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JP3660420B2 - シートスライド装置 - Google Patents

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JP3660420B2 JP08520196A JP8520196A JP3660420B2 JP 3660420 B2 JP3660420 B2 JP 3660420B2 JP 08520196 A JP08520196 A JP 08520196A JP 8520196 A JP8520196 A JP 8520196A JP 3660420 B2 JP3660420 B2 JP 3660420B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォークイン機構を有したシートスライド装置に関し、更に詳しくは、フロア上に並設される第1及び第2のロアレール,該第1及び第2のロアレールに摺動可能に係合し、シートが設けられる第1及び第2のアッパレールからなるシートトラックと、前記第1及び第2のロアレールの長手方向に沿って複数形成された被係合部,前記第1及び第2のアッパレールの長手方向に沿って配設される共に、前記第1及び第2のアッパレールに上下方向に回転可能に設けられ、端部に前記ロアレールの被係合部に係合可能な係合部が設けられた第1及び第2のロックレバー,該第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールと係合する方向に付勢する第1及び第2の付勢手段からなるロック機構と、ウォークイン操作が行われると、前記第1及び第2のロックレバーの前記第1及び第2のロアレールとの係合を解除して前記第1及び第2のアッパレールを前方へ移動させ、その後前記第1及び第2のアッパレールが後方に移動すると、前記第1及び第2のロアレールの所定の位置で、前記第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールへ再び係合させるウォークイン機構とを有したシートスライドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、シートスライド装置においては、ロック機構,ウォークイン機構の占めるスペースが小さくなる図4から図9に示す構成のものが用いられている。
【0003】
図において、図4は従来のシートトスライド装置の要部分解斜視図、図5は図4において組付け後のA-A断面図、図6は図4において組付け後のB-B断面図、図7は図4における側面構成図、図8は図7における要部拡大図、図9は図8における作動を説明する図、図10は図4において組付け後のウォークイン機構を除いたD方向矢視図である。
【0004】
尚、本従来例のシートスライド装置は、助手席のシート下面のアウタ側,インナ側に設けられるものであるが、構成は同一なので、アウタ側のシートスライド装置を用いて説明し、インナ側のシートスライド装置の説明は省略する。
【0005】
先ず、図5及び図6を用いてシートトラックの構成部品であるアッパレール及びロアレールの断面形状を説明する。
フロア側に固着されるロアレール11は、フロアと略平行に設けられた基底部12と、基底部12の一方の端部より折曲し、フロアから離れる方向に延出する第1の側壁部13と、基底部12の他方の端部より折曲し、フロアから離れる方向に延出し、第1の側壁部13と略同じ長さの第2の側壁部14と、第1の側壁部13の上方の端部から、基底部12と略平行に折曲し、第2の側壁部14方向へ延出する第1の天部15と、第2の側壁部14の上方の端部から、基底部12と略平行に折曲し、第1の側壁部13方向へ延出し、第1の天部と略同じ長さの第2の天部16と、第1の天部15の他方の端部から基底部方向12に折曲し、第1の側壁部13より長さが短い第1の垂下部17と、第2の天部16の他方の端部から基底部12方向に折曲し、第1の垂下部17と空間Sを介して対向し、第1の垂下部17と略同じ長さの第2の垂下部18とからなっている。
【0006】
そして、第1の垂下部17,第2の垂下部18のうちどちらか一方、本実施の形態例では第1の垂下部17には、ロアレール11の長手方向に沿って被係合部としてのロック突起19が複数形成されている。
【0007】
シートのシートクッションが設けられるアッパレール21は、第1のアッパレール22と第2のアッパレール23とから構成される。
第1のアッパレール22はロアレール11の第1の垂下部17,第2の垂下部18間に形成された空間Sを介してロアレール11内に挿入される第1の基部24と、第1の基部24から延出し、ロアレール11の第1の側壁部13,第1の天部15,第1の垂下部17で形成された空間S1まで延出する第1の延出部25とからなっている。
【0008】
一方、第2のアッパレール23は、ロアレール11の第1の垂下部15,第2の垂下部18間に形成された空間Sを介してロアレール11内に挿入される第2の基部26と、第2の基部26から延出し、ロアレール11の第2の側壁部14,第2の天部16,第2の垂下部18で形成された空間S2まで延出する第2の延出部27とからなっている。
【0009】
更に、第1のアッパレール22の第1の基部と、第2のアッパレール23の第2の基部26とは固着され、一体化されている。
そして、ロアレールの基底部12,第1の側壁部13及びアッパレール21の第1の延出部25間に配置された鋼球30と、ロアレールの基底部12,第2の側壁部14及びアッパレール21の第2の延出部27間に配置された鋼球31とにより、アッパレール21はロアレール11に対して摺動可能となっている。
【0010】
アッパレール21において、第1のアッパレール22の第1の基部24の下部と、第2のアッパレール23の第2の基部26の下部との間には、アッパレール21の長手方向に沿って空間S3が形成されている。
【0011】
又、アッパレール21の後部において、第1のアッパレール22の第1の基部24と、第2のアッパレール23の第2の基部26との間には、前述の空間S3の延出方向と直交する方向(上下方向)に延出し、空間S3に接続された空間S3′が形成されている。そして、アッパレール21は第3の付勢手段としての図示しないスプリングによって前方に付勢されている。
【0012】
次に、図4から図8を用いてシートスライド装置のロック機構の説明を行なう。41はアッパレール21の第1のアッパレール22と第2のアッパレール23との間に形成された空間S3に配設されるロックレバーである。このロックレバー41の略中間部には穴42が形成されている。
【0013】
そして、アッパレール21に形成された穴43とロックレバー41の穴42に係合し、フロアに対して平行に位置するピン44を用いて、ロックレバー41は上下方向に回転可能に設けられている。
【0014】
このロックレバー41の一方の回転端部(後端部)下部には、ロアレール11の突起10方向に折曲された折曲部45と、一方の回転端部上部には、アッパレール21の第1のアッパレール22と第2のアッパレール23との間に形成された空間S3′に嵌入する嵌合部46とが形成されている。
【0015】
折曲部45には、ロアレール11のロック突起19に係合可能な係合部材としてのロック穴47が形成されている。尚、本従来例の場合、第1のアッパレール22の第1の基部24,第1の延出部25において、ロックレバー41の折曲部45の移動範囲と干渉する部分は図6に示すように切りかかれている。
【0016】
一方、アッパレール21の第2のアッパレール23には穴43を中心とした円弧状の穴51が穿設されている。また、ロックレバー41の嵌合部46には、穴51を介して外部に突出する係止部52が形成されている。53は一端部が第2のアッパレール23に係止され、他端部がロックレバー41の係止部52に係止され、ロックレバー41のロック穴47が、ロアレール11のロック突起19に係合する方向に付勢する第1の付勢手段としてのスプリングである。
【0017】
ロックレバー41の他方の端部(前端部)は、他方のシートトラック方向に折曲され、先端には切り欠き溝63が形成されている。
アッパレール21の前部には、穴64が形成され、この穴64にハンドルバー70の一方の端部が回転可能に係合している。このハンドルバー70の他方の端部は、他方のシートトラックのアッパレール21の穴に回転可能に係合している。
【0018】
このハンドルバー70にはロックレバー41の切り欠き溝63が係合するクランク部71と、シート前縁に沿って延出する操作部72とが形成されている。
80はアッパレール21の後部に設けられ、図示しないシートのシートバックを前後方向に傾動可能とするリクライニング機構である。
【0019】
このリクライニング機構80は、アッパレール21側に固着された固定プレート80aと、固定プレート80aに固着されたヒンジピン81と、ヒンジ81に回転可能に設けられ、シートバックのフレームに取り付けられる回転プレート80bとからなっている。
【0020】
そして、内端部がヒンジピン81に係止され、中間部がヒンジピン81を巻回し、外端部が回転プレート80bの突起80cに係止されたスプリング82によって、シートのシートバックは前傾れ方向に付勢されている。
【0021】
83はヒンジピン81に回転可能に設けられたコントロールレバーである。そして、シートバックの前傾れ時には、リクライニング機構80の回転プレート80bの突起80cがコントロールレバー83の一方の回転端部を押し、コントロールレバー83はシートバックと共に、前傾れ方向に回転するようになっている。
【0022】
85はアッパレール21の第2のアッパレール23にピン86を用いて回転可能に取付けられたオープンレバーである。
オープンレバー85の一方の回転端部には、ロックレバー41の係止部52に当接可能な当接部87が形成され、他方の回転端部には、一端部がコントロールレバー83の他方の回転端部に係止された連結ロッド88の他端部が係止されている。
【0023】
更に、オープンレバー85には一端部がアッパレール21に係止された第3の付勢手段としてのスプリング89の他端部が係止され、オープンレバー85の当接部87がロックレバー41の係止部52より離れる方向に付勢している。
【0024】
アッパレール21の第1のアッパレール22には、ロックプレート91が設けられている。このロックプレート91には、板ばね92と、この板ばね92の先端部に設けられ、アッパレール21の第1及び第2のロアレール22,23に穿設された穴93を挿通してオープンレバー85の側面に対向可能なピン94とから構成される。
【0025】
更に、シートトラックの後部で、ロアレール11の第1の天部15上には、ロックプレート91の板ばね92の下部に形成されたガイド部92aが押接可能なガイドとしてのガイドプレート96が設けられている。このガイドプレート96は、アッパレール21と空間を介してアッパレール21と平行に延出する平行部96bと、平行部96bの前端より折曲してアッパレール21に向かって延出する傾斜部96aとから構成されている。
【0026】
尚、ガイドプレート96の平行部96bとアッパレール21との間隔は、ロックプレート91のガイド部92aがガイドプレート96の平行部96bに案内される時には、ピン94はオープンレバー85の側面に間隔を持って対向するような値に設定されている。そして、ロックプレート91のガイド部91aが傾斜部96aを通過してガイドプレート96より離反すると、ガイドプレート96のピン94がオープンレバー85の側面に押接可能なようにピン94の長さは設定されている。
【0027】
次に、上記構成のシートスライド装置のロック機構の作動を説明する。ロックレバー41のロック穴47はスプリング53により、ロアレール11のロック突起19に係合し、アッパレール21の摺動は禁止されている。
【0028】
ここで、スプリング53に付勢力に抗してハンドルバー70を上方に持ち上げると、ロックレバー41は、ピン44を中心に回転し、ロックレバー41の折曲部45側は下方に移動し、ロックレバー41のロック穴47のロアレール11のロック突起19への係合は解除される。よって、アッパレール21はロアレール11に対して摺動可能な状態となり、所望のシートトラック位置へアッパレール21は移動可能となる。
【0029】
所望の位置へのアッパレール21の移動が完了したならば、ハンドルバー70の操作力を解除する。すると、スプリング53の付勢力によってロックレバー41も元の位置に復帰し、ロックレバー41のロック穴47が、ロアレール11のロック突起19に係合し、アッパレール21の摺動は再び禁止される。
【0030】
次に、上記実施の形態例のウォークイン機構の作動を説明する。シートに着座しない状態で、リクライニング機構の操作レバー又は、ウォークインペダルを操作すると、リクライニング機構がアンロック状態となり、スプリング82の付勢力によりシートバックが最前傾位置に向かって前傾れする。
【0031】
すると、コントロールレバー83も図7において、反時計方向に回転し、連結ロッド88を介して、オープンレバー85もスプリング89の付勢力に抗して反時計方向に回転する。そして、図8及び図9に示すように、オープンレバー85の当接部87がロックレバー41の係止部52を押し、ロックレバー41のロック穴47とロアレール11の突起10との係合が解除され、シートトラックはアンロック状態となり、アッパレール21は第3の付勢手段としての図示しないスプリングの付勢力によって最前位置まで移動する。
【0032】
この時、オープンレバー85が反時計方向に回転することにより、ロックプレート91のピン94とオープンレバー85との押接状態が解除され、ピン94はオープンレバー85の移動範囲内に飛出し、オープンレバー85の元位置への復帰を禁止する。
【0033】
次に、シートバックを起こし、シートを後方に向かって移動させると、ロックプレート91のガイド部92aがガイドプレート96の傾斜部96aを通過し、平行部96bに至ると、板ばね92が撓み、ピン94が引き込まれ、オープンレバー85はスプリング89の付勢力により、元位置に復帰する。この時、オープンレバー85の当接部87のロックレバー41の係止部52を押す状態が解除され、ロックレバー41のロック穴47がロアレール11の突起10との係合し、シートトラックのロック状態となり、それ以上のシートの移動が禁止される。
【0034】
尚、本明細書では、ウォークイン解除後、シートを後方へ移動させ、ガイドプレート96の位置で、シートトラックのロックを行うことを「メモリー復帰」という。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成のシートスライド装置においては、メモリー復帰を行う機構、即ち、ガイドプレート96,ロックプレート91をアウタ側,インナ側の両方のシートトラックに設けているので、部品点数が多いという問題点がある。
【0036】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、部品点数が少なくなるシートスライド装置を提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、フロア上に並設される第1及び第2のロアレール,該第1及び第2のロアレールに摺動可能に係合し、シートが設けられる第1及び第2のアッパレールからなるシートトラックと、
前記第1及び第2のロアレールの長手方向に沿って複数形成された被係合部,前記第1及び第2のアッパレールの長手方向に沿って配設される共に、前記第1及び第2のアッパレールに上下方向に回転可能に設けられ、端部に前記ロアレールの被係合部に係合可能な係合部が設けられた第1及び第2のロックレバー,該第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールと係合する方向に付勢する第1及び第2の付勢手段からなるロック機構と、
ウォークイン操作が行われると、前記第1及び第2のロックレバーの前記第1及び第2のロアレールとの係合を解除して前記第1及び第2のアッパレールを前方へ移動させ、その後前記第1及び第2のアッパレールが後方に移動すると、前記第1及び第2のロアレールの所定の位置で、前記第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールへ再び係合させるウォークイン機構と、
を有したシートスライド装置において、
前記ウォークイン機構は、
前記第1及び第2のアッパレールを前方に付勢する第3の付勢手段と、
前記第1のロアレールへの係合を解除する方向に前記第1のロックレバーを押圧する第1のオープンレバーと、
前記第2のロックレバーの係合部と前記第2のロアレールの被係合部との係合を解除する方向へ前記第2のロックレバーを押圧する第2のオープンレバーと、
前記第1及び第2のオープンレバーを前記第1及び第2のロックレバーから離反する方向に付勢する第4及び第5の付勢手段と、
前記第1のロックレバー押圧時の前記第1のオープンレバーに、係脱可能なストッパと、
前記第1のロアレールに設けられ、前記ストッパを前記第1のオープンレバーに係合する位置と前記第1のオープンレバーから離脱する位置とに案内するガイドと、
前記第1のアッパレール側に設けられ、前記シートのシートバックの前傾により回転するコントロールレバーと、
該コントロールレバーの動きを前記第1のオープンレバーに伝達する連結ロッドと、
前記コントロールレバーの動きを前記第2のオープンレバーに伝達するケーブルと、
からなるものである。
【0038】
まず、所望のシートトラックポジションを得るためロック機構を操作すると、第1及び第2の付勢手段に抗して、第1及び第2のロックレバーが移動し、第1及び第2のロックレバーと第1及び第2のロアレールとの係合が解除される。すると、第1及び第2のアッパレールは第1及び第2のロアレールに対して摺動可能となり、所望のシートトラックポジション迄移動可能となる。
【0039】
所望のシートトラックポジションが得られたならば、第1及び第2のロックレバーへの操作を解除する。すると、付勢手段に付勢力により、第1及び第2のロックレバーは再び第1及び第2のロアレールに係合し、第1及び第2のアッパレールの第1及び第2のロアレールに対する摺動が禁止される。
【0040】
ウォークイン操作を行うと、シートが前傾し、コントロールレバーも回転する。コントロールレバーの動きは、連結ロッドを介して第1のオープンレバーに伝達され、第1のオープンレバーも第4の付勢手段に付勢力に抗して駆動される。そして、第1のオープンレバーは第1の付勢手段の付勢力に抗して第1のロックレバーを押圧し、第1のロアレールとの係合が解除される。このとき、ストッパが第1のオープンレバーに係合し、第1のオープンレバーの元位置への復帰を禁止する。
また、同時に、オープンレバーの動きは、ケーブルを介して、第2のオープンレバーへも伝達され、第2のオープンレバーは第5の付勢手段の付勢力に抗し駆動される。そして、第2のロックレバーは第2の付勢手段の付勢力に抗して、第2のロックレバーを押圧して、第2のロアレールとの係合が解除される。
第1及び第2のロックレバーと、第1及び第2のロアレールとの係合が解除されたことにより、第1の及び第2のアッパレールは第1及び第2のロアレールに対して摺動可能な状態となり、第3の付勢手段の付勢力により、シートは前方へ移動し、後席との間隔が開く。
【0041】
次に、前方へ移動したシートを後方へ移動させると、ガイドによってストッパが第1のオープンレバーより離脱し、第4及び第5の付勢手段の付勢力により、第1及び第2のオープンレバーは第1及び第2のロックレバーより離反し、第1及び第2のロックレバーは第1及び第2の付勢手段の付勢力により、第1及び第2のロアレールに係合し、それ以上の第1及び第2のアッパレールの移動が禁止される。
【0042】
ウォークイン機構の第1のロックレバーに対する駆動をケーブルを介して第2のロックレバーに伝達するようにしたことにより、第2のロアレール,アッパレールからなるシートトラック側に、ウォークイン機構を操作した場合の第2のロックレバーへの操作力の伝達機構と、所定の位置で第2のロックレバーを第2のロアレールに係合させる機構とが不要となり、部品点数の削減が図れる。
【0043】
また、伝達手段として、ケーブルを用いたことにより、省スペースで、部品点数が少なくなり、組み付けも簡単である。
【0047】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のシートスライド装置の一実施の形態例のアウタ側の構成図、図2は本発明のシートの一実施の形態例のインナ側の構成図、図3は図1及び図2における要部のみの構成図である。尚、図1から図3において、従来例で説明を行ったシートスライド装置と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。また、インナ側の部材で、アウタ側の部材と同一部材には、アウタ側の部材の番号に「′(ダッシュ)」を加えた番号で示す。
【0048】
アウタ側の構成の構成を示す図1において、100は中空のアウタケーブル100aと、アウタケーブル100a内を挿通するインナケーブル100bとからなるケーブルである。アウタケーブル100aの一方の端部は、金具101を用いてコントロールレバー102の近傍のアッパレール21に固着されている。
【0049】
更に、インナケーブル100bの一方の端部は、コントロールレバー102の他方の端部に係止されている。
次に、インナ側の構成を示す図2において、ケーブル100のアウタケーブル100aの他方の端部が、金具103を用いてオープンレバー104近傍のアッパレール23′の近傍に取り付けられている。そして、インナケーブル100bの他方の端部は、オープンレバー104の回転端部に係止されている。
【0050】
次に、上記構成のシートトラックのロック機構の作動を説明する。ロックレバー41,41′のロック穴47,47′はスプリング53,53′により、ロアレール11,11′のロック突起19,19′(ロック突起19′は図示せず)に係合し、アッパレール21,21′の摺動は禁止されている。
【0051】
ここで、スプリング53,53′に付勢力に抗してハンドルバー70の操作部72を上方に持ち上げると、ロックレバー41,41′は、ピン44,44′を中心に回転し、ロックレバー41,41′の折曲部45,45′側は下方に移動し、ロックレバー41,41′のロック穴47,47′のロアレール11,11′のロック突起19,19′への係合は解除される。よって、アッパレール21,21′はロアレール11,11′に対して摺動可能な状態となり、所望のシートトラック位置へアッパレール21,21′は移動可能となる。
【0052】
所望の位置へのアッパレール21,21′の移動が完了したならば、ハンドルバー70への操作力を解除する。すると、スプリング53,53′の付勢力によってロックレバー41,41′も元の位置に復帰し、ロックレバー41,41′のロック穴47,47′が、ロアレール11,11′のロック突起19,19′に係合し、アッパレール21,21′の摺動は再び禁止される。
【0053】
次に、上記実施の形態例のウォークイン機構の作動を説明する。シートバックに着座しない状態で、リクライニング機構の操作レバー又は、ウォークインペダルを操作すると、リクライニング機構がアンロック状態となり、スプリング82,82′の付勢力によりシートバックが最前傾位置に向かって前傾れする。
【0054】
すると、アウタ側のコントロールレバー102が図1において、反時計方向に回転し、連結ロッド88を介して、オープンレバー85もスプリング89の付勢力に抗して反時計方向に回転する。そして、オープンレバー85の当接部87がロックレバー41の係止部52を押し、ロックレバー41のロック穴47とロアレール11の突起10との係合が解除され、アウタ側のシートトラックはアンロック状態となる。
【0055】
この時、オープンレバー85が反時計方向に回転することにより、ロックプレート91のピン94とオープンレバー85との押接状態が解除され、ピン94はオープンレバー85の移動範囲内に飛出し、オープンレバー85の元位置への復帰を禁止する。
【0056】
同時に、コントロールレバー102の回転は、ケーブル100のインナケーブル100bを介してインナ側のオープンレバー104に伝達される。そして、インナ側のオープンレバー104の当接部105が、ロックレバー41′の係止部52′を押し、ロックレバー41′のロック穴47′とロアレール11′の突起10′との係合が解除され、インナ側のシートトラックもアンロック状態となる。
【0057】
アウタ側及びインナ側のシートトラックがアンロック状態になるので、アッパレール21,21′は、第3の付勢手段としての図示しないスプリングの付勢力によって最前位置まで移動し、後席との間隔が広く開く。
【0058】
次に、シートバックを起こし、シートを後方に向かって移動させると、ロックプレート91のガイド部92aがガイドプレート96の傾斜部96aを通過し、平行部96bに紙樽と、板ばね92が外側に撓み、ピン94が引き込まれ、オープンレバー85はスプリング89の付勢力により、元位置に復帰する。この時、オープンレバー85の当接部87のロックレバー41の係止部52を押す状態が解除され、ロックレバー41のロック穴47がロアレール11の突起10との係合しアウタ側のシートトラックのロック状態となる。
【0059】
オープンレバー85が元位置に復帰することにより、連結ロッド88を介してコントロールレバー102も元位置に復帰する。このコントロールレバー102の復帰は、ケーブル100のインナケーブル100bを介して、インナ側のオープンレバー104に伝達され、オープンレバー104も元位置に復帰する。オープンレバー104が元位置に復帰すると、オープンレバー104の当接部105がロックレバー41′の係止部52′を押す状態が解除され、ロックレバー41′のロック穴47′がロアレール11′の突起10′とに係合し、インナ側のシートトラックもロック状態となり、それ以上のシートの移動が禁止される。
【0060】
上記構成によれば、アウタ側のロック機構を駆動するアウタ側のコントロールレバー102の動きをケーブル100を介してインナ側のロック機構のオープンレバー104に伝達するようにしたことにより、アウタ側のシートスライドに設けられるコントロールレバー102,連結ロッド88,ガイドプレート96,ロックプレート91がインナ側のシートスライドには不要となり、即ち、ウォークイン機構を操作した場合の第2のロックレバー41′への操作力の伝達機構と、所定の位置で第2のロックレバーを第2のロアレールに係合させる機構とが不要となり、部品点数の削減が図れる。
【0061】
また、アウタ側からインナ側への操作力の伝達手段として、ケーブル100を用いたことにより、省スペースで、リンク等の伝達手段を用いる場合に比べて部品点数が少なくなり、組付も簡単となる。
【0062】
更に、シートトラックのロック機構として、アッパレール21内に回転可能に設けたロックレバー41を用いたことにより、ロック機構がコンパクトになる。
更に、シートの前面にわたって、ハンドルバー70の操作部72があるので、操作性がよい。
【0063】
尚、本発明は上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、ケーブル100のインナワイヤ100bをアウタ側では、コントロールレバー102に接続したが、これに限定するものではなく、オープンレバー85に接続するようにしてもよい。
【0064】
更に、上記実施の形態例で、アウタ側の機構をインナ側に、インナ側の機構をアウタ側にそれぞれ入れ替えてもよい。
また、シートトラックのロック機構も上記実施の形態例に限定するものでない。上記実施の形態例では、ロアレール11側の被係合部として突起10、アッパレール21のロックレバー41の係合部としてロック穴47を用いて説明を行ったが、ロアレール側にロック穴をアッパレールのロックレバー41に突起を設けてもよい。
【0065】
以上述べたように発明のシートスライド装置によれば、フロア上に並設される第1及び第2のロアレール,該第1及び第2のロアレールに摺動可能に係合し、シートが設けられる第1及び第2のアッパレールからなるシートトラックと、前記第1及び第2のロアレールの長手方向に沿って複数形成された被係合部,前記第1及び第2のアッパレールの長手方向に沿って配設される共に、前記第1及び第2のアッパレールに上下方向に回転可能に設けられ、端部に前記ロアレールの被係合部に係合可能な係合部が設けられた第1及び第2のロックレバー,該第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールと係合する方向に付勢する第1及び第2の付勢手段からなるロック機構と、ウォークイン操作が行われると、前記第1及び第2のロックレバーの前記第1及び第2のロアレールとの係合を解除して前記第1及び第2のアッパレールを前方へ移動させ、その後前記第1及び第2のアッパレールが後方に移動すると、前記第1及び第2のロアレールの所定の位置で、前記第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールへ再び係合させるウォークイン機構と、を有したシートスライド装置において、前記ウォークイン機構は、前記第1及び第2のアッパレールを前方に付勢する第3の付勢手段と、前記第1のロアレールへの係合を解除する方向に前記第1のロックレバーを押圧する第1のオープンレバーと、前記第2のロックレバーの係合部と前記第2のロアレールの被係合部との係合を解除する方向へ前記第2のロックレバーを押圧する第2のオープンレバーと、前記第1及び第2のオープンレバーを前記第1及び第2のロックレバーから離反する方向に付勢する第4及び第5の付勢手段と、前記第1のロックレバー押圧時の前記第1のオープンレバーに、係脱可能なストッパと、前記第1のロアレールに設けられ、前記ストッパを前記第1のオープンレバーに係合する位置と前記第1のオープンレバーから離脱する位置とに案内するガイドと、前記第1のアッパレール側に設けられ、前記シートのシートバックの前傾により回転するコントロールレバーと、該コントロールレバーの動きを前記第1のオープンレバーに伝達する連結ロッドと、前記コントロールレバーの動きを前記第2のオープンレバーに伝達するケーブルと、から構成したことにより、第2のロアレール,アッパレールからなるシートトラック側に、ウォークイン機構を操作した場合の第2のロックレバーへの操作力の伝達機構と、所定の位置で第2のロックレバーを第2のロアレールに係合させる機構とが不要となり、部品点数の削減が図れる。
【0066】
また、伝達手段として、ケーブルを用いたことにより、省スペースで、部品点数が少なくなり、組み付けも簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートスライド装置の一実施の形態例のアウタ側の構成図である。
【図2】本発明のシートシートスライド装置の一実施の形態例のインナ側の構成図である。
【図3】図1及び図2における要部のみの構成図である。
【図4】従来のシートスライド装置の要部分解斜視図である。
【図5】図4において組付け後のA-A断面図である。
【図6】図4において組付け後のB-B断面図である。
【図7】図4における側面構成図である。
【図8】図7における要部拡大図である。
【図9】図8における作動を説明する図である。
【図10】図4において組付け後のウォークイン機構を除いたD方向矢視図である。
【符号の説明】
10 突起(被係合部)
11 ロアレール
21 アッパレール
41 ロックレバー
47 ロック穴(係合部)
53 スプリング(第1及び第2の付勢手段)
85 オープンレバー
89 スプリング(第4及び第5の付勢手段)
91 ロックプレート
94 ピン
96 ガイドプレート
100 ケーブル

Claims (1)

  1. フロア上に並設される第1及び第2のロアレール,該第1及び第2のロアレールに摺動可能に係合し、シートが設けられる第1及び第2のアッパレールからなるシートトラックと、
    前記第1及び第2のロアレールの長手方向に沿って複数形成された被係合部,前記第1及び第2のアッパレールの長手方向に沿って配設される共に、前記第1及び第2のアッパレールに上下方向に回転可能に設けられ、端部に前記ロアレールの被係合部に係合可能な係合部が設けられた第1及び第2のロックレバー,該第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールと係合する方向に付勢する第1及び第2の付勢手段からなるロック機構と、
    ウォークイン操作が行われると、前記第1及び第2のロックレバーの前記第1及び第2のロアレールとの係合を解除して前記第1及び第2のアッパレールを前方へ移動させ、その後前記第1及び第2のアッパレールが後方に移動すると、前記第1及び第2のロアレールの所定の位置で、前記第1及び第2のロックレバーを前記第1及び第2のロアレールへ再び係合させるウォークイン機構と、
    を有したシートスライド装置において、
    前記ウォークイン機構は、
    前記第1及び第2のアッパレールを前方に付勢する第3の付勢手段と、
    前記第1のロアレールへの係合を解除する方向に前記第1のロックレバーを押圧する第1のオープンレバーと、
    前記第2のロックレバーの係合部と前記第2のロアレールの被係合部との係合を解除する方向へ前記第2のロックレバーを押圧する第2のオープンレバーと、
    前記第1及び第2のオープンレバーを前記第1及び第2のロックレバーから離反する方向に付勢する第4及び第5の付勢手段と、
    前記第1のロックレバー押圧時の前記第1のオープンレバーに、係脱可能なストッパと、
    前記第1のロアレールに設けられ、前記ストッパを前記第1のオープンレバーに係合する位置と前記第1のオープンレバーから離脱する位置とに案内するガイドと、
    前記第1のアッパレール側に設けられ、前記シートのシートバックの前傾により回転するコントロールレバーと、
    該コントロールレバーの動きを前記第1のオープンレバーに伝達する連結ロッドと、
    前記コントロールレバーの動きを前記第2のオープンレバーに伝達するケーブルと、
    からなることを特徴とするシートスライド装置。
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