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JP4131878B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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JP4131878B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に超音波造影剤を被検者に投与して、血管部の血流動態、パフュージョンの検出による臓器実質レベルの血行動態の観測、およびそれらの定量評価を行う目的で施される種々の画像処理機能を備えた超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波の医学的な応用として種々の装置があるが、その主流は超音波パルス反射法を用いて生体の軟部組織の断層像を得る超音波診断装置である。この超音波診断装置は無侵襲検査法で組織の断層像を表示するものであり、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影(CT)装置、磁気共鳴イメージング(MRI)装置および核医学診断装置などの他の診断装置に比べて、リアルタイム表示が可能、装置が小型で安価、X線などの放射線被曝がなく安全性が高い、および超音波ドプラ法により血流イメージングが可能であるなどの特徴を有している。このため超音波診断は、心臓、腹部、乳腺、泌尿器、および産婦人科などで広く行われている。このような超音波診断は、特に、超音波プローブを体表に当てるだけという簡単な操作によって心臓の拍動や胎児の動きの様子をリアルタイム表示によって得ることができ、かつ安全性が高いため繰り返して検査が行えるほか、診断装置をベッドサイドに移動させての検査も容易に行えるなど簡便である。
【0003】
ところで、例えば心臓および腹部臓器などの検査において、静脈から超音波造影剤を注入しての超音波診断装置による血流動態の評価が行われつつある。静脈からの造影剤注入は侵襲性が小さいので、この血流動態の評価法による診断は普及しつつある。造影剤の多くは微小気泡(マイクロバブル)を反射源とするものであり、その注入量・濃度が高ければ造影効果は大きくなる。しかしながら、気泡の性質上、超音波照射によって造影効果時間が短縮してしまうという問題がある。
【0004】
近年、持続性・耐圧型の造影剤が開発されてはいるが、造影剤を被検体内に長時間にわたって存続させるということは侵襲性の増大を招くことが憂慮される。
臨床における被検体部位を考慮した場合、関心領域には血流によって造影剤が次々に供給されるわけであるから、一度の超音波照射によって気泡消失が起こっても、次の送信の時点において新しい気泡が同一関心領域に存在していれば造影効果を保ち得るであろう。
【0005】
しかしながら、超音波送受信は通常1秒間に数千回行われること、および血流速度が遅い臓器実質もしくは比較的細い血管の血流動態の存在を加味すると、これらの診断画像上では造影剤による輝度増強を確認する以前に次々に気泡が消失してしまい、造影効果が瞬時に減弱することが十分に予想され得る。
【0006】
造影剤を用いる診断の最も基本的な目的は、造影剤による輝度増強の有無を調べることにより診断部位における血流の有無を知ることにある。これよりもさらに進んだ診断は、診断部位における造影剤の空間分布の時間変化の様子を輝度変化の広がりや輝度増強の程度から観察することであり、また、造影剤注入から関心領域(ROI)にそれが到達するまでの時間およびROI内での造影剤によるエコー輝度の経時変化( TIC:Time Intensity Curve)、あるいは最大輝度などを求めることである。
【0007】
上述したような造影エコー法による診断は、ハーモニックイメージングと称される手法により更に効果的となる。ハーモニックイメージングは微小気泡が超音波励起されることによって起こる非線形挙動のみを分離し、これを検出するという撮影手法である。生体臓器は非線形挙動を比較的起こしにくいため、造影剤を良好なコントラスト比によって観測できる。
【0008】
また、上記の様に超音波照射によって微小気泡が消滅してしまう現象に対しては、フラッシュエコーイメージング(以下「FEI」と称する)、トランジェントレスポンスイメージング(Trangient Response Imaging)などと称される撮影手法によって輝度増強を改善できることが報告されている。フラッシュエコーイメージングについては、参考文献「67-95 フラッシュエコー映像法の検討(1)」,神山直久、嶺 喜隆ら、第67回日本超音波医学会研究発表会、1996年6 月」に記載されている。この撮影手法は、原理的には、1秒間に数十フレームといった従来型の連続送信(スキャン)を数秒間に1フレームといった間欠的送信にすることで、割らずに密集させた微小気泡を一度に消滅させ、これにより高いエコー信号を得ようとする手法である。この手法に係る発明は、本願発明と同一出願人による出願に係る特願平7−89443号(出願日:平成7年4月14日)に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ハーモニック映像法のような連続照射での観察は、造影剤気泡の崩壊の影響を考慮して送信音圧をできる限り低くすることが望ましい。これは通常のBモードでも同様であるが、いずれにせよ送信音圧を低くした場合は受信信号のS/N比が低下するわけであるから、例えば血管系の染影効果を増大させるこができるという反面、臓器実質の微小血流の検出は行えないという場合が多い。
【0010】
一方、フラッシュエコー映像法では、臓器実質の微小血流が瞬間的に検出可能であるが、造影剤を組織に充満させるための送信停止時間が必要であり、リアルタイム性が損なわれる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、低音圧による送信モードと、高音圧による送信モードとを自動的に切り換えて、両者の長所を生かすような送信制御系、表示部、および画像記憶部を備え、操作者が造影エコーを行う際に、より便利で効果的な情報を提供することを可能とした超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために本発明の超音波診断装置は次のように構成されている。
(1)本発明の超音波診断装置は、超音波造影剤を被検体に投与して行うコントラストエコー法によって超音波診断画像を生成する超音波診断装置において、前記超音波造影剤の存在寿命を持続させるために適した第1の送信条件、又は前記超音波造影剤を崩壊させるのに適した第2の送信条件で超音波を送信するとともに、被検体からの反射信号を受信する送受信手段と、前記第1の送信条件に基づく超音波の送信によって得られる第1の診断画像と前記第2の送信条件に基づく超音波の送信によって得られる第2の診断画像を一画面を分割して同時に表示する表示手段と、前記第1の診断画像が、前記第1および第2の送信条件に基づく超音波送信の際に更新され、前記第2の診断画像が、前記第1の送信条件に基づく超音波送信の際には更新されないように前記画面の表示制御を行う表示制御手段と、を具備する。
【0014】
このような構成によれば、超音波造影剤の存在寿命を持続させるために適した第1の送信条件(モニタ送信)による画像群と、超音波造影剤を崩壊させるのに適した第2の送信条件(フラッシュ送信)による画像群とを表示手段によって一画面を分割して同時に表示することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本発明は造影剤を投与して染影度によって血流状態を観察する場合の関心部位(ROI)全てについて適用可能であるが、本実施形態では肝臓実質もしくは心臓筋肉へ流入する造影剤による染影度から、血流動態を把握して異常部位を同定する場合について説明する。
【0016】
<適応型送信パワー制御法>
図1は本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の超音波診断装置は、被検体との間の超音波信号の送受信を担う超音波プローブ1と、この超音波プローブ1を駆動し且つ超音波プローブ1からの受信信号を処理する装置本体20と、この装置本体20に接続され、且つオペレータからの指示情報を装置本体20に入力可能な操作パネル9とを具備する。操作パネル9はROIの設定を行うためのトラックボール10A、キーボード10Bが接続あるいは設置されて成る。
【0017】
装置本体20は、超音波送信部2、超音波受信部3、レシーバ部4、BモードDSC部5、メモリ合成部6、表示部7、イメージメモリ8、FEI制御回路13、およびメモリ制御回路14を具備する。また、本実施形態の超音波診断装置にはECG(心電計)11が接続されており、装置本体20は心拍検出部12を備えている。
【0018】
超音波送信部2は、遅延回路とパルサからなり、パルス状の超音波を生成してスキャンを行なうためのものである。通常、このスキャンの時間間隔は一定のパルス繰り返し周波数(PRF:pulse repetition frequency )で行われる。さらにこの超音波送信部2は本実施形態の主要部の一つでもあるFEI制御回路13からの制御も受ける。これにより高音圧送信と低音圧送信との切替が行われる。FEI制御回路13の機能の詳細については後述する。
【0019】
被検体内の音響インピーダンスの不連続面で反射した反射波は超音波プローブ1で受信される。このプローブ1からチャンネル毎に出力されるエコー信号は、超音波受信部3に取り込まれる。ここでエコー信号は、チャンネル毎にプリアンプによって増幅され、受信遅延回路により受信指向性の決定のために必要な遅延時間が与えられ、加算器によって加算される。この加算により受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。このように、送信指向性と受信指向性とが与えられて送受信における総合的な超音波ビームが形成される。
【0020】
次にレシーバ部4以降の構成について説明する。レシーバ部4は、図示しない対数増幅器、包絡線検波回路、およびアナログディジタルコンバータ(A/Dコンバータ)から構成される。ハーモニックイメージング法を適用する場合、レシーバ部4には帯域通過型フィルタ等が付加される。これにより送信周波数の基本波成分が除去され、高調波成分を含む信号のみを通過させることができる。
【0021】
レシーバ部4からの出力は、Bモード用DSC(ディジタルスキャンコンバータ)部5により、超音波スキャンのラスタ信号列からビデオフォーマットのラスタ信号列に変換され、メモリ合成部6に送られる。メモリ合成部6は、画像と設定パラメータ等の情報を並べる、あるいは重畳するなどしてこれをビデオ信号として表示部7に対し出力する。かくして被検体組織形状を表す断層像が表示される。
【0022】
イメージメモリ8は、BモードDSC部5の信号(超音波スキャンのラスタ信号列およびビデオフォーマットのラスタ信号列のいずれか一方又は両者)を記憶保持するメモリから成る。この情報は、例えば診断の後に操作者が呼び出して利用することが可能となっており、その場合、DSC部5、メモリ合成部6を経由して表示部7に出力させることができる。
【0023】
ECG11は、主に被検体の体表に付着させて心電波形を得るものである。心拍検出部12は、得られた心電波形を超音波画像と共に表示部7で表示させるためにメモリ合成部6に送る。また、心電波形に同期して収集された心臓の画像、いわゆる心電同期画像を得るためのトリガ信号として、FEI用制御回路13に対し心電波形を出力する。
【0024】
<送信条件制御部の機能>
次に、本発明の主要部に係るFEI用制御回路13、メモリ制御回路14の具体的な構成および動作について説明する。
【0025】
まずFEI制御回路13は、上述したように、超音波送信部2における送信条件の切替制御を行なう。すなわち、「超音波造影剤の存在寿命を持続させるために適した超音波を送信する第1の送信条件」と、「超音波造影剤を崩壊させるのに適した超音波を送信する第2の送信条件」との切替制御を行う。以下、第1の送信条件に係る送信を「モニタ送信」と称し、第2の送信条件に係る送信を「フラッシュ送信」と称する。
【0026】
モニタ送信とフラッシュ送信とを交互に切り換えるために必要となる条件は、操作者が操作パネル9を使用することによってFEI制御回路13に送られる。ここで、最も基本的な情報とは、モニタ送信、フラッシュ送信それぞれの送信時間々隔である。この具体例を図2に基づいて説明する。
【0027】
図2はモニタ送信およびフラッシュ送信の送信タイミングを示す図である。
同図に示されるモニタ送信の時間々隔T-moniと、フラッシュ送信の送信フレーム枚数N-flash の値は操作者によって入力される。
【0028】
ここで、フラッシュ送信は微小気泡を崩壊させて輝度増強を図る手法であるから、あまり短い時間々隔でこれを行うと効果が減少してしまうが、一方でフラッシュ送信により気泡は一瞬で崩壊してしまう。このことを踏まえてモニタ送信の時間々隔を設定する。すなわち、1,2,…〔秒〕といった単位か、あるいはECG11のトリガを基準とした1,2,…〔心拍毎〕といった単位で指定する。また、フラッシュ送信の時間々隔としては、1,2,…〔フレーム枚数〕などの単位で指定する。なお、当然ながらフレーム枚数ではなく、0.05秒といった時間で指定しても良い。
【0029】
本実施形態では、T-moniを3秒とし、N-flash を2枚と指定したことにする。
この指示に従い超音波送信部2は3秒間だけモニタ送信を行ない、これによる受信信号が超音波受信部3を介して収集される。しかる後、超音波送信部2はフラッシュ送信を行い、これによる2フレーム分の受信信号が超音波受信部3を介して収集される。そして再びモニタ送信に復帰し、以上の動作が繰り返される(図2参照)。なお、上記の送信条件の切り替えはFEI制御回路13によって自動的に行われることとするが、操作者がボタンを押すなどして手動で行ってもよい。また、上記の動作に関する説明は、前述した特願平7−89443(平成7年4月14日出願)に記載されている。
【0030】
ところで、切り替えられる送信条件は2種類としたが、フラッシュ信号を効率良く得るという目的から3種類以上の送信条件を切り替えるように構成しても良い。例えば、上記モニタ送信からフラッシュ送信に切り替わるまでの間に、比較的短い時間の「停止」という送信条件を設けても良い。モニタ送信によって微小なりとも崩壊するような弱い造影剤を用いた場合は、送信停止の間に造影剤が割れることなく関心領域の組織に流入することとなり、その後のフラッシュ送信においてフラッシュ信号を増強させることができる。
【0031】
上記送信を停止させる時間は、長くすれば当然ながらフラッシュ信号の増強度は高くなる。しかしながら、停止時間が長いとモニタスキャンの本来のリアルタイム性が損なわれるため、数分の1秒から2、3秒程度が適当であると考えられる。
【0032】
さて、メモリ制御回路14は現在の送信がモニタ送信であるか、フラッシュ送信であるかの情報をFEI制御回路13から受け取り、BモードDSC部5およびメモリ合成部6に対し次のような制御を行う。
【0033】
まず、メモリ制御回路14によるBモードDSC部5に対する制御について説明する。メモリ制御回路14はイメージメモリ8に現在記録されようとしている画像がモニタ送信によるものか、あるいはフラッシュ送信によるものかを識別可能とするための制御信号をBモードDSC部5に対して送る。これによりイメージメモリ8には、モニタ送信による画像群と、フラッシュ送信による画像群とが分離されて保存されることになる。したがって、操作者がイメージメモリ8から画像を呼び出して再生する際に次のような利点が得られる。すなわち、表示部7において画像を表示させる際に、モニタ送信による画像か、フラッシュ送信による画像かを表示させることができ、両者の識別が容易となる。また、操作者からの指示によって、例えばフラッシュ送信(あるいはモニタ送信)による画像群のみを表示させることが可能となる。フラッシュ送信による画像群は、フラッシュエコー映像法の主目的の通り、組織内微小血流を高感度に検出・診断するために有用である。一方、モニタ送信による画像群は、例えば心臓の診断の場合、動画再生を行うことにより動態の診断に有用となる。
【0034】
モニタ送信による画像は連続的に送信を行って得るものであるため、超音波の全照射時間も多くなり、必然的に画像の枚数が多くなる。また、モニタ送信による画像は診断以外の特定の用途、例えばフラッシュエコーを得るための位置合わせのために用いる場合もある。したがって、モニタ送信による画像の全てをイメージメモリ8に記録する必要性が無い場合もある。一方、フラッシュ送信では、一瞬のフラッシュ画像を捕らえるため、イメージメモリ8の再生による確認が必要である。
【0035】
以上のことを踏まえて、次のような変形例が考えられる。
(変形例1)イメージメモリ8の保管領域をモニタ用とフラッシュ用とに予め分割(物理的でもソフト的でもどちらでも可)し、メモリ制御回路14からの制御によって保管場所を振り分ける。これにより図3に示すように、枚数の少ないフラッシュ画像群がモニタ画像群によって上書きされることはなくなる。
(変形例2)イメージメモリ8を予めフラッシュ専用とし、モニタ送信による画像を記録しないようにメモリ制御部14が制御を行う。
【0036】
次に、メモリ制御回路14によるメモリ合成部6に対する制御について説明する。
まずは、フラッシュ送信を2枚以上行う(上述した)理由について説明する。フラッシュ送信の定義によれば、造影剤を瞬時に崩壊させた時のエコーを捕らえる手法である。フラッシュ送信を行った場合、第1フレームでは高い輝度画像を得ることができるが、一方、第2フレーム以降では造影剤による輝度が消失していることが考えられる。第2フレーム以降の画像は次のように利用される。すなわち、第2フレーム以降(の少なくとも一枚)と第1フレームとを比較することによって、消失部位の確認に利用する。このことは同一送信条件のフレーム(画像)同士を比べるという点において重要である。なお、フラッシュ送信による画像とモニタ送信による画像との比較は出来ない。また、第2フレーム以降(の少なくとも一枚)と第1フレームとの輝度差分の画像を作成することにより消失部分を抽出することができる。
【0037】
このように、複数枚のフラッシュ送信を行うこと、およびこれによって得られる複数の画像をイメージメモリ8に記録することは重要である。しかしながら、診断部位の観測中は、最も輝度の高い第1フレーム(画像)を表示させることにより、検査中に染影部位をより明確に知ることができる。そこで、メモリ制御部14はメモリ合成部6に対して、フラッシュ送信の第1フレームであるか否かを通知し、これに応じて表示部7が第1フレームのみを表示するようにし、第2フレーム以降を表示させないようにする(図4参照)。
【0038】
このような表示制御は、単一画面表示においても有効であるが、次に説明する2画面表示(デュアル表示)においてより有効となる。
図5は、表示部7による2画面表示(DUAL表示)の一例を模式的に示す図である。同図に示すように、一方にモニタ送信による画像、もう一方にフラッシュ送信による画像を表示することで、操作者はモニタ画像でリアルタイムに動画を観察する一方で、フラッシュ送信によるイメージを容易に観察することが可能となる。
【0039】
送信条件の切替と画像表示の対応について、幾つかの変形例を図6をもとに説明する。本例でも、一定時間ごとに2回のフラッシュ送信が行われるものとする。
【0040】
図6(A)はそれぞれの画面に、モニタ送信の像、フラッシュ送信の像を振り分けて表示する例を示している。各々次の画像が得られるまでは、画面には前の画像が保持される。なお、フラッシュ用画面(画面2)には、フラッシュ送信による画像を全て表示してもよいが、前述したように、個々のフラッシュ送信直後の1枚目の画像のみを選択的に表示することが望ましく、本例はこの場合を示している。なお、イメージメモリにはフラッシュ画像のみが全て保存される。
【0041】
図6(B)はモニタ用画面(画面1)に、フラッシュ送信の画像を含めて、装置において順次に得られた画像をそのまま全て表示する例を示している。実際のフラッシュ像は、数秒間に数フレーム(数十分の一秒)であるため、モニタ像に瞬間的にフラッシュ画像が混在しても、動態の観察にはほぼ支障はない。一方で、送信条件の識別によって表示を切り替えるという制御をフラッシュ用画面についてのみ行えばよく、モニタ用画面は単に連続画像を表示すればよいので、信号制御が比較的簡単になるという利点がある。
【0042】
なお、図6は画面を2等分するという分割形態を示しているが、上記モニタ送信による画像、およびフラッシュ送信による画像は、それぞれ、図7に示すように異なる大きさの表示画面に表示するなど、種々の分割形態で表示しても良い。
【0043】
ところで、本実施形態ではモニタ送信とフラッシュ送信とを切り替えるにあたって送信音圧を変化させる。これは、例えば超音波プローブ1の送信駆動電圧、駆動周波数、波数、波形、あるいは送信駆動素子数(口径数)といった特定のパラメータを制御することにより実現できる。なお、診断部位の音場音圧もしくは造影剤気泡の壊れ易さを結果的に変化させることができるものであれば上記パラメータは如何なるものでも良い。
【0044】
さらに、モニタ送信とフラッシュ送信との間において受信条件を変えるように構成してもよい。例えば、上述したデュアル表示の例において、フラッシュ送信時には気泡消失に伴う高調波成分が発生するためハーモニックイメージングとし、モニタ送信時には通常のBモードのイメージングとする。これにより低音圧によるペネトレーション劣化を補償できるとともに、組織形状を観測し易いため位置合わせを適切に行える。より具体的には受信条件の切り替えを次のようにして行う。すなわち、FEI制御回路13がモニタ送信とフラッシュ送信とを区別するための信号をレシーバ部4に送る。この信号に基づきレシーバ部4は、フラッシュ送信の際にはハーモニックイメージングに係る処理を、モニタ送信の際にはBモードのイメージングに係る処理を受信信号に対し行うようにする。より具体的には、送信条件の切り替えに伴いレシーバ部4は受信信号の処理条件としての受信周波数又は受信帯域を変化させる。
【0045】
<時間情報の付加>
本発明によってイメージメモリ8に記録される画像群は、図2のタイミングチャートからも明らかなように、不定時間々隔で収集された画像によって構成される。また、フラッシュ送信を手動で何度か行えば、T-flash =1としても不定間隔となる。このため個々の画像について、その画像がどの時間における画像であるのかを知ることができない。
【0046】
そこで、時間情報、およびフラッシュ送信の第何フレームかに関する情報をメモリ制御部14がBモードDSC部5に対して送るようにし、これらの情報を画像に付加してイメージメモリ8に記録する。もしくは、時間情報を記録するためのテーブルを別途設けるようにし、画像に関連付けて書き込んでも良い。
【0047】
時間情報は、イメージメモリ8に記録された画像を呼び出して、輝度変化曲線の作成に有益である。より具体的な応用例としてはフラッシュ画像の第1フレームのみを取り出して輝度変化曲線を作成する。かかる時間情報に基づくことにより、不定間隔で(あるいは手動で)収集されたフラッシュ画像に対して時間軸を考慮した輝度変化曲線が作成可能となる。
【0048】
したがって、超音波造影剤を被検体に投与して行うコントラストエコー法、特にフラッシュエコー映像法に係る画像診断において、より明瞭な微小血流の描出による診断能の向上、および正確な血流情報の提供を実現できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず種々変形して実施可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、低音圧による送信モードと、高音圧による送信モードとを自動的に切り換えて、両者の長所を生かすような送信制御系、表示部、および画像記憶部を備えているため、被検体に超音波造影剤を投与して行う造影エコー法を行う際に、より便利で効果的な情報を提供することを可能とした超音波診断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】上記実施形態に係るモニタ送信およびフラッシュ送信のタイミングを示す図。
【図3】上記実施形態に係るイメージメモリの制御例を示す図。
【図4】上記実施形態に係る画像表示のタイミングを示す図。
【図5】上記実施形態に係る表示部における2 画面表示の一例を模式的に示す図。
【図6】上記実施形態に係る画像表示の変形例を示す図。
【図7】上記実施形態に係る表示部における画面の分割態様の他の例を示す図。
【符号の説明】
1…超音波プローブ
2…超音波送信部
3…超音波受信部
4…レシーバ部
5…BモードDSC部
6…メモリ合成部
7…表示部
8…イメージメモリ
9…操作パネル
10A…トラックボール
10B…キーボード
11…ECG
12…心拍検出部
14…メモリ制御回路

Claims (1)

  1. 超音波造影剤を被検体に投与して行うコントラストエコー法によって超音波診断画像を生成する超音波診断装置において、
    前記超音波造影剤の存在寿命を持続させるために適した第1の送信条件、又は前記超音波造影剤を崩壊させるのに適した第2の送信条件で超音波を送信するとともに、被検体からの反射信号を受信する送受信手段と、
    前記第1の送信条件に基づく超音波の送信によって得られる第1の診断画像と前記第2の送信条件に基づく超音波の送信によって得られる第2の診断画像を一画面を分割して同時に表示する表示手段と、
    前記第1の診断画像が、前記第1および第2の送信条件に基づく超音波送信の際に更新され、前記第2の診断画像が、前記第1の送信条件に基づく超音波送信の際には更新されないように前記画面の表示制御を行う表示制御手段と、
    を具備することを特徴とする超音波診断装置。
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