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JP6210778B2 - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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洋二郎 小嶋
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Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙などの記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は、銀塩写真と比較してその画像の堅牢性が低い。特に、記録物が、光、湿度、熱、空気中に存在するオゾンガスなどの環境ガスに長時間さらされた際に、記録物の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題がある。
ブラックの色相を有するインクを用いて記録した画像の褪色は、色材の劣化による色調の変化を伴うことが多い。このような問題に対して、耐オゾン性に優れた構造を有する色材を含有するインクを用いることで、画像の耐オゾン性を向上させることに関する種々の提案がなされている。例えば、会合しやすい分子構造を有する化合物をブラック色材として使用することで、耐オゾン性が向上した画像を記録しうるインクに関する提案がある(特許文献1及び2参照)。
特開2005−139427号公報 国際公開第2012/014954号
特許文献1及び2にも記載されているように、新規な構造を有する色材(染料)については、電子求引性基の導入により酸化電位を高めるとともに、電子移動を抑制することで、酸化されにくいように構造設計することが近年の主流となっている。しかし、このように設計された色材は分極しやすく、会合しやすい。このため、画像の耐オゾン性は向上するものの、会合状態が変化した場合に色調変化が生じやすいといった課題がある。
色材の会合状態の変化は、インクの極性、より具体的にはインク中の水や水溶性有機溶剤などの誘電率の違いによって生ずる。インクジェット記録方法では、所望とする色調を有する画像を記録するために、記録媒体に複数のインクを重ねて付与することが一般的である。しかし、重ねて付与される別のインクに含まれる水溶性有機溶剤が会合しやすい色材に影響を及ぼして色調が変化してしまい、所望とする色調を有する画像を記録することができない場合があった。色調変化は、ニュートラルな色相、つまり、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるa*及びb*が0に近い領域ほど視認されやすい。このため、ブラック色材を含有するインクにおいては重要な課題である。
さらに、画像の耐オゾン性を高めるために会合しやすい構造に設計された色材を含有するインクにおいては、記録ヘッドの吐出口から水などの液体成分が蒸発し、インクが濃縮されると、色材が凝集しやすく、耐固着性が低下するという特有の課題が生じる。
したがって、本発明の目的は、耐オゾン性に優れるとともに、様々な水溶性有機溶剤が存在する環境下における色調変化が抑制され、より均一な色調を有する画像を記録可能であり、耐固着性にも優れるインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、第1の色材及び第2の色材を含有するインクジェット用のインクであって、前記第1の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD1)及び水中での最大吸収波長(λmaxW1)の差Δλmax1(=λmaxD1−λmaxW1)が20.0nm以上であるブラック色材であり、前記第2の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD2)及び水中での最大吸収波長(λmaxW2)の差Δλmax2(=λmaxD2−λmaxW2)が12.0nm以下である色材であり、前記Δλmax1及び前記Δλmax2の和が35.0nm以下であり、前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、下記一般式(VI)で表される化合物、下記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び下記一般式(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、インク中の前記第1の色材の含有量(質量%)及び前記第2の色材の含有量(質量%)の合計が、インク全質量を基準として6.0質量%以下であり、さらに、グリセリンを含有するとともに、以下の条件A及び条件Bの少なくとも一方と、条件Cと、を満足し、かつ、下記第1の水溶性有機溶剤が、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有し、2つの前記ヒドロキシ基の間に存在する主鎖の原子数が4乃至6個の化合物であることを特徴とするインクが提供される。
条件A:LogP値が−1.8以上0.0未満である第1の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上6.0倍以下である。
条件B:LogP値が0.0以上0.9以下である第2の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.0倍以下である。
条件C:インク全質量を基準とした、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上6.0倍以下である。
Figure 0006210778
(前記一般式(II)中、R4及びR5はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、nは1乃至3を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(IV)中、R8はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、前記アルキル基は、アニオン性基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルキル基、又はこれらのうち少なくとも2つを組み合わせた基で置換されていてもよく、nは3又は4を表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(V)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に芳香環又は複素芳香環を表し、R9は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアニリノ基を表し、R10はアミノ基又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、R11は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、lは0乃至4、mは1乃至3、nは1乃至3、l+m+nは1乃至4を表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(VI)中、R12、R13、R14、及びR15はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表し、R17は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアリールオキシ基、又はヒドロキシ基を表し、nは1又は2を表し、n=1のときR18は1乃至3のアニオン性基で置換されたアリール基を表し、n=2のときR18は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(VIII)中、R19はアニオン性基を有する炭素数1乃至4の脂肪族アミン残基を表し、R20はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、前記アルキル基及びアルコキシ基はアニオン性基で置換されていてもよく、nは0又は1を表し、Mは、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、l及びmはそれぞれ独立に1又は2を表す)
本発明によれば、耐オゾン性に優れるとともに、様々な水溶性有機溶剤が存在する環境下における色調変化が抑制され、より均一な色調を有する画像を記録可能であり、耐固着性にも優れるインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。 低極性環境下及び高極性環境下における色材のエネルギー準位を模式的に説明する概念図である。 低極性環境下及び高極性環境下における色材のエネルギー準位を模式的に説明する概念図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用のインクのことを、単に「インク」と記載することがある。なお、本発明においては、各種の物性値は25℃における値とする。
本発明のインクに含有される第1の色材は、分子を会合させやすくすることによって耐オゾン性を向上させた色材である。分子の会合は、一般的にはイオン結合、双極子−双極子相互作用、ファンデルワールス力などの分子間力により生ずる。インクに含有させる色材として利用する場合、インク中での会合力及び凝集抑制のバランスという観点から、双極子−双極子相互作用を利用して分子を会合させることが最も好ましい。双極子−双極子相互作用とは、電気陰性度の異なる複数の原子が結合している場合に、これらの原子間に電荷の偏り(分極)が生じ、その分極により分子同士が静電的に引き寄せられる現象をいう。
分極を生じている色材の基底状態(HOMO)は、周囲に存在する物質の誘電率の影響を受ける場合がある。図3に示すように、例えば、高極性環境下(高誘電率の物質が存在する場合)においては、色材の分極が安定化される。このため、高極性環境下における基底状態(HOMO)のエネルギー準位は、低極性環境下(低誘電率の物質が存在する場合)における基底状態(HOMO)のエネルギー準位と比較して顕著に低下する場合がある。これに対して、このような分極を生じている色材の励起状態(LUMO)は、分極とは逆の方向、つまり、分極を弱める方向に電子が流れるため、分極が小さい状態となる。このため、励起状態(LUMO)のエネルギー準位は、基底状態(HOMO)のエネルギー準位と比較して、周囲に存在する物質の誘電率の影響を受けにくく、高極性環境下と低極性環境下とであまり変わらない。したがって、分子内でこのように分極している第1の色材は、高極性環境下と低極性環境下とでHOMO−LUMOのバンドギャップに差が生じ、色調変化を生ずる。この現象は、ソルバトクロミズムと呼ばれるものである。このような第1の色材をインクに用いた場合、色材の置かれる環境の違い(周囲に存在する物質の誘電率の違い)により、色材の最大吸収波長がシフトし、色調変化が生ずることになる。
本発明者らは、前述の課題を解決すべく検討した結果、様々な水溶性有機溶剤が存在する環境下においても、色調変化が抑制された画像を記録可能なインクの構成を見出した。本発明のインクに用いる第1の色材は、画像の耐オゾン性を高めるために、会合しやすい分子構造を有するブラック色材である。ブラック色材の分子が会合しやすいことを示すひとつの指標として、低極性及び高極性の各環境下における最大吸収波長の差Δλmaxがある程度大きいことが挙げられる。そして、本発明においては、このような第1の色材ととともに、低極性及び高極性の各環境下における最大吸収波長の差Δλmaxが小さい(最大吸収波長があまりシフトしない)、ないしは第1の色材と逆方向にシフトする第2の色材をインクに含有させる。これにより、他のインクと組み合わせて種々の水溶性有機溶剤が存在する環境下となった場合であっても、最大吸収波長のシフトが小さいないしは相殺され、均一な色調が保持された画像を記録可能なインクとすることができる。
具体的には、本発明のインクは、以下の条件を満たす第1の色材及び第2の色材を含有する。第1の色材は、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD1)及び水中での最大吸収波長(λmaxW1)の差Δλmax1(=λmaxD1−λmaxW1)が20.0以上のブラック色材である。また、第2の色材は、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD2)及び水中での最大吸収波長(λmaxW2)の差Δλmax2(=λmaxD2−λmaxW2)が12.0以下の色材である。さらに、Δλmax1及びΔλmax2の和が35.0以下であることを要する。なお、λmaxは、色材のUV−Vis吸収スペクトルにおける可視領域(380〜750nm)の最大吸収波長のことであり、分光光度計を使用して測定することができる。
第1の色材のΔλmax1が20.0未満であると、分子の分極が小さくなるため、会合力が小さく、記録される画像の耐オゾン性が不十分となる。また、第2の色材のΔλmax2が12.0超であると、吸収波長のシフトが第1の色材と同じ方向で、かつ、大きい。このため、他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化を抑制することができない。さらに、Δλmax2が12.0超であると、第1の色材と同様に、第2の色材も分子の分極が大きくなる。このような第2の色材を含有するインクで記録した画像では、記録媒体に含まれるカチオン性成分(アルミナやその水和物、カチオン性樹脂、填料など)に第2の色材が吸着しやすくなる。このため、第2の色材が記録媒体の表面やその近傍に定着しやすくなる。結果として、記録媒体へのさらなるインクの浸透が抑制されるため、インクが記録媒体の表面にあふれた状態、つまりブロンズ現象が生じやすくなる場合がある。また、Δλmax1とΔλmax2の和が35.0超であると、他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化を抑制することができない。他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化をより顕著に抑制するためには、第2の色材のΔλmax2が0.0以下であり、かつ、Δλmax1とΔλmax2の和が20.0以下であることが特に好ましい。
会合状態と非会合状態とが混在する色材においては、その吸収スペクトルに複数の極大吸収波長を有する場合がある。そして、会合状態及び非会合状態をそれぞれに表す極大吸収波長におけるピーク形状(高さ)は、用いる液媒体によって変わる場合がある。本発明における最大吸収波長とは、以下を意味する。すなわち、水中での吸収スペクトルを基準とし、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中における吸収スペクトルの最大吸収波長が変化した場合においても、水中での最大吸収波長由来のピークを最大吸収波長とする。以下、可視領域に2つの吸収極大を持つ色材であって、水中では長波長側に存在するピークの吸光度が最も高く、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中では短波長側に存在するピークの吸光度が最も高くなるものを例に挙げて説明する。本発明においては最も高い吸光度を与える波長のシフトを考慮することが重要であるため、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長は、水中での最大吸収波長由来のピークである、長波長側の極大吸収波長であることとする。
本発明では、水(イオン交換水や脱イオン水が好適である)及び1,2−ヘキサンジオールの20.0質量%水溶液を色材希釈用の液媒体とし、分光光度計を使用して最大吸収波長を測定する。これは、水性のインクジェット用に適したインクに好適に使用可能な溶媒の誘電率の上限と下限を想定している。すなわち、他のインクと重ね合わせて画像を記録する際に、色材が影響を受け得る誘電率(極性)の幅を表すと言える。本発明のインクでは、水中及び1,2−ヘキサンジオールの20.0質量%水溶液中の誘電率の範囲で色調変化を示す色材を特に好適に用いることができる。
第1の色材は、画像の耐オゾン性を高めるために、分子の分極を大きくすることによって会合力を大きくするように設計された構造を有する色材である。会合力が大きい色材を含有するインクにおいては、記録ヘッドの吐出口から水などの液体成分が蒸発し、インクが濃縮されると、色材が凝集しやすく、耐固着性が低下するという特有の課題が生じる。本発明のインクでは、第1の色材に加えて、他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化を抑制するために、特定の色材を併用する必要がある。このように、Δλmax1が大きい第1の色材に加えて、さらに第2の色材を含有するインクの場合、色材が特に凝集しやすくなり、耐固着性が顕著に低下しやすい。したがって、本発明においては、インク中の第1の色材の含有量及び第2の色材の含有量の合計を、6.0質量%以下に抑える必要がある。前記合計が6.0質量%超であると、固着が生じ易く、正常な記録を行うためにはインクジェット記録装置の回復(クリーニング)操作を多数回行う必要があり、耐固着性が不十分となる。
<インク>
以下、本発明のインクを構成する各成分について詳細に説明する。
(第1の色材)
第1の色材は、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD1)及び水中での最大吸収波長(λmaxW1)の差Δλmax1(=λmaxD1−λmaxW1)が20.0以上のブラック色材である。Δλmax1が20.0未満であると、記録される画像の耐オゾン性が不十分となる。また、他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化を十分に抑制するためには、Δλmax1の上限は30.0以下であることが好ましい。
上述の通り、第1の色材は、分子を会合させやすくすることによって耐オゾン性を向上させた色材である。一概には言えないが、カルボニル基や複素芳香環のような非共有電子対を有する化合物や、複数の非共役電子対を有するとともに、それらが共役している化合物は、会合しやすく、Δλmax1が20.0以上となる傾向にある。例えば、複素芳香環は窒素原子や硫黄原子が非共有電子対を有するため、ベンゼン環に比べて電気陰性度が高く、電荷に偏りが生じている。複数の非共有電子対が共役している場合は、それらの非共有電子対が共役を介して移動することで分極が生ずると考えられる。
本発明におけるブラック色材とは、色材を水で20,000から40,000倍(質量基準)に希釈した水溶液について、分光光度計を用いて、視野:2°及び光源:Cの条件で測定されたa*及びb*の絶対値が、それぞれ35以下であるものをいう。
第1の色材の好適な具体例としては、下記一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。一般式(I)で表される化合物は上記の条件を満たすブラック色材である。このため、一般式(I)で表される化合物は耐オゾン性に優れているとともに、化合物の安定性も優れているため特に好ましい。この一般式(I)で表される化合物の具体例は特許文献2に記載がある。なお、置換基の具体例については後述する。
Figure 0006210778
(前記一般式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、アニオン性基で置換されていてもよい、炭素数1乃至4のアルキル基又はアリール基を表し、R3はアリール基を表し、前記アリール基はシアノ基又はアニオン性基で置換されていてもよく、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(第2の色材)
第2の色材は、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD2)及び水中での最大吸収波長(λmaxW2)の差Δλmax2(=λmaxD2−λmaxW2)が12.0以下の色材である。また、第2の色材は、第1の色材による画像の耐オゾン性を損なうことなく、ソルバトクロミズム現象を示す第1の色材を用いることによって生じる色調変化を抑制するために、後述する特定の群より選ばれる色材を用いる必要がある。前記特定の群とは、下記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、下記一般式(III)で表される化合物、C.I.ダイレクトブルー199、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、下記一般式(VI)で表される化合物、下記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び下記一般式(VIII)で表される化合物で構成される。
第2の色材のΔλmax2が12.0超であると、他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化を抑制することができず、また、記録される画像の耐ブロンズ性が不十分となる。また、他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化を十分に抑制するためには、Δλmax2の下限は−15.0以上であることが好ましく、Δλmax2の上限は0.0以下であることがより好ましい。一概には言えないが、分子構造中、発色に寄与する構造部分の近傍にベンゼン環やナフタレン環などのヘテロ原子を有しない芳香環が存在する化合物は、Δλmax2が0.0以下となる傾向にある。なお、Δλmax2が0.0以下の化合物は、図4に示すように、高極性環境下において、励起状態(LUMO)が安定化される化合物である。
第2の色材の色相は特に限定されず、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーなど、どのような色相であってもよい。ブラック色材である第1の色材がわずかながらに有する色味をよりニュートラルなものに整えるために、少なくとも1種のカラー色材を用いることが好ましい。
さらに、第2の色材の具体例である、C.I.ナンバーが付与されている色材としては、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17を挙げることができる。これらはいずれもΔλmax2が12.0以下であることを満たす色材である。
また、ブラック色材の具体例としては、上記のC.I.ナンバーが付与されているブラック色材の他に、下記の構造を有する化合物を挙げることができる。一般式(II)で表される化合物の具体例は特表2002−535432号公報、また、一般式(III)で表される化合物の具体例は特許文献1に記載がある。
Figure 0006210778
(前記一般式(II)中、R4及びR5はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、nは1乃至3を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(III)中、R6及びR7はそれぞれ独立に、アニオン性基で置換されていてもよいアリール基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
また、シアン色材の具体例としては、上記のC.I.ナンバーが付与されているシアン色材の他に、下記の構造を有する化合物を挙げることができる。一般式(IV)で表される化合物の具体例は特開2003−231834号公報、また、一般式(V)で表される化合物の具体例は特開2004−323605号公報、国際公開第2007/091631号、国際公開第2012/050061号に記載がある。
Figure 0006210778
(前記一般式(IV)中、R8はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、前記アルキル基は、アニオン性基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルキル基、又はこれらのうち少なくとも2つを組み合わせた基で置換されていてもよく、nは3又は4を表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(V)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に芳香環又は複素芳香環を表し、R9は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアニリノ基を表し、R10はアミノ基又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、R11は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、lは0乃至4、mは1乃至3、nは1乃至3、l+m+nは1乃至4を表す)
また、マゼンタ色材の具体例としては、上記のC.I.ナンバーが付与されているマゼンタ色材の他に、下記の構造を有する化合物を挙げることができる。一般式(VI)で表される化合物の具体例は特開2006−143989号公報、また、一般式(VII)で表される化合物の具体例は国際公開第2004/104108号、国際公開第2008/066062号に記載がある。
Figure 0006210778
(前記一般式(VI)中、R12、R13、R14、及びR15はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
Figure 0006210778
(前記一般式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表し、R17は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアリールオキシ基、又はヒドロキシ基を表し、nは1又は2を表し、n=1のときR18は1乃至3のアニオン性基で置換されたアリール基を表し、n=2のときR18は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
また、イエロー色材の具体例としては、上記のC.I.ナンバーが付与されているイエロー色材の他に、下記の構造を有する化合物を挙げることができる。一般式(VIII)で表される化合物の具体例は国際公開第2006/001274号、国際公開第2008/053776号に記載がある。
Figure 0006210778
(前記一般式(VIII)中、R19はアニオン性基を有する炭素数1乃至4の脂肪族アミン残基を表し、R20はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、前記アルキル基及びアルコキシ基はアニオン性基で置換されていてもよく、nは0又は1を表し、Mは、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、l及びmはそれぞれ独立に1又は2を表す)
第1の色材及び第2の色材の好適な具体例として挙げた一般式(I)〜(VIII)における置換基の具体例を以下に示す。炭素数1乃至4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などを挙げることができる。炭素数1乃至4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などを挙げることができる。炭素数1乃至4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などを挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基などを挙げることができる。
また、アニオン性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができ、これらのアニオン性基は遊離酸型及び塩型のいずれであってもよい。アニオン性基のカウンターイオン(M)は、各一般式におけるMと同義であり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。アルカリ金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウムなどを挙げることができる。また、有機アンモニウムとしては、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの炭素数1以上4以下のモノ、ジ又はトリアルカノールアミン類などを挙げることができる。
前記第2の色材の中でも、一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、一般式(IV)で表される化合物、一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、一般式(VI)で表される化合物、一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び一般式(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、本発明においては、前述の通り、第2の色材として、Δλmax2が0.0以下であるものを用いることが好ましい。このような第2の色材としては、前記一般式(III)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、前記一般式(VIII)で表される化合物を挙げることができる。なかでも、前記一般式(VIII)で表される化合物は、ブラック色材である第1の色材がわずかながらに有する色味を特にニュートラルなものに整えることができるために、好適である。特に、R19が−NH−CH2CH2−SO3M(Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)である一般式(VIII)で表される化合物が好適である。
(その他の色材)
本発明の効果が損なわれない限り、第1の色材及び第2の色材以外のその他の色材(第3の色材)をさらにインクに含有させてもよい。第3の色材が存在することによって、Δλmaxの和が35.0を超える場合もあり得る。しかし、2種の色材の組み合わせが本発明の要件を満たさない場合に第3の色材を追加する場合と比較して、2種の色材の組み合わせが本発明の要件を満たす場合に第3の色材を追加したほうが、色調変化を明らかに抑制することができる。ただし、1種以上の第3の色材を使用する場合には、その含有量を第1の色材又は第2の色材の含有量以下とすることが好ましく、第2の色材の含有量よりも少なくすることがより好ましい。なお、1種以上の第3の色材を使用する場合には、インク中の色材の含有量の合計を、インク全質量を基準として、1.0質量%以上6.0質量%以下とすることが好ましい。また、インク中の全ての色材についてのΔλmaxの和(Δλmax1+Δλmax2+Δλmax3+…)が35.0以下であることが特に好ましい。なお、Δλmax3は、Δλmax1やΔλmax2と同様にして定義される値である。
(色材の含有量)
本発明のインクは、グレー〜ブラックの色調を有するインクであることが好ましい。本発明におけるグレー〜ブラックの色調とは、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー(有彩色)ではない色調、すなわち無彩色のことを意味し、明度は問わない。つまり、本発明のインクは、ブラックインク(濃インク)やグレーインク(淡インク)、さらには淡グレーインクとすることができる。したがって、インクの色調をグレー〜ブラックに調整するために、インク中の第2の色材の含有量は、ブラック色材である第1の色材の含有量よりも少なくすることが好ましい。より具体的には、インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
インク中の第1の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.9質量%以下であることが好ましい。また、インク中の第2の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.9質量%以下であることが好ましい。インク中の第1の色材の含有量(質量%)及び第2の色材の含有量(質量%)の合計は、インク全質量を基準として、6.0質量%以下であることを要する。含有量の合計が6.0質量%超であると、インクの耐固着性が不十分となる。なお、インク中の第1の色材の含有量(質量%)及び第2の色材の含有量(質量%)の合計は、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。また、本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクであることが好ましい。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。また、水溶性有機溶剤としては、常温(25℃)における蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、さらには10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量は、必要に応じて使用しうる、グリセリン、第1の水溶性有機溶剤、及び第2の水溶性有機溶剤の含有量を含む値である。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、高いレベルのインクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
〔グリセリン〕
本発明のインクは、グリセリンをさらに含有することが好ましい。グリセリンを含有することにより、記録される画像の耐湿性を向上させることができる。グリセリンを含有させることにより画像の耐湿性が向上する理由について説明する。第1の色材は、インクの極性によって色調が変化しやすいという特性を有する。第1の色材を含有するインクによって記録された画像を高湿度の環境下に放置すると、第1の色材と、高極性の物質である大気中の水分とが接触することにより、画像が変色し、耐湿性が低下しやすい。したがって、グリセリンのような高極性の水溶性有機溶剤をインクに含有させておくと、このインクによって記録された画像における第1の色材の色調は、高極性環境下での色調となる。すなわち、グリセリンを含有するインク中での第1の色材の色調は、既に高極性環境下における色調となっているため、高湿度環境下で第1の色材と水分が接触しても、変色の程度が小さい。インク中のグリセリンの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上20.0質量%以下であることがさらに好ましい。
〔第1の水溶性有機溶剤、第2の水溶性有機溶剤〕
本発明のインクは、グリセリンとともに、グリセリンよりも極性が相対的に低い水溶性有機溶剤を、グリセリンの含有量に対する所定の質量比率となるように含有することが好ましい。まず、水溶性有機溶剤の極性を示す指標とするLogP(Log Pow)について説明する。LogPとは、水とオクタノール(1−オクタノール)の分配係数のことをいう。LogPは対象物質の水へのなじみやすさに関連する物性値であり、この値が大きいほど極性は低くなる。LogPは、LogP=Log10o/Cw(Coはオクタノール相中の対象物質の濃度を表し、Cwは水相中の対象物質の濃度を表す)の関係式により算出される。LogPは、JIS Z 7260−107に記載の方法で実験的に求めることもできる。また、商品名「ACD/PhysChem Suite」(ACD/Labs製)などの市販の計算ソフトを利用して求めることもできる。後述する実施例においては、商品名「ACD/PhysChem Suite Version 12.00」(ACD/Labs製)を使用して求めた値を採用した。各種の水溶性有機溶剤のLogP値を表1に示す。
Figure 0006210778
本発明のインクは、以下の条件A及び条件Bの少なくとも一方と、条件Cと、を満足することが、記録される画像の耐湿性及び耐ブロンズ性を特に顕著に向上させることができるために好ましい。
条件A:LogP値が−1.8以上0.0未満である第1の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上6.0倍以下である。
条件B:LogP値が0.0以上0.9以下である第2の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.0倍以下である。
条件C:インク全質量を基準とした、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上6.0倍以下である。
第1の色材及びグリセリンを含有するインクを用いて記録した画像は、前述の通り、耐湿性に優れている。しかし、グリセリンが存在する高極性環境下においては、第1の色材の分極は安定化されるため、分極はより大きくなる。このようなインクを記録媒体に付与して記録した画像においては、記録媒体に含まれるカチオン性成分(アルミナやその水和物、カチオン性樹脂、填料など)に第1の色材が吸着されやすい。また、第1の色材の分極が大きいため、会合が顕著に促進され、第1の色材が記録媒体の表面やその近傍に定着しやすくなる。結果として、記録媒体へのさらなるインクの浸透が抑制されるため、インクが記録媒体の表面にあふれた状態、つまりブロンズ現象が生じやすくなる場合がある。すなわち、第1の色材を含有するインク中にグリセリンが存在する場合、このインクにより記録される画像の耐湿性と耐ブロンズ性は相反する関係にあるので、これらの特性を高いレベルで両立するのは困難であると言える。このような課題に鑑み、本発明者らがさらなる検討を行った結果、上記の条件A及び条件Bの少なくとも一方と、条件Cと、を満足することで、インクの極性が適度に低下することがわかった。さらに、第1の色材の分極と、それに基づく第1の色材の会合が適度に抑制されることで、耐湿性を満足しながら耐ブロンズ性を向上可能であることを見出した。
本発明においては、第1の水溶性有機溶剤が、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有し、これら2つのヒドロキシ基の間に存在する主鎖の原子数が4乃至6個の化合物であることが好ましい。このような化合物を第1の水溶性有機溶剤として用いることで、耐湿性及び耐ブロンズ性を特に高いレベルで得ることができる。前述の通り、第1の色材は、グリセリンが存在する場合のような高極性環境下では分極が大きい状態にある。ここで、第1の水溶性有機溶剤として、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有し、これら2つのヒドロキシ基の間に存在する主鎖の原子数が4乃至6個の化合物を用いると、第1の色材と第1の水溶性有機溶剤とがヒドロキシ基を介して会合する。これにより、第1の色材の分極状態が安定化される。その分極状態が安定化された第1の色材は、前記化合物の存在によって高極性環境下のような色調を保つため、優れた耐湿性を示す。これに加えて、第1の色材と前記化合物との会合により、第1の色材同士の会合が抑制されるため、ブロンズ現象が抑制されると考えられる。
ここで、主鎖とは、ある化合物における最長の炭素鎖(2価以上の原子が複数の炭素間に挟まれていてもよい)を意味し、主鎖の原子数とはヒドロキシ基以外の原子について数えるものとする。ジエチレングリコールを例に挙げて説明すると、主鎖は−C−C−O−C−C−であり、主鎖の原子数は5となる。第1の水溶性有機溶剤の好ましい例である、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有し、これら2つのヒドロキシ基の間に存在する主鎖の原子数が4乃至6個の化合物の具体例としては、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどを挙げることができる。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
(その他のインク)
フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクと、本発明のインクとは別の色相を有するその他のインクとを組み合わせて用いることができる。その他のインクとしては、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、及びブルーインクからなる群より選択される少なくとも一種のインクを挙げることができる。また、これらのインクと実質的に同一の色相を有する、いわゆる淡インクをさらに組み合わせて用いることもできる。その他のインクや淡インクに用いられる色材は、公知の染料であっても、新規に合成された染料であってもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<色材の準備>
(ブラック色材1)
特許文献2の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材1)のリチウム塩とナトリウム塩(80%:20%)の混合物を合成した。
Figure 0006210778
(ブラック色材2)
国際公開第2012/081640号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材2)のリチウム塩とナトリウム塩(80%:20%)の混合物を合成した。
Figure 0006210778
(ブラック色材3)
特表2002−535432号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材3)のナトリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(ブラック色材4)
特許文献1の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材4)のリチウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(シアン色材1)
特開2003−231834号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(シアン色材1)のリチウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(シアン色材2)
特開2004−323605号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(シアン色材2)のナトリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(シアン色材3)
国際公開第2007/091631号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(シアン色材3)のナトリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(マゼンタ色材1)
特開2006−143989号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(マゼンタ色材1)のリチウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(マゼンタ色材2)
国際公開第2008/066062号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(マゼンタ色材2)のナトリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(イエロー色材1)
特開2004−083903号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材1)のカリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(イエロー色材2)
国際公開第2006/082669号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材2)のカリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(イエロー色材3)
国際公開第2006/001274号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材3)のナトリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
(イエロー色材4)
国際公開第2008/053776号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材4)のナトリウム塩を合成した。
Figure 0006210778
<Δλmaxの測定>
各色材について、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD)及び水中での最大吸収波長(λmaxW)の差Δλmax(=λmaxD−λmaxW)を測定した。1,2−ヘキサンジオール20.0%水溶液、又はイオン交換水を用いて、各色材の含有量が0.002〜0.005%となるように希釈し、λmaxD及びλmaxWを測定した。測定条件を以下に示す。そして、測定した値からΔλmax=λmaxD−λmaxWの値を求めた。結果を表2に示す。なお、λmaxの単位は「nm」である。
・分光光度計:自記分光光度計(商品名「U−3300」、日立製作所製)
・測定セル:1cm 石英セル
・サンプリング間隔:0.1nm
・スキャン速度:30nm/min
Figure 0006210778
<インクの調製>
表3−1〜3−5及び表4−1〜4−4の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表3−1〜3−5及び表4−1〜4−4中の「アセチレノールE100」はノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。また、色材に付した括弧内の数値はΔλmaxの値である。表3−1〜3−5及び表4−1〜4−4の下段には、インクの調製に用いた第1の色材及び第2の色材の組み合わせについて、Δλmax1+Δλmax2の値(nm)を示した。また、表4−1〜4−4の下段には、グリセリンの含有量(%)に対する、第1の水溶性有機溶剤の含有量(%)の質量比率を「第1の溶剤/グリセリン」として示した。また、グリセリンの含有量(%)に対する、第2の水溶性有機溶剤の含有量(%)の質量比率を「第2の溶剤/グリセリン」として示した。さらに、グリセリンの含有量(%)に対する、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(%)の質量比率を「特定の溶剤/グリセリン」として示した。
表3−1〜3−5に示した実施例、参考例及び比較例は、極性を異ならせた2種類のインク組成で構成される。インクの極性は、低誘電率の水溶性有機溶剤である1,2−ヘキサンジオールと、高誘電率の水溶性有機溶剤であるグリセリンとを使い分けることにより異ならせた。具体的には、グリセリンを使用する組成(H)とすることでインクの極性を相対的に高くし、1,2−ヘキサンジオールを使用する組成(L)とすることでインクの極性を相対的に低くした。表3−1〜3−5に示した実施例、参考例及び比較例については、組成(H)及び組成(L)を利用して色調を評価し、組成(L)を利用して耐オゾン性を評価した。なお、色調及び耐オゾン性の評価結果を表5に示した。また、表4−1〜4−4に示した実施例、参考例及び比較例は、表3−1〜3−5に示した色材の組み合わせの一部を利用し、インク組成を異ならせたものである。表4−1〜4−4に示した実施例、参考例及び比較例については、耐湿性及び耐ブロンズ性を評価した。耐湿性及び耐ブロンズ性の評価結果を表6に示した。
Figure 0006210778
Figure 0006210778
Figure 0006210778
Figure 0006210778
Figure 0006210778
Figure 0006210778
Figure 0006210778
Figure 0006210778
Figure 0006210778
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP8600」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に22ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。このインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(PT−101;キヤノン製)に、記録デューティが50%及び80%であるベタ画像を記録した記録物を作製した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。画像の測色は、分光光度計(商品名「Spectorolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で、L、a、b、及び光学濃度を測定して行った。なお、L、a及びbは、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるL*、a*及びb*である。
(色調)
表3−1〜3−5に示した実施例、参考例及び比較例の各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像の測色を行った。組成Hでの各値をa1及びb1とし、組成Lでの各値をa2及びb2とした。得られたab値から、ΔC*={(a1−a22+(b1−b221/2を算出し、以下に示す評価基準にしたがって色調を評価した。評価結果を表5に示す。本評価では、他のインクと重ね合わせて画像を記録することを想定して、組成H及び組成Lの各インクで記録したそれぞれの画像からΔC*を求めた。ΔC*が小さい場合、インクの極性が異なる場合であっても、画像の色調の差が小さく、色調変化が抑制されていることを意味する。本発明においては、下記の評価基準でAA及びAを許容できるレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
AA:ΔC*が5未満であった。
A:ΔC*が5以上8未満であった。
B:ΔC*が8以上であった。
C:画像にブロンズが見られた。
(耐オゾン性)
表3−1〜3−5に示した実施例、参考例及び比較例の組成Lの各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験前の光学濃度)。この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmの条件で24時間、オゾン曝露を行った。その後、記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験後の光学濃度)。得られた耐オゾン性試験前の光学濃度及び耐オゾン性試験後の光学濃度から、光学濃度の残存率=(耐オゾン性試験後の光学濃度/耐オゾン性試験前の光学濃度)×100(%)の値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。評価結果を表5に示す。本発明においては、下記の評価基準でAを許容できるレベル、B、C及びDを許容できないレベルとした。
A:光学濃度の残存率が85%以上であった。
B:光学濃度の残存率が80%以上85%未満であった。
C:光学濃度の残存率が50%以上80%未満であった。
D:光学濃度の残存率が50%未満であった。
(耐湿性)
表4−1〜4−4に示した実施例、参考例及び比較例の各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像のL1、a1及びb1を測定した(耐湿性試験前のLab値)。この記録物を温度25℃、相対湿度85%の環境に3日間載置した後、さらに温度23℃、相対湿度55%の環境に24時間載置した。その後、記録物におけるベタ画像のL2、a2及びb2を測定した(耐湿性試験後のLab値)。得られた耐湿性試験前のLab値及び耐湿性試験後のLab値から、ΔE(色差)={(L1−L22+(a1−a22+(b1−b221/2を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐湿性を評価した。評価結果を表6に示す。下記の評価基準でAA、A及びBを許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。
AA:ΔEが2.0未満であった。
A:ΔEが2.0以上2.5未満であった。
B:ΔEが2.5以上4.0未満であった。
C:ΔEが4.0以上であった。
(耐ブロンズ性)
表4−1〜4−4に示した実施例、参考例及び比較例の各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが80%であるベタ画像を目視で確認して、下記の評価基準にしたがって耐ブロンズ性を評価した。評価結果を表6に示す。本発明においては、下記の評価基準でAA、A及びBを許容できるレベル、C及びDを許容できないレベルとした。
AA:ブロンズ現象がみられなかった。
A:角度によっては色変化が若干みられた。
B:角度によってはギラツキが若干みられた。
C:ギラツキがみられた。
D:ギラツキが目立った。
Figure 0006210778
Figure 0006210778
(耐固着性)
実施例13〜44、46〜48、及び参考例45のインクにおける第2の色材の含有量を0.5%から3.5%に増やし、イオン交換水の含有量をそれぞれ3.0%減らした(合計100.0%)以外は同様の組成で、比較例21〜56のインクを調製した。そして、実施例13〜44、46〜48、参考例45、及び比較例21〜56のインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、上記と同様のインクジェット記録装置に搭載した。このインクジェット記録装置を用いて、記録ヘッドの回復操作(クリーニング)を1回行った後、ノズルチェックパターンを記録し、正常に記録が行われていることを確認した。その後、キャリッジが動作している途中で電源ケーブルを引き抜くことにより、記録ヘッドにキャッピングが行われていない状態とした。この状態のまま、インクジェット記録装置を温度30℃、相対湿度10%の条件で14日間放置した。その後、このインクジェット記録装置を用いて、回復操作を行った後、ノズルチェックパターンを記録する、という手順を繰り返した。
得られたノズルチェックパターンを目視で観察し、耐固着性を評価した。その結果、実施例13〜44、46〜48、及び参考例45のインクは1〜3回の回復操作により、全ての吐出口が吐出可能な状態に回復し、ノズルチェックパターンが正常に記録されていた。一方、比較例21〜56のインクを用いた場合、3回の回復操作を行ってもインクの吐出ができない吐出口が多数あり、ノズルチェックパターンを正常に記録できなかった。

Claims (19)

  1. 第1の色材及び第2の色材を含有するインクジェット用のインクであって、
    前記第1の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD1)及び水中での最大吸収波長(λmaxW1)の差Δλmax1(=λmaxD1−λmaxW1)が20.0nm以上であるブラック色材であり、
    前記第2の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD2)及び水中での最大吸収波長(λmaxW2)の差Δλmax2(=λmaxD2−λmaxW2)が12.0nm以下である色材であり、
    前記Δλmax1及び前記Δλmax2の和が35.0nm以下であり、
    前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、下記一般式(VI)で表される化合物、下記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び下記一般式(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    インク中の前記第1の色材の含有量(質量%)及び前記第2の色材の含有量(質量%)の合計が、インク全質量を基準として6.0質量%以下であり、
    さらに、グリセリンを含有するとともに、以下の条件A及び条件Bの少なくとも一方と、条件Cと、を満足し、かつ、下記第1の水溶性有機溶剤が、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有し、2つの前記ヒドロキシ基の間に存在する主鎖の原子数が4乃至6個の化合物であることを特徴とするインク。
    条件A:LogP値が−1.8以上0.0未満である第1の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上6.0倍以下である。
    条件B:LogP値が0.0以上0.9以下である第2の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.0倍以下である。
    条件C:インク全質量を基準とした、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上6.0倍以下である。
    Figure 0006210778
    (前記一般式(II)中、R4及びR5はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、nは1乃至3を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(IV)中、R8はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、前記アルキル基は、アニオン性基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルキル基、又はこれらのうち少なくとも2つを組み合わせた基で置換されていてもよく、nは3又は4を表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(V)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に芳香環又は複素芳香環を表し、R9は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアニリノ基を表し、R10はアミノ基又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、R11は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、lは0乃至4、mは1乃至3、nは1乃至3、l+m+nは1乃至4を表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(VI)中、R12、R13、R14、及びR15はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表し、R17は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアリールオキシ基、又はヒドロキシ基を表し、nは1又は2を表し、n=1のときR18は1乃至3のアニオン性基で置換されたアリール基を表し、n=2のときR18は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(VIII)中、R19はアニオン性基を有する炭素数1乃至4の脂肪族アミン残基を表し、R20はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、前記アルキル基及びアルコキシ基はアニオン性基で置換されていてもよく、nは0又は1を表し、Mは、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、l及びmはそれぞれ独立に1又は2を表す)
  2. 前記第2の色材が、前記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、前記一般式(IV)で表される化合物、前記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、前記一般式(VI)で表される化合物、前記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び前記一般式(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク。
  3. 前記第2の色材が、前記一般式(VIII)で表される化合物である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記一般式(VIII)で表される化合物におけるR19が、−NH−CH2CH2−SO3M(Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)である請求項に記載のインク。
  5. 第1の色材及び第2の色材を含有するインクジェット用のインクであって、
    前記第1の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λ maxD1 )及び水中での最大吸収波長(λ maxW1 )の差Δλ max1 (=λ maxD1 −λ maxW1 )が20.0nm以上であるブラック色材であり、
    前記第2の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λ maxD2 )及び水中での最大吸収波長(λ maxW2 )の差Δλ max2 (=λ maxD2 −λ maxW2 )が12.0nm以下である色材であり、
    前記Δλ max1 及び前記Δλ max2 の和が35.0nm以下であり、
    前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、下記一般式(VI)で表される化合物、下記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.アシッドイエロー23、及びC.I.アシッドイエロー17からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    インク中の前記第1の色材の含有量(質量%)及び前記第2の色材の含有量(質量%)の合計が、インク全質量を基準として6.0質量%以下であることを特徴とするインク。
    Figure 0006210778
    (前記一般式(II)中、R 4 及びR 5 はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、nは1乃至3を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(IV)中、R 8 はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、前記アルキル基は、アニオン性基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルキル基、又はこれらのうち少なくとも2つを組み合わせた基で置換されていてもよく、nは3又は4を表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(V)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に芳香環又は複素芳香環を表し、R 9 は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアニリノ基を表し、R 10 はアミノ基又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、R 11 は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、lは0乃至4、mは1乃至3、nは1乃至3、l+m+nは1乃至4を表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(VI)中、R 12 、R 13 、R 14 、及びR 15 はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
    Figure 0006210778
    (前記一般式(VII)中、R 16 は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表し、R 17 は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアリールオキシ基、又はヒドロキシ基を表し、nは1又は2を表し、n=1のときR 18 は1乃至3のアニオン性基で置換されたアリール基を表し、n=2のときR 18 は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
  6. 前記第2の色材が、前記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、前記一般式(IV)で表される化合物、前記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、前記一般式(VI)で表される化合物、前記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドイエロー23、及びC.I.アシッドイエロー17からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のインク。
  7. さらに、グリセリンを含有する請求項5又は6に記載のインク。
  8. 以下の条件A及び条件Bの少なくとも一方と、条件Cと、を満足する請求項に記載のインク。
    条件A:LogP値が−1.8以上0.0未満である第1の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上6.0倍以下である。
    条件B:LogP値が0.0以上0.9以下である第2の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.0倍以下である。
    条件C:インク全質量を基準とした、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上6.0倍以下である。
  9. 前記第1の水溶性有機溶剤が、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有し、2つの前記ヒドロキシ基の間に存在する主鎖の原子数が4乃至6個の化合物である請求項に記載のインク。
  10. 前記第2の色材のΔλmax2が0.0nm以下であり、かつ、前記Δλmax1及び前記Δλmax2の和が20.0nm以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインク。
  11. 前記第1の水溶性有機溶剤が、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至4、9、及び10のいずれか1項に記載のインク。
  12. 前記第2の水溶性有機溶剤が、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、及びエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至4及び9乃至11のいずれか1項に記載のインク。
  13. 前記第1の色材が、下記一般式(I)で表される化合物である請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインク。
    Figure 0006210778
    (前記一般式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、アニオン性基で置換されていてもよい、炭素数1乃至4のアルキル基又はアリール基を表し、R3はアリール基を表し、前記アリール基はシアノ基又はアニオン性基で置換されていてもよく、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
  14. インク中の前記第1の色材の含有量(質量%)及び前記第2の色材の含有量(質量%)の合計が、インク全質量を基準として1.0質量%以上である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインク。
  15. インク全質量を基準とした、前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下である請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインク。
  16. 前記第1の色材及び前記第2の色材が、いずれも染料である請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインク。
  17. グレー〜ブラックの色調を有する請求項1乃至16のいずれか1項に記載のインク。
  18. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至17のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  19. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至17のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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