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JPWO2017002494A1 - N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法 - Google Patents

N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法 Download PDF

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JPWO2017002494A1
JPWO2017002494A1 JP2017526221A JP2017526221A JPWO2017002494A1 JP WO2017002494 A1 JPWO2017002494 A1 JP WO2017002494A1 JP 2017526221 A JP2017526221 A JP 2017526221A JP 2017526221 A JP2017526221 A JP 2017526221A JP WO2017002494 A1 JPWO2017002494 A1 JP WO2017002494A1
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Abstract

N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解する熱分解工程を有するN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法とする。2−オキシエチルアミンと、アシル化合物とを反応させることにより、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成することが好ましい。

Description

本発明は、凝集剤、増粘剤、接着剤等に利用されるN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法に関する。
本出願は、2015年7月2日に日本に出願された特願2015−133471に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、N−ビニルカルボン酸アミドは、凝集剤、増粘剤、接着剤等に利用されている。N−ビニルカルボン酸アミドを製造する方法としては、以下に示す方法が知られている。
例えば、特許文献1には、カプロラクタムとアセチレンとをアルカリ金属水酸化物を触媒として反応させるN−ビニルカプロラクタムの製造方法が記載されている。
特許文献2には、以下に示す方法が提案されている。カルボン酸アミド、アセトアルデヒド、アルコールを原料とし、N−(α−アルコキシエチル)−カルボン酸アミドを合成する。N−(α−アルコキシエチル)−カルボン酸アミは、N−ビニルカルボン酸アミドの製造のための中間生成物である。これを熱分解することによりN−ビニルカルボン酸アミドに変換する。
特許文献3では、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−アルキルカルボン酸アミドを、酸化物触媒の存在下で気相分子内脱水反応する。このことにより、N−ビニル−N−アルキルカルボン酸アミドを製造する方法が記載されている。
特開平11−60558号公報 特公平6−17351号公報 特許第2660169号公報
しかしながら、従来のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法では、解決すべき問題点があった。
具体的には、特許文献1に記載の製造方法では、原料の1つとしてアセチレンを使用する必要がある。アセチレンは、極めて広い燃焼範囲(爆発範囲)を有する引火性ガスである。アセチレンは、高圧下または特定の金属との接触で爆発する危険性の高いガスである。このため、アセチレンは、貯蔵および取扱い方法が厳しく制限されている。
また、特許文献2に記載の方法では、N−ビニルカルボン酸アミドを得る際に、中間体であるN−(α−アルコキシエチル)−カルボン酸アミドを合成する。この原料となるアセトアミド、アセトアルデヒド、アルコールについては、厳しい管理が必要であったり入手が困難であったりする場合がある。
特許文献3に記載の製造方法では、アセチレンおよび/またはアセトアルデヒドを用いない。しかし、特許文献3に記載の製造方法は、N−ビニル−N−アルキルカルボン酸アミドを合成する方法である。特許文献3には、N−ビニルカルボン酸アミドを合成する方法は記載されていない。
一般に、N−ビニル−N−アルキルカルボン酸アミドとN−ビニルカルボン酸アミドとでは、反応性が異なる。このため、N−ビニル−N−アルキルカルボン酸アミドの製造方法を、N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法にも用いることができるとは限らない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安全性が高く、取扱いの容易な原料を用いて、N−ビニルカルボン酸アミドを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した。
その結果、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解することにより、N−ビニルカルボン酸アミドを製造できることを見出した。前記N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、安価で容易に入手可能な2−オキシエチルアミンとアシル化合物から合成できる。
なお、本発明において、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドとは、2−オキシエチル基がアミド窒素原子に結合した前記アミド化合物である。2−オキシエチル基とは、エチル基の2位の炭素原子に酸素原子が単結合で結合し、その酸素原子にさらに1価有機基(R−)または水素原子が結合した置換基である。2−オキシエチル基は、R−O−CHCH−またはH−O−CHCH−で表される。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、以下のとおりである。
[1] 一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解する熱分解工程を行うことにより、一般式(2)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを製造することを特徴とするN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
Figure 2017002494
(一般式(1)中、Rは水素原子および炭素数1〜6の炭化水素基からなる群より選ばれるいずれか1種である。Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜7のアシル基からなる群より選ばれるいずれか1種である。)
Figure 2017002494
(一般式(2)中、Rは前記一般式(1)と同じである。)
[2] 前記固体触媒が、一般式(3)で表される酸化物である[1]に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
‥(3)
(一般式(3)中、AはAl、Si、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、NbおよびTaから選ばれるいずれか1種である。Bはアルカリ金属元素であり、Oは酸素である。x、y、zは各元素の原子数であり、x>0、y≧0、z={(Aの価数×x)+(Bの価数×y)}/2である。)
[3] 前記一般式(3)中のAがY、Ce、ZrおよびHfから選ばれるいずれか1種である[2]に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
[4] 前記一般式(3)においてy=0である[2]または[3]に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
[5] 前記一般式(3)中のAがAlおよびSiから選ばれるいずれか1種である[2]に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
[6] 前記熱分解工程の前に、前記N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成する合成工程を有し、
前記合成工程が、一般式(4)で表される2−オキシエチルアミンと、一般式(5)で表されるアシル化合物とを反応させることにより、前記N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成する工程である[1]〜[5]のいずれかに記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
Figure 2017002494
(一般式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜7のアシル基からなる群より選ばれるいずれか1種である。)
Figure 2017002494
(一般式(5)中、Rは前記一般式(1)と同じである。Xは塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれるいずれか1種である。)
[7] 前記2−オキシエチルアミンが、2−アミノエタノールである[6]に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
[8] 前記一般式(5)中のXが炭素数1〜6のアルコキシ基である[6]に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
[9] 前記一般式(1)中のRが水素原子である[1]に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
[10] 前記熱分解工程の反応温度が200℃〜400℃である、[1]〜[9]のいずれかに記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
本発明の製造方法では、上記一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解する。このことにより、目的物である上記一般式(2)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドが得られる。一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、アセチレンと比較して、安全性が高く、取扱いが容易である。また、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、入手の容易な原料である2−オキシエチルアミンとアシル化合物とを反応させる方法により、容易に合成でき、入手が容易である。
したがって、本発明の製造方法によれば、低環境負荷で安全かつ容易にN−ビニルカルボン酸アミドを製造できる。
以下、本発明のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法について、詳細に説明する。
(熱分解工程)
本実施形態のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法は、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解する熱分解工程を有する。
「N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミド」
本実施形態の製造方法においては、熱分解される熱分解原料として、下記一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを用いる。一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、例えば、アセチレンと比較して安全性が高く、取扱いが容易である。また、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、後述する方法により、容易に合成できる。
Figure 2017002494
(一般式(1)中、Rは水素原子および炭素数1〜6の炭化水素基からなる群より選ばれるいずれか1種である。Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜7のアシル基からなる群より選ばれるいずれか1種である。)
一般式(1)中のRとしては、上記の中でも、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基からなる群より選ばれるいずれか1種であることが好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
一般式(1)中のRとしては、上記の中でも、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基からなる群より選ばれるいずれか1種であることが好ましく、水素原子またはアセチル基であることがさらに好ましい。
一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドとしては、N−(2−オキシエチル)ホルムアミド、N−(2−オキシエチル)アセトアミド、N−(2−オキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−オキシエチル)ベンズアミドが好ましい。
これらの化合物は、容易に合成可能であるため、簡便に入手でき、より好ましい。
これらの化合物としては、具体的には、N−(2−ヒドロキシエチル)ホルムアミド、N−(2−メトキシエチル)ホルムアミド、N−(2−エトキシエチル)ホルムアミド、N−(2−プロポキシエチル)ホルムアミド、N−(2−イソプロポキシエチル)ホルムアミド、N−(2−ブトキシエチル)ホルムアミド、N−(2−イソブトキシエチル)ホルムアミド、N−(2−sec−ブトキシエチル)ホルムアミド、N−(2−tert−ブトキシエチル)ホルムアミド、N−(2−フェノキシエチル)ホルムアミド、N−(2−ホルミルオキシエチル)ホルムアミド、N−(2−アセトキシエチル)ホルムアミド、N−(2−プロピオニルオキシエチル)ホルムアミド、N−(2−ベンゾイルオキシエチル)ホルムアミド、
N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、N−(2−メトキシエチル)アセトアミド、N−(2−エトキシエチル)アセトアミド、N−(2−プロポキシエチル)アセトアミド、N−(2−イソプロポキシエチル)アセトアミド、N−(2−ブトキシエチル)アセトアミド、N−(2−イソブトキシエチル)アセトアミド、N−(2−sec−ブトキシエチル)アセトアミド、N−(2−tert−ブトキシエチル)アセトアミド、N−(2−フェノキシエチル)アセトアミド、N−(2−ホルミルオキシエチル)アセトアミド、N−(2−アセトキシエチル)アセトアミド、N−(2−プロピオニルオキシエチル)アセトアミド、N−(2−ベンゾイルオキシエチル)アセトアミド、
N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−メトキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−エトキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−プロポキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−イソプロポキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−ブトキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−イソブトキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−sec−ブトキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−tert−ブトキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−フェノキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−ホルミルオキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−アセトキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−プロピオニルオキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−ベンゾイルオキシエチル)プロピオンアミド、
N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド、N−(2−メトキシエチル)ベンズアミド、N−(2−エトキシエチル)ベンズアミド、N−(2−プロポキシエチル)ベンズアミド、N−(2−イソプロポキシエチル)ベンズアミド、N−(2−ブトキシエチル)ベンズアミド、N−(2−イソブトキシエチル)ベンズアミド、N−(2−sec−ブトキシエチル)ベンズアミド、N−(2−tert−ブトキシエチル)ベンズアミド、N−(2−フェノキシエチル)ベンズアミド、N−(2−ホルミルオキシエチル)ベンズアミド、N−(2−アセトキシエチル)ベンズアミド、N−(2−プロピオニルオキシエチル)ベンズアミド、N−(2−ベンゾイルオキシエチル)ベンズアミドなどが挙げられる。
これらの一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの中でも、特に、N−(2−ヒドロキシエチル)ホルムアミド、N−(2−ホルミルオキシエチル)ホルムアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、N−(2−アセトキシエチル)アセトアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−プロピオニルオキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド、N−(2−ベンゾイルオキシエチル)ベンズアミドが好ましい。
これらの化合物は、入手および取り扱いが容易で安価である2−アミノエタノールと、1種のみのアシル化合物との反応により合成可能であるため、より簡便に入手でき、好ましい。
さらに、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、一般式(1)中のRが水素原子であるN−(2−ヒドロキシエチル)カルボン酸アミドであることが好ましい。
N−(2−ヒドロキシエチル)カルボン酸アミドとしては、具体的には、N−(2−ヒドロキシエチル)ホルムアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミドなどが挙げられる。
これらのN−(2−ヒドロキシエチル)カルボン酸アミドは、2−アミノエタノールとカルボン酸エステルとの反応により、溶媒および触媒といった第3の物質を用いることなく、容易に高収率で合成できるため、好ましい。しかも、N−(2−ヒドロキシエチル)カルボン酸アミドの原料として用いる2−アミノエタノールおよびカルボン酸エステルは、ともに入手および取り扱いが容易で安価であり、好ましい。
「固体触媒」
本発明のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法では、熱分解工程において、固体触媒を用いる。固体触媒は、例えば、以下の点から、工業的に利用しやすく、好ましい。固体触媒は、管状の反応器に充填し、反応器内に熱分解原料を通過させることにより、連続的に熱分解工程を実施できる点。固体触媒は、熱分解工程によって生成した目的物を含む反応液中に溶出しないため、反応液からの目的物の分離が容易である点。固体触媒は、交換が容易である点。
固体触媒としては、酸化物を用いることが好ましい。酸化物は、高温で熱分解工程を行っても融解や分解を起こしにくく、優れた安定性を有しているため、固体触媒として好適である。
固体触媒に用いる酸化物としては、アルミニウム、ケイ素、周期表のランタニド(ランタノイド)元素を含む第3族、第4族または第5族から選ばれる元素の単独酸化物、またはそれら単独酸化物にアルカリ金属の酸化物を担持した複合酸化物を用いることが好ましい。
固体触媒は、一般式(3)で表される酸化物であることがより好ましい。
‥(3)
(式(3)中、AはAl、Si、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、NbおよびTaから選ばれるいずれか1種である。Bはアルカリ金属元素であり、Oは酸素である。x、y、zは各元素の原子数であり、x>0、y≧0、z={(Aの価数×x)+(Bの価数×y)}/2である。)
固体触媒として用いる単独酸化物(一般式(3)においてy=0の場合)としては、具体的には、活性アルミナ(Al)、シリカゲル(SiO)、酸化スカンジウム(III)、酸化イットリウム(III)、酸化ランタン(III)、酸化セリウム(IV)、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)、酸化バナジウム(V)、酸化ニオブ(V)、酸化タンタル(V)などが挙げられる。
これらの中でも、N−ビニルカルボン酸アミドが高収率で得られるため、単独酸化物としては、前記一般式(3)のAが周期表のランタニド元素を含む第3族または第4族の元素であるものが好ましく、中でもAがY、Ce、ZrまたはHfから選ばれる1種であるものが好ましい。さらに、単独酸化物として、酸化イットリウム(III)、酸化セリウム(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化ハフニウム(IV)を用いることが好ましく、特に、酸化ジルコニウムを用いることが好ましい。
固体触媒として用いる複合酸化物(一般式(3)においてy≠0の場合)としては、上記の単独酸化物に、以下に示すアルカリ金属の酸化物を担持した複合酸化物が挙げられる。アルカリ金属の酸化物としては、具体的には、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウムなどが挙げられ、中でも特に、酸化ナトリウムが好ましい。複合酸化物に含まれるアルカリ金属元素の酸化物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
一般式(3)で表される酸化物が複合酸化物(y≠0)である場合、一般式(3)中のAとBの原子数の比x/yは、好ましくは1≦x/y≦1000、より好ましくは5≦x/y≦100である。
このような複合酸化物としては、例えば、酸化ナトリウム担持シリカゲル(Si20Na41(一般式(3)中のx=20、y=2))、酸化ナトリウム担持酸化ジルコニウム(Zr20Na41(一般式(3)中のx=20、y=2))、酸化ナトリウム担持活性アルミナ(Al20Na31(一般式(3)中のx=20、y=2))などが挙げられる。これらの中でも、N−ビニルカルボン酸アミドが高収率で得られるため、酸化ナトリウム担持シリカゲル(Si20Na41)を用いることが好ましい。
固体触媒として用いる複合酸化物の調製方法は、特に制限はなく、例えば、次のような調製方法が例示できる。
上述した単独酸化物の固体に、アルカリ金属水酸化物の水溶液を含浸させ、湯浴上で加熱する。このことにより水を蒸発させた後、空気中で乾燥させ、焼成する方法などが挙げられる。
乾燥温度は、好ましくは80〜160℃の範囲であり、より好ましくは100〜140℃の範囲である。焼成温度は、好ましくは500〜700℃の範囲であり、より好ましくは550〜650℃の範囲である。乾燥および焼成は、常圧で行ってもよいし、加圧または減圧下で行ってもよい。
焼成は、気体を通じながら行うことが好ましい。焼成時に通じる気体は、調製される複合酸化物およびその原料と反応しない限りにおいて特に限定されるものではない。焼成時に通じる気体は、好ましくは空気または窒素ガスが用いられ、より好ましくは窒素ガスである。
「熱分解条件」
本実施形態において、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解する熱分解工程を行う際に使用する反応器としては、例えば、固定床型または流動床型の反応器を使用できる。熱分解工程は、チューブ型などの管状の反応器を用いて連続的に行うことが好ましい。
熱分解工程における反応温度および反応圧力(反応器内の温度および圧力)は、熱分解原料である一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドが、気相状態を維持し得る温度および圧力とすることが好ましい。
具体的には、熱分解工程における反応温度は、好ましくは200〜400℃の範囲であり、より好ましくは250〜350℃の範囲であり、他の反応条件によって適宜調整できる。熱分解工程における反応温度が200℃以上であると、熱分解反応が促進されて、生産性が向上するとともに高い転化率が得られる。本実施形態では、熱分解原料として、安全性の高い材料を用いているため、反応温度を200℃以上の高温にして反応を促進できる。また、反応温度が400℃以下であると、熱分解反応における副反応が生じにくくなるため、高い選択率が得られやすくなる。
熱分解工程における反応圧力は、常圧または減圧としてもよいし、必要に応じて加圧してもよい。反応器内のN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの分圧は、好ましくは0.01〜20kPa、より好ましくは0.1〜5kPaとする。反応器内のN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの分圧は、反応器内を減圧する、または反応器に供給するN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを希釈ガスで希釈することにより制御できる。上記の分圧が0.01kPa以上であると、熱分解反応が促進され、生産性が向上するとともに高い転化率が得られる。また、上記の分圧が好ましくは20kPa以下、より好ましくは5kPa以下であると、熱分解反応における副反応が生じにくくなるため、高い選択率が得られやすくなる。
N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの分圧を制御する際に用いる希釈ガスは、熱分解工程における反応条件(反応器内の温度および圧力)の範囲で気体状態をとり、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドおよびN−ビニルカルボン酸アミドと反応しない物質であれば特に限定されない。具体的には、希釈に用いる希釈ガスとして、窒素ガス、ヘリウムガス、炭化水素蒸気などが挙げられ、窒素ガスが特に好ましい。
N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの空間速度(反応器内のN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの流量/反応器内の触媒容積)は、好ましくは100〜30000h−1の範囲であり、より好ましくは2000〜15000h−1の範囲であり、他の反応条件およびN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの種類によって適宜調整できる。上記の空間速度が100h−1以上、好ましくは1000h−1超であると、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドと触媒との接触時間が長すぎることによる副反応の生成が抑制される。このため、高い選択率が得られやすくなる。また、上記の空間速度が30000h−1以下であると、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドと触媒との接触時間が十分に確保される。このため、触媒による熱分解反応の促進効果が十分に得られ、生産性が向上するとともに高い転化率が得られる。
熱分解工程を行うことにより生成した目的物を含む反応液は、冷却された容器に捕集することが好ましい。
捕集した反応液中には、熱分解により生成した目的物であるN−ビニルカルボン酸アミドと、反応液中に残留するN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドと、熱分解により生成した副生物とが含まれている。
反応液中に含まれるN−ビニルカルボン酸アミドおよびN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、例えば、ガスクロマトグラフィーを用いて反応液の組成分析を行うことにより、定量できる。
(合成工程)
本実施形態の製造方法では、上記の熱分解工程の前に、合成工程を有することが好ましい。合成工程では、熱分解工程において熱分解原料として用いる一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成する。
合成工程は、2−オキシエチルアミンと、アシル化合物とを反応させることにより、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成する工程であることが好ましい。2−オキシエチルアミンとは、1つの2−オキシエチル基と2つの水素原子とが窒素原子に結合した第一級アミン化合物である。
一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの原料として用いる2−オキシエチルアミンは、一般式(4)で表される2−オキシエチルアミンであることが好ましい。また、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの原料として用いるアシル化合物は、一般式(5)で表されるアシル化合物であることが好ましい。一般式(4)で表される2−オキシエチルアミンと一般式(5)で表されるアシル化合物とを反応させることにより、高収率で、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成できる。
Figure 2017002494
(一般式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜7のアシル基からなる群より選ばれるいずれか1種である。)
一般式(4)中の好ましいRは、前述の一般式(1)中における好ましいRと同様である。
Figure 2017002494
(一般式(5)中、Rは前記一般式(1)と同じである。Xは塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれるいずれか1種である。)
一般式(4)で表される2−オキシエチルアミンとしては、具体例には、2−アミノエタノール、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−プロポキシエチルアミン、2−イソプロポキシエチルアミン、2−ブトキシエチルアミン、2−イソブトキシエチルアミン、2−sec−ブトキシエチルアミン、2−tert−ブトキシエチルアミン、2−フェノキシエチルアミン、2−ホルミルオキシエチルアミン、2−アセトキシエチルアミン、2−プロピオニルオキシエチルアミン、2−ベンゾイルオキシエチルアミンなどが挙げられる。
これらの2−オキシエチルアミンの中でも、2−アミノエタノールが安価で容易に入手できるためより好ましい。
一般式(5)で表されるアシル化合物としては、具体例には、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸tert−ブチル、塩化アセチル、臭化アセチル、酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、無水酢酸、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、プロピオン酸、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸sec−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、無水プロピオン酸、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、安息香酸、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、無水安息香酸などが挙げられる。
一般式(5)で表されるアシル化合物は、一般式(5)中のXが炭素数1〜6のアルコキシ基であるカルボン酸エステルであることが好ましい。このようなカルボン酸エステルとしては、具体例には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、無水酢酸、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、無水プロピオン酸、安息香酸メチル、安息香酸エチル、無水安息香酸などが挙げられる。
これらのカルボン酸エステルは、容易に入手できるため、好ましい。また、アシル化合物として、上記のカルボン酸エステルを用いることで、より高収率で、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成できる。
これらのカルボン酸エステルの中でも特に、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチルは、取扱いが容易であるためさらに好ましい。
「N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの合成方法」
合成工程において、2−オキシエチルアミンとアシル化合物とを反応させる方法としては、特に制限はない。例えば、2−オキシエチルアミンとアシル化合物とを混合して得られた混合物を、加熱還流する。このことにより反応させて、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを生成する方法が挙げられる。生成したN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、必要に応じて、蒸留することにより精製してもよい。
本実施形態の製造方法では、熱分解原料として、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを用いる。一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、安全性が高く、取扱いが容易で、しかも容易に合成できる。一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解することにより、目的物である下記一般式(2)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを製造できる。
Figure 2017002494
(式(2)中、Rは前記一般式(1)と同じである。)
一般式(2)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドとしては、具体例には、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルベンズアミドが挙げられる。
これらのN−ビニルカルボン酸アミドは、本実施形態の製造方法において使用する一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドとして、N−(2−オキシエチル)ホルムアミド、N−(2−オキシエチル)アセトアミド、N−(2−オキシエチル)プロピオンアミド、N−(2−オキシエチル)ベンズアミドのいずれかを用いることにより製造できる。これらのN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドは、いずれも容易に合成できるため簡便に入手でき、固体触媒の存在下で熱分解することにより一般式(2)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを生成する。したがって、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルベンズアミドは、本実施形態の製造方法を用いて容易に製造できる。
本発明の製造方法は、上述した実施形態の製造方法に限定されない。
例えば、上述した実施形態では、2−オキシエチルアミンと、アシル化合物とを反応させることにより、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成する場合を例に挙げて説明したが、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドの原料および合成方法は、特に限定されない。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
[実施例1]
(合成工程)
2−アミノエタノール(25g)と酢酸エチル(27g)との混合物を、温度82〜85℃で4時間加熱還流することにより反応させた。得られた無色液体を減圧下で蒸留することにより、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドであるN−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミドを得た。得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミドの収率は98%以上であった。
(熱分解工程)
固体触媒として、酸化ジルコニウム(ZrO)のペレット(2g)を、内径9mm、長さ200mmのステンレス製チューブ型反応器に充填した。この反応器内の温度を300℃に保ち、熱分解原料であるN−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミドの分圧が1.5kPaとなるように反応器内の圧力を減圧した。次いで、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミドを空間速度17000h−1で供給し、熱分解反応を行った。
反応器出口に氷水で冷却した容器を設置し、これに熱分解工程を行うことにより生成した反応液を捕集して回収した。回収した反応液を、ガスクロマトグラフィーを用いて組成分析することにより定量し、熱分解原料の転化率と、熱分解工程を行うことにより生成したN−ビニルカルボン酸アミドであるN−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
[実施例2]
固体触媒として、酸化ジルコニウムに代えて、酸化ハフニウム(HfO)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
[実施例3]
固体触媒として、酸化ジルコニウムに代えて、酸化イットリウム(Y)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
[実施例4]
固体触媒として、酸化ジルコニウムに代えて、酸化セリウム(CeO)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
[実施例5]
固体触媒として、酸化ジルコニウムに代えて、以下に示す方法により製造した酸化ナトリウム担持シリカゲルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
(酸化ナトリウム担持シリカゲルの製造方法)
水酸化ナトリウム(2g)を水(60g)に溶解した水溶液に、ビーズ状のシリカゲル(30g)を2時間浸漬した。このようにしてシリカゲルに水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた後、100℃の湯浴上で加熱することにより水を蒸発させ、120℃の空気中で乾燥させた。さらに窒素ガスを通じながら600℃で2時間焼成することにより、酸化ナトリウム担持シリカゲル(Si20Na41)からなる触媒を得た。
[実施例6]
固体触媒として、酸化ジルコニウムに代えて、以下に示す方法により製造した酸化ナトリウム担持酸化ジルコニウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
(酸化ナトリウム担持酸化ジルコニウムの製造方法)
水酸化ナトリウム(0.4g)を水(10g)に溶解した水溶液に、酸化ジルコニウムのペレット(13g)を2時間浸漬した。このようにして酸化ジルコニウムに水酸化ナトリウム水溶液を含浸させた後、80℃の湯浴上で加熱することにより水を蒸発させ、150℃の空気中で乾燥させた。さらに窒素ガスを通じながら600℃で2時間焼成することにより、酸化ナトリウム担持酸化ジルコニウム(Zr20Na41)からなる触媒を得た。
[実施例7]
(合成工程)
2−アミノエタノール(50g)に無水酢酸(184g)を20分間かけて滴下して得た混合物を、温度100℃で3時間加熱還流することにより反応させた。得られた無色液体を減圧下で蒸留することにより、N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドであるN−(2−アセトキシエチル)アセトアミドを得た。得られたN−(2−アセトキシエチル)アセトアミドの収率は78%であった。
(熱分解工程)
熱分解原料として、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミドに代えてN−(2−アセトキシエチル)アセトアミドを用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱分解反応を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、熱分解工程を行うことにより生成したN−ビニルカルボン酸アミドであるN−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
[実施例8]
固体触媒として、酸化ジルコニウムに代えて、実施例5と同じ酸化ナトリウム担持シリカゲルを用いたこと以外は、実施例7と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
[比較例1]
固体触媒である酸化ジルコニウムを用いないことと、反応器内の温度を400℃に保ったこと以外は、実施例1と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
[比較例2]
固体触媒である酸化ジルコニウムを用いないこと以外は、実施例7と同様にして熱分解工程を行ない、反応液を回収した。回収した反応液を実施例1と同様にして定量し、熱分解原料の転化率と、N−ビニルアセトアミドの選択率とを算出した。
その結果を表1に示す。
Figure 2017002494
表1の実施例1〜8に示すように、一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドであるN−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミドまたはN−(2−アセトキシエチル)アセトアミドを、固体触媒の存在下で熱分解することにより、一般式(2)で表されるN−ビニルアセトアミドが得られることが確認できた。
これに対し、表1の比較例1〜2に示すように、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミドまたはN−(2−アセトキシエチル)アセトアミドを、固体触媒を用いずに熱分解しても、N−ビニルアセトアミドが得られなかった。

Claims (10)

  1. 一般式(1)で表されるN−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを固体触媒の存在下で熱分解する熱分解工程を行うことにより、一般式(2)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを製造することを特徴とするN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
    Figure 2017002494
    (一般式(1)中、Rは水素原子および炭素数1〜6の炭化水素基からなる群より選ばれるいずれか1種である。Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜7のアシル基からなる群より選ばれるいずれか1種である。)
    Figure 2017002494
    (一般式(2)中、Rは前記一般式(1)と同じである。)
  2. 前記固体触媒が、一般式(3)で表される酸化物である請求項1に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
    ‥(3)
    (一般式(3)中、AはAl、Si、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、NbおよびTaから選ばれるいずれか1種である。Bはアルカリ金属元素であり、Oは酸素である。x、y、zは各元素の原子数であり、x>0、y≧0、z={(Aの価数×x)+(Bの価数×y)}/2である。)
  3. 前記一般式(3)中のAがY、Ce、ZrおよびHfから選ばれるいずれか1種である請求項2に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
  4. 前記一般式(3)においてy=0である請求項2または請求項3に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
  5. 前記一般式(3)中のAがAlおよびSiから選ばれるいずれか1種である請求項2に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
  6. 前記熱分解工程の前に、前記N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成する合成工程を有し、
    前記合成工程が、一般式(4)で表される2−オキシエチルアミンと、一般式(5)で表されるアシル化合物とを反応させることにより、前記N−(2−オキシエチル)カルボン酸アミドを合成する工程である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
    Figure 2017002494
    (一般式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜7のアシル基からなる群より選ばれるいずれか1種である。)
    Figure 2017002494
    (一般式(5)中、Rは前記一般式(1)と同じである。Xは塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれるいずれか1種である。)
  7. 前記2−オキシエチルアミンが、2−アミノエタノールである請求項6に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
  8. 前記一般式(5)中のXが炭素数1〜6のアルコキシ基である請求項6に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
  9. 前記一般式(1)中のRが水素原子である請求項1に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
  10. 前記熱分解工程の反応温度が200℃〜400℃である、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
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