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JP5246884B2 - ガイドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、医療用のガイドワイヤに関する。
従来、治療や検査のために、血管、消化管、尿管等の管状器官や体内組織に挿入して使用されるカテーテル等を案内するために各種のガイドワイヤが提案されている。例えば、コアシャフトの先端部分にコイルを二重に設けたガイドワイヤや(例えば、下記特許文献1、2参照)、先端部分のコイルに複数の素線からなる撚り線を用いたガイドワイヤがある(例えば、下記特許文献3参照)。
また、血管の狭窄が比較的重篤な場合等の狭い病変部を通過しなければならないガイドワイヤには、先細りのテーパ状の部分を有し、先端部の外径が小さくされたコイルを有するガイドワイヤがある(例えば、下記特許文献1の図5参照)。
米国特許第5,345,945号明細書 特表2006‐511304号公報 特開2009‐337号公報
このようなガイドワイヤを狭い病変部に進入させていくためには、手元側から与えられた回転トルクを先端側に伝達する回転トルクの伝達性が高いことが要求される。また、ガイドワイヤを軸方向に押し込んだ時に適切に先端側を軸方向に進入させるための押し込みトルク(軸方向のトルク)の伝達性が高いことが要求される。このような回転トルクや押し込みトルクの伝達性を高めるためには、一般的に、ガイドワイヤのコアシャフトを全体的に太くし、剛性を高めることが考えられる。
しかし、コアシャフトの径を太くして剛性を高めた場合、ガイドワイヤが狭い病変部に押し込まれ、当接した際に、ガイドワイヤの先端部分が折れ曲がったり、屈曲したりしたまま塑性変形して復元せず、残留角度が生じる可能性が高くなるという問題がある。即ち、復元性が悪いと言う問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ガイドワイヤの回転トルク、押し込みトルクの伝達性を向上させると共に、復元性が良好なガイドワイヤを提供することを目的とする。
尚、本明細書において、トルク伝達性という場合には、特に言及しない限り回転トルクと押し込みトルクの伝達性の両方を言うものとする。
本願発明では、上記の課題は以下に列挙される手段により解決がなされる。
<1>コアシャフトと、前記コアシャフトの先端に向かって外径が減少するように、少なくとも1本の素線が巻回されてなるテーパコイル部を有し、前記コアシャフトの先端側部を包囲する外側コイルと、少なくとも1本の素線が巻回されてなり、前記外側コイル内で前記コアシャフトの前記先端側部を包囲すると共に、前記テーパコイル部の先端側に配置される先端側の外径が後端側の外径よりも小さい内側コイルと、前記外側コイルの先端と前記内側コイルの先端を前記コアシャフトの先端に接合する先端接合部と、前記外側コイルの後端を前記コアシャフトに接合する外側後端接合部と、前記内側コイルの後端を前記外側後端接合部より先端側で、前記コアシャフトに接合する内側後端接合部とを有することを特徴とするガイドワイヤ。
<2>前記内側コイルは、先端側に配置され、少なくとも1本の素線が外径を略一定に巻回されてなる先端内側コイル部と、後端側に配置され、少なくとも1本の素線が外径を略一定に巻回されてなり、前記先端内側コイル部の外径よりも大きい外径を有する後端内側コイル部とからなることを特徴とする上記態様1に記載のガイドワイヤ。
<3>前記先端内側コイル部を構成する素線の直径は、前記後端内側コイル部を構成する素線の直径より小さいことを特徴とする上記態様2に記載のガイドワイヤ。
<4>前記内側コイルの前記先端内側コイル部と前記後端内側コイル部は、内側中間接合部によって接合されると共に、前記内側中間接合部は、前記内側コイルを前記コアシャフトに接合することを特徴とする上記態様2又は3に記載のガイドワイヤ。
<5>前記外側コイルは、前記テーパコイル部の先端側に外径が略一定の先端直線コイル部を有し、前記内側中間接合部は、前記先端直線コイル部と前記テーパコイル部の境界よりも後端側に位置することを特徴とする上記態様4に記載のガイドワイヤ。
<6>前記先端直線コイル部は、先端側に素線が互いに離間する疎巻き部と後端側に素線が互いに接触する密巻き部とを有することを特徴とする上記態様5に記載のガイドワイヤ。
<7>前記先端内側コイル部と前記後端内側コイル部の少なくとも一方のコイル部は、複数の素線を撚り合わせた中空の撚り線コイルからなることを特徴とする上記態様2から6のいずれか1態様に記載のガイドワイヤ。
<8>前記後端内側コイル部は、前記先端内側コイル部よりも素線の数が少ないコイルからなることを特徴とする上記態様7に記載のガイドワイヤ。
<9>前記内側コイルは、前記コアシャフトの先端に向かって外径が次第に減少するように、少なくとも1本の素線が巻回されてなる一体的なコイルからなることを特徴とする上記態様1に記載のガイドワイヤ。
<10>前記内側コイルを構成する先端側の素線の断面積は、後端側の素線の断面積より小さいことを特徴とする上記態様9に記載のガイドワイヤ。
<11>前記内側コイルは、複数の素線を撚り合わせた中空の撚り線コイルであることを特徴とする上記態様1、9及び10のいずれか1態様に記載のガイドワイヤ。
<1> 本発明のガイドワイヤは、外側コイルに先端方向に外径が減少するテーパコイル部を有することによりガイドワイヤの先端の外径が小さくされているため、狭い狭窄部にも先端を挿入でき、テーパコイル部によって徐々に狭窄部を押し広げながら狭窄部に進入させることが可能である。
この外側コイル内に配置されている内側コイルは、外側コイルのテーパコイル部に対応するように先端側の直径が後端側の直径に比べて小さくされている。このため外側コイルの先端部分の外径をテーパコイル部によって細径化したとしても、テーパコイル部の後端側から外側コイルの先端までの長い範囲に亘って内側コイルを配置することができる。従って、内側コイルによって回転トルクと押し込みトルク(軸方向のトルク)の伝達性を向上させることができる。また、テーパコイル部の小さい外径部分に対応させて、内側コイルの外径も小さくなっており、両者の間に間隙が確保されているため、屈曲した血管等において、外側コイルと内側コイルが接触して干渉することを防止しつつ、内側コイルの外径の大きい後端側から外径の小さい先端側へスムーズに回転トルクを伝達できる。従って、ガイドワイヤの手元側から与えられた回転角度に対応した回転角度が先端側にて実現される。即ち、ガイドワイヤの回転追従性を向上させることができる。
更に、内側コイルによって、所望の先端荷重を得ることができるため、ガイドワイヤを狭窄部に押し込んだ際に、ガイドワイヤの先端部分が屈曲し、折れ曲がることにより、塑性変形して、残留角度が生じることが可及的に防止できる。即ち、ガイドワイヤの復元性が向上する。
<2> 本発明の態様2では、内側コイルを外径が略一定の先端内側コイル部と後端内側コイルとから構成したために、外径コイルのテーパコイル部における細径化された先端側の内周面と先端内側コイル部との外周面との間の径方向の間隙と、テーパコイル部の径が大きくされた後端側の内周面と後端内側コイル部の外周面との間の径方向の間隙を十分に確保できる。このため屈曲した血管等において、ガイドワイヤの手元側が回転された際に、内側コイルと外側コイルとが接触し、干渉することによって、回転トルクの伝達が阻害されることが可及的に防止できる。従って、ガイドワイヤの回転追従性を一層向上させることができる。
また、外径コイルのテーパコイル部と内側コイルとの接触、干渉が防止できるため、ガイドワイヤの先端部分の柔軟性が劣化することを可及的に防止できる。
<3> 本発明の態様3では、後端側に位置する後端内側コイル部の素線の直径が、先端側に位置する先端内側コイル部を構成する素線の直径に比べ大きいため、後端内側コイル部のトルク伝達性を高めることができる。このため後端側から伝達される回転トルクや押し込みトルクを効率よく先端内側コイル部に伝達し、ガイドワイヤのトルク伝達性を高めることができる。
また、先端内側コイル部を構成する素線の直径が小さいため、内側コイルの先端部分の柔軟性を向上させることができ、結果的にガイドワイヤの先端部分の柔軟性を向上させることができる。
<4> 本発明の態様4では、先端内側コイル部と後端内側コイル部とを接合する内側中間接合部によって内側コイルをコアシャフトに接合しているため、後端内側コイル部から伝達される回転トルクや押し込みトルクを先端内側コイル部だけでなく、コアシャフトにも伝達できるため、回転トルクと押し込みトルクの伝達性を向上させることができる。
<5> 本発明の態様5では、内側中間接合部が先端直線コイル部とテーパコイル部の境界よりも後端側に位置することにより、内側中間接合部の位置が外側コイルの外径に差が生じることによって剛性に変化が生じる部分と一致しない構造となっている。このためガイドワイヤの剛性が急激に変化することを可及的に防止でき、ガイドワイヤの手元側から付与される回転トルクや押し込みトルクを効率良く先端側に伝達することができ、トルク伝達性が向上する。
<6> 本発明の態様6では、先端直線コイル部の先端側に疎巻き部を有するため、ガイドワイヤが先端程柔軟な安全性の高い構造となる。
また、外径の小さい外側コイルと内側コイルとが重なる先端部分において、両者が互いに接触する可能性が増加しても、疎巻き部によって外側コイルの屈曲と素線の微小な移動は許容されるため、外側コイルと内側コイルの干渉は減殺され、ガイドワイヤの先端部分の柔軟性を維持することができる。
<7> 本発明の態様7では、先端内側コイル部と後端内側コイル部の少なくとも一方のコイル部を複数の素線を撚り合わせた中空の撚り線コイルとしたために、一層トルク伝達性を向上させることができる。また、撚り線コイルは、柔軟性を維持しつつ先端荷重を向上させる効果も高いため、コアシャフトの先端部分の細径化が一層可能となり、ガイドワイヤが折れ曲がり、残留角度が発生することを防止する効果が向上する。
<8> 本発明の態様8では、後端内側コイル部の素線の数を先端内側コイル部の素線の数よりも少なくしたために、外径の大きい後端内側コイル部の剛性が先端内側コイル部に比べて過度に大きくなることを可及的に防止できる。このため、先端内側コイル部と後端内側コイル部との間に生じる剛性差を緩和することができるため、トルク伝達性を向上させることができる。
<9> 本発明の態様9では、内側コイルがコアシャフトの先端に向かって外径が次第に減少する一体的なコイルからなるため、回転トルク、押し込みトルクを内側コイルの後端側から先端側へ円滑に伝達することができるため、トルク伝達性を向上させることができる。
<10> 本発明の態様10では、内側コイルの先端側に位置する素線の断面積が、後端側に位置する素線の断面積より小さいため、内側コイルの先端部分の柔軟性を向上させることができる。
また、後端側に位置する素線の断面積が大きいため、後端側から伝達される回転トルクや押し込みトルクを効率よく先端側に伝達し、ガイドワイヤのトルク伝達性を高めることができる。
<11> 本発明の態様11では、内側コイルが複数の素線を撚り合わせた中空の撚り線コイルであるためトルク伝達性が高い。また、撚り線コイルは、柔軟性を維持しつつ先端荷重を向上させる効果も高いため、コアシャフトの先端部分の細径化が一層可能となり、ガイドワイヤが折れ曲がり、残留角度が発生することを防止する効果が向上する。
図1は、第1の実施の形態のガイドワイヤの全体図である。 図2は、図1の一部拡大図である。 図3は、ガイドワイヤの先端荷重を測定する装置を示した図である。 図4は、第2の実施の形態のガイドワイヤを示した図である。 図5は、第3の実施の形態のガイドワイヤを示した図である。
第1の実施の形態のガイドワイヤを図1、図2を参照しつつ説明する。図1、図2において、図示右側が体内に挿入される先端側(遠位側)、左側が手技者によって操作される後端側(手元側、基端側)である。
ガイドワイヤ10は、主に心臓の血管の治療に用いられるものである。ガイドワイヤ10は、本実施の形態の場合、約1900mmの長さを有する。
ガイドワイヤ10は、主にコアシャフト14、内側コイル50、外側コイル60からなる。コアシャフト14は本体部20、先端側部30に大別される。ガイドワイヤ10の先端から外側コイル60を経て本体部20の所定の範囲までの外表面には親水性コーティングが施されている。
本体部20は、直径が一定の円柱状の部分であり、コアシャフト14の先端側部30以外の部分である。本実施の形態の場合、本体部20の直径は約0.35mmに設定されている。先端側部30は、コアシャフト14が細径化された部分であり、本実施の形態の場合、約260mmである。
コアシャフト14の材料は特に限定されるものでは無いが、本実施の形態の場合、ステンレス鋼(SUS304)が用いられている。これ以外の材料としては、Ni−Ti合金のような超弾性合金やピアノ線等が用いられる。
先端側部30は、本体部20側からガイドワイヤ10の先端に向かって順に第1テーパ部31、小径部32、第2テーパ部33、第3テーパ部34、最先端部40を有している。
第1テーパ部31は、本実施の形態の場合、軸方向に約95mmの長さを有する。第1テーパ部31は、断面が円形であり、先端に向けて細くなるテーパ状となった部分である。本実施の形態では、直径が先端方向に向けて約0.35mmから約0.21mmに減少している。
小径部32は、断面が円形で直径が一定の円柱状の部分であり、本実施の形態の場合、直径は約0.21mmとなっている。
第2テーパ部33、第3テーパ部34は、それぞれ断面が円形であり、傾斜角度の異なる先端に向けて細くなるテーパ状となった部分である。本実施の形態の場合、第2テーパ部33の手元側の端部から第3テーパ部34の先端側の端部では、直径が約0.21mmから約0.04mmに減少するようになっている。
上述した第1〜第3テーパ部31、33、34及び小径部32の配置や寸法は、所望の剛性を得る等の理由により適宜に変更し得る。例えば、第2テーパ部33と第3テーパ部34の間に直径が一定の円柱部を設けることも可能である。また、テーパ部の数やテーパ部の角度も必要に応じて適宜に設定できる。
最先端部40は、図2に示す様に、第3テーパ部34側からガイドワイヤ10の先端に向かって順に第1テーパ柔軟部41、第1柱状柔軟部42、第2テーパ柔軟部43、第2柱状柔軟部44を有している。本実施の形態では、最先端部40の軸方向の長さは、約16mmに設定されている。
最先端部40は、コアシャフト14の中で特に曲げ剛性が低い部分であり、中でも第2柱状柔軟部44が最も曲げ剛性の低い部分となっている。
第1テーパ柔軟部41と第2テーパ柔軟部43は断面が円形であり、先端に向けて細くなるテーパ状の部分である。第1柱状柔軟部42と第2柱状柔軟部44は、断面が円形で直径が一定の円柱状の部分である。
第1テーパ柔軟部41は、第3テーパ部34の遠位端から第1柱状柔軟部42に向けて直径が減少するようになっており、本実施の形態の場合、第1柱状柔軟部42の直径は、約0.035mmに設定されている。
第2テーパ柔軟部43は、第1柱状柔軟部42の遠位端から第2柱状柔軟部44の基端に向けて直径が減少するようになっており、第2柱状柔軟部44の直径は、約0.03mmに設定されている。
外側コイル60内において、コアシャフト14の最先端部40と第3テーパ部34の先端部分は、内側コイル50に包囲されている。内側コイル50は、先端側の先端内側コイル部51と後端側の後端内側コイル部55の2つの別個のコイルが接続された構成からなる。先端内側コイル部51は、コアシャフト14の最先端部40を包囲し、後端内側コイル部55は、コアシャフト14の第3テーパ部34の先端部分を包囲する。
先端内側コイル部51と後端内側コイル部55は、それぞれ芯金上に複数の金属製の素線が接触するように密に撚り合わせた後、撚り合わせた際の残留応力を公知の熱処理方法にて除去し、芯金を抜き取ることによって製造された中空の撚り線コイルである。
先端内側コイル部51の外径は、本実施の形態の場合、約0.09mmである。先端内側コイル部51の素線51aの数は特に限定されないが、6〜8本が好ましく、本実施の形態の場合、8本である。また、素線51aの直径は、約0.02〜0.03mmのものが用いられ、本実施の形態の場合、約0.02mmとなっている。
後端内側コイル部55の外径は、本実施の形態の場合、約0.15mmである。後端内側コイル部55の素線55aの数も特に限定されないが、6〜8本が好ましく、本実施の形態の場合、6本である。また、素線55aの直径は、約0.02〜0.04mmのものが用いられ、本実施の形態の場合、約0.03mmとなっている。
このように先端内側コイル部51の素線51aの直径を後端内側コイル部55の素線55aの直径より小さくすることにより、内側コイル50の先端部分の柔軟性を向上させることができる。
また、後端側に位置する後端内側コイル部55の素線55aの直径が大きいため、後端内側コイル部55のトルク伝達性を高めることができる。よって、後端側から伝達される回転トルクや押し込みトルク(軸方向のトルク)を効率よく先端内側コイル部51に伝達し、ガイドワイヤ10のトルク伝達性を高めることができる。
また、外径と素線径の大きい後端内側コイル部55の剛性が先端内側コイル部51の剛性に比べて過度に大きくなることを防止するために、後端内側コイル部55の素線55aの数は、先端内側コイル部51の素線51aの数よりも少なくされている。このため先端内側コイル部51と後端内側コイル部55との間に生じる剛性差を緩和することができ、トルク伝達性を向上させることができる。
素線51a、55aの材料は特に限定されるものでは無いが、本実施の形態の場合、ステンレス鋼が用いられている。これ以外の材料としては、Ni−Ti合金のような超弾性合金等が用いられる。また、異なる材料の素線を組み合わせることも可能である。
尚、図1、図2における先端内側コイル部51の素線51a及び後端内側コイル部55の素線55aの直径と後述する外側コイル60の素線60aの直径は、理解を容易にするために、コアシャフト14の軸方向の寸法等に比して誇張して図示されている。
先端内側コイル部51の先端は、外側コイル60の先端と共にコアシャフト14の軸線に対して同軸状にコアシャフト14の先端にロウ付けによって接合されている。このロウ付け部は、略半球状の先端チップ15(先端接合部)を形成している。
先端内側コイル部51の後端は、ロウ付けによって最先端部40の第1テーパ柔軟部41に同軸状に接合されている。このロウ付け部は、内側中間接合部52を形成している。
後端内側コイル部55の先端は、先端内側コイル部51の後端と共に内側中間接合部52にて最先端部40の第1テーパ柔軟部41に同軸状に接合されている。尚、内側中間接合部52は、外側コイル60とは接合されていない。
後端内側コイル部55の後端は、ロウ付けによって第3テーパ部34に同軸状に接合されている。このロウ付け部は、内側後端接合部56を形成している。
内側コイル50は、ガイドワイヤ10の先端部分が手技中に狭窄部に当接した際や、屈曲した血管を通過する際等に、塑性変形して折れ曲がることを防止するために、このような折れ曲がりが発生し易い、細径化されて曲げ剛性の低い最先端部40と第3テーパ部34の先端部分を包囲している。また、内側コイル50によって包囲される範囲は、シェイピングと呼ばれるコアシャフト14の先端部分を予め所定の方向に曲げておく作業が行われる範囲と略一致する。
最先端部40から小径部32までのコアシャフト14の大部分は、外側コイル60内に挿通されている。外側コイル60は、1本の金属製の素線60aを巻回したものであり、後端側から先端側へ向かって順にコイル本体部61、テーパコイル部64及び先端直線コイル部63からなる。
コイル本体部61は、外径が一定となるように素線60aが巻回された部分であり、本実施の形態の場合、外径は約0.36mmであり、軸方向の長さがは約120mmである。コイル本体部61において、隣接する素線60aは、互いに接触するように密に巻回されている。
テーパコイル部64は、先端方向に外径が減少するように素線60aが巻回された部分であり、本実施の形態の場合、外径は約0.36mmから約0.2mmに減少するようになっている。テーパコイル部64の先端側において、テーパコイル部64の内周面と先端内側コイル部51の後端側の外周面との間には、間隙71が形成されており、テーパコイル部64の後端側において、テーパコイル部64の内周面と後端内側コイル部55の後端側の外周面との間には、間隙75が形成されている。
テーパコイル部64の軸方向の長さは約30mmである。テーパコイル部64において、隣接する素線60aは互いに接触するように密に巻回されている。
先端直線コイル部63は、一定の外径となるように素線60aが巻回された部分であり、本実施の形態の場合、外径は約0.2mmであり、軸方向の長さは約10mmである。先端直線コイル部63は、後端側に隣接する素線60aが互いに接触するように密に巻回された密巻き部63aと、先端側に隣接する素線60aの間に間隙が存在するように疎に巻回された疎巻き部63bとを有する。疎巻き部63bは、外側コイル60の先端部分の柔軟性を高めると共に、後述するように内側コイル50の先端内側コイル部51との干渉を緩和するようになっている。
外側コイル60の素線60aはプラチナ合金等の放射線不透過性の金属線からなる。素線60aの直径は、約0.05〜0.06mmが好ましく、本実施の形態の場合、約0.05mmである。
尚、外側コイル60の素線60aをプラチナ合金等の放射線不透過性の金属線とステンレス鋼等からなる放射線透過性の金属線を接合した1本の素線から構成し、例えば、外側コイル60の先端側30mm程度を放射線不透過性のコイルとし、残りの後端側を放射線透過性のコイルとしても良い。
先端直線コイル部63の外径及び素線60aの直径と先端内側コイル部51の外径から明らかなように、先端直線コイル部63の内周面と先端内側コイル部51の外周面との間には、微小な間隙が存在するようになっている。
外側コイル60の先端は、先端チップ15によって先端内側コイル部51と同軸状にコアシャフト14の先端にロウ付けによって接合されている。外側コイル60の後端は、ロウ付けによって小径部32に同軸状に接合されている。このロウ付け部は、外側後端接合部66を形成している。
また、外側コイル60は、テーパコイル部64の後端において、第3テーパ部34にロウ付けによって接合されている。このロウ付け部は、外側中間接合部65を形成している。
尚、外側中間接合部65はテーパコイル部64内に位置することが好ましいが、テーパコイル部64の後端と一致している必要は無い。但し、後述するように後端内側コイル部55の内側後端接合部56から所定の距離だけ離間している方が、急激が剛性変化を避ける上で好ましい。
上述した内側コイル50の内側中間接合部52は、外側コイル60の先端直線コイル部63の密巻き部63aの基端より後端側に位置している。このような配置によって、ガイドワイヤ10の剛性が急激に変化することを可及的に防止できる。即ち、外側コイル60の先端直線コイル部63は、素線60aが疎に巻回された疎巻き部63bを有するため、隣接する素線60aが密に巻回された密巻き部63aとの境界で剛性に変化が生じる。同様に、先端直線コイル部63とテーパコイル部64との境界で外側コイル60の外径が変化するため外側コイル60の剛性に変化が生じる。このような剛性変化が生じる境界と内側コイル50の内側中間接合部52とが重なると、剛性変化が強調される結果となるため、これを防止するために上記のように内側中間接合部52を先端直線コイル部63の疎巻き部63bと密巻き部63aの境界から偏倚させ、且つ、先端直線コイル部63とテーパコイル部64との境界からも偏倚させる必要がある。よって、内側中間接合部52は、先端直線コイル部63とテーパコイル部64との境界より後端側、即ち、先端直線コイル部63の密巻き部63aの基端より後端側に偏倚して配置されている。
尚、外側コイル60が先端直線コイル部63を備えず、テーパコイル部64の先端側に疎巻き部を有し、後端側に密巻き部を有する構成の場合には、内側中間接合部52は、疎巻き部と密巻き部の境界から後端側に偏倚して配置することが好ましい。
先端直線コイル部63の疎巻き部63bは、先端内側コイル部51と先端直線コイル部63とが接触して干渉することにより、外側コイル50の先端部分の柔軟性が劣化することを防止することに寄与する。即ち、疎巻き部63bは、素線60a間に間隙を有するため、血管の屈曲部等で先端内側コイル部51が先端直線コイル部63に仮に接触して干渉しても、各素線60aが軸方向に僅かに移動できるようになっているため、外側コイル60の屈曲が許容され、外側コイル60の柔軟性が失われることを可及的に防止できるようになっている。
また、内側コイル50の内側後端接合部56は、外側コイル60の外側中間接合部65と軸方向に離間している。内側コイル50と外側コイル60を同じ位置でコアシャフト14に接合すると、その位置でガイドワイヤ10の剛性が高くなってしまい、ガイドワイヤ10の剛性が急激に変化してしまうため、このような剛性の変化を可及的に防止するためである。この構成により、ガイドワイヤ10の手元側から与えられる回転トルクや押し込みトルクの伝達を向上させることができる。
以上の構成の本実施の形態のガイドワイヤ10は、外側コイル60にテーパコイル部64を有することにより、外側コイル60の外径が小さくなっているため、比較的重篤な狭い狭窄部にもガイドワイヤ10を進入させることができるだけでなく、内側コイル50によってトルク伝達性を向上させることができる。即ち、ガイドワイヤ10の手元側から伝達された回転トルクや押し込みトルクは、外径の大きい後端内側コイル部55と外径の小さい先端内側コイル部51とからなる長い範囲亘って、内側コイル50により、ガイドワイヤ10の先端まで伝達される。
この際、外側コイル60と内側コイル50の間において、外径の小さいテーパコイル部64の先端側では、外径の小さい先端内側コイル部51の後端側との間で、間隙71が確保され、外径の大きいテーパコイル部64の後端側では、外径の大きい後端内側コイル部55の後端側との間で、間隙75が確保される。このように外側コイル60の内周面と内側コイル50の外周面との間に間隙が確保されるため、ガイドワイヤ10が屈曲する血管等において回転されたとしても、外側コイル60と内側コイル50との接触、干渉が可及的に防止されるため、円滑に回転トルクをガイドワイヤ10の先端に伝達し、ガイドワイヤ10の手元側から与えられた回転角度に対応した回転角度が先端側にて実現される。即ち、ガイドワイヤ10の回転追従性を向上させることができる。
また、本実施の形態の場合、後端側に位置する後端内側コイル部55の素線55aの直径が先端内側コイル部51の素線51aの直径よりも大きいため、後端内側コイル部55のトルク伝達性を高めることができると共に、先端内側コイル部51が位置する先端側の柔軟性を向上させることができる。また、このような構成において、外径と素線径の大きい後端内側コイル部55の剛性が先端内側コイル部51の剛性に比べて過度に大きくなることを防止するために、本実施の形態の場合、後端内側コイル部55の素線55aの数を先端内側コイル部51の素線51aの数よりも少なくしている。このため先端内側コイル部51と後端内側コイル部55との間に生じる剛性差を緩和することができ、トルク伝達性を向上させることができる。
更に、先端内側コイル部51と後端内側コイル部55とを接続する内側中間接合部52が内側コイル50をコアシャフト14に接合しているため、後端内側コイル部55から伝達されるトルクを、内側中間接合部52によってコアシャフト14に伝達でき、一層トルク伝達性が向上する。ここで、内側中間接合部52は、外側コイル60の先端直線コイル部63の密巻き部63aの基端より後端側に配置されているため、内側中間接合部52によってガイドワイヤ10の剛性が急激に変化することを可及的に防止できる。従って、トルクの伝達を阻害することが防止されてトルク伝達性が向上する。
また、内側コイル50によりコアシャフト14の先端部分である最先端部40及び第3テーパ部34を包囲した構造となっているため、先端荷重を損なうことなく、最先端部40及び第3テーパ部34の外径を小さくすることができる。この結果、血管内の重篤な狭窄部にガイドワイヤ10の先端部が当接した際や、屈曲した血管にガイドワイヤ10の先端部分が進入した際に、ガイドワイヤ10の先端部分が折れ曲がったり、屈曲したまま塑性変形し、復元しなくなることが可及的に防止できる。即ち、ガイドワイヤ10の復元性が向上する。
尚、先端荷重とは、ガイドワイヤ10の先端を軸方向に押圧した際の最大加重であり、例えば、図3に模式的に示す測定装置90によって測定することができる。測定装置90は、荷重測定装置93上の測定部93aと、この上方にガイドワイヤ10を支持するための円筒状の支持部92が配置された構成となっている。このような構成により、ガイドワイヤ10を支持部92内に挿通し、ガイドワイヤの先端が測定部93aに接触するように略垂直に載置する。この状態から、ガイドワイヤ10を手元側から下方に押し付け、ガイドワイヤ10の先端によって、測定部93aを押圧することにより、その時の最大荷重を先端荷重として測定するようになっている。本実施の形態のガイドワイヤ10は、この測定装置90で約5.0[mN]の先端荷重となるように設定されている。
以上述べた実施の形態では、内側コイル50の先端内側コイル部51と後端内側コイル部55が複数の素線からなる撚り線コイルから構成されている。撚り線コイルは、先端荷重、トルク伝達性、復元力を向上させる点で一層有利であるが、先端内側コイル部51と後端内側コイル部55の両方又はどちらか一方を1本の素線からなる単線コイルで形成しても良い。このような単線コイルの場合でも、隣接する素線が互いに接触する密巻きのコイルである方が好ましい。
また、本実施の形態では、外側コイル60は、コイル本体部61、テーパコイル部64、先端直線コイル部63の3つの部分からなるが、先端直線コイル部63を有することなく、先端までテーパ状のコイル部を備える構成としても良い。
本実施の形態では、トルク伝達性をより高めると共に、先端側の柔軟性を向上させるために、後端内側コイル部55の素線55aの直径を先端内側コイル部51の素線51aの直径より大きくしているが、後端内側コイル部55の素線55aと先端内側コイル部51の素線51aとを同等の直径とすることもできる。
同様に、本実施の形態では、後端内側コイル部55と先端内側コイル部51との剛性差を緩和するために、後端内側コイル部55の素線55aの数を先端内側コイル部51の素線51aの数よりも少なくしているが、後端内側コイル部55の素線55aと先端内側コイル部51の素線51aの数を同じとすることも可能である。
以上述べた実施の形態では、内側コイル50が外径が略一定のコイルである先端内側コイル部51と後端内側コイル部55の2つのコイル部からなる構成としているが、図4の第2の実施の形態に示す様に、外径が略一定の先端内側コイル部151及び後端内側コイル部155と、この2つのコイル部を接続するテーパ状の中間内側コイル部153を有する3つのコイル部からなる内側コイル150としても良い。この場合は、先端内側コイル部151は、最も細径化されたコアシャフト14の最先端部40の全長又は大半の部分を包囲すると共に、後端内側コイル部155の後端部分は、コアシャフト14の最先端部40に隣接する部分である第3テーパ部34の先端部分を包囲する。そして、中間内側コイル部153は、先端内側コイル部151が包囲する部分と後端内側コイル部155が包囲する部分の間の部分を包囲する。
この構成により、2つの円筒状のコイル部151、155を中間内側コイル部153によって滑らかに接続することができるため、円滑なトルク伝達が可能となる。また、3つのコイル部151、153、155を第1内側中間接合部152aと第2内側中間接合部152bによって、コアシャフト14に接合した構成であるため、複数の内側中間接合部152a、152bによってトルク伝達性を一層向上させることができる。この構成においても、ガイドワイヤの剛性の急激に変化を可及的に防止するために、第1内側中間接合部152aは、外側コイル60の先端直線コイル部63の密巻き部63aの基端より後端側に配置されることが好ましい。
また、図5に示す第3の実施の形態の様に、内側コイルを先端に向けて漸進的に直径が減少するテーパ状の1つの撚り線コイルからなる内側コイル250から構成としても良い。この場合でも、内側コイル250の先端部分は、最も細径化されたコアシャフト14の最先端部40を包囲すると共に、内側コイル250の後端部分は、コアシャフト14の最先端部40に隣接する部分である第3テーパ部34の先端部分を包囲する。
この構成により、複数のコイル部からなる内側コイルに比べて、内側コイルの剛性の変化が可及的に低減されるため、円滑なトルク伝達が可能となり、ガイドワイヤの回転方向及び軸方向のトルク伝達性を向上させることができる。
第3の実施の形態では、内側コイル250の先端側に位置する素線の断面積を後端側に位置する素線の断面積より小さくすることにより、内側コイル250の先端部分の柔軟性を向上させることができる。また、このような構成とすることにより、後端側に位置する素線の断面積が大きくなるため、後端側から伝達される回転トルクや押し込みトルクを効率よく先端側に伝達し、ガイドワイヤのトルク伝達性を高めることができる。
内側コイル250の先端側の素線の断面積を後端側の素線の断面積より小さくする方法としては、先端側の外表面をセンタレス研磨する方法や、電解研磨によって先端側の素線径を小さくする方法等がある。
上述した実施の形態では、最先端部40が、第1テーパ柔軟部41、第1柱状柔軟部42、第2テーパ柔軟部43、第2柱状柔軟部44からなり、何れの部分も断面が円形の構成となっているが、最先端部40の先端部分をプレス加工等を用いて1つ又は複数の平坦な部分を有する構成としても良い。
このようにプレス加工等を施した先端部分を有することで、柔軟性が増すと共に、捻り剛性が高くなる効果を有する。
また、本実施の形態のガイドワイヤは、心臓用に限られることなく、脳やその他の臓器にも用いることができる。
10 ガイドワイヤ
14 コアシャフト
15 先端チップ(先端接合部)
30 先端側部
40 最先端部
50 内側コイル
51 先端内側コイル部
51a 素線
55 後端内側コイル部
55a 素線
52 内側中間接合部
56 内側後端接合部
60 外側コイル
60a 素線
61 コイル本体部
63 先端直線コイル部
64 テーパコイル部
66 外側後端接合部

Claims (11)

  1. コアシャフトと、
    前記コアシャフトの先端に向かって外径が減少するように、少なくとも1本の素線が巻回されてなるテーパコイル部を有し、前記コアシャフトの先端側部を包囲する外側コイルと、
    少なくとも1本の素線が巻回されてなり、前記外側コイル内で前記コアシャフトの前記先端側部を包囲すると共に、前記テーパコイル部の先端側に配置される先端側の外径が後端側の外径よりも小さい内側コイルと、
    前記外側コイルの先端と前記内側コイルの先端を前記コアシャフトの先端に接合する先端接合部と、
    前記外側コイルの後端を前記コアシャフトに接合する外側後端接合部と、
    前記内側コイルの後端を前記外側後端接合部より先端側で、前記コアシャフトに接合する内側後端接合部と
    を有することを特徴とするガイドワイヤ。
  2. 前記内側コイルは、先端側に配置され、少なくとも1本の素線が外径を略一定に巻回されてなる先端内側コイル部と、後端側に配置され、少なくとも1本の素線が外径を略一定に巻回されてなり、前記先端内側コイル部の外径よりも大きい外径を有する後端内側コイル部とからなることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 前記先端内側コイル部を構成する素線の直径は、前記後端内側コイル部を構成する素線の直径より小さいことを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記内側コイルの前記先端内側コイル部と前記後端内側コイル部は、内側中間接合部によって接合されると共に、前記内側中間接合部は、前記内側コイルを前記コアシャフトに接合することを特徴とする上記態様2又は3に記載のガイドワイヤ。
  5. 前記外側コイルは、前記テーパコイル部の先端側に外径が略一定の先端直線コイル部を有し、前記内側中間接合部は、前記先端直線コイル部と前記テーパコイル部の境界よりも後端側に位置することを特徴とする請求項4に記載のガイドワイヤ。
  6. 前記先端直線コイル部は、先端側に素線が互いに離間する疎巻き部と後端側に素線が互いに接触する密巻き部とを有することを特徴とする請求項5に記載のガイドワイヤ。
  7. 前記先端内側コイル部と前記後端内側コイル部の少なくとも一方のコイル部は、複数の素線を撚り合わせた中空の撚り線コイルからなることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
  8. 前記後端内側コイル部は、前記先端内側コイル部よりも素線の数が少ないコイルからなることを特徴とする請求項7に記載のガイドワイヤ。
  9. 前記内側コイルは、前記コアシャフトの先端に向かって外径が次第に減少するように、少なくとも1本の素線が巻回されてなる一体的なコイルからなることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤ。
  10. 前記内側コイルを構成する先端側の素線の断面積は、後端側の素線の断面積より小さいことを特徴とする請求項9に記載のガイドワイヤ。
  11. 前記内側コイルは、複数の素線を撚り合わせた中空の撚り線コイルであることを特徴とする請求項1、9及び10のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
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