JP6043240B2 - 電子機器用粘着シート - Google Patents
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Description
加工性に優れた基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが挙げられるが、PETフィルム等の緩衝性の小さい基材を用いた場合には、発泡体を用いた場合のような高い耐衝撃接着性を発現させることは難しかった。
以下に本発明を詳述する。
上記アクリル共重合体は、(a)2−エチルヘキシルアクリレート24.7〜58.98重量%、(b)ブチルアクリレート30〜50重量%、(c)メチルアクリレート10〜20重量%、(d)アクリル酸1〜5重量%、及び、(e)水酸基を有する(メタ)アクリレート0.02〜0.3重量%を含有する混合モノマーを共重合して得られる。
なお、分子鎖の架橋構造は、弾性変形を主体として変形するので、衝撃応力を流動変形のエネルギーに変換しにくく、吸収分散しにくい。このため、衝撃応力を弾性エネルギーとして架橋構造の内部にため込み、被着体との界面における応力分散性が低下して、耐衝撃接着性が低下する。これに対して、分子鎖の絡み合い構造は架橋構造とは異なり、塑性変形が可能であり、衝撃応力を流動変形のエネルギーに変換して吸収分散することができる。このため、ある程度の絡み合いの増大は、耐衝撃接着性の向上をもたらすと考えられる。
上記(c)のメチルアクリレートが20重量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)の上昇により上記粘着剤層が硬くなりすぎて、耐衝撃接着性が低下する。
上記(e)水酸基を有する(メタ)アクリレートが0.02重量%未満であると、上記粘着剤層が柔らかくなりすぎて、打ち抜き加工性が低下する。上記(e)水酸基を有する(メタ)アクリレートが0.3重量%を超えると、上記粘着剤層の架橋密度が高くなり、塑性変形性が低下して弾性変形が主体となるため、耐衝撃接着性が低下する。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)が40万未満であると、上記粘着剤層のベタツキが高くなりすぎて、打ち抜き加工性が低下する。上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)が100万を超えると、上記粘着剤層の粘着力が低下し、耐衝撃接着性が低下する。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。具体的には、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、アクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過し、得られた濾液を用いてGPC法によりポリスチレン換算分子量として測定される。GPC法では、例えば、2690 Separations Model(Water社製)等を使用できる。
上記テルペンフェノール樹脂の軟化点が110℃を超えると、上記粘着剤層が硬くなりすぎて、耐衝撃接着性が低下する。
なお、軟化点とは、JIS K2207環球法により測定した軟化点である。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、基材に対する密着安定性に優れるため、イソシアネート系架橋剤が好ましい。上記イソシアネート系架橋剤として、例えば、コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)、コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)、マイテックNY260A(三菱化学社製)等の脂肪族イソシアネート系架橋剤等が挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、上記アクリル共重合体100重量部に対して0.1〜6重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましい。
なお、ゲル分率は、下記のようにして測定される。まず、電子機器用粘着シートを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0) (1)
(W0:基材の重量、W1:浸漬前の試験片の重量、W2:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
本発明の電子機器用粘着シートは、上述のように特定のアクリル共重合体と特定のテルペンフェノール樹脂とを含有し、これらが架橋剤により特定範囲のゲル分率に架橋されている粘着剤層を有することから、発泡体等の緩衝性のある基材ではなく、PETフィルム等の緩衝性の小さい基材を有する場合であっても高い耐衝撃接着性を発現することができ、また、発泡体を用いる必要がないため細かい形状への打ち抜き加工性にも優れる。
また、光透過防止のために黒色印刷された基材、光反射性向上のために白色印刷された基材、金属蒸着された基材等も用いることができる。
また、これらの用途における本発明の電子機器用粘着シートの形状は特に限定されず、長方形等であってもよいが、額縁状が好ましい。
(1)アクリル共重合体の調製
(1−1)沸点重合による共重合
温度計、攪拌機及び冷却管を備えた反応器内に、表に示す所定量の反応溶剤を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、反応器内に、表に示す所定量の重合開始剤を添加後、表に示すモノマーを2時間かけて滴下投入した。滴下完了後、開始時と同量の重合開始剤を追加添加して、更に6時間加熱還流させて重合反応を行い、アクリル共重合体溶液を得た。表中、重合方法欄に記載の「沸点」とは、沸点重合を行ったことを意味する。
(1−2)定温重合による共重合
温度計、攪拌機及び冷却管を備えた反応器内に、表に示す所定量のモノマーと反応溶剤とを加えた後、反応器を60℃に加熱した。続いて、反応器内に、表に示す所定量の重合開始剤を添加して重合反応を開始した。反応中は反応器の温度が60℃で一定となるように、反応器を適宜加熱冷却して調整した。反応を8時間継続させて、アクリル共重合体溶液を得た。表中、重合方法欄に記載の「定温」とは、定温重合を行ったことを意味する。
得られたアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Water社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)、及び、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を求めた。カラムとしてはGPC LF−804(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
得られたアクリル共重合体溶液に、その不揮発分(110℃1時間乾燥)100重量部に対して表に示す所定量のテルペンフェノール樹脂とロジンエステル樹脂とを添加し、酢酸エチルを加えて攪拌し、更に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL45)を表に示す所定量添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤溶液を得た。表中、架橋剤の量は、架橋剤の不揮発分の重量部を示す。使用したテルペンフェノール樹脂とロジンエステル樹脂とを下記に示す。
・テルペンフェノール樹脂 軟化点:80℃(ヤスハラケミカル社製、YSポリスター T80)
・テルペンフェノール樹脂 軟化点:100℃(ヤスハラケミカル社製、YSポリスター T100)
・テルペンフェノール樹脂 軟化点:115℃(ヤスハラケミカル社製、YSポリスター T115)
・テルペンフェノール樹脂 軟化点:150℃(ヤスハラケミカル社製、マイティーエースG150)
・水添ロジンエステル樹脂 軟化点:70℃(荒川化学工業社製、エステルガムH)
・重合ロジンエステル樹脂 軟化点:135℃(荒川化学工業社製、ペンセルD135)
得られた両面粘着シートを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、離型フィルムを剥離除去した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0) (1)
(W0:基材の重量、W1:浸漬前の試験片の重量、W2:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートについて、下記の評価を行った。結果を表1〜5に示す。
得られた両面粘着シートを25mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製し、一方の離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。この試験片をポリカーボネート樹脂板に、その粘着剤層がポリカーボネート樹脂板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片とポリカーボネート樹脂板とを貼り合わせ、その後、23℃で30分静置して試験サンプルを作製した。この試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で90°方向の引張試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。
得られた両面粘着シートをトムソン刃により外寸46×61mm、幅1mmの額縁状に打ち抜き、試験片を作製した。この試験片をトムソン刃から外す際の作業性から、打ち抜き加工性を評価した。
×:試験片が刃から剥がれず、額縁形状を維持して試験片を得ることが困難であった
○:試験片は刃から剥がれにくかったが、額縁形状を維持して試験片を得ることができた
上記(2)で得られた試験片(額縁状)の一方の離型フィルムを剥離除去し、外寸55×65mm、厚み1mmのポリカーボネート板(タキロン社製、以下PC板)にローラーを用いて貼り合わせた。続いて、もう一方の離型フィルムを剥離除去し、中央部に38×50mmの開口部を設けた外寸80×115mm、厚み2mmのPC板に、PC板の開口部の中心と試験片の中心とがほぼ一致するように静かに載せ、上部から5kgの重りを10秒間載せて2つのPC板を貼り合わせ、その後、23℃で24時間静置して接着養生を行って試験サンプルを作製した。この試験サンプルを、開口部を設けたPC板が上面となるように固定治具にセットし、5cmの落下高さから、300gの重りを開口部を通して下面のPC板に落下させて衝撃を加えた。剥がれが認められない場合は落下高さを5cm刻みで上昇させて再度衝撃を加え、剥がれが認められる落下高さの測定を行った。測定は23℃にて行った。
2 電子機器用粘着シート
3 カバーパネル
4 タッチパネルモジュール
5 ディスプレイパネルモジュール
Claims (2)
- アクリル共重合体100重量部と、軟化点が110℃以下のテルペンフェノール樹脂20〜30重量部とを含有する粘着剤層を有し、
前記アクリル共重合体は、
(a)2−エチルヘキシルアクリレート24.7〜58.98重量%、
(b)ブチルアクリレート30〜50重量%、
(c)メチルアクリレート10〜20重量%、
(d)アクリル酸1〜5重量%、及び、
(e)水酸基を有する(メタ)アクリレート0.02〜0.3重量%を含有する混合モノマーを共重合して得られ、重量平均分子量(Mw)が40万〜100万かつ重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が8.0以上であり、
前記粘着剤層は、架橋剤によりゲル分率35〜50%に架橋されている
ことを特徴とする電子機器用粘着シート。 - 基材を有し、前記基材が発泡体ではないことを特徴とする請求項1記載の電子機器用粘着シート。
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