JP4271358B2 - 蓄冷式保冷庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄冷ユニットと加温ヒータにより物品収納室内の温度を適正温度に維持する蓄冷式保冷庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、蓄冷式保冷庫として、出願人は特開平11−108525号公報に記載されたものを提案している。
【0003】
この蓄冷式保冷庫は、物品収納室を冷却する蓄冷ユニットとこの蓄冷ユニットによる過剰冷却を防止する加温ヒータを備えており、物品収納室内を冷却するときは予め蓄冷ユニットの蓄冷剤を冷却回路で凍結しておき、この蓄冷剤に庫内空気を循環して庫内冷却を行う一方、この庫内空気が過剰に冷却されるときは加温ヒータに通電して庫内空気を加温している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、保冷温度が−18℃程度の冷凍温度帯と3℃程度の冷蔵温度帯に切替保冷可能な蓄冷式保冷庫では蓄冷剤の凍結温度が−25℃程度であり、冷蔵温度帯の保冷時に使用した場合、特に庫内下部に蓄冷ユニットが設置されたものにおいては、蓄冷剤に近い物品収納室の下部の温度と、加温ヒータで温められた空気が溜まっている物品収納室の上部の温度とでは、大幅な温度のバラツキが生じるし、また、下部収納物品の低温による凍結と上部収納物品の加温による劣化が同時に起こるという問題点を有していた。
【0005】
また、冷蔵温度帯設定時にも庫内がマイナス温度帯となる原因として、蓄冷ユニットの冷熱が物品収納室の内箱を伝導して物品収納室を輻射冷却することが最大であることが究明されており、これにより、物品収納室内の空気を加温ヒータにて加温したとしても、内箱壁面がマイナス温度であり、この内箱壁面に接触している収納物品やこの内箱壁面に近接している収納物品が凍結するという問題点を有していた。
【0006】
本発明の目的は前記従来の問題点に鑑み、内箱の冷熱伝導を抑制し、庫内を所望の温度に維持できる蓄冷式保冷庫を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、外箱と内箱との間に断熱材を充填して保冷庫本体を形成するとともに、保冷庫本体の下部を冷気吸込口及び冷気吹出口を除いて断熱性の仕切板で仕切り、仕切板の上方には物品を収納する物品収納室を、仕切板の下方には物品保冷用の蓄冷ユニットを設置した蓄冷室をそれぞれ形成する一方、保冷庫本体に蓄冷ユニットによる過剰冷却を防止する加温ヒータを設置した蓄冷式保冷庫において、内箱は蓄冷ユニットの冷熱を物品収納室に伝導し得るよう構成され、加温ヒータは内箱に直接接触させ、かつ、仕切板の近傍に対向して設置された構造となっている。
【0008】
請求項1の発明によれば、保冷庫本体を構成する内箱に加温ヒータの熱が直接に伝導し、この内箱からの輻射熱により加温される。従って、加温ヒータにより庫内空気を直接に加熱する従来の蓄冷式保冷庫と比較して、庫内全体が均一に加温され、庫内の温度むらが小さくなる。また、凍結状態となっている蓄冷ユニットから物品収納室への冷熱伝導が最も激しい箇所、即ち仕切板の近傍に加温ヒータが対向して設置されているため、この冷熱伝導を効率良く抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明は請求項1の蓄冷式保冷庫において、加温ヒータは前記内箱の裏面に設置した構造となっているため、加温ヒータに収納物品が直接に接触することがなく、収納物品が熱劣化することがない。
【0012】
請求項3の発明は請求項1又は請求項2の蓄冷式保冷庫において、加温ヒータの電源として商用電源とバッテリとを備え、商用電源遮断時に電源をバッテリに切り替える切替手段を有する構造となっているので、商用電源遮断後に起きる物品収納室の過剰冷却が防止される。
【0013】
請求項4の発明は請求項1〜請求項3の蓄冷式保冷庫において、加温ヒータへの電力量を物品収納室内温度を検知する温度センサの検知温度に基づき制御するので、物品収納室内温度に対応した適切なヒータ発熱量とすることができるし、また、従来の加温ヒータのオン・オフ制御の如く、熱負荷が小さいときに急激に温度上昇することがない。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4は本発明に係る蓄冷式保冷庫の一実施形態を示すもので、図1は蓄冷式保冷庫の斜視図、図2は蓄冷式保冷庫の断面図、図3は本発明の要部を示す断面図、図4は蓄冷式保冷庫の駆動回路図である。
【0015】
まず、本実施形態に係る蓄冷式保冷庫の用途を説明する。この蓄冷式保冷庫は、冷凍物品や冷蔵物品をトラック輸送等する際に使用されるもので、これらの物品を保冷された蓄熱式保冷庫に収納し、この蓄冷式保冷庫をトラック等に積載して、物品を所定箇所に宅配する宅配システムに使用されている。
【0016】
このような宅配システムで使用される蓄冷式保冷庫は、図1及び図2に示すように、内箱1aと外箱1bとを所定間隔をおいて配置し、各箱1a,1b間に発泡ウレタン等の断熱材1cを充填した外形直方体形状の保冷庫本体1を有する。この保冷庫本体1の上面には機械室2を有しており、この機械室2に圧縮機2a、凝縮器2b、凝縮器用ファン2c等で構成される冷却機器を設置する一方、保冷庫本体1の前面には開閉扉3が設置されている。
【0017】
また、この保冷庫本体1の内部はその下部を断熱性の仕切板4で上下に仕切り、この仕切板4の上方には冷凍物品或いは冷蔵物品を収納する物品収納室5を形成する一方、仕切板4の下方には蓄冷室6を形成し、この蓄冷室6に蓄冷ユニット7を配置している。
【0018】
この蓄冷ユニット7は蓄冷剤7aに冷却機器の一部を構成する蒸発器(パイプ状)7bを蛇行状に配置してなるもので、冷却機器を駆動するとき蓄冷剤7aが蒸発器7bで冷却され、蓄冷される構造となっている。
【0019】
一方、仕切板4はその前側に冷気吸込口8を開口するとともに、後側に冷気吹出口9を開口し、その他の部位は上下完全に仕切っている。この冷気吹出口9には物品収納室5に向かって延在された通風ダクト10が連通しており、この通風ダクト10の上方に庫内循環用ファン11を設置している。
【0020】
以上のように構成された蓄冷式保冷庫において、物品を保冷するときは、まず、冷却機器を駆動し蓄冷ユニット7の蓄冷剤7aに蓄冷する。この蓄冷が完了したときは冷却機器を停止し、しかる後、開閉扉3を開放して物品収納室5内に物品を収納する。この物品収納作業が終了した後、庫内循環用ファン11を駆動する。この庫内循環ファン11の駆動により物品収納室5内の空気が、冷気吸込口8→蓄冷室6→蓄冷ユニット7と順次循環し、この循環空気を冷却する。この冷却空気は冷気吹出口9→通風ダクト10→物品収納室5へと順次送風され、物品収納室5が保冷される。
【0021】
このように構成された蓄冷式保冷庫において、本実施形態では線状のコードヒータで構成された加温ヒータ12を保冷庫本体1の内箱1aに設置している。この設置構造を図3を参照して説明する。
【0022】
即ち、加温ヒータ12は保冷庫本体1の内箱1aで、仕切板4の周囲に対応する位置に配置されている。また、この内箱1aの裏面に接着されている。
【0023】
次に、本実施形態に係る蓄冷式保冷庫の電気回路を図4を参照して説明する。商用電源13には充電器14を通じてバッテリ15が接続し、商用電源13からの給電によりバッテリ15に充電するようになっている。また、商用電源13には直流電源装置16が接続しており、交流電流を直流電流に変換している。このバッテリ15及び直流電源装置16からの電力供給は、リレー内蔵の第1電源切替器17で択一に選択されるもので、リレーコイルに商用電源13が給電されているときは、直流電源装置16の電力が供給され、一方、商用電源13からの電力供給が遮断したときはバッテリ15の電力が供給されるようになっている。
【0024】
また、商用電源13にはオン・オフスイッチ18を介して圧縮機2aが接続されており、制御装置19からの制御信号に基づきオンオフ駆動する。この圧縮機2aのオンオフ駆動は蓄冷剤7aの温度を検出する蓄冷剤温度センサ20の検知温度に基づき制御されるもので、蓄冷剤7aの凍結温度(蓄冷剤が冷凍及び冷蔵共用のときは例えばー25℃)を目安に駆動制御される。
【0025】
更に、商用電源13とバッテリ15には交流式の加温ヒータ12が接続されており、この加温ヒータ12は電力調整器21により電力量が調整されるようになっている。この電力調整器21は物品収納室5の温度を検知する庫内温度センサ22の温度に基づき制御される。即ち、庫内温度センサ22に基づき物品収納室5内の温度が設定温度より低いときは加温ヒータ12への電力量を増加し、他方、高いときは電力量を低下させるようにしている。なお、この加温ヒータ12への通電制御は、第2電源切替器23により商用電源13又はバッテリ15の電源に切替られ、バッテリー15の電力が通電されるときは、インバータ23を介して交流に変換されて通電される。
【0026】
なお、庫内循環用ファン11及び凝縮器用ファン2cはそれぞれファン駆動回路24を通じて駆動される。ここで、このファン駆動回路24は制御装置19からの制御信号に基づき制御される。
【0027】
本実施形態によれば、蓄冷剤7aが冷蔵及び冷凍兼用となっており、凍結温度が例えばー25℃となっているものを使用した蓄冷式保冷庫において、物品収納室5内に冷蔵物品を収納するときでも、加温ヒータ12を内箱1aに直接接触させて設置しているため、加温ヒータ12の熱が内箱1aに直接に伝導し、この内箱1aからの輻射熱により加温される。従って、加温ヒータ12により庫内空気を直接に加熱する従来の蓄熱式保冷庫と比較して、物品収納室5全体が均一に加温され、庫内の温度むらが小さくなる。
【0028】
また、凍結状態となっている蓄冷ユニット7から物品収納室5への冷熱伝導が最も激しい箇所、即ち仕切板4の近傍に加温ヒータ12が設置されているため、蓄冷室6から物品収納室5への冷熱伝導を効率良く抑制することができる。
【0029】
更に、加温ヒータ12は内箱1aの裏面に設置した構造となっているため、加温ヒータ12に収納物品が直接に接触することがなく、収納物品が熱劣化することがない。
【0030】
更にまた、加温ヒータ12の電源として商用電源13とバッテリ15とを備え、商用電源遮断時に電源をバッテリ15に切り替える第1及び第2電源切替器17,23を有するため、商用電源遮断後に起きる物品収納室5の過剰冷却を防止できる。
【0031】
更にまた、加温ヒータ12への電力量を、物品収納室内温度を検知する庫内温度センサ22の検知温度に基づき制御するので、物品収納室内温度に対応した適切なヒータ発熱量とすることができるし、また、従来の加温ヒータのオン・オフ制御の如く、熱負荷が小さいときに急激に温度上昇することがない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、保冷庫本体を構成する内箱に加温ヒータの熱が直接に伝導し、この内箱からの輻射熱により加温されので、庫内全体が均一に加温され、庫内の温度むらが小さくなる。また、凍結状態となっている蓄冷ユニットから物品収納室への冷熱伝導が最も激しい箇所に加温ヒータが設置されているため、この冷熱伝導を効率良く抑制することができる。
【0034】
請求項2の発明によれば、加温ヒータは内箱の裏面に設置しているため、加温ヒータに収納物品が直接に接触することがなく、収納物品の熱劣化を防止できる。
【0035】
請求項3の発明によれば、加温ヒータの電源として商用電源とバッテリとを備え、商用電源遮断時に電源をバッテリに切り替える切替手段を有するので、商用電源遮断後に起きる物品収納室の過剰冷却を防止できる。
【0036】
請求項4の発明によれば、物品収納室内温度に対応した適切なヒータ発熱量とすることができるし、また、従来の加温ヒータのオン・オフ制御の如く、熱負荷が小さいときに急激に温度上昇することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄冷式保冷庫の斜視図
【図2】蓄冷式保冷庫の断面図
【図3】本発明の要部を示す断面図
【図4】蓄冷式保冷庫の駆動回路図
【符号の説明】
1…保冷庫本体、1a…内箱、1b…外箱、1c…断熱材、4…仕切板、5…物品収納室、7…蓄冷ユニット、8…冷気吸込口、9…冷気吹出口、12…加温ヒータ、13…商用電源、15…バッテリ、19…制御装置、21…電力調整器、22…庫内温度センサ。
Claims (4)
- 外箱と内箱との間に断熱材を充填して保冷庫本体を形成するとともに、該保冷庫本体の下部を冷気吸込口及び冷気吹出口を除いて断熱性の仕切板で仕切り、該仕切板の上方には物品を収納する物品収納室を、該仕切板の下方には物品保冷用の蓄冷ユニットを設置した蓄冷室をそれぞれ形成する一方、該保冷庫本体に該蓄冷ユニットによる過剰冷却を防止する加温ヒータを設置した蓄冷式保冷庫において、
前記内箱は前記蓄冷ユニットの冷熱を前記物品収納室に伝導し得るよう構成されるとともに、前記加温ヒータは該内箱に直接接触させ、かつ、前記仕切板の近傍に対向して設置された
ことを特徴とする蓄冷式保冷庫。 - 前記加温ヒータは前記内箱の裏面に設置したことを特徴とする請求項1記載の蓄冷式保冷庫。
- 前記加温ヒータの電源として商用電源とバッテリとを備え、該商用電源遮断時に電源をバッテリに切り替える切替手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の蓄冷式保冷庫。
- 前記加温ヒータへの電力量を、物品収納室内温度を検知する温度センサの検知温度に基づき制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の蓄冷式保冷庫。
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