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JP2775445B2 - 抗フェニトインモノクローナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマ - Google Patents

抗フェニトインモノクローナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマ

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JP2775445B2
JP2775445B2 JP63291632A JP29163288A JP2775445B2 JP 2775445 B2 JP2775445 B2 JP 2775445B2 JP 63291632 A JP63291632 A JP 63291632A JP 29163288 A JP29163288 A JP 29163288A JP 2775445 B2 JP2775445 B2 JP 2775445B2
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phenytoin
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、抗てんかん薬であるフェニトイン(PH
T)に対し高い親和性及び特異性を有するモノクローナ
ル抗体及び該モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマに関する。この発明のモノクローナル抗体はてんか
ん患者血液中のフェニトイン濃度を正確に測定するため
に用いることができる。
[従来の技術] 現在、抗てんかん薬としてはテオフィリンをはじめと
し、多数の薬剤が開発され治療に用いられている。しか
し、その治療に関しては薬剤の効果判定、服薬の確認、
中毒症状の責任薬剤の診断、薬物相互作用の診断等のた
めに血中薬物濃度測定が非常に重要な意義を持っている
ことは周知の事実である。
特に、難治性の部分発作型てんかんに有効であるとし
て使用されるフェニトインは十二指腸で吸収され、血中
に取り込まれ、肝臓で水酸化され、胆汁等通常の代謝経
路を経て尿中に排出される。90%前後が代謝産物とな
り、そのまま未代謝物として尿中に排出されるフェニト
インは5%以下に過ぎない。また、代謝過程で飽和現象
が現われること、すなわちフェニトイン投与量と定常状
態での血中濃度とは比較せず、服用量が飽和点に達する
とわずかなフェニトイン投与増により血中フェニトイン
濃度は急激に上昇することも知られている。従って、最
少有効量で中毒症状を引き起こさずに治療することが要
求される。しかし、フェニトインの剤形変更で血中濃度
等に差が出ること、さらに他の薬剤との併用で治療効果
の上昇をはかるつもりが薬効同志の相互作用によりフェ
ニトインの代謝経路が影響を受け、フェニトイン血中濃
度を上昇させ、中毒症状を起こすことがあることが知ら
れている。従って、投与にあたっては常に血中濃度の管
理が望まれる。
従来より、種々の測定系で使用されている抗フェニト
イン抗体の多くはウサギ、ヒツジ等を用いてつくられる
ポリクローナル抗体である。従来より用いられているポ
リクローナル抗体は一般に抗原に対する特異性が低く、
フェニトインの主たる代謝産物であるp−ヒドロキシジ
フェニルヒダントイン(p−HPPH)及びm−ヒドロキシ
ジフェニルヒダントイン(m−HPPH)並びに関連薬物で
あるエチルフェニルヒダントイン(EPH)及びフェノバ
ルビタール(PB)に対する交叉反応性が大きい。すなわ
ち、p−HPPH、EPHに対し5〜10%交叉し、m−HPPHに
対しては100%近い交叉反応性を示す。
また、従来より抗フェニトインモノクローナル抗体も
市販されているが、フェニトインに対する親和性及び特
異性が未だ満足できるものではなく、後述の実施例にお
いて示すように、フェニトインに対する50%結合濃度が
1μg/ml程度であり、p−HPPHに対して5%、m−HPPH
に対しては100%の交叉反応性を示す。
[発明が解決しようとする問題点] 従って、この発明の目的は、フェニトインに対して高
い親和性及び特異性を有する抗フェニトインモノクロー
ナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマを提供する
ことである。
[問題点を解決するための手段] 本願発明者らは、鋭意研究の結果、フェニトインに対
し従来のモノクローナル抗体に比較してはるかに高い親
和性及び特異性を有する新規な抗フェニトインモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマを作製することに
成功し、この発明を完成した。
すなわち、この発明はフェニトインの50%結合濃度が
10-1μg/ml以下であり、p−ヒドロキシジフェニルヒダ
ントインに対する交叉反応性が2%未満であり、m−ヒ
ドロキシジフェニルヒダントインに対する交叉反応性が
10%未満であり、エチルフェニルヒダントインに対する
交叉反応性が1%未満であり、フェノバルビタールに対
する交叉反応性が1%未満であり、ハイブリドーマPHT1
6−17(FERM P−10389)により産生される。抗フェニト
インモノクローナル抗体を提供する。
さらにまた、この発明は、上記本発明のモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマPHT16−17(FERM P−1
0389)を提供する。
[発明の効果] 本発明により、フェニトインに対して極めて高い親和
性及び特異性を有する新規な抗フェニトインモノクロー
ナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマが提供され
た。本発明の抗フェニトイン抗体は、フェニトインに対
する親和性及び特異性が極めて高いので、ELISA法等の
免疫分析法を適用して検体中のフェニトインを、その代
謝産物や類似薬物の妨害を受けることなく極めて高い精
度で測定することが可能となる。また、その特異性が極
めて高いので、全血を用いた血液中のフェニトインの定
量に用いることができる。従って、この発明は、フェニ
トインを用いたてんかんの治療及び診断に大いに貢献す
る。
[発明の具体的説明] 本発明の抗フェニトイン抗体は、フェニトインの50%
結合濃度(50%の抗体に結合するフェニトインの濃度、
この値が小さいほどフェニトインに対する親和性が高
い)が10-1μg/ml以下である。これは、従来より市販さ
れている抗フェニトインモノクローナル抗体と比較して
10倍以上の高い親和性である。また、フェニトインの代
謝産物であるp−HPPH及びm−HPPHに対する交叉反応性
かそれぞれ2%未満及び10%未満である。これらの値
も、従来の抗フェニトインモノクローナル抗体と比較し
て格段に低い(すなわち特異性が高い)。さらに、フェ
ニトインの関連薬物であるEPH及びPBに対する交叉反応
性がそれぞれ1%未満である。
本発明のモノクローナル抗体は以下のようにして得る
ことができる。すなわち、先ず、フェニトインを例えば
マウスのような動物に免疫し、その脾細胞のような抗体
産生細胞と、ミエローマ細胞のような腫瘍細胞とを融合
してハイブリドーマを作製する。フェニトインは免疫原
性が小さいので、免疫原性を有する例えばKLH(keyhole
Limpet Hemocyanin)やBSAのようなキャリアタンパク
質と結合したものを免疫化に用いることが好ましい。次
いで、ハイブリドーマをHAT培地のような選択培地を用
いて選択し、限界希釈法のような適当な方法で単クロー
ン化して培養し、培養上清について、酵素免疫分析のよ
うな適当な免疫分析手段により抗フェニトイン抗体を産
生しているか否かをチェックする。これらの各工程は公
知の方法により行なうことができ、例えば、Kohler and
MilsteinのNature 256,495(1975)又はSecherらのNat
ure 285,446(1980)に記載された方法により行なうこ
とができる。さらに、p−HPPH、m−HPPH、EPH及びPB
に対する交叉反応性を調べ、本発明の範囲内に入る、交
叉反応性の低いものを選択する。次いで、培養上清か
ら、公知の方法、例えばアフィニティクロマトグラフィ
ーや電気泳動のような分離精製手段の組合わせにより目
的の抗フェニトイン抗体を単離する。
本発明の抗フェニトインモノクローナル抗体は、フェ
ニトインの検出、定量のための試薬として用いることが
できる。特に、特開昭61−80049号に記載されているよ
うな、ホモジニアス酵素免疫分析(EIA)の試薬として
用いることができる。本発明の抗フェニトイン抗体は、
その親和性及び特異性が極めて高いので、このようなホ
モジニアスEIAにおいて、全血をそのまま、すなわち希
釈することなく検体として用いて血液中のフェニトイン
を定量することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例] 1.ハイブリドーマの作製及びモノクローナル抗体の選択
方法 1−1免疫物質の調製 ハプテンとしてのフェニトインとキャリア分子として
のKLHより成る免疫物質複合体はCookらの方法(Researc
h Communication in Chemical Pathology and Pharmaco
logy.vol.25.767,1973)により調製した。
1−2供血体であるマウスの免疫 免疫にはBalb/c株のマウスのみ用い、10匹のマウスの
群を免疫した。フェニトイン−KLHと完全フロイントア
ジュバント(CFA、ディフコ社製)1:1の比の乳濁液を各
マウスの腹腔内に投与した。投与量は、マウス1匹につ
き免疫原が20〜50μgであった。
4週間後に0.9%NaCl中のフェニトイン−KLHを20〜50
μg追加免疫した。
マウスの免疫反応を定期的に血液試料を採取して追跡
した。
1−3マウスの癌細胞の培養 市販のマウスの骨髄腫細胞であるP3X63Ag8UP(P3U1)
大日本製薬社製)を融合に用いた。この細胞は凍結用培
地中で液体窒素で−196℃で保存してあった。融合の1
週間前に一部を取って解かし、RPMI−1640培地の入った
シャーレ(直径10cm)に入れ培養した。対数増殖期の細
胞を融合に用いた。
1−4体細胞融合 最後の追加免疫をしてから3〜4日後に無菌条件下
で、免疫したマウスの脾臓を取り出した。ステンレス製
のメッシュ(孔の大きさ100μm)の上で注意深くすり
潰した後、脾細胞から結合組織を分離し、RPMI−1640培
地で2回洗浄した(100rpm、5分間で遠心分離)。次に
RPMI−1640に浮遊した。この混合液中で脾細胞と上記腫
瘍細胞とを2:1で混合した。ポリエチレングリコール−R
PMI−1640(PEG4000とRPMI−1640を1:1に混合した溶
液)を加えて、細胞融合を開始した。1分後にRPMI−16
40を加えてPEGを希釈した。PEGが完全になくなるまで細
胞を洗い、106細胞/mlの程度になるようにヒポキサンチ
ン/アミノプテリン/チミジン選択培地(リトルフィー
ルドのHAT培地)に浮遊した。この選択培地中では融合
した細胞のみ生存でき、浮遊液中の融合していない脾細
胞やセルライン細胞は生存できない。
1−5ハイブリドーマ細胞の培養 融合後の細胞浮遊液(HAT培地中)をピペットで200μ
lづつ取り、96穴カルチャープレートのウェルに分注し
た。37℃、相対湿度100%で、95%の空気と5%の二酸
化炭素の雰囲気中で7〜10日間インキュベートした。こ
の間に定期的に細胞の増殖を追跡した。
2〜3週間後に、下記1−9に記載したスクリーニン
グ法を用いて、陽性の培養液(すなわち所期の特異性を
有する免疫グロブリンを産生している培養液)を同定し
た。同時に培養液をHAT培地からHT培地に、次いでRPMI
−1640培地に順次変えていった。
1−6ハイブリドーマ培養細胞のクローニング 陽性の増殖培養液を大容量の培養容器(コスター社
製、細胞培養プレートtype3524又は3506)中で増殖させ
た。以下のクローニングは限界希釈クローニング法によ
り実施した。この方法では陽性の培養液中の細胞を希釈
して新しく培養を始めた時移植された細胞数が統計的に
それぞれ1ウェルあたり1個程度になるようにした。8
〜12日後に単一の細胞から出発した大きなコロニーが既
に見えるようになった。モノクローナルの細胞が増殖し
ていることを確保するために、クローニング操作は少な
くとも2回行なった。
1−7マウスの腹水の作製(in vivo) 腹水を調整するためにプリスタン(登録商標、ロス社
製)0.5mlをBalb/cマウスに腹腔内投与した。
7〜60日内にこうして前処理したマウスの腹腔内に一
匹当り106ないし107個のハイブリドーマ細胞の浮遊液
(PBS中)を投与した。8〜10日後に腹腔に19G注射針を
差し込んで細胞を含有する腹水を集めた。
遠心分離(1000rpm、10分間)により腹水から細胞成
分を分離した。モノクローナル抗体を含有する上清画分
を(必要に応じて希釈)を分注しし、下記1−8に記載
する方法で精製した。
1−8腹水の精製 ブラックらの方法[J.Immunol.Math.53,313−319(19
82)]により精製した。
1−8−1腹水の前処理 腹水を1000xgで5分間遠心分離して細胞成分を沈殿さ
せた。超遠心分離(100,000xg、30分間)により細胞断
片のフィブリン塊を分離除去した。次に上清画分を100
倍量のトリス塩酸緩衝液(0.02M/、pH7.2)で一夜透
析した。次いで10、000xgで15分間遠心分離した。
1−8−2クロマトグラフィー 下記条件によりイオン交換クロマトグラフィー及びゲ
ルろ過クロマトグラフィーを行なった。イオン交換クロ
マトグラフィーは、出発緩衝液として0.01M Tris HCl p
H8.0を用い、0〜0.5M NaClでグラジエント溶出した。
担体はDEAE−セファロース(ファルマシア社製)、ゲル
ろ過はセファクリルS−200(ファルマシア社製)を用
いて行なった。緩衝液は0.01Mリン酸緩衝液pH7.4に0.15
MのNaClを含んだものを用いた。
1−9抗体検出のためのスクリーニング試験 培養上清中のモノクローナル抗体のスクリーニングは
固相化抗原を用いたELISA法を用い、抗体の特異性は3H
−フェニトインを用いたRIA法により調べた。
1−9−1固相免疫測定法(ELISA) ELISAプレートの調製 免疫で用いた抗原(フェニトイン−KLH)とはキャリ
ア部分の異なるフェニトイン−BSA結合物でELISA用96穴
プレートのウェルを被覆した(20μg/ml、50μl、4
℃、一夜)。反応液を除去後、0.05%ツィーン20入りPB
Sで洗浄し、調製した。
ELISA法 抗原を被覆したプレートに各細胞培養上清画分を50μ
lづつ、マイクロピペットで入れた。37℃、60分間反応
させた後、ウェルの中の内容物を捨て、プレートをツィ
ーン20入りPBSで3回洗浄した。次にペルオキシダーゼ
で標識した第2抗体(DACO社製抗マウス免疫グロブリン
抗体)を各ウェルに入れ、さらに37℃、60分間反応し
た。3回洗浄後、基質ABTS(2,2′−アミノ−ビス(3
−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)、和光純
薬社製)を添加し、酵素反応を開始させた。陽性のウェ
ルに緑色の発色が見られた。
1−9−2親和性試験のためのRIA法 フェニトインに対する結合の親和性は3H−フェニトイ
ンを用いたRIA法により調べた。この操作は、Vincent
P.Butlerの方法(Method in Enzymology vol.84,558,19
82)に従って行なった。また、比較のため、同じ方法に
より市販の抗モノクローナル抗体であるエミットフェニ
トインキット(シバ社製)内のモノクローナル抗体及び
イムノリサーチ社製モノクローナル抗体とフェニトイン
の親和性をも調べた。
1−9−3特異性試験のためのRIA法 フェニトインに対する抗体の存在が見られたウェル
は、P−HPPH、m−HPPH、EPH及びPBとの交叉反応性を
調べるため、3H−フェニトインとモノクローナル抗体と
の反応を濃度を変えた上記各種交叉反応性物質で競争反
応を行なわせ、フリーと抗体結合フェニトインとをデキ
ストラン−チャコールにて分離した。この操作は具体的
には以下のように行なった。0.25%BSA/TBS0.5ml中に濃
度一定の3H−フェニトイン50μlと、濃度を変えた抗フ
ェニトイン抗体50μlを加え、25℃で2時間反応させ、
反応終了後、0.25mlのデキストランチャコールを加え遠
心し、フリーの3H−フェニトインと抗体結合3H−フェニ
トインを分離した。総3H−フェニトインの70%を結合す
る抗体濃度を用いて、この抗体と3H−フェニトイン、濃
度を変えた交叉反応物質を25℃で2時間反応させ、デキ
ストランチャコールでフリーの3H−フェニトインと結合
3H−フェニトインを分離した。交叉反応性物質のない状
態で抗体に結合した3H−フェニトインを100%とし、50
%阻害を示す交叉反応性物質の濃度を求め、フェニトイ
ンと比較して交叉反応%を算出した。また、比較のた
め、シバ社製の上記エミット及びイムノリサーチ社製の
モノクローナル抗体についても同様に試験を行なった。
1−10フェニトインのホモジニアスEIA 特開昭61−80049号に記載されたホモジニアスEIA系を
本発明のモノクローナル抗体を用いて確立し、感度、特
異性を調べた。すなわち、α−アミラーゼとモノクロー
ナル抗体を結合した酵素抗体結合物の溶液50μl、フェ
ニトインをウマフェリチンに結合した高分子化フェニト
インの溶液50μl及び既知量のフェニトインを溶解した
5%BSA/PBSの50μlを混合し、37℃で20分間反応させ
た。反応液に基質懸濁液1.0mlを加えて37℃でさらに30
分間反応させ、0.5N NaOH0.5mlを加えて反応を停止させ
た。これを撹拌後、3000rpmで2分間遠心し、上清の620
nmにおける吸光度を測定してフェニトインに対する検量
線を得た。モノクローナル抗体の特異性を調べるため
に、酵素−抗体結合物溶液50μl、高分子化フェニトイ
ン溶液50μlに一定濃度のフェニトインに交叉反応性物
質を種々の濃度で添加した溶液50μlを加え、37℃で20
分間反応させた。その後の操作は検量線を求めた時と同
じ条件で行なった。交叉反応性物質を添加した溶液の測
定値を添加しなかった溶液の測定値と比較して交叉反応
%を算出した。
2.結果 2−1ハイブリドーマ細胞株の確立 表1に、上記操作において得られた、コロニーが増殖
しているウェルの数、融合頻度(%)、抗フェニトイン
抗体産生ウェル数及びm−HPPHに10%以下の抗体を産生
しているウェルの数を示す。表1に示すように、融合
後、ほぼ100%の融合頻度(HAT選択培地で融合細胞のコ
ロニーが存在するウェルの比率)が規則的に得られた。
約20回の融合操作を行ない、7680個のウェルをスクリー
ニングした結果、抗フェニトイン抗体を産生し、かつm
−HPPHに対する交叉反応性が10%以下の抗体を産生して
いるハイブリドーマが1つだけ得られ、これをハイブリ
ドーマPHT16−17と命名し、そのモノクローナル抗体を
モノクローナル抗体PHT16−17と命名した。ハイブリド
ーマPHT16−17は工業技術院微生物工業技術研究所に寄
託されており、その受託番号は微工研菌寄第10389号で
ある。
2−2フェニトインに対するモノクローナル抗体PHT16
−17の性質 2−2−1免疫グロブリンサブクラス PHT16−17はIgG1免疫グロブリンでありL鎖はk型で
ある。
2−2−2フェニトインに対する親和性 上記1−9−2の方法により調べたフェニトインに対
する親和性を図1に示す。図1には対照としての市販の
エミットモノクローナル抗体についての結果も示されて
いる。図1から明らかなように、PTH16−17は、フェニ
トインの50%結合濃度が約0.5x10-1μg/ml以下であり、
これは市販のエミットモノクローナル抗体の親和性の10
倍以上である。イムノリサーチ社製の市販の抗フェニト
インモノクローナル抗体についての結果もエミット抗体
とほぼ同じであった。
2−2−3特異性 上記1−9−3に記載した方法により調べた、PHT16
−17及びエミットモノクローナル抗体の各種物質に対す
る交叉反応性を表2に示す。表2に示されるように、本
発明のモノクローナル抗体であるPHT16−17の交叉反応
性は低く、すなわち、特異性が高く、特にp−HPPH及び
m−HPPH、とりわけm−HPPHに対する交叉反応性が従来
の抗フェニトインモノクローナル抗体よりもはるかに小
さい。
2−2−4ホモジニアスEIA 1−10に記載したホモジニアスEIAの結果を表3並び
に図2及び図3に示す。図2にはPHT16−17を用いた検
量線が示されており、フェニトインの濃度に依存して吸
光度が変化しており、この方法により免疫分析が可能で
あることがわかる。また、表3に示す結果は表2に示す
RIA法の結果とほぼ同一である。また、図3にはエミッ
トフェニトインキットとこのホモジニアスEIA法との結
果の相関図が示されており、ほぼ1:1に対応している。
これらのことから、PHT16−17を用いたホモジニアスEIA
法により、精度良くフェニトインを免疫分析できること
がわかる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のモノクローナル抗体及び従来の市販のモ
ノクローナル抗体のフェニトインに対する親和性を示す
図、 図2は本発明のモノクローナル抗体を用いたホモジニア
スEIAの検量線を示す図、及び 図3は本発明のモノクローナル抗体を用いたホモジニア
スEIAの結果と従来の抗フェニトインモノクローナル抗
体キットを用いたEIAの結果の相関図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/577 B 33/577 C12N 5/00 B (C12P 21/08 C12R 1:91) (56)参考文献 FED.PROC.46[3] (1987) P.709 Int.J.Immunopharm ac.9[3] (1987) P.391− 399 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェニトインの50%結合濃度が10-1μg/ml
    以下であり、p−ヒドロキシジフェニルヒダントインに
    対する交叉反応性が2%未満であり、m−ヒドロキシジ
    フェニルヒダントインに対する交叉反応性が10%未満で
    あり、エチルフェニルヒダントインに対する交叉反応性
    が1%未満であり、フェノバルビタールに対する交叉反
    応性が1%未満であり、ハイブリドーマPHT16−17(FER
    M P−10389)により産生される抗フェニトインモノクロ
    ーナル抗体。
  2. 【請求項2】請求項1記載のモノクローナル抗体を産生
    するハイブリドーマPHT16−17(FERM P−10389)。
JP63291632A 1988-11-18 1988-11-18 抗フェニトインモノクローナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマ Expired - Fee Related JP2775445B2 (ja)

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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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FED.PROC.46[3] (1987) P.709
Int.J.Immunopharmac.9[3] (1987) P.391−399

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