JP4413532B2 - 水硬性組成物の補強用繊維及びそれを含む水硬性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水硬性組成物の補強用繊維に関し、特に、100MPa以上の圧縮強度を有する超高強度のセメント系組成物の曲げ強度や靭性(破壊エネルギー)等を向上させることのできる補強用繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート等のセメント系組成物は、圧縮強度に比べて引張強度や曲げ強度等が小さく、これら引張強度等の特性を向上させるために、有機質繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の短繊維を配合し分散させることが行なわれている。
しかし、繊維単糸の状態または繊維単糸になり易い状態で、これらの短繊維をセメント系組成物中に混入させた場合には、繊維単糸の径が0.05mm以下と小さいことから、大きな補強効果を期待できないことに加えて、繊維単糸間に水分が吸収されて、セメント系組成物の流動性が低下したり、あるいは、繊維単糸がファイバーボールになって、セメント系組成物中における強度のばらつきが生じるなどの問題がある。
そのため、繊維の混入による補強効果の増大を図ると共に、セメント系組成物の流動性の低下を抑制し、かつ、ファイバーボールの形成を阻止するために、多数の繊維単糸を集束させて用いる技術が開発されている。
例えば、炭素繊維等の繊維単糸と、エポキシ樹脂等の樹脂とからなる繊維ストランドであって、樹脂の圧縮強度等を特定の数値範囲内に調整してなる繊維ストランドが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−292582号公報(第2頁の特許請求の範囲、第3頁の段落番号0009)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1に記載の繊維ストランドは、フレッシュ状態のコンクリートと混練するときには、強い集束力を保持して、コンクリートの流動性の低下を抑制し、かつ、ファイバーボールの形成を防ぐことができ、施工時には、単糸状態になって、コンクリート中に均一に分散し、高い補強効果を発揮するものである。
しかし、この繊維ストランドは、最終的にはコンクリート中で単糸状態になることから、100MPa以上の圧縮強度を有するコンクリートに用いるには、補強効果が未だ不十分であった。
そこで、本発明は、100MPa以上の圧縮強度を有する超高強度の水硬性組成物に対しても十分な補強効果を発揮することのできる補強用繊維を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の本数の特定の繊維単糸を非水溶性の合成樹脂で集束することによって、100MPa以上の圧縮強度を有する超高強度のセメント系組成物に対しても、十分な補強効果を発揮することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明(請求項1)の水硬性組成物の補強用繊維は、5〜45本の繊維単糸を非水溶性の合成樹脂で集束してなる水硬性組成物の補強用繊維であって、上記繊維単糸は、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ビニロン繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維であり、上記補強用繊維は、直径が0.05〜0.5mmで、長さが3〜50mmであることを特徴とする。
このように構成した補強用繊維を用いれば、コンクリート等の水硬性組成物に配合して混練する時のみでなく、施工時にも、繊維単糸が集束された状態が維持されるため、硬化後の水硬性組成物において、曲げ強度や靭性(破壊エネルギー)を著しく高めることができる。
上記非水溶性の合成樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニロン、ナイロン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群より選ばれる1種以上の合成樹脂が挙げられる(請求項2)。
上記補強用繊維中に占める上記非水溶性の合成樹脂の体積割合は、好ましくは5〜30%である(請求項3)。
本発明(請求項4)の水硬性組成物は、上述の補強用繊維を含むことを特徴とする。
このように構成した水硬性組成物は、例えば、100MPa以上の圧縮強度、12MPa以上の曲げ強度、及び10KJ/m2以上の破壊エネルギーを有することができる(請求項5)。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水硬性組成物の補強用繊維は、5〜45本の繊維単糸を、糊剤である非水溶性の合成樹脂を用いて集束してなるものである。
本発明の補強用繊維による補強の対象となる水硬性組成物としては、例えば、セメント系組成物等が挙げられる。セメント系組成物には、コンクリート、モルタル、ペーストが含まれる。
本発明で用いられる繊維単糸としては、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ビニロン繊維が挙げられる。ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維は、補強効果が高いため、好ましく用いられる。これらの繊維単糸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0007】
本発明の補強用繊維を構成する繊維単糸の本数は、5〜45本である。
該本数が2本未満では、100MPa以上の圧縮強度を有する水硬性組成物マトリックス中に補強用繊維を混入させた場合に、十分な補強効果を得ることができなくなる。該本数が200本を超えると、繊維単糸間に隙間を生じないように合成樹脂を介在させることが困難になり、その結果、繊維単糸同士の結合力が小さくなって、混練時に、水硬性組成物中で補強用繊維がばらけてしまい、繊維単糸の状態で分散するため、水硬性組成物の流動性が低下するとともに、100MPa以上の圧縮強度を有する水硬性組成物マトリックスに対して十分な補強効果を得ることができなくなる。なお、「水硬性組成物マトリックス」とは、補強用繊維を除く水硬性組成物の構成材料をいう。
【0008】
本発明で用いられる合成樹脂としては、水硬性組成物の混練時に繊維単糸がばらけることのないように、非水溶性の合成樹脂が用いられる。また、本発明で用いられる合成樹脂としては、補強用繊維の強度の観点から、吸水率の小さな合成樹脂を用いることが望ましい。
このような非水溶性で吸水率の小さな合成樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニロン、ナイロン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、エポキシ樹脂は、補強用繊維の耐久性を向上させるので、好ましく用いられる。また、ポリエステル及びビニロンは、コストの点で、好ましく用いられる。これらの合成樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
補強用繊維中に占める合成樹脂の体積割合は、好ましくは5〜30%、より好ましくは5〜20%である。該体積割合が5%未満では、繊維単糸同士の結合力が小さくなって、混練時に、水硬性組成物中で補強用繊維がばらけてしまい、繊維単糸の状態で分散するため、水硬性組成物の流動性が低下するとともに、100MPa以上の圧縮強度を有する水硬性組成物マトリックスに対して十分な補強効果を得ることができなくなる。該体積割合が30%を超えると、補強用繊維自体の強度が低下するなどして、100MPa以上の圧縮強度を有する水硬性組成物マトリックスに対して十分な補強効果を得ることができなくなる。
【0009】
本発明の補強用繊維の直径は、0.05〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.3mmである。該直径が0.05mm未満では、水硬性組成物の流動性が低下すると共に、水硬性組成物マトリックスとの界面の付着強度に比べて、補強用繊維自体の強度が不足するため、補強用繊維が張力を受けた際に破断し易くなる。該直径が0.5mmを超えると、同一の量の繊維単糸の使用を前提とする場合に、補強用繊維の本数が少なくなり、補強効果が低下する。
本発明の補強用繊維の長さは、3〜50mm、好ましくは5〜30mmである。該長さが3mm未満では、水硬性組成物マトリックスと補強用繊維の付着力が弱くなり、十分な補強効果を得ることが困難となる。該長さが50mmを超えると、混練時にファイバーボールが生じ易くなり、水硬性組成物の強度の低下またはばらつき等の問題が起きるおそれがある。
本発明の補強用繊維の配合量は、水硬性組成物中の体積割合で、好ましくは0.1〜6.0%、さらに好ましくは0.3〜4.0%である。該配合量が0.1%未満では、十分な補強効果を得ることができないので、好ましくない。該配合量が6.0%を超えると、水硬性組成物の良好な流動性を確保するために単位水量を増やす必要があり、その結果、水硬性組成物の強度が低下するので、好ましくない。
【0010】
本発明の補強用繊維の製造方法としては、所定の本数の繊維単糸を集束してから、合成樹脂で固める方法と、繊維単糸に合成樹脂を付着させてから、所定の本数の繊維単糸を集束する方法のいずれを採用してもよい。
この際、合成樹脂は、例えば、加熱によって融解した状態で用いてもよいし、あるいは、常温で溶剤中に溶解させた状態で用いてもよい。後者の場合、溶剤としては、メチルエチルケトン等のケトンや、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。また、溶剤中の合成樹脂の濃度は、通常、1〜60質量%程度である。溶剤に溶解させた合成樹脂は、集束した複数の繊維単糸間の空隙を埋めるように含浸させた後、適宜の温度(例えば、80〜150℃程度)で加熱して溶剤を蒸発させ、固化させる。
なお、合成樹脂として、エポキシ樹脂のような二液型の合成樹脂(すなわち、合成樹脂と硬化剤を混合して硬化させるもの)を用いる場合には、合成樹脂と硬化剤を混合した後、この混合液の硬化前に、集束した複数の繊維単糸を混合液中に含浸させて、補強用繊維を作製すればよい。
本発明の補強用繊維は、特に、100MPa以上の圧縮強度を発現する水硬性組成物に対して好適に使用される。
【0011】
次に、補強用繊維以外の水硬性組成物の材料について説明する。
水硬性組成物を構成する材料の例としては、例えば、セメント、ポゾラン質微粉末、無機粒子、骨材、減水剤、水等が挙げられる。
セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント等が挙げられる。
セメントのブレーン比表面積は、好ましくは2,500〜5,000cm2/g、さらに好ましくは3,000〜4,000cm2/gである。該値が2,500cm2/g未満であると、水和反応が不活発になって、水硬性組成物の強度が低下するため、好ましくない。該値が5,000cm2/gを超えると、セメントの粉砕に時間がかかり、製造効率が悪いことに加えて、単位水量が多くなり、水硬性組成物の強度が低下するため、好ましくない。
【0012】
本発明においては、ポゾラン質微粉末を使用することが好ましい。ポゾラン質微粉末を用いることによって、水硬性組成物の流動性や硬化後の強度等を高めることができる。
ポゾラン質微粉末としては、例えば、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ等が挙げられる。
中でも、シリカフューム及びシリカダストは、適当な粒度(BET比表面積で5〜25m2/gの範囲内)を有し、粉砕等の必要がないので、好適に用いられる。
ポゾラン質微粉末のBET比表面積は、好ましくは5〜25m2/g、より好ましくは8〜25m2/gである。該値が5m2/g未満では、水硬性組成物の強度が低下する等の欠点があり、好ましくない。該値が25m2/gを超えると、水硬性組成物の良好な流動性を確保するために、単位水量が多くなり、その結果、水硬性組成物の強度が低下する等の欠点があり、好ましくない。
ポゾラン質微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは5〜45質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。該配合量が50質量部を超えると、水硬性組成物の強度が低下する等の欠点があり、好ましくない。
【0013】
本発明においては、水硬性組成物の流動性及び硬化後の強度、耐久性等を向上させる観点から、ブレーン比表面積が2,500〜30,000cm2/g、好ましくは4,500〜20,000cm2/gで、かつセメントよりも大きなブレーン比表面積を有する無機粒子を使用することが好ましい。
このような無機粒子は、セメントとポゾラン質微粉末との間隙を埋める粒度を有するため、水硬性組成物の流動性や強度等を向上させることができる。
無機粒子の種類としては、例えば、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。中でも、スラグ、石灰石粉末、石英粉末は、コスト及び硬化後の品質安定性の点で好ましく用いられる。
無機粒子の配合量は、水硬性組成物の流動性及び硬化後の強度、耐久性等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは55質量部以下、より好ましくは10〜50質量部である。
【0014】
本発明においては、上述の特定の粒度を有する無機粒子として、2種類の無機粒子(以下、「無機粒子A」、「無機粒子B」と称する。)を併用することができる。
無機粒子A及び無機粒子Bは、同じ種類の粉末(例えば、石灰石粉末)でもよいし、異なる種類の粉末(例えば、石灰石粉末及び石英粉末)でもよい。
無機粒子Aとしては、例えば、ブレーン比表面積が5,000〜30,000cm2/g、好ましくは6,000〜20,000cm2/gであり、かつ、セメント及び無機粒子Bよりもブレーン比表面積が大きいものを用いることができる。
無機粒子Bとしては、例えば、ブレーン比表面積が2,500〜5,000cm2/gであり、かつ、セメントとのブレーン比表面積の差が100cm2/g以上、好ましくは200cm2/gであるものを用いることができる。
無機粒子Aと無機粒子Bのブレーン比表面積の差は、好ましくは1,000cm2/g以上、より好ましくは2,000cm2/g以上である。
このような2種類の無機粒子A,Bを併用することにより、水硬性組成物の流動性及び硬化後の強度、耐久性等をより一層向上させることができる。
【0015】
骨材としては、細骨材のみを用いてもよいし、細骨材と粗骨材を併用してもよい。
細骨材の例としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、又はこれらの混合物等が挙げられる。粗骨材の例としては、川砂利、砕石、又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明においては、水硬性組成物の強度の観点から、85%重量累積粒径が2mm以下の骨材を用いることが好ましい。特に、最大粒径が2mm以下の骨材を用いることによって、圧縮強度、曲げ強度及び破壊エネルギーの各値が大きい水硬性組成物を得ることができる。
細骨材の配合量は、硬化後の強度及びクラックに対する抵抗性の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜180質量部である
粗骨材の配合量は、水硬性組成物の硬化後の強度等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは0〜200質量部である。
【0016】
減水剤としては、例えば、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等が挙げられる。中でも、高性能減水剤及び高性能AE減水剤は、減水効果が大きいので、好ましく用いられる。特に、ポリカルボン酸系の高性能減水剤又は高性能AE減水剤は、水硬性組成物の流動性を高める効果が顕著であるため、好ましい。
減水剤は、粉末状と液体状のいずれの形態のものでも用いることができる。
減水剤の配合量は、セメント100質量部に対して、固形分換算で好ましくは0.05〜4.0質量部、より好ましくは0.1〜2.0質量部である。該配合量が0.05質量部未満では、水硬性組成物の流動性、分離抵抗性、硬化後の強度等を高めることができない。該配合量が4.0質量部を超えると、凝結が遅延するうえ、硬化後の強度も低下する。また、コストの点でも好ましくない。
水硬性組成物を調製する際の水量は、水硬性組成物の流動性及び硬化後の強度、耐久性等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは10〜30質量部、さらに好ましくは18〜26質量部である。
【0017】
本発明の水硬性組成物の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、▲1▼水及び減水剤以外の材料を予め混合して、プレミックス材を調製した後、該プレミックス剤、水、及び減水剤をミキサに投入し、混練する方法、▲2▼粉末状の減水剤と、水以外の材料とを予め混合して、プレミックス材を調製した後、該プレミックス材及び水をミキサに投入し、混練する方法、▲3▼各材料を各々個別にミキサに投入し、混練する方法、等を採用することができる。
混練に用いるミキサとしては、コンクリートやモルタルの混練に用いられる通常のものでよく、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、二軸練りミキサ等が挙げられる。
セメント、補強用繊維、水等を含む混練物(水硬性組成物)を成形し、養生することによって、水硬性組成物からなる硬化体を得ることができる。
なお、成形方法は、特に限定されるものではなく、流し込み成形等の慣用の成形方法を採用することができる。また、養生方法も、特に限定されるものではなく、気中養生や蒸気養生等を採用することができる。
【0018】
本発明の補強用繊維を含む水硬性組成物は、次の物性を有する。
本発明の補強用繊維を含むモルタルは、好ましくは、140MPa以上の圧縮強度、18MPa以上の曲げ強度、15KJ/m2以上の破壊エネルギーを有する。
本発明の補強用繊維を含むコンクリートは、好ましくは、110MPa以上の圧縮強度、12MPa以上の曲げ強度、10KJ/m2以上の破壊エネルギーを有する。
【0019】
【実施例】
以下、実験例(実施例、比較例)により本発明を説明する。
[1.使用材料]
(1)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、ブレーン比表面積:3,200cm2/g)
(2)ポゾラン質微粉末;シリカフューム(BET比表面積:10m2/g)
(3)無機粒子;石英粉末(ブレーン比表面積:7,500cm2/g)
(4)細骨材;珪砂5号
(5)粗骨材;砕石2005
(6)減水剤;ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
(7)水;水道水
【0020】
(8)補強用繊維;使用した補強用繊維を以下に示す。なお、補強用繊維は、いずれも、所定本数の繊維単糸を集束した後、これをメチルエチルケトンに溶解した合成樹脂中に含浸することによって作製した。
A;アラミド繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)40本をエポキシ樹脂(住友スリーエム社製、商品名:スコッチウェルド)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のエポキシ樹脂の含有率:10体積%)
B;ポリエチレン繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)40本をエポキシ樹脂(住友スリーエム社製、商品名:スコッチウェルド)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のエポキシ樹脂の含有率:10体積%)
C;炭素繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)40本をエポキシ樹脂(住友スリーエム社製、商品名:スコッチウェルド)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のエポキシ樹脂の含有率:10体積%)
D;アラミド繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)40本をポリエステル(日立化成社製、商品名:エスペル)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のポリエステルの含有率:10体積%)
E;ポリエチレン繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)40本をポリエステル(日立化成社製、商品名:エスペル)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のポリエステルの含有率:10体積%)
F;アラミド繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)5本をエポキシ樹脂(住友スリーエム社製、商品名:スコッチウェルド)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のエポキシ樹脂の含有率:10体積%)
G;アラミド繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)100本をエポキシ樹脂(住友スリーエム社製、商品名:スコッチウェルド)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のエポキシ樹脂の含有率:10体積%)
H;アラミド繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)
I;アラミド繊維単糸(直径:0.01mm、長さ:15mm)300本をエポキシ樹脂(住友スリーエム社製、商品名:スコッチウェルド)で集束してなる補強用繊維(補強用繊維中のエポキシ樹脂の含有率:20体積%)
【0021】
[2.モルタル又はコンクリートの調製]
各材料を表1に示す配合で個別に二軸練りミキサに投入し、混練した。
【表1】
【0022】
[3.モルタル又はコンクリートの評価]
以下のようにモルタル又はコンクリートの物性を測定し評価した。
(1)フロー値
「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。
(2)スランプフロー
「JIS A 1150(コンクリートのスランプフロー試験方法)」に準じて測定した。
(3)圧縮強度
(a)モルタルを対象とする測定方法
実施例1〜9、比較例1〜3、参考例1の各混練物をφ50×100mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生して、硬化体(3本)を作製した後、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮試験方法)」に準じて、圧縮強度を測定した。硬化体3本の測定値の平均値を圧縮強度とした。
(b)コンクリートを対象とする測定方法
実施例10〜14、参考例2の各混練物をφ100×200mmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生して、硬化体(3本)を作製した後、「JIS A 1108(コンクリートの物理試験方法)」に準じて、圧縮強度を測定した。硬化体(3本)の測定値の平均値を圧縮強度とした。
【0023】
(4)曲げ強度
(a)モルタルを対象とする測定方法
実施例1〜9、比較例1〜3、参考例1の各混練物を4×4×16cmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生して、硬化体(3本)を作製した後、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて、曲げ強度を測定した。載荷条件は、下支点間距離12cm、上支点間距離4cmの4点曲げとした。硬化体(3本)の測定値の平均値を曲げ強度とした。
(b)コンクリートを対象とする測定方法
実施例10〜14、参考例2の各混練物を10×10×40cmの型枠内に流し込み、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生して、硬化体(3本)を作製した後、「JIS A 1106(コンクリートの曲げ強度試験方法)」に準じて、曲げ強度を測定した。載荷条件は、下支点間距離30cm、上支点間距離10cmの4点曲げとした。硬化体(3本)の測定値の平均値を曲げ強度とした。
(5)破壊エネルギー
破壊エネルギーは、上記曲げ強度試験において、荷重が最大荷重に達してから、最大荷重の50%に低下するまでの間の荷重−荷重点変位の積分値を、供試体の断面積で除した値として算出した。
結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明の補強用繊維は、セメント等の他の材料との混練時のみならず、打設等の施工時においても、繊維単糸が集束された状態が維持されるため、硬化後の水硬性組成物において、曲げ強度や靭性(破壊エネルギー)を著しく高めることができる。
Claims (5)
- 5〜45本の繊維単糸を非水溶性の合成樹脂で集束してなる水硬性組成物の補強用繊維であって、
上記繊維単糸は、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ビニロン繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維であり、
上記補強用繊維は、直径が0.05〜0.5mmで、長さが3〜50mmである
ことを特徴とする水硬性組成物の補強用繊維。 - 上記非水溶性の合成樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニロン、ナイロン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群より選ばれる1種以上の合成樹脂である請求項1に記載の水硬性組成物の補強用繊維。
- 上記補強用繊維中に占める上記非水溶性の合成樹脂の体積割合が、5〜30%である請求項1又は2に記載の水硬性組成物の補強用繊維。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の補強用繊維を含むことを特徴とする水硬性組成物。
- 100MPa以上の圧縮強度、12MPa以上の曲げ強度、及び10KJ/m2以上の破壊エネルギーを有する請求項4に記載の水硬性組成物。
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