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JP5574215B2 - スパイラル紙管 - Google Patents

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本発明は、マンドレル上での滑り性が良く、詰まりトラブルが発生せず、ウエッブとの接着性が良い巻芯用のスパイラル紙管に関する。
従来から、感熱記録紙、トイレットペーパー、キッチンペーパー、クッキングシートなどのウエッブの巻芯に中空円筒形状をしたスパイラル紙管が用いられている。スパイラル紙管は、マンドレルを芯としてその周りにテープ状の紙基材を重ね合わせながら螺旋状に複数層巻きつける装置(ラングストン装置)によって製造されている。この際、巻きつけられた紙基材はマンドレル上を滑りながら連続的に製造されているので、マンドレルと紙基材の摩擦力が大きいと、詰まりトラブルが発生する。このようなトラブルが発生すると、紙管の製造速度を下げる必要が生じるので、パラフィンワックスなどの滑り剤を使用するなどして対処している。
また、製造されたスパイラル紙管にウエッブを巻きつける際には、接着剤が付与され、ウエッブの端部を紙管に固定し、巻きつけていく。その際、接着剤の使用量を極力少なくすることがコスト面から要求されている。
上記の問題を解決しようとした提案としては次のものがある。
特許文献1では、滑り性が良く熱劣化を生じない再生セルロースを紙にラミネートした帯状シートを、紙管の内側に設けるという提案がある。
ところが、特許文献1に記載の考案は、ラミネート加工が必要であり、生産工程が複雑になる。また、再生セルロースをラミネートしているので、紙としてのリサイクルが難しくなるという問題がある。
実開平7−12230号公報
本発明は、上記事情に鑑み、マンドレル上での滑り性が良く、詰まりトラブルが発生せず、ウエッブとの接着性が良い巻芯用のスパイラル紙管を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成とする。
(1)紙基材が部分的に重ね合わせながら接着され螺旋状に複数層巻きつけられたスパイラル紙管であって、紙管の内層の紙基材が片艶紙であり、該片艶紙の艶面が内周面となるように構成され、かつ、前記紙管の外層の紙基材が片艶紙であり、該片艶紙の反艶面が外周面となるように構成されたことを特徴とすスパイラル紙管。
(2)前記片艶紙は、艶面のベック平滑度が30〜60秒、反艶面のベック平滑度が5〜15秒、密度が0.70〜0.85g/cmとされたことを特徴とする(1)に記載のスパイラル紙管。
本発明によれば、マンドレル上での滑り性が良く、詰まりトラブルが発生しないので生産性が良く、ウエッブとの接着性が良好な巻芯用のスパイラル紙管を提供することができる。
本発明によるスパイラル紙管の一例を模式的に示した斜視図である。 図1の記号Aで示す部分を拡大した拡大図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明のスパイラル紙管に使用される紙基材の片艶紙について説明する。
片艶紙は、乾燥工程で湿紙が樹脂性のロールにより、フェルトを介して金属製のヤンキードライヤーに圧接され、ヤンキードライヤーに接する面(艶面という)に光沢が付与されており、表と裏(反艶面という)の平滑度や光沢度に差がある紙である。
片艶紙の原料パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、広葉樹クラフトパルプ(LKP)等の化学パルプを使用する。全パルプ原料のうち、針葉樹クラフトパルプを40〜80質量%含有すると紙管の強度を高くすることができる。
化学パルプのほかに、古紙脱墨パルプ(DIP)を使用することができる。さらに、例えば、ストーングラウンドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプから適宜選択して使用することができる。
片艶紙の製造に際し、一般的に使用されている硫酸バンドなどのpH調整剤、サイズ剤、紙力増強剤などを添加することができる。サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸などのサイズ剤が使用できる。紙力増強剤としてはカチオン澱粉、酸化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、スチレンマレイン酸系共重合体などの乾燥紙力増強剤やポリアミドエピクロロヒドリンなどの湿潤紙力増強剤が使用できる。その他、必要に応じ、染料、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤等の添加剤を使用することができる。
また、艶面に表面処理剤を0.2〜2.0g/m塗布するのが好ましい。表面処理剤を塗布することで密度が向上し、後述する紙管にウエッブの端部を固定するために使用する接着剤の使用量を低減することができる。表面処理剤としては、カチオン澱粉、酸化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体などの樹脂が使用できる。薬品の定着が良好なことからカチオン性の表面処理剤を使用するのが好ましく、カチオン澱粉がより好ましい。さらに、カレンダー装置により片艶紙を平滑化処理することもできる。カレンダー装置としては、チルドカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダーなどの一般に使用されているカレンダー装置が使用できる。
本発明の紙管に使用する片艶紙の密度は0.70〜0.85g/cmとするのが好ましい。0.70g/cmより低いと、紙管にウエッブの端部を固定するために使用する接着剤の吸収が多くなり、接着剤を必要以上に浪費してしまう。0.85g/cmより高いと接着剤の吸収が少な過ぎて、接着性が悪くなる。
片艶紙の製造においては、紙管製造時に紙管にウエッブの端部を固定するために使用する接着剤の吸収性を調整するため、サイズ剤の添加量により吸水性を調整する。片艶紙の吸水性は2分コッブサイズ度(JISP8140:1998)で10〜50g/mであることが好ましい。10g/mより低いと、接着剤の浸透が少ないので接着が悪くなり、50g/mより高いと接着剤を吸収し過ぎるので、接着剤の使用量が多くなるという問題がある。
片艶紙の坪量は特に限定されないが、50〜180g/m程度であり、求められる紙管の強度や厚みによって設定される。
片艶紙の反艶面のベック平滑度(JISP8119:1998)は5〜15秒とする。反艶面のベック平滑度が5秒より低いと、表面強度が低くなるので、紙管製造時に片艶紙を走行させるロールなどに付着する紙粉が多くなる。15秒より高いと、片艶紙の密度が高くなるので、ウエッブと紙管を接着する際に接着剤の浸透が少なくなり、接着が悪くなるおそれがある。
片艶紙の艶面のベック平滑度は30〜60秒程度である。艶面のベック平滑度が30秒より低いと、マンドレルとの摩擦力が大きくなり、詰まりトラブルの発生が多くなる。60秒より高いと、反艶面のベック平滑度が高くなり、ウエッブと紙管を接着する際に接着剤の浸透が少なくなり、接着が悪くなるおそれがある。ベック平滑度は原料のパルプの種類や配合率、フリーネス、カレンダーでの平滑化処理の程度などにより調節することができる。
以上のようにして、本発明のスパイラル紙管に使用する紙基材が得られる。
次に、本発明のスパイラル紙管の製造について説明する。
スパイラル紙管は、マンドレルを芯としてその周りにテープ状の紙基材を部分的に重ね合わせながら螺旋状に巻きつける装置(ラングストン装置)によって製造される。その際、本発明のスパイラル紙管は、紙管の内層の紙基材を前述した片艶紙とする。重ね合わせる紙基材は何層でもよく、片艶紙以外の紙基材としては紙管原紙、両更晒クラフト紙(日本製紙連合会 紙・板紙の品種分類表参照)などが使用できる。
ここで、内層を構成する片艶紙の艶面が紙管の内周面とされる。このような構成にすることで、マンドレル上での滑り性を良くして、詰まりトラブルを防止することができる。片艶紙の艶面は反艶面よりも平滑度が高く、紙管原紙や両更晒クラフト紙と比べても平滑度が高いので、マンドレルとの摩擦力が小さくなり、詰まりトラブルを回避することができるためである。
紙管にウエッブを巻き始める際には接着剤が付与されるが、ウエッブが確実に紙管に接着していなかったり、部分的に接着した状態であるとウエッブに裂けを生じたり、巻き不良が生じる。また、接着剤の付着量が過剰になると、接着剤が紙管際のウエッブ数枚に浸透し、その部分のウエッブが使用できなくなるという不具合が生じる。よって、必要な接着性を確保しながら接着剤の付着量をできるだけ少なくするのが望ましい。
本発明の紙管の外周面は反艶面とされている。前述したように片艶紙は両更晒クラフト紙より密度が高いので、塗布する接着剤の浸透が抑えられる。また、片艶紙の反艶面は平滑度が低いので、接着剤のアンカー効果による接着力が強くなることから、接着剤の使用量を低減させながら十分な接着性を得ることができる。
紙管にウエッブを巻き始める際に付与される接着剤としては、水溶性バインダー、ラテックス系バインダーなどが使用できる。水溶性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、アルブミン、カゼインなどのプロテイン類、穀物澱粉、α化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース類などのセルロース類、寒天、アルギン酸、アラビアゴムなどの水溶性天然高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、マレイン酸共重合体などの水溶性合成高分子化合物がある。ラテックス系バインダーとしては、スチレンブタジエンラテックス、アクリロニトリル・ブタジエンラテックス、アクリル酸エステル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、塩化ビニリデン系ラテックス、メチルメタクリレート・ブタジエンラテックス及びこれらのカルボキシ変性ラテックスなどが挙げられる。
これらの水溶性バインダーのうち澱粉類は、紙管を古紙としてリサイクルする際に水に溶解しやすく、好ましく使用される。
このようにして製造時に詰まりトラブルの発生がなく、巻き始めのウエッブとの接着性が良好な巻芯用のスパイラル紙管を得ることができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明する。なお、薬品添加量は絶乾パルプ原料100質量%に対する固形分換算値である。
(片艶紙の製造)
針葉樹晒クラフトパルプ(600mlCSF)60質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(450mlCSF)40質量%をパルプ原料として使用し、酸性ロジンサイズ剤を0.3質量%添加し、硫酸バンドでpHを5.0に調整し、ポリアクリルアミド系紙力増強剤を0.08質量%添加して、坪量140g/mと160g/mの2種類の片艶紙を製造した。なお、表面処理剤として艶面にカチオン澱粉を0.6g/mの塗布量でスプレー塗布している。得られた片艶紙のベック平滑度と密度は以下のとおりであった。
坪量140g/m(ベック平滑度 艶面46秒、反艶面10秒、密度0.81g/cm
坪量160g/m(ベック平滑度 艶面43秒、反艶面8秒、密度0.80g/cm
(実施例1)坪量160g/mの片艶紙を内層と外層に使用し、紙管の内周面が艶面に、紙管の外周面が反艶面になるように貼合わせ、2層構造のスパイラル紙管を製造した。
(実施例2)坪量140g/mの片艶紙を内層と外層に使用し、紙管の内周面が艶面に、紙管の外周面が反艶面になるように貼合わせ、2層構造のスパイラル紙管を製造した。
(実施例3)坪量140g/mの片艶紙を内層と外層に使用し、紙管の内周面が艶面に、紙管の外周面が反艶面になるように貼合わせ、中間層に坪量140g/mの両更晒クラフト紙(ベック平滑度 表27秒、裏25秒、密度0.67g/cm)を使用し、3層構造のスパイラル紙管を製造した。
(比較例1)坪量160g/mの片艶紙を内層と外層に使用し、紙管の内周面が反艶面に、紙管の外周面が艶面になるように貼合わせ、2層構造のスパイラル紙管を製造した。
(比較例2)坪量160g/mの両更晒クラフト紙(ベック平滑度 表25秒、裏24秒、密度0.65g/cm)を内層と外層に使用し、紙管の内周面が両更晒クラフト紙の裏面に、紙管の外周面が両更晒クラフト紙の表面になるように貼り合わせ、2層構造のスパイラル紙管を製造した。
(比較例3)坪量160g/mの両更晒クラフト紙を内層に使用し、坪量160g/mの片艶紙を外層に使用して、紙管の内周面が両更晒クラフト紙の裏面に、紙管の外周面が片艶紙の反艶面になるように貼合わせ、2層構造のスパイラル紙管を製造した。
実施例1〜3、比較例1〜3で製造したスパイラル紙管を用いて、トイレットペーパーロールを製造した。トイレットペーパーと紙管との接着剤としては、穀物澱粉系接着剤を使用した。
実施例、比較例の紙基材の構成と、紙管とマンドレルの摩擦による詰まりトラブルの評価、トイレットペーパーロールを製造したときの紙管とトイレットペーパーの接着性を評価した結果を表1にまとめた。
(紙管とマンドレルの摩擦による詰まりトラブルの発生有無)
○発生しない、△発生したが速度を下げることにより調整可能、×多発
(接着性の評価)
接着剤の付着量を、トイレットペーパーロールに裂けや巻き不良が発生しないように、しかも、紙管際のトイレットペーパー3枚以上に接着剤が浸透しないように調整した。そして2万個のトイレットペーパーロールを生産した後の接着剤の給液量を計測し、○少ない、×多い の2段階で評価した。
Figure 0005574215
表1に示したように、本発明の実施例では、マンドレルとの摩擦による詰まりトラブルの発生がなく、ウエッブと接着する際の接着剤使用量が少なく接着性が良好なスパイラル紙管が得られている。
一方、比較例1は内層と外層は片艶紙であるが、内周面が反艶面であり、詰まりトラブルが発生している。また、外周面が艶面であり、接着剤の使用量が多くなっている。比較例2は内層と外層に両更晒クラフト紙を使用したものであるが、詰まりトラブルの傾向があり、接着剤使用量が多く、紙管として適していないことがわかる。比較例3は内層に両更晒クラフト紙、外層に片艶紙を使用したものであるが、外周面に片艶紙の反艶面を使用しているので接着剤使用量は少なくなっているが、詰まりトラブルの傾向があった。
本発明のスパイラル紙管は、感熱記録紙、トイレットペーパー、キッチンペーパー、クッキングシートなどのウエッブの巻芯として好適に使用できる。
1 スパイラル紙管
2 外層(片艶紙)
3 中間層
4 内層(片艶紙)
5 内周面(艶面)
6 外周面(反艶面)

Claims (2)

  1. 紙基材が部分的に重ね合わせながら接着され螺旋状に複数層巻きつけられたスパイラル紙管であって、紙管の内層の紙基材が片艶紙であり、該片艶紙の艶面が内周面となるように構成され、かつ、前記紙管の外層の紙基材が片艶紙であり、該片艶紙の反艶面が外周面となるように構成されたことを特徴とすスパイラル紙管。
  2. 前記片艶紙は、艶面のベック平滑度が30〜60秒、反艶面のベック平滑度が5〜15秒、密度が0.70〜0.85g/cmとされたことを特徴とする請求項に記載のスパイラル紙管。
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