JP5817281B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
前記(1)において、クラッチなど別アクチュエータで行うものの具体例としては、画像形成後に両面印刷搬送路に用紙を搬送する両面印刷搬送切替部(スイッチバック機構)が画像形成部(定着部を含む)の下流側に設けられ、用紙第1面の画像形成後に排紙部にてスイッチバックさせて両面印刷搬送路に引き込む構成などが挙げられる(例えば、特許文献1および2参照)。
特許文献1および2には、正逆回転可能な駆動源を不要とし、同一駆動源でスイッチバック動作を実現する目的で、別アクチュエータとしてのソレノイドを用いたクラッチ(揺動ギヤとリンク機構または揺動ギヤと切り替えガイドの組み合わせ)とその駆動連結方法が開示されている。
このような構成の場合、両面搬送パス内は常に用紙は逆転しかしないが、搬送ベルト面は正逆転で搬送を行う。そこで、クラッチを用いることなく同一駆動源で駆動させる技術として、両面搬送パスの駆動を揺動ギヤで連結させる技術が既に知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献3記載の技術を含む、揺動ギヤで駆動を連結する方法では、画像形成後に両面搬送パスに用紙を搬送する両面搬送パス切替部が画像形成部下流側に設けられ、用紙第1面への画像形成後に排紙部にてスイッチバックさせて、画像形成手段と対向しない反対向側の搬送ベルト面もしくは画像形成手段と対向しない反対向側の搬送ローラ側に用紙第1面画像形成済みの用紙を案内する両面搬送路として構成した場合に、揺動ギヤを採用すると、搬送ローラへ繋がる駆動系に揺動ギヤを配設する構成となり、搬送ベルトの高速度制御や搬送ベルトで搬送される用紙の高精度で高速な搬送量制御(例えばμm単位での位置決めを数十msの時間で行う搬送量制御)等ができなくなるという問題点がある。
さらに具体的に補説すると、通常、駆動源としてはDCモータが使用され、DCモータからタイミングベルト等の駆動力伝達手段を介して搬送ベルトを駆動する搬送ローラまでの駆動系に揺動ギヤを介装すると、この揺動ギヤの介装によって駆動系の駆動剛性が弱くなっているため、あるいはDCモータに高周波を入力して駆動させると発振したり時定数が増加したりしてしまうため、結果的に低周波の入力しかできなくなることにより、DCモータの起動が遅くなることで搬送ベルトの高速度制御や用紙の高精度で高速な搬送量制御等ができなくなる不具合が発生する。
すなわち、本発明は、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段と対向して配置され、前記搬送手段により搬送されてくるシートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段を通過した片面画像形成済みのシートを前記搬送手段よりも下流側でスイッチバックする正逆転可能なスイッチバック手段を備え、該スイッチバック手段の逆転によってスイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、再度、前記画像形成手段側へ再給送する再給送手段と、前記再給送手段により給送されてきた前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、前記搬送手段における前記画像形成手段との対向面と反対側の反対向面に案内して前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの表裏を反転し、再度、前記搬送手段の前記対向面へ案内する反転経路と、前記搬送手段および前記スイッチバック手段を駆動する単一の駆動源と、前記駆動源の駆動力を前記搬送手段に伝達する駆動系を除く部位に配置され、前記スイッチバック手段の正逆転を切り替えるクラッチ機構と、前記クラッチ機構を作動させる作動手段と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態1を説明する。図1は、本発明の実施形態1を示すインクジェットプリンタ全体の簡略的な正面図である。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1を示す画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置(以下、「インクジェットプリンタ」という)の全体構成と動作を説明した後に、本発明の特徴的な実施形態1のクラッチ機構を詳述する。
共通搬送路96は、先端加圧板40の一部と、ガイド部材である排紙ガイド下24と、ガイド部材である排紙ガイド中央23等とで画定されて所定の隙間をもって形成されている。
再給紙路97は、排紙ガイド中央23と、開閉部材としての前カバー1に一体的に形成された両面ガイド上2aと、前カバー1に一体的に形成された両面ガイド下2bとで画定されて所定の隙間をもって形成されている。前カバー1は、給紙トレイ5近傍の装置本体に所定角度の範囲で回動(時計回りおよび反時計回りに回転することを意味する。以下、同じ)可能に支持された軸2cを中心に、同図に示す閉位置と、この閉位置から図において反時計回りに揺動した開位置との間で揺動可能に構成されている。前カバー1が開位置を占めたとき、両面搬送路(再給紙路97および迂回路98)が開放されて、図において左方であるマシン前面からのすべてのジャム処理、メンテナンス部品交換を行えるようになっている。
迂回路98は、両面ガイド内18と、両面ガイド外19等とで画定されて所定の隙間をもって形成されている。
なお、共通搬送路96、再給紙路97等の上記各ガイド部材には、各種搬送ローラおよび点状破線円で示す拍車が適宜配設されているが、本実施形態では説明および図の簡明化のため、それら搬送ローラおよび拍車の主なもののみを図示している。
記録ヘッド31は、例えば、4つのノズル列を有し、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク液滴をそれぞれ吐出する。
搬送部91は、搬送ベルト11と、搬送ローラ10と、テンションローラ12と、先端加圧コロ41と、帯電ローラ17等とを備えている。
本実施形態の搬送ベルト11は、無端ベルトであるが、成型上において無端のベルトでも、両端をつなぐことで無端状としたベルトでもよい。
なお、図1では図示を省略しているが、搬送ローラ10とテンションローラ12との間であって、搬送ベルト11の内側における記録ヘッド31に対向する位置には、搬送ベルト11を内側からガイドするベルトガイド部材として機能する搬送ガイド板(図示せず)が配設されている。
分離爪拍車ユニット15は、ベルト移動方向Xaにおける記録ヘッド31の下流側において、搬送ベルト11を介してテンションローラ12に押圧するように配設され、搬送ベルト11から用紙Pを分離する分離部材として分離爪の機能も有する。分離爪拍車ユニット15のユニット筺体には、テンションローラ12に従動して回動する点状破線円で示す拍車16と、第2搬送ローラ14に従動して回動する拍車16とが支持されている。
第1、第2排紙ローラ20,21のシート搬送方向下流には、第1、第2排紙ローラ20,21によって排紙すべく送られてきた用紙Pを積載する排紙トレイ6が配設されている。
第1、第2排紙ローラ20,21および拍車16は、片面印刷済みの用紙Pの先端および後端を反転させるスイッチバック動作可能に、共に時計回り、反時計回りの両方向、換言すれば正逆転・回動可能に、図4に示す単一の駆動源としての搬送モータ9によって駆動されるように構成されている。すなわち、第1、第2排紙ローラ20,21および拍車16は、搬送ベルト11の対向面11aを通過した片面印刷済みの用紙Pをスイッチバックさせて、再度、画像形成部90の記録ヘッド31側へ給送する再給送手段およびスイッチバック手段として機能する。
両面ガイド下2bの上部には、テンションローラ12と対向して搬送ベルト11の反対向面11bに当接するレジスト部材・回転体としてのレジストローラ26が回転可能に支持されている。両面ガイド下2bの下部には、搬送ベルト11を介して搬送ローラ10に押圧するように配設された押圧部材としての両面搬送ローラ27が回転可能に支持されている。
迂回路98の入口近傍の両面ガイド内18には、搬送ベルト11を介して搬送ローラ10に押圧するように配設された分離部材としての分離爪43が配置されている。
上記したとおり、再給送手段は、第1、第2排紙ローラ20,21、レジストローラ26、両面搬送ローラ27再給紙路97、搬送ベルト11の反対向面11bおよび分岐爪25を備えている。
先ず、片面(例えば用紙Pの第1の面である用紙表面)印刷時の動作を説明する。図示しない電源スイッチがオン・投入され、使用者による操作部(図示せず)の各種キー操作(印刷枚数や拡大・縮小等のキー操作)が終了すると、インクジェットプリンタ100の動作を制御する図示しない制御手段からの制御指令により、図1に示す給紙部92が画像形成部90および搬送部91と同期して起動可能状態になる。すなわち、給紙コロ28および上記図示しない分離パッドの協働作用により、給紙トレイ5の底板29上の用紙Pが1枚に分離されて給送され、給紙搬送路95を通って搬送部91の先端加圧コロ41と搬送ベルト11との間に送り込まれる。
そして、再び搬送ローラ10の正転駆動を介して搬送ベルト11によって用紙Pが搬送され、この際、分離爪拍車ユニット15を介して搬送ベルト11から分離された片面印刷済みの用紙P(以下、単に「用紙P」ともいう)は第2搬送ローラ14によりシート搬送方向Xaの下流側の排紙反転部93に送り込まれる。
片面印刷が上述した通りの動作で行われた後、図2において片面印刷済みの用紙Pの先端Paが第1、第2排紙ローラ20,21の各挟持部(以下、「ニップ部」という)へ導かれて、片面印刷済みの用紙Pの後端Pbが排紙反転部93の分岐部(分岐爪25配置部)を通過して(図2(a)参照)、片面印刷済みの用紙Pがスイッチバック位置を占めると、これが図示しないセンサにより検知されることで、片面印刷済みの用紙Pの搬送が一時的に停止され(この間に本実施形態1のクラッチ機構による第1、第2排紙ローラ20,21の正転→逆転への作動・駆動切り替えが行われる)、その後、図2(b)に示すように、第1、第2排紙ローラ20,21と各拍車16とが逆転・反転開始することにより、片面印刷済みの用紙Pの先端Paと後端Pbとがシート搬送方向に対して逆になるスイッチバック動作が行われる。このスイッチバック動作開始と同時に、搬送ローラ10の正転により搬送ベルト11がベルト移動方向Xaに移動開始する。
この際、図1および図2(a)に示す位置を占めていた分岐爪25が時計回りに揺動駆動されることにより、片面印刷済みの用紙Pの搬送経路は両面搬送路(再給紙路97)側に切り替えられている。
次いで、スイッチバック動作を検知する図示しないセンサにより、スイッチバックされた片面印刷済みの用紙Pの先端Pb(スイッチバック前は片面印刷済みの用紙Pの後端Pbであるが、「先端Pb」と言い替えると共に、「スイッチバック後の用紙Pの先端Pb」ともいう)が検知されると、分岐爪25によって両面搬送路(再給紙路97)に導かれつつ、第1、第2排紙ローラ20,21と各拍車16によって片面印刷済みの用紙Pの先端Pbが両面搬送路(再給紙路97)に搬送される(図2(b)参照)。
ここで、帯電ローラ17は、反転時、迂回路9の内側に設置されているため、スイッチバック後の用紙Pは常に新規に帯電された状態の搬送ベルト11上に吸着されることとなる。以降の動作は片面印刷時の動作より当業者であれば容易に理解し実施できるため、これ以上の動作説明を省略する。
本実施形態1のインクジェットプリンタ100は、フロントオペレーションを達成しつつ、マシンサイズさらに部品点数を最小限に抑えるために、キャリッジ30に搭載された記録ヘッド31を主走査方向に走査しながらインクを略水平に吐出して画像を形成する搬送経路にて構成される。
このように、給紙トレイ5に対する図1の左側に相当する前面からのアクセスと共に、用紙の印字面側を下向きに排紙する裏面排紙(フェイスダウン)を実現することにより、インクを下方に吐出して印字し画像を形成する従来のS字搬送経路に比べて、マシンサイズを最小に抑えることができる。
なお、実施形態例では駆動力伝達手段としてタイミングベルト52を用いているが、ギヤを用いてもよく、またレイアウトおよび機構上許されるのであれば搬送ローラ10の軸10aに搬送モータ9を直結してもよい。
また、キャリッジ30の上方側には、スリットを形成した図示しないエンコーダスケールを設け、さらにエンコーダスケールのスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ(図示せず)を設けることによって、キャリッジ30の主走査方向位置を検知するためのエンコーダを構成している。
また、第2搬送ローラ14の右斜め上近傍の装置本体には、第2搬送ローラギヤ14Bと常に噛み合うと同時に、後述するクラッチ揺動機構61のクラッチ第1ギヤ74と常に噛み合う中間ギヤ68が図示しないギヤ軸を介して回動可能に支持されている。
本実施形態1のクラッチ機構は、搬送モータ9の逆転駆動により逆転される、搬送手段としての搬送ベルト11または搬送ローラ10の一定の逆転量によって、同クラッチ機構が作動し、スイッチバック手段としての第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向を変更する機能・構成を有する。ここで、搬送ベルト11または搬送ローラ10の一定の逆転量が、本実施形態1のクラッチ機構を作動させる作動手段として機能する。
クラッチ制御ギヤ65は、第2中間ギヤ56と常時噛合可能に、かつ、揺動アーム71の突起部71aと選択的に係合可能に、例えば第1回転体63よりも紙面の手前側に突出して歯幅が長く形成されている。
搬送ローラ10および搬送ベルト11の逆転時には、上述したとは逆に上記駆動力伝達手段を介して、反時計回りの駆動力(左回転のトルク)が伝達されているが、一定以上の負荷(トルク)が掛かると止まる仕組みになっている。つまり搬送ローラ10および搬送ベルト11の回転に連結・連動して回転方向にトルクは掛かるが、一定以上の負荷(トルク)が掛かると止まる仕組みになっている。このような仕組みは図示しないがバネなどの摩擦力によって実現される一般的な構成である。
第1回転体63の劣弧状の切り欠き範囲は、後述するように搬送モータ9を介して駆動される搬送ローラ10および搬送ベルト11の一定の逆転量を調整するために設定されている。第2回転体64も、後述する搬送ローラ10および搬送ベルト11の一定の逆転量を調整するために設けられている。
揺動アーム71における第1回転体63の上記切欠部と対向する側壁には、三角形状をなす突起部71aが上記切欠部側に向けて突出形成されている。
第1排紙ローラ20の近傍には、第1排紙ローラギヤ20Aと常に噛み合う第1排紙ローラ中間ギヤ79が軸を介して装置本体に回動自在に支持されている。さらに、第1排紙ローラ中間ギヤ79の左斜め下近傍の装置本体には、第1排紙ローラ中間ギヤ79と常に噛み合い、かつ、クラッチ第2ギヤ75と選択的に噛み合う第1排紙ローラ駆動受け渡しギヤ80が軸を介して装置本体に回動自在に支持されている。
クラッチ揺動機構61は、図4(a)および図5(a)に示すように搬送ローラ10の正転時には、支軸70を中心として反時計回りに揺動(左回転)し、図4(b)および図5(b)に示すように搬送ローラ10の逆転時には、支軸70を中心として時計回りに揺動(右回転)する。
この後、搬送ローラ10が再度正転することより、図5(c)に示すように、第1回転体63の時計回りの回転によって第1回転体63の突起部63aがストッパ62に当たることで、第1回転体63の回転が止められると同時に、揺動アーム71の突起部71aがクラッチ制御ギヤ65の隣合う歯の間に嵌り込むことで揺動アーム71の時計回りの揺動が同図中の一定位置で止められる。この際、揺動アーム71の突起部71aが第2回転体64の先端と当たることにより、第2回転体64は上記図示しないバネの付勢力に抗して第1回転体63内に入り込み、第1回転体63の切欠部からの突出量が小さくなる。結局、第1回転体63とクラッチ揺動機構61は図5(c)に示す位置状態になる。これは図4(b)に示す位置状態に相当し、第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向がスイッチバック可能な逆転に切り替えられることとなる。
また、搬送ローラ10の逆転時には、クラッチ揺動機構61が駆動の切り替えのために揺動している動作中にあるため、第1、第2排紙ローラ20,21には搬送モータ9の駆動を伝えないように構成されている。
上述した全体動作においては特に説明しなかったが、片面印刷および両面印刷時の印刷の生産性を向上するために、記録ヘッド31による用紙Pへの非画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度が、記録ヘッド31による用紙Pへの画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度と比べて速く設定されている。換言すれば、非画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度が、画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度と比べて速くなるように、搬送モータ9の回転速度が制御される。これは、後述の実施形態2においても同様である。
片面印刷が上述した通りの動作で行われた後、図2において片面印刷済みの用紙Pの先端Paが第1、第2排紙ローラ20,21の各ニップ部へ導かれて、片面印刷済みの用紙Pの後端Pbが排紙反転部93の分岐部(分岐爪25配置部)を通過して(図2(a)参照)、片面印刷済みの用紙Pがスイッチバック位置を占めると、これが図示しないセンサにより検知されることで、片面印刷済みの用紙Pの搬送が一時的に停止される。この際に、本実施形態1のクラッチ機構による第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転への作動・駆動切り替えが行われる。すなわち、図5(a)〜図5(c)に示したように搬送モータ9を介しての搬送ローラ10の一定量の逆転動作によって、第1、第2排紙ローラ20,21が正転から逆転へ切り替えられる(図4(b)参照)。
この際、搬送モータ9を介しての搬送ローラ10の逆転量が、図2(a)に示す片面画像形成済みの用紙Pの後端Pbのスイッチバック位置から、両面搬送路(再給紙路97)内で常に一定方向である時計回りに回転するレジストローラ26まで(図2(b)参照)の用紙距離よりも長く設定すると、レジストローラ26の回転方向とスイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの搬送方向とが逆になりジャムになってしまうとともに、レジストローラ26によって一度搬送ベルト11の反対向面11bに押し付けられ帯電されたスイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの先端Pbが両面搬送路(再給紙路97)の上流側へ若干押し戻されるような状態になるため望ましくない。実際には、図2(a)に示す片面画像形成済みの用紙Pの後端Pbのスイッチバック位置から、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの先端Pbが分岐爪25を確実に通り越す搬送量(搬送距離)に設定するのが望ましい。
そして、本実施形態1例では第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量が、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量よりも大きく設定されている。
このような構成にすることで、搬送ベルト11の対向面11a側での吸着のための帯電が常にリフレッシュされた状態を保つことができる。つまり、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの先端Pbが図3(b)に示す位置を過ぎた時点で、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させるために搬送ローラ10の逆転を開始すると、搬送ベルト11の対向面11aに一度吸着した用紙Pが搬送ベルト11の対向面11aから離れ、再度吸着してしまう。このような構成では帯電が乱れ吸着力が著しく悪化し、搬送乱れに直結してしまう。
このような構成にすることで、搬送ベルト11の対向面11a側での吸着のための帯電が常にリフレッシュされた状態を保つことができる。
また、本実施形態1の駆動系によれば、この駆動系に揺動ギヤなどのクラッチを介装させていないので、駆動系の駆動剛性が弱くなってしまうことなく正常に保たれ、DCモータからなる搬送モータ9に高周波電圧を入力して駆動させても発振したり時定数が増加したりしまうことなく、DCモータの起動が正常に行われることで、搬送ベルト11の高速搬送・高精度の用紙搬送量制御ができる。
図6および図7を参照して、本発明の実施形態2を説明する。図6は、本発明の実施形態2を示すクラッチ機構およびスイッチバック手段の回転方向を切り替えるキャリッジ位置を説明する図、図7は、クラッチ機構(揺動ギヤユニット)の動作を説明する図である。なお、図6(b)および図7(a)、図7(b)は、図6(b)の矢視Va側から見た一部断面側面図である。
実施形態2は、図1〜図5に示した実施形態1と比較して、図4および図5の実施形態1のクラッチ機構に代えて、図6および図7に示すクラッチ機構を用いる点、および図4に示した正逆転可能な単一の搬送モータ9を含む駆動系に代えて、正転方向にのみ回転可能な単一の搬送モータを含む駆動系を用いる点が主に相違する。この相違点以外の構成は、実施形態1と同様である。すなわち、本実施形態2の搬送ローラ10は正転方向にのみ回転するとともに、これに伴い搬送ベルト11はベルト移動方向Xaにのみ走行・回転する。
本実施形態2のクラッチ機構(以下、本実施形態2の説明では単に「クラッチ機構」ともいう)は、画像形成手段(記録ヘッド31)の非画像形成時の動作と連動して移動可能な移動体としてのキャリッジ30の位置によって、同クラッチ機構が作動し、第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向を変更する機能・構成を有する。ここで、非画像形成時の動作と連動して移動可能な移動体としてのキャリッジ30の位置が、本実施形態2のクラッチ機構を作動させる作動手段として機能する。
揺動ギヤユニット46は、搬送ローラギヤ44と常に噛み合う駆動ギヤ48と、駆動ギヤ48と常に噛み合う第1揺動ギヤ49と、駆動ギヤ48と常に噛み合う第2揺動ギヤ50と、駆動ギヤ48、第1揺動ギヤ49および第2揺動ギヤ50を各ギヤ軸を介して回転可能に支持する対向する一対の連結アーム51とを備えている。
揺動ギヤユニット46は、本体フレーム3に回転可能に支持された駆動ギヤ48のギヤ軸48aを中心として揺動可能に構成されている。内側の連結アーム51には、揺動ギヤ規制部材45と選択的に係合する係合孔51aが貫通して形成されている。
揺動ギヤ規制部材45は、例えば先端部が先細りテーパ状に形成されていることで自動調芯機能を備えた金属製の丸棒からなり、図6(a)に示すように、基端部がキャリッジ30の右外側壁に固定されている。
図7(a)に示すように、揺動ギヤ規制部材45の先端部が連結アーム51の係合孔51aに係合していないときは、揺動ギヤユニット46は図示しないバネの付勢力によって図7(a)に示すギヤの連結位置を占める、すなわち第1、第2排紙ローラ20,21が正転するようにギヤ連結するように構成されている。
印字・画像形成待機中には、キャリッジ30は維持回復機構35側に移動されて、キャップ36で記録ヘッド31のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、吸引用キャップで記録ヘッド31をキャッピングした状態でノズルから記録液(インク)を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド31の安定した吐出性能を維持する。
図7(a)は、第1、第2排紙ローラ20,21が正転(片面印刷済みの用紙の排紙動作)時のギヤの連結を示している。このとき、揺動ギヤ規制部材45は揺動ギヤユニット46を規制せずに、揺動ギヤユニット46自身の自重と回転のトルク(搬送ローラ44から伝達される回転のトルク)と上記図示しないバネの付勢力とによって、揺動ギヤユニット46の第1揺動ギヤ49が中継ギヤ47に噛み合って連結されている状態にある。この際、同図に示すように排紙側に駆動を渡す駆動受け渡しギヤ53は白抜き太矢印で示すように反時計回りに回転(左回転)している。
図7(b)の状態において、キャリッジ30が再び印字・画像形成動作を行うべく維持回復機構35から主走査方向Yの印字領域側へ移動したときには、揺動ギヤ規制部材45と連結アーム51の係合孔51aとの係合状態が解除されることで、上記図示しないバネの付勢力によって揺動ギヤユニット46は図7(a)に示すギヤの連結位置を占め、第1、第2排紙ローラ20,21が正転するようにギヤ連結されることとなる。
以上の駆動系およびクラッチ機構を用いることで、スイッチバック手段としての第1、第2排紙ローラ20,21の正逆転をコントロールすることができる。
片面印刷が上述した通りの動作で行われた後、図2において片面印刷済みの用紙Pの先端Paが第1、第2排紙ローラ20,21の各ニップ部へ導かれて、片面印刷済みの用紙Pの後端Pbが排紙反転部93の分岐部(分岐爪25配置部)を通過して(図2(a)参照)、片面印刷済みの用紙Pがスイッチバック位置を占めると、これが図示しないセンサにより検知されることで、片面印刷済みの用紙Pの搬送が一時的に停止される。この際に、本実施形態2のクラッチ機構による第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転への駆動切り替えが行われる。すなわち、記録ヘッド31の非画像形成時の動作と連動して移動可能なキャリッジ30は図6(a)に示す右端に移動することによって、揺動ギヤ規制部材45の先端部が上記図示しないバネの付勢力に抗して連結アーム51の係合孔51aに入り込み・係合する。これにより、図7(a)の揺動ギヤユニット46とのギヤ連結状態から、揺動ギヤユニット46がギヤ軸48aを中心として反時計回りに揺動変位することで、図7(b)の揺動ギヤユニット46とのギヤ連結状態になる。これによって駆動が切り替わり、この際、同図に示すように排紙側に駆動を渡す駆動受け渡しギヤ53が白抜き太矢印で示すように時計回りに回転することで、第1、第2排紙ローラ20,21が逆転することとなる。
すなわち、キャリッジ30が一定範囲に位置するときにのみ、第1、第2排紙ローラ20,21を逆転するクラッチが入っているために、キャリッジ30が維持回復機構35周辺の一定範囲外に移動すると第1、第2排紙ローラ20,21は再度正転する。つまり、キャリッジ30が維持回復機構35周辺の一定範囲に位置するときは常に第1、第2排紙ローラ20,21は逆転動作を行い、一定範囲から外れた位置では常に正転動作を行う構成となっている。
このように第1、第2排紙ローラ20,21を正転にもどすタイミングは比較的長い範囲で設定できるために、キャリッジ30の動作(例えば、記録ヘッド31の吸引動作、記録ヘッド31のクリーニング動作、空吐出動作、キャリッジ30の記録ヘッド31へのインク供給動作など)の都合に合わせて設定することができる。
また、本実施形態2の駆動系によれば、この駆動系に揺動ギヤなどのクラッチを介装させていないので、駆動系の駆動剛性が弱くなってしまうことなく正常に保たれ、DCモータからなる搬送モータ9に高周波電圧を入力して駆動させても発振したり時定数が増加したりしまうことなく、DCモータの起動が正常に行われることで、搬送ベルト11の高速搬送・高精度の用紙搬送量制御ができる。
インクジェットプリンタ100Aは、図1のインクジェットプリンタ100と比較して、第1に、シート搬送経路を鉛直・垂直方式から水平方式に変更した点、第2に、第1の変更点に伴い破線で簡略的に示すキャリッジ30の記録ヘッド31による印字方式を鉛直方式に変更した点(これに伴い図8では省略している排紙トレイへの排紙がフェイスアップで積載される)、排出手段およびスイッチバック手段を単一の排紙ローラ20および拍車16で構成した点が主に相違する。
なお、インクジェットプリンタ100Aの動作は、上述した実施形態1および2のクラッチ機構を適用して配設した場合を含め、当業者であれば詳述したインクジェットプリンタ100の動作から容易に理解して実施できるから、重複説明を避けるためその説明を省略する。
本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態におけるインクジェット方式のインクジェットプリンタ100,100Aに限らず、例えば、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ、複写機、孔版印刷機を含む印刷装置等またはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等においてインクジェット記録装置を含む画像形成装置にも適用可能である。また、本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態1におけるシリアル型のインクジェットプリンタ100,100Aに限らず、上記実施形態1のクラッチ機構では例えばライン型のインクジェット記録装置等にも適用可能である。
また、被記録媒体・シートとしては、用紙Pに限らず、上記したように使用可能な薄紙から厚紙、はがき、封筒、あるいはOHPシート等まで、画像形成可能な全ての記録媒体・シートを含むものである。
5 給紙トレイ
6 排紙トレイ
9 搬送モータ(単一の駆動源)
10 搬送ローラ(回転体)
11 搬送ベルト(搬送手段)
12 テンションローラ(回転体)
17 帯電ローラ(帯電手段)
30 キャリッジ(移動体)
31 記録ヘッド(画像形成手段)
45 揺動ギヤ規制部材
46 揺動ギヤ
47 中継ギヤ
60 クラッチ制御機構(クラッチ機構)
61 クラッチ揺動機構(クラッチ機構)
62 ストッパ
63 第1回転体
64 第2回転体
65 クラッチ制御ギヤ
67 用紙搬送量
68 中間ギヤ
70 支軸
71 揺動アーム
72 クラッチ第1プーリ
73 クラッチ第2プーリ
74 クラッチ第1ギヤ
75 クラッチ第2ギヤ
76 タイミングベルト
78 排紙ローラ中間ギヤ
79 第1排紙ローラ中間ギヤ
80 第1排紙ローラ駆動受け渡しギヤ
P 用紙(被記録媒体、シート)
Xa ベルト移動方向、副走査方向(正転方向)
Xb シート排出方向
Y 主走査方向
Claims (9)
- シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段と対向して配置され、前記搬送手段により搬送されてくるシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を通過した片面画像形成済みのシートを前記搬送手段よりも下流側でスイッチバックする正逆転可能なスイッチバック手段を備え、該スイッチバック手段の逆転によってスイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、再度、前記画像形成手段側へ再給送する再給送手段と、
前記再給送手段により給送されてきた前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、前記搬送手段における前記画像形成手段との対向面と反対側の反対向面に案内して前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの表裏を反転し、再度、前記搬送手段の前記対向面へ案内する反転経路と、
前記搬送手段および前記スイッチバック手段を駆動する単一の駆動源と、
前記駆動源の駆動力を前記搬送手段に伝達する駆動系を除く部位に配置され、前記スイッチバック手段の正逆転を切り替えるクラッチ機構と、
前記クラッチ機構を作動させる作動手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
前記駆動源および前記搬送手段は、正逆転可能に構成されており、
前記作動手段が、前記搬送手段の一定量の逆転であり、
前記搬送手段の一定量の逆転によって、前記クラッチ機構が作動し、前記スイッチバック手段の回転方向を変更することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2記載の画像形成装置において、
前記搬送手段は、少なくとも2つの回転部材間に掛け回されて周回移動され、シートを吸着して搬送する搬送ベルトを備え、
前記再給送手段は、前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートを前記画像形成手段と対向しない反対向側の前記搬送ベルト面に再給送し案内するよう構成されており、
前記反転経路は、前記反対向側の前記搬送ベルト面を通過した前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートが、一度前記反対向側の前記搬送ベルト面を離れた後、再度、前記画像形成手段と対向する対向側の前記搬送ベルト面に吸着されて案内するよう構成されており、
前記スイッチバック手段の逆転から正転へ切り替えるために前記クラッチ機構を作動させる前記搬送手段の逆転タイミングは、前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの先端が、一度前記反対向側の前記搬送ベルト面を離れた後に再度前記対向側の前記搬送ベルト面に吸着されるよりも上流側の前記反転経路に存在する位置に設定されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2または3記載の画像形成装置において、
前記搬送手段の逆転時には、前記スイッチバック手段には前記駆動源の駆動を伝えないことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
前記作動手段が、前記画像形成手段の非画像形成時の動作と連動して移動可能な移動体の位置であり、
前記非画像形成時に移動する前記移動体の位置によって、前記クラッチ機構が作動し、前記スイッチバック手段の回転方向を変更することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5記載の画像形成装置において、
前記移動体が一定範囲に位置するときにのみ、前記クラッチ機構が作動することにより前記スイッチバック手段を逆転することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5記載の画像形成装置において、
前記移動体の位置によって、前記スイッチバック手段を逆転する前記クラッチ機構のオンとオフとを切り替えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5記載の画像形成装置において、
前記スイッチバック手段を逆転する前記クラッチ機構のオンを行う前記移動体の位置と、前記クラッチ機構のオフを行う前記移動体の位置とが異なることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし8の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成手段によるシートへの非画像形成動作中の前記搬送手段の搬送速度が、前記画像形成手段によるシートへの画像形成動作中の前記搬送手段の搬送速度と比べて速く設定されていることを特徴とする画像形成装置。
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