JP4039801B2 - 水硬性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化前には自己充填性(優れた流動性及び材料分離抵抗性)を有し、施工性に優れるとともに、硬化後には機械的特性(圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー等)に優れるセメント系の水硬性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、機械的特性(圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー等)に優れた水硬性組成物の開発が行なわれている。
例えば、特公昭60−59182号公報の「請求の範囲」には、粒径50Å〜0.5μmの無機固体粒子A(例えば、シリカダスト粒子)と、粒径0.5〜100μmかつ粒子Aより少なくとも1オーダー大きい固体粒子B(例えば、少なくとも20重量%がポルトランドセメントからなるもの)と、表面活性分散剤(例えば、高縮合ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合体等のコンクリートスーパープラスチサイザー)と、追加の素材C(砂、石、ポリプロピレン繊維等の繊維、ホイスカー等からなる群より選択されるもの)とを含む水硬性複合材料が記載されている。
この公報に記載の水硬性複合材料は、硬化後に100MPa以上の圧縮強度を有し、機械的特性に優れる(第32頁の63欄の第1表)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、機械的特性(圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー等)に優れるコンクリートは、次のような利点を有する。
第一に、現場打ちで建築物等を構築する場合には、コンクリート層の厚さを薄くすることができるので、コンクリートの打設量が少なくなり、労力の軽減、コストの削減、利用空間の増大等を図ることができる。
第二に、プレキャスト部材を製造する場合には、プレキャスト部材の厚みを小さくすることができるので、軽量化を図ることができ、その結果、運搬や施工が容易になる。
第三に、耐摩耗性や、中性化、クリープ等に対する耐久性が向上する。
このため、上記公報に記載の水硬性複合材料と比べて、より優れた機械的特性を有する水硬性組成物の開発が望まれている。
【0004】
一方、現場打ちで建築物等を構築する場合や、プレキャスト部材を製造する場合においては、水硬性組成物(コンクリート等)の打設時間の短縮化や、打設後のコンクリート等に加える振動の所要時間の短縮化等の観点から、流動性及び材料分離抵抗性に優れた水硬性組成物(換言すれば、自己充填性を有する水硬性組成物)を用いるのが有利である。
【0005】
しかし、上記公報(特公昭60−59182号公報)に記載の水硬性複合材料では、硬化前の流動性及び材料分離抵抗性の向上と、硬化後の機械的特性(圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー等)の向上を両立させることは、困難である。
例えば、曲げ強度を向上させるために、繊維を配合した場合には、流動性が小さくなってしまい、施工性が劣る。一方、繊維を配合するとともに、混練水や混和剤の配合割合を大きくした場合には、良好な流動性を確保できる反面、材料分離抵抗性が小さくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、硬化前には、流動性及び材料分離抵抗性に優れ、自己充填性を有するとともに、硬化後には、従来の水硬性組成物(例えば、上記公報に記載の水硬性複合材料)よりも機械的特性(圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー等)に優れる水硬性組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の材料を組み合わせることで、上記目的を達成することができるとの知見を得、本発明に到達した。
すなわち、本願の請求項1に記載の水硬性組成物は、セメント100 重量部、ポゾラン質微粉末5 〜 50 重量部、粒径2mm以下の細骨材50 〜 250 重量部、分散剤(例えば、高性能AE減水剤等の各種減水剤)0.5 〜 4.0 重量部(固形分換算)、有機繊維及び/又は無機繊維、水10 〜 35 重量部、平均粒度1mm以下の針状粒子及び/又は薄片状粒子を含む水硬性組成物であって、前記有機繊維及び/又は無機繊維の配合量が、当該水硬性組成物中の容積比で 0.1 〜 10 %であり、かつ、前記針状粒子及び/又は薄片状粒子の配合量が、前記セメント及び前記ポゾラン質微粉末の合計量に対して、容積比で0.5 〜 3.5%であるように構成される。
このように構成された水硬性組成物は、硬化前には、流動性及び材料分離抵抗性に優れ、自己充填性を有するとともに、硬化後には、従来の水硬性組成物よりも優れた機械的特性(圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギー等)を有する。
【0008】
前記針状粒子及び/又は薄片状粒子は、例えば、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、及びアルミナフレークからなる群より選ばれる1種以上からなるように構成することができる(請求項2)。
【0009】
前記有機繊維及び/又は無機繊維は、例えば、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmの寸法を有する(請求項3)。
前記有機繊維及び/又は無機繊維は、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維からなる群より選ばれる1種以上からなるように構成することができる(請求項4)。
前記水硬性組成物は、硬化後の充填密度を高めるために、前記セメント 100 重量部当たり 50 重量部以下の配合量で、石英粉末、石灰石粉末、炭化物粉末、及び窒化物粉末のいずれかである、平均粒径 3 〜 20 μ m の無機粉末を含むことができる(請求項5)。
前記水硬性組成物は、通常、130MPa以上の圧縮強度、及び20MPa以上の曲げ強度を有する(請求項6)。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用するセメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントを使用することができる。
本発明において、水硬性組成物の硬化後の早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましい。また、水硬性組成物の流動性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0011】
ポゾラン質微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ等が挙げられる。
一般に、シリカフュームやシリカダストは、平均粒径が1.0μm以下であり、粉砕等の処理を行なう必要がないので、本発明で使用するポゾラン質微粉末として好適である。
ポゾラン質微粉末の配合量は、セメント100重量部に対して5〜50重量部が好ましく、10〜45重量部がより好ましい。ポゾラン質微粉末の配合量が少なすぎると、水硬性組成物の材料分離抵抗性が低くなり、また、硬化後の機械的特性も低下するので好ましくない。ポゾラン質微粉末の配合量が多すぎると、単位水量が増大し、硬化後の機械的特性が低下するので好ましくない。
【0012】
本発明においては、粒径2mm以下の細骨材が用いられる。ここで、細骨材の「粒径」とは、85%重量累積粒径である。細骨材の粒径が2mmを超えると、水硬性組成物の硬化後の強度が低下する。
なお、本発明においては、最大粒径が2mm以下の細骨材を用いることが好ましく、最大粒径が1.5mm以下の細骨材を用いることが、より好ましい。
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、又はこれらの混合物を使用することができる。
細骨材の配合量は、セメント100重量部に対して、50〜250重量部が好ましく、80〜180重量部がより好ましい。細骨材の配合量が少なすぎると、硬化初期(凝結段階)の自己収縮が大きくなるうえ、水和熱も大きくなるので好ましくない。細骨材の配合量が多すぎると、硬化後の機械的特性(特に、曲げ強度)が低下するので好ましくない。
【0013】
分散剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の各種減水剤(減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤)を使用することができる。これらのうち、減水効果の大きな高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することが好ましい。
分散剤の配合量は、セメント100重量部に対して、固形分換算で0.5〜4.0重量部が好ましい。セメント100重量部に対して、分散剤の配合量(固形分換算)が0.5重量部未満では、混練が困難になるとともに、水硬性組成物の流動性が低下するので好ましくない。セメント100重量部に対して、分散剤の配合量(固形分換算)が4.0重量部を超えると、硬化後の機械的特性が低下するので好ましくない。
なお、分散剤は、液状又は粉末状のいずれでも使用可能である。
【0014】
本発明の水硬性組成物において用いる水の量は、セメント100重量部に対して10〜35重量部が好ましく、より好ましくは15〜30重量部である。水の量が10重量部未満では、混練が困難になるとともに、水硬性組成物の流動性が低下するので好ましくない。水の量が35重量部を超えると、硬化後の機械的特性が低下するので好ましくない。
【0015】
本発明の水硬性組成物は、有機繊維及び/又は無機繊維を含むものである。有機繊維及び/又は無機繊維を含むことによって、曲げ強度や破壊エネルギーを向上させ、かつ、マイクロクラック(数百μm〜数mmのクラック)の伝播を抑制して構造的欠陥を未然に防止することができる。
有機繊維としては、例えば、ビニロン繊維(ポリビニルアルコール系合成繊維)、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリエステル繊維、アクリル繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
有機繊維及び/又は無機繊維の中でも、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維等は、強度に優れている点やコストや入手のし易さの点から好ましいものである。
有機繊維及び/又は無機繊維は、有機繊維と無機繊維のいずれかを単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、有機繊維は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無機繊維についても同様である。
【0016】
有機繊維及び/又は無機繊維は、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましく、直径0.01〜0.9mm、長さ4〜25mmのものが更に好ましく、直径0.05〜0.8mm、長さ6〜20mmのものが特に好ましい。直径が0.005mm未満では、繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなる。直径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、曲げ強度、破壊エネルギー及び靭性を向上させる効果が低下する。長さが2mm未満では、曲げ強度、破壊エネルギー及び靭性を向上させる効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際、ファイバーボールが生じ易くなる。
有機繊維及び/又は無機繊維の配合量(ただし、併用する場合はこれらの合計量)は、水硬性組成物中、容積比(体積割合)で10%以下が好ましく、0.1〜10%がより好ましく、2.0〜6.0%が特に好ましい。有機繊維及び/又は無機繊維の配合量が10%を超えると、混練時の作業性等を確保するために単位水量が増大するので、硬化後の機械的特性が低下し、好ましくない。
【0017】
本発明の水硬性組成物は、平均粒度が1mm以下の針状粒子及び/又は薄片状粒子を含むものである。ここで、針状粒子及び/又は薄片状粒子の「粒度」とは、これらの粒子の最大寸法の大きさ(特に、針状粒子ではその長さ)である。
針状粒子(繊維状粒子;微細な針状物)としては、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられる。薄片状粒子(微細な薄片状物)としては、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
針状粒子及び/又は薄片状粒子は、針状粒子と薄片状粒子のいずれかを単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、針状粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。薄片状粒子についても同様である。
針状粒子及び/又は薄片状粒子の配合量(ただし、併用する場合はこれらの合計量)は、セメントとポゾラン質微粉末の合計量(100%)に対して、容積比で4.5%以下、好ましくは0.05〜4.5%、より好ましくは0.1〜4.0%、特に好ましくは0.5〜3.5%である。針状粒子及び/又は薄片状粒子を配合しない場合は、有機繊維及び/又は無機繊維が分離し易く、材料分離抵抗性が低下するので好ましくない。針状粒子及び/又は薄片状粒子の配合量が、セメントとポゾラン質微粉末の合計量に対して容積比で4.5%を超えると、水硬性組成物の粘性が高くなって、流動性が低下し、型枠への打設等に要する時間が長くなるので、好ましくない。
なお、針状粒子においては、硬化後の靭性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が2以上のものを用いるのが好ましい。
【0018】
本発明においては、硬化後の充填密度を高める観点から、水硬性組成物に平均粒径3〜20μm、より好ましくは平均粒径4〜10μmの無機粉末を含ませることが好ましい。
無機粉末としては、石英粉末、石灰石粉末、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。中でも、石英粉末は、コストや硬化後の品質安定性の点から、好ましいものである。石英粉末としては、石英、非晶質石英、オパール質やクリストバライト質のシリカ含有粉末等が挙げられる。
無機粉末の配合量は、硬化前の流動性や、硬化後の強度、耐久性等の観点から、セメント100重量部に対して50重量部以下が好ましく、20〜35重量部がより好ましい。
【0019】
本発明において、水硬性組成物の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、次の(1)〜(3)のいずれかの方法を採用することができる。
(1)水、分散剤(減水剤)以外の材料を予め混合し、混合物(プレミックス材)を調製した後、プレミックス材、水、分散剤をミキサに投入し、混練する。
(2)水以外の材料(ただし、分散剤は、粉末タイプのものを使用する。)を予め混合し、混合物(プレミックス材)を調製した後、プレミックス材、水をミキサに投入し、混練する。
(3)各材料を個別にミキサに投入し、混練する。
【0020】
混練に用いるミキサは、通常のコンクリートの混練に用いられるどのタイプのものでもよく、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、ニ軸練りミキサ等が用いられる。
【0021】
本発明の水硬性組成物の成形方法は、特に限定されるものではなく、流し込み成形等の任意の方法を採用することができる。
また、養生方法も、特に限定されるものではなく、気中養生、蒸気養生、オートクレーブ養生等を行なうことができる。
【0022】
本発明の水硬性組成物は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行なわないで測定したフロー値が、200mm以上の値を示し、流動性に優れるものである。また、本発明の水硬性組成物は、材料分離抵抗性にも優れるものである。
したがって、現場打ちで建築物等を構築する場合や、プレキャスト部材を製造する場合において、本発明の水硬性組成物を用いれば、水硬性組成物(コンクリート)の打設時間の短縮化や、打設された水硬性組成物に加える振動の所要時間の短縮化等を図ることができる。
【0023】
更に、本発明の水硬性組成物は、130MPa以上、好ましくは140MPa以上、更に好ましくは150MPa以上、特に好ましくは170MPa以上の圧縮強度を発現し、20MPa以上、好ましくは22MPa以上、更に好ましくは23MPa以上、特に好ましくは25MPa以上の曲げ強度を発現し、18kJ/m2以上、好ましくは21kJ/m2以上、特に好ましくは24kJ/m2以上の破壊エネルギーを有し、機械的特性に優れる。
したがって、現場打ちで建築物等を構築する場合や、プレキャスト部材を製造する場合において、水硬性組成物の使用量が少なくなり、コストの削減、施工や運搬における労力の軽減、利用空間の増大、耐久性の向上等を実現することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
1.使用材料
以下に示す材料を使用した。
【0025】
2.配合及び混練
[実施例1〜2、比較例1〜2、参考例1]
低熱ポルトランドセメント100重量部、シリカフューム32.5重量部、細骨材120重量部、高性能AE減水剤1.0重量部(固形分換算)、水22重量部、ビニロン繊維4%(水硬性組成物中の体積割合)、石英粉35重量部、及び表1に示す量のウォラストナイトを二軸練りミキサに投入し、混練した。なお、ウォラストナイトは、石英粉末の一部を置換する形で用い、石英粉末との合計量が一定(35重量部)になるようにした。
[実施例3〜4、比較例3〜4、参考例2]
低熱ポルトランドセメント100重量部、シリカフューム32.5重量部、細骨材120重量部、高性能AE減水剤1.0重量部(固形分換算)、水22重量部、アラミド繊維4%(水硬性組成物中の体積割合)、石英粉末35重量部、及び表1に示す量のウォラストナイトを二軸練りミキサに投入し、混練した。なお、ウォラストナイトは、石英粉末の一部を置換する形で用い、石英粉末との合計量が一定(35重量部)になるようにした。
【0026】
[実施例5〜6、比較例5〜6、参考例3]
低熱ポルトランドセメント100重量部、シリカフューム32.5重量部、細骨材120重量部、高性能AE減水剤1.0重量部(固形分換算)、水22重量部、ポリプロピレン繊維4%(水硬性組成物中の体積割合)、石英粉末35重量部、及び表1に示す量のウォラストナイトを二軸練りミキサに投入し、混練した。なお、ウォラストナイトは、石英粉末の一部を置換する形で用い、石英粉末との合計量が一定(35重量部)になるようにした。
【0027】
[比較例7]
低熱ポルトランドセメント100重量部、シリカフューム32.5重量部、細骨材120重量部、高性能AE減水剤1.0重量部(固形分換算)、水22重量部、石英粉末35重量部を二軸練りミキサに投入し、混練した。
【0028】
3.評価
(1)フロー値
各水硬性組成物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行なわないで測定した。
(2)材料分離の有無
上記(1)のフロー値の測定の際に、拡がった各水硬性組成物を目視観察し、材料分離の有無を観察した。
(3)モルタル用Vロート流下時間
モルタル用のVロートを用いて、各水硬性組成物の流下時間を測定した。流下時間が10〜30秒であれば、流動性が良好である。
(4)施工性
下記(5)〜(7)の試験において、各水硬性組成物を型枠に流し込む際の作業時間と流し込み易さ(作業性)から、施工性を「○:良好」、「×:不良」で評価した。
(5)圧縮強度
各水硬性組成物をφ50×100mmの型枠に流し込み、20℃で48時間湿空養生後、90℃で48時間蒸気養生した。得られた硬化体の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
(6)曲げ強度
各水硬性組成物を10×10×40cmの型枠に流し込み、20℃で48時間湿空養生後、90℃で48時間蒸気養生した。得られた硬化体の曲げ強度を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて測定した。
(7)破壊エネルギー
各水硬性組成物を10×10×40cmの型枠に流し込み、20℃で48時間湿空養生後、90℃で48時間蒸気養生した。得られた硬化体の破壊エネルギーを、「RILEM 切欠き梁の三点曲げ試験によるモルタルならびにコンクリートの破壊エネルギーの測定(案)」に準じて測定した。
上記「3.評価(1)〜(7)」の試験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1中、比較例1、3、5では、針状粒子(ウォラストナイト)を含まないため、材料分離が生じている。比較例2、4、6では、針状粒子(ウォラストナイト)の配合割合が、本発明で規定する数値範囲を超えるため、流動性が低下し、施工性が劣る。比較例7では、有機繊維及び針状粒子(ウォラストナイト)を含まないため、破壊エネルギーの値が小さい。
【0031】
【発明の効果】
本発明の水硬性組成物は、硬化前には、流動性及び材料分離抵抗性に優れ、自己充填性を有するため、施工が容易であり、硬化後には、優れた機械的特性(130MPa以上の圧縮強度、20MPa以上の曲げ強度、大きな破壊エネルギー)を有する。
Claims (6)
- セメント100重量部、ポゾラン質微粉末5〜50重量部、粒径2mm以下の細骨材50〜250重量部、分散剤0.5〜4.0重量部(固形分換算)、有機繊維及び/又は無機繊維、水10〜35重量部、平均粒度1mm以下の針状粒子及び/又は薄片状粒子を含む水硬性組成物であって、
前記有機繊維及び/又は無機繊維の配合量が、当該水硬性組成物中の容積比で0.1〜10%であり、かつ、前記針状粒子及び/又は薄片状粒子の配合量が、前記セメント及び前記ポゾラン質微粉末の合計量に対して、容積比で0.5 〜 3.5%である水硬性組成物。 - 前記針状粒子及び/又は薄片状粒子が、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、及びアルミナフレークからなる群より選ばれる1種以上からなる請求項1に記載の水硬性組成物。
- 前記有機繊維及び/又は無機繊維が、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmの寸法を有する請求項1又は2に記載の水硬性組成物。
- 前記有機繊維及び/又は無機繊維が、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、及び炭素繊維からなる群より選ばれる1種以上からなる請求項1〜3のいずれかに記載の水硬性組成物。
- 前記セメント100重量部当たり50重量部以下の配合量で、石英粉末、石灰石粉末、炭化物粉末、及び窒化物粉末のいずれかである、平均粒径3〜20μmの無機粉末を含む請求項1〜4のいずれかに記載の水硬性組成物。
- 130MPa以上の圧縮強度、及び20MPa以上の曲げ強度を有する請求項1〜5のいずれかに記載の水硬性組成物。
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