JP6827747B2 - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
また、インクジェット記録方法の技術の発展に伴い、長期間の使用に耐えるべく、インクジェット記録装置の耐久性や信頼性を高めるとともに、記録可能枚数を増加させて高い生産性を実現することが要求されるようになっている。
本発明のインクジェット記録方法は、第1インク収容部、第2インク収容部、インク供給チューブ、インク供給チューブを閉塞する機構、及び第2インク収容部と連通する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用する記録方法である。インク供給チューブは、第1インク収容部から第2インク収容部へと水性インクを供給するチューブである。以下、本発明のインクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録装置の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
本発明のインクジェット記録方法では、水性インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する。本発明のインクジェット記録方法においては、水性インクに接触した際に反応や増粘を生じる液体と併用する必要はない。水性インクは、色材、及び温度25℃での比誘電率が34.0以下の第1水溶性有機溶剤を含有する。以下、水性インクの詳細について説明する。
色材としては、顔料や染料を用いることができる。水性インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水性インクは、温度25℃での比誘電率が34.0以下の第1水溶性有機溶剤を含有する。比誘電率が34.0超の水溶性有機溶剤のみを用いると、耐クリープ性が不十分となる。水性インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。
εsol=2ε50%−εwater ・・・(1)
εsol:25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率
ε50%:25℃で固体の水溶性有機溶剤の50質量%水溶液の比誘電率
εwater:水の比誘電率
水性インクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水性インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は、一般的にインク中の含有量もかなり少なく、本発明の効果への影響も小さい。このため、本発明においては、これらの添加剤は「水溶性有機溶剤」に含めず、比誘電率を算出する対象としない。
水性インクの25℃での粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの25℃での静的表面張力は、25mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。また、インクの25℃でのpHは、5以上9以下であることが好ましい。
(顔料分散液1)
水5.5gに濃硫酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で4−アミノフタル酸1.6gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、撹拌して溶液の温度を10℃以下に保持しながら、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム2.2gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100g)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水冷し、110℃のオーブンで乾燥させた。イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換した後、顔料の含有量が10.0%となるように純水を加えて分散させて顔料分散液1を得た。得られた顔料分散液1には、顔料の粒子表面に−C6H3−(COOK)2基が結合した自己分散顔料が含有されていた。
イオン交換水500g、及びカーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100g)15.0gを混合し、回転数15,000rpmで30分間撹拌して、顔料を予備湿潤した。さらにイオン交換水4,485gを加え、高圧ホモジナイザーで分散して分散液を得た。得られた分散液を高圧容器に移して、圧力3.0MPaで加圧しながら、オゾン濃度100ppmのオゾン水を高圧容器内に導入して顔料を酸化処理した。高圧容器から取り出した混合物(液体)に水酸化カリウム水溶液を添加して、液体のpHを10.0に調整した後、顔料の含有量が10.0%となるように適量のイオン交換水を添加して顔料分散液2を得た。得られた顔料分散液2には、顔料の粒子表面に−COOK基が結合した自己分散顔料が含有されていた。
表1−1及び1−2の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表1−1及び1−2中の「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物)の商品名である。表1−1及び1−2の下段には、温度25℃での比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤の含有量(第2水溶性有機溶剤の含有量A(%))を示した。
特開2012−051368号公報に記載された方法に準じて、内径2mm、外径4mmの樹脂製のチューブ1を準備した。また、スチレン系の熱可塑性エラストマー、滑剤、及び軟化剤を用いて形成された、内径2mm、外径4mmのチューブ2〜9を準備した。上述の方法で測定したチューブ1〜9の空気透過量を表2に示す。チューブの空気透過量はチューブ長さL=100mm当たりの値であり、単位は「μL/day」である。
インク及びチューブを表3の左側に示す組み合わせで使用し、以下に示す各項目について評価した。本発明においては、以下に示す評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3の右側に示す。
図1に示す主要部の構成を有するとともに、図2に示す構成のインク供給系を組み込んだインクジェット記録装置を用意した。サブタンク202は、熱可塑性樹脂で形成された筺体に、熱エネルギーを付与してインクを吐出する記録ヘッド203を備えた記録素子基板を貼り合わせた形態とした。メインタンク201とサブタンク202を接続するチューブ(インク供給チューブ104)の長さは700mmとした。そして、第1バルブ206及び第2バルブ207を連動して作動させて、インク供給チューブ104及び気体導入チューブ204を閉塞した後、調製した各インクをメインタンク201から注入し、インク供給系にインクを満たした。
AA:ベタ画像を4,000枚分記録した後のノズルチェックパターンに若干の乱れがあった。
A:ベタ画像を2,000枚分記録した後のノズルチェックパターンに若干の乱れがあった。
B:ベタ画像を1,000枚分記録した後のノズルチェックパターンに若干の乱れがあった。
C:ベタ画像を500枚分記録した後のノズルチェックパターンに顕著な乱れがあった。
圧縮率60%に圧縮したチューブを温度60℃、相対湿度90%の環境下で48時間放置した。圧縮率60%とは、肉厚10mmのチューブを、肉厚が6mmとなるように加圧した状態で固定することを意味する。放置後、圧縮した箇所と圧縮していない箇所をそれぞれ切断した。切断した箇所の断面形状を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがってチューブの耐クリープ性を評価した。
AA:圧縮した箇所と圧縮していない箇所の断面形状が同等であった。
A:圧縮していない箇所と比較すると、圧縮した箇所が若干潰れていた。
B:圧縮していない箇所と比較すると、圧縮した箇所が半分程度潰れていた。
C:圧縮した箇所が潰れたままであった。
Claims (13)
- 第1インク収容部、第2インク収容部、前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと水性インクを供給するチューブ、前記チューブを閉塞する機構、及び前記第2インク収容部と連通する記録ヘッドを備えた、前記第1インク収容部に前記水性インクを注入する際に、前記チューブを閉塞するインクジェット記録装置を使用し、前記水性インクを前記記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記チューブの温度40℃での空気透過量(μL/day)が、10μL/day以上60μL/day以下であり、
前記水性インクが、色材、及び温度25℃での比誘電率が34.0以下の第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記チューブの温度40℃での空気透過量(μL/day)が、20μL/day以上40μL/day以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記チューブの温度40℃での空気透過量(μL/day)が、24μL/day以上36μL/day以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水性インクが、温度25℃での比誘電率が27.0以下の第2水溶性有機溶剤を含有し、
前記第2水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、8.5質量%以上14.5質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。 - 前記チューブが、樹脂で構成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂が、熱可塑性エラストマーである請求項5に記載のインクジェット記録方法。
- 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
- 前記チューブの内径が、1mm以上5mm以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記チューブの肉厚が、0.5mm以上5mm以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第2インク収容部が、熱可塑性樹脂で形成された筺体であり、
前記記録ヘッドを備えた記録素子基板が、他の部材を介在させることなく前記第2インク収容部に直接貼り合わされている請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。 - 前記水性インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記水性インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、3.0質量%以上30.0質量%以下である請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置であって、
第1インク収容部、第2インク収容部、前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと水性インクを供給するチューブ、前記チューブを閉塞する機構、及び前記第2インク収容部と連通する記録ヘッドを備え、
前記チューブの温度40℃での空気透過量(μL/day)が、10μL/day以上60μL/day以下であり、
前記水性インクが、色材、及び温度25℃での比誘電率が34.0以下の第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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