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JP2017177100A - 被膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ローラーを用い、かつ一つの被覆材で自然石特有の光輝感を有する自然石調仕上げが可能な被膜形成方法。
【解決手段】基材上に、大きさが3mm以上の孔が50%以上占める多孔質のローラーを用い、被覆材(I)を塗付して模様被膜を形成するものであり、該被覆材(I)は、水性樹脂(A)、粒状骨材(B)、及び長径0.5mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1である鱗片状焼成粘土粒子(C)を必須成分とし、上記鱗片状焼成粘土粒子(C)が特定の粒度分布を有する被膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築物や土木構造物の内外壁面等に対する被膜形成方法に関するものである。
従来、建築物や土木構造物に自然石調の美観性、高級感、重厚感等を付与する装飾仕上げ工法が知られている。近年、自然石特有の光輝感等のアクセント意匠を有する装飾仕上げが望まれるケースも増えている。このような工法として、例えば、特許文献1には、合成樹脂エマルションと骨材を含有する第1の吹付材を塗布後、さらにその表面に雲母片を含有する第2の吹付材を部分的に塗布する被膜形成方法が記載されている。
特許2000−135471号公報
上記特許文献1のように、装飾仕上げ工法は、通常吹付けによって塗布されることが主流であるが、近年、建築物の立地環境等によっては、骨材等の飛散が問題となる場合がある。また、自然石特有の光輝感等のアクセント意匠を付与するためには、別工程によって意匠材を塗布することが必要であり、工程が煩雑化するおそれもあった。このような状況下、アクセント意匠を有する自然石調仕上げが可能な、簡便な手法が望まれている。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、ローラーを用い、かつ一つの被覆材で自然石特有の光輝感を有する自然石調仕上げが可能な被膜形成方法を得ることを目的とするものである。
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意研究を行った結果、水性樹脂、粒状骨材及び特定の鱗片状焼成粘土粒子を含む特定の被覆材を、特定のローラーを用いて塗付することにより、自然石特有の光輝感を有する自然石調仕上げの被膜を形成できることに想到し、本発明の完成に到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.基材上にローラーを用い、被覆材(I)を塗付して模様被膜を形成する被膜形成方法であって、
該ローラーは、その表面において、大きさ3mm以上の孔が50%以上を占める多孔質ローラーであり、
該被覆材(I)は、水性樹脂(A)、粒状骨材(B)、及び長径0.5mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1である鱗片状焼成粘土粒子(C)を必須成分とし、
上記水性樹脂(A)の固形分100重量部に対し、上記粒状骨材(B)を100〜2000重量部、上記鱗片状焼成粘土粒子(C)を0.5〜100重量部含み、
上記鱗片状焼成粘土粒子(C)は、その粒度分布において長径1mm以上の粒子の比率が15%以上、長径3.5mm超の粒子の比率が15%以下であることを特徴とする被膜形成方法。
2.上記被覆材(I)は、長径1mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1である鱗片状着色粒子(D)を含むことを特徴とする請求項1に記載の被膜形成方法。
3.上記鱗片状着色粒子(D)の少なくとも1色は、その粒度分布において長径2.5mm以上の粒子の比率が15%以上、長径3.5mm超の粒子の比率が15%以下であることを特徴とする請求項2に記載の被膜形成方法。
本発明によれば、水性樹脂、粒状骨材及び特定の鱗片状焼成粘土粒子を含む特定の被覆材を、特定のローラーを用いて塗付することにより、光輝感を有する優れた自然石調仕上げの被膜を形成することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、基材上に、ローラーを用いて、被覆材(I)を塗付して模様被膜を形成する被膜形成方法に関するものである。上記ローラーとしては、その表面において、大きさ3mm以上の孔が50%以上を占める多孔質ローラーを使用する。このようなローラーを用い、水性樹脂、粒状骨材及び特定の着色鱗片状粒子を含む特定の被覆材(I)を塗付することによって、アクセント意匠が視認される優れた自然石調仕上げを簡便に行うことができる。
本発明では、多孔質ローラーの孔の大きさと、着色鱗片状粒子の粒度(特に長径)を一定の組み合わせにすることによって、被膜形成時における着色鱗片状粒子の転写性が良好となり、アクセント意匠の視認性に優れた被膜を形成することができるものである。
<基材>
基材は、建築物、土木構造物等の表面を構成するものである。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
<多孔質ローラー>
本発明で使用する多孔質ローラーは、筒状の芯材の外表面に多孔質層が備わったものであり、筒状の芯材は、軸を備えたハンドルを装着できるように空洞となっており、該空洞にハンドル軸を装着して使用することができるものである。
筒状の芯材としては、特に限定されず、例えば、プラスチック製、木製、紙製、金属製等の芯材を用いることができ、また、ハンドル軸と芯材との密着性を高めるために、ハンドル軸と芯材の間に、例えば、プラスチック製、ゴム製、ガラス製、金属製、繊維製等の補強材を用いることもできる。
本発明で用いる多孔質ローラーとしては、その表面(多孔質層の外周の表面)において、大きさ3mm以上の孔が50%以上、(好ましくは3mm以上8mm以下の孔が50%以上、より好ましくは3mm以上8mm以下の孔が60%以上、さらに好ましくは3mm以上8mm以下の孔が70%以上)を占めるものである。本発明において、孔の大きさは、各孔の重心からの最大距離×2で算出すればよい。また、大きさ3mm以上の孔が占める割合は、(多孔質層の表面に現れる大きさ3mm以上の孔の数)/(多孔質層の表面に現れる孔の総数)×100(%)で算出される値である。
このような多孔質層としては、連通孔を有する多孔質層、または、独立孔を有する多孔質層等が挙げられるが、本発明では連通孔を有する多孔質層が好ましい。その材質としては特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂、エチレン樹脂等が挙げられ、これら樹脂をスポンジ状に多孔化したものが好ましい。
多孔質層の厚みは、好ましくは3mm以上50mm以下、より好ましくは5mm以上30mm以下である。このような厚みでは、被覆材の塗付効率が良く、作業性により優れる。また、多孔質ローラーの幅(長さ)は、特に限定されないが好ましくは80mm以上250mm以下程度、多孔質ローラーの直径(筒径)(多孔質層含む)は、好ましくは30mm以上100mm以下程度である。
<被覆材(I)>
本発明で用いる被覆材(I)は、水性樹脂(A)、粒状骨材(B)、及び鱗片状焼成粘土粒子(C)を必須成分とするものである。
水性樹脂(A)(以下「(A)成分」という)としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂から選ばれる1種以上が好適である。樹脂の種類としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、これら(A)成分は架橋反応性を有するものであってもよい。架橋反応性を有する(A)成分を使用した場合は、被膜の耐水性、耐候性、耐薬品性等を向上させることができる。
粒状骨材(B)(以下「(B)成分」という)としては、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも一種以上を好適に使用することができる。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒等や、それらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することにより、種々の自然石調の色彩を表出することができる。
(B)成分の平均粒子径は、好ましくは0.01mm〜1mm(より好ましくは0.02〜0.8mm、さらに好ましくは0.03〜0.6mm)である。なお、平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。このような(B)成分は、粒状と認識されるものであり、後述の鱗片状粒子とは異なるものである。
(B)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、100〜2000重量部(好ましくは150〜1500重量部、より好ましくは200〜1000重量部)の比率で混合する。(B)成分をこのような比率で混合すれば、厚膜の被膜が形成しやすくなり、形成被膜の重厚感を高めることもできる。
本発明では、(B)成分として透明性を有する粒状骨材(B−1)(以下、「(B−1)成分」という)を含むことが好ましい。このような(B−1)成分を使用することにより、形成被膜においてアクセント意匠が視認されやすくなる。(B−1)成分としては、光透過率が3%以上(より好ましくは3〜50%、さらに好ましくは10〜30%)であるものが好適である。光透過率が50%以下の場合、被膜全体の隠蔽性確保にも有利である。なお、光透過率とは、濁度計による全光透過率の値である。この測定では、(B−1)成分の試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。
このような(B−1)成分としては、例えば、長石、珪砂、珪石、寒水石、ガラスビーズ等が挙げられる。この中でも、本発明では特に寒水石が好適である。また、(B−1)成分の平均粒子径としては、上記範囲を満たすものであればよいが、好ましくは0.01〜1mm(より好ましくは0.02〜0.8mm、さらに好ましくは0.03〜0.6mm)である。
(B−1)成分は、(B)成分全体に対し、20重量%以上(好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上)とすることが好適である。また、その上限は、(B)成分全体に対し、90重量%以下(好ましくは80重量%以下)とすることが好適である。このように(B−1)成分を高比率で含む場合には、アクセント意匠の視認性を高めつつ、被膜全体の隠蔽性を確保することができる。
鱗片状焼成粘土粒子(C)(以下「(C)成分」という)は、長径0.5mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1であり、形成被膜に光輝感を有するアクセント意匠を付与するものである。(C)成分の大きさが上記範囲を満たす場合、その形状が視認されやすく、アクセント意匠として好適である。一方、上記範囲を外れる場合、その形状は針状〜棒状となるため、被膜中に埋もれて視認されにくくなる。なお、(C)成分の長径及び短径は、(C)成分を水平面に安定に静置させ、上から顕微鏡を用いて観察して測定される値である。
また(C)成分の厚みは、好ましくは5〜50μm(より好ましくは8〜30μm)である。このような場合、(C)成分が被膜表面に安定して配向して転写されやすく、本発明の効果を高めることができる。本発明において、鱗片状とは、長径と厚みの比が(長径/厚み)>2を満たすものをいう。なお、(C)成分の厚みは、マイクロメーターにより測定される値である。
本発明では、上記(C)成分は、その粒度分布において長径1mm以上の粒子の比率が15%以上(好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上)、長径3.5mm超の粒子の比率が15%以下(好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下)であることを特徴とする。(C)成分が、上記範囲を満たすことにより、(C)成分の転写性が高まり、光輝感を有するアクセント意匠の視認性が良好で美観性に優れた被膜を形成することができる。一方、(C)成分において長径1mm以上の粒子の比率が15%未満の場合は、光輝感が視認されにくく、長径3.5mm超の粒子の比率が15%を超える場合は、被膜形成時の転写性に劣り、ムラになりやすい。
上記(C)成分の粒度分布は、[長径1mm以上(または長径3.5mm超)、短径/長径=0.5〜1の(C)の数]/[長径0.5mm以上、短径/長径=0.5〜1の(C)の総数]×100%で算出される値である。なお、(C)の総数は、無作為に50個程度抽出すればよい。
このような(C)成分としては、雲母、セリサイト、クレー、タルク、板状カオリン等の粘土鉱物を焼成した焼成粘土鉱物粒子が好適であり、特に、焼成雲母が好適である。これらは、焼成によって構造内から水酸基(−OH)(結晶水分)が離脱するため、通常の雲母より更に薄片に剥離が可能な性質を有する。また、焼成により、表面状態が変化し、それ自体光輝感を発現するものであるため、形成被膜に自然な光輝感を付与することができる。未焼成品では、視覚的に埋没しこのような効果が得られにくい。なお、焼成温度は、粘土鉱物粒子中の結晶水分を脱水できる温度であればよく、好ましくは500〜2000℃である。
(C)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、0.5〜100重量部(好ましくは1〜80重量部)の比率で混合する。(C)成分をこのような比率で混合すれば、形成被膜に自然な光輝感有するアクセント意匠を付与することができる。
さらに本発明では、鱗片状着色粒子(D)(以下「(D)成分」という)を含むことが好ましい。(D)成分は、長径1mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1であり、様々な色粒状のアクセント的な意匠性を付与するものである。(D)成分の大きさが上記範囲を満たす場合、その形状が視認されやすく、アクセント意匠として好適である。(D)成分と上記(C)成分を併用することにより、光輝感と色粒状のアクセントのコントラストにより、いっそう美観性を高めることができる。なお、(D)成分の長径及び短径は、上記(C)成分と同様にして測定される値である。
また、(D)成分の厚みは、本発明の鱗片状の条件を満たすものであればよく、好ましくは50〜500μm(より好ましくは60〜450μm)である。このような場合、(D)成分が被膜表面に安定に配向して転写されやすく、本発明の効果を高めることができる。なお、厚みは、マイクロメーターにより測定される値である。
本発明では、上記(D)成分の少なくとも1色は、その粒度分布において、長径2.5mm以上の粒子の比率が15%以上(好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上)、長径3.5mm超の粒子の比率が15%以下(好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下)であることが好ましい。(D)成分が、上記の粒度分布を満たすことにより、(D)成分の転写性が高まり、アクセント意匠の視認性が良好で美観性に優れた被膜を形成することができる。
上記(D)成分の粒度分布は、[長径2.5mm以上(または長径3.5mm超)、短径/長径=0.5〜1の所定色の(D)の数]/[長径1mm以上、短径/長径=0.5〜1の所定色の(D)の総数]×100%で算出される値である。なお、所定色の(D)の総数は、無作為に50個程度抽出すればよい。
このような(D)成分としては、例えば、鱗片状の基体粒子を着色処理したものが挙げられる。具体的に基体粒子としては、例えば、雲母、セリサイト、クレー、タルク、板状カオリン、硫酸バリウムフレーク、ガラスフレーク、アルミナフレーク、貝殻片、金属片等の無機質片、あるいはゴム片、プラスチック片、木片等が挙げられる。着色処理としては、特に限定されないが、顔料を含む着色剤を基体粒子表面に被覆する方法が好適である。(D)成分は1種または2種以上(1色または2色以上)を組み合わせて使用することができ、種々の色彩を表出することができる。
(D)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは0.5〜100重量部(より好ましくは1〜80重量部)の比率で混合する。(D)成分をこのような比率で混合すれば、アクセント意匠が視認されやすく、美観性に優れた自然石調仕上げの被膜を形成できる。
さらに、本発明では、無着色鱗片状粒子(E)(以下「(E)成分」という)を含むことが好ましい。(E)成分は、着色処理されていないため、形成被膜に自然な意匠性等を付与することができる。このような(E)成分としては、例えば、上記(D)成分の基体となる鱗片状粒子等が使用できる。中でも、自然な質感を付与する場合には、ホタテ片等の貝殻片、サンゴ片、木片等の無着色鱗片状粒子を含むことが好適である。
(E)成分の大きさは、上記(C)成分、上記(D)成分の意匠性を阻害しない範囲であればよいが、好ましくは長径0.5mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1である。また、その粒度分布において長径1mm以上の粒子の比率が15%以上(好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上)、長径3.5mm超の粒子の比率が15%以下(好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下)である。(E)成分の大きさが上記範囲を満たす場合、上記(C)成分や上記(D)成分の意匠性を生かしつつ、自然な意匠性を付与することができる。また、(E)成分の厚みは、本発明の鱗片状の条件を満たす範囲であればよい。
本発明では、さらに、上記(B)成分、上記(C)成分、上記(D)成分、及び上記(E)成分以外の平均粒子径が1mm超〜10mm(好ましくは1.2〜5mm)の大粒子を本発明の効果を著しく阻害しない限りで含んでもよい。
本発明の被覆材(I)は、上記成分を公知の方法によって均一に混合することで製造することができるが、必要に応じて、通常被覆材に使用可能なその他の成分を混合することもできる。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、繊維、造膜助剤、増粘剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、水等が挙げられる。
本発明の被覆材(I)の塗付け量は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5kg/m、より好ましくは1〜3kg/mである。塗付時には、本発明塗材を水で希釈することもできる。希釈割合は、好ましくは0〜10重量%である。
本発明被覆材による被膜を形成した後、必要に応じクリヤー塗料や撥水剤等を塗付することもできる。このうち、クリヤー塗料としては、例えばアクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、アクリルシリコン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料等が挙げられる。このようなクリヤー塗料は、艶消し剤の配合等によって艶の程度を調整することもできる。また、本発明の効果を阻害しない限り、着色を施すこともできる。撥水剤としては、アルコキシシラン化合物やシリコーン樹脂等を主成分とするもの等が使用できる。このようなクリヤー塗料や撥水剤等を塗付する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が採用できる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(被覆材I−1〜I−13)
表1に示す配合に基づき、各原料を定法により混合し、粘度(B型粘度計、2rpm)が80Pa・sとなるように水を混合して被覆材I−1〜I−14を製造した。
Figure 2017177100
なお、各成分は以下のものを使用した。
・(A)アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)
・(B)粒状骨材(白色珪砂と黄褐色珪砂の混合物、平均粒子径120μm、光透過率1%以下)
・(B−1)透明性粒状骨材(寒水石、平均粒子径200μm、光透過率16%)
・添加剤(増粘剤、消泡剤、等)
・(C1)〜(C6)鱗片状焼成粘土粒子
Figure 2017177100
・(D1)鱗片状着色粒子
Figure 2017177100
・(E1)〜(E2)無着色鱗片状粒子
Figure 2017177100
(実施例1〜14、比較例1〜2)
下塗材が塗付された基材(スレート板)上に、表4に示す多孔質ローラーと被覆材を用いて、被覆材を塗付量2kg/mで塗装し、23℃で24時間乾燥、硬化させ、模様被膜を形成した。
なお、使用した多孔質ローラー1〜3はいずれも、直径(筒径)70mm、ローラー幅200mm、紙製芯材、ウレタン樹脂をスポンジ状に多孔化(連通孔)した厚み15mm多孔質層を有するものであり、その多孔質層の表面に大きさ3mm以上8mm以下の孔が、
ローラー1では82%、
ローラー2では70%、
ローラー3では88%、
を占めるものである。
<評価>
以下の評価を実施し、結果を表4に示す。
・塗装作業性
塗装作業性に優れるものを「◎」、劣るものを「×」とし、◎>○>△>×の4段階で評価した。
・転写性
被膜形成時の鱗片状粒子の転写性に優れるものを「◎」、劣るものを「×」とし、◎>○>△>×の4段階で評価した。
・美観性
アクセント意匠の視認性に優れるものを「◎」、劣るものを「×」とし、◎>○>△>×の4段階で評価した。
Figure 2017177100
実施例1〜14は、塗装作業性、鱗片状焼成粘土粒子の転写性に優れ、光輝感を有する美観性に優れた自然石調の被膜が形成された。さらに実施例11は黒色のアクセント意匠、実施例12、13では自然な質感、実施例14ではその両方と光輝感のコントラストを有しており、美観性に優れるものであった。一方、比較例1は、光輝感が不十分であった。比較例2は、塗装作業性、鱗片状着色粒子の転写性に劣り、ムラのある被膜が形成された。

Claims (3)

  1. 基材上にローラーを用い、被覆材(I)を塗付して模様被膜を形成する被膜形成方法であって、
    該ローラーは、その表面において、大きさ3mm以上の孔が50%以上を占める多孔質ローラーであり、
    該被覆材(I)は、水性樹脂(A)、粒状骨材(B)、及び長径0.5mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1である鱗片状焼成粘土粒子(C)を必須成分とし、
    上記水性樹脂(A)の固形分100重量部に対し、上記粒状骨材(B)を100〜2000重量部、上記鱗片状焼成粘土粒子(C)を0.5〜100重量部含み、
    上記鱗片状焼成粘土粒子(C)は、その粒度分布において長径1mm以上の粒子の比率が15%以上、長径3.5mm超の粒子の比率が15%以下であることを特徴とする被膜形成方法。
  2. 上記被覆材(I)は、長径1mm以上であり、短径と長径の比(短径/長径)が0.5〜1である鱗片状着色粒子(D)を含むことを特徴とする請求項1に記載の被膜形成方法。
  3. 上記鱗片状着色粒子(D)の少なくとも1色は、その粒度分布において長径2.5mm以上の粒子の比率が15%以上、長径3.5mm超の粒子の比率が15%以下であることを特徴とする請求項2に記載の被膜形成方法。

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