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JP5566550B1 - パンツ型の着用物品 - Google Patents

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JP5566550B1 JP2014073508A JP2014073508A JP5566550B1 JP 5566550 B1 JP5566550 B1 JP 5566550B1 JP 2014073508 A JP2014073508 A JP 2014073508A JP 2014073508 A JP2014073508 A JP 2014073508A JP 5566550 B1 JP5566550 B1 JP 5566550B1
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Abstract

【課題】着用操作が容易であるとともに、後ウエスト域の引き上げをスムーズに行うことができるパンツ型の着用物品の提供。
【解決手段】パンツ型の着用物品(10)は、前ウエスト弾性体(72)が配置され、ウエスト開口(23)の縁部と吸液性コアの前端縁(58a)との間に位置する第1領域(71B)と、後ウエスト弾性体(74)が配置され、前記ウエスト開口の縁部と吸液性コアの後端縁(58b)との間に位置する第2領域(73B)とを有し、前記第1及び第2領域は、前後方向(Z)において互いに対向して位置し、前記第2領域における前記後ウエスト弾性体の数は、前記第1領域における前記前ウエスト弾性体の数よりも多く、前記2領域において互いに隣接する前記後ウエスト弾性体の縦方向の離間寸法は、前記第1領域において互いに隣接する前記前ウエスト弾性体のそれよりも小さい。
【選択図】図4

Description

本発明は、パンツ型の着用物品に関する。
従来、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前後ウエスト域の間に位置するクロッチ域とを有し、クロッチ域から前後ウエスト域へ延びる吸液性コアを含むシャーシを備え、ウエスト開口と一対のレッグ開口とを備えたパンツ型の着用物品は公知である。例えば、特許文献1には、前後ウエスト域及びクロッチ域と、吸液性コアとを含むシャーシを備え、前後ウエスト域には、横方向へ延びる複数条のストリング状又はストランド状のウエスト弾性体が伸長可能に収縮した状態で配置された着用物品が開示されている。
この着用物品では、吸液性コアの縦方向(長手方向)外側の領域であって、縦方向において前ウエスト域のウエスト開口縁部と吸液性コアと間に位置する弾性域(以下、第1領域という)と、該第1領域と前後方向において対向し、縦方向において後ウエスト域のウエスト開口縁部と吸液性コアと間に位置する弾性域(以下、第2領域という)とを有する。第1領域において隣接するウエスト弾性体の離間寸法(ピッチ)と、第2領域において隣接するウエスト弾性体の離間寸法とは、等しく設定されている。それによって、第1領域と第2領域との縦方向における曲げ剛性はほぼ等しくなっている。
国際公開WO2004/054482号公報
特許文献1に開示された着用物品では、第1領域における縦方向の曲げ剛性が比較的に低く設定されていることによって、着用時において、ウエスト開口の縁部を拡げたときに第1領域においてシャーシが折曲されて指を引っ掛け易くなり、着用操作が簡易になる。
一方、後ウエスト域においては、第2領域が第1領域とほぼ等しい比較的に低い曲げ剛性を有していることから、該領域が折れ曲がってウエスト開口の縁部が着用者の大腿部と臀部との段差に当たって引き上げ難くなり、そのまま無理に引き上げた場合には、第2領域においてシャーシの一部にたくれが生じてしまうという問題があった。
そこで、本発明の目的は、従来の技術の改良であって、着用操作が容易であるとともに、後ウエスト域の引き上げをスムーズに行うことができ、後ウエスト域の一部にたくれを生じるおそれのないパンツ型の着用物品の提供にある。
上記課題を達成するための本発明は、縦方向及び横方向と、肌対向面及びその反対側に位置する非肌対向面と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有し、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる吸液性コアを含むシャーシと、前記前後ウエスト域の両側縁部を連結して画成されるウエスト開口及び一対のレッグ開口とを含むパンツ型の着用物品の改良である。
本発明における第1の発明は、上記着用物品において、前記吸液性コアは、前記縦方向において離間対向して前記横方向へ延びる前端縁と後端縁とを有し、前記前ウエスト域は、前記ウエスト開口側において前記横方向へ延びる前外側弾性域と、前記クロッチ域側において前記横方向へ延びる前内側弾性域と、前記吸液性コアの前記縦方向外側であって、前記前外側弾性域と前記前内側弾性域との間に位置する第1領域とを有し、前記前外側弾性域、前記前内側弾性域及び前記第1領域には、前記前ウエスト域の両側縁部間に伸長状態で前記横方向へ収縮可能に取り付けられた複数条の前ウエスト弾性体が配置され、前記後ウエスト域は、前記ウエスト開口側において前記横方向へ延びる後外側弾性域と、前記クロッチ域側において前記横方向へ延びる後内側弾性域と、前記吸液性コアの前記縦方向外側であって、前記後外側弾性域と前記後内側弾性域との間に位置する第2領域とを有し、前記後外側弾性域、前記後内側弾性域及び前記第2領域には、前記後ウエスト域の両側縁部間に伸長状態で前記横方向へ収縮可能に取り付けられた複数条の後ウエスト弾性体が配置され、前記第1領域と前記第2領域とは、着用状態の前後方向において互いに対向して位置しており、前記第2領域における前記後ウエスト弾性体の数は、前記第1領域における前記前ウエスト弾性体の数よりも多く、前記第2領域において互いに隣接する前記後ウエスト弾性体の前記縦方向の離間寸法は、前記第1領域において互いに隣接する前記前ウエスト弾性体の前記縦方向の離間寸法よりも小さく、前記第2領域の一部には、シート状またはテープ状の剛性付与部材が配置されることを特徴とする。
また、本発明における第2の発明は、上記着用物品において、前記吸液性コアは、前記縦方向において離間対向して前記横方向へ延びる前端縁と後端縁とを有し、前記前ウエスト域は、前記ウエスト開口の縁部と前記吸液性コアの前記前端縁との間に位置して、前記前ウエスト域の両側縁部間の全域に亘る第1領域を有し、前記後ウエスト域は、前記ウエスト開口の縁部と前記吸液性コアの前記後端縁との間に位置して、前記後ウエスト域の両側縁部間の全域に亘る第2領域を有し、前記第1領域と前記第2領域とは、着用状態の前後方向において互いに対向して位置しており、前記第2領域の前記縦方向における曲げ剛性は、前記第1領域の前記縦方向における曲げ剛性よりも高く、前記第2領域の一部には、シート状またはテープ状の剛性付与部材が配置されること特徴とする。
本発明の第1の発明に係るパンツ型の着用物品の一つ以上の実施形態によれば、前ウエスト域は、前ウエスト弾性体が配置され、かつ、ウエスト開口の縁部と吸液性コアの前端縁との間に位置する第1領域を有し、後ウエスト域は、着用状態の前後方向において第1領域と対向して位置し、後ウエスト弾性体が配置され、かつ、ウエスト開口の縁部と吸液性コアの後端縁との間に位置する第2領域を有し、第2領域における後ウエスト弾性体の数は、第1領域における前ウエスト弾性体の数よりも多く、第2領域において互いに隣接する後ウエスト弾性体の縦方向の離間寸法が、第1領域において互いに隣接する前ウエスト弾性体の縦方向の離間寸法よりも小さい。そのため、第1領域では、第2領域と比して縦方向の曲げ剛性が低くなり、ウエスト開口の縁部を拡げたときに、シャーシに指を引っ掛けやすく、着用操作が容易である。一方、第2領域では、第1領域と比して縦方向の曲げ剛性が高くなってシャーシが折曲され難くなることから、シャーシの一部にたくれが生じることを防止し、後ウエスト域の引き上げをスムーズに行うことができる。
本発明の第2の発明に係るパンツ型の着用物品の一つ以上の実施形態によれば、後ウエスト域に位置する第2領域の縦方向における曲げ剛性は、前ウエスト域に位置する第1領域の縦方向における曲げ剛性よりも高い。そのため、ウエスト開口の縁部を拡げたときに、第1領域のシャーシに指を引っ掛けやすく、着用操作が容易であり、第2領域では、シャーシが折曲され難く、シャーシの一部にたくれが生じることを防止し、後ウエスト域の引き上げをスムーズに行うことができる。
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
本開示に係るパンツ型の着用物品の一例として示す、第1実施形態における使い捨ておむつの斜視図。 各弾性体の最大伸長時(弾性体の収縮作用によるギャザーがなくなる程度)まで縦方向及び横方向に伸展したおむつの一部破断展開平面図。 おむつの一部破断分解斜視図。 図1のIV−IV線に沿う模式的断面図。 前ウエスト域の平面図。 後ウエスト域の平面図。 (a):従来のおむつを着用する際の状態を示す、背面側から視た斜視図。(b):VIIb−VIIb線に沿う模式的断面図。 (a):図1に示すおむつを着用する際の状態を示す、背面側から視た斜視図。(b):VIIIb−VIIIb線に沿う模式的断面図。 後ウエスト域を背面側から視た平面図であって、試験片の採取部位を示す説明図。 おむつの変形例を示す、後ウエスト域を背面側から視た平面図。 図10のXI−XI線に沿う模式的断面図。 第2実施形態におけるおむつの図2と同様の平面図。 第2実施形態におけるおむつの図3と同様の分解斜視図。
<第1実施形態>
下記の実施の形態は、本発明の一例である図1〜4に示すパンツ型の着用物品に関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。図2において、後述する各弾性体は、その収縮力に抗して、横方向X及び縦方向Yへの収縮力により各弾性体が取り付けられた部材に生じたギャザーが、自然な視覚によって実質的に無くなっているように見える程度にまで伸長された状態にある。
図1〜3を参照すると、本発明に係るパンツ型の着用物品の一例である使い捨てのパンツ型おむつ10は、互いに直交する縦方向Y及び横方向Xと、肌対向面及びその反対側の非肌対向面と、横方向Xの長さ寸法を二等分する縦軸Pと、縦方向Yの長さ寸法を二等分する横軸Qとを有し、縦軸Pに関してほぼ対称であり、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前ウエスト域11および後ウエスト域12の間に位置するクロッチ域13とを含む。
おむつ10は、ベース形態をなすシャーシ14を含み、シャーシ14は、クロッチ域13を画定する両側縁部が凹曲状を有し、クロッチ域13の最も幅狭の部分は横軸Qよりも前ウエスト域11側へ位置している。前ウエスト域11の前側縁部11a,11bと後ウエスト域12の後側縁部12a,12bとは、おむつ10の前後方向Zにおいて互いに対向する側縁部が互いに縦方向Yへ断続的に延びるサイドシーム22によって連結されることによって、ウエスト開口23及び一対のレッグ開口24が画定される。サイドシーム22では、例えば、熱又は超音波によるエンボス・デボス加工等の公知の手段によって互いに重なり合うシートどうしが融着される。
シャーシ14は、肌対向面に位置し、前後ウエスト域11,12及びクロッチ域13を一連に画定する繊維不織布製のベースシート25と、非肌対向面側に位置し、縦方向Yにおいて互いに離間対向する、繊維不織布製の前ウエストシート26及び後ウエストシート27と、ベースシート25の肌対向面側に位置し、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12へ延びる吸液構造体15とを含む。
<ベースシート>
ベースシート25は、縦方向Yにおいて離間対向する第1及び第2端縁25a,25bと、横方向Xにおいて離間対向する両側縁25c,25dとを有する。両側縁25c,25dは、前後ウエスト域11,12における直状部位と、クロッチ域13において、縦軸Pに向かって後ウエスト域12側から前ウエスト域11側により深く凸曲する曲状部位とから形成される。
<前ウエストシート>
前ウエストシート26は、前ウエスト域11とクロッチ域13の一部とを形成する略台形状であって、横方向Xへ延びる中間内端縁26a及び外端縁26bと、縦方向Yへ延びる両外側縁26c,26dと、両外側縁26c,26dと中間内端縁26aとを結ぶ両側内端縁26e,26fとから形成される。両側内端縁26e,26fは、外側縁26c,26dから横方向Xへ直状に延びる直状部位と、該直状部位から中間内端縁26aに延びる曲状部位とを有する。前ウエストシート26は、ウエスト開口縁に沿って内側へ折り曲げられた折曲部33を有する。折曲部33は、ベースシート25の内面に吸液構造体15が配置された状態で、ベースシート25の第1端縁25aに沿って内側へ折り曲げられ、ベースシート25及び吸液構造体15の肌対向面に固定される。
<後ウエストシート>
後ウエストシート27は、後ウエスト域12とクロッチ域13の一部とを形成する略台形状であって、横方向Xへ延びる中間内端縁27a及び外端縁27bと、外端縁27bから縦方向Yへ延びる両外側縁27c,27dと、両外側縁27c,27dと中間内端縁27aとを曲状に結ぶ両側内端縁27e,27fとから形成される。後ウエストシート27は、ウエスト開口縁に沿って内側へ折り曲げられた折曲部38を有する。折曲部38は、ベースシート25の内面に吸液構造体15が配置された状態で、ベースシート25の第2端縁25bに沿って内側へ折り曲げられ、ベースシート25及び吸液構造体15の肌対向面に固定される。
図2〜図4を参照すると、前ウエストシート26とベースシート25との間には、前ウエスト域11において横方向Xへ延びる前ウエスト弾性体72が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。後ウエストシート27とベースシート25との間には、後ウエスト域12において横方向Xへ延びる後ウエスト弾性体74と、後ウエスト域12からクロッチ域13へ向かって湾曲状して延びる臀部弾性体76とが伸長状態で収縮可能に取り付けられる。前後ウエスト域11,12は、各弾性体が配置されることによって、後記の弾性的に伸縮可能な前後ウエスト弾性域71,73を有する。
ベースシート25及び前後ウエストシート26,27としては、質量が約10〜40g/mであり、繊維密度が約0.03〜0.10g/cmである、例えば、スパンボンド繊維不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、プラスチックシート、またはそれらのラミネートシートなどを用いることができる。本実施形態においては、ベースシート25として質量約10〜18g/m、好ましくは質量約13g/mのSMS繊維不織布、前後ウエストシート26,27として質量約15〜25g/m、好ましくは質量約20g/mのスパンボンド繊維不織布を用いることができる。本実施形態においては、前後ウエストシート26,27の外面に、オプションとして格子状のエンボス・デボス加工が施されており、凹凸の模様28が配置される。また、本実施形態においては、クロッチ域13の中央部13Cがベースシート25のみから形成されているが、複数のシートから形成されていてもよい。
おむつ10の各寸法(シャーシ14の対応する寸法と同じ)について言えば、おむつ10の縦方向Yにおける寸法L1は約600〜1000mm、横方向Xにおける寸法W1は約400〜800mm、前ウエスト域11の前側縁部11a,11bの縦方向Yにおける寸法L2(後ウエスト域12の後側縁部12a,12bの縦方向Yにおける寸法と同じ)は、約80〜150mmである。
<吸液構造体>
図2及び図3を参照すると、吸液構造体15は、縦方向Yに離間対向して横方向Xに延びる前端縁15a及び後端縁15bと、横方向Xにおいて離間対向して縦方向Yに延びる両側縁15cとを有し、前端部16Aと、後端部16Bと、前後端部16A,16B間に位置する中央部16Cとを有する。吸液構造体15は、肌対向面側に位置し、透液性を有する繊維不織布製の身体側ライナ50と、曲状の両側縁を有する吸液性の吸収体51と、一対のバリアカフシート52と、防漏シート53とを含む。吸収体51は、例えば、フラッフパルプと、吸収性ポリマー粒子等との混合物から形成された吸液性コアと、吸液性コア全体を被包するティッシュペーパ等の液吸収拡散性のコアラップシートとを含む。吸液性コアは、前ウエスト域11において横方向Xに延びる前端縁58aと、前端縁58aと縦方向Yにおいて離間対向し、後ウエスト域において横方向Xに延びる後端縁58bとを有する。身体側ライナ50とバリアカフシート52及び防漏シート53とは、吸液性コアの前端縁58a及び後端縁58bから、それぞれ縦方向Yに延出するエンドフラップ56a,56bを形成する。吸液構造体15とベースシート25とは、それらの対向面の少なくとも一方に塗布されたホットメルト接着剤等の公知の接合手段から形成された接合域60を介して互いに接合される。本実施形態においては、接合域60は、縦方向Yにおいて離間した複数の接合部位から構成されているが、吸液構造体15の裏面全体を接合するように連続した接合域であってもよい。
図2を参照すると、一対のバリアカフシート52は、2つに折り畳まれて内面を互いに固定したものであって、身体側ライナ50の肌対向面に固定された、縦方向Yにおいて離間対向する前固定部及び後固定部と、縦方向Yへ延びる固定側縁部52bと、固定側縁部52bから横方向Xの内側に位置する自由側縁部52aとを有する。バリアカフシート52の自由側縁部52a内には、ストリング状またはストランド状の弾性材料からなり、縦方向Yへ延びるカフ弾性体57が伸長状態で収縮可能に取り付けられる。カフ弾性体57が収縮することによって、自由側縁部52aが身体側ライナ50から着用者の身体側へ離間し、体液の横漏れを防止するための一対の防漏カフが形成される。防漏シート53は、不透液性の繊維不織布、不透液性で透湿性のプラスチックフィルム又はそれらのラミネートシートから形成されており、少なくとも吸収体51の下面のほぼ全体を覆うように配置されており、吸液構造体15の非肌対向面(底面)側から体液が漏れ出るのを防止する。
<前後ウエスト弾性域>
図4は、図1のIV−IV線断面図であり、図5及び図6は、それぞれ図2に示す前後ウエスト域11,12において、吸液構造体15を取り除いた状態を示す平面図である。前ウエスト弾性域71は、ウエスト開口23の縁部において横方向Xへ延びる前外側弾性域71Aと、クロッチ域13側において横方向Xへ延びる前内側弾性域71Cと、吸液性コアの縦方向Y外側であって、前外側弾性域71Aと前内側弾性域71Cとの間に位置する前中間弾性域(第1領域)71Bとを有する。後ウエスト弾性域73は、ウエスト開口23の縁部において横方向Xへ延びる後外側弾性域73Aと、吸液性コアの縦方向Y外側に位置してクロッチ域13側において横方向Xへ延びる後内側弾性域73Cと、後外側弾性域73Aと後内側弾性域73Cとの間に位置する後中間弾性域(第2領域)73Bとを有する。図4において、前後方向Zに平行な仮想線S1,S2が示すように、前外側弾性域71Aと後外側弾性域73A、及び前中間弾性域71Bと後中間弾性域73Bは、それぞれ、着用状態における前後方向Zにおいて互いに対向して位置している。ただし、後記の本願発明の効果を奏する限りにおいて、少なくとも前中間弾性域71Bと後中間弾性域73Bとが前後方向Zにおいて互いに対向して位置していればよい。
本発明において、前後中間弾性域71B,73Bとは、前後ウエスト域11,12の縦方向Yの寸法が約140mmの場合において、ウエスト開口23から少なくとも約50mm離間して位置し、少なくとも、約50mmの幅寸法(縦方向Yの寸法)を有する。前後中間弾性域71B,73Bがウエスト開口23から少なくとも約50mm離間していることから、おむつ10の着用時において、前ウエスト域11側において前外側弾性域71Aを手で巻き込むように掴んで折曲された前中間弾性域71Bに指を引っ掛け易くなり、また、後ウエスト域12においておむつ10を引き上げる際に、着用者の臀部と大腿部の間の段差において後中間弾性域73Bを曲げ難くして、それがたくれるのを防止することができる。また、後記の本願発明の効果を奏するために、前後中間弾性域71B,73Bは、前後ウエスト域11,12において縦方向Yにおける曲げ剛性の変化する吸液構造体15の前後端縁15a,15b近傍に位置することが好ましい。
<各弾性体>
前ウエスト弾性体72は、ストリング状またはストランド状の弾性材料から形成することができる。前外側弾性域71Aに位置する前ウエスト弾性体72は、繊度が300〜1000dtex、約1.8〜3.5倍に伸長された状態で配設された複数条の弾性材料からなり、縦方向Yに約3〜15mm互いに離間して配置されることが好ましく、本実施形態では、繊度が約620dtex、伸長倍率が約2.3倍の5本の弾性材料からなり、縦方向Yに約6mm間隔で離間して配置される。前中間弾性域71Bに位置する前ウエスト弾性体72は、吸液構造体15のエンドフラップ56aと平面視において重なるように位置し、繊度が300〜1000dtex、約1.8〜3.5倍に伸長された状態で配設された複数条の弾性材料からなり、縦方向Yに約3〜15mm互いに離間して配置されることが好ましく、本実施形態では、繊度が約470dtex、伸長倍率が約2.3倍である4本の弾性材料からなり、縦方向Yに約10mm離間して配置されている。前内側弾性域71Cに位置する前ウエスト弾性体72は、繊度が300〜1000dtex、約1.8〜3.5倍に伸長された状態で配設された複数条の弾性材料からなり、縦方向Yに約5〜20mm互いに離間して配置されることが好ましく、本実施形態では、繊度約780dtexの10本の弾性材料からなり、伸長倍率が約2.5倍であって、縦方向Yに約10mm互いに離間して配置される。
後ウエスト弾性体74は、ストリング状またはストランド状の弾性材料から形成することができる。後外側弾性域73Aに位置する後ウエスト弾性体74は、繊度が300〜1000dtex、約1.8〜3.5倍に伸長された状態で配設された複数条の弾性材料からなり、縦方向Yに約3〜15mm互いに離間して配置されることが好ましく、本実施形態では、繊度が約620dtex、伸長倍率が約2.3倍の5本の弾性材料からなり、縦方向Yに6mm間隔で離間して配置される。後中間弾性域73Bに位置する後ウエスト弾性体74は、繊度が300〜1000dtex、約1.8〜3.5倍に伸長された状態で配設された複数条の弾性材料からなり、縦方向Yに約3〜15mm互いに離間して配置されることが好ましく、本実施形態では、繊度が約780dtex、伸長倍率が約2.1倍である6本の弾性材料からなり、縦方向Yに約7mm離間して配置されている。後内側弾性域73Cに位置する後ウエスト弾性体74は、繊度が300〜1000dtex、約1.8〜3.5倍に伸長された状態で配設された複数条の弾性材料からなり、縦方向Yに約5〜20mm互いに離間して配置されることが好ましく、本実施形態では、繊度が約780dtex、伸長倍率が約2.5倍の4本の弾性材料からなり、縦方向Yに約15mm互いに離間して配置される。
図6を参照すると、シャーシ14は、後ウエスト域12からクロッチ域13まで延びる臀部弾性域75を有する。臀部弾性域75は、横軸Qへ向かって湾曲状に延びる複数条の臀部弾性体76が伸長状態で収縮可能に取り付けられている。臀部弾性体76は、繊度が約500〜800dtexであって、伸長倍率が約1.0〜2.5倍に伸長された複数条のストリング状またはストランド状の弾性材料から形成することができる。
後中間弾性域73Bに配設された後ウエスト弾性体74の縦方向Yの離間寸法(ピッチ)は、前中間弾性域71Bに配設された前ウエスト弾性体72の縦方向Yの離間寸法よりも小さい。ここで、「各弾性体の縦方向Yの離間寸法」とは、縦方向Yにおいて互いに隣接する弾性体の間に形成される弾性体の非存在領域における縦方向Yの寸法をいう。後ウエスト弾性体74の離間寸法を前ウエスト弾性体72のそれよりも小さくするには、後ウエスト弾性体74の数を前ウエスト弾性体72の数よりも多くする構成や、後ウエスト弾性体74の繊度(太さ)を前ウエスト弾性体72の繊度よりも大きくする等の構成を採用することによって実現することができる。
このように、後中間弾性域73Bの後ウエスト弾性体74の本数が前中間弾性域71Bの前ウエスト弾性体72の本数よりも多く、後中間弾性域73Bの後ウエスト弾性体74の縦方向Yの離間寸法が前中間弾性域71Bの前ウエスト弾性体72のそれよりも小さいことから、後中間弾性域73Bの縦方向Yにおける曲げ剛性(すなわち、横方向Xに延びる折曲線が形成される曲げに対する剛性)は、前中間弾性域71Bの縦方向Yにおける曲げ剛性よりも比較的に高くなる。また、前後ウエスト域11,12にストリング状又はストランド状の前後ウエスト弾性体72,74を配置することにより、後ウエスト域12が着用者の臀部を抜けて腰部まで引き上げられた際、後ウエスト域12にたくれを生じることなく、前後ウエスト域11,12を着用者の肌に押し当てることができ、おむつ10のずれを防止してフィット性を向上させることができる。
後中間弾性域73Bの曲げ剛性を前中間弾性域71Bの曲げ剛性よりも比較的に高くするためには、後中間弾性域73Bの後ウエスト弾性体74の繊度が前中間弾性域71Bの前ウエスト弾性体72のそれよりも大きいものを用いる等の設定を採用することができる。また、後記の変更例や他の実施形態に示すとおり、後中間弾性域73Bに前中間弾性域71Bに比して縦方向Yの曲げ剛性が高くなるような要素(止着テープ等の剛性付与部材、不織布製又はプラスチック製の補助シート等)を付加することによって、それらの曲げ剛性の相関関係を前中間弾性域71B<後中間弾性域73Bとすることもできる。
また、本実施形態のように、前後ウエスト弾性体72,74の構成のみによって両弾性域71B,73Bの曲げ剛性を相違させる場合において、例えば、後ウエスト弾性体74の本数を前ウエスト弾性体72のそれよりも多くして、必然的に前者のピッチが後者のピッチよりも小さくなる場合には、後ウエスト弾性体74間の非弾性部分(弾性部材の非存在領域)に形成されて縦方向Yにおける曲げの妨げとなる横方向Xに延びるギャザーの列の数が、前ウエスト弾性体72間の非弾性部分(弾性部材の非存在領域)に形成される横方向Xに延びるギャザーの列の数よりも多くなるので、前者の方が後者よりもその曲げ剛性が高くなるといえる。また、後ウエスト弾性体74間の非弾性部分には比較的に小さいギャザーが形成されるのに対し、前ウエスト弾性体71間の非弾性部分には比較的大きなギャザーが形成されるので、前者の方が後者よりもその曲げ剛性が高くなるといえる。
図7は、従来のパンツ型着用物品の一例を示すおむつ110を着用する際の状態を示す説明図であり、図8は、本実施形態のおむつ10を着用する際の状態を示す説明図である。
図7を参照すると、従来のおむつ110においては、前ウエスト弾性体及び後ウエスト弾性体174として同一のストリング状又はストランド状の弾性材料を使用し、前ウエスト域の前中間弾性域171Bに配置された前ウエスト弾性体の本数が、後ウエスト域の後中間弾性域173Bに配置された後ウエスト弾性体174の本数と同じに設定されている。かかる構成を有する従来のおむつでは、前ウエスト弾性体のピッチが後ウエスト弾性体174のピッチとほぼ等しく、前中間弾性域171Bの曲げ剛性が比較的に低くなることから、着用時においてウエスト開口を拡げたときに前ウエスト域側において前中間弾性域171Bが折れ曲がって指を引っ掛けることができ、引き上げ操作が容易になる一方、後ウエスト域においては、後中間弾性域173Bも前中間弾性域171Bと同様に折れ曲がって後外側弾性域173Aが大腿部77と臀部78との段差79に当たって引き上げ難くなり、おむつ110をスムーズに引き上げられることができない。更に、後中間弾性域173Bが折曲されて、おむつ110の引き上げが抑制されることで、後内側弾性域173Cが折曲されやすくなる。かかる状態において無理に後ウエスト域を引き上げると、後中間弾性域173Bがたくれたままの状態となり、着用感が損なわれるだけでなく、排泄物の漏れの原因となるおそれもある。
図8を参照すると、既述のとおり、本実施形態に係るおむつ10においては、前後ウエスト弾性体72,74が同一のストリング状又はストランド状の弾性材料から形成されており、後中間弾性域73Bに配置された後ウエスト弾性体74の本数が、前中間弾性域71Bに配置された前ウエスト弾性体72のそれよりも多くなっている。したがって、後中間弾性域73Bの縦方向における曲げ剛性が前中間弾性域71Bの縦方向における曲げ剛性に比して高くなっていることから、着用時においておむつ10のウエスト開口23を拡げたときに前中間弾性域71Bが折れ曲がって指を引っ掛けることができ、引き上げ操作が容易になる。また、後ウエスト域12においては、後中間弾性域73Bが、折曲した前中間弾性域71Bによるそれを折曲させようとする作用に抗することにより、折れ曲がることがないので、後ウエスト域12全体を着用者の身体にフィットさせた状態のまま引っ張り上げることができ、後外側弾性域73Aが大腿部77と臀部78との段差79に引っ掛かるおそれはない。更に、後内側弾性域73Cは後中間弾性域73Bの引き上げに乗じて、折曲されることなくスムーズに引き上げられる。このようにスムーズに後ウエスト域12を引き上げて着用することができることから、その一部がたくれて着用感が低下したり、排泄物の漏れを生じたりするおそれはない。
従来のおむつ110のように、前後中間弾性域171B,173Bに配置された前ウエスト弾性体及び後ウエスト弾性体174の本数を同じにして両域171B,173Bの縦方向の曲げ剛性がほぼ等しい場合には、後ウエスト域が位置ずれして着用感の低下を招くおそれがある一方、前ウエスト弾性体及び後ウエスト弾性体174の本数、ピッチ、繊度等の各種設定を調整して前中間弾性域171Bの縦方向の曲げ剛性を後中間弾性域173Bがたくれない程度の曲げ剛性と同程度にした場合や後中間弾性域173Bの曲げ剛性よりも高くした場合には、おむつ110の着用時において前ウエスト域全体が腹部にフィットした状態となり引き上げるときに掴み難くなり操作性が低下するとともに、腹部を圧迫して不快感を与えるおそれがある。本実施形態におけるおむつ10においては、前中間弾性域71Bに配置された前ウエスト弾性体72の本数が後中間弾性域73Bに配置された後ウエスト弾性体74のそれよりも多くなっており、前中間弾性域71Bの縦方向Yの曲げ剛性と後中間弾性域73Bの縦方向Yの曲げ剛性との相関関係が、前中間弾性域71B<後中間弾性域73Bになっていることから、おむつ10の着用操作性と着用感の低下防止、及びそれによる排泄物の漏れ防止という複数の技術的効果を奏することができる。
<曲げ剛性の測定方法>
曲げ剛性は、IMADA製トルク試験機(型番EX−0762)(ロードセル:引張・圧縮50N、トルク1N)を用いて測定した。おむつ10の前後ウエスト域11,12のそれぞれにおいて、ウエスト開口23から縦方向Yに35mm離間した位置からクロッチ域13側へ向かって縦方向Yの寸法が45mm、縦軸Pを中心として横方向Xの寸法が30mmの試験片を準備した。図9は、後ウエスト域12における試験片40の採取部位を示す説明図である。試験片40の長手方向(縦方向Y)の両端部41,42を10mmずつ試験機の一対のチャックで把持し、一方のチャックを他方のチャックを中心に回転させ、これによって折り曲げられた試験片40の曲げ剛性をトルク試験機で測定する。回転速度は30rpm、回転角度は50度とし、測定角度は40度とした。試験片は、前後ウエスト域11,12について各5組準備して(実施例1〜5)、これらの測定値(トルク強度)(単位:mN・m)の平均値を縦方向Yにおける平均曲げ剛性値とした。測定の対象となる前後ウエスト域11,12には、伸長状態で取り付けられた前後ウエスト弾性体72,74が存在するから、試験片をおむつ10から切り取る際には、前後ウエスト弾性体72,74の収縮力に抗して前後ウエスト域11,12を縦方向Y及び横方向Xに引っ張った状態で寸法を測った。表1に示すとおり、後中間弾性域73Bの曲げ剛性値B1は、いずれも前中間弾性域71Bの曲げ剛性値B2よりも高くなった。なお、前後中間弾性域71B,73Bの縦方向Yにおける曲げ剛性は、上記基準により準備した試験片をJIS L1096 19.1A法(45°カンチレバー法)に基づいて測定して比較することもできる。
各弾性域における弾性体の材料、繊度、伸長倍率、離間寸法を適宜設定することによって、各弾性域の伸長応力、具体的には、吸収体51の横方向X外側の部位の所定幅(30mm幅)における171%伸長時(最大伸長時の寸法を100%としたときの71%の寸法)における伸長応力は、前外側弾性域71Aが約2.5N、前中間弾性域71Bが約2.5N、前内側弾性域71Cが約5.0N、後外側弾性域73Aが約2.5N、後中間弾性域73Bが約3.0N,後内側弾性域73Cが約5.0Nに設定される。前後ウエスト弾性体72,74の本数及びピッチを調整して後中間弾性域73Bの曲げ剛性を前中間弾性域71Bのそれよりも高くした場合には、後中間弾性域73Bの伸長応力が前中間弾性域71Bの伸長応力よりも高くなる。また、前外側弾性域71Aと前中間弾性域71Bの伸長応力の差は約0〜3.0N、前中間弾性域71Bと前内側弾性域71Cの伸長応力の差は約0.5〜3.0N、後外側弾性域73Aと後中間弾性域73Bの伸長応力の差は約0〜3.0N、後中間弾性域73Bと後内側弾性域73Cの伸長応力の差は約1.0〜5.0Nである。
後ウエスト弾性体74の本数及びピッチを調整して、後中間弾性域73Bの伸長応力を後外側弾性域73Aのそれよりも高くすることで、後中間弾性域73Bにおける、たくれの発生を抑え、おむつ10の後ウエスト域12を着用者の臀部に沿わせてスムーズに引き上げることができる。また、伸長応力が比較的に大きく変化する部位では、シャーシ14が折曲されやすくなるが、後外側弾性域73Aと後中間弾性域73Bの伸長応力の差を3.0N以下とすることで、後外側弾性域73Aと後中間弾性域73Bの境界部分におけるシャーシ14の折れ曲がりの発生を抑えることができる。なお、前中間弾性域71Aにおいて、シャーシ14を折曲しやすくするために、前ウエスト弾性体72の本数及びピッチを調整して、前中間弾性域71Bの伸長応力を前外側弾性域71Aのそれよりも低くすることがより好ましい。
図5を参照すると、前外側弾性域71Aの縦方向Yにおける最内側前ウエスト弾性体72aと前中間弾性域71Bの縦方向Yにおける最外側前ウエスト弾性体72bの縦方向Yの離間寸法R1は、約5〜20mmであることが好ましく、本実施形態では約16mmである。前中間弾性域71Bの縦方向Yにおける最内側前ウエスト弾性体72cと前内側弾性域71Cの縦方向Yにおける最外側前ウエスト弾性体72dの縦方向Yの離間寸法R2は、約5〜15mmであることが好ましく、本実施形態では約10mmである。図6を参照すると、後外側弾性域73Aの縦方向Yにおける最内側後ウエスト弾性体74aと後中間弾性域73Bの縦方向Yにおける最外側後ウエスト弾性体74bの縦方向Yの離間寸法R3は、約5〜15mmであることが好ましく、本実施形態では約7mmである。後中間弾性域73Bの縦方向Yにおける最内側後ウエスト弾性体74cと後内側弾性域73Cの縦方向Yにおける最外側後ウエスト弾性体74dの縦方向Yの離間寸法R4は、約10〜25mmであることが好ましく、本実施形態では約15mmである。ここで、各弾性体の離間寸法とは、互いに隣接する弾性体の間に位置する弾性体の非存在領域の縦方向Yの寸法をいう。後外側弾性域73Aと後中間弾性域73Bの縦方向Yの離間寸法R3は、前外側弾性域71Aと前中間弾性域71Bの縦方向Yの離間寸法R1よりも小さく設定されることが好ましい。
後外側弾性域73Aと後中間弾性域73Bの間の部位、及び前外側弾性域71Aと前中間弾性域71Bの間の部位では、伸長応力が変化する、すなわち縦方向Yにおける曲げ剛性が変化することにより、シャーシ14が折曲されやすくなるが、後ウエスト域12における離間寸法R3を前ウエスト域11における離間寸法R1よりも小さくすることで、後ウエスト域12に生じるシャーシ14の折曲を抑えることができる。
吸液構造体15の前端縁15aは、前外側弾性域71Aの最内側前ウエスト弾性体72aと前中間弾性域71Bの最外側前ウエスト弾性体72bとの間に位置することが好ましく、最外側前ウエスト弾性体72b寄りに位置することがより好ましい。伸長応力が変化する前外側弾性域71Aと前中間弾性域71Bとの間に前端縁15aが配置されることで、前端縁15aを基点として前ウエスト域11が折れ曲がり易くなり、おむつ10のウエスト開口23を拡げる際に、指を掛け易くなる。吸液構造体15の後端縁15bは、前後方向Zにおいて前端縁15aと対向して位置する、又は前端縁15aよりもウエスト開口23側に位置することが好ましい。後端縁15bがウエスト開口23の近傍まで延びていることで、吸液構造体15のエンドフラップ56bの存在により後中間弾性域73Bの曲げ剛性を高めて、おむつ10を引き上げる際に生じる後ウエスト域12の折れ曲がりを一層抑えることができる。
前後ウエスト域11,12における各弾性域の縦方向Yの寸法は、本願発明の効果を奏する限りにおいて、所定の比率となるように区分することができる。例えば、前後外側弾性域71A,73Aの縦方向Yにおける寸法に対して前後中間弾性域71B,73B及び前後内側弾性域71C,73Cの縦方向Yにおける寸法を1.0〜2.5倍の大きさになるように設定することや、各弾性域の縦方向Yにおける寸法を均等に区分することもできる。前後外側弾性域71A,73Aの縦方向Yの寸法は等しく設定されることが好ましく、前後中間弾性域71B,73Bの縦方向Yの寸法は等しく設定されることが好ましい。
<伸長応力の測定方法>
前後ウエスト弾性域71,73の各弾性域の伸長応力は、インストロン ジャパン カンパニーリミテッド社製の引張試験機(INSTRON 型式:5564)を用い、引張速度を100mm/minに設定して、以下の方法で測定した。各弾性域のうちで吸液構造体と重なることのない部分について、その部分から横方向Xの長さが30〜50mmの試片を切り取って、自然状態にある試片に横方向Xの離間寸法が20mmの一対の標線を記入し、その離間寸法が1.7倍になるまで伸長した時の各試片の伸長力を求めて、比較する。なお、各試片においてその幅寸法であるおむつ10の縦方向Yの寸法が一定でない場合には、各試片についての伸長力を幅30mmである場合の値に換算したときの伸長応力によって各試片を比較する。
<変形例>
図10は、第1実施形態のおむつ10の変形例であって、各弾性体の最大伸長時(弾性体の収縮作用によるギャザーがなくなる程度)まで縦方向Y及び横方向Xに伸展したおむつ10の後ウエスト域12を裏面側(非肌対向面側)から視た平面図である。
変形例におけるおむつ10では、後中間弾性域73Bの中央部66において、おむつ10を廃棄するときに使用する止着テープとして機能する、剛性付与部材65が配置されている。図11を参照すると、剛性付与部材65は、後ウエストシート27の非肌対向面側に配置され、縦方向Yへ延びるプラスチックシートから形成されており、折曲線を介して互いに積層された第1部位61、第2部位62及び第3部位63によって構成され、積層状態の断面はZ形に形成される。第1部位61は、接着剤を介して後ウエストシート27に固定され、第2部位62は第1部位61に剥離可能に接合され、第3部位63は第2部位62に剥離可能に接合されている。
このようなおむつ10では、後中間弾性域73Bに剛性付与部材65が取り付けられていることによって、後中間弾性域73Bの曲げ剛性が高くなり、おむつ10を着用する際に生じる後中間弾性域73Bのたくれをより抑えることができる。剛性付与部材65は、プラスチックシートに限られず、単一又は複数層の繊維不織布等を用いることもできる。
剛性付与部材65は、後中間弾性域73Bの横方向Xにおける中央部66のほかに、該中央部66の横方向X外側に位置する側部67に配置することができる。図10に例示するおむつ10では、剛性付与部材65が中央部66において、縦軸Pと重なる領域に配置されており、後内側弾性域73Cから後外側弾性域73Aまで延びている。おむつ10を着用者の脚からウエストへ向かって引き上げる際、中央部66では、着用者の臀部78に当たっておむつ10の引き上げが抑制されてたくれが生じやすいが、剛性付与部材65を配置することによって、たくれの発生を抑え、おむつ10を臀部78に沿わせてスムーズに引き上げることができる。また、剛性付与部材65は横方向Xにおける中央部66及び両側部67,67にそれぞれ配置してもよく、剛性付与部材65を複数配置することで後ウエスト域12の折れ曲がりをさらに抑えることができる。また、剛性付与部材65が後内側弾性域73Cから後外側弾性域73Aまで延びて配置されることで、後外側弾性域73Aと後中間弾性域73Bの境界部分、及び後中間弾性域73Bと後内側弾性域73Cの境界部分において、シャーシ14が折曲されることを防止することができる。
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係るおむつ10の図2と同様の平面図であり、図13は第2実施形態に係るおむつ10の図3と同様の分解斜視図である。本実施形態に係るおむつ10は、第1実施形態にかかるそれと基本的構成が同一であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
本実施形態のおむつ10は、前後ウエスト弾性体72,74に替えて、前後ウエスト域11,12に横方向Xに弾性的に伸長・収縮可能なシート部材からなるウエスト弾性シート90が配置されている。ウエスト弾性シート90は、前ウエスト域11に位置する前ウエスト弾性シート91と、後ウエスト域12に位置する後ウエスト弾性シート92とを含み、前ウエスト弾性シート91は、吸液性コアの縦方向Yの外側であって、ベースシート25と前ウエストシート26との間に配置され、後ウエスト弾性シート92は、前ウエスト弾性シート91と同一のシート材料からなり、吸液性コアの縦方向Yの外側であって、ベースシート25と後ウエストシート27との間に配置される。前後ウエスト弾性シート91,92は、サイドシーム22において互いに接合され、環状のウエスト弾性域を形成する。後ウエスト域12において、ウエスト開口23の縁部82と吸液性コアの後端縁58bとの間に位置し、後ウエスト域12の両側部間の全域に亘る第2領域84には、更に補助シート93が配置される。
補助シート93は、後ウエスト域12の両側部間の全域に亘って配置され、前後ウエスト域11,12における吸液性コアの縦方向Yの外側に位置する領域において、第2領域84の縦方向Yにおける曲げ剛性が他の領域よりも高くなるように設定されている。おむつ10の前ウエスト域11において、ウエスト開口23の縁部81と吸液性コアの前端縁58aとの間に位置し、おむつ10の着用状態の前後方向Zにおいて、第2領域84と対向する第1領域83は、縦方向Yにおける曲げ剛性が第2領域84と比較して相対的に低く設定されている。補助シート93は、繊維不織布等によって形成することができ、横方向Xに弾性的に伸長・収縮可能なシート部材であることが好ましい。
第2実施形態のおむつ10では、第2領域84の縦方向Yにおける曲げ剛性が、第1領域83の縦方向Yにおける曲げ剛性よりも高いため、第1実施形態と同様の技術的効果を奏することができる。
本発明に係るおむつ10を構成する各構成部材には、明細書に記載されている材料のほかに、この種の物品において通常用いられている各種公知の材料を制限なく用いることができる。また、明細書及び特許請求の範囲において、「第1」「第2」及び「第3」の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられる。
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記の事項に整理することができる。
縦方向Y及び横方向Xと、肌対向面及びその反対側に位置する非肌対向面と、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13とを有し、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12へ延びる吸液性コアを含むシャーシ14と、前後ウエスト域11,12の両側縁部を連結して画成されるウエスト開口23及び一対のレッグ開口24とを含むパンツ型のおむつ10において、吸液性コアは、縦方向Yにおいて離間対向してX横方向へ延びる前端縁58aと後端縁58bとを有し、前ウエスト域11は、前ウエスト域11の両側縁部間に伸長状態で横方向Xへ収縮可能に取り付けられた複数条の前ウエスト弾性体72と、前ウエスト弾性体72が配置され、かつ、ウエスト開口23の縁部と吸液性コアの前端縁58aとの間に位置する前中間弾性域71Bとを有し、後ウエスト域12は、後ウエスト域12の両側縁部間に伸長状態で横方向Xへ収縮可能に取り付けられた複数条の後ウエスト弾性体74と、後ウエスト弾性体74が配置され、かつ、ウエスト開口23の縁部と吸液性コアの後端縁58bとの間に位置する後中間弾性域73Bとを有し、前中間弾性域71Bと後中間弾性域73Bとは、着用状態の前後方向Zにおいて互いに対向して位置しており、後中間弾性域73Bにおける後ウエスト弾性体74の数は、前中間弾性域71Bにおける前ウエスト弾性体72の数よりも多く、後中間弾性域73Bにおいて互いに隣接する後ウエスト弾性体74の縦方向Yの離間寸法は、前中間弾性域71Bにおいて互いに隣接する前ウエスト弾性体72の縦方向Yの離間寸法よりも小さいことを特徴とする。
縦方向Y及び横方向Xと、肌対向面及びその反対側に位置する非肌対向面と、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13とを有し、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12へ延びる吸液性コアを含むシャーシ14と、前後ウエスト域11,12の両側縁部を連結して画成されるウエスト開口23及び一対のレッグ開口24とを含むパンツ型のおむつ10において、吸液性コアは、縦方向Yにおいて離間対向してX横方向へ延びる前端縁58aと後端縁58bとを有し、前ウエスト域11は、ウエスト開口23の縁部と吸液性コアの前端縁58aとの間に位置して、前ウエスト域11の両側縁部間の全域に亘る第1領域83を有し、後ウエスト域12は、ウエスト開口23の縁部と吸液性コアの後端縁58bとの間に位置して、後ウエスト域12の両側縁部間の全域に亘る第2領域84とを有し、第1領域83と第2領域84とは、着用状態の前後方向Zにおいて互いに対向して位置しており、第2領域84の縦方向Yにおける曲げ剛性は、第1領域83の縦方向Yにおける曲げ剛性よりも高いことを特徴とする。
上記段落0058及び0059に開示した本発明は、少なくとも下記の実施の態様を含むことができる。
(1)前ウエスト域11のウエスト開口23の縁部には、前ウエスト弾性体72が配置された前外側弾性域71Aが位置し、後ウエスト域12のウエスト開口23の縁部には、後ウエスト弾性体74が配置された後外側弾性域73Aが位置し、後外側弾性域73Aの最内側後ウエスト弾性体74aと後中間弾性域73Bの最外側後ウエスト弾性体74bとの縦方向Yにおける離間寸法は、前外側弾性域71Aの最内側前ウエスト弾性体72aと前中間弾性域71Bの最外側前ウエスト弾性体72bとの縦方向Yにおける離間寸法よりも小さい。
(2)後中間弾性域73Bの所定幅における伸長応力は、後外側弾性域73Aの所定幅における伸長応力よりも高い。
(3)後中間弾性域73Bの一部には、シート状またはテープ状の剛性付与部材65が配置される。
(4)剛性付与部材65は、後中間弾性域73Bの横方向Xの中央部66に位置する。
(5)剛性付与部材65は、縦方向Yに延びる止着テープである。
10 おむつ(パンツ型の着用物品)
11 前ウエスト域
12 後ウエスト域
13 クロッチ域
14 シャーシ
15 吸液構造体
58a 吸液性コアの前端縁
58b 吸液性コアの後端縁
65 剛性付与部材
71 前ウエスト弾性域
71A 前外側弾性域
71B 前中間弾性域(第1領域)
72 前ウエスト弾性体
73 後ウエスト弾性域
73A 後外側弾性域
73B 後中間弾性域(第2領域)
74 後ウエスト弾性体
X 横方向
Y 縦方向
Z 前後方向

Claims (6)

  1. 縦方向及び横方向と、肌対向面及びその反対側に位置する非肌対向面と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有し、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる吸液性コアを含むシャーシと、前記前後ウエスト域の両側縁部を連結して画成されるウエスト開口及び一対のレッグ開口とを含むパンツ型の着用物品において、
    前記吸液性コアは、前記縦方向において離間対向して前記横方向へ延びる前端縁と後端縁とを有し、
    前記前ウエスト域は、前記ウエスト開口側において前記横方向へ延びる前外側弾性域と、前記クロッチ域側において前記横方向へ延びる前内側弾性域と、前記吸液性コアの前記縦方向外側であって、前記前外側弾性域と前記前内側弾性域との間に位置する第1領域とを有し、
    前記前外側弾性域、前記前内側弾性域及び前記第1領域には、前記前ウエスト域の両側縁部間に伸長状態で前記横方向へ収縮可能に取り付けられた複数条の前ウエスト弾性体が配置され、
    前記後ウエスト域は、前記ウエスト開口側において前記横方向へ延びる後外側弾性域と、前記クロッチ域側において前記横方向へ延びる後内側弾性域と、前記吸液性コアの前記縦方向外側であって、前記後外側弾性域と前記後内側弾性域との間に位置する第2領域とを有し、
    前記後外側弾性域、前記後内側弾性域及び前記第2領域には、前記後ウエスト域の両側縁部間に伸長状態で前記横方向へ収縮可能に取り付けられた複数条の後ウエスト弾性体が配置され、
    前記第1領域と前記第2領域とは、着用状態の前後方向において互いに対向して位置しており、
    前記第2領域における前記後ウエスト弾性体の数は、前記第1領域における前記前ウエスト弾性体の数よりも多く、
    前記第2領域において互いに隣接する前記後ウエスト弾性体の前記縦方向の離間寸法は、前記第1領域において互いに隣接する前記前ウエスト弾性体の前記縦方向の離間寸法よりも小さく、
    前記第2領域の一部には、シート状またはテープ状の剛性付与部材が配置されることを特徴とする前記着用物品。
  2. 縦方向及び横方向と、肌対向面及びその反対側に位置する非肌対向面と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有し、前記クロッチ域から前記前後ウエスト域へ延びる吸液性コアを含むシャーシと、前記前後ウエスト域の両側縁部を連結して画成されるウエスト開口及び一対のレッグ開口とを含むパンツ型の着用物品において、
    前記吸液性コアは、前記縦方向において離間対向して前記横方向へ延びる前端縁と後端縁とを有し、
    前記前ウエスト域は、前記ウエスト開口の縁部と前記吸液性コアの前記前端縁との間に位置して、前記前ウエスト域の両側縁部間の全域に亘る第1領域を有し、
    前記後ウエスト域は、前記ウエスト開口の縁部と前記吸液性コアの前記後端縁との間に位置して、前記後ウエスト域の両側縁部間の全域に亘る第2領域を有し、
    前記第1領域と前記第2領域とは、着用状態の前後方向において互いに対向して位置しており、
    前記第2領域の前記縦方向における曲げ剛性は、前記第1領域の前記縦方向における曲げ剛性よりも高く、
    前記第2領域の一部には、シート状またはテープ状の剛性付与部材が配置されること特徴とする前記着用物品。
  3. 記後外側弾性域の最内側後ウエスト弾性体と前記第2領域の最外側後ウエスト弾性体との前記縦方向における離間寸法は、前記前外側弾性域の最内側前ウエスト弾性体と前記第1領域の最外側前ウエスト弾性体との前記縦方向における離間寸法よりも小さい請求項1に記載の着用物品。
  4. 前記第2領域の所定幅における伸長応力は、前記後外側弾性域の所定幅における伸長応力よりも高い請求項3記載の着用物品。
  5. 前記剛性付与部材は、前記第2領域の前記横方向の中央部に位置する請求項1〜4のいずれかに記載の着用物品。
  6. 前記剛性付与部材は、前記縦方向に延びる止着テープである請求項5に記載の着用物品。
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