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JP6753185B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、トレッド部を構成するブロックに立体形状のサイプを設けることで、乗心地性能を低下させることなく、操縦安定性能を向上させることを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのトレッド部には、溝により複数のブロックが区画されている。このような空気入りタイヤにおいて、サイプの形状を工夫することでブロックの変形を抑制することが試みられている。具体的には、ブロックに少なくとも1本のタイヤ幅方向に貫通する切り込みを設け、該切り込み内の互いに対面する合面の一方に凸部を形成し、他方に該凸部に噛み合うディンプルを形成することにより、制動時に各サブブロックが互いに倒れ込みを規制し合うので、その倒れ込み量を少なくすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上述するように切り込み内の合面に互いに嵌合する凸部と凹部を設けた場合、ブロックのせん断方向に対する変形を抑制することができる。しかしながら、ブロックの圧縮方向に対する変形も同時に抑制してしまうことから、乗心地性能が悪化するという欠点がある。
特許3180160号公報
本発明の目的は、トレッド部を構成するブロックに立体形状のサイプを設けることで、乗心地性能を低下させることなく、操縦安定性能を向上させることを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる複数本の主溝と、タイヤ幅方向に延びて該主溝に連通する複数本の横溝と、これら主溝及び横溝により区画された複数のブロックとを備える空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部を構成する複数のブロックのうち少なくとも一つのブロックに、該トレッド部の踏面の法線方向に沿って延びる踏面側サイプ部及び底側サイプ部と、これら踏面側サイプ部及び底側サイプ部との間で前記踏面の法線方向に対して傾斜する中間サイプ部とからなる立体サイプを有し、前記中間サイプ部は前記踏面側サイプ部及び前記底側サイプ部に比べて拡幅されており、該中間サイプ部に互いに噛み合う少なくとも一対の凸部と凹部が形成されていることを特徴とするものである。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部を構成する複数のブロックのうち少なくとも一つのブロックに、該トレッド部の踏面の法線方向に沿って延びる踏面側サイプ部及び底側サイプ部と、これら踏面側サイプ部及び底側サイプ部との間で前記踏面の法線方向に対して傾斜する中間サイプ部とからなる立体サイプを有し、中間サイプ部は踏面側サイプ部及び底側サイプ部に比べて拡幅されていることで、ブロックが圧縮方向へ変形する空間が確保され、ブロックの圧縮方向への変形を抑制しないため、乗心地性能を向上させることが可能となる。また、中間サイプ部に互いに噛み合う少なくとも一対の凸部と凹部が形成されていることで、制駆動及び旋回時におけるブロックのせん断方向の変形を効率よく抑制することができる。その結果、操縦安定性能を向上させることが可能となる。
本発明では、凸部の頂点から凹部の底面までのサイプ深さ方向の距離h1と中間サイプ部の両壁面同士のサイプ深さ方向の距離h2とはh1≧h2の関係を満たし、中間サイプ部の両壁面同士のサイプ深さ方向の距離h2と立体サイプのサイプ深さHとは0.1≦h2/H≦0.4の関係を満たし、凸部の幅w1と凹部の幅w2とは0.7≦w1/w2<1.0の関係を満たすことが好ましい。これにより、凸部及び凹部において圧縮方向への変形を許容する空間(隙間)を確保することで、ブロックの圧縮方向への変形を効果的に許容することができるため、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。より好ましくは、0.2≦h2/H≦0.3である。
本発明では、立体サイプの底面から踏面側サイプ部と中間サイプ部との連結部までのサイプ深さ方向の距離kと立体サイプのサイプ深さHとは0.3≦k/H≦0.9の関係を満たすことが好ましい。これにより、ブロックのせん断方向への変形を効果的に抑制することができる。その結果、操縦安定性能を向上させることが可能となる。より好ましくは、0.5≦k/H≦0.7である。
本発明では、踏面側サイプ部及び底側サイプ部のサイプ幅方向のずれ量Lと立体サイプのサイプ幅lとは0.05≦l/L≦0.4の関係を満たすことが好ましい。これにより、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。より好ましくは、0.15≦l/L≦0.3である。
本発明では、底側サイプ部と中間サイプ部との連結部から踏面側サイプ部と中間サイプ部との連結部までのサイプ深さ方向の距離h3と立体サイプのサイプ深さHとは0.1≦h3/H≦0.5の関係を満たすことが好ましい。これにより、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。より好ましくは、0.2≦h3/H≦0.4である。
本発明では、凸部の高さaと凸部の幅w1とは0.5≦a/w1≦2.0の関係を満たし、凸部の高さaと立体サイプのサイプ深さHとは0.05≦a/H≦0.25の関係を満たすことが好ましい。これにより、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。より好ましくは、1.0≦a/w1≦1.5である。
本発明では、トレッド部を構成する複数のブロックのうち少なくとも一つのブロックに立体サイプが複数本配置され、ブロックのタイヤ周方向の両端部に位置する立体サイプにおいて中間サイプ部は踏面側サイプ部からブロックの中央方向に向かって屈曲していることが好ましい。これにより、特にタイヤ周方向のブロックのせん断剛性が向上し、操縦安定性能の向上に繋がる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図1のトレッド部に形成されたブロックを立体サイプの延在方向に切り開いた状態を示す説明図である。 図1のトレッド部に形成されたブロックの平面図である。 図1のトレッド部に形成されたブロックの側面図である。 図3のX−X矢視断面図である。 図3のY−Y矢視断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッド部に形成されたブロックの変形例を立体サイプの延在方向に切り開いた状態を示す説明図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッド部の変形例の一部を示す斜視図である。 (a)〜(c)は本発明の空気入りタイヤのブロックにおける凹部及び凸部の変形例を示す断面図である。 (a)〜(f)は本発明の空気入りタイヤのブロックにおける凹部及び凸部の他の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜4は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッド部1を示すものである。なお、図1に示すTcはタイヤ周方向、Twはタイヤ幅方向である。
図1に示すように、この空気入りタイヤはトレッド部1を有しており、このトレッド部1にはタイヤ周方向に延びる複数本の主溝11と、タイヤ幅方向に延びる複数本の横溝12とが形成されている。また、トレッド部1には、この主溝11及び横溝12によって区画された陸部である複数のブロック2が形成されている。
トレッド部1を構成する複数のブロック2にはタイヤ幅方向に延びる立体サイプ3が形成されている。この立体サイプ3は、サイプ深さ方向においてその一部がトレッド部1の踏面の法線方向に対して屈曲した構造を有している。即ち、立体サイプ3は、トレッド部1の踏面の法線方向に沿って延びる踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bと、これら踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bとの間で踏面の法線方向に対して傾斜する中間サイプ部3Cとを含んでいる。
また、中間サイプ部3Cは、踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bに比べてサイプ深さ方向に拡幅されている。即ち、中間サイプ部3Cは、立体サイプ3を構成する踏面側サイプ部3A、底側サイプ部3B及び中間サイプ部3Cのうち最もサイプ幅が広く、踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bより幅広な部位をいう。中間サイプ部3Cが踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bに比べて拡幅されていることにより、ブロック2が圧縮方向へ変形する空間が確保され、ブロック2の圧縮方向の変形を許容できる。
図2〜4に示すように、立体サイプ3のタイヤ幅方向の中央領域には少なくとも一対の凸部4Aと凹部4Bが形成されている。図4に示す点線は、凸部4A及び凹部4Bの形状を示す補助線である。凸部4Aと凹部4Bとは互いに噛み合うように構成されている。図2の態様では、凸部4Aがタイヤ径方向内側に配置されている一方で、凹部4Bがタイヤ径方向外側に配置されている例を示したが、図7に示すように凸部4Aをタイヤ径方向外側に配置し、凹部4Bをタイヤ径方向内側に配置するように構成しても良い。図2,7のいずれの場合においても、一対の凸部4Aと凹部4Bとが互いに噛み合う構造を有することにより、制駆動及び旋回時におけるブロック2のせん断方向の変形に対する抑制効果を有する。また、立体サイプ3の長手方向に沿って2対以上の凸部4Aと凹部4Bを配置することもできる。
上述した空気入りタイヤでは、トレッド部1を構成する複数のブロック2のうち少なくとも一つのブロック2に、トレッド部1の踏面の法線方向に沿って延びる踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bと、これら踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bとの間で踏面の法線方向に対して傾斜する中間サイプ部3Cとからなる立体サイプ3を有し、中間サイプ部3Cは踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bに比べて拡幅されていることで、ブロック2が圧縮方向へ変形する空間が確保され、ブロック2の圧縮方向への変形を抑制しないため、乗心地性能を向上させることが可能となる。また、中間サイプ部3Cに互いに噛み合う少なくとも一対の凸部4Aと凹部4Bが形成されていることで、制駆動及び旋回時におけるブロック2のせん断方向の変形を効率よく抑制することができる。その結果、操縦安定性能を向上させることが可能となる。
図5に示すように、凸部4Aの頂点から凹部4Bの底面までサイプ深さ方向の距離を距離h1とし、中間サイプ部3Cの両壁面同士のサイプ深さ方向の距離を距離h2とする。また、凸部4Aにおいて立体サイプ3が延在する方向の幅を幅w1とし、凹部4Bにおいて立体サイプ3が延在する方向の幅を幅w2とする。このとき、距離h1と距離h2とはh1≧h2の関係を満たし、距離h2と立体サイプ3のサイプ深さHとは0.1≦h2/H≦0.4の関係を満たし、凸部4Aの幅w1と凹部4Bの幅w2とは0.7≦w1/w2<1.0の関係を満たす。特に、0.2≦h2/H≦0.3の関係を満たすように構成すると良い。乗用車用タイヤでは、凸部4Aの幅w1が2.0mm〜4.0mm、凹部4Bの幅w2が2.5mm〜4.5mm、立体サイプ3のサイプ深さHが4.0mm〜8.0mmであることが好ましい。これにより、凸部4A及び凹部4Bにおいて圧縮方向への変形する空間(隙間)を確保することで、ブロック2の圧縮方向への変形を効果的に許容することができるため、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。
また、凸部4Aのサイプ深さ方向の高さを高さaとする。このとき、凸部4Aの高さaと凸部4Aの幅w1とが0.5≦a/w1≦2.0の関係を満たし、凸部4Aの高さaと立体サイプ3のサイプ深さHとが0.05≦a/H≦0.25の関係を満たす。特に、1.0≦a/w1≦1.5の関係を満たすように構成すると良い。これにより、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。ここで、a/w1が0.5未満であるとブロック2の圧縮方向の変形が抑制されることとなり乗心地性能が悪化し、a/w1が2.0を超えるとブロック2のせん断方向の変形が抑制されることとなり操縦安定性が悪化する。
図6に示すように、踏面側サイプ部3Aと中間サイプ部3Cとを連結する部位を連結部PA、底側サイプ部3Bと中間サイプ部3Cとを連結する部位を連結部PBとする。即ち、連結部PAは立体サイプ3における屈曲開始位置である一方で、連結部PBは立体サイプ3における屈曲終了位置である。また、立体サイプ3の底面を基点として連結部PAまでの距離を距離kとする。このとき、距離kと立体サイプ3のサイプ深さHとは0.3≦k/H≦0.9の関係を満たし、より好ましくは0.5≦k/H≦0.7の関係を満たす。このように距離kをサイプ深さHに対して適度に設定することで、ブロック2のせん断方向への変形を効果的に抑制することができる。その結果、操縦安定性能を向上させることが可能となる。ここで、k/Hが0.3未満であるとブロック2の上部の変形が大きくブロック2のせん断方向の変形を十分に許容することができず、k/Hが0.9を超えると摩耗時において凸部4Aや凹部4Bの形状を維持することができない。
また、立体サイプ3の幅をサイプ幅l(踏面側サイプ部3Aの幅l)とし、踏面側サイプ部3Aと底側サイプ部3Bとのサイプ幅方向のずれ量をずれ量Lとする。即ち、このずれ量Lは踏面側サイプ部3A及び底側サイプ部3Bのそれぞれの中心線の間のサイプ中心間距離に相当する。このとき、立体サイプ3においてサイプ幅lとずれ量Lとは0.05≦l/L≦0.4の関係を満たし、より好ましくは0.15≦l/L≦0.3の関係を満たす。乗用車用タイヤでは、立体サイプ3のサイプ幅l(踏面側サイプ部3Aの幅l)が1.5mm以下であることが好ましい。このようにサイプ幅lをずれ量Lに対して適度に設定することで、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。ここで、l/Lが0.05未満であると立体サイプ3のせん断方向に対する剛性の低下が大きく操縦安定性が悪化し、更にはサイプの型抜け性が悪化する懸念がある。一方、l/Lが0.4を超えると中間サイプ部3Cが小さく、せん断方向の変形を抑制する凸部4A及び凹部4Bの大きさを確保することが難しくなる。
更に、立体サイプ3において連結部PBから連結部PAまでのサイプ深さ方向の距離を距離h3とする。このとき、立体サイプ3の距離h3と立体サイプ3のサイプ深さHとは0.1≦h3/H≦0.5の関係を満たし、より好ましくは0.2≦h3/H≦0.4の関係を満たす。このように距離h3をサイプ深さHに対して適度に設定することで、操縦安定性能と乗心地性能の向上を両立させることが可能となる。ここで、h3/Hが0.1未満であると中間サイプ部3Cが小さくなり圧縮方向の変形が抑制されることとなり乗心地性能が悪化する。一方、h3/Hが0.5を超えると立体サイプ3のせん断方向に対する剛性の低下が大きく操縦安定性が悪化する。
中間サイプ部3Cはトレッド部1の踏面の法線方向に対して傾斜している。図6に示すように、トレッド部1の踏面の法線方向に対する中間サイプ部3Cの傾斜角度を傾斜角度θとする。本発明では、中間サイプ部3Cの傾斜角度θが30°〜80°となるように構成すると良い。特に、50°〜60°とすることがより好ましい。また、凸部4A及び凹部4Bのトレッド部1の踏面の法線方向に対する傾斜角度も中間サイプ部3Cの傾斜角度θと同様に構成することが好ましい。このように中間サイプ部3C、凸部4A及び凹部4Bの傾斜角度θを設定することで、型抜け性を良くすることができる。
図8に示すように、ブロック2にはタイヤ幅方向に延びる複数本の立体サイプ3が配置されている。これら立体サイプ3のうちブロック2のタイヤ周方向の両端部に位置する一対の立体サイプ31,31において、中間サイプ部3Cは踏面側サイプ部3Aからブロック2の中央方向に向かって屈曲している。ブロック2のタイヤ周方向の両端部に位置する剛性の高い小ブロックにより、中央領域に位置する小ブロックを両側から挟み込むことができるので、特にタイヤ周方向のブロック2のせん断剛性が向上し、操縦安定性能の向上に繋がる。
なお、図8の態様では、ブロック2の中央領域に位置する立体サイプ32も立体サイプ31と同様に中間サイプ部3Cが踏面側サイプ部3Aからブロック2の中央方向に向かって屈曲している例を示しているが、立体サイプ32の中間サイプ部3Cの屈曲方向は特に限定されるものではなく、立体サイプ32の中間サイプ部3Cは踏面側サイプ部3Aからブロック2の中央方向或いはブロック2の外側方向のいずれに向かって屈曲していても良い。
立体サイプ3の凸部4Aの形状としては、図5に示す矩形の他に図9(a)に示すように凸部4Aの先端側の底辺が短い台形の場合や、図9(b)に示すように凸部4Aの先端に向かって徐々に細くなり凸部4Aの側面のみが丸みを有している場合、図9(c)に示すように凸部4Aの先端に向かって徐々に細くなり先端部が丸みを有している場合を例示することができる。
また、立体サイプ3の凸部4Aと凹部4Bとの噛み合わせ部分において、図2〜4に示すように形成されている場合の他に、図10(a)に示すように凸部4Aの一部に矩形の切り欠きがある場合や、図10(b)に示すように凸部4Aの一部に三角形の切り欠きがある場合を例示することができる。また、図10(c),(d)に示すように凸部4A及び凹部4Bが階段状に形成された場合、図10(e)に示すように凸部4Aが台形の形状を有する場合、図10(f)に示すように凸部4A及び凹部4Bが円弧状に形成された場合を例示することができる。
なお、上述する実施形態ではタイヤ幅方向に延在する立体サイプ3を設けた場合について説明したが、タイヤ周方向に延在するように立体サイプ3を設けることもできる。
タイヤサイズ195/65R15で、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる複数本の主溝と、タイヤ幅方向に延びて該主溝に連通する複数本の横溝と、これら主溝及び横溝により区画された複数のブロックとを備え、各ブロックにサイプを有する空気入りタイヤにおいて、サイプにおける屈曲構造の有無、中間サイプ部における拡幅の有無、凸部及び凹部の有無、距離h1と距離h2との大小、凸部の幅w1の凹部の幅w2に対する比(w1/w2)、距離h2のサイプ深さHに対する比(h2/H)、距離kのサイプ深さHに対する比(k/H)、サイプ幅lのずれ量Lに対する比(l/L)、距離h3のサイプ深さHに対する比(h3/H)、凸部の幅w1の凸部の高さaに対する比(a/w1)、凸部の高さaのサイプ深さHに対する比(a/H)を表1及び表2のように設定した従来例、比較例1,2及び実施例1〜13のタイヤを製作した。
なお、表1,2の「サイプにおける屈曲構造の有無」については、トレッド部に形成されたサイプが、トレッド部の踏面の法線方向に沿って延びる踏面側サイプ部及び底側サイプ部と、踏面側サイプ部及び底側サイプ部との間で踏面の法線方向に対して傾斜する中間サイプ部とを有するか否かを意味する。また、「屈曲部における拡幅の有無」については、中間サイプ部が踏面側サイプ部及び底側サイプ部に比べてサイプ深さ方向に拡幅された構造を有するか否かを意味する。
これら試験タイヤについて、パネラーによる操縦安定性能及び乗心地性能に関する官能評価を実施し、その結果を表1及び表2に併せて示した。
操縦安定性能及び乗心地性能に関する官能評価は、各試験タイヤをリムサイズ15×6Jホイールに組み付けて排気量2000ccの前輪駆動車に装着し、空気圧230kPaの条件にて行った。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど操縦安定性能及び乗心地性能が優れていることを意味する。
Figure 0006753185
Figure 0006753185
これら表1及び表2から判るように、従来例との比較においては、踏面側サイプ部と底側サイプ部と中間サイプ部とからなる立体サイプを有し、中間サイプ部は踏面側サイプ部及び底側サイプ部に比べて拡幅されており、中間サイプ部に互いに噛み合う一対の凸部と凹部が形成されていることで、実施例1〜13のタイヤは乗心地性能を低下させることなく、操縦安定性能が同時に改善されていた。
一方、比較例1においては、サイプが屈曲構造を有するものの凸部及び凹部を備えていないため、せん断方向の変形を抑制できず、操縦安定性の改善効果は得られなかった。また、比較例2においては、サイプが屈曲構造を有するものの中間サイプ部が拡幅されていないため、圧縮方向の変形を許容することができず、乗心地性能の改善効果が得られなかった。
1 トレッド部
2 ブロック
3 立体サイプ
3A 踏面側サイプ部
3B 底側サイプ部
3C 中間サイプ部
4A 凸部
4B 凹部
11 主溝
12 横溝

Claims (7)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に延びる複数本の主溝と、タイヤ幅方向に延びて該主溝に連通する複数本の横溝と、これら主溝及び横溝により区画された複数のブロックとを備える空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部を構成する複数のブロックのうち少なくとも一つのブロックに、該トレッド部の踏面の法線方向に沿って延びる踏面側サイプ部及び底側サイプ部と、これら踏面側サイプ部及び底側サイプ部との間で前記踏面の法線方向に対して傾斜する中間サイプ部とからなる立体サイプを有し、前記中間サイプ部は前記踏面側サイプ部及び前記底側サイプ部に比べて拡幅されており、該中間サイプ部に互いに噛み合う少なくとも一対の凸部と凹部が形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記凸部の頂点から前記凹部の底面までのサイプ深さ方向の距離h1と前記中間サイプ部の両壁面同士のサイプ深さ方向の距離h2とがh1≧h2の関係を満たし、前記中間サイプ部の両壁面同士のサイプ深さ方向の距離h2と前記立体サイプのサイプ深さHとが0.1≦h2/H≦0.4の関係を満たし、前記凸部の幅w1と前記凹部の幅w2とが0.7≦w1/w2<1.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記立体サイプの底面から前記踏面側サイプ部と前記中間サイプ部との連結部までのサイプ深さ方向の距離kと前記立体サイプのサイプ深さHとが0.3≦k/H≦0.9の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記踏面側サイプ部及び前記底側サイプ部のサイプ幅方向のずれ量Lと前記立体サイプのサイプ幅lとが0.05≦l/L≦0.4の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記底側サイプ部と前記中間サイプ部との連結部から前記踏面側サイプ部と前記中間サイプ部との連結部までのサイプ深さ方向の距離h3と前記立体サイプのサイプ深さHとが0.1≦h3/H≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記凸部の高さaと前記凸部の幅w1とが0.5≦a/w1≦2.0の関係を満たし、前記凸部の高さaと前記立体サイプのサイプ深さHとが0.05≦a/H≦0.25の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記トレッド部を構成する複数のブロックのうち少なくとも一つのブロックに前記立体サイプが複数本配置され、前記ブロックのタイヤ周方向の両端部に位置する前記立体サイプにおいて前記中間サイプ部は前記踏面側サイプ部から前記ブロックの中央方向に向かって屈曲していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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