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JP6031310B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

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JP6031310B2
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Description

本発明は、流体圧機器における流体圧供給源として用いられる可変容量型ベーンポンプに関するものである。
車両に搭載される油圧機器、例えば、パワーステアリング装置や無段変速機等の油圧供給源として、可変容量型ベーンポンプが用いられている。
特許文献1に開示された可変容量型ベーンポンプは、制御バルブを介して導かれる流体圧力によってカムリングが支持ピンを支点として揺動することで、吐出容量が変化し、ポンプ吐出圧が一定に保たれるようになっている。
この可変容量型ベーンポンプは、ポンプ吐出通路に電磁絞り弁が介装され、電磁絞り弁の開度を変えることにより、ポンプ吐出通路から流体圧機器に送られる作動油の流量を制御するようになっている。
特開2001−159395号公報
しかしながら、特許文献1に開示された可変容量型ベーンポンプでは、単一の電磁絞り弁によって作動油の流量が制御されるため、電磁絞り弁に設けられるソレノイドが大型化し、システムの消費電力が大きいという問題点があった。
また、特許文献1に開示された可変容量型ベーンポンプでは、電源失陥等が起きたフェール時に対処して、電磁絞り弁にノーマルオープンタイプのものが用いられている。ノーマルオープンタイプの電磁絞り弁は、ソレノイドの非通電時に全開し、ソレノイドに供給される電流値が高まるのに応じて開度が小さくなる。しかし、車両に搭載される油圧供給源においては、電磁絞り弁の開度をある程度小さくする作動状態が多くなるため、ソレノイドに通電される電流値によってシステムの消費電力が大きいという問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、可変容量型ベーンポンプにおいて、作動流体の流量を制御するのに消費される電力を低減することを目的とする。
本発明は、流体圧機器における流体圧供給源として用いられる可変容量型ベーンポンプであって、複数のベーンが往復動可能に設けられ、回転駆動されるロータと、ロータを収容するとともに、ロータの回転に伴って内周のカム面にベーンの先端部が摺動し、ロータの中心に対して偏心可能なカムリングと、隣り合うベーンの間に画成されるポンプ室から吐出される作動流体を流体圧機器に導くポンプ吐出通路と、カムリングの外周の収容空間内に画成され、互いの圧力差によってロータに対してカムリングを偏心させる第一流体圧室及び第二流体圧室と、ポンプ吐出通路に介装された絞り部の前後圧力差に応じて作動し、第一流体圧室と第二流体圧室の圧力差を制御する制御バルブと、を備え、ポンプ吐出通路に介装され電流値に応じて開度を変える電磁絞り弁と、ポンプ吐出通路に電磁絞り弁と並列に介装され通電時に開弁し、非通電時に閉弁する電磁開閉弁と、電磁絞り弁及び電磁開閉弁の作動を制御するコントローラを備え、コントローラは、電磁開閉弁を閉じて電磁絞り弁の開度を制御する小流量制御モードと、電磁開閉弁を開いて電磁絞り弁の開度を制御する大流量制御モードと、を有することを特徴とする。
本発明では、ポンプ吐出通路に電磁絞り弁と電磁開閉弁が並列に介装されるため、ポンプ吐出通路に単一の電磁絞り弁が介装される構成に比べて、電磁絞り弁と電磁開閉弁のそれぞれに設けられる各ソレノイドの消費電力を小さくすることが可能となる。
小流量制御モードが主として使用される流体圧供給源では、電磁開閉弁を閉じて電磁絞り弁のみを開弁させるため、作動流体の流量を制御するのに消費される電力を低減することが可能となる。
本発明の実施形態に係る可変容量型ベーンポンプの構成図である。 本発明の実施形態に係るロータの回転速度とポンプ吐出流量の関係を示す図である。 本発明の実施形態に係る電磁絞り弁及び電磁開閉弁の作動を示す図表である。 本発明の実施形態に係る電磁絞り弁及び電磁開閉弁の作動とポンプ吐出流量の関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る可変容量型ベーンポンプ100について説明する。
可変容量型ベーンポンプ(以下、単に「ベーンポンプ」と称する。)100は、車両に搭載される油圧機器(流体圧機器)60、例えば、パワーステアリング装置や無段変速機等の油圧(流体圧)供給源として用いられるものである。
以下、ベーンポンプ100が作動油を供給する構成について説明する。なお、ベーンポンプ100は、作動流体として、作動油(オイル)を用いるが、作動油の代わりに例えば水溶性代替液等の作動液を用いてもよい。
ベーンポンプ100は、駆動シャフト1にエンジン(図示省略)の動力が伝達され、駆動シャフト1に連結されたロータ2が回転するものである。図1では、ロータ2は矢印で示すように反時計回りに回転する。
ベーンポンプ100は、作動油を加圧するポンプ機構として、ロータ2に対して径方向に往復動可能に設けられる複数のベーン3と、ロータ2及びベーン3を収容するカムリング4とを備える。ロータ2の回転に伴ってカムリング4の内周に形成されたカム面4Aにベーン3の先端部が摺動する。ロータ2とカムリング4との間には、各ベーン3によって仕切られたポンプ室7が画成される。
駆動シャフト1は、ポンプボディ(図示省略)とポンプカバー(図示省略)に軸受(図示省略)を介して回転自在に支持される。ポンプボディには、カムリング4を収容する収容空間が形成される。収容空間の底面には、ロータ2及びカムリング4の一側部に当接するサイドプレート(図示省略)が配置される。収容空間の開口部は、ロータ2及びカムリング4の他側部に当接するポンプカバーによって封止される。ポンプカバーとサイドプレートは、ロータ2及びカムリング4の両側面を挟んだ状態で配置される。
サイドプレートには、作動油をポンプ室7内に導く吸込ポート(図示省略)と、ポンプ室7内の作動油を取り出してベーンポンプ100外部の油圧機器60に導く吐出ポート(図示省略)と、が形成される。吸込ポートは、吸込通路17を介してタンク9に連通される。吐出ポートは、ポンプ吐出通路19を介して油圧機器60に連通される。
ベーンポンプ100の作動時に、カムリング4の吸込領域では、カム面4Aに摺接するベーン3がロータ2から突出してポンプ室7が拡張し、タンク9の作動油が吸込通路17を通じて吸込ポートからポンプ室7に吸い込まれる。カムリング4の吐出領域では、カム面4Aに摺接するベーン3がロータ2に押し込まれてポンプ室7が収縮し、ポンプ室7にて加圧された作動油が吐出ポートからポンプ吐出通路19を通じて油圧機器60に供給される。
以下、ベーンポンプ100の吐出容量(押しのけ容積)を変化させる構成について説明する。
ベーンポンプ100は、カムリング4を取り囲む環状のアダプタリング11を備える。アダプタリング11とカムリング4の間には、支持ピン13が介装される。支持ピン13にはカムリング4が支持され、カムリング4はアダプタリング11の内部で支持ピン13を支点に揺動し、ロータ2の中心に対して偏心する。
アダプタリング11の溝11Aには、カムリング4の揺動時にカムリング4の外周面が摺接するシール材14が介装される。カムリング4の外周面とアダプタリング11の内周面との間には、支持ピン13とシール材14とによって、第一流体圧室31と第二流体圧室32とが区画される。
カムリング4は、第一流体圧室31と第二流体圧室32とポンプ室7の圧力バランスによって、支持ピン13について揺動する。カムリング4が揺動することによって、ロータ2に対するカムリング4の偏心量が変化し、ポンプ室7の吐出容量が変化する。カムリング4が図1にて右方向に揺動すると、ロータ2に対するカムリング4の偏心量が小さくなり、ポンプ室7の吐出容量は小さくなる。これに対して、カムリング4が図1にて左方向に揺動すると、ロータ2に対するカムリング4の偏心量が大きくなり、ポンプ室7の吐出容量は大きくなる。
ベーンポンプ100は、第一流体圧室31と第二流体圧室32の作動油の圧力を制御する制御バルブ21を備える。
制御バルブ21は、バルブ収容穴29に摺動自在に挿入されるスプール22と、スプール22の一端とバルブ収容穴29との間に画成された第一スプール室24と、スプール22の他端とバルブ収容穴29との間に画成された第二スプール室25と、第二スプール室25内に収容されるリターンスプリング26と、を備える。リターンスプリング26は、第二スプール室25の容積を拡張する方向にスプール22を付勢する。
スプール22は、円柱状の部材であって、バルブ収容穴29の内周面に沿って摺動する第一ランド部22A及び第二ランド部22Bと、第一ランド部22Aと第二ランド部22Bとの間に形成される環状溝22Cとを備える。
制御バルブ21は、ポンプ吐出通路19に介装された絞り部39の前後圧力差によって動作するように構成されている。制御バルブ21の第一スプール室24には、絞り部39よりも上流の作動油が第一導圧通路37を介して導かれる。制御バルブ21の第二スプール室25には、絞り部39よりも下流の作動油が第二導圧通路38を介して導かれる。このようにポンプ吐出通路19の作動油圧の一部は、絞り部39を介さずに第一導圧通路37を通じて直接第一スプール室24へと導かれるとともに、絞り部39及び第二導圧通路38を通じて第二スプール室25へと導かれる。
また、制御バルブ21には、第一流体圧室31及び第二流体圧室32にそれぞれ連通する第一流体圧通路33及び第二流体圧通路34と、環状溝22Cに連通するとともに吸込通路17に連通するドレン通路35とが接続する。
制御バルブ21のスプール22は、第一スプール室24及び第二スプール室25に導かれる作動油の圧力差による荷重と、リターンスプリング26の付勢力とがバランスする位置に移動して停止する。スプール22の停止位置によって、第一流体圧通路33及び第二流体圧通路34がそれぞれ第一ランド部22A及び第二ランド部22Bによって開閉され、第一流体圧室31及び第二流体圧室32に作動油が給排される。
以下、第一流体圧室31及び第二流体圧室32に導かれる作動油の圧力差を制御する制御バルブ21の作動について説明する。
作動油がポンプ吐出通路19を通過する際、ポンプ吐出通路19に介装された絞り部39の前後には圧力差が生じる。絞り部39よりも上流の作動油の圧力は第一導圧通路37を介して制御バルブ21の第一スプール室24に導かれ、絞り部39よりも下流の作動油の圧力は第二導圧通路38を介して制御バルブ21の第二スプール室25に導かれる。制御バルブ21のスプール22は、第一スプール室24と第二スプール室25に導かれる作動油の圧力差による荷重と、リターンスプリング26の付勢力とがバランスした位置に移動する。
ポンプ始動時等、ロータ2の回転速度が低い場合には、絞り部39の前後圧力差は小さい。そのため第二スプール室25の圧力による荷重とリターンスプリング26の付勢力との合計荷重が第一スプール室24の圧力による荷重よりも大きくなり、スプール22はリターンスプリング26の付勢力によって移動し、スプール22の先端がバルブ収容穴29の底部に当接した状態となる。
この場合には、第一流体圧室31は、スプール22の第一ランド部22Aによってポンプ吐出通路19との連通が遮断され、第一ランド部22Aに形成された連通路22Dを介してドレン通路35に連通する。第二流体圧室32は、スプール22の第二ランド部22Bによってドレン通路35との連通が遮断される。第一流体圧室31の作動油は連通路22D及び環状溝22Cを介してドレン通路35へと排出され、第二流体圧室32には絞り通路36を通じてポンプ吐出通路19の作動油圧が導かれるので、カムリング4は第二流体圧室32内の作動油の圧力によってその外周面がアダプタリング11の内周面の膨出部11Bに当接して、ロータ2に対する偏心量が最大となる位置に保持される。
このようにしてカムリング4のロータ2に対する偏心量が最大となる状態では、ベーンポンプ100は最大吐出容量で作動油を吐出し、ベーンポンプ100から吐出される作動油の流量Qはロータ2の回転速度Nに略比例したものとなる(図2のA−D間の特性、参照)。これにより、ロータ2の回転速度Nが低い場合でも、油圧機器60に対して十分な流量Qの作動油を供給することができる。
ロータ2の回転速度Nが高まり、絞り部39の前後圧力差が大きくなるのに伴って、第一スプール室24の圧力による荷重が第二スプール室25の圧力による荷重とリターンスプリング26の付勢力との合計荷重よりも大きくなると、スプール22はリターンスプリング26の付勢力に抗して図1にて右方向に移動する。
この場合には、第一流体圧室31は第一流体圧通路33、第一スプール室24、及び第一導圧通路37を介してポンプ吐出通路19に連通する。第二流体圧室32は、第二流体圧通路34及び環状溝22Cを介してドレン通路35に連通する。第二流体圧通路34と環状溝22Cの連通はスプール22の第二ランド部22Bに形成されたノッチ22Eを介して行われ、スプール22の移動量に応じて第二流体圧室32に対するドレン通路35の開口面積が増減する。
上記のように第一流体圧室31がポンプ吐出通路19に連通し、第二流体圧室32がドレン通路35に連通すると、第一流体圧室31にはポンプ吐出通路19の作動油が供給され、第二流体圧室32の作動油はドレン通路35へと排出される。これにより、カムリング4は、第一流体圧室31と第二流体圧室32との圧力差に応じて、ロータ2に対する偏心量が小さくなる方向(図1において右方向)へと移動する。ロータ2に対するカムリング4の偏心量が小さくなっていくと、カムリング4の外周面がアダプタリング11の内周面の膨出部11Cに当接して、カムリング4の移動が規制される。これによりロータ2に対するカムリング4の偏心量が最低となり、ポンプ室7は最低吐出容量となる。
このようにして制御バルブ21がポンプ吐出通路19の絞り部39の前後圧力差に応じて作動することにより、ロータ2の回転速度Nが高まってもベーンポンプ100の吐出容量が略一定に調整される(図2のB−F、C−G、D−E間の特性、参照)。これにより、車両の走行時に油圧機器60に対して供給される作動油の圧力が適度に調節される。
ベーンポンプ100は、車両側のコントローラ(図示省略)から送信される流量指令信号に基づいて作動油の吐出流量Qを調整する吐出流量調整システムを備える。以下、吐出流量調整システムの構成について説明する。
ポンプ吐出通路19は、その途中に互いに並列に延びる3本の分岐通路19A、19B、19Cが設けられ、分岐通路19A、19B、19Cが合流した合流部19Dの下流側が油圧機器60に連通するとともに、第二導圧通路38を通じて制御バルブ21の第二スプール室25に連通する。
分岐通路19A、19B、19Cには、オリフィス40、電磁絞り弁41、電磁開閉弁42がそれぞれ介装される。オリフィス40、電磁絞り弁41、電磁開閉弁42が作動油の流れに付与する流路抵抗の合計値によってポンプ吐出通路19を流れる作動油の流量Qが調整される。前述した絞り部39は、オリフィス40、電磁絞り弁41、電磁開閉弁42によって構成される。
オリフィス40は、所定の開口面積を有する固定絞りである。オリフィス40の開口面積を調節することにより、ベーンポンプ100小流量特性(図2のA−B−Fの特性、参照)が任意に設定される。
電磁絞り弁41は、非通電時に開弁するノーマルオープンタイプの比例流量制御弁が用いられる。電磁絞り弁41は、図示しないが、収容穴に摺動自在に挿入された弁体と、弁体に対峙して分岐通路19Bを画成するシート部と、弁体をシート部から離れる開弁方向に付勢するスプリングと、スプリングに抗して弁体をシート部に近づける閉方向に駆動するリニアソレノイドと、を備える。リニアソレノイドは、コントローラ50によってコイルを流れる電流値が制御され、コイルに生じる磁界によって電流値に応じたストロークで弁体を移動し、弁体によるシート部の開口面積を調整する。
電磁開閉弁42は、非通電時に閉弁するノーマルクローズタイプのものが用いられる。電磁開閉弁42は、図示しないが、収容穴に摺動自在に挿入された弁体と、分岐通路19Cを画成するポート部と、弁体をポート部を閉塞する閉弁方向に付勢するスプリングと、スプリングに抗して弁体を開弁方向に駆動するオンオフソレノイドと、を備える。オンオフソレノイドは、コントローラ50によってコイルを流れる励磁電流が断続(ON、OFF)され、非通電時に閉弁し、通電時に開弁する。
電磁絞り弁41及び電磁開閉弁42は、ベーンポンプ100のポンプボディ(図示省略)に介装される。電磁絞り弁41及び電磁開閉弁42の介装スペースが2カ所に分けられるため、単一の電磁絞り弁をポンプボディに介装する構成に比べて、ベーンポンプ100の外形を小さくすることが可能になる。さらに、電磁絞り弁41及び電磁開閉弁42のそれぞれに設けられる各ソレノイドの大きさに対する自由度が高まり、各ソレノイドの消費電力を小さくすることが可能になる。
図2は、ロータ2の回転速度Nとベーンポンプ100から吐出される作動油の流量Qの関係を示す特性図である。
電磁開閉弁42を開き、電磁絞り弁41が全開した状態(絞り部39の最大開き状態)では、図2のA−D−Eの最大流量特性が得られる。
図2のA−D間では、図1に示すように、カムリング4がロータ2に対する偏心量が最大となる位置に保持され、ベーンポンプ100から吐出される作動油の流量Qはロータ2の回転速度Nに略比例したものとなる。
図2のD−E間では、前述したように、ロータ2の回転速度Nが高まっても、制御バルブ21が全開状態にある絞り部39の前後圧力差に応じて作動することにより、カムリング4がロータ2に対する偏心量が小さくなる方向へと移動し、ベーンポンプ100の吐出流量Qが略一定に調整される。
コントローラ50が以下のように電磁開閉弁42の開閉と電磁絞り弁41の開度とを連携して制御することにより、ベーンポンプ100の吐出流量Qが上記のA−D−Eの最大流量特性の範囲内で調整される。
コントローラ50は、小流量制御モード、大流量制御モードを有する。コントローラ50は、受信する流量指令信号に基づいていずれかの制御モードに切り換え、電磁開閉弁42の開閉と電磁絞り弁41の開度を制御する。以下、各制御モードにおける電磁開閉弁42の及び電磁絞り弁41の作動について説明する。
小流量制御モードにおける最小流量制御時では、コントローラ50が電磁開閉弁42をOFF(非通電状態)にして閉じるとともに、電磁絞り弁41をON(通電状態)にして全閉にすることにより、ベーンポンプ100の吐出流量Qが最小となる(図3参照)。
最小流量制御時では、電磁開閉弁42及び電磁絞り弁41が共に全閉しているので、オリフィス40の前後圧力差に応じて制御バルブ21が作動し、図2のA−B−Fの小流量特性が得られる。カムリング4がロータ2に対して最大に偏心した領域では、ベーンポンプ100の吐出流量Qがロータ2の回転速度Nの上昇に伴って大きくなる。これにより、A−B間の流量特性が得られる。ロータ2の回転速度Nがさらに上昇すると、カムリング4が図1において右方向へと移動し、ベーンポンプ100の吐出流量Qが所定値に調整される。これにより、B−F間の流量特性が得られる。
このように最小流量制御時では、B−F間の小流量特性がオリフィス40の絞り流路面積によって決まる。このため、ベーンポンプ100の吐出流量Qは、電磁絞り弁41の開口面積や電磁開閉弁42の開口面積に影響されることがなく、精度よく調整される。
小流量制御モードでは、コントローラ50が電磁開閉弁42をOFF(非通電状態)にして閉じるとともに、受信する流量指令信号に基づいて電磁絞り弁41に送る電流値を1〜0A(アンペア)の間で変えて電磁絞り弁41の開度を0〜100%の間で制御する(図3参照)。
小流量制御モードでは、電磁開閉弁42が全閉しているので、オリフィス40及び電磁絞り弁41の前後圧力差に応じて制御バルブ21が作動し、図2のA−B−Fの小流量特性とA−C−Gの中流量特性の間で任意の流量特性が得られる。ロータ2の回転速度Nが十分に上昇した状態では、電磁絞り弁41の開度が大きくなるのに伴って吐出流量Qが大きくなる。
車両に搭載される電源等に失陥が起きたフェール時には、コントローラ50による電磁絞り弁41及び電磁開閉弁42の通電が停止する。このため、ノーマルクローズタイプの電磁開閉弁42がOFFになって閉じるとともに、ノーマルオープンタイプの電磁絞り弁41がOFFになって全開になり(図3参照)、図2のA−C−Gの中流量特性が得られる。これにより、コントローラ50の作動が停止したフェール時にも、十分な吐出流量Qが確保され、油圧機器60の作動が維持される。
大流量制御モードでは、コントローラ50が電磁開閉弁42をONにして開くとともに、受信する流量指令信号に基づいて電磁絞り弁41に送る電流値を1〜0A(アンペア)の間で変えて電磁絞り弁41の開度を0〜100%の間で制御する(図3参照)。
大流量制御モードでは、電磁開閉弁42が全開しているので、オリフィス40と電磁開閉弁42及び電磁絞り弁41の前後圧力差に応じて制御バルブ21が作動し、図2のA−C−Gの中流量特性とA−D−Eの大流量特性との間で任意の流量特性が得られる。ロータ2の回転速度Nが十分に上昇した状態では、電磁絞り弁41の開度が大きくなるのに伴って吐出流量Qが大きくなる。
コントローラ50は、小流量制御モードで電磁絞り弁41が全開になった場合には、電磁開閉弁42をOFFからONにして開弁させ後に、電磁絞り弁41を全閉にすることよって大流量制御モードに切り換える。
図3は、上記の各制御モードにおける電磁開閉弁42及び電磁絞り弁41の作動を示す表である。この表に示すように、小流量制御モードから大流量制御モードに切り換える際に、電磁絞り弁41に送る電流値を0Aとして電磁絞り弁41が全開になるのと同時に、電磁開閉弁42がONとなって全開になる状態が設けられる。
図4は、電磁開閉弁42及び電磁絞り弁41の作動に応じて吐出流量Qが変化する特性を示している。
小流量制御モードにて、電磁開閉弁42が全開し、電磁絞り弁41がこれに送られる電流値が1Aから0Aへと低くなって開弁するときに、電磁絞り弁41の開度に応じて吐出流量Qが次第に高まる。
大流量制御モードにて、電磁開閉弁42が全開し、電磁絞り弁41がこれに送られる電流値が1Aから0Aへと低くなって開弁するときに、電磁絞り弁41の開度に応じて吐出流量Qが次第に高まる。
このように、電磁開閉弁42及び電磁絞り弁41が互いに連携して開閉作動することにより、吐出流量Qが広い範囲で調整される。
小流量制御モードから大流量制御モードに切り換える際に、電磁絞り弁41が全開から全閉に切り換えられるが、電磁絞り弁41が全閉作動する前に電磁開閉弁42が開かれるため、ポンプ吐出通路19が一時的に閉塞されることが回避され、油圧機器60に対する作動油の供給が維持される。
小流量制御モードから大流量制御モードに切り換える際に、電磁絞り弁41が全開から全閉に切り換えられる過程で、電磁絞り弁41が全開している状態で電磁開閉弁42が開かれるため、図4に示すように吐出流量Qが一時的に上昇する。車両に搭載されるパワーステアリング装置や無段変速機等の油圧機器60は、供給される作動油の流量Qが低下すると、作動性が損なわれる可能性があるが、図4に示すように流量Qが一時的に高まっても、作動性が損なわれない。
なお、上述した構成に限らず、小流量制御モードから大流量制御モードに切り換える際に、電磁絞り弁41が全開から全閉に切り換えられる過程で、電磁絞り弁41の開度が例えば50%程度の半開状態で電磁開閉弁42が開かれるように制御してもよい。これにより、制御モードの切り換え時に、絞り部39の流路断面積が変化することを抑えられ、吐出流量Qが一時的に上昇することを抑えられる。
以上の本実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
〔1〕ベーンポンプ100では、ポンプ吐出通路19に電磁絞り弁41と電磁開閉弁42が並列に介装されるため、ポンプ吐出通路19に単一の電磁絞り弁が介装される構成(特許文献1参照)に比べて、電磁絞り弁41と電磁開閉弁42のそれぞれに設けられる各ソレノイドの消費電力を小さくすることが可能となる。
そして、コントローラ50が電磁開閉弁42を閉じて電磁絞り弁41の開度を制御する小流量制御モードと、電磁開閉弁42を開いて電磁絞り弁41の開度を制御する大流量制御モードと、を有するので、車両に搭載される流体圧供給源において車両の通常走行時に主として使用される小流量制御モードでは、電磁開閉弁42を閉じて電磁絞り弁41のみを開弁させるため、ベーンポンプ100の消費電力を低減することが可能となる。
〔2〕コントローラ50が電磁開閉弁42を開いた後に電磁絞り弁41の開度を小さくすることによって小流量制御モードから大流量制御モードに切り換えるので、この制御モードの切り換え時に吐出流量Qが一時的に低下することを回避できる。
〔3〕コントローラ50が小流量制御モードで電磁絞り弁41が全開になった場合には、電磁開閉弁42を開いた後に電磁絞り弁41を全閉にすることよって大流量制御モードに切り換えるので、電磁絞り弁41のストロークを無駄なく利用して吐出流量Qを広い範囲で調整することができる。
〔4〕ベーンポンプ100では、電磁絞り弁41を通電時より非通電時にその開度を大きくするノーマルオープンタイプのものとし、電磁開閉弁42を通電時に開弁し、非通電時に閉弁するノーマルクローズタイプのものとすることで、電源失陥等が起きたフェール時には、電磁開閉弁42がOFFになって閉じるとともに、電磁絞り弁41がOFFになって全開になり、十分な吐出流量Qが確保され、車両に搭載される油圧機器60の作動が維持される。また、車両の通常走行時に主として使用される小流量制御モードでは、電磁開閉弁42がOFFになるため、ベーンポンプ100の消費電力を低減することが可能となる。
〔5〕ベーンポンプ100では、ポンプ吐出通路19に電磁絞り弁41及び電磁開閉弁42と並列に介装されるオリフィス40をさらに備えるので、電磁絞り弁41と電磁開閉弁42が共に閉じる最小流量制御時にて、絞り部39の絞り流路面積が電磁絞り弁41の開口面積や電磁開閉弁42の開口面積に影響されることがなく、オリフィス40の流路面積で決まるため、低流領域での吐出流量Qが精度よく調整される。
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
例えば、第一流体圧室31にポンプ室7に吸い込まれる作動油の吸込圧力が常に導かれ、制御バルブ21がポンプ室7から第二流体圧室32に導かれる流体圧力を制御し、制御バルブ21を介して第二流体圧室32に導かれる流体圧力が低下する作動時にカム面4Aに作用するポンプ室7の圧力によってカムリング4が吐出容量が減少する方向(図1において右方向)に揺動する一方、制御バルブ21を介して第二流体圧室32に導かれる流体圧力が上昇する作動時にカムリング4が吐出容量が増大する方向(図1において左方向)に揺動する構成としてもよい。
本発明の可変容量型ベーンポンプは、車両に搭載される例えばパワーステアリング装置や無段変速機等の油圧供給源に利用できるとともに、他の機械、設備の流体圧供給源にも利用できる。
2 ロータ
3 ベーン
4 カムリング
4A カム面
7 ポンプ室
19 ポンプ吐出通路
21 制御バルブ
31 第一流体圧室
32 第二流体圧室
40 オリフィス
41 電磁絞り弁
42 電磁開閉弁
50 コントローラ
60 油圧機器(流体圧機器)
100 可変容量型ベーンポンプ

Claims (5)

  1. 流体圧機器における流体圧供給源として用いられる可変容量型ベーンポンプであって、
    複数のベーンが往復動可能に設けられ、回転駆動されるロータと、
    前記ロータを収容するとともに、前記ロータの回転に伴って内周のカム面に前記ベーンの先端部が摺動し、前記ロータの中心に対して偏心可能なカムリングと、
    隣り合うベーンの間に画成されるポンプ室から吐出される作動流体を前記流体圧機器に導くポンプ吐出通路と、
    前記カムリングの外周の収容空間内に画成され、互いの圧力差によって前記ロータに対して前記カムリングを偏心させる第一流体圧室及び第二流体圧室と、
    前記ポンプ吐出通路に介装された絞り部の前後圧力差に応じて作動し、前記第一流体圧室と前記第二流体圧室の圧力差を制御する制御バルブと、を備え、
    前記絞り部は、
    前記ポンプ吐出通路に介装され電流値に応じて開度を変える電磁絞り弁と、
    前記ポンプ吐出通路に前記電磁絞り弁と並列に介装され通電時に開弁し、非通電時に閉弁する電磁開閉弁と、を備え、
    前記電磁絞り弁及び前記電磁開閉弁の作動を制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記電磁開閉弁を閉じて前記電磁絞り弁の開度を制御する小流量制御モードと、
    前記電磁開閉弁を開いて前記電磁絞り弁の開度を制御する大流量制御モードと、を有することを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  2. 前記コントローラは、前記電磁開閉弁を開いた後に前記電磁絞り弁の開度を小さくすることによって前記小流量制御モードから前記大流量制御モードに切り換えることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
  3. 前記コントローラは、前記小流量制御モードで前記電磁絞り弁が全開になった場合には、前記電磁開閉弁を開いた後に前記電磁絞り弁を全閉にすることよって前記大流量制御モードに切り換えることを特徴とする請求項2に記載の可変容量型ベーンポンプ。
  4. 前記電磁絞り弁は、通電時より非通電時にその開度を大きくするものとすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の可変容量型ベーンポンプ。
  5. 前記ポンプ吐出通路に前記電磁絞り弁及び前記電磁開閉弁と並列に介装されるオリフィスをさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の可変容量型ベーンポンプ。
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