JP3841364B2 - 抗ヒトビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンiii 複合体モノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び免疫学的測定方法 - Google Patents
抗ヒトビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンiii 複合体モノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び免疫学的測定方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、抗ビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII 複合体モノクローナル抗体、前記モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ及び前記モノクローナル抗体を用いるビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII 複合体の免疫学的測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臨床分野において、血中のトロンビンを測定することは、播種性血管内凝固や血栓症などの凝固亢進状態を知るうえで重要である。しかしながら、トロンビンそのものを測定することはできないので、代わりにトロンビンが血中のアンチトロンビンIII (以下ATIII ともいう)と速やかに結合して生ずるトロンビン・アンチトロンビンIII 複合体(以下TATともいう)を測定して、その量からトロンビンの量を推定して血液の凝固活性化の指標としている。しかしながら、TATは血中のビトロネクチンと速やかに結合して、ビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII 複合体(VTAT)を形成し、代謝される。従って、TATを指標とすることが適切であるかどうかは、厳密な意味で不明である。また、VTATを指標とする方が、より適切であるとも考えられる。
【0003】
実際に、従来法でも、ビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII 複合体(VTAT)の測定が行われていた。その測定方法では抗アンチトロンビンIII モノクローナル抗体を固相に固定化し、ヒト血漿などの体液試料を接触させることにより得られる固相抗体と結合したVTAT複合体に対し、酵素標識した抗ビトロネクチンモノクローナル抗体を作用させることによって実施されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法ではヒト血漿などの体液試料に共存しているVTATに比べて大過剰(約10万倍)のアンチトロンビンIII の干渉を免れることは不可能であり、実際上、VTATを測定することはできない(特開平2−66458号公報)。また、TATの測定もできない。
従って、本発明の目的は、新規なモノクローナル抗体を提供することにより、アンチトロンビンIII の干渉を受けずに正確にVTATを測定する手段を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ヒトビトロネクチン・ヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体(VTAT)と特異的に反応するが、遊離ヒトトロンビン及び遊離ヒトアンチトロンビンIII(ATIII)と反応せず、遊離ヒトビトロネクチンを感作したELISA用プレートを用いるELISA法において遊離ヒトビトロネクチンと反応せず、更にヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体(TAT)とも反応しないことを特徴とするモノクローナル抗体に関する。更に、本発明は、前記モノクローナル抗体を分泌することを特徴とするハイブリドーマ、及び、前記モノクローナル抗体を用いることを特徴とするビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(VTAT)の免疫学的測定方法にも関する。更にまた、本発明は、前記モノクローナル抗体と共に、ヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体(TAT)と特異的に反応するが、遊離ヒトトロンビン及び遊離ヒトアンチトロンビンIIIと反応しないモノクローナル抗体を用いて、ビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(VTAT)と共に、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)を免疫学的に測定する方法にも関する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の抗VTATモノクローナル抗体は、本発明による新規なハイブリドーマ(好ましくはマウス・ハイブリドーマ)を、それぞれ培地又は哺乳動物(特にはマウス)の腹腔内で培養することによって製造することができる。
本発明によるハイブリドーマは、一般的にはVTATで免疫したマウスの脾臓細胞とマウス骨髄腫細胞とを、Kohler及びMilisteinの細胞融合の基本方法〔Nature,第256巻,495頁(1975年)参照〕により製造することが可能である。詳細には、下記実施例で説明する。
【0007】
また、上記のハイブリドーマを培養する培地としては、ハイブリドーマの培養に適した培地であればよく、好適にはダルベッコ氏変法イーグル氏最小必須培地(Dulbecco’s modified Eeagle’s minimum essential medium 以下、DMEと記す)にウシ胎児血清、L−グルタミン、L−ピルビン酸及び抗生物質(ペニシリンGとストレプトマイシン)を含む培地が用いられる。
【0008】
このようにして製造された培養液又はマウスの腹水から、タンパク質の単離、精製に一般的に用いられる方法により前述の抗VTATモノクローナル抗体を分離、精製することが可能である。
そのような方法としては、硫安塩析、イオン交換セルロースを用いるイオン交換カラムクロマトグラフィー、分子ふるいゲルを用いる分子ふるいカラムクロマトグラフィー、プロテインA結合多糖類を用いる親和性カラムクロマトグラフィー、透析、凍結乾燥などがある。
【0009】
このようにして得られた本発明の抗VTATモノクローナル抗体は、遊離のビトロネクチン、遊離のATIII及び遊離のトロンビンとは結合せず、更にTATとも反応しないで、VTATとだけ結合する能力を有し、VTATの免疫定量用の試薬として有用である。本発明の抗VTATモノクローナル抗体(例えば後述の実施例で得られたVAT−1及びVAT−2)は、酵素免疫定量法(EIA)あるいは発光免疫定量法(LIA)における試薬として使用することができる。酵素免疫定量法の例としては、マイクロタイターあるいはプラスチックチューブを用いるワン・ステップ・サンドイッチ酵素免疫定量法を挙げることができる。この酵素免疫定量法の具体例は、下記実施例7に示す通りであるが、一般的には、VTATの互いに異なった抗原決定基を認識する2種類の抗VTATモノクローナル抗体を用いて行い、まずマイクロタイター・プレートの穴(ウエル)あるいはプラスチックチューブを前もって1種類の抗体(例えばVAT−1)で感作させておき、次に、この穴あるいはプラスチックチューブにVTATを含む被検体及び酵素標識した別種の抗体(例えば、VAT−2)の溶液を入れ、約30分間静置後清浄し、酵素基質溶液を加えて30分間程度酵素反応を行う。反応終了後、比色法などにより、被検体中のVTATの量を定量することにより行うことが可能である。
【0010】
発光免疫定量法(LIA)を利用する場合には、本発明の抗VTATモノクローナル抗体の1種類(例えばVAT−2)をポリスチレンビーズなどの担体に感作させておき、次に、この担体にVTATを含む被検体を接触させ、必要に応じて担体を洗浄した後、発光物質を標識した別種の抗体(例えばVAT−1)の溶液を入れて反応させ、洗浄後、発光物質が発光する条件に雰囲気を調整し、その発光量をルミホトメーターで測定することで被検体中のVTAT量を定量することにより行うことが可能である。発光物質としてはルミノール又はアクリジニウム誘導体などを用いることができる。
【0011】
本発明のモノクローナル抗体をラテックス凝集免疫法に使用する場合には、本発明のモノクローナル抗体を感作したラテックスと被検試料とを接触させ、それに伴う凝集の有無を測定することで、被検体中のVTATを定量することができる。使用するラテックスは特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレンラテックス粒子を用いることができる。
【0012】
本発明の前記モノクローナル抗体と、トロンビン・アンチトロンビンIII 複合体と特異的に反応するが、遊離トロンビン及び遊離アンチトロンビンIII と反応しないモノクローナル抗体とを併用して、VTATと共にTATを免疫学的に測定することもできる。前記の抗TATモノクローナル抗体としては、例えば、特開昭62−138187号公報記載のモノクローナル抗体、特には、AT−1を用いることができる。
【0013】
VTATとTATとを同時に測定する場合にも、前記と同様に酵素免疫定量法、化学発光免疫定量法又はラテックス凝集免疫定量法を利用することができる。
例えばラテックス凝集法の場合には、本発明のVAT−1及び/又はVAT−2と前記のAT−1をそれぞれ単独で別々にラテックス粒子に感作するか、あるいは前記モノクローナル抗体の混合物をラテックス粒子に感作したものを用いて、被検体中のVTATと接触させ、それに伴う凝集の有無を測定すればよい。
また、酵素免疫定量法あるいは発光免疫定量法の場合には、プレートやビーズの担体に本発明のTAT−1及び/又はVAT−2と前記のAT−1を固定化し、本発明の別種のモノクローナル抗体あるいは抗アンチトロンビンIII 抗体(ポリクローナル抗体)を酵素あるいは発光物質で標識したものを用いて前記と同様の操作を行えばよい。
本発明による前記の各種測定法において、被検試料としては VTAT及び場合によりTATを含む可能性のある試料であれば特に限定はされないが、例えば、生体試料、特には血液、血清、血漿などを挙げることができる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
VTAT複合体はE.R.ポダックらの方法〔ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ,第261巻,7387−7392頁(1986)〕により精製した。すなわち、ビトロネクチン800μgとトロンビン400μgとアンチトロンビンIII 800μgを塩化ナトリウム0.9%を含む0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)1ml中に加え、37℃で30分間反応させ、VTAT複合体を調製した。更に、セファアクリル S−300(ファルマー社;スウェーデン)による分子ふるいクロマトグラフィーにより精製し、精製VTAT(A280nm=1.0のVTAT)1mlを得た。このようにして得た精製VTATは、以下の実施例において、免疫原として、また抗VTAT抗体産生性ハイブリドーマを選別するためのELISA用抗原として使用した。
【0015】
実施例2
(a)免疫化した脾臓細胞の調製:
前記実施例1で調製したVTAT免疫原溶液(A280nm=0.1)を等量のフロインド氏完全アジュバンドと乳化するまで混合し、その混合液200μlをマウス腹腔内に投与することにより免疫を行った(第1回免疫)。30日経過後、該マウスに上記と同様の方法でマウス腹腔内に投与した(第2免疫)。第2回免疫から21日経過後、VTAT免疫原溶液(A280nm=0.1)を等量の生理食塩水で希釈し、その希釈液200μlを、該マウスの静脈内に投与した(最終免疫)。最終免疫から3日経過後、脾臓細胞をマウスから取り出し、細胞融合に使用した。
【0016】
(b)細胞融合:
無菌的に摘出した上記の脾臓を、10〜15%ウシ胎児血清を含むDME培地5mlを入れたシャーレに入れた。次に、脾臓を、10〜15%ウシ胎児血清を含むDME培地約15mlで還流して脾細胞を流出させた後、この脾細胞懸濁液をナイロンメッシュに通した。この脾細胞50mlを遠心チューブに集めて遠心(500×g,10分間)した。こうして得たペレットにヘモライジング溶液(155mM−NH4 Cl,10mM−KHCO3 ,1mM−Na2 EDTA,pH7.0)5mlを加え、懸濁させた。0℃で、5〜10分間放置すると懸濁液中の赤血球が破壊された。10〜15%ウシ胎児血清15mlを含むDME培地を加えてから遠心分離した。こうして得られた細胞ペレットをDME培地で遠心法によって洗浄し、生きている脾細胞数を測定した。
【0017】
一方、予め培養しておいたマウス骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)SP2/O−Ag14約2×107 個に上記脾細胞約1×108 個を加え、DME培地中でよく混合し、遠心分離を行った(500×g、10分間)。その上清を吸引し、ペレットをよく解きほぐし、38℃に保温しておいた40%ポリエチレングリコール4000溶液0.5mlを滴下し、遠心チューブを、手で1分間穏やかに回転することによってポリエチレングリコール溶液と細胞ペレットを混合させた。次に、38℃に保温しておいたDME培地を、30秒毎に1ml加えてチューブを穏やかに回転させた。この操作を10回繰り返した後、10〜15%ウシ胎児血清を含むDME培地20mlを加えて、遠心分離(500×g,10分間)を行った。上清を除去した後、細胞ペレットを10〜15%ウシ胎児血清を含むHAT培地(DME培地にアミノプテリン4×10-7M,チミジン1.6×10-5M,ヒポキサンチン1×10-4Mになるように添加したのも)で、遠心法によって2回洗浄後、上記HAT培地40mlに懸濁した。この細胞懸濁液を96ウエル細胞培養プレートの各ウエルに200μlずつ分注し、37℃で、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で培養を開始した。培養中、2〜3日間隔で各ウエルの培地を約100μl除き、新たに上記のHAT培地を100μl加えることによりHAT培地中で増殖するハイブリドーマを選択した。8日目頃から10〜15%ウシ胎児血清を含むHT培地(DME培地にチミジン1.6×10-5M,ヒポキサンチン1×10-4Mになるように添加したもの)に交換し、ハイブリドーマの増殖を観察するとともに、約10日目に、下述のELSIA法により、抗VTAT抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングした。
【0018】
(c)ハイブリドーマの樹立
ハイブリドーマ培養上清中の産生抗体の有無はELSIA法により測定した。96ウエルELSIA用プレート(ImmulonII;日本ダイナテック株式会社)の各ウエルに、前述の精製VTAT溶液(A280nm=0.05,生理食塩水で希釈したもの)を50μlずつ分注し、25℃で2時間放置した。次に、0.05%Tween20(ICI社の登録商標)−生理食塩水で3回洗浄した後、各ウエルに培養上清を50μl加え、25℃で1時間反応させた。
次に、0.05%Tween20−生理食塩水で200倍に希釈したペルオキシダーゼ結合抗マウス抗体(ダコ社;デンマーク)50μlを各ウエルに加えた。反応終了後、0.05%Tween20−生理食塩水で各ウエルを3回洗浄し、0.5mMアミノアンチピリンと10mMフェノールと0.005%過酸化水素水とを含む溶液250μlを各ウエルに加え、25℃で30分間反応させ、各ウエルの490nmにおける吸光度を測定した。その結果、192ウエル中、23ウエルに抗体産生が認められた。
【0019】
上記のELISA法によって認められた培養上清中の抗VTAT抗体が、ビトロネクチン、ATIII 、トロンビン及びTATと反応するか否かを、ビトロネクチン、ATIII 、トロンビン及びTATを感作した96ウエルELISA用プレートを用いて上記と同様の方法で測定した。その結果、VTATと反応した15ウエルの培養上清中、8ウエルの培養上清がTATとATIII とも、5ウエルの培養上清がビトロネクチンとも、反応した。一方、トロンビンとは全く反応しなかった。
ビトロネクチン、ATIII 、トロンビン及びTATとは反応しないで、VTATのみに特異的に反応する2ウエル中のハイブリドーマを24ウエルプレートに移し、10〜15%ウシ胎児血清を含むHT培地で4〜5日間培養した。その後、再度ELISA法によって「抗VTAT特異的抗体」(以下単に抗VTAT抗体という)の産生の有無を確認してから限界希釈法によりクローニングした。限界希釈法は、HT培地でハイブリドーマが5個/mlとなるように希釈した細胞浮遊液を、予め正常BALB/C系マウスの腹腔細胞がウエルあたり2×104 個分注してある96ウエルプレートの各ウエルに100μlずつ分注した。約10日後、ELISA法によって、抗VTAT抗体を産生するハイブリドーマのクローンをスクリーニングした。その結果、各ハイブリドーマにつき、20〜40個の抗体産生クローンが得られた。これらのクローンの中から、増殖性が良好で、抗体分泌能が高く、しかも安定なクローンを選び、前述と同様の方法で再クローン化を行い、「抗VTAT特異的抗体」産生ハイブリドーマVAT−1、及びVAT−2を樹立した。これらのハイブリドーマVAT−1及びVAT−2から分泌される抗体はビトロネクチン・トロンビン複合体(VT)とは反応しなかった。
【0020】
実施例3:モノクローナル抗体の製造
(a)イン・ビトロ法
マウスハイブリドーマVAT−1及びVAT−2を各々15%ウシ胎児血清を含むDME培地中で37℃にて、5%二酸化炭素雰囲気中で72〜96時間培養した。培養物を遠心分離(10000×g,10分)した後、上清に固形の硫酸アンモニウムを50%最終濃度となるように徐々に加えた。混合物を氷冷下30分間撹拌した後、60分間放置し、遠心分離(10000×g,10分)した後、得られた沈渣を少量の10mMリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、1000倍量の10mMリン酸緩衝液に対して透析した。これを、10mMリン酸緩衝液で既に平衡化したDEAE−セルロースのカラムに充填した。モノクローナル抗体の溶出は10mMリン酸緩衝液(pH8.0)と0.2M NaClを含む10mMリン酸緩衝液(pH8.0)の間で濃度勾配法により行った。溶出されたモノクローナル抗体を限外濾過法で濃縮し、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に対して透析した。ウシ血清IgGを除くために、透析物をヤギ抗ウシ血清IgG−セファロース4Bのカラムに通した。次に通過液を0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したプロテインA−セファロース4Bのカラムに充填した。カラムをpH3.5の緩衝液で溶出して、精製した抗VTAT抗体VAT−1の溶液を得た。同様にしてVAT−2の溶液も得た。
【0021】
(b)イン・ビボ法
プリスタン(2,6,1,14−テトラメチルペンタデカン)0.5mlを10から12週齢のBALB/C系マウスの腹腔内に投与した後、14〜20日目のマウス腹腔内にインビトロで増殖させたハイブリドーマVAT−1、又はVAT−2をマウス一匹あたり2×106 細胞となるように接種した。
各ハイブリドーマにつき一匹のマウスから約10〜15mlの腹水が得られた。その抗体濃度は、2〜10mg/mlであった。腹水中のモノクローナル抗体の精製(但し、ヤギ抗ウシ血清IgG−セファロース4Bのカラムを通す操作は除く)は、上記のインビトロ精製法と同様の方法で行った。
【0022】
実施例4:モノクローナル抗体の免疫グロブリンクラス及び特異性の同定
抗VTATモノクローナル抗体VAT−1及びVAT−2の免疫グロブリン・クラス、及び特異性の同定は、各々オクテロニー免疫拡散法、及びエンザイムイムノアッセイ法〔前記実施例2(c)に記載のELISA法と同様の方法〕により行った。
結果を表1並びに図1(VAT−1)及び図2(VAT−2)に示す。図1及び図2において、Tはトロンビン、AはアンチトロンビンIII 、VTはビトロネクチン・トロンビン複合体、TATはトロンビン・アンチトロンビンIII 複合体、そしてVTATはビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII 複合体である。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例5:ラテックススライド凝集免疫定量法
抗VTATモノクローナル抗体によるラテックス(日本合成ゴム社製,0.497μm)の感作は次のような操作で行った。
2種類のモノクローナル抗体VAT−1及びVAT−2の各々の濃度が0.3mg/mlの溶液10mlに、ラテックス濃度が1%(w/v)になるようにラテックスを加え、25℃で1時間激しく撹拌した。次に、牛アルブミン溶液(10mg/ml)を0.2ml添加し、25℃で30分間激しく撹拌した後、遠心分離(20000×g,30分間)を行った。沈渣を水50mlに懸濁し、抗VTATモノクローナル抗体感作ラテックスVTAT・L−1として以下のラテックススライド凝集免疫定量に用いた。次に、モノクローナル抗体VAT−1と特開平62−138187号公報実施例3に記載のTATに特異的に反応するモノクローナル抗体AT−1との組み合わせを用いて上記と同様の方法で感作ラテックスを調製し、VTAT測定用ラテックスVTAT・L−2として以下のラテックススライド凝集免疫定量に用いた。
【0025】
スライド凝集板の各ウエルに感作ラテックス(0.2%)25μlを添加し、次に生理食塩水による2倍希釈列の被検体25μlを加えた。このスライド凝集板を60回転/分で3分間回転させ、各ウエルの凝集の有無を測定した。被検体中のVTATの量は、同時に測定した2倍希釈列の検量用複合体によるラテックス凝集反応の有無から求めた。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
表2において、+は凝集ありを、そして−は凝集なしを各々表している。
【0027】
実施例6:ワン・ステップ・サンドイッチ酵素免疫定量法
抗VTATモノクローナル抗体VAT−2を20mM炭酸緩衝液中に10μg/mlの濃度で含む抗体液と、それとは別に抗VTATモノクローナル抗体VAT−2及び実施例6で用いた抗TATモノクローナル抗体AT−1を20mM炭酸緩衝液中にそれぞれ5μg/mlの濃度で含む抗体液を調製し、それぞれ96ウエル平底型ポリスチレン製マイクロタイター・プレートに、100μlの量で入れて25℃で30分間静置した。そのプレートを、0.05%Tween−20を含む生理食塩水で3回洗浄した。こうして得た抗体感作プレートのウエルに、被検体50μl、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトアンチトロンビンIII 抗体(ラビット,ダコ社:デンマーク)、0.15M−NaCl、及び2%ウシアルブミンを含む20mMリン酸緩衝液(pH8.0)100μlを加えた。25℃で30分間静置後、プレートを、0.05%Tween−20を含む生理食塩水で3回洗浄した。次いで、酵素基質液(10mMフェノール、20mM−4−アミノアンチピリン、及び0.005%過酸化水素を含む液)200μlずつをプレートのそれぞれのウエルに添加した。25℃で30分間反応させた後、各ウエルの490nmにおける吸光度をMP−590型マクロエライザ・ミニリーダー(ダイナテック社製)で測定した被検体中のVTATの量は、同時に測定した検量用複合体の490nmにおける吸光度から描いた検量線から求めた。結果を図3に示す。図3において、Aは本発明のモノクローナル抗体VAT−2と特開昭62−138187号公報の実施例3に記載のTATに特異的なモノクローナル抗体AT−1の2種類を固定化した場合の結果であり、Bは本発明のモノクローナル抗体VAT−2を固定化した場合の結果である。
【0028】
【発明の効果】
本発明の抗VTATモノクローナル抗体を使用すると、前記のように、VTATを感度よく定量することができる。また、本発明の抗VTATモノクローナル抗体と、抗TATモノクローナル抗体とを組み合わせることにより、検体中にビトロネクチンと結合していないTATが存在していた場合でも両者を測定することができ、統合的にトロンビンを把握できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による抗VTATモノクローナル抗体VAT−1のビトロネクチントロンビン、ATIII 、VT、TAT及びVTATとの結合力を、96ウエルマイクロタイター・プレートを用いてエンザイムイムノアッセイ法で測定した結果を表すグラフである。
【図2】本発明による抗VTATモノクローナル抗体VAT−2のビトロネクチントロンビン、ATIII 、VT、TAT及びVTATとの結合力を、96ウエルマイクロタイター・プレートを用いてエンザイムイムノアッセイ法で測定した結果を表すグラフである。
【図3】VTATのサンドイッチEIA法による検量線を示したグラフである。
Claims (5)
- ヒトビトロネクチン・ヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体と特異的に反応するが、遊離ヒトトロンビン、遊離ヒトアンチトロンビンIII、及びヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体と反応せず、遊離ヒトビトロネクチンを感作したELISA用プレートを用いるELISA法において遊離ヒトビトロネクチンと反応しないことを特徴とするモノクローナル抗体。
- ヒトビトロネクチン・ヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体と特異的に反応するが、遊離ヒトトロンビン、遊離ヒトアンチトロンビンIII、及びヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体と反応せず、遊離ヒトビトロネクチンを感作したELISA用プレートを用いるELISA法において遊離ヒトビトロネクチンと反応しないモノクローナル抗体を分泌することを特徴とするハイブリドーマ。
- ヒトビトロネクチン・ヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体と特異的に反応するが、遊離ヒトトロンビン、遊離ヒトアンチトロンビンIII、及びヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体と反応せず、遊離ヒトビトロネクチンを感作したELISA用プレートを用いるELISA法において遊離ヒトビトロネクチンと反応しないモノクローナル抗体を使用することを特徴とするビトロネクチン・トロンビン・アンチトロンビンIII複合体の免疫学的測定方法。
- ヒトトロンビン・ヒトアンチトロンビンIII複合体と特異的に反応するが、遊離ヒトトロンビン及び遊離ヒトアンチトロンビンIIIと反応しないモノクローナル抗体を併用して、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体を同時に定量する請求項3に記載の方法。
- 免疫定量法が、酵素免疫定量法、化学発光免疫定量法又はラテックス凝集免疫定量法である請求項3又は4に記載の方法。
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