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JPH09294584A - ヒト腫瘍壊死因子に対するモノクロナール抗体 - Google Patents

ヒト腫瘍壊死因子に対するモノクロナール抗体

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JPH09294584A
JPH09294584A JP8349507A JP34950796A JPH09294584A JP H09294584 A JPH09294584 A JP H09294584A JP 8349507 A JP8349507 A JP 8349507A JP 34950796 A JP34950796 A JP 34950796A JP H09294584 A JPH09294584 A JP H09294584A
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tnf
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規ヒト腫瘍壊死因子に対するモノクロナー
ル抗体。 【解決手段】 ハイブリッドセルラインECACC87
050801から生産され、かつその重鎖がサブタイプ
IgGγ−3を示すことを特徴とする、天然及び/又は
組換えヒト腫瘍壊死因子(TNF)と反応するモノクロ
ナール抗体の提供。 【効果】 敗血症用薬及びリューマチ性疾患用薬として
の使用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト腫瘍壊死因子
(TNF)に対して特異性の高いモノクロナール抗体
(mAb)を合成する雑種細胞系、TNFに対するモノ
クロナール抗体、この雑種細胞系及び抗体の製法、なら
びにこのモノクロナール抗体の使用に関する。
【0002】
【従来の技術】マウス骨髄腫細胞と免疫されたマウスか
らの脾臓細胞との融合(コーラー及びミルシュタイン
著、ネイチャー第256巻1957年495〜497頁
参照)により、均質な(モノクロナール)抗体を産生す
る連続的な細胞系を得ることが可能であることが初めて
示された。それ以来、種々の雑種細胞(ハイブリドーマ
と呼ばれる)を製造するため、そしてそれが産生する抗
体を種々の科学的研究に使用するための多くの試みがな
された(カレント・トピックス・イン・マイクロバイオ
ロジイ・アンド・イムノロジイ第8巻:リンホサイト・
ハイブリドーマス、シュプリンガー出版社1978年参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】その生物学的性質のた
め、TNFは腫瘍性疾患の興味深くかつ有望な処置剤で
あることが明らかである。天然細胞中のTNFの濃度が
きわめて低いため、初期には詳細な研究は失敗に終っ
た。ヒト蛋白質を下等生物中でクローニングできる可能
性を有する遺伝子操作が開発されるまでは、TNFを微
生物中で発現させることはできなかった。高度に精製さ
れた形で、この組換えTNF(rTNF)は天然TNF
(nTNF)と同じ効果を有する。
【0004】科学的研究ならびに治療上の使用は、TN
Fの活性ばかりでなく蛋白質TNF自体を検出すること
を必要にした。生物学的活性の測定は常に面倒で費用が
かかる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、組換えヒト腫
瘍壊死因子(TNF)により免疫されたマウスの骨髄腫
細胞と脾臓細胞との細胞融合により得られたものであ
り、そして天然及び/又は組換えTNFと反応するモノ
クロナール抗体を産生する雑種細胞系から得られる天然
及び/又は組換えTNFと反応する新規なモノクロナー
ル抗体である。
【0006】本発明はさらに、細胞融合により抗体を産
生する雑種細胞系を製造し、この細胞をサブクローニン
グし、そして細胞が生長したのち、抗ヒト腫瘍壊死因子
特異性を有するモノクロナール抗体を分離することを特
徴とする、このモノクロナール抗体の製法を記載する。
【0007】モノクロナール抗体の製造は公知の方法
(モノクロナール・アンティボディズ、ケネットら著、
プレナム・プレス社発行、1980年363〜419頁
参照)に基づいて行われた。
【0008】BALB/cマウスを、大腸菌からの精製
組換えTNFの少量を繰返し注射することにより免疫し
た。血清中に充分な抗体が検出されるとすぐに、この動
物の脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合し、そして雑種を培養
した。
【0009】個々の培養物は、TNFに対する特異的抗
体の濃度についてのスクリーニング試験にかけられた。
【0010】適当なハイブリドーマの単一細胞から導か
れたコロニーを、制限希釈クローニング法により分離し
た。この方法により4種の雑種細胞系が得られ、これら
が異なる性質を有するモノクロナール抗体を分泌するこ
とにより区別された。すなわち雑種細胞系AM−1、A
M−114、AM−195及びAM−199である。こ
れらの細胞系は、英国ソリズパリイSP4 OJ6・ポ
ートン・ダウン所在の応用微生物学及び研究のためのP
HLSセンター、動物細胞培養物のヨーロッパ収集所
(ECACC)に、番号87−050804、87−0
50803、87−050801及び87−05080
2として寄託されている。
【0011】これらの雑種細胞を、試験管内及び生体内
の両方の培養により生長させた。生体内での高い生長速
度はこの培養法を特に好適にした。プリスタン(R)
より前処理された名称BALB/cマウスに、各雑種株
の細胞を腹腔内注射により与えた。形成された腹水腫瘍
を8〜10日後に採取した。
【0012】TNFに対するモノクロナール抗体は、試
験管内細胞培養又は腹水液からの上澄液を精製処理する
ことにより分離された。精製はブルッフらの方法(J.
Immunol.Methods第53巻1982年3
13〜319頁参照)に基づいて行われた。
【0013】モノクロナール抗体の分子の特性は下記の
ように決定された。
【0014】精製された抗体の分子量は150000ダ
ルトンに等しいかそれより大きい(ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動により測定)。
【0015】抗体AM−1、AM−114及びAM−1
99はIgG1型のもので、その重鎖はガンマ1であ
る。抗体AM−195はIgG3型のもので、その重鎖
はガンマ3である。軽鎖はすべての抗体においてカッパ
である(ELISAにおけるサブタイプ特異的抗体によ
り測定)。
【0016】モノクロナール抗体は、>10l/mo
l程度の高い親和定数を有し、リンホトキシンと交叉反
応しない。
【0017】TNF分子上の個々の抗体のための結合部
位の相対的位置は、抗体の競合結合により調べられた。
【0018】TNFをマイクロ滴定板上に固定した。1
種のビチオン標識抗体を、他の未標識抗体とともに保温
した。TNF上の類似の部位に対し抗体の相互反応があ
る組合せを調べた。抗体AM−195が結合するエピト
ープは、AM−1及びAM−199のためのそれと相違
する。AM−114についてわずかな競合が観察され
た。
【0019】TNF活性は普通の細胞毒検定法により測
定された。組換え及び天然TNFを過剰の抗体とともに
保温した。両TNF標本の細胞毒活性は抗体AM−19
5により中和された。AM−114による中和は1/1
0の強さであった。この知見は、抗原上の異なる領域が
種々の抗体と別様に反応すると仮定することにより説明
できる。AM−195モノクロナール抗体だけが、生物
学的活性に対して責任のある部位と反応する。
【0020】抗体の結合及びTNFの中和の結果は、T
NFの少なくとも3種の異なるエピトープを認めること
ができ、そしてモノクロナール抗体の採取により定義し
うることを示すものである。
【0021】抗体を用いて特定の抗原を検出するために
は、原則として二つの検定方法が可能である。両者にお
いて、抗原中に天然の標識がない場合には一方の成分を
標識する必要がある。抗原に、例えば放射活性標識同位
体により標識を行い、この場合は通常は競合置換検定法
例えばラジオイムノアッセイ(RIA)を用い、あるい
は抗体を標識する。この場合の好ましい検定法の型はイ
ムノラジオメトリックアッセイ(IRMA)、酵素免疫
測定法(ELISA)又は化学発光測定法である。これ
ら種々の測定法及びその変法の詳細は、この技術の専門
家に公知である。
【0022】他の選択は、低分子量ハプテンの抗体との
カップリングであり、これは第二の反応により特異的に
検出できる。普通に用いられるものの例は、ストレプト
アビジンと反応するビオチンである。従って本発明のす
べての抗体は、長鎖ビオチンにより標識され、後続の段
階においてストレプトアビジン/セイヨウワサビパーオ
キシダーゼを用いて可視化された。
【0023】本明細書に記載される検定法は、固相サン
ドイッチELISAである。未標識の抗体(AM−1又
はAM−199)を受身吸着又は共有結合により表面例
えばマイクロ滴定板に結合し、そしてこの表面を既知の
手段で非特異的結合に対してブロックした。TNF含有
試料及びビオチンで標識した抗体(AM−195)を、
ピペットでウェル中に入れ、そして保温した。試料中の
TNFを10pg/mlの検出限界で検出できることが
示された。rTNFはマウスL929の測定において
8.0×10U/mgの比活性を有するので、このE
LISA法により0.1UのTNF/mlを検出するこ
とが可能である。ウエスタン・ブロッティング法は抗体
がヒト血清のどの成分とも交叉反応しないことを示し
た。従って本発明の抗体は、TNFにより処置された患
者の血清中のTNFを測定するために用いることができ
る。これらの抗体は現行の診断の目的に、例えば血清及
び血漿中のTNFレベルを検査するために用いることも
できる。
【0024】本発明の抗体はTNFを不活性化するので
(実施例6参照)、血中TNF濃度が上昇する疾患、例
えば敗血症性ショックの処置のために使用できる。さら
に次の障害におけるTNF抗体での処置があげられる。
移植拒絶反応、アレルギー、自己免疫性疾患、リウマチ
性障害、肺ショック、炎症性骨疾患、凝固障害及び火
傷。この目的に適する抗体は、TNFの細胞毒活性を中
和するものである。
【0025】TNFを含有する生物学的材料からTNF
を抽出するために、免疫アフィニティクロマトグラフィ
を用いることもできる。このためには抗体を既知の方法
によりゲルマトリックスに結合し、これにTNF含有溶
液を通過させる。
【0026】
【実施例】下記の実施例により本発明をより詳細に説明
する。
【0027】実施例1 モノクロナール抗体の製造 (a)BALB/cマウスの免疫 雌性BALB/cマウスを、完全なフロインドのアジュ
バント0.5ml中のrTNF30μgを用いて腹腔内
注射(i.p.)により免疫した。14日後に動物に、
不完全なフロインドのアジュバント中の抗体30μgを
再び腹腔内注射により投与した。さらに2回の腹腔内注
射による免疫を、各30μgの抗体を用いて14日の間
隔で行った。最後の抗体投与の3日後に、2匹の動物の
脾臓を摘出した。
【0028】(b)脾臓細胞懸濁液の製造 摘出された脾臓から、ステンレススチール製スクリーン
(目幅100μm)にこの器官を強制的に通過させるこ
とにより、細胞懸濁液を製造した。ぶどう糖4.5g/
l、グルタミン10mM、ペニシリン1000単位/m
l、ストレプトマイシン100μg/ml及び胎児牛血
清15%が追加されたダルベッコの最小必須培地(DM
EM)中に細胞を移した。細胞をこの培地で3回洗浄し
たのち、同じ培地中に希望する濃度に再懸濁した。一般
に各脾臓から約5〜10×10個の細胞が得られた。
【0029】(c)骨髄腫細胞の生長 骨髄腫細胞Sp2/O−Ag14(ATCC No.C
RL8287)を融合のために使用した。この細胞は2
0μg/mlの8−アザグアニンに耐性であるが、ヒポ
キサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有する培
地中(HAT)ではもはや生長できない。この細胞を、
ぶどう糖4.5g/l、グルタミン10mM、ペニシリ
ン1000単位/ml、ストレプトマイシン100μg
/ml及び胎児牛血清15%が追加されたDMEM(完
全培地)中で培養した。この細胞を、生長の対数増殖期
において融合に用いた。
【0030】(d)細胞融合 脾臓細胞懸濁液を骨髄腫細胞と5:1の割合で混合し、
血清不含のDMEMで洗浄した。洗浄された細胞を血清
不含のDMEM30ml中に再懸濁し、内容50mlの
ポリプロピレン製円錐管中で800rpmで5分間遠心
分離した。上澄液を完全に吸引濾過した。分子量200
0のポリエチレングリコール(PEG、ベーリンガー
社)の50%溶液0.5mlを、きわめて注意深くペレ
ットに添加し、ペレットを軽くたたいてPEGと混合
し、次いで混合物を1000rpmで3分間遠心分離し
た。DMEM10mlを添加し、細胞ペレットを注意深
く懸濁し、次いで2000rpmで3分間遠心分離し
た。細胞ペレットを2×10細胞/mlの濃度でHA
T培地中に再懸濁し、その0.2mlをマイクロ滴定板
上に分散した。前日に、主としてマクロファージである
腹腔内単核細胞約50000個を、供与者細胞としてウ
ェル中に入れた。
【0031】(e)ハイブリドーマの選択及び培養 細胞融合したのち、細胞をリトルフィールドHAT培地
(サイエンス第145巻1964年709〜712頁参
照)中で37℃において、COを5%含有する湿った
雰囲気中で培養した。
【0032】1週間に2回、培地の半分を新しいHAT
培地で置き換えることにより培養物を育てた。数週間の
のち、ハイブリドーマ細胞培養物からの上澄液を、抗ヒ
ト腫瘍壊死因子活性の存在について調べた。スクリーニ
ング試験において正の結果を示したハイブリドーマを、
クローニングのために選択した。このためにはハイブリ
ドーマを制限希釈法に付し、その際96個のマイクロ滴
定ウェルのそれぞれに平均で0.5個の細胞/ウェルを
入れ、そして10個のマウス胸腺細胞を供与者細胞と
して添加した。このクローニング操作により選択された
抗体産生細胞を増殖し、凍結し、そして液体窒素中で胎
児牛血清10%及びジメチルスルホキシド10%を含有
する完全培地中に貯蔵した。
【0033】(f)特異的TNF抗体のためのスクリー
ニング試験 rTNFを、PBS(燐酸塩緩衝塩水、NaCl 0.
8%及び燐酸ナトリウム0.02モルを含有し、HCl
又はNaOHでpH7.4にしたもの)中に3μg/m
lに希釈した。この溶液の各0.1mlをマイクロタイ
ター(R)板のウェル中に入れた。室温で2時間のの
ち、上澄液を吸引濾過し、ウェルを1%牛血清アルブミ
ン溶液(シグマ社、RIA等級)0.3mlで30分以
内に処理し、次いで上澄液を捨てた。生長しているハイ
ブリドーマ細胞系(約20〜30%集合)からの上澄液
又は免疫されたマウスからの血清の希釈液を、室温で2
時間以上保温した。ウェルをPBS 0.3mlで数回
洗浄した。次いで適当な濃度の抗マウス免疫グロブリン
抗体(マイルズ社製)0.1mlとともに室温で2時間
保温した。これらの抗体を酵素標識としてのパーオキシ
ダーゼとカップリングした。正のパーオキシダーゼ反応
を有するウェルは、抗原に特異的な抗体を示した。
【0034】最初に用いた360個のウェルの80%に
おいて、細胞の生長が観察された。これらのうち12個
がTNFスクリーニング試験において正の結果を示し
た。繰返し試験すると、そのうちの11個が正であっ
た。4種の異なるモノクロナールハイブリドーマを本発
明のために追求した。それはAM−1、AM−195、
AM−114及びAM−199である。
【0035】(g)ハイブリドーマ細胞培養の展開 細胞培養における展開(試験管内):約2×10個の
細胞を、175cmの生長面積を有する細胞培養ビン
中に入れた。3日後に、細胞不含の上澄液は、細胞によ
り分泌されたモノクロナール抗体を10〜20μg/m
lの範囲で含有していた。
【0036】マウス腹水における展開(生体内):BA
LB/cマウスに、腹膜の条件付けのためにプリスタン
(R)0.5mlを腹腔内注射により与えた。PBS中
の5〜10×10個のハイブリドーマの懸濁液を、前
処置された各動物に1〜2週間の期間にわたり投与し
た。8〜10日ののち、腹膜を針で刺し、細胞を含有す
る腹水液を採取した。
【0037】腹水液の試料の細胞成分を遠心分離(50
00rpm、5分)により除去した。モノクロナール抗
体を含有する上澄液を小分けして−70℃で凍結する
か、あるいはクロマトグラフィにより少なくとも90%
に精製した。純度はドデシル硫酸ナトリウム/ポリアク
リルアミドゲル電気泳動により評価された(西独特許出
願公開3330160号明細書参照)。
【0038】(h)モノクロナール抗体の型の決定 モノクロナール抗体を、ELISA系において特性決定
した。マイクロ滴定板のくぼみにrTNF(5μg/m
l)を充填した。このように準備された板を、細胞培養
からの精製モノクロナール抗体とともに室温で2時間保
温したのち、第2の保温段階(室温で2時間)を、種々
のクラス及びサブクラスの抗マウス免疫グロブリンなら
びに種々のクラスの免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖(マ
イルズ社製)とともに行った。他の段階で、パーオキシ
ダーゼで標識したヤギ抗ウサギ免疫グロブリン(マイル
ズ社製)を添加した。1時間保温したのち、着色基質で
あるテトラメチルベンジジン(マイルズ社製)及び過酸
化水素を添加して酵素反応を開始した。その結果を第1
表にまとめて示す。
【0039】 第 1 表 抗 体 クラス 重 鎖 軽 鎖 AM−1 IgG ガンマ1 カッパ (ECACC87−050804) AM−114 IgG ガンマ1 カッパ (ECACC87−050803) AM−195 IgG ガンマ3 カッパ (ECACC87−050801) AM−199 IgG ガンマ1 カッパ (ECACC87−050802) (i)モノクロナール抗体の標識 NHS−LC−ビオチン(ピアス社製)をPBSに溶解
し、濃度を1mg/mlにした。この溶液の0.1ml
を精製モノクロナール抗体(0.5mg/mlPBS)
0.1mlと混合し、この溶液を室温で2時間保温し
た。反応に続いて、溶液をPBSで1mlとなし、4℃
でPBSに対して透析した。透析液すなわち透析管中の
溶液を、使用するまで4℃で貯蔵した。
【0040】実施例2 TNFに対するモノクロナール抗体の親和性 親和性定数を、ELISAからのデータを用いて測定し
た。このためには精製抗体を一定量のTNFに対して滴
定し、そして抗体の結合を、パーオキシダーゼで標識し
たウサギ抗マウス免疫グロブリンの結合により検出し
た。特異性プログラムを用いて結合のデータを分析し
た。
【0041】 第 2 表 モノクロナール抗体の親和性定数 抗 体 Ka×10l×mol−1 AM−1 1.5 ± 30% AM−114 1.4 ± 30% AM−195 3.5 ± 30% AM−199 2.0 ± 30% これらの会合定数Kaは、抗TNF抗体の高い親和性を
示している。
【0042】実施例3 TNFの細胞毒活性の中和 TNFの試験管内での生物学的活性を、アガーワルらに
より記載された方法(J.Biol.Chem.第26
0巻1985年2345〜2354頁参照)と同様にし
て、マウス細胞系L929(ATCC No.CCL
1)の溶解により測定した。モノクロナール抗体による
TNFの細胞毒活性の中和の試験において、TNF濃度
は少なくとも90%の細胞が溶解する濃度であった。抗
体をマイクロ滴定板中で完全培地中に1:2で段階的に
希釈した。組換え又は天然TNF(1.3ng/ml)
0.05mlを各抗体溶液(0.1ml)に添加し、混
合物を室温で2時間保温した。次いで培地0.05ml
中のL929細胞50000個を添加し、インキュベー
ター中で20〜24時間保温したのち、細胞を固定し、
クリスタルバイオレットで染色した。
【0043】TNFの細胞毒効果は細胞の溶解に導き、
従って細胞は染色中に洗浄除去される。しかし充分な抗
体が存在する場合には、TNFの細胞毒効果は中和さ
れ、そして細胞は染色される。
【0044】第 3 表 TNFの細胞毒活性の中和mAK 中 和 AM−1 − AM−114 + AM−195 ++ AM−199 − 第3表から認められるように、中和試験において3種類
の抗体が見出された。TNFの中和は、AM−195で
は0.2μg/ml及びAM−114では2μg/ml
のモノクロナール抗体濃度において認められたが、20
μg/mlのAM−1及びAM−199では中和は不完
全であった。
【0045】実施例2における会合定数の測定は、各抗
体がほぼ同じ程度に結合することを示した。抗体を、強
く中和するもの、弱く中和するもの又は全く中和しない
ものに類別することは、TNF分子上の種々のエピトー
プを区別できるようにする情報を提供する。抗体の結合
及びTNFの中和についての結果は、TNFの少なくと
も3種の異なるエピトープを認識することができかつモ
ノクロナール抗体の収集により定義することができるこ
とを示す。
【0046】実施例4 TNFの測定 (a)好適な1対のモノクロナール抗体の選択 2種の抗体の同じエピトープへの競合的結合と、異なる
エピトープへの付加的結合とを区別するために、抗体だ
けを用いかつ可能なすべての対の組合せにおいて、固定
化されたTNFへの結合を試験した。TNFは実施例1
に記載のように結合した。精製TNFを、24000n
g/mlから出発して1:4段階に希釈した。次いでビ
オチン化された抗体AM−195を添加したのち、90
分間保温した。ウェルをPBS/0.05%ツイーン
(R)20で洗浄し、ストレプトアビジン−パーオキシ
ダーゼ錯体(BRL社)を添加し、混合物を30分間保
温した。洗浄工程ののち、パーオキシダーゼ基質(実施
例4b参照)0.1mlを各ウェルに添加した。競合的
結合は、シグナルを消失させる結果となる。第4表から
明らかなように、モノクロナール抗体AM−195を結
合するTNFエピトープは、AM−1又はAM−199
のためのものと相違する。AM−114とのわずかな競
合が認められる。この理由から、固定化されたAM−1
又はAM−199抗体とビオチンで標識したAM−19
5を用いて、次の実験を行った。
【0047】 第 4 表 ビオチンで標識したAM−195のTNF への結合に対するmAKの影響 % 結 合 μg mAK/ml 195 114 199 1 24000 3 33 100 100 6000 4 85 100 100 1500 16 100 100 100 375 63 100 100 100 62 95 100 100 100 0 100 100 100 100 (b)酵素イムノアッセイの設計 抗体AM−1又はAM−199を、受身吸着又は共有結
合により担体(小球、濾材、ポリスチレン又はポリ塩化
ビニル製マイクロ滴定板、濾紙又は他の材料)上に固定
した。モノクロナール抗体の特異性は、特異的な抗原
(この場合はTNF)だけが、この抗原上の単一分子結
合部位を介して結合することを可能にする。結合できる
TNFの量は溶液中の抗原の濃度及び量に比例する。抗
原は、抗体AM−195が他の分子結合部位に結合する
ことにより認識される。抗体AM−195は1個のシグ
ナルを有する。それ故、固定化されたシグナルの量は固
定化された抗原の量に、従って調べられる溶液中の抗原
の濃度にも直接比例する。
【0048】アッセイの操作: (1)被覆 精製抗体AM−1又はAM−199を粘着緩衝液(重炭
酸ナトリウム緩衝液、pH9.5、4.2g/l=0.
05M)中に0.5μg/mlに希釈した。マイクロ滴
定板のウェルにこの溶液0.1mlを入れ、4℃で16
〜20時間保温した。
【0049】(2)遮断 (1)により得られた溶液を吸引濾過し、ウェルをPB
S(NaCl 2g/l、KCl 0.2g/l、Na
HPO・2HO 1.44g/l、KHPO
0.2g/l、pH7.0)で2回洗浄し、次いで1
%牛血清アルブミン(シグマ社、RIA等級)により室
温で30分間遮断した。
【0050】(3)系列希釈及びTNF試料 (2)からの溶液を吸引濾過し、ウェルをPBSで2回
洗浄した。rTNFを緩衝液I[牛血清アルブミン(シ
グマ社、RIA等級)1gをPBS 1lに添加したも
の]により2.5ng/mlとなし、1:2段階に希釈
した。試料各0.1mlをピペットにより各ウェル中に
入れ、室温で2〜4時間保温した。緩衝液(洗浄用緩衝
液:PBS+0.1%ツイーン(R)20)により3回
洗浄したのち、ビオチンで標識した抗体AM−195を
0.1ml添加した。実施例1(h)の方法により製造
した接合物を緩衝液Iにより1:400に希釈し、室温
で2時間又は4〜10℃で16〜20時間保温した。
【0051】(4)増幅系 ウェルを洗浄用緩衝液により3回洗浄したのち、ストレ
プトアビジン−パーオキシダーゼ錯体(BRL社、PB
S/BSA緩衝液中に1:2000に希釈したもの)
0.1mlとともに室温で30分間保温した。
【0052】(5)展開 ウェルを洗浄用緩衝液により3回洗浄し、パーオキシダ
ーゼ基質0.1mlをピペットにより各ウェル中に入
れ、室温で30分間保温した。2M−HSO0.1
ml/ウェルにより反応を停止した。マイクロ滴定板に
おける吸光を、450nmの波長において1時間以内に
記録した。特性を示す検量線を図1に曲線○−○−○と
して示す。TNFの検出限界は10pg/mlである。
【0053】パーオキシダーゼ基質 TMB溶液:DMSO中の42mM−TMB(3,
3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、マイル
ズ)。
【0054】基質用緩衝液:水1lに加えた酢酸ナトリ
ウム50g、くえん酸1gによりpH4.9に調整。
【0055】TMB溶液0.1mlを基質用緩衝液10
mlに振動しながら徐々に添加し、次いで30%H
超純粋、メルク社)1.47μlを添加した。
【0056】(c)ヒト血清中のTNFの測定 組換え及び/又は天然TNFを緩衝液I(実施例4b参
照)又はヒト血清中に2.5ng/mlとなし、同じ条
件下で1:2で段階的に希釈した。その0.1mlをピ
ペットにより、実施例4(b)に記載のようにして抗体
AM−199又はAM−1によりあらかじめ被覆された
各ウェル中に加えた。後続の操作を実施例(b)と同様
に行った。その結果を図1に曲線●−●−●として示
す。
【0057】図1から明らかなように、ヒト血清のどの
成分も、モノクロナール抗体を用いるTNFの測定を妨
害しない。
【0058】(d)抗体とリンホトキシンとの交叉反応 抗体とリンホトキシンとの可能な交叉反応を、実施例1
(e)に記載のようにして試験した。その際マイクロ滴
定板のウェルを精製された組換えリンホトキシンにより
被覆した。抗体AM−1、AM−114、AM−195
又はAM−199のリンホトキシンとの結合は認められ
なかった。
【0059】実施例5 ウエスタン・ブロッティング法によるモノクロナール抗
体を用いる血清中のTNFの検出 種々の量のTNFが添加されたヒト血清を、ゲル電気泳
動により12.5%ゲル中でレムリの方法(J.Mo
l.Biol.第80巻1973年575〜599頁参
照)により分別した。ウエスタン・ブロッティング法
は、バーネット(Anal.Biochem.第112
巻1981年195〜203頁参照)及びライネスら
(J.Biol.Chem.第260巻1985年11
33〜1139頁参照)により報告された方法である。
ゲル上の蛋白質をニトロセルロース膜(シュライヘル及
びシュル)上に1夜ブロットした。このニトロセルロー
ス膜を1%ゼラチン溶液(バイオーラド社、ゼラチン1
0gをPBS1lに加えたもの)とともに室温で3時間
保温した。次いでニトロセルロース膜を、緩衝液(PB
S中の1%ゼラチン)中に1μg/mlに希釈された抗
体溶液20mlとともに室温で2時間保温した。上澄液
を傾斜により除去し、膜を数回洗浄した。パーオキシダ
ーゼで標識した抗マウス免疫グロブリンを用いて、TN
Fをニトロセルロース膜上で見えるようにした。検出限
界はTNF30ngである。
【0060】図2に、TNFを種々の量で添加されたヒ
ト血清のゲル電気泳動による分画(A)及びこのゲル電
気泳動分画についてモノクロナール抗体AM−195を
用いて行ったウエスタン・ブロッティングの結果(B)
を示す。図2から明らかなように、AM−195はヒト
血清中の成分と反応せず、したがってTNFに対して特
異的であると認められた。抗体AM−1、AM−114
及びAM−199についても同じ結果が得られた。
【0061】実施例6 TNFの中和 TNFに対するmAKの保護作用を、生体内条件下で雌
性のBALB/cマウス(試験1、2及び4)及びC3
H/HeNマウス(試験3)において調べた。4〜6週
令のマウスを無作為に1群3匹又は5匹に分けた。被験
物質を静脈内注射により外側尾静脈内に投与した(投与
量10ml/kg)。注射の前に、TNFを緩衝液A
[150mM−NaCl及び0.18%牛血清アルブミ
ン(シグマ社、RIA等級)]に溶解し、4〜10℃で
6時間貯蔵した。TNFの毒性はこの時間後に最高であ
った。最初にTNFを、次いで15〜30分後にmAK
を添加した。24時間後に死亡率を測定した。第5表に
その結果を示す(この表中、例えば3/5は動物5匹の
うち3匹が死んだことを意味する)。
【0062】 第 5 表 試 験 番 号 投与した物質(mg/kg) 1 2 3 4 緩衝液A 0/3 0/5 0/5 0/5 mAK10 0/3 0/5 0/5 0/5 mAK5 0/3 0/5 0/5 0/5 TNF1 3/3 0/5 4/5 4/5 TNF1+mAK1 1/3 2/5 1/5 3/5 TNF1+mAK5 0/3 0/5 0/5 0/5 TNF2 3/3 5/5 1/5 4/5 TNF2+mAK2 3/3 4/5 2/5 5/5 TNF2+mAK10 0/3 0/0 0/5 0/5 第5表から明らかなように、中和性の抗体AM−195
はマウスにおいて致死量のTNFを中和することができ
る。動物の生存率は抗体及びTNFの重量比に依存す
る。TNFの毒性の完全阻止は5:1の比率において認
められた。TNFが三量体であると考えると(FEBS
Lett.第211巻1987年179頁参照)、こ
れは1.6:1の抗体:TNFのモル比に相当する。
【0063】マウスにおいてTNFを非中和性抗体によ
り中和することはできない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモノクロナール抗体を用いてTNFを
測定するための検量線を示すグラフ図。
【図2】TNFを種々の量で添加したヒト血清のゲル電
気泳動による結果を示す、図面に代わる写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 G01N 33/577 B // A61K 39/395 ABG A61K 39/395 ABG ADZ ADZT C12N 5/10 C12N 5/00 B (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハイブリッドセルラインECACC87
    050801から生産され、かつその重鎖がサブタイプ
    IgGγ−3を示すことを特徴とする、天然及び/又は
    組換えヒト腫瘍壊死因子(TNF)と反応するモノクロナ
    ール抗体。
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