JP6867255B2 - 低熱膨張係数で高い密着性を有する複合体 - Google Patents
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(1)鉄基焼結体にアルミニウム合金が含浸してなる複合体であって、前記鉄基焼結体が、質量%で、C:0.4〜1.5%、Cu:10%以上20%未満を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、体積率で空孔率:15〜30%で、かつ空孔が連続して存在し、基地がパーライトで、該基地中に遊離Cu相が分散した組織とを有し、ショットブラスト処理を施すことなくJIS B 0601(1982)の規定に準拠した表面粗さRzが10〜60μmである多孔質鉄基焼結体であり、前記含浸してなる複合体が、室温から200℃までの平均熱膨張係数が14.0×10-6/℃以下であり、アルミニウム合金に鋳包まれた状態で該含浸した複合体と前記アルミニウム合金との境界強度が10MPa以上となることを特徴とする複合体。
(2)鉄基粉末と、銅粉末と、黒鉛粉末と、潤滑剤粉末と、を混合し混合粉としたのち、該混合粉を金型に充填し加圧成形して圧粉体とし、ついで該圧粉体を焼結して所定形状の鉄基焼結体とし、ついで該鉄基焼結体をアルミニウム合金に鋳包み、該鉄基焼結体の空孔にアルミニウム合金が含浸してなる複合体とする複合体の製造方法において、前記鉄基粉末を、60メッシュの篩を通過し(−60メッシュ)、350メッシュの篩を通過しない(+350メッシュ)粒度分布に調整した鉄基粉末とし、前記銅粉末を、鉄基粉末と銅粉末と黒鉛粉末との合計量に対する質量%で、10%以上20%未満となるように配合し、前記黒鉛粉を、鉄基粉末と銅粉末と黒鉛粉末との合計量に対する質量%で、0.4〜1.5%となるように配合し、前記圧粉体の加圧成形条件および/または焼結条件を調整して、前記鉄基焼結体が、質量%で、C:0.4〜1.5%、Cu:10%以上20%未満を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、体積率で空孔率:15〜30%で、かつ空孔が連続して存在し、基地がパーライトで、該基地中に遊離Cu相が分散した組織とを有し、ショットブラスト処理を施すことなくJIS B 0601(1982)の規定に準拠した表面粗さRzが10〜60μmである多孔質鉄基焼結体とし、前記含浸してなる複合体を、室温から200℃までの平均熱膨張係数が14.0×10-6/℃以下であり、アルミニウム合金に鋳包まれた状態で該含浸した複合体と前記アルミニウム合金との境界強度が10MPa以上である複合体とすることを特徴とする複合体の製造方法。
(3)(2)において、前記潤滑剤粉末を、鉄基粉末と銅粉末と黒鉛粉末との合計量100質量部に対する質量部で、0.3〜3.0質量部となるように配合することを特徴とする複合体の製造方法。
(4)(1)において、前記多孔質鉄基焼結体が、該多孔質鉄基焼結体の肉厚方向に1つ又は複数の貫通孔を有し、該貫通孔が、ショットブラスト処理を施すことなくJIS B 0601(1982)の規定に準拠した表面粗さRzが10〜60μmである表面性状の内面を有することを特徴とする複合体。
(5)(2)または(3)において、前記多孔質鉄基焼結体が、該多孔質鉄基焼結体の肉厚方向に1つ又は複数の貫通孔を有し、該貫通孔が、ショットブラスト処理を施すことなくJIS B 0601(1982)の規定に準拠した表面粗さRzが10〜60μmである表面性状の内面を有する焼結体であることを特徴とする複合体の製造方法。
C:0.4〜1.5%
Cは、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、本発明では所望の強度確保および基地を被削性に富むパーライト組織とするために0.4%以上の含有を必要とする。一方、1.5%を超える含有は、炭化物が粗大化し、かえって被削性が低下する。このため、Cは0.4〜1.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.6〜1.0%である。
Cuは、固溶して焼結体の強度を増加させるとともに、遊離Cu相として基地相中に分散し、空孔の開口面にも分散して、空孔にアルミニウム合金が含浸する際に、アルミニウム合金と反応して鉄基焼結体とアルミニウム合金との接合強度を増加させる作用を有する。Cu含有量が10%未満では、ダイキャスト鋳造でアルミニウム合金を含浸させても、遊離Cu相量が少なすぎて所望の複合化を達成できない。一方、20%以上と多量に含有すると、複合体の強度等の機械的特性の低下が著しくなるとともに、複合体の熱膨張係数が所望の値を超えて大きくなる。このため、Cuは10%以上20%未満の範囲に限定した。
さらに、本発明で使用する多孔質鉄基焼結体は、上記した組成に加えてさらに、体積率で空孔率:15〜30%で、かつ空孔が連続して存在し、基地がパーライトで、該基地中に遊離Cu相が分散した組織を有する。
本発明で使用する多孔質鉄基焼結体の基地は、パーライトとする。基地組織のなかで、パーライト基地は、切削性が良好でかつ熱伝導性が高いため、複合化に有利となる。このため、本発明で使用する鉄基焼結体の基地をパーライトに限定した。
空孔率:15〜30%
空孔率が、15%未満では、アルミニウム合金で鉄基焼結体を鋳包むとき、あるいはアルミニウム合金を含浸させるときに、アルミニウム合金の溶湯が空孔内に含浸せず、接合強度が低下する。一方、30%を超えると、空孔が多すぎて強度が低下しすぎて、部材強度の低下を招く。また、熱膨張係数が所望の値を超えて大きくなる。このため、使用する鉄基焼結体の空孔率は体積率で15〜30%の範囲に限定した。なお、好ましくは17〜28%である。
なお、ここで言う「空孔率」は、全空孔率であり、アルキメデス法で測定した密度から換算して求めるものとする。
鉄基粉末と、Cu粉末と黒鉛粉末とあるいはさらに合金用粉末とを、混合して混合粉としたのち、該混合粉を成形して所定形状の圧粉体とする。そして、得られた圧粉体を焼結して鉄基焼結体とする。なお、鉄基粉末(鉄粉)とCu粉末とに代えて、Fe−Cu合金粉末としてもよい。なお、Fe−Cu合金粉末は、鉄粉の周囲にCuを部分的に合金化した粉末を含んでもよい。また、Cu粉あるいはFe−Cu合金粉の配合量は、鉄基焼結体のCu含有量となるように、調整することはいうまでもない。
鉄基粉末として、60メッシュの篩を通過し、350メッシュの篩を通過しない粒度分布に調整した純鉄粉(鉄基粉末)に、Cu粉、黒鉛粉を表1に示す配合量(質量%)で配合し、さらに、潤滑剤粉(潤滑剤粒子粉)を表1に示す配合量(質量部)で配合し、混合機で混合、混錬して混合粉とした。なお、混合粉の平均粒径は150μmとした。なお、平均粒径は、レーザ回折散乱法で測定した粒度分布の累積が50%となる径D50を用いた。
空孔率(体積率)は、アルキメデス法で測定した密度から換算した。なお、焼結体中に存在する空孔が「連続した空孔」であるかを確認した。焼結体を液状のワックス等中に60min間浸漬して、空孔にワックス等を浸透させ、浸透前後の重量変化量から換算してその量を求め、連続した空孔量とし、次式
連続した空孔量の比率(={(連続した空孔量)/(全空孔量)}×100%)
で定義される連続した空孔量の比率を算出し、該値が50を超える場合を「連続した空孔」であると評価した。なお、ここで、「全空孔量」は、アルキメデス法で測定した密度から換算した値を用いた。
(実施例2)
表1に示す混合粉No.fを、金型に充填し、成形プレスで、表3に示す焼結体No.7と同じ条件で加圧成形し、図2に点線で示す形状の圧粉体とした。また、表1に示す混合粉No.jを、金型に充填し、成形プレスで、表3に示す焼結体No.14と同じ条件で加圧成形し、図2に点線で示す形状の圧粉体とした。ついで、これら圧粉体に、焼結体No.7、焼結体No.14と同じ条件で焼結熱処理を施し鉄基焼結体No.N7、No.N14とした。
Claims (3)
- 鉄基焼結体にアルミニウム合金が含浸してなる複合体であって、
前記鉄基焼結体が、質量%で、C:0.4〜1.5%、Cu:10%以上20%未満を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、
体積率で空孔率:16〜29%で、かつ空孔が連続して存在し、基地がパーライトで、該基地
中に遊離Cu相が分散した組織とを有し、
ショットブラスト処理を施すことなくJIS B 0601(1982)の規定に準拠した表面粗さRzが20.1〜49.5μmである多孔質鉄基焼結体であり、
前記含浸してなる複合体が、
室温から200℃までの平均熱膨張係数が14.0×10-6/℃以下であり、アルミニウム合金に鋳包まれた状態で該含浸した複合体と前記アルミニウム合金との境界強度が10MPa以上となること
を特徴とする複合体。 - 鉄基粉末と、銅粉末と、黒鉛粉末と、潤滑剤粉末と、を混合し混合粉としたのち、該混合粉を金型に充填し加圧成形して圧粉体とし、ついで該圧粉体を焼結して所定形状の鉄基焼結体とし、ついで該鉄基焼結体をアルミニウム合金に鋳包み、該鉄基焼結体の空孔にアルミニウム合金が含浸してなる複合体とする複合体の製造方法において、
前記鉄基粉末を、60メッシュの篩を通過し(−60メッシュ)、350メッシュの篩を通過しない(+350メッシュ)粒度分布に調整した鉄基粉末とし、前記銅粉末を、鉄基粉末と銅粉末と黒鉛粉末との合計量に対する質量%で、10%以上20%未満となるように配合し、前記黒鉛粉を、鉄基粉末と銅粉末と黒鉛粉末との合計量に対する質量%で、0.4〜1.5%となるように配合し、
前記圧粉体の加圧成形条件および/または焼結条件を調整して、前記鉄基焼結体が、質量%で、C:0.4〜1.5%、Cu:10%以上20%未満を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、体積率で空孔率:16〜29%で、かつ空孔が連続して存在し、基地がパーライトで、該基地中に遊離Cu相が分散した組織とを有し、ショットブラスト処理を施すことなくJIS Z B 0601(1982)の規定に準拠した表面粗さRzが20.1〜49.5μmである多孔質鉄基焼結体とし、
前記含浸してなる複合体を、室温から200℃までの平均熱膨張係数が14.0×10-6/℃以下であり、アルミニウム合金に鋳包まれた状態で該含浸した複合体と前記アルミニウム合金との境界強度が10MPa以上である複合体とすること
を特徴とする複合体の製造方法。 - 前記潤滑剤粉末を、鉄基粉末と銅粉末と黒鉛粉末との合計量100質量部に対する質量部で、0.3〜3.0質量部となるように配合することを特徴とする請求項2に記載の複合体の製造方法。
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