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JP4895494B2 - 模様面の形成方法 - Google Patents

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JP4895494B2 JP2004319081A JP2004319081A JP4895494B2 JP 4895494 B2 JP4895494 B2 JP 4895494B2 JP 2004319081 A JP2004319081 A JP 2004319081A JP 2004319081 A JP2004319081 A JP 2004319081A JP 4895494 B2 JP4895494 B2 JP 4895494B2
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Description

本発明は、建築物や土木構造物等における模様面の形成方法に関するものである。
従来、建築物や土木構造物等の表面の塗装には、一般にフラット塗料と呼ばれる塗料がよく用いられているが、フラット塗料によって得られる色彩は通常単一色となる。これに対し、複数の色彩が表面に現れるような塗装方法が種々提案されている。
例えば、特開昭55−79080号公報(特許文献1)には、凹凸上の立体模様を有する被塗装面に、着色半透明の高粘性塗材を塗り付け、塗り付けた塗材が硬化しないうちに、コテ等の塗材除去具を用いて凸部頂面上の高粘性塗材を除去し、残余の高粘性塗材を硬化させることにより、多彩色塗装面を形成する方法が記載されている。
特公平1−30991号公報(特許文献2)には、表面に多数の凹凸部を有する表面凹凸上の塗付層Aの上を、該塗付層Aとは異なった色調に着色された塗付層Bで塗装した後、塗付層Bの一部をハケ等で除去して塗付層Aの凸部を露出させる方法が記載されている。
また、特開昭57−78977号公報(特許文献3)には、下地表面全面に、該下地表面と異なる色彩を有する骨材と樹脂エマルジョンとを主成分とする塗材を塗付し、これを柄出しローラーで引き起こし、次いで乾燥する2色仕上り塗面形成法が記載されている。
しかし、上述の特許文献1、2の方法では、2種類以上の塗材を順次積層する必要があり、さらに一旦塗装した塗材を除去しなければならないため、塗装作業が煩雑になりやすく、工期短縮を図ることも難しい。また、特許文献3の方法では、上層の塗材層に凹凸を生じさせ、その凹部において下地表面の色彩が視認できるようにして2色模様を形成させるため、平滑な塗膜を形成することができない。
一方、特公平7−47879号公報(特許文献4)には、着色骨材を合成樹脂中に混入してなる混合材を複数種用意し、これらを多頭式スプレーガンの別個の吹き付け口から同時に吹き付けることによって、非混合多色状に塗付する方法が記載されている。この方法によれば、1回の塗装で多色状の模様を得ることが可能である。
しかしながら、この特許文献4の方法は、吹き付け塗装によるものであるため、塗材の飛散防止の点において限界があり、塗装前の養生等に手間がかかるのが実状である。また、特許文献4の方法は、御影石や大理石等の自然石に類似した外観を得ることを目的とするものであり、その形成塗膜において他の外観模様、例えば筋状の模様等を得ることはできない。
特開昭55−79080号公報 特公平1−30991号公報 特開昭57−78977号公報 特公平7−47879号公報
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、複数の色相が混在した模様面を簡便な方法で得ることを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、特定の色粒を混合して得られた水性塗材を基材に塗付し、その塗面をコテにより仕上げる塗装方法に想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.結合剤、骨材及び水性媒体を含む水性塗材に対し、該水性塗材とは異なる色相であり、且つ水に対する軟化性を有する色粒を、色粒の状態を保ったまま該水性塗材中に均一に分散するように混合し、混合して得られた水性塗材を基材に塗付し、その塗面をコテでしごいて色粒が潰れながら引きずられ、筋状の模様が形成されるように平滑に仕上げることを特徴とする模様面の形成方法。

本発明によれば、複数の色相が混在した模様面を1回の塗装で形成することができる。しかも本発明では、平滑な塗膜面を得ることができる。
本発明は、特に、筋状の模様を表出するための方法として好適である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明は、建築物、土木構造物等における表面化粧に適した方法である。塗装の対象となる基材は、建築・土木の分野で使用可能なものであれば特に限定されない。具体的には、例えばコンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、石膏ボード、合板、プラスチック板等が挙げられる。このような基材は、旧塗膜や壁紙等を有するものであってもよい。また、基材の表面を予めサーフェーサー、フィラー、パテ、シーラー等で処理しておくこともできる。
本発明では、塗装に供する材料として、まず、結合剤、骨材及び水性媒体を含む水性塗材を用意する。
このうち、結合剤としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂等の各種結合剤、あるいはこれらを複合化した結合剤等を使用することができる。これらは架橋反応性を有するものであってもよい。また、結合剤の形態は特に限定されず、1液型、2液型のいずれであってもよい。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。結合剤のガラス転移温度は、適宜設定することができ、通常は−50〜50℃程度である。
骨材としては、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも1種以上を好適に使用することができる。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、石灰石、珪石、珪砂、砕石、雲母、珪質頁岩、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、ゴム粒、金属粒等が挙げられ、また、貝殻、珊瑚、木材、炭、活性炭等の粉砕物を使用することもできる。これらに着色コーティングを施したものも使用できる。これら骨材の粒径は、通常0.05〜5mm程度である。骨材の混合比率は、結合剤の固形分100重量部に対し、通常50〜2000重量部(好ましくは100〜1000重量部)程度である。本発明では、このような骨材として、有色のものを適宜組み合わせて使用することにより、種々の色彩を表出することができる。
水性塗材における水性媒体は、水を主成分とするものであり、必要に応じ有機溶剤等を含むものであってもよい。水性媒体中における水の比率は、通常70重量%以上である。水性媒体中の有機溶剤としては、水への溶解性を示す有機溶剤が使用でき、例えば、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。なお、前記結合剤中の媒体も、この水性媒体に包含される。水性塗材における水性媒体の重量比率は、結合剤の固形分100重量部に対し、通常100〜1500重量部、好ましくは120〜1000重量部である。
本発明における水性塗材には、必要に応じ顔料を混合することもできる。顔料としては、通常の塗材に使用可能な着色顔料、体質顔料が挙げられる。このうち、着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒色酸化鉄、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントカーミン、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料等が使用できる。前記骨材として、発色性が低いものを使用した場合は、これら着色顔料によって種々の色彩を付与することができる。
体質顔料としては、例えば重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、焼成クレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられる。体質顔料の粒径は、通常50μm未満(好ましくは0.5μm以上50μm未満)である。
本発明における水性塗材は、上記成分を常法により均一に混合することで製造することができるが、上記成分以外の成分、例えば、繊維、造膜助剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等を適宜混合することもできる。
本発明では、以上のような水性塗材に対し、水性塗材とは異なる色相であり、且つ水に対する軟化性を有する色粒を混合する。本発明では、このような色粒を使用することによって、複数の色相が混在した模様面を1回の塗装で形成することができる。
色粒の色相は、水性塗材と異なるものであれば、特に限定されず、所望の仕上り外観に応じて適宜設定することができる。例えば、水性塗材の乾燥塗膜と色粒との色差ΔEが3以上である場合は、色彩にメリハリのある模様面を形成することができる。色差ΔEが3未満であれば、絶妙なバランスで複合しあった、上品で落ち着きのある模様面を形成することができる。色差ΔEの下限は0.3以上(さらには0.5以上)程度であればよい。
なお、ここに言う色差ΔEは、色差計を用いて測定される値(下記式)である。
<式>ΔE={(L 1−L 2+(a 1−a 2+(b 1−b 20.5
(式中、L 1、a 1、b 1はそれぞれ水性塗材の乾燥塗膜のL、a、b。L 、a 、b はそれぞれ色粒のL、a、b
本発明における色粒としては、水に対する軟化性を有するものを使用する。なお、本発明に言う「水に対する軟化性」とは、水浸漬によって硬さが低下する性質を意味するものである。具体的には、色粒を10分間水に浸漬した場合の浸漬前後の硬さを、スプリング式硬さ試験機(A形)によって測定したときに、浸漬後の値が、浸漬前の値の30%以下(好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下)となる性質のことである。特に、本発明における色粒としては、前記硬さ試験機による水浸漬前の硬さが50度以上(好ましくは60度以上、より好ましくは70度以上)、水浸漬後の硬さが15度以下(好ましくは10度以下、より好ましくは5度以下)となるものが好適である。
本発明における色粒は、上記性質を有するものであれば、その組成については特に限定されないが、具体的には結合剤、体質顔料、及び骨材を含む塗材(以下「色粒用塗材」という)を粒状に固化させたものが好適である。ここで、各成分の比率は、結合剤の固形分100重量部に対し、体質顔料10〜1000重量部(好ましくは30〜800重量部、より好ましくは50〜500重量部)、骨材500〜4000重量部(好ましくは1000〜3500重量部、より好ましくは1200〜3000重量部)であることが望ましい。
色粒用塗材における結合剤、体質顔料、骨材としては、それぞれ水性塗材の説明において例示したものと同様のものが使用できる。但し、体質顔料としては、吸油量が20ml/100g以上(好ましくは50ml/100g、より好ましくは100ml/100g以上)のものが上記比率で含まれるように使用することが望ましい。このような体質顔料の使用により、色粒に適度な軟化性を付与することができる。吸油量の上限は、通常250ml/100g以下である。なお、ここに言う吸油量は、JIS K5101の方法によって測定される値である。このような体質顔料としては、特に焼成クレー、珪藻土、シリカ粉等が好適である。
色粒の色相は、色粒用塗材において、有色の骨材を適宜組み合わせて使用することによって調整することができる。また、骨材が発色性の低いものである場合は、別途着色顔料を混合することによって着色を施すことができる。着色顔料についても、上記水性塗材と同様のものが使用できる。
色粒の製造方法としては、上記色粒用塗材を粒状に成形固化する方法、あるいは上記色粒用塗材を固化後、粒状に粉砕する方法等を採用することができる。色粒用塗材を固化する際には、色粒用塗材を常温で乾燥すればよい。このとき必要に応じ加熱することもできる。
色粒の形状は、特に限定されず、例えば球状、扁平状、板状、角状、棒状、円柱状、不定形等が挙げられる。
色粒の粒径は、通常1〜10mm(好ましくは2〜5mm)程度である。色粒がこのような大きさであれば、模様形成の点で効果的である。
本発明では、以上のような色粒を水性塗材に混合した後、その塗材を基材に塗付する。水性塗材に対する色粒の混合は、水性塗材中において色粒が色粒の状態(形状)を保ったまま均一に分散する程度であればよく、比較的ゆるやかに低速の攪拌機等を用いて行う。この際、色粒の一部が脱離し、水性塗材に分散しても、目的とする多色性が損われない程度であれば差し支えない。色粒の混合は、塗装前ないし塗装時に行えばよい。色粒の混合量は、所望の模様に応じ適宜設定することができるが、通常は水性塗材に対し0.1〜100重量%(好ましくは1〜50重量%)程度である。本発明では、1種の色粒を用いてもよいし、色相が異なる2種以上の色粒を用いることもできる。
本発明では、基材に対し、上述のような色粒を混合した塗材を基材に塗付し、その塗面をコテにより仕上げる。本発明では、この工程でコテ仕上げを行う際に、軟化した色粒が潰れながらコテに引きずられるため、筋状の模様が形成される。しかも、色粒は、水性塗材と適度になじみつつ潰れるため、色粒による模様の境界が自然な仕上りとなる。さらに、この工程では、塗面をコテで均すことができるため、平滑な仕上りを得ることもできる。
この工程におけるコテとしては、例えば金ゴテ、木ゴテ等が使用できる。なお、塗材を基材に塗付(配り塗り)する際には、コテが使用できるのは勿論であるが、その他の方法、例えば吹き付け、ローラー塗り等を採用することもできる。
塗装時の塗付量は特に限定されず、適宜設定することができるが、通常は0.5〜8kg/m2(好ましくは1〜5kg/m2)程度とすればよい。塗装時には、水等で希釈することによって、塗材の粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、通常0〜10重量%程度である。
塗材の塗装及び乾燥は通常、常温(5〜40℃程度)で行えばよい。なお、仕上り面において種々の凹凸模様を形成させる場合には、塗膜乾燥前に、塗面をローラー、コテ、刷毛、櫛、へら等で処理すればよい。
本発明では、水性塗材の塗装後、必要に応じクリヤー塗料や撥水剤等を塗付することもできる。このうち、クリヤー塗料としては、例えばアクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、アクリルシリコン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料等が挙げられる。このようなクリヤー塗料は、艶消し剤の配合等によって艶の程度を調整することもできる。また、本発明の効果を阻害しない限り、着色を施すこともできる。撥水剤としては、アルコキシシラン化合物やシリコーン樹脂等を主成分とするもの等が使用できる。
このようなクリヤー塗料や撥水剤等を塗付する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が採用できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
[水性塗材の製造]
結合剤(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃のアクリル樹脂エマルション、媒体:水)200重量部、骨材(淡黄色骨材:淡赤色骨材:白色骨材=2:1:4の混合物、粒径0.08〜0.25mm)600重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤12重量部、水50重量部、消泡剤3重量部を常法により均一に混合して、水性塗材(以下「塗材A」という)を5kg製造した。この塗材Aの乾燥塗膜の色相はL=78.4、a=3.6、b=15.9であった。
[色粒の製造]
結合剤(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃のアクリル樹脂エマルション、媒体:水)200重量部、骨材(黄色骨材:赤色骨材:白色骨材=2:1:2の混合物、粒径0.08〜0.25mm)2000重量部、シリカ粉(粒径5〜20μm、吸油量200ml/100g)200重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤8重量部、水60重量部、消泡剤3重量部を常法により均一に混合して、色粒用塗材を1kg製造した。
この色粒用塗材を離型紙上にまばらに吹き付け、常温(23℃)で3日間乾燥後、離型紙から外すことにより、粒径2〜6mmの扁平状の色粒を得た。この色粒の色相はL=64.1、a=10.7、b=19.6であり、上記塗材Aに対する色差ΔEは16.4であった。また、この色粒のスプリング式硬さ試験機(A形)による硬さは80度、水浸漬10分後の硬さは1度以下であった。
[模様面形成]
上記塗材A5kgに上記色粒を250g加え、低速攪拌機(回転数500r.p.m)で1分間攪拌し、色粒が潰れず均一に分散するように混合した。この塗材を900×900mmの合板に1.5kg/m2の塗付量にてコテで配り塗りし、次いでその塗面をコテでしごいてほぼ平滑に仕上げ、常温で24時間乾燥した。以上の方法により、ベージュ色をベースとする面に、褐色系の筋状の模様が散在した模様面が形成された。

Claims (1)

  1. 結合剤、骨材及び水性媒体を含む水性塗材に対し、該水性塗材とは異なる色相であり、且つ水に対する軟化性を有する色粒を、色粒の状態を保ったまま該水性塗材中に均一に分散するように混合し、混合して得られた水性塗材を基材に塗付し、その塗面をコテでしごいて色粒が潰れながら引きずられ、筋状の模様が形成されるように平滑に仕上げることを特徴とする模様面の形成方法。
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