JP6613969B2 - 二次電池システム - Google Patents
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Description
本発明は二次電池システムに関し、より特定的には、ニッケル水素二次電池をバッテリとして含む二次電池システムの充放電制御に関する。
近年、ニッケル水素二次電池をバッテリとして含む二次電池システムが広く普及しており、たとえばハイブリッド車両等の電動車両に搭載されている。このような二次電池システムでは多くの場合、バッテリのSOC(State Of Charge)に応じた充放電制御が行なわれるので、SOCを高精度に算出することが望ましい。そして、SOCを高精度に算出するためには、バッテリの満充電容量を高精度に算出することが求められる。たとえば特開2015−40832号公報(特許文献1)は、平均SOCおよび平均電池温度から算出される満充電容量の低下率を用いて現在の満充電容量を算出する蓄電システムを開示する。
一般に、ニッケル水素二次電池の正極活物質層は、ニッケル水酸化物(より具体的にはβ相のオキシ水酸化ニッケル(β−NiOOH))を含む。本発明者は、ニッケル水素二次電池の充放電に伴い、β相のオキシ水酸化ニッケルがγ相のオキシ水酸化ニッケルであるγ−NiOOHに相転移し得る点に着目した。オキシ酸化ニッケルの相転移は満充電容量に影響を与え得るところ(後述)、従来、満充電容量の算出においては相転移が考慮されていないので、満充電容量の算出精度を向上させる余地が存在する。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ニッケル水素二次電池をバッテリとして含む二次電池システムにおいて、満充電容量の算出精度を向上させるための技術を提供することである。
本発明のある局面に従う二次電池システムは、ニッケル水酸化物を活物質層に含む正極を有するバッテリと、制御装置とを備える。制御装置は、バッテリの充放電に起因してニッケル水酸化物がβ相のオキシ水酸化ニッケルからγ相のオキシ水酸化ニッケルに相転移した量をバッテリの充放電履歴から算出し、相転移した量から正極からの活物質層の脱落量を算出し、脱落量からバッテリの満充電容量を算出する。
γ相のオキシ水酸化ニッケルの生成量(相転移した量)は、バッテリの充放電履歴(たとえばバッテリの充放電電流、温度、およびSOC)から算出することが可能である。β相からγ相への相転移が起こるとオキシ水酸化ニッケルが膨張し、正極から脱落する活物質層の量(脱落量)が増加する。そのため、γ相の生成量と脱落量との相関関係(たとえばマップまたは関係式により表される関係)を用いて、γ相の生成量から脱落量を算出することができる。さらに、活物質層の脱落量が増加するに従ってバッテリの満充電容量が低下するため、満充電容量の基準容量(たとえば初期容量)が既知であれば、脱落量から満充電容量を算出することができる。このように、上記構成によれば、オキシ水酸化ニッケルの相転移を考慮して満充電容量を算出することで、満充電容量の算出精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下に説明する実施の形態では、本発明に係る二次電池システムがハイブリッド車両に搭載される構成を例に説明する。しかし、本発明に係る二次電池システムが搭載可能な車両はハイブリッド車両に限定されず、電気自動車または燃料自動車であってもよい。また、本発明に係る二次電池システムの用途は車両用に限定されるものではなく、定置用であってもよい。
<二次電池システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る二次電池システムが搭載されたハイブリッド車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。車両1は、二次電池システム2と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)10,20と、動力分割機構30と、エンジン40と、駆動輪50とを備える。二次電池システム2は、バッテリ100と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)150と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
図1は、本実施の形態に係る二次電池システムが搭載されたハイブリッド車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。車両1は、二次電池システム2と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)10,20と、動力分割機構30と、エンジン40と、駆動輪50とを備える。二次電池システム2は、バッテリ100と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)150と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
モータジェネレータ10,20の各々は三相交流回転電機である。モータジェネレータ10は、動力分割機構30を介してエンジン40のクランク軸に連結される。モータジェネレータ10は、エンジン40を始動させる際にはバッテリ100の電力を用いてエンジン40のクランク軸を回転させる。また、モータジェネレータ10はエンジン40の動力を用いて発電することも可能である。モータジェネレータ10によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリ100に充電される。また、モータジェネレータ10によって発電された交流電力は、モータジェネレータ20に供給される場合もある。
モータジェネレータ20は、バッテリ100からの電力およびモータジェネレータ10により発電された電力のうちの少なくとも一方を用いて駆動軸を回転させる。また、モータジェネレータ20は回生制動によって発電することも可能である。モータジェネレータ20によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリ100に充電される。
動力分割機構30は、たとえば遊星歯車機構であり、エンジン40のクランク軸、モータジェネレータ10の回転軸、および駆動軸の三要素を機械的に連結する。エンジン40は、ガソリンエンジン等の内燃機関であり、ECU300からの制御信号に応じて車両1が走行するための駆動力を発生する。
PCU200は、いずれも図示しないが、インバータと、コンバータとを含む。インバータは、一般的な三相インバータである。コンバータは、昇圧動作時にはバッテリ100から供給された電圧を昇圧してインバータに供給する。コンバータは、降圧動作時にはインバータから供給された電圧を降圧してバッテリ100を充電する。SMR150は、バッテリ100とPCU200とを結ぶ電流経路に電気的に接続される。SMR150がECU300からの制御信号に応じて閉成されている場合、バッテリ100とPCU200との間で電力の授受が行なわれ得る。
バッテリ100は、ニッケル水素二次電池を含み、再充電が可能に構成された直流電源である。バッテリ100は複数の電池セル110を含む。各電池セル110の詳細な構成については図2にて説明する。
バッテリ100には、電圧センサ101と、電流センサ102と、温度センサ103とが設けられる。電圧センサ101は、バッテリ100の電圧VBを検出する。電流センサ102は、バッテリ100に入出力される電流IBを検出する。温度センサ103は、バッテリ100の温度を検出する。各センサは、その検出結果をECU300に出力する。ECU300は、各センサによる検出結果に基づいてバッテリ100のSOC(State Of Charge)を算出する。
ECU300は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、入出力バッファ(図示せず)等とを含んで構成される。ECU300は、各センサから受ける信号、ならびにメモリ302に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両1が所望の状態となるように各機器を制御する。ECU300により実行される主要な制御としてバッテリ100の充放電制御が挙げられるが、この充放電制御については後述する。
図2は、電池セル110の構成を概略的に示す図である。バッテリ100に含まれる各電池セル110の構成は共通であるため、図2では1つの電池セル110のみを代表的に示す。電池セル110は、たとえば角形密閉式のセルであり、ケース120と、ケース120に設けられた安全弁130と、ケース120内に収容された電極体140および電解液(図示せず)とを含む。なお、図2ではケース120の一部を透視して電極体140を示している。
ケース120は、いずれも金属(たとえばニッケルめっき鋼板)からなるケース本体121および蓋体122を含む。ケース120は、蓋体122がケース本体121の開口部上で全周溶接されることにより密閉される。安全弁130は、ケース120内部の圧力が所定値を超えると、ケース120内部のガス(水素ガス等)の一部を外部に排出する。
電極体140は、正極板141と、負極板142と、セパレータ143とを含む。正極板141は袋状のセパレータ143内に挿入されており、セパレータ143内に挿入された正極板141と、負極板142とが交互に積層される。正極板141および負極板142は、図示しない正極端子および負極端子にそれぞれ電気的に接続される。
電極体140の材料としては従来公知の各種材料を用いることができる。一例として、正極板141としては、図示しないが、ニッケル水酸化物(Ni(OH)2またはNiOOH)を含む正極活物質層と、発泡ニッケルなどの活物質支持体とを含む電極板が用いられる。負極板142としては、水素吸蔵合金を含む電極板が用いられる。セパレータ143としては、親水化処理された合成繊維からなる不織布が用いられる。電解液としては、水酸化カリウム(KOH)を含むアルカリ水溶液が用いられる。
<ニッケル水酸化物の相転移>
以上のように構成された二次電池システム2において、正極活物質であるニッケル水酸化物は、以下に説明するように、主にβ相およびγ相のうちのいずれかの結晶構造をとる。
以上のように構成された二次電池システム2において、正極活物質であるニッケル水酸化物は、以下に説明するように、主にβ相およびγ相のうちのいずれかの結晶構造をとる。
図3は、ニッケル水酸化物の結晶構造を説明するための図である。バッテリ100の通常の充放電時におけるニッケル水酸化物の反応は下記式(1)のように表される。充電時にはβ相のオキシ水酸化ニッケル(β−NiOOH)が生成され、放電時にはβ相の水酸化ニッケル(β−Ni(OH)2)が生成されるが、これらのニッケル水酸化物は、いずれもβ相である。
その一方で、バッテリ100の過充電時には、下記式(2)のような反応が起こり得る。すなわち、β相(β−NiOOH)からγ相(γ−NiOOH)へのオキシ水酸化ニッケルの相転移が起こり得る。
一般に、バッテリの過充電状態では電解液の分解反応が副反応として進行し、バッテリ内部の圧力および温度が過度に上昇する可能性がある。そのため、バッテリは、できるだけ過充電状態に至らないよう充放電制御される。しかし、その場合であってもγ相のオキシ水酸化ニッケルが式(2)に従って生成され得る。その原因は、正極板141内に充放電のムラが存在し、局所的な過充電状態が生じ得るためと考えられる(たとえばY.Sato, et al. Journal of the Electrochemical Society, 143(1996), L225参照)。
このように、たとえバッテリ100全体としては過充電状態を回避したとしても局所的な過充電状態が生じ得るため、オキシ水酸化ニッケルのβ相からγ相への相転移(β−NiOOHからγ−NiOOHへの相転移)が起こる可能性がある。しかしながら、従来、満充電容量の算出においては、このような相転移が考慮されていない。
そこで、本実施の形態においては、オキシ水酸化ニッケルの相転移を考慮してバッテリ100の満充電容量Qを算出する構成を採用する。より具体的には、ニッケル水酸化物がβ−NiOOHからγ−NiOOHに相転移した量(以下「γ相生成量」ΔDγとも記載する)をバッテリ100の充放電履歴から算出し、γ相生成量ΔDγから正極板141からの正極活物質層の脱落量ΔMγを算出し、脱落量ΔMγからバッテリ100の満充電容量Qを算出する。オキシ水酸化ニッケルの相転移が起こると満充電容量Qも変化し得る(後述)ので、相転移を考慮することで、満充電容量Qの算出精度を向上させることができるためである。
<満充電容量の算出>
図4は、バッテリ100の満充電容量Qを算出するための処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定周期毎または所定条件が成立する度にメインルーチンから呼び出されて実行される。このフローチャートに含まれる各ステップ(「S」と略す)は、基本的にはECU300によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部または全部がECU300内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
図4は、バッテリ100の満充電容量Qを算出するための処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定周期毎または所定条件が成立する度にメインルーチンから呼び出されて実行される。このフローチャートに含まれる各ステップ(「S」と略す)は、基本的にはECU300によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部または全部がECU300内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
S10において、ECU300は、センサ101〜103からバッテリ100の電圧VB、電流IB、および温度TBを取得する。
S20において、ECU300は、バッテリ100の電圧VB、電流IB、および温度TBからバッテリ100のSOCを算出する。SOCは従来公知の手法を用いて算出可能であるため、説明は繰り返さない。
所定期間におけるγ相生成量(所定期間にβ−NiOOHからγ−NiOOHに相転移したオキシ水酸化ニッケルの重量)ΔDγは、バッテリ100の充放電履歴に応じて定まる。そのため、S30において、ECU300は、バッテリ100の充放電履歴(より具体的には電流IB、温度TBおよびSOC)から所定期間におけるγ相生成量ΔDγを算出する。この算出においては、実験またはシミュレーションにより予め定められた関数f(下記式(3)参照)またはマップ(図5参照)が用いられる。
ΔDγ=f(IB,TB,SOC) ・・・(3)
図5は、バッテリ100の充放電履歴から所定期間におけるγ相生成量ΔDγを算出するためのマップの一例を示す図である。図5において、横軸は電流IBを示し、縦軸はγ相生成量ΔDγを示す。電流IBが所定値を超えると、電流IBが増加するに従ってγ相生成量ΔDγは単調増加する。
図5は、バッテリ100の充放電履歴から所定期間におけるγ相生成量ΔDγを算出するためのマップの一例を示す図である。図5において、横軸は電流IBを示し、縦軸はγ相生成量ΔDγを示す。電流IBが所定値を超えると、電流IBが増加するに従ってγ相生成量ΔDγは単調増加する。
図5に示す例では、図面を簡略化するために電流IBとγ相生成量ΔDγとの相関関係のみが示されているが、より一般的に、電流IB、温度TBおよびSOCのうちの少なくとも1つとγ相生成量ΔDγとの相関関係がマップとして予め取得され、ECU300のメモリ302に記憶される。そして、ECU300(CPU301)は、このマップを参照することで、電流IB、温度TBまたはSOCからγ相生成量ΔDγを算出する。
β−NiOOHからγ−NiOOHへの相転移が起こると、図3に示したように、オキシ水酸化ニッケルの体積が増加する。より詳細には、相転移によりオキシ水酸化ニッケルの結晶構造の格子間隔が増加する。たとえば図3に示した例では、格子間隔が4.7Å(オングストローム)から7Åに増加する。その結果、オキシ水酸化ニッケルが膨張する。
図4に戻り、S40において、ECU300は、所定期間における正極活物質層の体積増加量(オキシ水酸化ニッケルがβ−NiOOHからγ−NiOOHに相転移することで所定期間に増加した正極活物質層の体積)ΔVγを算出する。
図3に示したように、ある条件下において、γ−NiOOHの格子間隔は、β−NiOOHの格子間隔の約1.5倍(=7Å/4.7Å)である(V.Srinivasan, et al., Journal of Solid State Ionics, 4(2000), 367参照)。そのため、β相からγ相への相転移が起こることによる体積増加量ΔVγは、たとえば下記式(4)のように近似的に表すことができる。
ΔVγ=0.5×ΔDγ ・・・(4)
なお、正極活物質層の構造が複雑である場合、あるいは正極活物質層に添加剤が添加されている場合には、式(4)の近似が成立しない可能性がある。そのような場合には、他の比例定数kを用いた算出式(下記式(5)参照)または関数g(下記式(6)参照)を準備したり、マップ(図示せず)を準備したりすることが望ましい。式(4)〜(6)に示す関係式またはマップを用いることにより、S30にて算出したγ相生成量ΔDγから体積増加量ΔVγを算出することができる。
なお、正極活物質層の構造が複雑である場合、あるいは正極活物質層に添加剤が添加されている場合には、式(4)の近似が成立しない可能性がある。そのような場合には、他の比例定数kを用いた算出式(下記式(5)参照)または関数g(下記式(6)参照)を準備したり、マップ(図示せず)を準備したりすることが望ましい。式(4)〜(6)に示す関係式またはマップを用いることにより、S30にて算出したγ相生成量ΔDγから体積増加量ΔVγを算出することができる。
ΔVγ=k×ΔDγ ・・・(5)
ΔVγ=g(ΔDγ) ・・・(6)
図4に戻り、上述のようなオキシ水酸化ニッケルの膨張に伴い、正極活物質層内に応力が生じ、正極活物質層の一部が正極板141から脱落し得る。正極板141から正極活物質層が所定期間内に脱落する重量である脱落量ΔMγは、体積増加量ΔVγに依存する。したがって、S50において、ECU300は、体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出する。体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出する際には、関数h(下記式(7)参照)またはマップ(図6)が予め準備される。
ΔVγ=g(ΔDγ) ・・・(6)
図4に戻り、上述のようなオキシ水酸化ニッケルの膨張に伴い、正極活物質層内に応力が生じ、正極活物質層の一部が正極板141から脱落し得る。正極板141から正極活物質層が所定期間内に脱落する重量である脱落量ΔMγは、体積増加量ΔVγに依存する。したがって、S50において、ECU300は、体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出する。体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出する際には、関数h(下記式(7)参照)またはマップ(図6)が予め準備される。
ΔMγ=h(ΔVγ) ・・・(7)
図6は、体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出するためのマップの一例を示す図である。図6において、横軸は体積増加量ΔVγを示し、縦軸は脱落量ΔMγを示す。体積増加量ΔVγが所定値を超えると、体積増加量ΔVγが増加するに従って脱落量ΔMγは単調増加する。図6に示すようなマップを用いることにより、S40にて算出した体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出することができる。
図6は、体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出するためのマップの一例を示す図である。図6において、横軸は体積増加量ΔVγを示し、縦軸は脱落量ΔMγを示す。体積増加量ΔVγが所定値を超えると、体積増加量ΔVγが増加するに従って脱落量ΔMγは単調増加する。図6に示すようなマップを用いることにより、S40にて算出した体積増加量ΔVγから脱落量ΔMγを算出することができる。
図4に戻り、S60において、ECU300は、所定期間における脱落量ΔMγを過去から現在まで積算することにより積算脱落量Mγ(=ΣΔMγ)を算出する。そして、S70において、ECU300は、S60にて算出した積算脱落量Mγから満充電容量Qを算出する。
図7は、積算脱落量Mγから満充電容量Qを算出するためのマップの一例を示す図である。図7において、横軸は積算脱落量Mγを示し、縦軸は満充電容量Qを示す。また、バッテリ100の初期状態(たとえばバッテリ100の製造直後の状態)における満充電容量をQinitialで示す。図7に示すように、積算脱落量Mγが増加するのに比例して満充電容量Qは減少する。そのため、図7に示すようなマップまたは下記式(8)を用いることにより、S60にて算出した積算脱落量Mγから満充電容量Qを算出することができる。
Q=Qinitial−j×Mγ (j:比例定数) ・・・(8)
図4に戻り、S80において、ECU300は、S70にて算出した満充電容量Qを用いてSOCを再度算出する。言い換えれば、ECU300は、S20にて算出したバッテリ100のSOCを補正する。
図4に戻り、S80において、ECU300は、S70にて算出した満充電容量Qを用いてSOCを再度算出する。言い換えれば、ECU300は、S20にて算出したバッテリ100のSOCを補正する。
以上のように、本実施の形態によれば、オキシ水酸化ニッケルのβ相からγ相への相転移(β−NiOOHからγ−NiOOHへの相転移)を考慮して満充電容量Qが算出される。これにより、相転移を考慮しない場合と比べて、満充電容量Qの算出精度を向上させることができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 二次電池システム、10,20 モータジェネレータ、30 動力分割機構、40 エンジン、50 駆動輪、100 バッテリ、101 電圧センサ、102 電流センサ、103 温度センサ、110 電池セル、120 ケース、121 ケース本体、122 蓋体、130 安全弁、140 電極体、141 正極板、142 負極板、143 セパレータ、300 ECU、301 CPU、302 メモリ。
Claims (1)
- ニッケル水酸化物を活物質層に含む正極を有するバッテリと、
前記バッテリの充放電に起因して前記ニッケル水酸化物がβ相のオキシ水酸化ニッケルからγ相のオキシ水酸化ニッケルに相転移した量を前記バッテリの充放電履歴から算出し、前記相転移した量から前記正極からの前記活物質層の脱落量を算出し、前記脱落量から前記バッテリの満充電容量を算出する制御装置とを備える、二次電池システム。
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