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JP5882257B2 - 装飾面の形成方法 - Google Patents

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JP5882257B2
JP5882257B2 JP2013125092A JP2013125092A JP5882257B2 JP 5882257 B2 JP5882257 B2 JP 5882257B2 JP 2013125092 A JP2013125092 A JP 2013125092A JP 2013125092 A JP2013125092 A JP 2013125092A JP 5882257 B2 JP5882257 B2 JP 5882257B2
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Description

本発明は、建築物内外壁や土木構築物等の表面化粧に適用可能な装飾面の形成方法に関するものである。
従来、建築物内外壁や土木構築物等の表面に対し、石材調、天然石調、砂岩調等の自然の風合いを表出できる模様は、例えば、意匠材を塗装することによって付与されている。
このような装飾面の模様は、凹凸感、陰影感もあり、個性的で高級感溢れる模様として一般的に知られており、このような模様を得る方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1、2等)。
特開平10ー130544 特開平5ー133066
特許文献1には、着色塗料、有色骨材、天然石粒を含む被覆組成物が記載されているが、このような組成物の工夫のみでは、すぐれた意匠性を表出するには限度がある。また、有色骨材、天然石粒による凹凸感、陰影感が強調され、かえって敬遠される場合がある。
特許文献2は、刷毛類を用いて筋目をつける方法が記載されているが、優れた意匠性を表出するには、熟練の施工技術が必要となり、好ましい方法とはいえない。また、刷毛による筋が人工的となり、自然の風合いを表出できない場合もある。
本発明者は、新たな意匠性の創造を目指して鋭意検討を行った結果、異なる色相の意匠材が混在する装飾面に対し、特定のローラーを押し当てて転動させることにより、落ち着きのある自然の風合いを有する新たな意匠を表出することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.(1)基材に対し、
結合材、意匠骨材を含む意匠材(P)と、
結合材、意匠骨材を含み、該意匠材(P)と色相の異なる意匠材(Q)とを、
意匠材(P)の色相と意匠材(Q)の色相が混在するように塗装し、
(2)前記工程(1)で塗装された意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させることを特徴とする装飾面の形成方法。
2.(1)(1‐1)基材に対し、結合材、意匠骨材を含む意匠材(P)を塗装した後、
(1‐2)該意匠材(P)が乾燥する前に、結合材、意匠骨材を含み、意匠材(P)と色相の異なる意匠材(Q)を部分塗装し、
(2)前記工程(1)で塗装された意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させることを特徴とする装飾面の形成方法。
3.前記工程(2)において、意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、水及び/または溶剤を含む繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させることを特徴とする1.または2.に記載の装飾面の形成方法。
本発明の装飾面の形成方法は、落ち着きのある自然の風合いを有する新たな意匠を形成することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の装飾面の形成方法は、(1)基材に対し、結合材、意匠骨材を含む意匠材(P)と、結合材、意匠骨材を含み、該意匠材(P)と色相の異なる意匠材(Q)とを、意匠材(P)の色相と意匠材(Q)の色相が混在するように塗装し、
(2)工程(1)で塗装された意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させることを特徴とするものである。
本発明で使用する基材は、建築物内外壁や土木構築物等に適用できるもので、例えば、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、セメント板、ALC板、サイディング板、石膏ボード、合板、壁紙、押出成形板、鋼板、プラスチック板等の基材が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものでもよい。これらの表面処理や塗膜によって任意の色に着色されたものであってもよい。また、本発明で用いる基材は、フラット基材でも、凹凸基材でもよい。
本発明で用いる意匠材(P)は、結合材(以下、「(A)成分」ともいう)、意匠骨材(以下、「(B)成分」ともいう)を含むものである。
また、本発明で用いる意匠材(Q)は、(A)成分、(B)成分を含むものであり、意匠材(P)と色相が異なっていれば特に限定されない。
本発明において、意匠材(P)と意匠材(Q)の色相は、その違い視認できる程度あれば特に限定されないが、好ましくは色差(△E)が5以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは30以上である。各意匠材の色相は、例えば、色相の異なる意匠骨材を使用する、あるいは、意匠材中の意匠骨材の配合を変える、こと等により適宜設定することができる。
なお、本発明における色差(△E)は、意匠材(P)、意匠材(Q)のそれぞれの乾燥塗膜(厚み1mm)を、色差計を用いて測定される値であり、それぞれの乾燥塗膜のL*値、a*値、b*値(測定点10箇所以上の平均値)より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L 1−L 2+(a 1−a 2+(b 1−b 20.5
(式中、L 1、a 1、b 1は意匠材(P)のL、a、b。L 2、a 2、b 2は意匠材(Q)のL、a、b
また、装飾面における、意匠材(P)の色相と、意匠材(Q)の色相の面積比率は、特に限定されないが、意匠材(P)の色相は装飾面全面に対し10%以上90%以下、意匠材(Q)の色相は装飾面全面に対し10%以上90%以下であることが好ましい。また、意匠材(P)、意匠材(Q)の色相以外に、その他の色相が混在してもよい。
意匠材(P)、意匠材(Q)における、(A)成分としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、非水分散形樹脂、粉末樹脂等の各種結合材、あるいはこれらを複合化した結合材等を使用することができる。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。このうち、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれらの複合系を使用すると、装飾面の耐候性を高めることができる点で好適である。
本発明では特に、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好適に用いられ、さらに好適には、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂と、水分散性シリカ(以下、「(C)成分」ともいう)との複合化物が用いられる。本発明では、このような(C)成分を複合化した水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂を用いることにより、汚染防止効果をよりいっそう向上させることができる。
上記水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂と(C)成分との複合化の方法としては、1.水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂の重合の際に(C)成分を混合して重合する、2.水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂を重合後、(C)成分を混合する、といった方法が挙げられ、いずれの方法を用いても良い。
(A)成分は、(C)成分と反応可能なものであることが好ましい。例えば、(C)成分に存在するシラノール基と反応可能な、水酸基、加水分解性シリル基等(好ましくは、加水分解性シリル基)の官能基を有することが好ましい。このような(A)成分を用いることにより、(A)成分と水分散性シリカが化学的に結合することによって、耐割れ性等の塗膜物性を確保しつつ、耐汚染性を発揮させることが可能となる。
また、(A)成分が重合性モノマーとしてアルコキシシリル基含有モノマーを含む場合は、水分散性シリカとの相互作用により塗膜物性向上を図ることができる。
本発明における(C)成分は、平均一次粒子径が1nm以上200nm以下(好ましくは5nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上50nm以下、さらに好ましくは20nm以上40nm以下)のもので、シリカを主成分とするため硬度が高く、かつその粒子表面にシラノール基を有する化合物である。水分散性シリカの平均一次粒子径がこのような範囲であれば、塗膜の外観に影響を与えることなく、汚染防止効果において十分な効果を得ることができる。本発明では、平均一次粒子径が異なる2種以上の(C)成分を使用することもできる。
なお、(C)成分の平均一次粒子径は、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(「FE‐SEM S‐4100」株式会社日立製作所製)等によって測定することができる。
(C)成分は、例えば、珪酸ソーダ、珪酸リチウム、珪酸カリウム、シリケート化合物を原料として製造することができる。このうち、シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、上記シリケート化合物以外のアルコキシシラン化合物や、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、フッ素アルコール、シランカップリング剤、ポリオキシアルキレン基含有化合物等を併せて使用することもできる。製造時には触媒等を使用することもできる。また、製造過程ないし製造後に、触媒等に含まれる金属をイオン交換処理等によって除去することもできる。
(C)成分のpHは、通常pH5以上13以下、好ましくは6以上12以下、より好ましくは7以上11以下である。このようなpHに調製されたこのような(C)成分は、その粒子表面の豊富なシラノール基によって、親水性を発揮することができ、汚染性防止性向上に大きく寄与するものである。
(C)成分の媒体としては、水及び/または水溶性溶剤が使用できる。水溶性溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。本発明では、特に媒体が水のみからなることが望ましい。このような(C)成分を使用することにより、意匠材の低揮発性有機溶剤(低VOC)化を図ることができる。また、(C)成分を意匠材に混合した際の凝集物発生を抑制することもできる。
(C)成分の固形分は、通常5重量部以上60重量部以下であり、好ましくは10重量部以上55重量部以下、より好ましくは15重量部以上50重量部以下である。(C)成分の固形分がこのような範囲内であれば、(C)成分自体の安定性、さらには意匠材中へ(C)成分を混合したときの安定性を確保することができる。
意匠材(P)、意匠材(Q)における(C)成分の含有量としては、(A)成分の固形分100重量部に対し、固形分重量比率で好ましくは0.01重量部以上100重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以上60重量部以下である。
意匠材(P)、意匠材(Q)における、(B)成分としては、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも一種以上が使用可能である。
具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、砕石、雲母、珪質頁岩、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、ゴム粒、金属粒等や、それらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。
(B)成分の平均粒子径は、好ましくは0.05mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.08mm以上3.0mm以下である。
(B)成分の平均粒子径をこのような範囲にすることで、平坦化が容易になり、落ち着きがある自然な風合いとともに、意匠性に富んだ装飾面を得ることができる。
なお、ここに言う平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
また、意匠材(P)、意匠材(Q)には、それぞれ、異なる色相の意匠骨材が含まれていてもよい。
本発明では、特に(B)成分が、透明性を有する意匠骨材(以下、「(B−1)成分」ともいう)と、(B−1)成分以外の意匠骨材(以下、「(B−2)成分」ともいう)から構成される場合、装飾面の色相に階調を与え、より優れた意匠を得ることができることから好ましい。とりわけ、意匠材(P)と意匠材(Q)の色差が大きいとき、好ましくは△Eが15以上、より好ましくは△Eが30以上のときには、この(B−1)による効果が顕著に発揮されるため、好ましい。
(B−1)成分としては、光透過率が3%以上(より好ましくは3%以上50%以下、さらに好ましくは10%以上30%以下)であるものが好適である。なお、ここに言う光透過率とは、濁度計による全光線透過率の値である。この測定では、試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。但し試料としては、粒子径が0.5mm以上1.0mm以下のものを選別して用いる。
このような(B−1)成分の具体例としては、例えば寒水石、長石、珪石、珪砂、雲母、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ等が挙げられる。
これに対して、(B−2)成分としては、透明性が低く、光透過率が3%未満(より好ましくは0%以上2.9%以下)であるものが好適である。
(B−1)成分の平均粒子径は、好ましくは0.01mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.03mm以上3mm以下、さらに好ましくは0.05mm以上1mm以下、最も好ましくは0.1mm以上0.8mm以下である。(B−1)成分がこのような粒子径であれば、本発明の意匠的効果を安定的に得ることができる。
なお、ここに言う平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
意匠材(P)、意匠材(Q)における(A)成分、(B)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、(B)成分が好ましくは100重量部以上2500重量部以下、さらに好ましくは200重量部以上1500重量部以下である。また、(B−1)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは10重量部以上1500重量部以下、さらに好ましくは50重量部以上1000重量部以下である。(B)成分中の(B−1)成分は、好ましくは10重量%以上60重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上50重量%以下である。
また、意匠材(P)、意匠材(Q)には、上記(A)成分、(B)成分等の他に、通常塗材に使用可能なその他の成分を含むこともできる。その他の成分としては、例えば、水、溶剤等の分散媒、着色顔料、体質顔料、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、吸着剤等が使用可能である。
意匠材(P)、意匠材(Q)は、それぞれこれらの成分を常法で均一に混合することにより製造できる。
本発明装飾面の形成方法は、
(1)基材に対し、結合材、意匠骨材を含む意匠材(P)と、結合材、意匠骨材を含み、該意匠材(P)と色相の異なる意匠材(Q)とを、意匠材(P)の色相と意匠材(Q)の色相が混在するように塗装し、
(2)工程(1)で塗装された意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させることを特徴とするものである。
工程(1)としては、基材に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)の色相が混在する意匠面を形成するものであれば特に限定されない。
工程(1)では、前記意匠材(P)と意匠材(Q)のように、少なくとも2種以上の色相の異なる意匠材を用いる。これらの意匠材を塗装することによって、少なくとも2色以上の色相が混在する意匠面を形成することができる。
工程(1)において、少なくとも2色以上の色相が混在する意匠面としては、例えば、
(I)意匠材(P)による色相と、意匠材(Q)による色相が、いずれも不連続な玉状模様を呈する意匠面、
(II)意匠材(P)の連続的な塗装面の上に、意匠材(Q)の不連続な玉状模様が散在する意匠面、
等が挙げられる。
上記(I)の意匠面は、意匠材(P)と意匠材(Q)を、それぞれ玉状に塗装すればよい。塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、双頭ガン(多頭ガン)、双頭スプレー(多頭スプレー)を用いて意匠材(P)と意匠材(Q)を同時に塗装する方法や、エアースプレーガン、エアレススプレーガン、リシンガンまたはスタッコガン等を適宜選択して、意匠材(P)と意匠材(Q)をそれぞれ塗装する方法等が挙げられる。
このような方法では、1回、または、2回以上の複数回で塗装することができる。塗付け量としては、特に限定されないが、意匠材(P)は、0.1kg/m以上3.0kg/m以下で塗装することが好ましく、0.5kg/m以上1.5kg/m以下で塗装することがより好ましい。意匠材(Q)は、0.1kg/m以上1.4kg/m以下で塗装することが好ましく、0.2kg/m以上0.7kg/m以下で塗装することがより好ましい。
また、工程(1)の塗装に先立ち、予め、基材表面は何らかの下塗材、中塗材、あるいは、ベース塗材が施されていてもよい。
上記(II)の意匠面は、意匠材(P)を塗装し、連続的な塗装面を形成した後、意匠材(Q)を不連続な玉状に塗装することで得られる。例えば、
(1‐1)基材に対し、結合材、意匠骨材を含む意匠材(P)を塗装した後、
(1‐2)該意匠材(P)が乾燥する前に、結合材、意匠骨材を含み、意匠材(P)と色相の異なる意匠材(Q)を部分塗装する方法等が挙げられる。
このような方法では、まず、(1‐1)基材に対し、意匠材(P)を塗装する(工程(1‐1))。
工程(1‐1)では、意匠材(P)の塗装方法は特に限定されず、鏝、スプレー、ガン、ローラー、刷毛等の公知の塗装器具を用いて塗装すればよい。また、1回、または、2回以上の複数回で塗装すればよい。
塗付け量としては、特に限定されないが、意匠材(P)は、0.5kg/m以上10kg/m以下で塗装することが好ましく、1kg/m以上8kg/m以下で塗装することがより好ましい。
次に、意匠材(P)を塗装した後、意匠材(P)が乾燥する前に、意匠材(Q)を部分塗装する(工程(1‐2))。
工程(1‐2)では、意匠材(Q)の塗装方法は特に限定されないが、意匠材(P)面に対し、鏝、スプレー、ガン、ローラー、刷毛等を用いて部分塗装することができ、好ましくはエアーガン、エアレススプレーガン等を用いて意匠材(Q)を玉状に吹き付ける方法等が挙げられる。また、意匠材(Q)は、その色相が視認できる程度に部分塗装すればよく、1回、または、2回以上の複数回で塗装することもできる。
塗付け量としては、特に限定されないが、意匠材(Q)は、0.1kg/m以上1.4kg/m以下で塗装することが好ましく、0.2kg/m以上0.7kg/m以下で塗装することがより好ましい。
工程(2)としては、工程(1)で塗装された意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを、押し当てて転動させる。
意匠面を、繊維質ローラーを押し当てて転動させることにより、意匠材(P)、意匠材(Q)を塗装した時の意匠を活かしつつ、表面を平坦化することができ、落ち着きのある自然の風合いを有する新たな意匠を形成することができる。
このような意匠の形成には、繊維質ローラーとして、繊維質層の厚さが10mm以下(好ましくは2mm以上9mm以下、さらに好ましくは3mm以上8mm以下)であるものを用いる。
また、繊維の太さは5μm以上150μm以下(さらには8μm以上100μm以下、さらには10μm以上50μm以下)であることが好ましい。
このような繊維質ローラーは、意匠材(P)、意匠材(Q)が繊維質ローラーに付着しにくく、作業性に優れ、意匠面が適度に平坦化され、簡便に意匠を得ることができる。
なお、繊維質層の厚さとは、意匠材や水、溶剤等を含んでいない乾燥時の繊維質層の厚さのことである。また、本発明の繊維の太さとは、繊維の集合体である繊維束の断面直径のことであり、電子顕微鏡により測定した値である。
繊維質層の厚さが10mmを超えると、繊維質層に意匠材が付着してしまい、優れた意匠性が得られにくい。また、結合材がローラーにより多く付着するものと思われ、汚染性や、その他塗膜物性にも悪影響を及ぼすおそれがある。また、繊維質層の繊維筋が意匠材表面に形成されることもあり、意匠性に劣るものとなる。
繊維質ローラーとしては、特に限定されないが、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維、ウール等の動物性繊維、あるいは、これらを複合した繊維等が挙げられる。また、ハイパイル、織物等特に限定されない。
スポンジローラーでは、たとえスポンジ層の厚さを10mm以下としても、スポンジ層に意匠材が付着しやすく作業性に劣る。また、スポンジによる新たな模様が形成されてしまい、平坦化は困難である。
本発明では、工程(1)、工程(2)で得られる意匠材表面は、凹凸構造を有するものである。特に、(B)成分である意匠骨材が含まれているため、意匠材表面から突出した意匠骨材が存在する場合がある。このような工程(1)、工程(2)で得られた凹凸構造をあえて平坦化することにより、落ち着きのある自然の風合いを有する新たな意匠が得られるものである。
本発明では、繊維質ローラーを押し当てて転動させることにより、突出した意匠骨材も適度に押さえて平坦化することができるとともに、意匠材(P)と意匠材(Q)の色相が適度に混ざりあい、落ち着きのある自然の風合いを有する新たな意匠が得られる。
さらに、意匠材(P)と意匠材(Q)を適度に押さえることによって、凹凸構造を平坦化するとともに、より緻密な表面構造を形成するため汚染物質の付着が抑制され、新たな意匠の創造とともに、汚染防止性にも優れるものである。
また、本発明では繊維質ローラーの繊維質層の厚さを10mm以下とすることにより、押し当てる力の強弱があったとしても、適度に押さえることを可能にしたものである。
さらに、工程(2)では、水及び/または溶剤を含んだ繊維質ローラーを用いて、意匠材表面に押し当てて転動させることが好ましい。水及び/または溶剤を含むことによって、繊維質ローラーの転動がよりスムーズになり、繊維質ローラーに意匠材がいっそう付着しにくく、作業性に優れ、簡便に意匠を得ることができる。
繊維質ローラー中の水及び/または溶剤の含有量としては、繊維質部分において、繊維質単位体積あたり、水及び/または溶剤を1g/cm以上含むものが好ましい。このような範囲であることにより、繊維質ローラーを転動させた際、いっそう優れた意匠を形成することができる。
溶剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等の水易溶性溶剤や、芳香族炭化水素等の水難溶性溶剤から、意匠材(P)、意匠材(Q)の組成等を考慮して、適宜選択すれば良い。
本発明では、平坦化を行った後、公知の方法で硬化、乾燥させることによって、装飾面を形成することができる。
硬化、乾燥方法は、特に限定されず、常温、必要により加温して硬化、乾燥させればよい。
さらに硬化、乾燥後、必要に応じ、本発明の効果を損なわない程度に、装飾面の上に上塗材を塗装することもできる。上塗材としては、例えば、透明性を有する上塗材であれば、特に限定されない。例えば、上塗材に、親水性付与または撥水性付与することで、汚染防止性が付与できる。
本発明では、工程(1)において、さらに前記意匠材(P)、意匠材(Q)のいずれとも色相が異なる意匠材を塗装することにより、3色以上の意匠材が混在する装飾面を形成しても良い。
例えば、3色が混在する装飾面を得るためには、工程(1)において、意匠材(R)を、意匠材(P)の色相と意匠材(Q)の色相と意匠材(R)の色相が混在するように塗装すれば良い。
この際の工程(1)としては、前述のように多頭ガン等を用いる方法や、(P)を塗装し、乾燥する前に(Q)、(R)を部分塗装する方法がある。その後、前述の工程(2)の方法で平坦化すれば、3色が混在する意匠性に富んだ装飾面を形成することができる。
また、本発明では、工程(1)において、意匠材(P)と意匠材(Q)を塗装した後、さらに意匠材(P)を部分塗装することで、本発明の意匠性をさらに高めることもできる。
また、本発明では、目地材を用いて、区画化された意匠を表出してもよい。目地材としては、埋め込み型目地材、可剥型目地材等特に限定されない。
埋め込み型目地材の場合は、上記工程(1)の前に、基材に埋め込み型目地材を貼り付け(工程(1´))、その後工程(1)、工程(2)を行う。
また、可剥型目地材の場合は、上記工程(1)の前に、基材に可剥型目地材を貼り付け(工程(1´))、その後工程(1)、工程(2)を行い、工程(2)の後、意匠材が乾燥する前に可剥型目地材を取り外す。
また、可剥型目地材を取り外した後、さらに平坦化することもできる。このような方法では、より平坦化が可能であるとともに、目地部の仕上がり性が良好となり、新たな意匠の創造とともに、汚染防止性にも優れるものである。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
(試験例1)
基材(サイディング板)の上に、下塗材(結合材:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量部、ガラス転移温度20℃))をスプレーガンを用いて、塗付け量0.15kg/mで塗装し、常温にて硬化、乾燥させた。
次に、表2の原料を用い、表1に示す配合にて製造した意匠材1(第1意匠材)をスプレーガンを用いて、塗付け量4.0kg/mで全面に塗装した。
次に、表2の原料を用い、表1に示す配合にて製造した意匠材2(第2意匠材)をスプレーガンを用いて、塗付け量0.3kg/mで玉状に部分塗装した。
次に、意匠材1、2が乾燥する前に、表3に示すローラーAを、意匠材表面に押し当てて転動させた。
次に、意匠材1、2を常温にて硬化、乾燥させ、試験体を得た。
なお、意匠材1と意匠材2との色差(△E)は、33であった。
評価としては、次の作業性、意匠性、汚染性評価を行った。
Figure 0005882257
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Figure 0005882257
Figure 0005882257
(作業性評価)
ローラーを用いて転動させる際の作業性を評価した。評価は次の通りである。結果は表4に示す。
A:ローラーに意匠材が付着せず、効率よくスムーズに転動させることができた。
B:ローラーに意匠材が付着せず、転動させることができた。
C:ローラーに意匠材がほとんど付着せず、転動させることができた。
D:ローラーに意匠材が付着した。
(意匠性評価)
得られた試験体表面を目視にて観察し評価した。評価は次の通りである。結果は表4に示す。
A:適度に平坦化された落ち着きのある自然の風合いの意匠が得られた。
B:適度に平坦化された自然の風合いの意匠が得られた。
C:凹凸感、陰影感のある意匠が得られた。
D:ローラーの転動による模様が見られた。
E:単調な意匠であった。
(汚染性試験)
得られた試験体について、大阪府茨木市で屋外暴露を実施し、垂直面における6ヶ月後の雨筋汚れの有無を目視にて評価した。評価は汚染が少ないものを◎、汚染が著しいものを×として、次の4段階(優:◎>○>△>×:劣)で評価した。結果は表4に示す。
(試験例2)
ローラーAの代わりにローラーBを用いた以外は、試験例1と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例3)
ローラーAの代わりにローラーCを用いた以外は、試験例1と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例4)
ローラーAの代わりにローラーDを用いた以外は、試験例1と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例5)
ローラーAの代わりにローラーEを用いた以外は、試験例1と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例6)
基材(サイディング板)の上に、下塗材(結合材:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量部、ガラス転移温度20℃))をスプレーガンを用いて、塗付け量0.15kg/mで塗装し、常温にて硬化、乾燥させた。
次に、表2の原料を用い、表1に示す配合にて製造した意匠材1と意匠材2を双頭ガンを用いて、1:1の比率(重量比率)で、同時に、合計塗付け量4.0kg/mで玉状に塗装した(意匠材1・2)。
次に、意匠材1・2が乾燥する前に、表3に示すローラーBを、意匠材1・2表面に押し当てて転動させた。
次に、意匠材1・2を常温にて硬化、乾燥させ、試験体を得た。
評価としては、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例7)
意匠材1・2の代わりに、意匠材1、2、3を3頭ガンを用いて、1:1:1の比率(重量比率)で、同時に、合計塗付け量4.0kg/mで玉状に塗装した(意匠材1・2・3)以外は、試験例6と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例8)
ローラーBの代わりに、水を含ませたローラーB(「B´」と表記(表4))を用いた以外は、試験例2と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例9)
意匠材1の代わりに意匠材4、意匠材2の代わりに意匠材5を用いた以外は、試験例2と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
なお、意匠材4と意匠材5との色差(△E)は、7であった。
(試験例10)
意匠材1の代わりに意匠材6、意匠材2の代わりに意匠材7を用いた以外は、試験例2と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
なお、意匠材6と意匠材7との色差(△E)は、33であった。
(試験例11)
ローラーBの代わりに、水を含ませたローラーB(「B´」と表記(表4))を用いた以外は、試験例10と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例12)
意匠材1の代わりに意匠材8、意匠材2の代わりに意匠材9を用いた以外は、試験例2と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
なお、意匠材8と意匠材9との色差(△E)は、33であった。
(試験例13)
ローラーBの代わりに、水を含ませたローラーB(「B´」と表記(表4))を用いた以外は、試験例12と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例14)
意匠材1の代わりに意匠材10、意匠材2の代わりに意匠材11を用いた以外は、試験例2と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
なお、意匠材10と意匠材11との色差(△E)は、34であった。
(試験例15)
ローラーBの代わりに、水を含ませたローラーB(「B´」と表記(表4))を用いた以外は、試験例14と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例16)
意匠材1の代わりに意匠材12、意匠材2の代わりに意匠材13を用いた以外は、試験例2と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。意匠材同士の境界部分における色相の階調は、試験例16よりも試験例2の方が良好であった。
なお、意匠材12と意匠材13との色差(△E)は、38であった。
(試験例17)
ローラーAの代わりにローラーFを用いた以外は、試験例1と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例18)
ローラーAの代わりにローラーGを用いた以外は、試験例1と同様の方法で試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例19)
試験例1において、ローラーで押し当てて転動させる工程を行わずに、意匠材1、意匠材2を常温にて硬化、乾燥させ、試験体を得た。得られた試験体に対し、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例20)
基材(サイディング板)の上に、下塗材(結合材:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量部、ガラス転移温度20℃)、色相:茶系)をスプレーガンを用いて、塗付け量0.15kg/mで塗装し、常温にて硬化、乾燥させた。
次に、可剥型目地材(幅20mm、高さ4mm)を格子状に貼り付けた。
次に、表2の原料を用い、表1に示す配合にて製造した意匠材1(第1意匠材)をスプレーガンを用いて、塗付け量4.0kg/mで全面に塗装した。
次に、表2の原料を用い、表1に示す配合にて製造した意匠材2(第2意匠材)をスプレーガンを用いて、塗付け量0.3kg/mで玉状に部分的に塗装した。
次に、意匠材1、2が乾燥する前に、表3に示すローラーBにて、意匠材表面に押し当てて転動させた。
次に、可剥型目地材を除去し、意匠材1、2を常温にて硬化、乾燥させ、試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。
(試験例21)
基材(サイディング板)の上に、下塗材(結合材:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量部、ガラス転移温度20℃))をスプレーガンを用いて、塗付け量0.15kg/mで塗装し、常温にて硬化、乾燥させた。
次に、表2の原料を用い、表1に示す配合にて製造した意匠材14をスプレーガンを用いて、塗付け量0.5kg/mで塗装した。
塗装後の意匠材8表面は、平坦であり、そのまま常温にて硬化、乾燥させ、試験体を得、試験例1と同様の方法で評価を行った。

Claims (3)

  1. (1)基材に対し、
    結合材、意匠骨材を含む意匠材(P)と、
    結合材、意匠骨材を含み、該意匠材(P)と色相の異なる意匠材(Q)とを、
    意匠材(P)の色相と意匠材(Q)の色相が混在するように塗装し、
    (2)前記工程(1)で塗装された意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させ
    該意匠材(P)及び(Q)が、粒子径0.2〜8mmである樹脂発泡体粒子、及び、平均粒子径が1〜20mmであり、面状部位の水に対する接触角が90°以上である鱗片状骨材を含有しないことを特徴とする装飾面の形成方法。
  2. (1)(1‐1)基材に対し、結合材、意匠骨材を含む意匠材(P)を塗装した後、
    (1‐2)該意匠材(P)が乾燥する前に、結合材、意匠骨材を含み、意匠材(P)と色相の異なる意匠材(Q)を部分塗装し、
    (2)前記工程(1)で塗装された意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させ
    該意匠材(P)及び(Q)が、粒子径0.2〜8mmである樹脂発泡体粒子、及び、平均粒子径が1〜20mmであり、面状部位の水に対する接触角が90°以上である鱗片状骨材を含有しないことを特徴とする装飾面の形成方法。
  3. 前記工程(2)において、意匠材(P)と意匠材(Q)が混在する意匠面に対し、意匠材(P)と意匠材(Q)が乾燥する前に、水及び/または溶剤を含む繊維質層の厚さが10mm以下である繊維質ローラーを押し当てて転動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装飾面の形成方法。
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