JP4127579B2 - 光波距離計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光とその反射を用いて被測定物体の有無及び被測定物体までの距離を検出する光波距離計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば無人搬送車に搭載する距離センサシステムとして、外部に出射される照射光を発生させるレーザや発光ダイオードなどを用いた投光器と、被測定物体からの反射光を検出するフォトダイオードなどを用いた受光器とを有して構成されて、受光の有無によって検出方向における被測定物体の有無を、また、照射光と反射光との時間差・位相差などから被測定物体までの距離を検出する光波距離計が知られている。
【0003】
このとき、照射光は所定の検出光軸に沿って出射されるのに対し、反射光は検出光軸上にある被測定物体の検出点からある程度の角度範囲に対して広がって反射されるので、反射光を受光器に効率良く取り込むために受光レンズが設置される。このような光波距離計としては、例えば特開平10−10233号に示されたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
距離計においては、例えば数十cmから100m以上までの広い測定距離の範囲に対してその距離検出の精度を一定以上に保つことが、実用上重要である。
【0005】
しかしながら、上記したような光学式の距離計においては、受光器によって検出される反射光の光量(受光光量)は、被測定物体までの距離によって大きく変化する。この変化は、通常のレンズ系においては、被測定物体がある検出点からみた受光レンズの立体角等に主に依存する。したがって、受光光量はおよそ被測定物体までの距離の二乗に反比例し、例えば、測定距離が100mの場合、測定距離が1mの場合と比較して受光光量は1/10000程度となる。この場合、検出可能な測定距離範囲を充分に広くして、上記のように広い光量レンジで変化する受光光量範囲の全体について距離検出を行おうとすると、測定距離が大きくなるとともに受光光量が急激に減少して、その距離検出の精度が低下する。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、広い測定距離範囲について安定した距離検出精度を有する光波距離計を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による光波距離計は、ハウジング内部に投光器と受光器とを備え、投光器からの照射光をハウジング外部に所定の検出光軸に沿って出射し、検出光軸上の被測定物体からの反射光を受光レンズを通して受光器に入射して、被測定物体の有無及び被測定物体までの測定距離を検出する光波距離計において、投光器、受光器及び受光レンズは、それぞれ検出光軸を中心軸として同軸に配置され、受光レンズのそれぞれのレンズ部位が、検出光軸側から外側に向かって順次、検出光軸上にある照射光の投光される領域、測定距離に関する近距離検出用レンズ部位、及び遠距離検出用レンズ部位となるように受光レンズが形成され配置され、領域と近距離検出用レンズ部位との間、及び近距離検出用レンズ部位と遠距離検出用レンズ部位との間におけるハウジングの内側の面が、連続的な曲面として形成され、近距離検出用レンズ部位及び遠距離検出用レンズ部位は、共に反射光を受光器に集光させるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
この光波距離計においては、光学系は、各光学要素が検出光軸上に配置された同軸系としている。光波距離計としては、例えば上記した特開平10−10233号に示された装置のように反射光の受光光学系の光軸を投光光学系の光軸とは異なるものとして、投光光学系と受光光学系とを別個に設置するものがある。しかし、そのような装置においては、特に受光光学系について、集光された反射光のスポットが大きくなるとともに、測定距離によって反射光の入射条件が変化するためにスポットの中心位置が受光器の受光面上を移動してしまう。そのため、測定距離範囲を広くするためには、フォトダイオードなどの受光素子として大面積のものを用いる必要がある。しかしながら、受光素子を大面積化した場合には素子の高速応答が困難となり、また受光の時間分解能が低下し、それによって距離分解能が低下してしまう。
【0009】
これに対して、本距離計のように投光光学系及び受光光学系を同軸光学系とすることによって、集光後の反射光のスポットをより小さくするとともに測定距離によるスポットの中心位置の移動を無くすことができる。したがって、同軸光学系を用いた本距離計においては、受光器の受光面積を小さくすることによって高速応答を実現し、かつ距離分解能を向上させることができる。
【0010】
ここで、光波距離計から検出点Pにある被測定物体までの距離である測定距離をdとし、一方、受光レンズの各部位について、レンズの中心軸である検出光軸からの位置(検出光軸からの距離)がxであるレンズ部位をQとしたとき、検出点Pからレンズ部位Qに入射する反射光の入射角度は測定距離dによって変化する。したがって、受光器による受光光量の変化については、同軸光学系を採用した場合、上記した受光器における受光面積等の設定と、受光レンズにおける各レンズ部位Qの形状・焦点距離等の設定によって、測定距離dのそれぞれの検出点Pからの反射光に対して、受光器による受光光量に寄与するレンズ部位Qの位置xの範囲をそれぞれ調整・設定し、これによって各検出点Pに対する受光光量、及び受光光量の測定距離dによる変化を制御することが可能となる。
【0011】
本発明による光波距離計においては、この受光レンズに関して、検出点Pまでの測定距離dが大きくなるにしたがって、検出点Pからの反射光を受光器の受光面内に集光させるレンズ部位Qの検出光軸からの位置xが大きくなるように受光レンズを形成・配置する。このようにそれぞれの検出点Pとレンズ部位Qとを対応させた構成とすることによって、受光器に集光されて距離検出に用いられる受光光量を調整・設定し、特に、受光光量の測定距離による変化を抑制して、広い測定距離範囲に対して安定した距離検出精度を有する光波距離計とすることができる。
【0012】
上記した受光レンズの形状としては、例えば、一方の面を平面とし、他方の面を検出光軸に対して回転対称な所定の曲面として形成された非球面レンズから形成されたものを用いることができる。また、検出光軸を中心軸とした回転対称な曲面を有し、曲面は、検出光軸側から外側に向かって曲率が連続的に変化するように形成されたものを用いることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による光波距離計の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0014】
図1は、本発明に係る光波距離計の一実施形態を、そのハウジングについて一部破断して示す斜視図である。本実施形態における光波距離計は、直方体形のハウジング30内に各光学要素等が配置されて構成されている。また、この光波距離計は投光光学系と受光光学系とを同軸光学系としたものであり、すべての光学要素は、所定の検出光軸を中心軸として設置されている。以下、検出光軸に対して垂直で、検出対象である被測定物体と対面するハウジング30の面をハウジング前面31、反対側の面をハウジング後面32とする。なお、ハウジング30内の制御回路系や配線、各光学要素の支持機構、などについては、図示を省略する。
【0015】
ハウジング30内にある検出光軸上の所定の位置には、ハウジング前面31側に向かって照射光を出射するように設置された、例えば半導体レーザなどの発光素子を含む投光器10が、検出光軸と一致した光路1aを投光光路として配置されている。投光器10の前方には投光レンズ11が設けられている。また、ハウジング前面31には外部に向けて開放された矩形の開口部31aが形成されており、これによって、投光器10から出射された照射光は、投光レンズ11及び開口部31aを介して、投光光路1aに沿った所定の検出方向に向けて投光される。
【0016】
投光された照射光は、投光光路1a上にある被測定物体によって反射される。検出光軸上の、投光器10に対してハウジング後面32側にある所定の位置には、被測定物体からの反射光を検出するように設置された、例えばPINフォトダイオードやアバランシェフォトダイオードなどの受光素子を含む受光器20が配置されている。反射光は、被測定物体のある検出点から検出光軸を含む角度範囲に広がって反射され、そのうちハウジング前面31に形成された開口部31aの範囲内に到達した反射光がハウジング30の内部に入射される。なお、受光器20の投光器10からの配置の距離については、同軸光学系の場合には投光器10の範囲が受光器20による反射光の受光に寄与できない領域となることを考慮して、必要な測定距離範囲などから設定される。
【0017】
ハウジング30の開口部31aには、開口部31aの範囲を覆うように受光レンズ21が設置されている。この受光レンズ21は、後述するように所定の条件によって被測定物体からの反射光を受光器20に集光するものであり、例えば、ハウジング30に対して外側の面を平面とし、内側の面を検出光軸が対称軸である曲面とした非球面レンズを開口部31aの形状、図1においては矩形状、に切り出したものが用いられる。これによって、被測定物体によって反射された反射光は、図1中に受光光路1cによって例示されているように、開口部31aに設置された受光レンズ21を介して受光器20の受光面上に集光・入射されて検出される。
【0018】
以上によって、投光器10と受光器20が同軸の検出光軸上に配置され、投光光学系と受光光学系とが同軸光学系である光波距離計が構成される。
【0019】
また、投光器10及び受光器20の間には、ハウジング後面32側に光を出射するように設置された発光素子を含む補助投光器12が、検出光軸と一致した光路1bを補助投光光路として配置されている。この補助投光器12は、投光器10と同期して補助光を出射する。この補助光は受光器20に直接入射し、これによって、投光器10の投光タイミングまたは照射光の位相等が受光器20によって検出され、距離検出に利用される。このように、受光器20によって照射光に対応した補助光と反射光とを検出し、その時間差・位相差などを測定することによって被測定物体までの距離が求められる。
【0020】
なお、投光器10、補助投光器12及び受光器20の駆動制御、受光器20からの受光信号の処理と距離の演算、等は、ハウジング30内に設置された信号処理回路(図示していない)によって行われる。また、必要があれば、例えばハウジング後面32などの所定の面に、信号処理回路と接続されたスイッチまたはコネクタ等を設けて、外部からの制御または外部へのデータの読み出し等を行う構成としても良い。
【0021】
また、照射光についてのタイミングまたは位相等の検出については、上記の補助投光器12を用いた方法以外によって行っても良い。例えば、投光器10に半導体レーザを用いて、その照射光とは反対方向に出射される光成分を、補助投光器12の位置に設置した補助受光器によって検出しても良い。また、信号処理回路からの投光器10を駆動制御するための信号などを直接投光タイミング等として用いても良い。
【0022】
本実施形態における受光レンズ21の各レンズ部位の構成方法及びその機能について説明する。
【0023】
従来の光波距離計においては、例えば平行光を一点に集光させるように球面収差が補正された非球面レンズを用いるような場合など、反射光のうち受光器の受光面内に集光されて検出される受光光量が、被測定物体がある検出点までの測定距離によって、例えば測定距離の二乗に反比例するなど大きく変化してしまうという問題があった。これに対して本発明に係る光波距離計においては、上記したように投光光学系と受光光学系とを同軸光学系として、集光される反射光のスポットサイズ及びその中心位置の移動を低減させるとともに、広い測定距離範囲にわたって受光光量の変化が抑制されるようにその受光レンズの各レンズ部位の形状・焦点距離等を構成して、安定した距離検出精度が得られる光波距離計を実現している。
【0024】
なお、受光光量の変化による距離検出精度の変動・低下に対応する方法としては、受光信号を処理する回路系に設けられた信号増幅回路において、受光信号の増幅率を切り換えることも考えられる。しかし、例えば受光光量が10000倍程度まで大きく変化する場合に広い測定距離範囲に対して安定した距離検出精度を確保するためには、その増幅率を複数段に切り換える必要があり、信号増幅回路、及びその切り換え制御用の回路など、回路系が複雑化するなどの問題を生じ、距離検出精度の劣化の原因ともなる。また、特に受光光量が小さい範囲においてその増幅率を非常に大きくしなくてはならない。これに対して、受光レンズの構成によって受光光量の変化を低減させる構成とすることによって、装置を複雑化せずに、距離検出精度の改善を実現することが可能となる。
【0025】
図2は、本発明に係る光波距離計に用いられる受光レンズの構成及び機能について、その一例によって示す説明図である。受光レンズとしては、例えば、一方の面を検出光軸を対称軸(中心軸)とした回転対称な曲面とし、他方の面を平面として形成された非球面レンズが用いられる。その各部の曲率等は、以下に述べるように、各レンズ部位が検出光軸側から外側に向かって近距離検出用から遠距離検出用へと順次変化していくように形成・配置されて、これによって、測定距離による受光光量の変化が抑制された構成が実現される。
【0026】
異なる測定距離d1〜d3に位置する検出点P1〜P3からの反射光について、例として検出光軸1に対してほぼ一定の角度によって反射された光を考える。このとき、それぞれの検出点P1〜P3からの反射光が受光レンズ2に入射されるレンズ部位Q1〜Q3の検出光軸1からの距離をx1〜x3とすると、図2に示すように測定距離dが大きくなるにしたがって(d3>d2>d1)、距離xも大きくなる(x3>x2>x1)。
【0027】
このとき、この受光レンズ2上の各レンズ部位Q1〜Q3におけるレンズ形状(レンズ面の曲率)及び焦点距離を、それぞれ図2に示した光路によって検出点P1〜P3からの反射光を受光器3に入射・集光させるように形成する。また、レンズ部位Q1〜Q3の間などの各部位についても、同様に検出点P1〜P3の間などの各検出点からの反射光が受光器3に入射・集光されるように、その曲率を連続的に変化させて受光レンズ2を形成する。このように構成することによって、各測定距離dに対して受光器に集光されて検出される受光光量を調整・設定し、特に、受光光量の測定距離dによる変化を抑制して、広い測定距離範囲に対して安定した距離検出精度を有する光波距離計を実現することができる。
【0028】
図2に示したような、各検出点Pからの一定の入射角度を有する反射光成分を受光器3に集光する受光レンズ2の構成は、受光光量の測定距離による変化を抑制する構成の一例であって、各レンズ部位Qが検出光軸側から外側に向かって近距離検出用から遠距離検出用へと変化していく条件下において、様々な構成とすることが可能である。例えば、各検出点Pに対応して集光に用いられるレンズ部位Qの領域の実効的な面積などの変化をも考慮して受光レンズを設計することによって、さらに受光光量の変化を抑制する構成とすることが可能である。
【0029】
また、例えば上記した条件の受光レンズを、連続的に形成された曲面を有する非球面レンズではなく、検出光軸側から外側に向かって段階的に近距離検出用から遠距離検出用へと変化するように同心円状に形成されたフレネルレンズを用いても良い。また、受光レンズの片面ではなく両面を曲面状に加工したレンズを用いても良い。
【0030】
また、実際に光波距離計に適用する場合には、図1に示した装置のように、非球面レンズの所定の部分を例えば矩形状に切り出して用いられるので、このようなレンズの切り出し形状の効果をも考慮しつつ、受光レンズの各レンズ部位を設定することも可能である。
【0031】
なお、特開平9−21874号に、受光レンズにフレネルレンズを使用した光学式の距離計が示されている。このフレネルレンズは、それぞれ異なる焦点距離を有する円環状の短焦点部、中焦点部、長焦点部、を繰り返し循環して刃状に配置した循環焦点フレネルレンズであり、それら各部によってそれぞれ異なる入射角度の反射光を受光部に集光するものである。
【0032】
しかしながら、上記の距離計は受光光学系が投光光学系と同軸ではなく、そのために、上記のような焦点が循環する構成としたものである。また、このような循環焦点型の受光レンズでは、連続的に焦点距離が変化するような曲面を形成することができないので、その構成がフレネルレンズに限定される。さらに、例えば上記のように3つの焦点に対応する部分の繰り返し構造とした場合、その3焦点に対応する入射角度の間の領域において充分な受光光量を確保しようとした場合、例えば受光器の受光面積を大きくする必要があり、高速応答ができないという問題を生じる。
【0033】
これに対して、本発明による光波距離計は、集光される反射光のスポットの大きさ及び中心位置の移動を低減するために同軸光学系を採用し、さらに距離検出精度の低下を防ぐため、受光光量の変化を抑制するように受光レンズを形成し、配置する。このような構成においては、循環焦点型の受光レンズによっては受光光量の変化低減の効果を充分に得ることはできず、上記したように各レンズ部位が検出光軸側から外側に向かって近距離検出用から遠距離検出用へと変化するように形成・配置した受光レンズを採用することによって、受光光量の変化の低減を効果的に実現することができる。さらに、このような構成とすることによって、フレネルレンズのみでなく、連続的な曲面によって構成された非球面レンズなど、様々な形状のレンズを用いることが可能となる。
【0034】
以下、具体的な非球面レンズのレンズ形状の実施例を示すとともに、本発明による光波距離計の効果を説明する。なお、非球面レンズの曲面の形状については、曲面の頂点(中心軸との交点)を含む平面からのずれであるサグzによって指定する。サグzは、各レンズ部位の検出光軸からの位置xを用いて、次の式、
【0035】
【数1】
によって表される。ここで右辺の各項のうち第1項が球面項、第2項〜第5項が球面からのずれを示す非球面項である。また、cは頂点における曲率であって、曲率半径をrとするとc=1/rである。また、kは円錐定数(k=0が円に対応する)、c4〜c10は非球面係数である。
【0036】
図3は、本発明による光波距離計に用いられる受光レンズの第1の実施例である。本実施例による受光レンズ2aは、図3中の左側の面が平面、右側の面が非球面の曲面として形成されており、曲面については、曲率半径r=50mmの球面(したがって、k=0)に対して、c4=−0.480×10-5/mm3、c6=0.109×10-7/mm5、c8=c10=0、によって非球面項を与えて形成されている。また、例示されている光路については、受光レンズ2aに対して左側に被測定物体の検出点、右側に検出点からの反射光が集光・検出される受光器3を配置して示してある。
【0037】
この受光レンズ2aに対して、受光器3の受光面を受光レンズ2aの頂点を含む平面4(点線によって示してある)から120mmの位置に配置し、受光される反射光の範囲を、平面4内においてφ20mmの範囲内(検出光軸1から距離10mmの範囲、図3中の外側の光路によって示されている)として設定した。この範囲に対して、平面4における各光路の検出光軸1からの位置xと検出点の測定距離dとの関係は、x=1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、10mmに対して、それぞれおよそd=3m、3.5m、4m、4.5m、5m、10mである。
【0038】
図4は、本発明による光波距離計に用いられる受光レンズの第2の実施例である。本実施例による受光レンズ2bは、第1の実施例と同様に図4中の左側の面が平面、右側の面が非球面の曲面として形成されており、曲面については、曲率半径r=50mmの球面(したがって、k=0)に対して、c4=−0.1306×10-5/mm3、c6=−0.61×10-9/mm5、c8=c10=0、によって非球面項を与えて形成されている。
【0039】
これに対して、受光器3の受光面を受光レンズ2bの頂点を含む平面4から120mmの位置に配置し、受光される反射光の範囲を、平面4内においてφ60mmの範囲内(検出光軸1から距離30mmの範囲、図4中の外側の光路によって示されている)として設定した。この範囲に対して、平面4における各光路の検出光軸1からの距離xと検出点の測定距離dとの関係は、x=15mm、30mmに対して、それぞれおよそd=2m、4mである。
【0040】
図5は、本発明による光波距離計に用いられる受光レンズの第3の実施例である。レンズを実際に光波距離計に適用する場合には、例えば上記した第1、第2の実施例に示したような特性を有する非球面レンズ、もしくは受光レンズを検出光軸からの距離などによって複数の領域に分割してそれぞれの領域を所定の非球面形状によって形成した非球面レンズなどを、矩形状または円形状などの所定の形状に切り出して用いる。図5に示された受光レンズは、図1に示した光波距離計に受光レンズ21として適用される矩形状に切り出されたものであって、前面図、及び検出光軸1を含む平面でのI−I矢印断面図を示してある。
【0041】
本実施例による受光レンズ21は、図5中の断面図における下側の面がハウジング30の外側に配置されて被測定物体からの反射光が入射される前面22であって平面として形成され、一方、上側の面がハウジング30の内側に配置される後面23であって非球面の曲面として形成されている。
【0042】
後面23の曲面は、受光レンズ21を検出光軸1からの距離xについてx=0〜3.5mm(φ0〜7mm)までの第1領域211、x=3.5〜10mm(φ7〜20mm)までの第2領域212、x=10mm〜(φ20mm〜)の第3領域213に分割し、それぞれの領域211〜213を異なる係数等によって指定される曲面によって形成している。
【0043】
これらの領域の境界面については、境界面21a及び21bによってそれぞれ示されているが、領域211〜213は、本実施例においては別個に形成されるのではなく、後面23の曲面の形成条件のみを変えて一体に形成される。
【0044】
領域211〜213のうち、第1領域211は、投光器10の外径(φ7mm)に相当する領域であって、したがって受光に用いられない領域であり、また、照射光の投光のため平面に形成されている。
【0045】
第2領域212の曲面については、曲率半径r=0.00004、k=−2034678.637、c4=0.512681×10-3/mm3、c6=−0.10935×10-4/mm5、c8=0.100395×10-6/mm7、c10=−0.332433×10-9/mm9、によって曲面を与えて形成されている。また、第3領域213の曲面については、曲率半径r=58.32420、k=−2.205679、c4=0.437458×10-3/mm3、c6=c8=c10=0、によって曲面を与えて形成されている。
【0046】
レンズを矩形に切り出す形状等については、図1に示したハウジング30の開口部31aの形状が横92mm、縦41mmであって、図5の前面図における受光レンズ21の外周がこれに相当する。また、検出光軸1上の点である受光レンズ21の中心位置Qcは、上記した矩形の中心位置から、右方に8mm、上方に15mmに位置されている。また、その厚さは、検出光軸1上においておよそ30.37mmとして形成されている。
【0047】
図5に示された、複数の領域を有する非球面レンズを矩形状に切り出して形成された受光レンズ21を図1に示した光波距離計に適用し、その光波距離計によって受光光量の変化についての測定を行った。ここで、後面23の頂点から受光器20までの距離は120mmに設定した。また、受光器の受光面の外径はφ0.4mmである。
【0048】
測定は、測定距離dが0.5m〜25mの範囲に対して行い、設定した測定距離dの検出点の位置に反射板を配置して、その反射板からの反射光を集光・検出した。得られた結果を図6に示す。ここで、横軸は測定距離、縦軸は受光器20のフォトダイオード出力であって、受光光量に対応している。
【0049】
測定を行った範囲のうちd=1mが受光レンズ21の位置x=10mmにほぼ対応し、d=0.5m〜1mの範囲は受光レンズ21の第2領域212が主に寄与している測定距離範囲、d=1m〜25mの範囲は第3領域213が主に寄与している測定距離範囲である。
【0050】
得られた受光光量の測定結果のうち、測定距離d=6〜10mの範囲において受光光量が最大となっている。この最大受光光量に対して、これよりも大きい測定距離範囲においては、受光光量はほとんど減少せず、安定した性能が実現されている。d=25m以上の範囲についても、測定結果は示されていないが、さらに距離検出に利用することが可能である。
【0051】
一方、最大受光光量となる測定距離よりも小さい測定距離範囲においては、受光光量は少しずつ減少していくが、ほぼd=0.5m近くまで最大受光光量の1/10程度以内の範囲で受光光量が得られている。なお、d=0.5mよりも小さい測定距離範囲においては、本実施例においては、投光器10による受光できない領域の影響によって受光光量が減少する。
【0052】
以上より、本実施例による光波距離計においては、測定が行われた測定距離d=0.5m〜25mの測定距離範囲、さらにはそれよりも大きい測定距離の範囲にわたって、受光光量の変化を1/10以下に抑制して、安定した距離検出精度が得られる光波距離計が実現されている。
【0053】
本発明による光波距離計は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、ハウジングの開口部を円形等の矩形以外の形状に形成して、対応した形状に切り出された受光レンズを設置する構成としても良い。また、上記した実施形態においては投光器の前面側に投光レンズを設置しているが、対面する受光レンズの領域、例えば図5に示した受光レンズ21においては投光器10に対面して平面として形成されている第1領域211、を小型のレンズ状に形成することによって、受光レンズ21が投光レンズの機能をも有する構成としても良い。
【0054】
また、図5に示した受光レンズでは、分割された複数のレンズ領域によるレンズを一体に成形しているが、これらの領域のレンズを別々に形成した後に一体化することによって受光レンズを形成しても良い。
【0055】
【発明の効果】
本発明による光波距離計は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、投光光学系及び受光光学系を、同一の検出光軸をそれぞれ投光光軸及び受光光軸とした同軸光学系として構成することによって、受光レンズによって受光器に集光される反射光のスポットサイズ及びその中心位置の移動を低減する。これによって、受光器の受光面積を小さくして、高速応答を実現する。
【0056】
さらに受光レンズを、その中心軸である検出光軸から外側に向かって順次、近距離検出用、すなわち測定距離が小さい検出点からの反射光を受光器に集光するレンズ部位、から遠距離検出用、すなわち測定距離が大きい検出点からの反射光を受光器に集光するレンズ部位、となるように各レンズ部位の形状を形成して配置する。このように、検出点までの測定距離と、レンズ部位の検出光軸からの距離とを対応させて形成することによって、受光器に集光されて距離検出に用いられる受光光量を、その測定距離による変化が例えば1/10程度以下に抑制されるように調整・設定することができる。以上によって、例えば数十cmから100m以上までの広い測定距離範囲に対して、距離検出精度を向上するとともに安定した距離検出精度を有する光波距離計を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光波距離計の一実施形態を一部破断して示す斜視図である。
【図2】本発明に係る光波距離計に用いられる受光レンズの構成及び機能を説明するための図である。
【図3】受光レンズの第1の実施例である。
【図4】受光レンズの第2の実施例である。
【図5】受光レンズの第3の実施例である。
【図6】本発明に係る光波距離計によって測定された受光光量の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…検出光軸、1a…投光光路、1b…補助投光光路、1c…受光光路、2…受光レンズ、3…受光器、
10…投光器、11…投光レンズ、12…補助投光器、20…受光器、21…受光レンズ、22…前面、23…後面、30…ハウジング、31…ハウジング前面、31a…開口部、32…ハウジング後面。
Claims (3)
- ハウジング内部に投光器と受光器とを備え、
前記投光器からの照射光を前記ハウジング外部に所定の検出光軸に沿って出射し、前記検出光軸上の被測定物体からの反射光を受光レンズを通して前記受光器に入射して、前記被測定物体の有無及び前記被測定物体までの測定距離を検出する光波距離計において、
前記投光器、前記受光器及び前記受光レンズは、それぞれ前記検出光軸を中心軸として同軸に配置され、
前記受光レンズのそれぞれのレンズ部位が、前記検出光軸側から外側に向かって順次、前記検出光軸上にある照射光の投光される領域、前記測定距離に関する近距離検出用レンズ部位、及び遠距離検出用レンズ部位となるように前記受光レンズが形成され配置され、前記領域と前記近距離検出用レンズ部位との間、及び前記近距離検出用レンズ部位と前記遠距離検出用レンズ部位との間における前記ハウジングの内側の面が、連続的な曲面として形成され、前記近距離検出用レンズ部位及び前記遠距離検出用レンズ部位は、共に前記反射光を前記受光器に集光させるように形成されていることを特徴とする光波距離計。 - 前記受光レンズは、一方の面を平面とし、他方の面を前記検出光軸に対して回転対称な所定の曲面として形成された非球面レンズから形成されていることを特徴とする請求項1記載の光波距離計。
- 前記受光レンズは、前記検出光軸を中心軸とした回転対称な曲面を有し、前記曲面は、前記検出光軸側から外側に向かって曲率が連続的に変化するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の光波距離計。
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