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JP7201397B2 - 粘着付与樹脂、アクリル粘着剤及び粘着テープ - Google Patents

粘着付与樹脂、アクリル粘着剤及び粘着テープ Download PDF

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JP7201397B2 JP2018209832A JP2018209832A JP7201397B2 JP 7201397 B2 JP7201397 B2 JP 7201397B2 JP 2018209832 A JP2018209832 A JP 2018209832A JP 2018209832 A JP2018209832 A JP 2018209832A JP 7201397 B2 JP7201397 B2 JP 7201397B2
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Description

本発明は、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体とともに好適に用いられる粘着付与樹脂に関する。また、本発明は、該粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤及び粘着テープに関する。
従来から、電子機器において部品を固定する際、粘着テープが広く用いられている。具体的には、例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために粘着テープが用いられている。このような電子機器部品の固定に用いられる粘着テープは、例えばアクリル粘着剤を含有する粘着剤層等を有している(例えば、特許文献1~3)。
近年、電子機器の小型化、軽量化及び低コスト化によって、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末等の常に身に着けたり、手元に置いたりするタイプの電子機器が広く普及している。このような携帯型の電子機器は、頻繁に使用され、また、タッチパネル等により素手で操作が行われることから、粘着テープには、頻繁に手が触れる部分に用いられていても皮脂によって劣化しない性能が望まれている。
特開2015-052050号公報 特開2015-021067号公報 特開2015-120876号公報
本発明者らは、アクリル共重合体を含有するアクリル粘着剤について検討した。その結果、本発明者らは、アクリル共重合体にフッ素含有モノマーに由来する構成単位を特定範囲の配合量で含有させることにより、皮脂の主成分であるオレイン酸に対するアクリル粘着剤の耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持できることを見出した。しかしながら、このようなアクリル粘着剤は、通常の粘着力(初期粘着力)が相対的に低い場合があった。また、ポリイミド等の難被着体に対する粘着力が充分でないことがあった。
本発明は、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体とともに好適に用いられ、アクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)及び皮脂への耐性を高めることができる粘着付与樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は、該粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤及び粘着テープを提供することを目的とする。
本発明は、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体とともに用いられる粘着付与樹脂であって、フッ素含有ビニル重合体からなり、前記フッ素含有ビニル重合体は、フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物に由来する構成単位を40重量%以上含有する粘着付与樹脂である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体、特にフッ素含有モノマーに由来する構成単位を特定範囲の配合量で含有するアクリル共重合体とともに用いられる粘着付与樹脂について検討した。
本発明者らは、フッ素含有ビニル重合体からなり、該フッ素含有ビニル重合体がフルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物に由来する構成単位を特定範囲の配合量で含有する粘着付与樹脂を作製した。そして、本発明者らは、このような粘着付与樹脂であれば、アクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)及び皮脂への耐性を高めることができることを見出した。これにより、本発明を完成させるに至った。
本発明の粘着付与樹脂は、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体とともに用いられるものである。本発明の粘着付与樹脂は、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体とともに用いられることで、アクリル粘着剤の流動性及びタック性を高め、粘着力を高めることができる。特に、ポリイミド等の難被着体に対しても、優れた接着力を発揮することができる。本発明の粘着付与樹脂は、特にフッ素含有モノマーに由来する構成単位を含有するアクリル共重合体とともに好適に用いることができる。
本発明の粘着付与樹脂は、フッ素含有ビニル重合体からなる。上記フッ素含有ビニル重合体は、フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物に由来する構成単位を40重量%以上含有する。
このような粘着付与樹脂であれば、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体、特にフッ素含有モノマーに由来する構成単位を特定範囲の配合量で含有するアクリル共重合体とともに好適に用いられ、アクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)及び皮脂への耐性を高めることができる。
上記フルオロアルキル基又はフルオロアリール基は特に限定されないが、容易に入手可能であり、適切な重合反応性を有することから、炭素数が1~10であるフルオロアルキル基又はフルオロアリール基が好ましい。
上記フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物は特に限定されず、例えば、上記フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するとともに、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する化合物を用いることができる。上記フルオロアルキル基を有するビニル化合物として、例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート、4-(トリフルオロメトキシ)スチレン等が挙げられる。上記フルオロアリール基を有するビニル化合物として、例えば、ペンタフルオロスチレン、4-フルオロスチレン、4-(トリフルオロメチル)スチレン等が挙げられる。なかでも、適切な重合反応性を有することから、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロスチレンが好ましい。これらのフルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記フッ素含有ビニル重合体における、上記フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物に由来する構成単位の含有量は、下限が40重量%である。上記含有量が40重量%以上であれば、粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)及び皮脂への耐性が向上する。上記含有量の好ましい下限は45重量%である。
上記フッ素含有ビニル重合体における、上記フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物に由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は70重量%である。上記含有量が70重量%以下であれば、粘着テープを製造する際の溶媒又はアクリル共重合体、特にフッ素含有モノマーに由来する構成単位を特定範囲の配合量で含有するアクリル共重合体に対して粘着付与樹脂が充分に相溶する。上記含有量のより好ましい上限は60重量%である。
上記フッ素含有ビニル重合体は、カルボキシル基を有するビニル化合物に由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記フッ素含有ビニル重合体にカルボキシル基を有するビニル化合物に由来する構成単位を含有させることにより、粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)が更に向上する。
上記カルボキシル基を有するビニル化合物は特に限定されず、例えば、カルボキシル基を有するとともに、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する化合物を用いることができる。上記カルボキシル基を有するビニル化合物として、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
なお、上記フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物と、上記カルボキシル基を有するビニル化合物とは、同一化合物であってもよい。即ち、上記フルオロアルキル基又はフルオロアリール基と、カルボキシル基とが、同一分子内に存在していてもよい。
上記フッ素含有ビニル重合体における、上記カルボキシル基を有するビニル化合物に由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が10重量%である。上記含有量が上記範囲であれば、粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)が更に向上する。上記含有量のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は5重量%である。上記含有量の更に好ましい下限は2重量%、更に好ましい上限は4重量%である。
上記フッ素含有ビニル重合体は、側鎖に環状構造を有するビニル化合物に由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記フッ素含有ビニル重合体が、側鎖に環状構造を有するビニル化合物に由来する構成単位を含有することで、ガラス転移点を比較的高く設定することができ、被着体への粘着性を向上させることができる。即ち、粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)を更に向上させることができる。
上記環状構造は特に限定されず、脂環式骨格であっても芳香環骨格であってもよいが、ガラス転移点をより高く調整しやすいことから、脂環式骨格が好ましい。上記脂環式骨格として、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル等が挙げられる。上記芳香環骨格として、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル等が挙げられる。なかでも、かさ高い構造を有し、粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)を向上させやすいことから、イソボルニルが好ましい。
上記側鎖に環状構造を有するビニル化合物は特に限定されず、例えば、側鎖に上記環状構造を有するとともに、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する化合物を用いることができる。側鎖に上記脂環式骨格を有するビニル化合物として、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。側鎖に上記芳香環骨格を有するビニル化合物として、例えば、フェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、適切な重合反応性を有すること、及び、かさ高い構造を有することで粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)を向上させやすいことから、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの側鎖に環状構造を有するビニル化合物は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記フッ素含有ビニル重合体における、上記側鎖に環状構造を有するビニル化合物に由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限が10重量%である。上記含有量が10重量%以上であれば、粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)が更に向上する。
上記フッ素含有ビニル重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、更に、他の化合物に由来する構成単位を含んでいてもよい。
上記他の化合物は特に限定されず、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、アミノ基含有不飽和化合物、アミド基含有不飽和化合物、アルコキシル基含有不飽和化合物、ニトリル基含有不飽和化合物、マレイミド系化合物、不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
上記アルキル(メタ)アクリレートとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物として、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、β-メチルスチレン、エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸として、例えば、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、桂皮酸、更には、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル等が挙げられる。上記不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルとして、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のモノアルキルエステル等が挙げられる。
上記不飽和酸無水物として、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基含有不飽和化合物として、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシスチレン、p-イソプロペニルフェノール、m-イソプロペニルフェノール、o-イソプロペニルフェノール等が挙げられる。上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとして、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
上記アミノ基含有不飽和化合物として、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アミド基含有不飽和化合物として、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記アルコキシル基含有不飽和化合物として、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ニトリル基含有不飽和化合物として、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
上記マレイミド系化合物として、例えば、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-メチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジエチルフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド等が挙げられる。
上記不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステルとして、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のジアルキルエステルが挙げられる。
上記ビニルエステル化合物として、例えば、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物として、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル-n-ブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
上記フッ素含有ビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されず、アクリル粘着剤の主成分となるアクリル共重合体と比べて低ければよいが、好ましい下限は500、好ましい上限は30000である。上記重量平均分子量が500以上であれば、上記フッ素含有ビニル重合体の合成時にラジカル重合開始剤又は連鎖移動剤を多量に用いる必要がなく、反応の制御が容易となる。上記重量平均分子量が30000以下であれば、アクリル共重合体に対して粘着付与樹脂が充分に相溶し、アクリル共重合体と粘着付与樹脂との相溶性低下による基材又は被着体に対する密着性の低下を抑制できる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は25000である。
なお、重量平均分子量は、重合条件(例えば、重合開始剤の種類又は量、重合温度、モノマー濃度等)によって調整できる。
上記フッ素含有ビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC測定により求めたポリスチレン換算分子量から求めることができる。GPC測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いる。例えばWaters社製、2690 Separations Modelを用いることができる。また、カラムとしてはGPC LF-804(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いる。GPC測定は、測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフに供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件で行う。なお、測定サンプルは、上記フッ素含有ビニル重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって希釈し、希釈液をフィルターで濾過して調製する。
上記フッ素含有ビニル重合体を合成するには、上記構成単位の由来となるモノマーを重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。重合方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。なかでも、合成が簡便であることから、溶液重合が好ましい。
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤として、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
アクリル共重合体と、上記アクリル共重合体100重量部に対して1~50重量部の本発明の粘着付与樹脂とを含有し、上記アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位を30重量%以上含有するアクリル粘着剤もまた、本発明の1つである。
このようなアクリル共重合体と、粘着付与樹脂とを用いることにより、アクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)を損なうことなく、皮脂の主成分であるオレイン酸に対するアクリル粘着剤の耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持することができる。
本発明のアクリル粘着剤は、アクリル共重合体を含有する。上記アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位を30重量%以上含有する。
上記フッ素含有モノマーは特に限定されず、例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、粘着力の調整が容易であることから、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのフッ素含有モノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味する。上記アクリル共重合体のガラス転移点を下げて粘着力を調整しやすいという観点からは、アクリレートが好ましい。
上記アクリル共重合体における上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量は、下限が30重量%である。上記含有量が30重量%以上であれば、フッ素自身の高い撥水撥油性と、フッ素原子の密なパッキングとにより、上記アクリル共重合体の分子鎖内へのオレイン酸の浸入が抑えられる。このため、上記アクリル共重合体のオレイン酸に対する膨潤率が低くなり、アクリル粘着剤の皮脂への耐性が向上する。上記含有量の好ましい下限は40重量%、より好ましい下限は50重量%である。
上記アクリル共重合体における上記フッ素含有モノマーに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は70重量%である。上記含有量が70重量%以下であれば、アクリル粘着剤が固くなり過ぎず、充分なタック性を維持することができ、充分な粘着力を発揮することができる。上記含有量のより好ましい上限は60重量%である。
上記アクリル共重合体は、更に、炭素数6以上のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記炭素数6以上のアルキル基を有するモノマーは特に限定されず、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、好適な粘着力を発揮できることから、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はオクチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの炭素数6以上のアルキル基を有するモノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記アクリル共重合体における上記炭素数6以上のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は、好ましい下限が20重量%、好ましい上限が50重量%である。上記含有量が20重量%以上であれば、アクリル粘着剤が固くなり過ぎず、剥離力が加わった際に変形することができるため、充分な粘着力を発揮することができる。上記含有量が50重量%以下であれば、アクリル粘着剤が柔らかくなり過ぎず、充分な凝集力を維持することができ、充分な粘着力を発揮することができる。上記含有量のより好ましい下限は25重量%、より好ましい上限は45重量%である。
上記アクリル共重合体は、更に、炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記アクリル共重合体に炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を含有させることにより、ポリマー間の絡み合いが増加して、オレイン酸への浸漬前後のアクリル粘着剤の粘着力及び凝集力が向上する。これにより、アクリル粘着剤が剥離しにくくなり、皮脂への耐性が向上する。
上記炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、アクリル粘着剤が固くなり過ぎず、充分なタック性を維持することができ、充分な粘着力を発揮することができること、また、オレイン酸に対する耐性にも優れることから、エチルアクリレート、メチルアクリレートが好ましい。
上記アクリル共重合体における上記炭素数2以下のアルキル基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。上記含有量が上記範囲であることで、上記アクリル共重合体の極性をオレイン酸に対して相対的に高め、オレイン酸に対する親和性を低下させることができる。これにより、アクリル粘着剤へのオレイン酸の浸入が抑えられ、皮脂への耐性が向上する。上記含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は30重量%である。
上記アクリル共重合体は、更に、極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。
上記アクリル共重合体に極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有させることにより、アクリル粘着剤の凝集力を高め、粘着力を高めることができる。
上記極性官能基は、架橋反応等の反応性を有するものであり、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つが好ましい。なかでも、粘着力の向上に寄与できることから、水酸基又はカルボキシル基がより好ましい。
上記水酸基を有するモノマーとして、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。上記エポキシ基を有するモノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの極性官能基を有するモノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記アクリル共重合体における上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は5重量%である。上記含有量が上記範囲であることにより、アクリル粘着剤の凝集力をより高めることができる。また、アクリル粘着剤のゲル分率及び膨潤率を調整しやすくなる。
上記アクリル共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、更に、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、酢酸ビニル等に由来する構成単位を含んでいてもよい。
上記アクリル共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は30万、好ましい上限は150万である。上記アクリル共重合体の重量平均分子量が30万以上であれば、アクリル粘着剤の凝集力が向上し、皮脂への耐性が向上する。上記アクリル共重合体の重量平均分子量が150万以下であれば、アクリル粘着剤と被着体との界面の接着強度が高くなり、アクリル粘着剤の皮脂への耐性が向上する。上記重量平均分子量のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は140万である。
なお、重量平均分子量は、重合条件(例えば、重合開始剤の種類又は量、重合温度、モノマー濃度等)によって調整できる。
上記アクリル共重合体を合成するには、上記構成単位の由来となるアクリルモノマーを重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。重合方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。なかでも、合成が簡便であることから、溶液重合が好ましい。また、特にアクリロニトリルに由来する構成単位の含有量を多くする場合には、エマルジョン重合が好ましい。
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤として、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
本発明のアクリル粘着剤は、上述した本発明の粘着付与樹脂を含有する。
本発明のアクリル粘着剤における本発明の粘着付与樹脂の含有量は、上記アクリル共重合体100重量部に対する下限が1重量部、上限が50重量部である。上記含有量が上記範囲であれば、アクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)を損なうことなく、皮脂の主成分であるオレイン酸に対するアクリル粘着剤の耐性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持することができる。上記含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は45重量部であり、より好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は40重量部である。
本発明のアクリル粘着剤は、架橋剤を含有することが好ましい。
本発明のアクリル粘着剤に架橋剤を添加することにより、上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の極性官能基を架橋し、架橋構造を構築することができる。これにより、アクリル粘着剤のゲル分率及び膨潤率を調整しやすくなる。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、架橋反応後に形成される結合が分極しており、アクリル粘着剤が各種被着体と相互作用しやすく界面接着力が強固になることから、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、イソシアネート系架橋剤がより好ましい。
上記架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が20重量部であり、より好ましい下限が0.05重量部、より好ましい上限が10重量部である。
本発明のアクリル粘着剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
本発明のアクリル粘着剤にシランカップリング剤を添加することにより、アクリル粘着剤と被着体との界面の接着強度を高めることができる。
上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメチルメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記シランカップリング剤の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5重量部である。上記含有量が0.1重量部以上であれば、アクリル粘着剤と被着体との界面の接着強度が高くなり、アクリル粘着剤の皮脂への耐性が向上する。上記含有量が5重量部以下であれば、アクリル粘着剤を剥離した際の糊残りを抑えることができ、アクリル粘着剤を用いて粘着テープとしたときのリワーク性が向上する。上記含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は4重量部であり、更に好ましい下限は1重量部、更に好ましい上限は3重量部である。
本発明のアクリル粘着剤は、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与剤、その他の樹脂等を含有していてもよい。
本発明のアクリル粘着剤は、ゲル分率の好ましい下限が5重量%、好ましい上限が55重量%である。上記ゲル分率が5重量%以上であれば、アクリル粘着剤の凝集力が向上し、皮脂への耐性が向上する。上記ゲル分率が55重量%以下であれば、アクリル粘着剤と被着体との界面の接着強度が高くなり、アクリル粘着剤の皮脂への耐性が向上する。また、アクリル粘着剤が固くなり過ぎず、剥離力が加わった際に変形することができるため、充分な粘着力を発揮することができる。上記ゲル分率のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は50重量%である。
なお、ゲル分率は、例えば、上記架橋剤の含有量の調整、上記アクリル共重合体における架橋反応性官能基の含有量の調整等によって調整できる。
なお、本明細書における「ゲル分率」とは、下記式(1)のように酢酸エチルに浸漬する前のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量に対する、酢酸エチルに浸漬し、乾燥した後のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量の割合を百分率で表した値である。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:酢酸エチル浸漬前のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量、W:酢酸エチル浸漬、乾燥後のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量)
本発明のアクリル粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上、130重量%以下であることが好ましい。上記膨潤率が100重量%以上であれば、オレイン酸への粘着剤成分の溶出がないことを意味しており、アクリル粘着剤の皮脂への耐性が向上する。上記膨潤率が130重量%以下であれば、アクリル粘着剤の皮脂への耐性が向上する。上記膨潤率のより好ましい上限は125重量%であり、更に好ましい上限は120重量%である。
なお、本明細書における「膨潤率」とは、下記式(2)により表される値である。即ち、「膨潤率」とは、オレイン酸に浸漬する前のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量に対する、オレイン酸に浸漬し、乾燥した後のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量の割合を百分率で表した値である。オレイン酸への粘着剤成分の溶出がある場合、膨潤率は100重量%を下回る。
膨潤率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (2)
(W:基材の重量、W:オレイン酸浸漬前のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量、W:オレイン酸浸漬、乾燥後のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープの重量)
少なくとも一方の面に本発明のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープもまた、本発明の1つである。
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。上記粘着剤層の厚みが5μm以上であれば、粘着テープの粘着力が向上する。上記粘着剤層の厚みが100μm以下であれば、粘着テープの加工性が向上する。
本発明の粘着テープは、少なくとも一方の面に上記粘着剤層を有していれば、基材を有するサポートタイプであってもよいし、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。サポートタイプの場合には、基材の片面に上記粘着剤層が形成されていてもよいし、両面に上記粘着剤層が形成されていてもよい。
上記基材は特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム等が挙げられる。また、上記基材として、ポリエチレン発泡体シート、ポリプロピレン発泡体シート等のポリオレフィン発泡体シート、ポリウレタン発泡体シート等も挙げられる。なかでも、PETフィルムが好ましい。また、耐衝撃性の観点からはポリオレフィン発泡体シートが好ましい。
また、上記基材として、光透過防止のために黒色印刷された基材、光反射性向上のために白色印刷された基材、金属蒸着された基材等も用いることができる。
本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されず、例えば、本発明の粘着テープが基材を有する両面粘着テープである場合は以下のような方法が挙げられる。
まず、アクリル共重合体、粘着付与樹脂及び必要に応じて添加剤等に溶剤を加えてアクリル粘着剤aの溶液を作製して、このアクリル粘着剤aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層aを形成する。次に、形成された粘着剤層aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面にアクリル粘着剤bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層aが形成された基材の裏面に、粘着剤層bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた粘着テープを得ることができる。
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた粘着テープを得てもよい。
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、皮脂への耐性に優れているため、人の手が頻繁に触れる電子機器の部品を固定するために特に好ましく用いることができる。具体的には、スマートフォンやタブレット端末等の携帯電子機器のタッチパネル部分を固定したり、カーナビ等の車載電子機器のディスプレイパネル部分を固定したりするのに本発明の粘着テープを好ましく用いることができる。
本発明の粘着テープの形状は特に限定されず、長方形等であってもよいが、上述のようにタッチパネル部分又はディスプレイパネル部分の固定に好適であることから、額縁状が好ましい。また、本発明の粘着テープは、皮脂への耐性に優れ、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持できるため、粘着テープの幅が狭くても好ましく用いることができ、粘着テープの幅が5mm以下の場合に特に好ましく用いることができる。
本発明によれば、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体とともに好適に用いられ、アクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)及び皮脂への耐性を高めることができる粘着付与樹脂を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤及び粘着テープを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(合成例1)
(アクリル共重合体の合成)
反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチルを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。続いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に投入した。続いて、下記式で表される2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(PFHA)50重量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)28.5重量部、メチルアクリレート(MA)18.5重量部、アクリル酸(AAc)3重量部を2時間かけて滴下添加した。滴下終了後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入し、4時間重合反応を行い、アクリル共重合体含有溶液を得た。
Figure 0007201397000001
得られたアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。また、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))を求めた。カラムとしてはGPC LF-804(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
(合成例2~3)
(アクリル共重合体の合成)
使用するモノマーの量を表1に記載のように変更したこと以外は合成例1と同様にして、アクリル共重合体を得た。
Figure 0007201397000002
(合成例4)
(粘着付与樹脂の合成)
反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチルを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。続いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に投入した。続いて、下記式で表される2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA)50重量部、イソボルニルアクリレート(IBOA)47重量部、アクリル酸(AAc)3重量部を2時間かけて滴下添加した。滴下終了後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入し、4時間重合反応を行い、フッ素含有ビニル重合体含有溶液を得た。
Figure 0007201397000003
得られたフッ素含有ビニル重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、フッ素含有ビニル重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。また、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))を求めた。カラムとしてはGPC LF-804(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
(合成例5~20)
(粘着付与樹脂の合成)
重合条件並びに使用するモノマーの種類及び量を表2に記載のように変更したこと以外は合成例4と同様にして、フッ素含有ビニル重合体を得た。
表2中のPFHAとは下記式で表される2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートである。
Figure 0007201397000004
表2中のPFSとは下記式で表されるペンタフルオロスチレンである。
Figure 0007201397000005
表2中のMMAとはメチルメタクリレートであり、2EHAとは2-エチルヘキシルアクリレートであり、PhMAとはフェニルメタクリレートである。
Figure 0007201397000006
(実施例1)
合成例1のアクリル共重合体含有溶液に、アクリル共重合体100重量部に対して、合成例4の粘着付与樹脂を15重量部、架橋剤としてコロネートL(日本ポリウレタン工業社製)を1.00重量部(固体成分比率)加え、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を厚み75μmの離型処理したPETフィルム上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが35μmとなるように塗工した後、110℃で5分間乾燥させて粘着剤層を形成させた。この粘着剤層を、基材となる厚み50μmのコロナ処理したPETフィルムに転着させ、40℃で48時間養生し、両面粘着テープを得た。
得られた両面粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、重量を測定した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:酢酸エチル浸漬前の試験片の重量、W:酢酸エチル浸漬、乾燥後の試験片の重量)
(実施例2~19、比較例1、参考例1~4)
使用するアクリル共重合体及び粘着付与樹脂の種類及び量を表3に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
表3中の粘着付与樹脂「P-100」は、脂肪族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業社製)である。
<評価>
実施例、比較例及び参考例で得られた両面粘着テープについて、下記の評価を行った。結果を表3に示した。
(1)オレイン酸浸漬後の180°引きはがし粘着力(180°ピール試験)
得られた両面粘着テープを5mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製し、片面の離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。この試験片をステンレス板に、その粘着剤層がステンレス板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、試験片とステンレス板とを貼り合わせ、その後、23℃で24時間静置して試験サンプルを作製した。
この試験サンプルをオレイン酸のバスに60℃、湿度90%の条件で24時間浸漬し、取り出した後、付着した液体を軽くふき取り、24時間静置した。その後、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、オレイン酸浸漬後の180°引きはがし粘着力(N/5mm)を測定した。オレイン酸浸漬後の180°引きはがし粘着力(N/5mm)が0.6以上であった場合を◎、0.6未満かつ0.25以上であった場合を〇、0.25未満であった場合を×とした。
(2)ポリイミド粘着力(180°ピール試験)
上記(1)と同様にして作製した試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、ポリイミド粘着力(N/25mm)を測定した。ポリイミド粘着力(N/25mm)が14以上であった場合を〇、14未満であった場合を×とした。
Figure 0007201397000007
本発明によれば、アクリル粘着剤においてアクリル共重合体とともに好適に用いられ、アクリル粘着剤の粘着力(初期粘着力)及び皮脂への耐性を高めることができる粘着付与樹脂を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着付与樹脂を含有するアクリル粘着剤及び粘着テープを提供することができる。

Claims (6)

  1. アクリル共重合体と、フッ素含有ビニル重合体からなる粘着付与樹脂とを含有し、
    前記フッ素含有ビニル重合体は、フルオロアルキル基又はフルオロアリール基を有するビニル化合物に由来する構成単位を40~70重量%、側鎖に環状構造を有するビニル化合物に由来する構成単位を10~57重量%、及び、カルボキシル基を有するビニル化合物に由来する構成単位を0.5~13重量%含有する
    ことを特徴とするアクリル粘着剤
  2. フッ素含有ビニル重合体は、カルボキシル基を有するビニル化合物に由来する構成単位を1~5重量%含有することを特徴とする請求項1記載のアクリル粘着剤
  3. フッ素含有ビニル重合体は、重量平均分子量が500~30000であることを特徴とする請求項1又は2記載のアクリル粘着剤
  4. 記アクリル共重合体100重量部に対して1~50重量部の前記粘着付与樹脂含有し、
    前記アクリル共重合体は、フッ素含有モノマーに由来する構成単位を30重量%以上含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のアクリル粘着剤。
  5. 少なくとも一方の面に請求項1、2、3又は4記載のアクリル粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。
  6. 電子機器の部品を固定するために用いられることを特徴とする請求項記載の粘着テープ。
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