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JP3684085B2 - 内視鏡用ワイヤループ型処置具 - Google Patents

内視鏡用ワイヤループ型処置具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱して使用される内視鏡用ワイヤループ型処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の一般的な内視鏡用高周波スネアの先端部分を示しており、可撓性シース1内に軸線方向に進退自在に挿通配置された操作ワイヤ2の先端に、弾性ワイヤからなるワイヤループ3が接続パイプ4を介して連結されている。
【0003】
その結果、操作ワイヤ2を軸線方向に進退操作することにより、ワイヤループ3が可撓性シース1の先端内に出入りして、ワイヤループ3が可撓性シース1外では自己の弾性によってループ状に膨らみ、可撓性シース1内に引き込まれることによって窄まる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような構造の従来の内視鏡用高周波スネアでは、可撓性シース1の内径寸法dを、ワイヤループ3と操作ワイヤ2とを接続する接続パイプ4がスムーズに進退できる大きさにしなければならない。
【0005】
そのため、可撓性シース1が太くなり、太い処置具挿通チャンネルを有する内視鏡でしか使用できない等の制限が生じると共に、ポリープ切除を行う場合には、ワイヤループ3がポリープを締め付けた状態のまま可撓性シース1内に引き込まれて、ポリープ切除に支障をきたしたり、ポリープが外れなくなってしまう場合があった。
【0006】
そこで本発明は、機能向上に直結する可撓性シースの細径化を達成することができ、しかも製造が容易で使用し易い内視鏡用ワイヤループ型処置具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用ワイヤループ型処置具は、可撓性シース内に軸線方向に進退自在に操作ワイヤを挿通配置して、その操作ワイヤの先端に弾性ワイヤからなるワイヤループを連結し、上記操作ワイヤを軸線方向に進退操作することにより上記ワイヤループが上記可撓性シースの先端内に出入りして、上記ワイヤループが上記可撓性シース外では自己の弾性によってループ状に膨らみ、上記可撓性シース内に引き込まれることによって窄まるようにした内視鏡用ワイヤループ型処置具において、上記ワイヤループを形成する弾性ワイヤとして複数の金属細線を撚り合わせて形成された撚り線を用い、上記ワイヤループの後端から延出される一対の弾性ワイヤを、上記弾性ワイヤの撚り方向と逆方向に撚り合わせて上記操作ワイヤとしたことを特徴とする。
【0008】
なお、上記ワイヤループと上記操作ワイヤとの境界部において、上記一対の弾性ワイヤどうしが固着されていてもよい。
そして、上記ワイヤループの後端から延出された一対の弾性ワイヤの撚り合わせが、各弾性ワイヤの弾性変形域における撚り戻しによって行われていてもよい。
【0009】
また、上記ワイヤループが一本の弾性ワイヤを中間点で曲げ戻して形成されていてもよく、或いは、上記ワイヤループが二本の弾性ワイヤを先端部分で固着して形成されていてもよい。
【0010】
そして、上記可撓性シースが電気絶縁性の材料で形成されており、上記操作ワイヤを介して上記ワイヤループに高周波電流を通電することができるようにしてもよい。
【0011】
或いは、上記ワイヤループを複数組み合わせてかご状のバスケットを形成するために上記弾性ワイヤが複数対配置され、上記操作ワイヤが上記複数対の弾性ワイヤを一つに撚り合わせて形成されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡用ワイヤループ型処置具の先端部分を示しており、1は、例えば四フッ化エチレン樹脂製チューブ等からなる可撓性シースであり、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される。
【0013】
3は、導電性の一本の弾性ワイヤ23を中間点で曲げ戻して形成されたワイヤループであり、外力が加えられていない状態では数センチメートルの広がりの曲線的なループを形成している。
【0014】
弾性ワイヤ23としては、例えば直径が0.2〜0.5mm程度のステンレス鋼撚り線が用いられ、複数の(例えば3〜7本の)細いステンレス鋼細線を撚って形成されている。
【0015】
ワイヤループ3は、外力を加えることにより弾性ワイヤ23を弾性変形させて窄ませることができるが、外力が除かれれば、弾性ワイヤ23の弾性によって元のループ形状に戻る。
【0016】
可撓性シース1内には、可撓性の操作ワイヤ2が軸線方向に進退自在に挿通配置されている。この操作ワイヤ2は、ワイヤループ3の後端から延出されている一対の弾性ワイヤ23を撚り合わせて形成されている。
【0017】
ただし、操作ワイヤ2を形成する一対(二本)の弾性ワイヤ23の撚り合わせ方向は、弾性ワイヤ23の撚り方向とは逆方向であり、ワイヤループ3と操作ワイヤ2との境界部5では、二本の弾性ワイヤ23が銀ロー付け又はプラズマ溶接等によって固着されている。この部分の詳細については、製法を含めて後述する。
【0018】
図2は、可撓性シース1の基端部分を示しており、可撓性シース1の基端に取り付けられた連結口金6が操作部10に連結され、その連結口金6から延出する操作ワイヤ2の基端部分が金属製の連結パイプ7に差し込まれて一体的に固着され、その連結パイプ7が操作部10の操作部材11に例えば止めネジ12等により連結固定されている。
【0019】
その結果、操作部10において操作部材11を進退操作することによって、可撓性シース1内で操作ワイヤ2が軸線方向に進退し、ワイヤループ3が可撓性シース1の先端内に出入りして膨縮する。
【0020】
操作部10には、図示されていない高周波電源コードを操作ワイヤ2に導通接続させるための接続端子が設けられており、操作ワイヤ2を介してワイヤループ3に高周波電流を通電することができる。
【0021】
図3は、ワイヤループ3と操作ワイヤ2部分の製造工程を順に示しており、まず、(A)に示されるように、一本の弾性ワイヤ23を中間点で反対方向に緩く曲げ戻して一対(二本)にし、ワイヤループ3と操作ワイヤ2との境界部5になる位置で、両弾性ワイヤ23を平行に重ね合わせて銀ロー付け又はプラズマ溶接等により固着する。
【0022】
なお、その固着部分5は、図3においては見分け易くするためにやや太く図示されているが、実際には、弾性ワイヤ23二本分の直径より太くならないように固着する。
【0023】
次いで、(B)に示されるように、境界部5を万力200等でしっかり固定した状態で、延出している二本の弾性ワイヤ23を、その撚り状態がさらに締まる方向に各々の軸線周りに同じ回転数だけ回転させる。
【0024】
撚り線の撚り方向には、右巻きと左巻き(一般に、「S撚り」と「Z撚り」と称される)があるが、弾性ワイヤ23がS撚り(右巻き)であれば、(B)の工程においてさらに弾性ワイヤ23に右巻きの回転を与える。
【0025】
この時の回転数は、例えば長さ2mに対して50回転程度であり、各弾性ワイヤ23の撚りが弾性変形域において増加され、加えられている回転力を取り除けば、撚りは元の状態に戻る。
【0026】
次いで、(C)に示されるように、境界部5から後方に延出している二本の弾性ワイヤ23どうしを撚り方向とは逆方向に撚り合わせて操作ワイヤ2を形成する。
【0027】
この時、各弾性ワイヤ23に力を加える必要はなく、二本の弾性ワイヤ23を各々の撚りが戻らない状態で隣接して平行に並べてから回転力を取り除けば、各弾性ワイヤ23の撚りが元の状態に戻る動作によって、二本の弾性ワイヤ23が撚り方向とは逆方向に撚り合わせられて自然状態に落ち着く。
【0028】
このようにすることにより、二本の弾性ワイヤ23の各々の素線の回転と撚り合わせの回転とが相殺され、二本の弾性ワイヤ23を撚り状態が乱れることなく容易に撚り合わせることができると共に、操作ワイヤ2を押し引き操作したときにワイヤループ3が回転してしまうような現象が発生しない。
【0029】
このようにして操作ワイヤ2の部分が完成したら、(D)に示されるように、適当な直径と長さの金属パイプからなる治具100に操作ワイヤ2側から通過させる。それによって、ワイヤループになる部分3′がきれいな対称形に先端でU字状に曲げ戻される。
【0030】
そして最後に、(E)に示されるようにワイヤループ3を所定の形状に形成すれば、ワイヤループ3と操作ワイヤ2の部分が完成し、(F)に示されるように、可撓性シース1の基端に取り付けられた連結口金6にワイヤループ3側から差し込んで行けば、ワイヤループ3が窄まって可撓性シース1内を通過し、図1に示される状態に組みあがる。
【0031】
このように構成された内視鏡用高周波スネアにおいて、可撓性シース1の内径寸法dは、二本の弾性ワイヤ23からなる操作ワイヤ2がスムーズに進退できるように、操作ワイヤ2より0.1〜0.5mm程度大きいのが適当である。
【0032】
そこで、弾性ワイヤ23の線径が0.5mmあるとしても、可撓性シース1の内径をそれより0.2mm大きくした場合、可撓性シース1の内径寸法dは1.2mmで済む。したがって、可撓性シース1の肉厚を0.3mmとすれば外径は1.8mmにおさまり、内径が2mmの処置具挿通チャンネルに挿脱して使用することができる。
【0033】
また、可撓性シース1の内径寸法dを小さくすることができることから、ワイヤループ3でポリープを緊縛するために操作ワイヤ2を牽引したとき、ポリープが可撓性シース1内に引き込まれず、ポリープ切除処置を安全かつ迅速に行うことができる。
【0034】
図4は、本発明の第2の実施の形態の内視鏡用高周波スネアを示しており、素材として二本の弾性ワイヤ23を用い、それを先端部分3aにおいて銀ロー付け又はプラズマ溶接等により互いに固着してワイヤループ3を形成したものである。その他の構成は前述の第1の実施の形態と同じである。
【0035】
この実施の形態のワイヤループ3と操作ワイヤ2部分を製造する場合には、図5の(A′)に示されるように、重ね合わせて並べた二本の弾性ワイヤ23を、ワイヤループになる部分3′と操作ワイヤになる部分2′との境界部5及び先端部分3aで互いに固着する。
【0036】
その後は、図3の(B)及び(C)に示される第1の実施の形態と同様に、各弾性ワイヤ23の撚り方向と逆方向に両弾性ワイヤ23どうしを撚り合わせることにより、ワイヤループ3と操作ワイヤ2が形成される。
【0037】
図6は、本発明を内視鏡用バスケット型異物回収具に適用した実施の形態を示しており、ワイヤループ3部分が複数対(例えば四本)の弾性ワイヤ23により形成され、操作ワイヤ2はその全部の弾性ワイヤ23を、弾性ワイヤ23の撚り方向と逆方向に撚り合わせて形成されている。
【0038】
この場合にも、製造の際には、まずワイヤループ3になる部分と操作ワイヤ2になる部分との境界部5及び先端部分3aで全ての弾性ワイヤ23を互いに固着すればよい。
【0039】
なお、四本の弾性ワイヤ23の撚り合わせは、まず弾性ワイヤ23を二本ずつ撚り合わせた後、更にその二本ずつを四本に撚り合わせるようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、ワイヤループを形成する弾性ワイヤとして複数の金属細線を撚り合わせて形成された撚り線を用い、ワイヤループの後端から延出される一対の弾性ワイヤを撚り合わせて操作ワイヤとしたことにより、ワイヤループと操作ワイヤとの境界部が操作ワイヤ自体の太さより太くならないようにすることができるので、可撓性シースを細く形成することができる。
【0041】
その結果、細い処置具挿通チャンネルが組み込まれた内視鏡でも使用することが可能となり、また、ポリープ切除を行う場合には、ポリープが可撓性シース内に引き込まれず、ポリープ切除処置を安全かつ迅速に行うことができる。
【0042】
また、弾性ワイヤの撚り合わせ方向を弾性ワイヤの撚り方向と逆方向にしたことにより、二本の弾性ワイヤの各々の素線の回転と撚り合わせの回転とが相殺されるので、二本の弾性ワイヤを撚り状態が乱れることなく容易に撚り合わせることができると共に、操作ワイヤを押し引き操作したときにワイヤループが回転する現象が発生せず使用し易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用高周波スネアの先端部分の平面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用高周波スネアの基端部分の側面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用高周波スネアの製造工程を示す略示図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用高周波スネアの先端部分の平面断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用高周波スネアの製造の最初の工程を示す略示図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の内視鏡用バスケット型異物回収具の先端部分の平面断面図である。
【図7】従来の内視鏡用高周波スネアの先端部分の平面断面図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
2 操作ワイヤ
3 ワイヤループ
5 境界部
23 弾性ワイヤ

Claims (6)

  1. 可撓性シース内に軸線方向に進退自在に操作ワイヤを挿通配置して、その操作ワイヤの先端に弾性ワイヤからなるワイヤループを連結し、上記操作ワイヤを軸線方向に進退操作することにより上記ワイヤループが上記可撓性シースの先端内に出入りして、上記ワイヤループが上記可撓性シース外では自己の弾性によってループ状に膨らみ、上記可撓性シース内に引き込まれることによって窄まるようにした内視鏡用ワイヤループ型処置具において、
    上記ワイヤループを形成する弾性ワイヤとして複数の金属細線を撚り合わせて形成された撚り線を用い、上記ワイヤループの後端から延出される一対の弾性ワイヤを、各弾性ワイヤの弾性変形域における撚り戻しにより上記弾性ワイヤの撚り方向と逆方向に撚り合わせて上記操作ワイヤとしたことを特徴とする内視鏡用ワイヤループ型処置具。
  2. 上記ワイヤループと上記操作ワイヤとの境界部において、上記一対の弾性ワイヤどうしが固着されている請求項1記載の内視鏡用ワイヤループ型処置具。
  3. 上記ワイヤループが一本の弾性ワイヤを中間点で曲げ戻して形成されている請求項1又は2記載の内視鏡用ワイヤループ型処置具。
  4. 上記ワイヤループが二本の弾性ワイヤを先端部分で固着して形成されている請求項1又は2記載の内視鏡用ワイヤループ型処置具。
  5. 上記可撓性シースが電気絶縁性の材料で形成されており、上記操作ワイヤを介して上記ワイヤループに高周波電流を通電することができる請求項1、2、3又は4記載の内視鏡用ワイヤループ型処置具。
  6. 上記ワイヤループを複数組み合わせてかご状のバスケットを形成するために上記弾性ワイヤが複数対配置され、上記操作ワイヤが上記複数対の弾性ワイヤを一つに撚り合わせて形成されている請求項1、2、3又は4記載の内視鏡用ワイヤループ型処置具。
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