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JP6278298B2 - 点灯装置及びそれを用いた前照灯装置、並びに車両 - Google Patents

点灯装置及びそれを用いた前照灯装置、並びに車両 Download PDF

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Description

本発明は、発光ダイオード等の発光素子から成る光源を点灯させる点灯装置及びそれを用いた前照灯装置、並びに車両に関する。
従来では、視認性向上(明るさ向上)のため、ハロゲンランプからHID(High Intensity Discharged)ランプへと前照灯を変更する車両が増加していた。近年では、LED(発光ダイオード)の発光効率の向上を受けて、LEDの前照灯を搭載した車両の量産が始まっている。特許文献1には、LEDの前照灯を点灯する点灯装置が開示されている。
特許文献1に記載の点灯装置は、コンバータと、電圧検出部と、電流検出部と、制御部と、温度検出部とを備える。コンバータは、DC電源からの直流電圧を受けて負荷(LED)を点灯させることの出来る電圧に変換する。電圧検出部は、コンバータの出力電圧又はそれに相当する値を検出する。電流検出部は、コンバータの出力電流又はそれに相当する値を検出する。制御部は、電圧検出部及び/又は電流検出部の検出値により、コンバータを制御する。温度検出部は、点灯装置の温度又はそれに対応する値を検出する。
制御部は、温度検出部で検出した温度が所定温度よりも高くなると、経過時間に応じて出力電流を低減する。これにより、この点灯装置では、高温時の回路損失の増加を抑制し、装置の故障防止を実現している。
特開2011−113643号公報
しかしながら、上記従来例のように負荷に供給する出力電流を低減すると、負荷の光束が低下して十分な照度を得ることができない虞がある。例えば、負荷が前照灯である場合、すれ違い用前照灯(所謂、ロービーム)の点灯時は、走行用前照灯(所謂、ハイビーム)の点灯時と比較して負荷の光束が低く、且つ配光領域も規格によって厳しく制限される。このため、ロービームの点灯時に出力電流を低減する制御を行った場合、ロービームの照度を十分に得られず、運転者の視認性が低下する虞がある。
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、負荷に供給する出力電流を低減しても負荷から十分な照度を得ることのできる点灯装置及びそれを用いた前照灯装置、並びに車両を提供することを目的とする。
本発明の点灯装置は、電源からの直流電力を変換して複数の発光素子を直列に接続して成る負荷に出力する電力変換部と、前記負荷の一部の前記発光素子を短絡するバイパス部と、前記電力変換部を制御し且つ前記バイパス部の短絡又は開放を切り替え制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電源の電源電圧が基準電圧以下となる場合、又は前記電力変換部の温度が第1基準温度以上となる場合、又は前記負荷の温度が第2基準温度以上となる場合の少なくとも何れかの場合に、前記電力変換部の出力電流を低減し、前記バイパス部の短絡時における前記出力電流の低減量を、前記バイパス部の開放時における前記出力電流の低減量よりも小さくすることを特徴とする。
この点灯装置において、前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記基準電圧を、前記バイパス部の開放時における前記基準電圧よりも低く設定することが好ましい。
この点灯装置において、前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記第1基準温度を、前記バイパス部の開放時における前記第1基準温度よりも高く設定することが好ましい。
この点灯装置において、前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記第2基準温度を、前記バイパス部の開放時における前記第2基準温度よりも高く設定することが好ましい。
この点灯装置において、前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記出力電流の低減量を零とすることが好ましい。
この点灯装置において、前記制御部は、前記出力電圧が高いほど前記出力電流の低減量を大きくすることが好ましい。
この点灯装置において、前記制御部は、前記電力変換部の出力電力が基準電力以上となるように前記出力電流の低減量を設定することが好ましい。
この点灯装置において、前記制御部は、前記バイパス部の短絡又は開放を切り替える際の前記出力電流の変化率の絶対値を、前記電源を投入する際の前記出力電流の変化率の絶対値よりも小さくすることが好ましい。
本発明の前照灯装置は、上記何れかの前記点灯装置と、前記負荷と、前記負荷を収納するハウジングとを備えることを特徴とする。
本発明の車両は、前記前照灯装置を搭載することを特徴とする。
本発明は、負荷の一部の発光素子を短絡した時の出力電流の低減量が小さいことから、負荷に供給する出力電流を低減しても負荷から十分な照度を得ることができる。
本発明の実施形態1に係る点灯装置を示す回路概略図である。 同上の点灯装置における点灯制御のフロー図である。 同上の点灯装置における出力電流を低減する制御の説明図で、(a)は電源電圧と出力電流との相関図で、(b)はドライバ温度と出力電流との相関図で、(c)LED温度と出力電流の相関図である。 同上の点灯装置における出力電流を低減する他の制御の説明図で、(a)は電源電圧と出力電流との相関図で、(b)はドライバ温度と出力電流との相関図で、(c)LED温度と出力電流の相関図である。 同上の点灯装置における出力電流を低減する更に他の制御の説明図で、(a)は電源電圧と出力電流との相関図で、(b)はドライバ温度と出力電流との相関図で、(c)LED温度と出力電流の相関図である。 本発明の実施形態2に係る点灯装置を示す図で、(a)は電源電圧と出力電流との相関図で、(b)は出力電流と出力電圧との相関図である。 本発明に係る実施形態3の点灯装置を示す図で、(a)は電源電圧の波形図で、(b)は出力電流の波形図である。 本発明に係る実施形態の前照灯装置を示す概略図である。 本発明に係る実施形態の車両を示す概略図である。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る点灯装置は、電力変換部3と、第2スイッチング素子Q2(バイパス部)と、マイコン4(制御部)とを備える。電力変換部3は、バッテリ(電源)からの直流電力を変換して複数のLED20(発光素子)を直列に接続して成る負荷2に出力する。第2スイッチング素子Q2は、負荷2の一部のLED20(第2光源部22)を短絡する。マイコン4は、電力変換部3を制御し且つ第2スイッチング素子Q2のオン/オフ(短絡又は開放)を切り替え制御する。
マイコン4は、バッテリの電源電圧が基準電圧以下となる場合、又は電力変換部3の温度が第1基準温度以上となる場合、又は負荷2の温度が第2基準温度以上となる場合の少なくとも何れかの場合に、電力変換部3の出力電流を低減する。
そして、マイコン4は、第2スイッチング素子Q2のオン時における出力電流の低減量を、第2スイッチング素子Q2のオフ時における出力電流の低減量よりも小さくする。
以下、本発明の実施形態1に係る点灯装置1について具体的に図面を用いて説明する。本実施形態の点灯装置1は、図1に示すように、複数(ここでは、8個)のLED(発光素子)20を直列に接続して成る負荷2に対し、直流電圧を印加することで負荷2を点灯させるものである。以下の説明では、負荷2のうち高電位側の4個のLED20を「第1光源部21」、低電位側の4個のLED20を「第2光源部22」と呼ぶものとする。
本実施形態の点灯装置1は、自動車の車両に搭載されることを想定しており、負荷2を構成するLED20のうち、第1光源部21は、すれ違い用前照灯(ロービーム)として用いられる。また、第1光源部21及び第2光源部22は、走行用前照灯(ハイビーム)として用いられる。
点灯装置1は、フライバック式のDC/DCコンバータから成る電力変換部3を備える。電力変換部3は、直流電源であるバッテリ(図示せず)に接続され、バッテリから印加される直流電圧を、負荷2を点灯可能な直流電圧に昇圧又は降圧して出力する。なお、電力変換部3は、フライバック式以外の方式のDC/DCコンバータで構成してもよい。また、交流電源(図示せず)からの交流電圧を直流電圧に変換して出力するAC/DCコンバータ(図示せず)をバッテリの代わりに電力変換部3に接続する構成であってもよい。
電力変換部3には、ロービームスイッチ201(図9参照)のオン/オフと連動してバッテリから直流電圧が供給される。すなわち、ロービームスイッチ201がオンに切り替わると、バッテリから電力変換部3に直流電圧が供給される。また、ロービームスイッチ201がオフに切り替わると、バッテリから電力変換部3への直流電圧の供給が停止する。
第2光源部22には、Nチャネル型MOSFETから成る第2スイッチング素子Q2(バイパス部)を並列に接続している。第2スイッチング素子Q2は、後述する切替部44からの切替信号を受けてオン/オフを切り替える。第2スイッチング素子Q2がオン(すなわち、バイパス部が短絡)の場合は、第2光源部22が短絡されて第1光源部21のみ(ロービーム)が点灯する。第2スイッチング素子Q2がオフ(すなわち、バイパス部が開放)の場合は、第1光源部21及び第2光源部22の両方(ハイビーム)が点灯する。
電力変換部3は、トランスT1と、トランスT1の1次巻線に直列に接続された第1スイッチング素子Q1と、トランスT1の2次巻線にダイオードD1を介して接続されたコンデンサC1とを備える。トランスT1の1次巻線及び第1スイッチング素子Q1の直列回路には、バッテリが接続される。したがって、第1スイッチング素子Q1のオン/オフを切り替えることで、トランスT1の2次巻線からダイオードD1を介してコンデンサC1に電流が流れ、コンデンサC1の両端間に直流電圧が発生する。
以下、電力変換部3の動作について説明する。第1スイッチング素子Q1がオンに切り替わると、トランスT1の1次巻線に電流が流れてエネルギが蓄積される。これに伴って、第1スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧が立ち上がる。ここで、電力変換部3は、トランスT1の1次巻線を流れる1次電流を測定する1次電流測定部30を備えている。1次電流測定部30は、第1スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧に比例した電圧を比較器10に出力する。
比較器10は、1次電流測定部30の出力値と、後述するマイコン4の比較演算部43の出力する制御値とを比較する。比較器10の出力は、RSフリップフロップ回路11のリセット(R)に入力される。そして、1次電流測定部30の出力値が比較演算部43の出力する制御値を上回ると、RSフリップフロップ回路11のリセットに「1」が入力される。そして、RSフリップフロップ回路11の出力が「0」となり、第1スイッチング素子Q1がオフに切り替わる。
第1スイッチング素子Q1がオフに切り替わると、トランスT1の1次巻線に蓄積されたエネルギが2次側へと吐き出される。その後、エネルギの吐き出しが終了すると、第1スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧が立ち下がる。このドレイン−ソース間電圧の立ち下がりは、微分回路12で検出する。そして、微分回路12の出力によりRSフリップフロップ回路11のセット(S)に「1」が入力される。すると、RSフリップフロップ回路11の出力が「1」となり、第1スイッチング素子Q1が再びオンに切り替わる。このように、電力変換部3は、電流臨界モード(Boundary Current Mode)で制御される。
点灯装置1は、通常時には、負荷2に流れる電流を一定に制御する定電流制御により負荷2を点灯させており、その制御にはマイコン4(制御部)を用いている。また、点灯装置1は、負荷2に印加される電圧を出力電圧として測定する電圧測定回路13と、負荷2に流れる電流を出力電流として測定する電流測定回路14とを備える。電圧測定回路13は、電力変換部3の出力端間に直列に接続された抵抗R1,R2で分圧された電圧から出力電圧を測定する。電流測定回路14は、電力変換部3と負荷2との間に挿入された抵抗R3の両端電圧から出力電流を測定する。
マイコン4は、電圧測定回路13で得られた出力電圧を平均化する第1平均化部40と、電流測定回路14で得られた出力電流を平均化する第2平均化部41との両方の機能を有する。マイコン4は、予め記憶されている電流指令値を電流指令部42にて呼び出す。そして、電流指令部42は、第1電源測定回路15で測定した電源電圧や、第1温度測定部5で測定した負荷2の周囲温度、第2温度測定部6で測定したマイコン4の周囲温度に基づく値となるように、電流指令値を補正する。
なお、電流指令値の補正には、必ずしも第1電源測定回路15、第1温度測定部5、第2温度測定部6の全てを用いる必要はない。すなわち、第1電源測定回路15、第1温度測定部5、第2温度測定部6は、以下に説明するマイコン4(制御部)の制御に応じて、何れか1つ以上が設けられていればよい。
ここで、第1電源測定回路15は、バッテリに接続されてバッテリの直流電圧を測定するものである。また、第1温度測定部5は、例えばサーミスタ等の感温素子から成り、負荷2の近傍に設置することで負荷2の周囲温度を測定するものである。また、第2温度測定部6は、例えばサーミスタ等の感温素子から成り、電力変換部3の近傍に設置することで電力変換部3の周囲温度を測定するものである。
その後、マイコン4は、補正した電流指令値と出力電流の平均値とを比較演算部43にて比較する。そして、マイコン4は、両者を一致させるように電力変換部3を制御すべく、制御値を比較器10に出力する。これにより、電力変換部3は、出力電流が一定の電流指令値となるように定電流制御される。
なお、以下の説明では、負荷2の周囲温度を「LED温度」、電力変換部3の周囲温度を「ドライバ温度」と呼ぶものとする。また、図示していないが、マイコン4は、第1電源測定回路15で得られた電源電圧を平均化する機能、第1温度測定部5で得られたLED温度を平均化する機能、第2温度測定部6で得られたドライバ温度を平均化する機能を有する。
また、マイコン4は、切替信号により第2スイッチング素子Q2のオン/オフを切り替え、第1光源部21のみを点灯させる状態と、両方の光源部21,22を点灯させる状態とを切り替える切替部44の機能を有する。切替部44は、第2電源測定回路16からのスイッチ信号を受けて切替信号を出力する。第2電源測定回路16は、ハイビームスイッチ202(図9参照)のオン/オフに連動してバッテリから供給される電源電圧に基づいて、切替部44に対してスイッチ信号を出力する。
したがって、ハイビームスイッチ202がオンに切り替わると、切替信号により第2スイッチング素子Q2がオフに切り替わり、ハイビームとして両方の光源部21,22が点灯する。また、ハイビームスイッチ202がオフに切り替わると、切替信号により第2スイッチング素子Q2がオンに切り替わり、ロービームとして第1光源部21のみが点灯する。
なお、マイコン4は、電源生成部17から動作電圧を供給されることで動作する。電源生成部17は、バッテリに接続され、バッテリの供給する直流電圧からマイコン4の動作電圧を生成する。
以下、マイコン4の点灯制御のフローについて図2を用いて説明する。先ず、マイコン4は、電源が投入されてRESET入力が解除されると(F01)、使用する変数・フラグ等の初期化処理を実行する(F02)。次に、マイコン4は、ロービームスイッチ201がオンであるか否かを判断し(F03)、オンであると判断すると、負荷2を点灯させるループ(F04以降)へ移行する。
マイコン4は、負荷2を点灯させる場合、A/D変換により電源電圧を読み込み(F04)、過去に読み込んだ測定値と合わせて電源電圧の平均化を実行する(F05)。一例として、マイコン4は、測定値を最新の測定値から3値分記憶しておき(読込時に更新)、次の最新の測定値を読み込んだときに最新の測定値と上記3値とを足し合わせ、4で除算することで平均化を実行する。
次に、マイコン4は、A/D変換により電力変換部3の出力電圧を読み込み(F06)、過去に読み込んだ測定値と合わせて出力電圧の平均化を実行する(F07)。それから、マイコン4は、A/D変換によりドライバ温度を読み込み(F08)、過去に読み込んだ測定値と合わせてドライバ温度の平均化を実行する(F09)。また、マイコン4は、A/D変換によりLED温度を読み込み(F10)、過去に読み込んだ測定値と合わせてLED温度の平均化を実行する(F11)。
そして、マイコン4は、内部のROM(図示せず)に記憶されている電流指令値を読み出し、電源電圧の平均値、ドライバ温度の平均値、LED温度の平均値に基づく値となるように、電流指令値を補正する(F12)。更に、マイコン4は、A/D変換により電力変換部3の出力電流を読み込み(F13)、過去に読み込んだ測定値と合わせて出力電流の平均化を実行する(F14)。そして、マイコン4は、補正した電流指令値と出力電流の平均値とを比較し(F15)、比較結果に基づいて制御値を変更する(F16)。
次に、マイコン4は、A/D変換により第2電源測定回路16で測定した電源電圧を読み込み(F17)、ハイビームスイッチ202のオン/オフと連動する当該電源電圧に基づいて切替信号を出力する(F18)。その後、マイコン4は、負荷2の異常や、電源の異常を判断するといったその他の制御を実行する(F19)。
ここで、従来の点灯装置では、ロービームの点灯時とハイビームの点灯時との何れの場合でも、バッテリの電源電圧が基準電圧(ここでは、10V)以下になると、一定の割合で出力電流を低減するように制御していた。このため、負荷2の光束が低下して十分な照度を得ることができない虞がある。特に、負荷2が前照灯である場合、ロービームの点灯時には、電源電圧の低下によってLED20の光束が大幅に低下するため、運転者の視認性が低下する虞があった。
そこで、本実施形態の点灯装置1では、マイコン4は、ロービームの点灯時(バイパス部の短絡時)における出力電流の低減量が、ハイビームの点灯時(バイパス部の開放時)における出力電流の低減量よりも小さくなるように電力変換部3を制御する。これにより、本実施形態の点灯装置1では、上記の問題点を解消することができる。なお、「バイパス部の短絡時」とは、「第2スイッチング素子Q2のオン時」であり、「バイパス部の開放時」とは、「第2スイッチング素子Q2のオフ時」である。
以下、具体例を交えて説明する。図3(a)に示すように、ハイビームの点灯時においては、マイコン4は、電源電圧が10Vのときに出力電流が100%、電源電圧が低下して6Vになったときに出力電流が40%となるように電力変換部3を制御する。一方、ロービームの点灯時においては、マイコン4は、電源電圧が10Vのときに出力電流が100%、電源電圧が低下して6Vになったときに出力電流が50%となるように電力変換部3を制御する。
すなわち、マイコン4は、ロービームの点灯時における出力電流の低減量が、ハイビームの点灯時における出力電流の低減量よりも小さくなるように電力変換部3を制御する。このため、本実施形態の点灯装置1では、ロービームの点灯時(負荷2の一部のLED20を短絡した時)の出力電流の低減量が小さいことから、負荷2に供給する出力電流を低減しても負荷2から十分な照度を得ることができる。特に、負荷2が前照灯である場合、ロービームの点灯時のLED20の光束を十分に確保することができるため、運転者の視認性の低下を抑制することができる。
なお、ロービームの点灯時は、ハイビームの点灯時と比較して出力電力が低いため、回路損失が小さい。このため、出力電流の低減量を小さくしても、ドライバ温度の上昇による回路の故障は発生しない。
また、図3(b)に示すように、ドライバ温度が第1基準温度(ここででは、135℃)以上になると、出力電流の低減を開始するようにマイコン4が電力変換部3を制御してもよい。この場合、ドライバ温度の上昇に対して、ロービームの点灯時における出力電流の低減量が、ハイビームの点灯時における出力電流の低減量よりも小さくなるように、マイコン4が電力変換部3を制御するのが望ましい。この場合でも、上記と同様の効果を奏することができる。
更に、図3(c)に示すように、LED温度が第2基準温度(ここででは、90℃)以上になると、出力電流の低減を開始するようにマイコン4が電力変換部3を制御してもよい。この場合、LED温度の上昇に対して、ロービームの点灯時における出力電流の低減量が、ハイビームの点灯時における出力電流の低減量よりも小さくなるように、マイコン4が電力変換部3を制御するのが望ましい。この場合でも、上記と同様の効果を奏することができる。
ここで、第1光源部21と第2光源部22とは互いに近傍に設置され、それぞれの放熱板(図示せず)が一体の構成、又はそれぞれの放熱板の一部が接続される構成をとる場合がある。また、各光源部21,22が設置されるハウジング101(図8参照)内の雰囲気温度の上昇を考慮すると、ハイビームの点灯時よりもロービームの点灯時の方が温度は上昇し難い。したがって、上述のようにLED温度の上昇に対してロービームの点灯時における出力電流の低減量を抑えたとしても、LED20の温度の上昇は十分に抑えることができ、LED20の熱による劣化を抑制することができる。
なお、LED温度の検出については、ロービームの点灯時及びハイビームの点灯時の何れの場合でも点灯する第1光源部21の近傍に第1温度測定部5を設けるのが好ましい。但し、第2光源部22の近傍にも第1温度測定部5を設けてもよい。この場合は、例えば、ロービームの点灯時には、第1光源部21側に設けた第1温度測定部5を用い、ハイビームの点灯時には、高い温度を検出した側の第1温度測定部5を用いるようにすれば、LED20の熱による劣化をより確実に抑制することができる。
なお、基準電圧、第1基準温度、第2基準温度、出力電流の低減量は、図3(a)〜図3(c)に示した値に限定されるものではない。更に、図3(a)〜図3(c)に示す例では、出力電流が線形に変化しているが、非線形に変化してもよいし、段階的に変化してもよい。
マイコン4による電力変換部3の制御としては、例えば、ロービームの点灯時における基準電圧を、ハイビームの点灯時における基準電圧よりも低く設定する制御であってもよい。例えば、図4(a)に示すように、ハイビームの点灯時では基準電圧が10Vであるのに対して、ロービームの点灯時では基準電圧を8Vに設定する。この構成では、図3(a)に示す構成と比較して、ロービームの点灯時に電源電圧が低下した場合の出力電流が高く維持されるため、運転者の視認性の低下をより抑制することができる。
また、ロービームの点灯時における第1基準温度を、ハイビームの点灯時における第1基準温度よりも高く設定するように、マイコン4が電力変換部3を制御してもよい。例えば、図4(b)に示すように、ハイビームの点灯時では第1基準温度が135℃であるのに対して、ロービームの点灯時では第1基準温度を145℃に設定する。この構成では、図3(b)に示す構成と比較して、ロービームの点灯時にドライバ温度が上昇した場合の出力電流が高く維持されるため、運転者の視認性の低下をより抑制することができる。
更に、ロービームの点灯時における第2基準温度を、ハイビームの点灯時における第2基準温度よりも高く設定するように、マイコン4が電力変換部3を制御してもよい。例えば、図4(c)に示すように、ハイビームの点灯時では第2基準温度が90℃であるのに対して、ロービームの点灯時では第2基準温度を130℃に設定する。この構成では、図3(c)に示す構成と比較して、ロービームの点灯時にLED温度が上昇した場合の出力電流値が高く維持されるため、運転者の視認性の低下をより抑制することができる。
マイコン4による電力変換部3の制御としては、例えば、ロービームの点灯時における出力電流の低減量を零とする制御であってもよい。例えば、図5(a)に示すように、ハイビームの点灯時では電源電圧値が基準電圧(10V)以下になると出力電流の低減を開始するのに対して、ロービームの点灯時では出力電流を低減しない。この構成では、図3(a),図4(a)に示す構成と比較して、ロービームの点灯時における運転者の視認性の低下をより抑制することができる。
但し、ロービームの点灯時に出力電流を低減しないため、出力電流を低減する構成と比較して回路損失が大きくなり、ドライバ温度の上昇による回路の故障が懸念される。そこで、回路の故障をより確実に防止するために、ロービームの点灯時に電力変換部3の回路損失が最も小さくなるように設計することが望ましい。
ここで、電力変換部3の第1スイッチング素子Q1のオン時間が短くなると、トランスT1の1次巻線を流れる1次電流のピーク値が大きくなる。そして、第1スイッチング素子Q1のオン時間が長くなると、トランスT1の2次巻線を流れる2次電流のピーク値が大きくなる。1次電流又は2次電流の少なくとも何れかのピーク値が高くなると、電力変換部3の回路損失が大きくなる。このため、電力変換部3のトランスT1の巻数比(2次巻線の巻数/1次巻線の巻数)を、「ロービーム点灯時における電力変換部3の出力電圧/電源電圧」とする。これにより、ロービーム点灯時の第1スイッチング素子Q1のデューティ比が50%付近に設定されるので、1次電流及び2次電流の何れのピーク値も小さくすることができ、最も回路損失が小さくなる。
また、ロービームの点灯時においては、ドライバ温度が上昇しても出力電流を低減しないようにマイコン4が電力変換部3を制御してもよい。例えば、図5(b)に示すように、ハイビームの点灯時ではドライバ温度が第1基準温度(135℃)以上になると出力電流の低減を開始するのに対して、ロービームの点灯時では出力電流を低減しない。この構成では、図3(b),図4(b)に示す構成と比較して、ロービームの点灯時における運転者の視認性の低下をより抑制することができる。
更に、ロービームの点灯時においては、LED温度が上昇しても出力電流を低減しないようにマイコン4が電力変換部3を制御してもよい。例えば、図5(c)に示すように、ハイビームの点灯時ではLED温度が第2基準温度(90℃)以上になると出力電流の低減を開始するのに対して、ロービームの点灯時では出力電流を低減しない。この構成では、図3(c),図4(c)に示す構成と比較して、ロービームの点灯時における運転者の視認性の低下をより抑制することができる。
(実施形態2)
以下、本発明に係る実施形態2の点灯装置1について図面を用いて説明する。なお、本実施形態の点灯装置1の基本的な構成は実施形態1の点灯装置1と同じであるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。
第1光源部21及び第2光源部22の少なくとも一部のLED20が故障により短絡した場合、電力変換部3の出力電圧が低くなる。この場合に出力電流を低減すると、LED20の光束が大幅に低くなるため、運転者の視認性が極端に低下する虞がある。
そこで、本実施形態の点灯装置1は、出力電圧が高いほど出力電流の低減量が大きくなるようにマイコン4が電力変換部3を制御するものである。例えば、図6(a)に示すように、出力電圧が「V1」の場合の、ハイビームの点灯時における出力電流の下限値を「I1」とする。そして、出力電圧が「V1」よりも高い「V2」となれば、マイコン4は、ハイビームの点灯時における出力電流の下限値が「I1」よりも小さい「I2」となるように電力変換部3を制御する。同様に、出力電圧が「V2」よりも高い「V3」となれば、マイコン4は、ハイビームの点灯時における出力電流の下限値が「I2」よりも小さい「I3」となるように電力変換部3を制御する。
上述のように、本実施形態の点灯装置1は、一部のLED20が故障により短絡して出力電圧が低くなった場合に、出力電流の低減量を抑えることができる。したがって、本実施形態の点灯装置1では、LED20の光束が必要以上に低減されることがないので、運転に支障のない程度の最低限のLED20の光束を確保し、運転者の視認性を確保することができる。なお、この場合、LED20が正常な(少なくとも一部が短絡していない)場合に比べて出力電力が低いため、出力電流の低減量を減らしてもドライバ温度の上昇による回路の故障には至らない。
ここで、図6(a)に示す例では、マイコン4は、電源電圧の低下に対して出力電流を低減する制御を行っているが、他の制御にも適用可能である。例えば、実施形態1でも述べたように、ドライバ温度の上昇に対して出力電流を低減する制御や、LED温度の上昇に対して出力電流を低減する制御にも、本実施形態の点灯装置1での制御を採用することができる。
なお、マイコン4は、図6(b)に示すように、電力変換部3の出力電力(=出力電流×出力電圧)が基準電力以上(同図の斜線の範囲)となるように出力電流の低減量を設定してもよい。勿論、図6(b)に示した基準電力は一例であり、他の値に設定しても構わない。この制御は、今までに述べてきた出力電流を低減する各制御と併せて採用することができる。例えば、図3(a)に示すような電源電圧の低下に対して出力電流を低減する制御と併せて採用する場合を考える。この場合は、電源電圧に基づく出力電流の電流指令値と、出力電力に基づく出力電流の電流指令値との何れか大きい方を選択して、マイコン4が電力変換部3を制御すればよい。
(実施形態3)
以下、本発明に係る実施形態3の点灯装置1について図面を用いて説明する。なお、本実施形態の点灯装置1の基本的な構成は実施形態1の点灯装置1と同じであるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態の点灯装置1は、ハイビームスイッチ202を切り替える際の出力電流の変化率S2が、ロービームスイッチ201をオンに切り替える(電源を投入する)際の出力電流の変化率S1よりも小さくなるように、マイコン4が電力変換部3を制御する。なお、「ハイビームスイッチ202を切り替える」とは、「第2スイッチング素子Q2のオン/オフを切り替える」ことであり、更には、「バイパス部の短絡又は開放を切り替える」ことである。
以下、具体例について図7(a),(b)を用いて説明する。図7(a),(b)は、時刻t1にてロービームスイッチ201及びハイビームスイッチ202をオンに切り替え、時刻t2にて電源電圧が下がり、時刻t4にてハイビームスイッチ202をオフに切り替えた場合の出力電流の変化を示す。
時刻t1で各ビームスイッチ201,202がオンに切り替わると、出力電流が変化率S1で増加するようにマイコン4が電力変換部3を制御する。その後、時刻t2で電源電圧が低下すると、電源電圧に基づく電流指令値まで出力電流が変化率S2(|S2|<|S1|)で低減するように、マイコン4が電力変換部3を制御する。出力電流は、時刻t3で電流指令値に達する。次に、時刻t4でハイビームスイッチがオフに切り替わると、ロービームの点灯時の方がハイビームの点灯時よりも出力電流の低減量が抑えられているので、出力電流が増加する。このとき、電源電圧に基づく電流指令値まで出力電流が変化率S3(|S3|<|S2|)で増加するように、マイコン4が電力変換部3を制御する。出力電流は、時刻t5で電流指令値に達する。
ここで、各ビームスイッチ201,202をオンに切り替える(電源を投入する)際は、運転者の視認性を早急に確保する必要があるため、速やかにLED20の光束を立ち上げる必要がある。したがって、出力電流の変化率S1の絶対値は、他の出力電流の変化率S2,S3の絶対値よりも大きく設定している。例えば、各ビームスイッチ201,202をオンに切り替えてから約50msの間に、出力電流を電流指令値(図7(a),(b)の例では1.2A)まで急速に立ち上げる。
また、電源電圧が低下した際は、電力変換部3の回路損失が大きくならないように、出力電流を緩やかに低減する必要がある。したがって、出力電流の変化率S2の絶対値は、各ビームスイッチ201,202をオンに切り替える際の出力電流の変化率S1の絶対値よりも小さく設定している。
また、ハイビームスイッチ202をオフに切り替える際には、LED20の光束の変化により運転者が違和感(ちらつき、幻惑など)を覚えないように、極力緩やかに出力電流を変化させる必要がある。したがって、出力電流の変化率S3の絶対値は、他の出力電流の変化率S1,S2の絶対値よりも小さく設定している。例えば、0.1A/秒以下の変化率で出力電流を変化すれば、運転者は違和感を覚え難い。
上述のように、本実施形態の点灯装置1では、電源の投入時にはLED20の光束を速やかに立ち上げ、ロービームとハイビームとの切替時には運転者が違和感を覚えないようにLED20の光束を変化させることができる。
なお、図7(a),(b)に示す例では、出力電流の変化率S1〜S3の関係を|S1|>|S2|>|S3|としているが、変化率S2の絶対値と変化率S3の絶対値とは同じであってもよい。
上記各実施形態の点灯装置1は、電力変換部3の出力電流を変化させることで負荷2を調光しているが、PWM(Pulse Width Modulation)制御により負荷2を調光する点灯装置においても同様の効果を奏することができる。このような点灯装置では、出力電流の低減量を変化させるのではなく、電力変換部3の第1スイッチング素子Q1のデューティ比を変化させればよい。
以下、本発明の実施形態に係る前照灯装置100について図面を用いて説明する。本実施形態の前照灯装置100は、図8に示すように、上記何れかの実施形態の点灯装置1と、第1光源部21及び第2光源部22から成る負荷2と、負荷2を収納するハウジング101とを備える。第1光源部21及び第2光源部22は、それぞれ灯体110に取り付けられる。第1光源部21が取り付けられる各灯体110には、レンズ111と、反射板112を設けている。また、第2光源部22が取り付けられる各灯体110には、レンズ111を設けている。
以下、本発明の実施形態に係る車両200について図面を用いて説明する。本実施形態の車両200は、図9に示すように、1対の前照灯装置100を搭載している。各前照灯装置100の点灯装置1は、車内の運転席に設けられたロービームスイッチ201と、ハイビームスイッチ202と接続されている。したがって、ロービームスイッチ201をオンに切り替えれば、ロービーム(各前照灯装置100の第1光源部21)が点灯する。更に、ハイビームスイッチ202をオンに切り替えれば、ハイビーム(各前照灯装置100の第1光源部21及び第2光源部22)が点灯する。
1 点灯装置
2 光源
20 発光ダイオード(発光素子)
3 電力変換部
4 マイコン(制御部)
Q2 第2スイッチング素子(バイパス部)

Claims (10)

  1. 電源からの直流電力を変換して複数の発光素子を直列に接続して成る負荷に出力する電力変換部と、前記負荷の一部の前記発光素子を短絡するバイパス部と、前記電力変換部を制御し且つ前記バイパス部の短絡又は開放を切り替え制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記電源の電源電圧が基準電圧以下となる場合、又は前記電力変換部の温度が第1基準温度以上となる場合、又は前記負荷の温度が第2基準温度以上となる場合の少なくとも何れかの場合に、前記電力変換部の出力電流を低減し、
    前記バイパス部の短絡時における前記出力電流の低減量を、前記バイパス部の開放時における前記出力電流の低減量よりも小さくすることを特徴とする点灯装置。
  2. 前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記基準電圧を、前記バイパス部の開放時における前記基準電圧よりも低く設定することを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
  3. 前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記第1基準温度を、前記バイパス部の開放時における前記第1基準温度よりも高く設定することを特徴とする請求項1又は2記載の点灯装置。
  4. 前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記第2基準温度を、前記バイパス部の開放時における前記第2基準温度よりも高く設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の点灯装置。
  5. 前記制御部は、前記バイパス部の短絡時における前記出力電流の低減量を零とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の点灯装置。
  6. 前記制御部は、前記電力変換部の出力電圧が高いほど前記出力電流の低減量を大きくすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の点灯装置。
  7. 前記制御部は、前記電力変換部の出力電力が基準電力以上となるように前記出力電流の低減量を設定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の点灯装置。
  8. 前記制御部は、前記バイパス部の短絡又は開放を切り替える際の前記出力電流の変化率の絶対値を、前記電源を投入する際の前記出力電流の変化率の絶対値よりも小さくすることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の点灯装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の前記点灯装置と、前記負荷と、前記負荷を収納するハウジングとを備えることを特徴とする前照灯装置。
  10. 請求項9記載の前記前照灯装置を搭載することを特徴とする車両。
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