 前記第1の顔料の平均粒径が90nm以下であり、前記第2の顔料の平均粒径が120nm以上である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記第1の顔料の含有量(質量%)が、前記第2の顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上0.45倍以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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