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JP5371795B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

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JP5371795B2 JP2010002588A JP2010002588A JP5371795B2 JP 5371795 B2 JP5371795 B2 JP 5371795B2 JP 2010002588 A JP2010002588 A JP 2010002588A JP 2010002588 A JP2010002588 A JP 2010002588A JP 5371795 B2 JP5371795 B2 JP 5371795B2
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Description

本発明は、油圧機器における油圧供給源として用いられる可変容量型ベーンポンプに関する。
従来から、ロータに対するカムリングの偏心量を変えることによって、作動油の吐出流量を変化させる可変容量型ベーンポンプが知られている。
特許文献1には、カムリングを移動させるために、カムリング外周側に形成された第一流体圧室及び第二流体圧室と、吐出通路に設けられたオリフィスの前後差圧に応じて移動するスプールによって第一及び第二流体圧室への供給流体圧を制御する制御バルブとを備える可変容量型ベーンポンプが開示されている。
特開平8−200239号公報
しかしながら、特許文献1に記載の可変容量型ベーンポンプでは、カムリングの移動に伴ってカムリングがサイドプレートに形成された吐出ポートに干渉するように構成されているため、カムリングの移動に応じて吐出ポートの開口面積が変化し、吐出ポートから吐出通路に流れ込む作動油の流れ方(流れ方向)が変化する。これにより吐出通路に設けられたオリフィスへの作動油の流入の仕方も変わり、作動油の流入状態に応じてオリフィスの前後差圧が変動する。そのため制御バルブの動作も変動し、カムリング移動時においてベーンポンプから吐出される作動油の吐出流量が所望の値からずれるという問題がある。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、吐出流量の制御性を改善可能な可変容量型ベーンポンプを提供することを目的とする。
本発明は、駆動軸に連結されたロータと、前記ロータに対して径方向に往復動可能に設けられる複数のベーンと、前記ロータを収容するとともに、前記ロータの回転に伴って内周のカム面に前記ベーンの先端部が摺動し、前記ロータの中心に対して偏心可能なカムリングと、前記ロータと前記カムリングとの間に画成されたポンプ室と、を備え、前記ロータに対する前記カムリングの偏心量が変化することによって前記ポンプ室の吐出容量が変化する可変容量型ベーンポンプにおいて、前記カムリングの外周の収容空間内に画成され、互いの圧力差によって前記ロータに対して前記カムリングを偏心させる第一流体圧室及び第二流体圧室と、前記ポンプ室から吐出された作動流体に抵抗を付与する絞り部と、前記絞り部の前後差圧に応じて動作し、前記ロータの回転速度の増加に伴って前記ロータに対する前記カムリングの偏心量が小さくなるように前記第一流体圧室と前記第二流体圧室の作動流体の圧力を制御する制御バルブと、前記カムリングが移動しても前記カムリングと干渉しない位置に形成され、前記ポンプ室から吐出された作動流体を前記絞り部の上流側に導く吐出ポートと、を備え、前記吐出ポートは、前記カムリング及び前記ロータの一側部に当接するように配置されるサイドプレートに設けられ、前記駆動軸を中心に円弧状に形成されるとともに前記駆動軸の回転方向に向かって開口幅が狭くなるように形成される、ことを特徴とする。
本発明によれば、ベーンポンプの吐出ポートはカムリングと干渉しないように形成されるので、カムリングが移動しても吐出ポートの開口面積は変化しない。したがって、吐出ポートの開口面積変化に起因する絞り部での前後差圧の変化が生じず、制御バルブを的確に制御することができ、カムリング移動時においても作動油の吐出流量を所望の値に調整することができる。これにより、ベーンポンプにおける作動油の吐出流量の制御性を改善することが可能となる。
本発明における可変容量型ベーンポンプにおける駆動軸に垂直な断面を示す断面図である。 可変容量型ベーンポンプにおける駆動軸に平行な断面を示す断面図である。 可変容量型ベーンポンプのサイドプレートを示す図である。 ロータの回転速度が低回転速度である時の油圧回路図である。 ロータの回転速度が高回転速度である時の油圧回路図である。 従来の可変容量型ベーンポンプのサイドプレートを示す図である。 従来の可変容量型ベーンポンプのオリフィスの有効オリフィス径について説明する図である。 本発明における可変容量型ベーンポンプ及び従来の可変容量型ベーンポンプのロータ回転速度−吐出流量特性を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係る可変容量型ベーンポンプ100について説明する。
図1は、可変容量型ベーンポンプ100における駆動軸1に垂直な断面を示す断面図である。図2は、可変容量型ベーンポンプ100における駆動軸1に平行な断面を示す断面図である。図3(A)は、ベーンポンプ100のサイドプレート6の平面図である。図3(B)はカムリング4が吐出容量最小となる位置にある場合のサイドプレート6の平面図であり、図3(C)はカムリング4が吐出容量最大となる位置にある場合のサイドプレート6の平面図である。
可変容量型ベーンポンプ(以下「ベーンポンプ」という)100は、車両に搭載される油圧機器、例えばパワーステアリング装置や無段変速機等の油圧供給源として用いられる。
図1及び図2に示すように、ベーンポンプ100は、エンジン(図示省略)からの動力が伝達される駆動軸1と、駆動軸1に同軸で固定されるロータ2と、ロータ2に対して径方向に往復動可能に設けられる複数のベーン3と、ロータ2の回転に伴って内周カム面4Aにベーン3の先端部が摺動するとともにロータ2の中心に対して偏心移動可能なカムリング4とを備える。
駆動軸1は、ポンプボディ10及びポンプボディ10の側部に配置されるポンプカバー5に回転自在に支持される。図1において、駆動軸1は反時計回りに回転する。
ポンプボディ10には、カムリング4を収容する収容凹部10Aが形成される。収容凹部10Aの底面10Bには、ロータ2及びカムリング4の一側部に当接する円盤状のサイドプレート6が配置される。収容凹部10Aの開口部は、ロータ2及びカムリング4の他側部に当接する円盤状のプレート部材7を介してポンプカバー5によって封止される。
ポンプカバー5は、ボルト8を介してポンプボディ10に締結される。
ベーンポンプ100では、サイドプレート6とプレート部材7がロータ2及びカムリング4の両側面を挟んだ状態で配置されるので、ロータ2とカムリング4との間には各ベーン3によって仕切られるポンプ室9が画成される。
収容凹部10Aに収容されるカムリング4は、円環状の部材であり、ロータ2の回転に伴ってポンプ室9の容積を拡張する吸込領域と、ロータ2の回転に伴ってポンプ室9の容積を収縮する吐出領域とを有する。ポンプ室9は、吸込領域にて作動油(作動流体)を吸込み、吐出領域にて作動油を吐出する。図1において、カムリング4の中心を通る水平線の上方が吸込領域であり、水平線の下方が吐出領域である。
ポンプボディ10の収容凹部10Aの内周面には、カムリング4を取り囲むようにして円環状のアダプタリング11が嵌装される。アダプタリング11の両側面は、サイドプレート6とプレート部材7とによって挟まれる。アダプタリング11の内周面には、駆動軸1と平行に延在するとともに、両側部がそれぞれサイドプレート6及びプレート部材7に挿入された支持ピン13が支持される。支持ピン13にはカムリング4も支持されており、カムリング4はアダプタリング11の内部で支持ピン13を支点に揺動する。
図1に示すように、アダプタリング11の中心に対して支持ピン13と点対称の位置におけるアダプタリング11の内周面には、駆動軸1と平行に延びる溝11Aが形成される。溝11Aには、カムリング4の移動時にカムリング4の外周面が摺接するシール部材14が設けられる。
カムリング4の外周面とアダプタリング11の内周面との間には、支持ピン13とシール部材14とによって、第一流体圧室31と第二流体圧室32とが画成される。カムリング4は、第一流体圧室31内の作動油の圧力と第二流体圧室32内の作動油の圧力との圧力差に基づき、シール部材14に摺接しつつ支持ピン13を支点に回動する。
このようにカムリング4がアダプタリング11内において回動することで、ロータ2に対するカムリング4の偏心量が変化し、ポンプ室9の吐出容量が変化する。第一流体圧室31内の作動油の圧力が第二流体圧室32内の作動油の圧力よりも大きい場合には、ロータ2に対するカムリング4の偏心量が小さくなるように(図1の右方向に)カムリング4は回動し、ポンプ室9の吐出容量は小さくなる。これに対して、第二流体圧室32内の作動油の圧力が第一流体圧室31内の作動油の圧力よりも大きい場合には、ロータ2に対するカムリング4の偏心量が大きくなるように(図1の左方向に)カムリング4は回動し、ポンプ室9の吐出容量は大きくなる。
第二流体圧室32側のアダプタリング11の内周面には、ロータ2に対する偏心量が小さくなる方向のカムリング4の移動を規制する膨出部12が形成される。膨出部12は、ロータ2に対するカムリング4の偏心量がゼロとならないように、つまりカムリング4の外周面が膨出部12に当接した状態でもロータ2に対するカムリング4の最低偏心量が確保され、ポンプ室9が作動油を吐出可能となるような形状に形成される。このように膨出部12は、ポンプ室9の最低吐出容量を保障するものである。
図2に示すように、ポンプカバー5とロータ2との間に配置されるプレート部材7は、ポンプ室9の吸込領域に対して円弧状に開口する吸込ポート15を備える。吸込ポート15は、ポンプカバー5に形成された吸込通路17に連通するように形成され、吸込通路17を流れる作動油を吸込領域側のポンプ室9へと導く。
図2及び図3(A)に示すように、収容凹部10Aの底面10Bとロータ2との間に配置されるサイドプレート6は、ポンプ室9の吐出領域に開口する吐出ポート16と、プレート部材7の吸込ポート15に対応する位置に設けられる円弧状の吸込溝部20とを備える。吐出ポート16は、ポンプボディ10に形成された高圧室18に連通するように駆動軸1を中心に円弧状に形成される。この吐出ポート16は、吐出領域側のポンプ室9から吐出される作動油を高圧室18へと導く。
図3(B)及び図3(C)に示すように、吐出ポート16は、カムリング4の移動の過程でカムリング4が吐出ポート16と干渉しないように形成されている。つまり、吐出ポート16は、矢印で示す駆動軸1の回転方向に向かって開口幅が徐々に狭くなるように形成されているので、カムリング4が、膨出部12に当接した状態の吐出容量最小位置(図3(B))からアダプタリング11の左側部に当接した状態の吐出容量最大位置(図3(C))に移動しても、吐出ポート16の開口部分を大きく閉塞することがない。
このように本実施形態のベーンポンプ100では、カムリング4が移動しても、吐出ポート16の開口面積は変化しない。
図1及び図2に示すように、吐出ポート16と連通する高圧室18は、収容凹部10Aの底面10Bに環状に形成される溝部10Cがサイドプレート6にて塞がれることによって画成される。高圧室18は、ポンプボディ10に形成され作動油を油圧機器へと導く吐出通路19と接続する。高圧室18は、サイドプレート6に形成された絞り通路36を介して第二流体圧室32に連通する。したがって、高圧室18の作動油は、第二流体圧室32に常時導かれる。サイドプレート6は、高圧室18内の作動油の圧力によってロータ2及びベーン3に押し付けられるので、ロータ2及びベーン3に対するサイドプレート6のクリアランスが小さくなり、作動油の漏出が抑制される。
ベーンポンプ100は、第一流体圧室31と第二流体圧室32の作動油の圧力を制御する制御バルブ21を備える。
図1及び図4を参照して、制御バルブ21について説明する。図4は、ロータ2の回転速度が低回転速度である時の油圧回路図である。
図1に示すように、制御バルブ21は、ポンプボディ10に駆動軸1の軸方向と直交する向きに形成されたバルブ収容穴29に収容される。
制御バルブ21は、バルブ収容穴29に摺動自在に挿入されるスプール22と、スプール22の一端とバルブ収容穴29の底部との間に画成された第一スプール室24と、スプール22の他端とバルブ収容穴29を封止するプラグ23との間に画成された第二スプール室25と、第二スプール室25内に収容され第二スプール室25の容積を拡張する方向にスプール22を付勢するリターンスプリング26とを備える。
スプール22は、棒状部材であって、バルブ収容穴29の内周面に沿って摺動する第一ランド部22A及び第二ランド部22Bと、第一ランド部22Aと第二ランド部22Bとの間に形成される環状溝22Cとを備える。
図4に示すように、制御バルブ21は、吐出通路19に介装されたオリフィス(絞り部)28の前後差圧によって動作するように構成されている。制御バルブ21の第一スプール室24にはオリフィス28よりも上流の作動油が第一導圧通路37を介して導かれ、第二スプール室25にはオリフィス28よりも下流の作動油が第二導圧通路38を介して導かれる。このように高圧室18の作動油の一部は、オリフィス28を介さずに第一導圧通路37を通じて直接第一スプール室24へと導かれるとともに、オリフィス28及び第二導圧通路38を介して第二スプール室25へと導かれる。
また、制御バルブ21には、第一流体圧室31及び第二流体圧室32にそれぞれ連通する第一流体圧通路33及び第二流体圧通路34と、環状溝22Cに連通するとともに吸込通路17に連通するドレン通路35とが接続する。
制御バルブ21のスプール22は、第一スプール室24及び第二スプール室25に導かれる作動油の圧力による荷重と、リターンスプリング26の付勢力とがバランスした位置で停止する。スプール22の停止位置によって、第一流体圧通路33及び第二流体圧通路34がそれぞれ第一ランド部22A及び第二ランド部22Bによって開閉され、第一流体圧室31及び第二流体圧室32の作動油が給排される。
図4及び図5を参照して、ベーンポンプ100の動作について説明する。図4はロータ2の回転速度が低回転速度である時の油圧回路図であり、図5はロータ2の回転速度が高回転速度である時の油圧回路図である。
駆動軸1にエンジンの動力が伝達されロータ2が回転すると、ロータ2の回転に伴って拡張するポンプ室9は吸込ポート15を介して吸込通路17から作動油を吸込み、ロータ2の回転に伴って収縮するポンプ室9は吐出ポート16を介して作動油を高圧室18に吐出する。高圧室18に吐出された作動油は、吐出通路19を通じて油圧機器へと供給される。
作動油が吐出通路19を通過する際、吐出通路19に介装されたオリフィス28の前後には圧力差が生じる。オリフィス28よりも上流の作動油の圧力は第一導圧通路37を介して制御バルブ21の第一スプール室24に導かれ、オリフィス28よりも下流の作動油の圧力は第二導圧通路38を介して制御バルブ21の第二スプール室25に導かれる。制御バルブ21のスプール22は、第一スプール室24と第二スプール室25に導かれる作動油の圧力差による荷重と、リターンスプリング26の付勢力とがバランスした位置に移動する。
図4に示すように、ポンプ始動時等、ロータ2の回転速度が低い場合には、オリフィス28の前後差圧は小さい。そのため第二スプール室25の圧力による荷重とリターンスプリング26の付勢力との合計荷重が第一スプール室24の圧力による荷重よりも大きくなり、スプール22はリターンスプリング26の付勢力によって移動し、スプール22の先端がバルブ収容穴29の底部に当接した状態となる。
この場合には、第一流体圧室31は、スプール22の第一ランド部22Aによって高圧室18との連通が遮断され、第一ランド部22Aに形成された連通路22Dを介してドレン通路35に連通する。第二流体圧室32は、スプール22の第二ランド部22Bによってドレン通路35との連通が遮断される。第一流体圧室31の作動油は連通路22D及び環状溝22Cを介してドレン通路35へと排出され、第二流体圧室32には絞り通路36を通じて高圧室18の作動油が導かれるので、カムリング4は、第二流体圧室32内の作動油の圧力によってロータ2に対する偏心量が最大となる位置となる。
このようにしてベーンポンプ100は最大吐出容量で作動油を吐出し、ベーンポンプ100から吐出される作動油の流量はロータ2の回転速度に略比例したものとなる。これにより、ロータ2の回転速度が低い場合でも、油圧機器に対して十分な流量の作動油を供給することができる。
これに対して、ロータ2の回転速度が増加するのに伴って、オリフィス28の前後差圧は大きくなる。第一スプール室24の圧力による荷重が第二スプール室25の圧力による荷重とリターンスプリング26の付勢力との合計荷重よりも大きくなると、図5に示すように、スプール22はリターンスプリング26の付勢力に抗して移動する。
この場合には、第一流体圧室31は第一流体圧通路33、第一スプール室24、及び第一導圧通路37を介して高圧室18に連通する。第二流体圧室32は、第二流体圧通路34及び環状溝22Cを介してドレン通路35に連通する。第二流体圧通路34と環状溝22Cの連通はスプール22の第二ランド部22Bに形成されたノッチ22Eを介して行われ、スプール22の移動量に応じて第二流体圧室32に対するドレン通路35の開口面積が増減する。
上記のように第一流体圧室31が高圧室18に連通し、第二流体圧室32がドレン通路35に連通すると、第一流体圧室31には高圧室18の作動油が供給され、第二流体圧室32の作動油はドレン通路35へと排出される。これにより、カムリング4は、第一流体圧室31と第二流体圧室32との圧力差に応じて、ロータ2に対する偏心量が小さくなる方向へと移動する。ロータ2に対するカムリング4の偏心量が小さくなっていくと、カムリング4の外周面がアダプタリング11の内周面の膨出部12に当接して、カムリング4の移動が規制される。これによりロータ2に対するカムリング4の偏心量が最低となり、ポンプ室9は最低吐出容量となる。
このようにしてベーンポンプ100は、吐出通路19のオリフィス28の前後差圧に応じたポンプ吐出容量に制御され、ロータ2の回転速度が増加しても作動油の吐出流量は略一定に調整される。これにより、車両の走行時に油圧機器に対して供給される作動油が適度に調節される。
次に、図6〜図8を参照して、従来のベーンポンプ200と比較しながら、本実施形態のベーンポンプ100の作用効果について説明する。
図6(A)はベーンポンプ200のカムリング204が吐出容量最小となる位置にある場合のサイドプレート206の平面図であり、図6(B)はベーンポンプ200のカムリング204が吐出容量最大となる位置にある場合のサイドプレート206の平面図である。図7(A)及び図7(B)は、吐出ポート216の開口面積が変化した時のベーンポンプ200のオリフィス228の有効オリフィス径について説明する図である。図8は、ベーンポンプ100、200のロータ回転速度−吐出流量特性を示す図である。
従来のベーンポンプ200は、図6(A)及び図6(B)に示すように、カムリング20の移動に伴って、カムリング20がサイドプレート206に形成された吐出ポート216と干渉するように構成されている。つまり、ベーンポンプ200は、カムリング204が最大吐出容量位置(図6(B))から最小吐出容量位置(図6(A))に向かって移動するほど、吐出ポート216の開口面積が広くなるように構成されている。
カムリング204の移動に伴って吐出ポート216の開口面積が広くなると、吐出通路219に設けられたオリフィス228への作動油の流入の仕方が変化、つまり図7(A)の矢印F1に示すような直進成分が支配的な流れから、図7(B)の矢印F2に示すような湾曲成分が支配的な流れに変化する。図7(B)に示すように、作動油がオリフィス228の入口部から回り込むようにオリフィス228に流入する場合には、図7(A)の場合と比較して、オリフィス228における見かけのオリフィス径(以下「有効オリフィス径」という)が小さくなって、オリフィス228における前後差圧が大きくなる。その結果、通常よりも制御バルブのスプールの移動量が大きくなって、カムリング204の移動量も増加し、図8の破線に示すようにカムリング204の移動中に作動油の吐出流量が所望の値(実線)よりも低下してしまう。
このように従来のベーンポンプ200では、カムリング204の位置に応じて吐出ポート216の開口面積が変化することによって、作動油の吐出流量の制御性が悪化するという問題がある。
しかしながら、本実施形態のベーンポンプ100においては、図3(B)及び図3(C)に示すように、カムリング4の移動の過程においてカムリング4が吐出ポート16と干渉しないように構成されているので、カムリング4が最大吐出容量位置(図3(C))から最小吐出容量位置(図3(B))に移動しても、吐出ポート16の開口面積は変化しない。そのため、カムリング4が移動してもオリフィス28における有効オリフィス径は変化しないので、カムリング4の移動中にスプール22が移動しすぎることがない。したがって、ベーンポンプ100から吐出される作動油の吐出流量は、図8の実線に示すように所望の値に調整される。
以上により、本実施形態のベーンポンプ100では、下記の効果を得ることができる。
ベーンポンプ100では、吐出ポート16は、カムリング4の移動の過程においてカムリング4と干渉しないようにサイドプレート6に形成されるので、カムリング4が移動しても吐出ポート16の開口面積は変化することがない。したがって、吐出ポート16の開口面積変化に起因するオリフィス28の有効オリフィス径の変化がなく、制御バルブ21のスプール22を的確に制御することができ、カムリング4の移動時においても作動油の吐出流量を所望の値に調整することができる。これにより、ベーンポンプ100における作動油の吐出流量の制御性を改善することが可能となる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
吐出通路19に形成されるオリフィス28は、ポンプ室9から吐出された作動油の流れに抵抗を付与するものであれば、可変型、固定型のどちらを用いてもよい。
本発明の可変容量型ベーンポンプは、パワーステアリング装置や無段変速機等の油圧機器の油圧供給源に適用することが可能である。
100 可変容量型ベーンポンプ
1 駆動軸
2 ロータ
3 ベーン
4 カムリング
6 サイドプレート
9 ポンプ室
11 アダプタリング
13 支持ピン
15 吸込ポート
16 吐出ポート
17 吸込通路
18 高圧室
19 吐出通路
21 制御バルブ
22 スプール
24 第一スプール室
25 第二スプール室
26 リターンスプリング
28 オリフィス
31 第一流体圧室
32 第二流体圧室
33 第一流体圧通路
34 第二流体圧通路
35 ドレン通路
36 絞り通路
37 第一導圧通路
38 第二導圧通路

Claims (2)

  1. 駆動軸に連結されたロータと、
    前記ロータに対して径方向に往復動可能に設けられる複数のベーンと、
    前記ロータを収容するとともに、前記ロータの回転に伴って内周のカム面に前記ベーンの先端部が摺動し、前記ロータの中心に対して偏心可能なカムリングと、
    前記ロータと前記カムリングとの間に画成されたポンプ室と、を備え、
    前記ロータに対する前記カムリングの偏心量が変化することによって前記ポンプ室の吐出容量が変化する可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記カムリングの外周の収容空間内に画成され、互いの圧力差によって前記ロータに対して前記カムリングを偏心させる第一流体圧室及び第二流体圧室と、
    前記ポンプ室から吐出された作動流体に抵抗を付与する絞り部と、
    前記絞り部の前後差圧に応じて動作し、前記ロータの回転速度の増加に伴って前記ロータに対する前記カムリングの偏心量が小さくなるように前記第一流体圧室と前記第二流体圧室の作動流体の圧力を制御する制御バルブと、
    前記カムリングが移動しても前記カムリングと干渉しない位置に形成され、前記ポンプ室から吐出された作動流体を前記絞り部の上流側に導く吐出ポートと、を備え、
    前記吐出ポートは、前記カムリング及び前記ロータの一側部に当接するように配置されるサイドプレートに設けられ、前記駆動軸を中心に円弧状に形成されるとともに前記駆動軸の回転方向に向かって開口幅が狭くなるように形成される、
    ことを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  2. 前記吐出ポートは、前記カムリングの最大吐出容量位置から最小吐出容量位置への移動において、開口面積が変化しないように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
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